断熱機能付き頭部保護具
【課題】 断熱機能付き頭部保護具においてクーリング効果を向上させる。
【解決手段】 野球用ヘルメット1において、着用者の頭部に装着されるシェル2の内部のライナー3には、不織布をベースとしかつ不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなる断熱シート31が設けられている。断熱シート31は、ライナー3の外側凸状曲面に装着されている。マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である。断熱シート31は、2mm以上の厚みを有しており、ライナー3の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【解決手段】 野球用ヘルメット1において、着用者の頭部に装着されるシェル2の内部のライナー3には、不織布をベースとしかつ不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなる断熱シート31が設けられている。断熱シート31は、ライナー3の外側凸状曲面に装着されている。マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である。断熱シート31は、2mm以上の厚みを有しており、ライナー3の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱機能を有するキャップ、ハット等の帽子やヘルメット等の断熱機能付き頭部保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部保護具として、野球用ヘルメットを例にとると、真夏の炎天下では、とくに黒色のヘルメットの場合、ヘルメットの外表面温度は55℃以上に上昇し、このとき、ヘルメット内部の頭部表面の温度は45℃以上になる。そこで、熱中症対策としても、ヘルメット内部の温度を下げるための何らかの工夫が必要になる。
【0003】
特開平9−209211号公報には、野球用ヘルメットにおいて、ヘルメット内部に前後方向の通気通路を形成することにより、選手が走行した際に通気通路内に空気を取り込むことで、ヘルメット内部のクーリング効果を得ようとしたものが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、選手が前方から風を受けなければ、通気通路内を通る空気の流れは生じず、このため、真夏の炎天下でバッターボックスに立っているときなどには、ヘルメット内部は高温状態のままである。したがって、前記従来の構成では、クーリング効果は限定的なものであって、熱中症対策としても十分ではない。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、クーリング効果を向上できる断熱機能付き頭部保護具を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1の発明に係る断熱機能付き頭部保護具は、着用者の頭部に装着される頭部保護具本体を備えており、頭部保護具本体に、不織布をベースとしかつ不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなるシートが断熱材として設けられていることを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、不織布の繊維に房状に付着した多数の中空のマイクロバルーンが互いに重なり合うことで、シート内部に多数の空隙が形成されており、これらの空隙が断熱性能を発揮する。しかも、この場合には、各マイクロバルーンの中空内部に含まれる気体自体が断熱性能を発揮するので、これら双方の断熱性能の相乗効果により、十分なクーリング効果を得ることができる。
【0008】
なお、ここで、特開2001−309478号公報には、耳当てにおいて、シェル内に潜熱蓄熱剤を内包したマイクロカプセルをフォーム材に分散させたものが開示されている(同公報の請求項1、2参照)。また、当該公報の段落[0007]]には、潜熱蓄熱剤が固体から液体に相変化する際に吸熱作用を行い、かつ液体から固体に相変化する際に発熱作用を行う点が記載されるとともに、このような潜熱蓄熱剤の吸熱作用により、耳当てを長時間耳に当てていても耳当てが蒸れにくくなると記載されており、さらに、潜熱蓄熱剤として、相転移温度が6〜35℃の範囲内の材料を用いる点が記載されている。
【0009】
本願発明におけるマイクロバルーンが、上記公報に記載のマイクロカプセルと大きく異なる点は、本願発明のマイクロバルーンの内部が中空であるのに対し、上記公報のマイクロカプセルの内部には、潜熱蓄熱剤が内包されている点である。
【0010】
この潜熱蓄熱剤は、上述したように、固体から液体に相変化する際の吸熱作用を利用して蓄熱を行うものであるため、相転移温度を超えて潜熱蓄熱剤が完全に液体に移行した場合には、吸熱効果は激減する。上記公報に記載のもののように、潜熱蓄熱剤の相転移温度が6〜35℃の場合、ヘルメットの内部温度が45℃以上になるような使用環境下では、潜熱蓄熱剤はすぐに液体に移行してしまい、このため、ヘルメットに対するクーリング効果としては、持続性に乏しいものである。
【0011】
これに対して、本願発明においては、マイクロバルーンの内部が中空になっており、温度変化にともなってマイクロバルーン内部で相変化を生じることなく、マイクロバルーン内部には常時ガスが充填されている。このため、マイクロバルーン内部の熱伝導率は低い。しかも、この場合には、隣り合うマイクロバルーン同士の間に空隙が形成されていることで、隣り合うマイクロバルーン同士の間の熱伝導率も低い。したがって、本願発明によれば、ヘルメットに対するクーリング効果を長時間にわたって持続できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、マイクロバルーンが熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である。
【0013】
マイクロバルーンの平均直径を45〜135μmとしたのは、平均直径が45μm未満だと、マイクロバルーンにより形成されるシート内部の空隙が小さすぎて断熱性能が十分でないからであり、また平均直径が135μmを超えると、マイクロバルーン内部の気泡が破泡を起こす恐れがあるからである。また、この場合、各マイクロバルーンの内部の気泡が連続気泡ではなく、それぞれ独立気泡になっていることにより、各マイクロバルーンの内部で気体の対流が起こることはなく、これにより、断熱性能を向上できる。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1において、シートが、発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する熱硬化性樹脂溶液を不織布に含浸させた後、加熱・乾燥させることにより製作されている。
【0015】
この場合には、加熱・乾燥工程で、発泡性可塑性樹脂粒子が発泡し、これにより、不織布の繊維に多数のマイクロバルーンが房状に付着することで、シートが作製される。
【0016】
シートの厚みは、請求項4の発明に記載されているように、2mm以上であるのが好ましい。
【0017】
その理由は、以下のとおりである。
厚み1mm、2mm、3mm、5mmの4種類のシートを用意し、これらをそれぞれヘルメット内部の半球殻状のライナーの上に貼り付けてなる4種類のヘルメットをそれぞれ人頭模型に被せ(図11参照)、人頭模型の上からランプの光を照射して、ヘルメット頭頂部外側面Xおよび人頭模型の頭頂部Yの温度をそれぞれ測定した。また、比較のために、ライナーにシートを張り付けていない従来品のヘルメットについても同様に、人頭模型の頭頂部Yの温度を測定した。温度測定結果を図12に示す。
【0018】
図12より、ランプ照射時間が3分以上の場合でみたとき、シートの厚みが2mm以上あると、頭頂部の温度が従来品と比較して3℃以上低下することが分かる(同図中の▲と○との間隔参照)。その一方、人間の感覚として、3℃以上の温度差があれば、クーリング効果を実感できることが分かっている。このことから、シートの厚みとしては、2mm以上あることが必要であると判断した。
【0019】
シートは、請求項5の発明に記載されているように、頭部保護具本体の表面、裏面または内部のいずれに設けられていてもよい。
【0020】
請求項6の発明では、請求項1において、シートが、頭部保護具本体の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【0021】
この場合には、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止できる。
【0022】
請求項7の発明では、請求項1において、頭部保護具本体には、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1の通気孔が形成されるとともに、シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2の通気孔が形成されており、第1および第2の通気孔が上下方向に整列して配置されている。
【0023】
この場合には、頭部保護具本体およびシートの前方側の第1、第2の通気孔から導入された空気が、頭部保護具本体の内部を通って、頭部保護具本体およびシートの後方側の第1、第2の通気孔から排出されることにより、頭部保護具本体の内部およびシートを空冷することができる。これにより、シートの断熱性によるクーリング効果をさらに向上できる。
【0024】
請求項8の発明では、請求項1において、当該断熱機能付き頭部保護具が、キャップ、ハットまたはヘルメットのいずれかである。
【0025】
請求項9の発明では、請求項8において、シートが、ヘルメットの内側に設けられる半球殻状のライナーの外側凸状曲面または内側凹状曲面に装着されており、あるいはライナーの内部に挿入されている。
【0026】
請求項10の発明では、請求項9において、シートが、ライナーの前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【0027】
この場合には、請求項6の発明と同様に、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止できる。
【0028】
請求項11の発明では、請求項9において、ヘルメットには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1’の通気孔が形成されるとともに、シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2’の通気孔が形成されており、第1’および第2’の通気孔が上下方向に整列して配置されている。
【0029】
この場合には、ヘルメットおよびシートの前方側の第1’、第2’の通気孔から導入された空気が、ヘルメットの内部を通って、ヘルメットおよびシートの後方側の第1’、第2’の通気孔から排出されることにより、ヘルメット内部およびシートを空冷することができる。これにより、シートの断熱性によるクーリング効果をさらに向上できる。
【0030】
請求項12の発明では、請求項9において、シートの厚みが2mm以上である。
これは、上述したように、図12の温度測定結果に基づいている。
【0031】
請求項13の発明では、請求項9において、シートが、ライナーの外側凸状曲面に装着されるとともに、ライナーの外側凸状曲面とヘルメット本体の裏面との間の隙間を超えない厚みを有している。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明に係る断熱機能付き頭部保護具によれば、ベースとなる不織布の繊維に多数の中空のマイクロバルーンを房状に付着させることにより構成したシートを断熱材として用いるようにしたので、不織布の繊維に房状に付着した多数のマイクロバルーンが互いに重なり合うことで、シート内部に多数の空隙を形成でき、当該空隙により断熱性能を発揮できる。しかも、この場合には、各マイクロバルーンの中空内部に含まれる気体自体が断熱性能を発揮できるので、これら双方の断熱性能の相乗効果により、十分なクーリング効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例による野球用ヘルメットの前面側斜視図である。
【図2】前記野球用ヘルメット(図1)の後面側斜視図である。
【図3】前記野球用ヘルメット(図1)の平面図である。
【図4】前記野球用ヘルメット(図1)の底面図である。
【図5】前記野球用ヘルメット(図1)の内側に装着されるライナーの前面側斜視図である。
【図6】前記ライナー(図5)の後面側斜視図である。
【図7】前記ライナー(図5)の平面図である。
【図8】前記ライナー(図5)の底面図である。
【図9】前記ライナー(図5)に装着される断熱シートの表面拡大写真である。
【図10】前記断熱シート(図9)のベースとなる不織布の表面拡大写真である。
【図11】断熱性能試験の概要を説明するための図である。
【図12】本実施例による野球用ヘルメットにおいてシートの厚みの違いによる断熱性能の違いをシートのない場合と併せて示すグラフである。
【図12A】直射日光下で断熱シートの有無によるヘルメット内部のライナー本体内側面の温度変化をヘルメット外側面の表面温度とともに示すグラフである。
【図13】本実施例による野球用ヘルメットの断熱性能試験結果を比較例の野球用ヘルメットの断熱性能試験結果とともに示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。ここでは、頭部保護具として、野球用ヘルメットを例にとる。なお、図1ないし図4は本発明の一実施例による野球用ヘルメットを示し、図5ないし図8は野球用ヘルメットの内部に装着されるライナーを示しており、図5〜図8は図1〜図4にそれぞれ対応している。
【0035】
図1ないし図4に示すように、野球用ヘルメット1は、繊維強化プラスチック等の樹脂製のシェル(ヘルメット本体)2を有している。シェル2は、着用者の頭部を覆う半球殻状の本体部20と、本体部20と一体に形成されかつ本体部20から前方に延びるひさし部21と、本体部20と一体に形成されかつ着用者の耳を覆う左右の耳当て部22とから主として構成されている。
【0036】
本体部20には、複数の通気孔20aが貫通形成されている。本体部20の内部には、図4に示すように、本体部20の内周面に沿う半球殻状のライナー3が設けられている。ライナー3は、例えば発泡スチロール等の発泡樹脂製であって、衝撃吸収材およびクッション材として用いられている。
【0037】
ライナー3は、図5ないし図8に示すように、着用者の頭部を覆う半球殻状のライナー本体30を有している。ライナー本体30には、複数の通気孔30aが貫通形成されており、これらの通気孔30aは、シェル2の本体部20の各通気孔20aと整列している。なお、図示していないが、本体部20の内面には、各通気孔20aを覆うメッシュ状シートが装着されている。
【0038】
ライナー本体30において、その前頭部、側頭部および後頭部を除く頭頂部領域の外側面(外側凸状曲面)には、断熱シート31が装着されている(図5ないし図7参照)。断熱シート31をとくに頭頂部領域に配置したのは、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止するためである。なお、頭頂部領域を含む頭部全体に断熱シート31を設けるようにしてもよい。
【0039】
断熱シート31は、図7に示すように、頭頂部領域の中央に配置されたシート中央部31Aと、その左右両側に配置されたシート左側部31Bおよびシート右側部31Cとから構成されている。これらシート中央部31A、シート左側部31Bおよびシート右側部31Cは、それぞれ別個に製作されており、ライナー本体30の頭頂部領域にそれぞれ隙間なく接着されることにより、断熱シート31が構成されている。図7中、符号31bはシート中央部31Aおよびシート左側部31Bの境界線を示し、符号31cはシート中央部31Aおよびシート右側部31C間の境界線を示している。
【0040】
このように、断熱シート31を分割された複数のシートから構成したのは、断熱シート31を頭頂部領域の凸状曲面に皴や弛みを生じることなく装着するようにするためである。なお、断熱シート31の厚みは、2mm以上あるのが好ましい。これについては後述する。また、断熱シート31は、ライナー本体30の頭頂部領域の外側面とシェル2の内面との間の隙間を超えない厚みを有している。
【0041】
断熱シート31には、複数の通気孔31aが貫通形成されている。これらの通気孔31aは、ライナー3のライナー本体30の各通気孔30aと整列している。したがって、シェル本体部20、ライナー本体30、断熱シート31の各通気孔20a、30a、31aはいずれも整列して配置されている。
【0042】
これらの通気孔20a、30a、31aは、実質的に前後方向に(つまり前頭部から後頭部に向かって)延びており、また、頭頂部および後頭部の各通気孔は実質的に前後方向に整列している。これは、着用者の走行時に頭頂部前側の通気孔からヘルメット内部に導入された空気が、頭頂部後側および(または)後頭部側の通気孔を通ってヘルメット外部に排出されることにより、ヘルメット内部および断熱シート31を空冷するためである。
【0043】
断熱シート31は、不織布をベースとし、不織布の繊維に多数のマイクロバルーンを房状に付着させることにより、構成されている。図9は、断熱シート31の表面の50倍の電子顕微鏡写真である。なお、参考のために、マイクロバルーンのない単なる不織布の表面の50倍の電子顕微鏡写真を図10に示す。
【0044】
断熱シート31のベースとなる不織布は、多数の合成繊維を不規則に配列しかつ重ね合わせて、熱的、機械的または化学的に結合させるとともに、必要に応じてニードルパンチングすることにより構成されている。不織布を構成する合成繊維としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系などの熱可塑性樹脂や、カーボン、ガラスなどから成形された繊維が用いられる。
【0045】
不織布の繊維に付着したマイクロバルーンは、図9に示すように、不織布の各繊維に対して、葡萄の房のように房状に多数付着している。各マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂の発泡体であって、好ましくは、平均直径45〜135μmの独立気泡である。
【0046】
断熱シート31の製造工程は、以下のとおりである。
i)ベースとなる不織布シートを用意する。
ii) 発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する、例えばポリ酢酸ビニル・エチレン共重合体やポリ酢酸ビニル・エチレン・アクリル三元共重合体等の熱硬化性樹脂溶液を用意する。発泡性熱可塑性樹脂粒子としては、例えばブタン等の炭化水素ガスを内包した粒状物質を用いる。
iii)不織布シートを熱硬化性樹脂溶液に入れて、当該溶液を不織布シートに含浸させる。
iv) 含浸処理した不織布シートを約130℃で加熱しつつ、約100秒間乾燥させる。これにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子が発泡して、多数の独立気泡(マイクロバルーン)が不織布シートの繊維に房状に付着した状態になる。
v) 不織布シートを所望の形状に切断する。
vi) 切断した不織布シートの各パーツをライナーに接着する。
【0047】
次に、上述のように構成された野球用ヘルメットの断熱性能について検証した。
図11は断熱性能試験の概要を示している。同図に示すように、人頭模型にヘルメットを被せた状態で、ヘルメットの1.2m上方のランプを点灯して、ランプからの光をヘルメットに照射した。ヘルメット頭頂部外側面Xおよび人頭模型の頭頂部Yにそれぞれ温度センサを取り付け、部位X、Yにおける表面温度を測定した。実験室内の温度は30℃で、湿度は60%RHであった。
【0048】
図12および図13は、断熱性能試験結果を示している。図12中には、厚みが1mm、2mm、3mm、5mmの4種類の断熱シートについての試験結果がそれぞれ示されている。また、図12中には、ヘルメット内部に断熱シートが設けられていない場合(従来品)の試験結果についても併せて示されている。図13中には、厚み3mmの断熱シートについての試験結果に加えて、ヘルメット内部に断熱シートが設けられていない従来品の場合、断熱シートのかわりに間隙3mmの空気の層(つまり空隙)を形成した場合、本実施例による断熱シートのかわりに、厚み3mmの単なる不織布、発泡ラバー、発泡EVA、発泡PUを用いた場合の試験結果についても併せて示されている。
【0049】
図12の試験結果より、断熱シートの厚みが増すほど、部位Yの表面温度が低下していることが分かる。ところで、人間の感覚として、3℃以上の温度差があれば、クーリング効果を実感できることが分かっている。
【0050】
それを裏付けるために、以下のような実験を行った。
厚み3mmの断熱シートを有する野球用ヘルメットと、断熱シートのない従来の野球用ヘルメットの2種類のヘルメットを用意し、屋外で日陰においた各ヘルメットを被験者が被り、直射日光下で1分毎に各ヘルメットの断熱性能を被験者が評価する官能試験を行った。この官能試験では、5分経過する毎にヘルメットを交換し、同様の試験を3回繰り返した。官能試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
図12Aには、この官能試験において、直射日光下での気温と併せて、ヘルメット外側面の表面温度、断熱シートがある場合および断熱シートがない場合においてヘルメット内部のライナー本体内側面の表面温度が示されている。
【0053】
表1から分かるように、1〜3回目のいずれの場合においても、直射日光の照射時間が3分を越えると、被験者が断熱シートのある方のヘルメットの断熱性能つまりクーリング効果に優位性を実感しており、そのとき、断熱シートがある場合とない場合のライナー本体内側面の表面温度の差は、図12Aのグラフから3℃であることが分かる(同図中の△と□との間隔参照)。
【0054】
また、図12において、ランプ照射時間が3分以上の場合において、従来品と比較して3℃の温度差が生じているのは、シート厚2mmの場合である。このことから、シートの厚みとしては、2mm以上あることが必要であると判断した。
【0055】
図13の試験結果より、厚み3mmの本実施例による断熱シートの場合が最も温度が低下しており、断熱性能が最も優れていることが分かった。
【0056】
その理由は、次のように推測される。
上述したように、本実施例による断熱シートの場合、不織布の各繊維には、多数の中空のマイクロバルーンが葡萄の房のように付着して互いに重なり合っており、このため、断熱シートの内部には多数の空隙が形成されている。これらの空隙が、温度上昇時に断熱性能を発揮すると考えられる。しかも、この場合、発泡形成された各マイクロバルーンの中空内部には、炭化水素ガスがそれぞれ内包されており、これらの炭化水素ガス自体が断熱性能を発揮すると考えられる。これら双方の断熱性能の相乗効果により、クーリング効果を向上できるのである。
【0057】
また、マイクロバルーンの平均直径を45〜135μmとしたのは、平均直径が45μm未満だと、マイクロバルーンにより形成されるシート内部の空隙が小さすぎて断熱性能が十分でないからであり、また平均直径が135μmを超えると、マイクロバルーン内部の気泡が破泡を起こす恐れがあるからである。また、この場合、各マイクロバルーンの内部の気泡が連続気泡ではなく、それぞれ独立気泡になっていることにより、各マイクロバルーンの内部で気体の対流が起こることはなく、これにより、断熱性能をさらに向上できる。
【0058】
さらに、ヘルメット1には、前後方向に延びかつ整列する複数の通気孔20aが形成され、ライナー3および断熱シート31には、前後方向に延びかつ整列する複数の通気孔30a、31aがそれぞれ形成されており、これらの通気孔20a、30a、31aが上下方向に整列して配置されていることにより、ヘルメット1、ライナー3および断熱シート31の前方側の各通気孔20a、30a、31aから導入された空気は、ヘルメット内部を通って、ヘルメット1、ライナー3および断熱シート31の後方側の各通気孔20a、30a、31aからヘルメット外部に排出される。これにより、ヘルメット内部のみならず、断熱シート31自体を空冷することができ、その結果、断熱シート31の断熱性能をより一層向上できる。
【0059】
〔他の実施例1〕
前記実施例では、断熱シートを接着剤によりライナーに接着した例を示したが、断熱シートとライナーとの接合は、接着に限らず、ライナーの成形時に断熱シートをインサート成形するようにしてもよい。また、断熱シートをライナーに接着する場合、ライナーの外側面に断熱シート用の凹部を形成し、当該凹部内に断熱シートを入れて接着するようにしてもよい。
【0060】
〔他の実施例2〕
前記実施例では、断熱シートを分割した3枚のシートから構成した例を示したが、分割するシート枚数は3枚には限定されない。また、分割する個所も前記実施例の個所には限定されない。
【0061】
〔他の実施例3〕
前記実施例では、本発明による断熱シートが、ヘルメット内部の半球殻状のライナーの外側凸状曲面に装着された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。断熱シートは、ライナーの内側凹状曲面に装着されていてもよく、あるいは、ライナーの内部に挿入されていてもよい。断熱シートをライナーの内側凹状曲面に装着する場合には、断熱シートがヘルメット着用者の髪に直接接触するのを防止するために、断熱シートの露出面を布帛や編み物、メッシュシート等で被うようにするのが好ましい。また、断熱シートをライナーの内部に挿入する場合には、ライナーの成形時に断熱シートをインサート成形すればよい。
【0062】
〔他の適用例〕
前記実施例では、本発明が野球用ヘルメットに適用された例を示したが、本発明は、野球用のみならず、ソフトボール用にも適用でき、さらに、アメリカンフットボールや自転車競技などの各種スポーツ用ヘルメットのほか、オートバイ用ヘルメットや安全ヘルメット(保護帽)にも適用できる。
【0063】
また、本発明はキャップやハット等の帽子にも適用可能であり、本発明がとくに野球用およびソフトボール用等のキャップに使用された場合には、真夏の炎天下で守備についている場合にキャップ内部の温度を下げることができ、熱中症対策として効果的である。なお、本発明による断熱シートが帽子に適用される場合、断熱シートは、好ましくは、帽子の裏面に接着または縫合等により取り付けられるが、帽子の表面や内部に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明は、キャップ、ハット、ヘルメット等の頭部保護具に有用であり、とくに真夏の炎天下で用いられるスポーツ用ヘルメットに好適である。
【符号の説明】
【0065】
1: 野球用ヘルメット(頭部保護具)
2: シェル(ヘルメット本体/頭部保護具本体)
20: 本体部
20a:(第1または第1’の)通気孔
3: ライナー
30: ライナー本体
30a: 通気孔
31: 断熱シート
31a:(第2または第2’の)通気孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開平9−209211号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2001−309478号公報(段落[0007]参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱機能を有するキャップ、ハット等の帽子やヘルメット等の断熱機能付き頭部保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部保護具として、野球用ヘルメットを例にとると、真夏の炎天下では、とくに黒色のヘルメットの場合、ヘルメットの外表面温度は55℃以上に上昇し、このとき、ヘルメット内部の頭部表面の温度は45℃以上になる。そこで、熱中症対策としても、ヘルメット内部の温度を下げるための何らかの工夫が必要になる。
【0003】
特開平9−209211号公報には、野球用ヘルメットにおいて、ヘルメット内部に前後方向の通気通路を形成することにより、選手が走行した際に通気通路内に空気を取り込むことで、ヘルメット内部のクーリング効果を得ようとしたものが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、選手が前方から風を受けなければ、通気通路内を通る空気の流れは生じず、このため、真夏の炎天下でバッターボックスに立っているときなどには、ヘルメット内部は高温状態のままである。したがって、前記従来の構成では、クーリング効果は限定的なものであって、熱中症対策としても十分ではない。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、クーリング効果を向上できる断熱機能付き頭部保護具を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1の発明に係る断熱機能付き頭部保護具は、着用者の頭部に装着される頭部保護具本体を備えており、頭部保護具本体に、不織布をベースとしかつ不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなるシートが断熱材として設けられていることを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、不織布の繊維に房状に付着した多数の中空のマイクロバルーンが互いに重なり合うことで、シート内部に多数の空隙が形成されており、これらの空隙が断熱性能を発揮する。しかも、この場合には、各マイクロバルーンの中空内部に含まれる気体自体が断熱性能を発揮するので、これら双方の断熱性能の相乗効果により、十分なクーリング効果を得ることができる。
【0008】
なお、ここで、特開2001−309478号公報には、耳当てにおいて、シェル内に潜熱蓄熱剤を内包したマイクロカプセルをフォーム材に分散させたものが開示されている(同公報の請求項1、2参照)。また、当該公報の段落[0007]]には、潜熱蓄熱剤が固体から液体に相変化する際に吸熱作用を行い、かつ液体から固体に相変化する際に発熱作用を行う点が記載されるとともに、このような潜熱蓄熱剤の吸熱作用により、耳当てを長時間耳に当てていても耳当てが蒸れにくくなると記載されており、さらに、潜熱蓄熱剤として、相転移温度が6〜35℃の範囲内の材料を用いる点が記載されている。
【0009】
本願発明におけるマイクロバルーンが、上記公報に記載のマイクロカプセルと大きく異なる点は、本願発明のマイクロバルーンの内部が中空であるのに対し、上記公報のマイクロカプセルの内部には、潜熱蓄熱剤が内包されている点である。
【0010】
この潜熱蓄熱剤は、上述したように、固体から液体に相変化する際の吸熱作用を利用して蓄熱を行うものであるため、相転移温度を超えて潜熱蓄熱剤が完全に液体に移行した場合には、吸熱効果は激減する。上記公報に記載のもののように、潜熱蓄熱剤の相転移温度が6〜35℃の場合、ヘルメットの内部温度が45℃以上になるような使用環境下では、潜熱蓄熱剤はすぐに液体に移行してしまい、このため、ヘルメットに対するクーリング効果としては、持続性に乏しいものである。
【0011】
これに対して、本願発明においては、マイクロバルーンの内部が中空になっており、温度変化にともなってマイクロバルーン内部で相変化を生じることなく、マイクロバルーン内部には常時ガスが充填されている。このため、マイクロバルーン内部の熱伝導率は低い。しかも、この場合には、隣り合うマイクロバルーン同士の間に空隙が形成されていることで、隣り合うマイクロバルーン同士の間の熱伝導率も低い。したがって、本願発明によれば、ヘルメットに対するクーリング効果を長時間にわたって持続できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、マイクロバルーンが熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である。
【0013】
マイクロバルーンの平均直径を45〜135μmとしたのは、平均直径が45μm未満だと、マイクロバルーンにより形成されるシート内部の空隙が小さすぎて断熱性能が十分でないからであり、また平均直径が135μmを超えると、マイクロバルーン内部の気泡が破泡を起こす恐れがあるからである。また、この場合、各マイクロバルーンの内部の気泡が連続気泡ではなく、それぞれ独立気泡になっていることにより、各マイクロバルーンの内部で気体の対流が起こることはなく、これにより、断熱性能を向上できる。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1において、シートが、発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する熱硬化性樹脂溶液を不織布に含浸させた後、加熱・乾燥させることにより製作されている。
【0015】
この場合には、加熱・乾燥工程で、発泡性可塑性樹脂粒子が発泡し、これにより、不織布の繊維に多数のマイクロバルーンが房状に付着することで、シートが作製される。
【0016】
シートの厚みは、請求項4の発明に記載されているように、2mm以上であるのが好ましい。
【0017】
その理由は、以下のとおりである。
厚み1mm、2mm、3mm、5mmの4種類のシートを用意し、これらをそれぞれヘルメット内部の半球殻状のライナーの上に貼り付けてなる4種類のヘルメットをそれぞれ人頭模型に被せ(図11参照)、人頭模型の上からランプの光を照射して、ヘルメット頭頂部外側面Xおよび人頭模型の頭頂部Yの温度をそれぞれ測定した。また、比較のために、ライナーにシートを張り付けていない従来品のヘルメットについても同様に、人頭模型の頭頂部Yの温度を測定した。温度測定結果を図12に示す。
【0018】
図12より、ランプ照射時間が3分以上の場合でみたとき、シートの厚みが2mm以上あると、頭頂部の温度が従来品と比較して3℃以上低下することが分かる(同図中の▲と○との間隔参照)。その一方、人間の感覚として、3℃以上の温度差があれば、クーリング効果を実感できることが分かっている。このことから、シートの厚みとしては、2mm以上あることが必要であると判断した。
【0019】
シートは、請求項5の発明に記載されているように、頭部保護具本体の表面、裏面または内部のいずれに設けられていてもよい。
【0020】
請求項6の発明では、請求項1において、シートが、頭部保護具本体の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【0021】
この場合には、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止できる。
【0022】
請求項7の発明では、請求項1において、頭部保護具本体には、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1の通気孔が形成されるとともに、シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2の通気孔が形成されており、第1および第2の通気孔が上下方向に整列して配置されている。
【0023】
この場合には、頭部保護具本体およびシートの前方側の第1、第2の通気孔から導入された空気が、頭部保護具本体の内部を通って、頭部保護具本体およびシートの後方側の第1、第2の通気孔から排出されることにより、頭部保護具本体の内部およびシートを空冷することができる。これにより、シートの断熱性によるクーリング効果をさらに向上できる。
【0024】
請求項8の発明では、請求項1において、当該断熱機能付き頭部保護具が、キャップ、ハットまたはヘルメットのいずれかである。
【0025】
請求項9の発明では、請求項8において、シートが、ヘルメットの内側に設けられる半球殻状のライナーの外側凸状曲面または内側凹状曲面に装着されており、あるいはライナーの内部に挿入されている。
【0026】
請求項10の発明では、請求項9において、シートが、ライナーの前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている。
【0027】
この場合には、請求項6の発明と同様に、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止できる。
【0028】
請求項11の発明では、請求項9において、ヘルメットには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1’の通気孔が形成されるとともに、シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2’の通気孔が形成されており、第1’および第2’の通気孔が上下方向に整列して配置されている。
【0029】
この場合には、ヘルメットおよびシートの前方側の第1’、第2’の通気孔から導入された空気が、ヘルメットの内部を通って、ヘルメットおよびシートの後方側の第1’、第2’の通気孔から排出されることにより、ヘルメット内部およびシートを空冷することができる。これにより、シートの断熱性によるクーリング効果をさらに向上できる。
【0030】
請求項12の発明では、請求項9において、シートの厚みが2mm以上である。
これは、上述したように、図12の温度測定結果に基づいている。
【0031】
請求項13の発明では、請求項9において、シートが、ライナーの外側凸状曲面に装着されるとともに、ライナーの外側凸状曲面とヘルメット本体の裏面との間の隙間を超えない厚みを有している。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明に係る断熱機能付き頭部保護具によれば、ベースとなる不織布の繊維に多数の中空のマイクロバルーンを房状に付着させることにより構成したシートを断熱材として用いるようにしたので、不織布の繊維に房状に付着した多数のマイクロバルーンが互いに重なり合うことで、シート内部に多数の空隙を形成でき、当該空隙により断熱性能を発揮できる。しかも、この場合には、各マイクロバルーンの中空内部に含まれる気体自体が断熱性能を発揮できるので、これら双方の断熱性能の相乗効果により、十分なクーリング効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例による野球用ヘルメットの前面側斜視図である。
【図2】前記野球用ヘルメット(図1)の後面側斜視図である。
【図3】前記野球用ヘルメット(図1)の平面図である。
【図4】前記野球用ヘルメット(図1)の底面図である。
【図5】前記野球用ヘルメット(図1)の内側に装着されるライナーの前面側斜視図である。
【図6】前記ライナー(図5)の後面側斜視図である。
【図7】前記ライナー(図5)の平面図である。
【図8】前記ライナー(図5)の底面図である。
【図9】前記ライナー(図5)に装着される断熱シートの表面拡大写真である。
【図10】前記断熱シート(図9)のベースとなる不織布の表面拡大写真である。
【図11】断熱性能試験の概要を説明するための図である。
【図12】本実施例による野球用ヘルメットにおいてシートの厚みの違いによる断熱性能の違いをシートのない場合と併せて示すグラフである。
【図12A】直射日光下で断熱シートの有無によるヘルメット内部のライナー本体内側面の温度変化をヘルメット外側面の表面温度とともに示すグラフである。
【図13】本実施例による野球用ヘルメットの断熱性能試験結果を比較例の野球用ヘルメットの断熱性能試験結果とともに示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。ここでは、頭部保護具として、野球用ヘルメットを例にとる。なお、図1ないし図4は本発明の一実施例による野球用ヘルメットを示し、図5ないし図8は野球用ヘルメットの内部に装着されるライナーを示しており、図5〜図8は図1〜図4にそれぞれ対応している。
【0035】
図1ないし図4に示すように、野球用ヘルメット1は、繊維強化プラスチック等の樹脂製のシェル(ヘルメット本体)2を有している。シェル2は、着用者の頭部を覆う半球殻状の本体部20と、本体部20と一体に形成されかつ本体部20から前方に延びるひさし部21と、本体部20と一体に形成されかつ着用者の耳を覆う左右の耳当て部22とから主として構成されている。
【0036】
本体部20には、複数の通気孔20aが貫通形成されている。本体部20の内部には、図4に示すように、本体部20の内周面に沿う半球殻状のライナー3が設けられている。ライナー3は、例えば発泡スチロール等の発泡樹脂製であって、衝撃吸収材およびクッション材として用いられている。
【0037】
ライナー3は、図5ないし図8に示すように、着用者の頭部を覆う半球殻状のライナー本体30を有している。ライナー本体30には、複数の通気孔30aが貫通形成されており、これらの通気孔30aは、シェル2の本体部20の各通気孔20aと整列している。なお、図示していないが、本体部20の内面には、各通気孔20aを覆うメッシュ状シートが装着されている。
【0038】
ライナー本体30において、その前頭部、側頭部および後頭部を除く頭頂部領域の外側面(外側凸状曲面)には、断熱シート31が装着されている(図5ないし図7参照)。断熱シート31をとくに頭頂部領域に配置したのは、太陽の高度が高い夏場において、直射日光を受ける頭頂部が高温になるのを効果的に防止するためである。なお、頭頂部領域を含む頭部全体に断熱シート31を設けるようにしてもよい。
【0039】
断熱シート31は、図7に示すように、頭頂部領域の中央に配置されたシート中央部31Aと、その左右両側に配置されたシート左側部31Bおよびシート右側部31Cとから構成されている。これらシート中央部31A、シート左側部31Bおよびシート右側部31Cは、それぞれ別個に製作されており、ライナー本体30の頭頂部領域にそれぞれ隙間なく接着されることにより、断熱シート31が構成されている。図7中、符号31bはシート中央部31Aおよびシート左側部31Bの境界線を示し、符号31cはシート中央部31Aおよびシート右側部31C間の境界線を示している。
【0040】
このように、断熱シート31を分割された複数のシートから構成したのは、断熱シート31を頭頂部領域の凸状曲面に皴や弛みを生じることなく装着するようにするためである。なお、断熱シート31の厚みは、2mm以上あるのが好ましい。これについては後述する。また、断熱シート31は、ライナー本体30の頭頂部領域の外側面とシェル2の内面との間の隙間を超えない厚みを有している。
【0041】
断熱シート31には、複数の通気孔31aが貫通形成されている。これらの通気孔31aは、ライナー3のライナー本体30の各通気孔30aと整列している。したがって、シェル本体部20、ライナー本体30、断熱シート31の各通気孔20a、30a、31aはいずれも整列して配置されている。
【0042】
これらの通気孔20a、30a、31aは、実質的に前後方向に(つまり前頭部から後頭部に向かって)延びており、また、頭頂部および後頭部の各通気孔は実質的に前後方向に整列している。これは、着用者の走行時に頭頂部前側の通気孔からヘルメット内部に導入された空気が、頭頂部後側および(または)後頭部側の通気孔を通ってヘルメット外部に排出されることにより、ヘルメット内部および断熱シート31を空冷するためである。
【0043】
断熱シート31は、不織布をベースとし、不織布の繊維に多数のマイクロバルーンを房状に付着させることにより、構成されている。図9は、断熱シート31の表面の50倍の電子顕微鏡写真である。なお、参考のために、マイクロバルーンのない単なる不織布の表面の50倍の電子顕微鏡写真を図10に示す。
【0044】
断熱シート31のベースとなる不織布は、多数の合成繊維を不規則に配列しかつ重ね合わせて、熱的、機械的または化学的に結合させるとともに、必要に応じてニードルパンチングすることにより構成されている。不織布を構成する合成繊維としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系などの熱可塑性樹脂や、カーボン、ガラスなどから成形された繊維が用いられる。
【0045】
不織布の繊維に付着したマイクロバルーンは、図9に示すように、不織布の各繊維に対して、葡萄の房のように房状に多数付着している。各マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂の発泡体であって、好ましくは、平均直径45〜135μmの独立気泡である。
【0046】
断熱シート31の製造工程は、以下のとおりである。
i)ベースとなる不織布シートを用意する。
ii) 発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する、例えばポリ酢酸ビニル・エチレン共重合体やポリ酢酸ビニル・エチレン・アクリル三元共重合体等の熱硬化性樹脂溶液を用意する。発泡性熱可塑性樹脂粒子としては、例えばブタン等の炭化水素ガスを内包した粒状物質を用いる。
iii)不織布シートを熱硬化性樹脂溶液に入れて、当該溶液を不織布シートに含浸させる。
iv) 含浸処理した不織布シートを約130℃で加熱しつつ、約100秒間乾燥させる。これにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子が発泡して、多数の独立気泡(マイクロバルーン)が不織布シートの繊維に房状に付着した状態になる。
v) 不織布シートを所望の形状に切断する。
vi) 切断した不織布シートの各パーツをライナーに接着する。
【0047】
次に、上述のように構成された野球用ヘルメットの断熱性能について検証した。
図11は断熱性能試験の概要を示している。同図に示すように、人頭模型にヘルメットを被せた状態で、ヘルメットの1.2m上方のランプを点灯して、ランプからの光をヘルメットに照射した。ヘルメット頭頂部外側面Xおよび人頭模型の頭頂部Yにそれぞれ温度センサを取り付け、部位X、Yにおける表面温度を測定した。実験室内の温度は30℃で、湿度は60%RHであった。
【0048】
図12および図13は、断熱性能試験結果を示している。図12中には、厚みが1mm、2mm、3mm、5mmの4種類の断熱シートについての試験結果がそれぞれ示されている。また、図12中には、ヘルメット内部に断熱シートが設けられていない場合(従来品)の試験結果についても併せて示されている。図13中には、厚み3mmの断熱シートについての試験結果に加えて、ヘルメット内部に断熱シートが設けられていない従来品の場合、断熱シートのかわりに間隙3mmの空気の層(つまり空隙)を形成した場合、本実施例による断熱シートのかわりに、厚み3mmの単なる不織布、発泡ラバー、発泡EVA、発泡PUを用いた場合の試験結果についても併せて示されている。
【0049】
図12の試験結果より、断熱シートの厚みが増すほど、部位Yの表面温度が低下していることが分かる。ところで、人間の感覚として、3℃以上の温度差があれば、クーリング効果を実感できることが分かっている。
【0050】
それを裏付けるために、以下のような実験を行った。
厚み3mmの断熱シートを有する野球用ヘルメットと、断熱シートのない従来の野球用ヘルメットの2種類のヘルメットを用意し、屋外で日陰においた各ヘルメットを被験者が被り、直射日光下で1分毎に各ヘルメットの断熱性能を被験者が評価する官能試験を行った。この官能試験では、5分経過する毎にヘルメットを交換し、同様の試験を3回繰り返した。官能試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
図12Aには、この官能試験において、直射日光下での気温と併せて、ヘルメット外側面の表面温度、断熱シートがある場合および断熱シートがない場合においてヘルメット内部のライナー本体内側面の表面温度が示されている。
【0053】
表1から分かるように、1〜3回目のいずれの場合においても、直射日光の照射時間が3分を越えると、被験者が断熱シートのある方のヘルメットの断熱性能つまりクーリング効果に優位性を実感しており、そのとき、断熱シートがある場合とない場合のライナー本体内側面の表面温度の差は、図12Aのグラフから3℃であることが分かる(同図中の△と□との間隔参照)。
【0054】
また、図12において、ランプ照射時間が3分以上の場合において、従来品と比較して3℃の温度差が生じているのは、シート厚2mmの場合である。このことから、シートの厚みとしては、2mm以上あることが必要であると判断した。
【0055】
図13の試験結果より、厚み3mmの本実施例による断熱シートの場合が最も温度が低下しており、断熱性能が最も優れていることが分かった。
【0056】
その理由は、次のように推測される。
上述したように、本実施例による断熱シートの場合、不織布の各繊維には、多数の中空のマイクロバルーンが葡萄の房のように付着して互いに重なり合っており、このため、断熱シートの内部には多数の空隙が形成されている。これらの空隙が、温度上昇時に断熱性能を発揮すると考えられる。しかも、この場合、発泡形成された各マイクロバルーンの中空内部には、炭化水素ガスがそれぞれ内包されており、これらの炭化水素ガス自体が断熱性能を発揮すると考えられる。これら双方の断熱性能の相乗効果により、クーリング効果を向上できるのである。
【0057】
また、マイクロバルーンの平均直径を45〜135μmとしたのは、平均直径が45μm未満だと、マイクロバルーンにより形成されるシート内部の空隙が小さすぎて断熱性能が十分でないからであり、また平均直径が135μmを超えると、マイクロバルーン内部の気泡が破泡を起こす恐れがあるからである。また、この場合、各マイクロバルーンの内部の気泡が連続気泡ではなく、それぞれ独立気泡になっていることにより、各マイクロバルーンの内部で気体の対流が起こることはなく、これにより、断熱性能をさらに向上できる。
【0058】
さらに、ヘルメット1には、前後方向に延びかつ整列する複数の通気孔20aが形成され、ライナー3および断熱シート31には、前後方向に延びかつ整列する複数の通気孔30a、31aがそれぞれ形成されており、これらの通気孔20a、30a、31aが上下方向に整列して配置されていることにより、ヘルメット1、ライナー3および断熱シート31の前方側の各通気孔20a、30a、31aから導入された空気は、ヘルメット内部を通って、ヘルメット1、ライナー3および断熱シート31の後方側の各通気孔20a、30a、31aからヘルメット外部に排出される。これにより、ヘルメット内部のみならず、断熱シート31自体を空冷することができ、その結果、断熱シート31の断熱性能をより一層向上できる。
【0059】
〔他の実施例1〕
前記実施例では、断熱シートを接着剤によりライナーに接着した例を示したが、断熱シートとライナーとの接合は、接着に限らず、ライナーの成形時に断熱シートをインサート成形するようにしてもよい。また、断熱シートをライナーに接着する場合、ライナーの外側面に断熱シート用の凹部を形成し、当該凹部内に断熱シートを入れて接着するようにしてもよい。
【0060】
〔他の実施例2〕
前記実施例では、断熱シートを分割した3枚のシートから構成した例を示したが、分割するシート枚数は3枚には限定されない。また、分割する個所も前記実施例の個所には限定されない。
【0061】
〔他の実施例3〕
前記実施例では、本発明による断熱シートが、ヘルメット内部の半球殻状のライナーの外側凸状曲面に装着された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。断熱シートは、ライナーの内側凹状曲面に装着されていてもよく、あるいは、ライナーの内部に挿入されていてもよい。断熱シートをライナーの内側凹状曲面に装着する場合には、断熱シートがヘルメット着用者の髪に直接接触するのを防止するために、断熱シートの露出面を布帛や編み物、メッシュシート等で被うようにするのが好ましい。また、断熱シートをライナーの内部に挿入する場合には、ライナーの成形時に断熱シートをインサート成形すればよい。
【0062】
〔他の適用例〕
前記実施例では、本発明が野球用ヘルメットに適用された例を示したが、本発明は、野球用のみならず、ソフトボール用にも適用でき、さらに、アメリカンフットボールや自転車競技などの各種スポーツ用ヘルメットのほか、オートバイ用ヘルメットや安全ヘルメット(保護帽)にも適用できる。
【0063】
また、本発明はキャップやハット等の帽子にも適用可能であり、本発明がとくに野球用およびソフトボール用等のキャップに使用された場合には、真夏の炎天下で守備についている場合にキャップ内部の温度を下げることができ、熱中症対策として効果的である。なお、本発明による断熱シートが帽子に適用される場合、断熱シートは、好ましくは、帽子の裏面に接着または縫合等により取り付けられるが、帽子の表面や内部に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明は、キャップ、ハット、ヘルメット等の頭部保護具に有用であり、とくに真夏の炎天下で用いられるスポーツ用ヘルメットに好適である。
【符号の説明】
【0065】
1: 野球用ヘルメット(頭部保護具)
2: シェル(ヘルメット本体/頭部保護具本体)
20: 本体部
20a:(第1または第1’の)通気孔
3: ライナー
30: ライナー本体
30a: 通気孔
31: 断熱シート
31a:(第2または第2’の)通気孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開平9−209211号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2001−309478号公報(段落[0007]参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱機能付き頭部保護具において、
着用者の頭部に装着される頭部保護具本体を備え、
前記頭部保護具本体には、不織布をベースとし、かつ前記不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなるシートが断熱材として設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項2】
請求項1において、
前記マイクロバルーンが、熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項3】
請求項1において、
前記シートが、発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する熱硬化性樹脂溶液を前記不織布に含浸させた後、加熱・乾燥させることにより製作されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項4】
請求項1において、
前記シートの厚みが2mm以上である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項5】
請求項1において、
前記シートが、前記頭部保護具本体の表面、裏面または内部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項6】
請求項1において、
前記シートが、前記頭部保護具本体の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項7】
請求項1において、
前記頭部保護具本体には、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1の通気孔が形成されるとともに、前記シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2の通気孔が形成されており、前記第1および第2の通気孔が上下方向に整列して配置されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項8】
請求項1において、
当該断熱機能付き頭部保護具が、キャップ、ハットまたはヘルメットのいずれかである、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項9】
請求項8において、
前記シートが、ヘルメットの内側に設けられる半球殻状のライナーの外側凸状曲面または内側凹状曲面に装着されており、あるいは前記ライナーの内部に挿入されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項10】
請求項9において、
前記シートが、前記ライナーの前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項11】
請求項9において、
前記ヘルメットには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1’の通気孔が形成されるとともに、前記シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2’の通気孔が形成されており、前記第1’および第2’の通気孔が上下方向に整列して配置されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項12】
請求項9において、
前記シートの厚みが2mm以上である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項13】
請求項9において、
前記シートが前記ライナーの前記外側凸状曲面に装着されており、前記シートは、前記ライナーの前記外側凸状曲面とヘルメット本体の裏面との間の隙間を超えない厚みを有している、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項1】
断熱機能付き頭部保護具において、
着用者の頭部に装着される頭部保護具本体を備え、
前記頭部保護具本体には、不織布をベースとし、かつ前記不織布を構成する繊維に多数の中空のマイクロバルーンが房状に付着してなるシートが断熱材として設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項2】
請求項1において、
前記マイクロバルーンが、熱可塑性樹脂の発泡体であって、平均直径45〜135μmの独立気泡である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項3】
請求項1において、
前記シートが、発泡性熱可塑性樹脂粒子を含有する熱硬化性樹脂溶液を前記不織布に含浸させた後、加熱・乾燥させることにより製作されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項4】
請求項1において、
前記シートの厚みが2mm以上である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項5】
請求項1において、
前記シートが、前記頭部保護具本体の表面、裏面または内部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項6】
請求項1において、
前記シートが、前記頭部保護具本体の前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項7】
請求項1において、
前記頭部保護具本体には、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1の通気孔が形成されるとともに、前記シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2の通気孔が形成されており、前記第1および第2の通気孔が上下方向に整列して配置されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項8】
請求項1において、
当該断熱機能付き頭部保護具が、キャップ、ハットまたはヘルメットのいずれかである、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項9】
請求項8において、
前記シートが、ヘルメットの内側に設けられる半球殻状のライナーの外側凸状曲面または内側凹状曲面に装着されており、あるいは前記ライナーの内部に挿入されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項10】
請求項9において、
前記シートが、前記ライナーの前頭部、後頭部および側頭部を除く頭頂部に設けられている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項11】
請求項9において、
前記ヘルメットには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第1’の通気孔が形成されるとともに、前記シートには、それぞれ前後方向に延びかつ前後方向に整列する複数の第2’の通気孔が形成されており、前記第1’および第2’の通気孔が上下方向に整列して配置されている、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項12】
請求項9において、
前記シートの厚みが2mm以上である、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【請求項13】
請求項9において、
前記シートが前記ライナーの前記外側凸状曲面に装着されており、前記シートは、前記ライナーの前記外側凸状曲面とヘルメット本体の裏面との間の隙間を超えない厚みを有している、
ことを特徴とする断熱機能付き頭部保護具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−162937(P2011−162937A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271366(P2010−271366)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年12月 美津濃株式会社発行の「Diamond Sports 2010 Baseaball & Softball」に発表
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年12月 美津濃株式会社発行の「Diamond Sports 2010 Baseaball & Softball」に発表
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
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