新規液剤組成物

本発明は、長期間保存した場合であっても沈殿及び滓の析出がなく、安定性に優れた液剤組成物等を提供することを目的とする。
脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを含有することを特徴とする液剤組成物である。脂溶性物質が、ビタミンE類から選択される少なくとも1種である態様、脂溶性物質の含有量が、3〜15質量%である態様などが好ましい。該液剤組成物を含有してなることを特徴とする医薬品及び化粧品並びに飲食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存安定性に優れ、長期間保存しても水不溶性物質(沈殿物、滓等)が生じない脂溶性物質を含む新規液剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂溶性物質は、一般に、水に対して難溶性であり、初め水中に均一に分散されていたとしても経時分離し易いため、該脂溶性物質を経時分離等させることなく、安定な状態で内服液剤、注射剤、化粧品等に配合させる技術が従来より数多く提案されている。これらの提案の中でも、トコフェロールに関する提案が特に多く、例えば、前記トコフェロール、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体及びポリグリセリン脂肪酸エステルの3成分からなる可溶化液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、前記トコフェロール、糖類、糖アルコール類及びポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルの4成分からなる可溶化組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、前記トコフェロール、水、多価アルコール及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの4成分からなる可溶化液が提案されている(例えば、特許文献3参照)。更に、前記トコフェロール、前記糖類、前記糖アルコール類及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの4成分からなる可溶化組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
しかしながら、これらの提案の場合、前記トコフェロールに対して極めて多量の各種添加剤を添加しなければならないため、前記添加剤の摂取量を少量にする傾向にある昨今の消費者のニーズに合致せず、また、沈殿物及び滓の発生を完全に防止することができないという問題がある。また、前記添加剤に特有の不快な味が強く感じられ、前記内服用液剤として好ましくないという問題がある。
【0004】
一方、これらの提案とは別に、前記添加剤としてショ糖脂肪酸エステルを含有する前記可溶化液剤についても提案されている。例えば、前記ショ糖脂肪酸エステルで乳化及び分散する系に、レシチン及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させる着色製剤の製法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この場合、経時的に沈殿物及び滓の析出が防止されるという効果については何ら開示されていない。
また、前記トコフェロールと、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル又は前記ショ糖脂肪酸エステル等と、多価アルコールと、水とを含有させる脂溶性物質水性液剤が提案させている(例えば、特許文献6参照)。更に、前記トコフェロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び前記ショ糖脂肪酸エステルの4成分からなる前記可溶化液剤が提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、これらの場合、必ずしも前記ショ糖脂肪酸エステルを必須成分としたものではなく、しかも経時的に沈殿物及び滓の析出が防止されるという効果については何ら開示されていない。
【0005】
他方、酢酸トコフェロール、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル、前記ショ糖脂肪酸エステル及びグリセリンの5成分を含む内服液が提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、ここでは、二価の鉄イオン由来の錆味を抑制し、良好な服用性を得ることを目的としているに過ぎない。
【0006】
前記ショ糖脂肪酸エステルを必須成分とした上で、更にその他の成分を最適化することにより長期間保存した場合であっても前記沈殿物及び滓の析出を極めて効果的に抑制し、安定性、透明性等に優れ、医薬品、化粧品、飲食品等に好適な液剤組成物は、未だ提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−5011号公報
【特許文献2】特開昭61−234920号公報
【特許文献3】特開昭62−250941号公報
【特許文献4】特公平6−36862号公報
【特許文献5】特開昭58−103325号公報
【特許文献6】特開2000−212066号公報
【特許文献7】特開2002−80365号公報
【特許文献8】特開2002−80347号公報
【発明の開示】
【0008】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、前記ショ糖脂肪酸エステルを必須成分とし、更にその他の成分を最適化することにより、長期間保存した場合であっても前記沈殿物及び滓の析出を極めて効果的に抑制し、安定性、透明性等に優れ、医薬品、化粧品、飲食品等に好適な液剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
前記課題を解決するために発明者が鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、ショ糖脂肪酸エステルと、トコフェロールと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水との6成分としたときに初めて、長期間保存した場合であっても前記トコフェロールの析出が極めて効果的に抑制され、安定性に優れるという驚くべき新知見である。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを含有することを特徴とする液剤組成物である。該<1>に記載の液剤組成物においては、前記脂溶性物質と、前記ショ糖脂肪酸エステルと、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと、前記多価アルコールと、前記水とを含有することにより、これら6成分の相乗効果により、長期間保存した場合であっても前記沈殿物・滓の析出が極めて効果的に抑制される。
<2> 脂溶性物質が、ビタミンE類から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の液剤組成物である。
<3> ビタミンE類が、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール及びこれらの誘導体から選択される前記<2>に記載の液剤組成物である。
<4> 誘導体が、有機酸塩である前記<3>に記載の液剤組成物である。
<5> 有機酸塩が、酢酸塩、ニコチン酸塩及びコハク酸塩から選択される少なくとも1種である前記<4>に記載の液剤組成物である。
<6> 脂溶性物質の含有量が、3〜15質量%である前記<1>から<5>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<7> ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数が、10〜22である前記<1>から<6>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<8> ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル及びショ糖エルカ酸エステルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<7>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<9> 脂溶性物質に対するショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.3〜4質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<10> ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるエチレンオキサイドの付加モル数が、30〜80である前記<1>から<9>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<11> 脂溶性物質に対するポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量が、30〜100質量%である前記<1>から<10>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<12> ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリン縮合度が、2〜10である前記<1>から<11>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<13> ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける炭素数が、10〜22である前記<1>から<12>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<14> 脂溶性物質に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、10〜200質量%である前記<1>から<13>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<15> 多価アルコールが、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール及びキシリトールから選択される少なくとも1種である前記<1>から<14>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<16> 多価アルコールの含有量が、30〜80質量%である前記<1>から<15>のいずれかに記載の液剤組成物である。
<17> 水不溶性物質(沈殿物及び滓)の析出を抑制する前記<1>から<16>に記載の液剤組成物である。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の液剤組成物の製造方法であって、脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを少なくとも混合させることを特徴とする液剤組成物の製造方法である。該<18>に記載の液剤組成物の製造方法においては、前記脂溶性物質と、前記ショ糖脂肪酸エステルと、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと、前記多価アルコールと、前記水とが混合され、前記液剤組成物が製造される。
<19> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の液剤組成物を含有することを特徴とする医薬品及び化粧品並びに飲食品である。該医薬品及び化粧品並びに飲食品は、前記液剤組成物を含有することにより、長期間保存した場合であっても前記沈殿物・滓の析出が極めて効果的に抑制され、安定性に優れる。このため、各種ドリンク剤等の内服用液剤として好適である。
<20> 液剤組成物を、水、緩衝液及び水性液剤から選択される少なくとも1種で希釈してなる前記<19>に記載の医薬品及び化粧品並びに飲食品である。
<21> 液剤組成物の含有量が、0.001〜5質量%である前記<19>から<20>のいずれかに記載の医薬品及び化粧品並びに飲食品である。
<22> 内服用液剤である前記<19>から<21>のいずれかに記載の医薬品及び飲食品である。
【0010】
本発明によると、長期間保存した場合であっても前記沈殿物及び滓の析出を極めて効果的に抑制し、安定性、透明性等に優れ、医薬品、化粧品、飲食品等に好適な液剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(液剤組成物)
本発明の液剤組成物は、脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水と(以下、これらを総称して「6成分」と称することがある)とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
−脂溶性物質−
前記脂溶性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA類、β−カロチン、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類等の脂溶性ビタミン;クロタミトン、テプレノンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類が好ましく、ビタミンE類がより好ましい。
【0013】
前記ビタミンE類としては、特に制限はなく、天然物であってもよいし、合成品であってもよく、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、これらの誘導体、などが挙げられる。これらは、dl体、d体、l体のいずれであってもよいが、これらの中でもd体、dl体が好ましく、具体的には、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機酸塩などが好適に挙げられる。
前記有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、ニコチン酸塩、コハク酸塩などが挙げられ、具体的には、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記ビタミンA類としては、特に制限はなく、天然物であってもよいし、合成品であってもよく、例えば、レチノール、レチナール、カロテン、レチノイド、などが挙げられる。
【0016】
前記ビタミンD類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンD、ビタミンD、ビタミンDなどが挙げられる。
前記ビタミンK類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンK、ビタミンK、などが挙げられる。
【0017】
前記脂溶性物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3〜15質量%が好ましく、5〜13質量%がより好ましい。
【0018】
−ショ糖脂肪酸エステル−
前記ショ糖脂肪酸エステルの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜22が好ましく、14〜18がより好ましい。
【0019】
前記ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、などが挙げられる。また、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記脂溶性物質に対して、例えば、0.3〜4質量%が好ましく、0.5〜3.5質量%がより好ましい。
【0021】
−ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油−
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるエチレンオキサイドの付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30〜80が好ましく、40〜60がより好ましい。
【0022】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高い透明性を得る観点から、前記脂溶性物質に対して、例えば、30〜100質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
【0023】
−ポリグリセリン脂肪酸エステル−
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン縮合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜10が好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜22が好ましく、14〜18がより好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、飽和脂肪酸エステルであっても、不飽和脂肪酸エステルであってもよく、部分エステルでも、完全にエステル化したものでもよい。
【0024】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラベヘン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステリアン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、などが挙げられる。また、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜200質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
【0026】
−多価アルコール−
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリセリンが好ましい。
【0027】
前記多価アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30〜80質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0028】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、公知の添加剤等の中から適宜選択することができるが、例えば、流動パラフィン、脂質、植物油などが挙げられる。
前記脂質としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オクチルデシルトリグリセリドなどが挙げられる。
前記植物油としては、例えば、ナタネ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、コーン油、などが挙げられる。
【0029】
本発明の前記液剤組成物は、前記ショ糖脂肪酸エステルを必須成分とした上で、更に、前記脂溶性物質と、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと、前記多価アルコールと、前記水とを含有させることにより、長期間保存した場合であっても前記沈殿物及び滓の析出を極めて効果的に抑制することができる点で有利である。このような効果は、前記6成分とした場合にのみ達成され、特に前記ショ糖脂肪酸エステルを含有させることにより効果的に達成されるものであり、従来技術では達成し得なかった極めて驚くべき効果である。本発明の前記液剤組成物は、前記水不溶性物質(沈殿物及び滓)の析出を抑制することにより、安定性に優れる。
【0030】
このため、本発明の前記液剤組成物は、例えば、(1)ドリンク剤、液剤、シロップ剤、含漱剤、エリキシル剤、洗口液等の医薬品及び医薬部外品の液剤、(2)ローション剤、点鼻剤、点耳剤、経膣剤、経腸剤、エアゾル剤、チンキ剤、軟膏剤、液剤、ゼリー剤、注射剤等の医薬品及び医薬部外品、又は化粧品配合剤、(3)通常の賦形剤を加えて、錠剤、チュアブル剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤、(4)清涼飲料水、炭酸飲料、乳飲料、果実飲料、スポーツドリンク等の飲料;菓子、パン類、ハム、ベーコン、ソーセージ等の食肉加工製品;マーガリン等の油脂加工製品;こんぶ、素干品、煮干品等の水産加工品、ちくわ、かまぼこ等の水産ねり製品;麺類、食酢、みそ、しょうゆ等の発酵食品;さとう、はちみつ、でんぷん等の糖類;冷蔵及び冷凍食品、半調理及び調理済食品、酒類、アイスクリーム類、経腸栄養食品、健康食品、特定保険用食品等の食品、(5)香水、オーデコロン、浴用剤、制汗剤、歯磨剤、洗口液、化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧品、石鹸、皮膚洗浄料、毛髪用化粧品、ボディケア製品等の化粧品、(6)家畜用飼料、水産用飼料、ペットフード、などに好適に使用することができる。
【0031】
前記医薬品及び化粧品並びに飲食品における前記液剤組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.001〜5質量%が好ましい。
【0032】
(液剤組成物及び医薬品、化粧品、飲食品の製造方法)
本発明の液剤組成物の製造方法は、脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを少なくとも混合させる。なお、前記脂溶性物質、前記ショ糖脂肪酸エステル、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及び前記多価アルコールは、上述の通りである。
【0033】
前記混合は、例えば、前記脂溶性成分(前記酢酸トコフェロール、前記中鎖脂肪酸トリグリセライドなど)と、水性成分(前記脂溶性成分以外の成分)とを、それぞれ70〜100℃に加温して混合した後、両者を混合し、プロペラ型、タービン型、アンカー型、ブレンダー型の攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ホモジェッター等を使用して攪拌することにより行うことができる。
【0034】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
−液剤組成物の調製−
酢酸トコフェロール25gと、中鎖脂肪酸トリグリセライド(ODO:日本油脂)5gとを約80℃に加温して攪拌混合した。また、モノステアリン酸デカグリセリル(NIKKOL Decaglyn 1−S:日光ケミカルズ)12.5g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60:日光ケミカルズ)15g、ショ糖脂肪酸エステル(サーフホープ SE PHARMA J−1816:三菱化学フーズ)2.5g、濃グリセリン137.5g、及び精製水52.5gを80℃に加温して、攪拌混合した。これらをスターラーで予備攪拌しながら混合した後、ホモミキサー(T.K.ロボミックス:特殊機化工業)で10分間攪拌処理し、均一な液剤組成物を得た。
【0036】
(実施例2〜5及び比較例1〜2)
実施例1と同様にして、表1に示した処方にて液剤組成物を調製した。
【0037】
−ドリンク剤の調製−
実施例1の液剤組成物1gに、前記水性液剤として市販品ドリンク剤(A)100ml(ニコチン酸アミド20mg、アミノエチルスルホン酸1g、硝酸チアミン5mg、リン酸リボフラビンナトリウム5mg、塩酸ピリドキシン5mg、塩酸カルニチン100mg、イノシトール50mg、無水カフェイン50mgを1瓶100ml中に含有)を加えて希釈し、酢酸d−α−トコフェロール含量100mgとなるようにしてドリンク剤を調製した。
【0038】
<保存安定性評価>
実施例1〜5及び比較例1〜2の液剤組成物を、30mlの透明ガラス製バイアル瓶に入れ、60又は70℃の恒温槽に入れた。1〜3週間経過後に前記バイアル瓶を取り出し、−5℃の恒温槽に入れ、更に0〜2週間静置して虐待試験を行った。虐待試験の条件は、表2に示した通りである。その後、取り出し、室温に戻して、外観を目視で観察した。結果を表2に示した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(実施例6〜12及び比較例3〜4)
実施例1と同様にして、表3に示した処方にて液剤組成物を調製した。実施例1と同様にして保存安定性を評価し、結果を表4に示した。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の液剤組成物は、前記沈殿物・滓の析出を極めて効果的に抑制し、安定性に優れるため、例えば、(1)ドリンク剤、液剤、シロップ剤、含漱剤、エリキシル剤、洗口液等の内服の医薬品及び医薬部外品の内服用液剤、(2)ローション剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、経膣剤、経腸剤等の外用の医薬品及び医薬部外品、又は化粧品配合剤、(3)通常の賦形剤を加えて、錠剤、チュアブル剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤、などに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを含有することを特徴とする液剤組成物。
【請求項2】
脂溶性物質が、ビタミンE類から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の液剤組成物。
【請求項3】
ビタミンE類が、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール及びこれらの誘導体から選択される請求項2に記載の液剤組成物。
【請求項4】
誘導体が、有機酸塩である請求項3に記載の液剤組成物。
【請求項5】
脂溶性物質の含有量が、3〜15質量%である請求項1から4のいずれかに記載の液剤組成物。
【請求項6】
水不溶性物質の析出を抑制する請求項1から5のいずれかに記載の液剤組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の液剤組成物の製造方法であって、脂溶性物質と、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、水とを少なくとも混合させることを特徴とする液剤組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の液剤組成物を含有することを特徴とする医薬品及び化粧品並びに飲食品。

【国際公開番号】WO2005/034913
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514570(P2005−514570)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014646
【国際出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】