説明

施工面保護用ブロック及び土木構築物用ユニット

【課題】 覆土保持機能を発揮できると共に、重量安定性、強度を十分に満たす施工面保護用ブロックを提供する。
【解決手段】 略八角柱の本体部10の上面13に4つの仕切部11が、該本体部上面13の中心部14から径方向外方に等間隔毎に延びるように一体化されている一方、その本体部上面13が、該本体部上面13の中心部14を中心とした周方向において隣り合う各仕切部11間で、該本体部上面13の径方向外方側から該本体部上面13の中心部14に向うに従って高くなるように傾斜され、本体部上面13からの各仕切部11の突出量hが、本体部上面13の中心部14に向うに従って減少されている。これにより、本体部上面13の中心部14に向うほど各仕切部11の支持強度を高めて、その各仕切部11の全体としての支持強度を高め、さらには、本体部上面13の上記傾斜に基づく本体部10の量の増加によって重量を増加させ、重量安定性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工面を保護する施工面保護用ブロック及び施工面保護用ブロックが用いられる土木構築物用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
施工面保護用ブロックには、特許文献1に示すように、方形の本体部(ブロックベース)上に平面視十字形の仕切部(覆土保持壁)を一体的に設けたものがある。このような複数の施工面保護用ブロックを施工面上に互いの辺を合わせて敷き詰めれば、隣り合う4つのブロックの仕切部が角筒形の区画壁を構成することになり、この区画壁は、覆土保持機能を発揮し、当該施工面保護用ブロック上に被せられる土を保持することになる。
【特許文献1】実開平7−4541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、施工面保護用ブロックにおいては、仕切部が、平面視において十字形に形成されてはいるものの、本体部上に起立状態をもって一体化されているにすぎず、仕切部の支持強度に関する信頼性は低い。しかも、上記施工面保護用ブロックにおいては、ブロックベース上には起立状態の仕切部のみが存在し、本体部上のその他の部分は空間とされており、このような形状では、重量が確保できず、重量安定性は低い。特に、上記施工面保護用ブロックを小型化して用いる場合には、その影響が顕著となる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、覆土保持機能を発揮できると共に、重量安定性、強度を十分に満たす施工面保護用ブロックを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記施工面保護用ブロックを利用した土木構築物用ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
施工面に敷設されて施工面を保護する施工面保護用ブロックであって、
本体部を備え、
前記本体部の上面に複数の仕切部が、該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化され、
前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部上面の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2〜7の記載の通りとなる。
【0006】
上記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項8に係る発明)にあっては、
屈撓性シートに複数の施工面保護用ブロックが取付けられている土木構築物用ユニットにおいて、
前記各施工面保護用ブロックが、本体部を備え、該本体部の上面に、複数の仕切部が該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化され、前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部上面の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されている構成としてある。この請求項8の好ましい態様としては、請求項9以下の記載の通りとなる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、本体部の上面に複数の仕切部が、該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化されていることから、各仕切部が本体部上面から上方に突出して覆土保持壁として有効に機能することになる一方、本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されていることから、本体部の中心部に向うに従って各仕切部の上方への突出量が減少して、各仕切部の支持強度が高められる(負担減少)と共に、本体部の量(本体部上面の高さが高くなることに伴うもの)が増加して該本体部の重量が増加することになる。このため、覆土保持機能、重量安定性及び強度を高度に満足させることができる施工面保護用ブロックを提供できることになる。
また、当該施工面保護用ブロックの敷設後、覆土を施すに際して、その覆土を、本体部上面の傾斜に基づき、当該施工面保護用ブロックの周囲に積極的に案内できることになり(落とし込むこと)、覆土の施工作業性を向上させることができることになる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、本体部上面の中心部に、複数の仕切部により囲まれる凹所が形成されていることから、各仕切部の延び方向内端面を利用して、覆土を取り込むことができる凹所が形成されることになり、覆土保持機能を高めることができることになる。
【0009】
請求項3に係る発明によれば、複数の仕切部が4つの仕切部とされ、その4つの仕切部が、本体部上面の中心部を中心として等角度毎に配置されて、直列配置される2つの仕切部を一組として、2組の2つの仕切部が互いに直交するように設定されていることから、当該施工面保護用ブロックを複数用い、その複数の施工面保護用ブロックを互いに隣接するように施工面に設置すると共に、その各施工面保護用ブロックにおける各組の2つの仕切部を、隣り合う施工面保護用ブロックにおける一方の組の2つの仕切部に対して直列的に並べていくことにより、4つの当該施工面保護用ブロック毎に、その各仕切部により平面視四角形の区画空間を形成できることになる。このため、その区画空間に覆土を取り込んで、覆土保持機能を高めることができることになる。
しかも、覆土を施すに際しては、本体部上面の傾斜面を利用して、区画空間内に覆土を的確に充填できることになる。
【0010】
請求項4に係る発明によれば、本体部の周面下縁が、各仕切部の延び方向外端が至る周面部分において、該各仕切部に対して直交するように形成されていることから、複数の当該施工面保護用ブロックを施工面において隣接配置する際に、隣接すべき施工面保護用ブロックの直線状の周面下縁同士を突き合わせさえすれば、各施工面保護用ブロックの仕切部が連続的に連なり、4つの当該施工面保護用ブロック毎に、平面視四角形の区画空間を形成できることになる。このため、覆土保持機能を高める区画空間を容易に形成できることになり、その作業性を高めることができることになる。
【0011】
請求項5に係る発明によれば、本体部が略八角柱に形成されていることから、前記請求項4と同様、4つの当該施工面保護用ブロック毎に、各仕切部によって区画空間を形成できるだけでなく、その区画空間内の下方側において、その4つの当該施工面保護用ブロックの側面をもって平面視四角形状の区画空間を区画できることになる。このため、深く狭められた新たな覆土保持空間が形成されることになり、一層、覆土保持機能を高めることができることになる。
【0012】
請求項6に係る発明によれば、本体部上面の中心部に、複数の仕切部により囲まれる凹所が形成されていることから、各仕切部の延び方向内端を利用して、覆土を保持できる覆土保持空間が新たに形成されることになり、覆土保持機能を高めることができることになる。
【0013】
請求項7に係る発明によれば、本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向における隣り合う各仕切部間で、周方向両側よりも周方向中央に近づくほど、低くなっていることから、本体部上面の形状を上記形状としない場合に比して、本体部の上面の深さを深くできることになり、覆土保持機能を高めることができることになる。
また、上記本体部上面の形状に基づき、覆土に対する本体部上面の案内機能を高めることができることになり、一層、覆土の施工作業性を向上させることができることになる。
【0014】
請求項8に係る発明によれば、屈撓性シートに複数の施工面保護用ブロックが取付けられている土木構築物用ユニットにおいて、前記各施工面保護用ブロックが、本体部を備え、前記本体部の上面に複数の仕切部が、該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化され、前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部上面の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されていることから、前記請求項1に係る施工面保護用ブロックを利用した土木構築物用ユニットを得ることができることになる。このため、前記請求項1と同様の作用効果を得ることができるだけでなく、当該土木構築物用ユニットを施工に用いることにより、複数の施工面保護用ブロックの搬送、屈撓性シートの屈撓性等を有効に利用して、施工作業性を高めることができることになる。
また、屈撓性シートに複数の施工面保護用ブロックが取付けられていることから、その土木構築物用ユニット全体の重量をもって各施工面保護用ブロックが保持されることになり、各施工面保護用ブロックを小型化して用いるときでも、実質的な重量安定性を確保できることになる。しかもその各施工面保護用ブロックを小型化した場合には、区画空間を小さくしたものを多く形成できることになり、同一容積の下で、区画空間を大きく形成する場合に比して覆土に対する区画壁(区画空間を形成する仕切部)の接触面積を増やして(摩擦抵抗の増大)、覆土保持機能を高めることができることになる。
【0015】
請求項9に係る発明によれば、各施工面保護用ブロックの複数の仕切部が、4つの仕切部により構成され、前記4つの仕切部が、前記本体部上面の中心部を中心として等角度毎に配置されて、直列配置される2つの仕切部を一組として、2組の2つの仕切部が互いに直交するように設定され、前記各施工面保護用ブロックが、互いに隣接するように配置されていると共に、該各施工面保護用ブロックにおける各組の2つの仕切部が、隣り合う施工面保護用ブロックにおける一方の組の2つの仕切部に対して直列的に連続するように設定されていることから、屈撓性シート上において、4つの施工面保護用ブロック毎に、平面視四角形の区画空間が形成され、屈撓性シート上には、覆土保持空間として複数の区画空間が予め形成されることになる。このため、覆土保持機能を高めた土木構築物を迅速に構築できる土木構築物用ユニットを提供できることになる。
【0016】
請求項10に係る発明によれば、本体部が略八角柱に形成され、本体部の周面下縁が、各仕切部の延び方向外端が至る周面部分において、該各仕切部に対して直交するように形成されていることから、当該土木構築物用ユニットにおいては、直線状の本体部の周面下縁同士を突き合わせることによって、4つの施工面保護用ブロック毎に、平面視四角形の複数の区画壁(区画空間)を形成できるだけでなく、その各区画壁内の下方側において、その4つの施工面保護用ブロックの側面をもって、平面視四角形状の覆土保持空間が新たに区画できることになっている。このため、より覆土保持機能を高めた土木構築物を迅速に構築できる土木構築物用ユニットを提供できることことになる。
【0017】
請求項11に係る発明によれば、屈撓性シートが、吸い出し防止シートと、該吸い出し防止シート上に積層される樹脂製メッシュ部材とを備え、各施工面保護用ブロックが、樹脂製メッシュ部材を介して吸い出し防止シート上に配置されていると共に、各施工面保護用ブロックの下部に対して樹脂製メッシュ部材及び吸い出し防止シートを介して留めねじがそれぞれねじ込まれていることから、樹脂製メッシュ部材と吸い出し防止シートとにより屈撓性シートとしての強度を確保できる一方、屈撓性シートが樹脂製メッシュ部材を備える場合であっても、樹脂製メッシュ部材の下方側に吸い出し防止シートを配置させることに基づき、樹脂製メッシュ部材をほつれさせることなく、樹脂製メッシュ部材及び吸い出し防止シートに対して各施工面保護用ブロックをねじ留めすることができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態(第1実施形態)に係る土木構築物としての護岸1の施工においては、図1に示すように、複数の長尺な土木構築物用ユニット2が用いられている。この複数の土木構築物用ユニット2は、施工面としての法面3等に敷設され、その複数の土木構築物用ユニット2に対して覆土4が施されることになっている。尚、図1において、符号5は河川を示す。
【0019】
前記各土木構築物用ユニット2は、図1、図2に示すように、屈撓性シート6の一面側に複数の施工面保護用ブロック(以下、ブロックと称す)7を取付けた構成とされている。
【0020】
前記屈撓性シート6は、図2に示すように、本実施形態においては、一定幅を維持しつつ延びる形状とされており、具体的には、幅2m前後、延び方向長さ3m前後のものが用いられることになっている。この屈撓性シート6は、吸い出し防止シート8の上に樹脂ネット9が積層した状態で構成されており、これら吸い出し防止シート8及び樹脂ネット9の一体化には、後述する如く、各ブロック7を屈撓性シート6に取付ける留め具が利用されることになっている。この吸い出し防止シート8の材質としては、長繊維ポリエステル等の不織布(目付量110g/m2)が用いられ、樹脂ネット9の材質としては、ポリエステル繊維等(目合寸法7×7mm)が用いられることになっている。
【0021】
前記各ブロック7は、図2〜図8に示すように、基本的に、本体部10と、その本体部10の上面に一体的に立設された複数の仕切部11とを備えている。この各ブロック7は、エコセメント又は高炉セメントに鉄鋼スラグ、一般廃棄物溶融スラグ、砂、砕石等を配合することにより一体成形されている。
【0022】
前記本体部10は、図2〜図8に示すように、偏平状の略八角柱形状に形成されている。本体部10を略八角柱形状とするのは、ブロック7を敷き並べる際に、隣り合うことになるブロック7を突き合わせることができる側面を確保すると共に、隣り合うことになるブロック7同士の側面を合わせつつ敷き並べることによって、4つのブロック7毎に、その4つのブロック7の中心部において平面視四角形の区画空間12を形成するためである(図2、図8参照)。
【0023】
具体的に説明する。この本体部10においては、その下面が平坦面に形成されている一方、その本体部10の周面は、本体部10の形状が略八角柱形状に形成されていることに伴い、8つの側面S1〜S8により形成されている。この8つの側面S1〜S8は、対向配置関係にある一対の側面(S1とS5,S2とS6,S3とS7,S4とS8)を4組設けた構成とされており、各側面S1〜S8は、切り欠きや溝等を形成することなく平坦に形成され、本体部10の軸心を中心とした周方向において隣り合う側面S1とS2(S2とS3,S3とS4,S4とS5,S5とS6,S6とS7,S7とS8)が形成する角度は、90度を超えて180度に近づく値とされている。このため、本体部10は、側面S1〜S8に関し、外力に対して損傷しにくい(欠けにくい)構成となっている。また、前記8つの側面S1〜S8の上縁は、本体部10の上面13の平面視形状を八角形に形成しており、その八角形を形成する辺L1〜L8は、前記8つの側面S1〜S8に対応して、対向する一対の辺(L1とL5,L2とL6,L3とL7,L4とL8)を4組有している。この本体部10の大きさは、本実施形態においては、対向する側面同士(例えばS1とS5)の間隔が250mm前後とされ、その厚み(高さ)は100mmよりもやや短めに形成されている。
尚、本実施形態においては、本体部10の形状を、八角柱形状に「略」を付加して略八角柱形状としているのは、型抜きの容易性、ブロックの設置安定性等を考慮して、本体部10が下方に向うに従って、若干、外側に拡がる形状になっているからである(図5〜図7参照)。
【0024】
前記複数の仕切部11は、本実施形態においては、図2〜図8に示すように、4つの仕切部11とされている。この各仕切部11は、本体部上面13に比して上方に盛り上がった状態をもって、該本体部上面13の中心部(軸心が通る部分)14から径方向外方(放射状方向)に延ばされており、その各仕切部11の上面の高さ位置は、ブロック7の最上面として、一定高さ(例えば100mm前後)とされている。この4つの仕切部11は、本体部上面13の軸心を中心として等角度(90度)毎に配置されており、直列配置される2つの仕切部11a,11a(11b,11b)が2組形成され、この2組の2つの仕切部11a,11a(11b,11b)が、平面視形状として十字形状を形成することになっている。また、この4つの各仕切部11の延び方向外端は、本体部上面13の外縁(辺)にまで至っており、各組の2つの仕切部11a,11a(11b,11b)は、該当辺L1,L5(L3,L7)に対して、その延び方向中央部において垂直となるように配置されている。
【0025】
前記各ブロック7における本体部上面13は、図2〜図4、図6〜図8に示すように、本体部10の軸心を中心とした周方向において隣り合う仕切部11a,11b間毎に設けられる4つの構成面15〜18を備えている。この各構成面15(16〜18)は、本体部上面13の径方向外方側(周囲)から該本体部上面13の中心部14(径方向内方)に向うに従って高くなるように傾斜しており、本体部上面13に対する各仕切部11の上方への突出量hは、本体部上面13の中心部14に向うほど少なくなっている。このため、本体部上面13の中心部14に向うほど各仕切部11の負担が減ることになっており、これに基づき、各仕切部11全体としての支持強度が高められることになっている。また、各構成面14(15〜18)の高さが本体部上面13の中心部14(径方向内方)に向うに従って高くなることに伴い、本体部10が占める量が増加して、本体部10の重量が増加することになっており、この重量増加に基づき、ブロック7の重量安定性が高まることになっている。さらに、この各構成面15(16〜18)は、その傾斜に基づき、覆土4を施す際に、当該ブロック7の周囲に落とし込むことを容易にする案内面としての機能も発揮することになる。
【0026】
しかも、本実施形態においては、各構成面15(16〜18)は、図3、図4、図7、図8に示すように、本体部10の軸心を中心とした周方向において、その構成面15(16〜18)両側から中央部に向うに従って低くなっている。図3、図4においては、その最低部19が、線状をもって表れており、この構成に基づき、案内機能を高めることができると共に、各構成面15(16〜18)上に投入(堆積)できる覆土4を増大させることができることになっている。
【0027】
前記本体部10の中心部14には、図2〜図5、図8に示すように、凹所20が形成されている。この凹所20は、前記4つの仕切部の延び方向内端面により区画されており、この凹所20は、覆土保持空間として機能することになっている。
【0028】
前記各ブロック7は、前記屈撓性シート6(樹脂ネットの上側)上において、重ね代部21と吊り代部22とを残した状態で敷き詰められている。重ね代部21は、施工において、隣り合うことになる次の土木構築物用ユニット2が部分的に重ねることができるようにするべく、ブロック7が存在しないようにした領域で、この重ね代部21は、長尺な土木構築物用ユニット2の幅方向の一方側(図2中、左方側)において、一定幅(例えば100mm程度)を維持しつつ、その土木構築物用ユニット2の延び方向に延びるようにして形成されている。吊り代部22は、土木構築物用ユニット2を吊り上げ装置(クランプ)が把持できるようにするべく、ブロック7が存在しないようにした領域で、この吊り代部22は、土木構築物用ユニット2の長手方向両側において、350mm前後の範囲の幅をもって土木構築物用ユニット2の幅方向に延びるように形成されている。
【0029】
前記各ブロック7は、図2、図8に示すように、屈撓性シート6の幅方向及び長手方向において、複数のブロック7の列がそれぞれ形成されるように敷き詰められている。この場合、各ブロック7は、十字形状を形成する4つの仕切部11のうち、直列配置をとる一方の組の2つの仕切部11a,11aが、屈撓性シート6の幅方向又は長手方向のうちの一方の向きに向けられ、他方の組の2つの仕切部11b,11bが、屈撓性シート6の幅方向又は長手方向のうちの他方の向きに向けられることになっている。しかも、各ブロック7は、隣り合うブロック7に対してその側面同士が合わさるように配置されて、各ブロック7における直列配置をなす各組の2つの仕切部11a,11a(11b,11b)は、直列的に連なることになっている。このため、4つのブロック7毎にその仕切部11により区画壁(図8中、一点鎖線をもって示す)24が形成されて、その区画壁24により覆土保持空間として区画空間23が区画されることになり、屈撓性シート6上には、各ブロック7の仕切部11(11a,11a,11b,11b)により、全体として、多数の区画空間23を区画する格子状壁が形成されることになっている(図2参照)。
【0030】
また、前記各区画空間23内の下方側には、図2、図8に示すように、覆土保持空間として、平面視略正方形状の区画空間12がそれぞれ形成されている。この区画空間12は、各ブロック7(本体部10)が略八角柱であることを利用して、前記区画空間23を区画する4つのブロック7の側面により区画されており、この区画空間12は、取り込んだ覆土4の保持を高めるべく、前記区画空間23の下方側において該区画空間23よりも開口が小さくされている。
【0031】
前記屈撓性シート6に対する各ブロック7の取付けに関しては、本実施形態においては、図9に示すように、屈撓性シート6の裏面側から、ステンレス製ワッシャ26、該屈撓性シート6を介してステンレス製ねじ25(留めねじ)がブロック7内部にねじ込むこととされている。これにより、各ブロック7を屈撓性シート6に取付けることができるだけでなく、その留め具としてのねじ25を利用して、樹脂ネット9と吸い出し防止シート8とが屈撓性シート6として一体化されることになっている。ここで、樹脂ネット9と吸い出し防止シート8とを一体化するのは、樹脂ネット9と吸い出し防止シート8の両者により全体(屈撓性シート6)としての強度を確保すると共に、吸い出し防止シート8を樹脂ネット9の下側にあてがうことにより、樹脂ネット9(例えば、樹脂製帯材を用いてメッシュ状(格子状)に形成されたものである場合等)だけにブロック7をねじ25により取付けるとした場合に該樹脂ネット9がほつれたり、割れたりして、ねじ留めができなくなるようなことを防ぐためである。
【0032】
また、上記ねじ留め作業に当たっては、ねじ25をねじ込むに先立ち、ブロック7の下面(底面)に前記ねじ25の径よりもやや小さい孔を穿設し、その孔内に接着剤を充填した状態で、その孔内に屈撓性シート6を貫通したねじをねじ込むことが好ましい。ブロック7の割れを防止できると共に、強固な取付けが可能となるからである。勿論、この作業は、作業者、二軸移動ロボット等により適宜行うことができる。
【0033】
このような土木構築物用ユニット2は、施工面としての法面3等に搬送されて、その法面3等上に敷設されることになるが、この搬送に際しては、例えば図10に示すように、クレーン(図示略)により吊り上げられる吊り金具27が用いられる。この吊り金具27は、クレーンに吊り上げられる支持枠28の延び方向両側にクランプ29をそれぞれ有しており、その両クランプ29により、土木構築物用ユニット2における長手方向両端部の吊り代部22が適正に把持できることになっている。
【0034】
前記覆土4は、図1に示すように、法面3等に敷設される複数の土木構築物用ユニット2上に盛られて、各土木構築物用ユニット2を覆うことになっている。この覆土4は、区画空間23だけでなく、区画空間12、凹所20にも取り込まれることになっており、それらは、覆土保持空間として機能することになる。
この場合、区画空間23を区画する各仕切部11は、前述した如く、各構成面15(16〜18)が傾斜している構成に基づき、各仕切部11の支持強度が高められていると共に、重量安定性が高められており、覆土4は各ブロック7により的確に保持されることになる。
また、区画空間12は、区画空間23の下方側に位置して、開口が区画空間23の開口よりも狭められており、その区画空間12内に取り込まれている覆土4は、区画空間23内に取り込まれている覆土4よりも極めて流失しにくくなる。
さらに、土木構築物用ユニット2上に上記覆土4を施すに際しては、本体部上面13の各構成面15(16〜18)は、その上に覆土4を取り込むだけでなく(区画空間23内への覆土4の取り込み)、その取り込みに先立ち、その各構成面15(16〜18)の傾斜に基づき、投入される覆土4を区画空間12内に案内することになり、区画空間12及び区画空間23内には覆土4が的確に取り込まれることになる。
【0035】
図11〜図13は第2実施形態、図14は第3実施形態を示す。この各実施形態において、前記実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図11〜図13に示す第2実施形態は、土木構築物用ユニット2の掴み代31を覆土4の流失防止に役立たせたものである。すなわち、吊り上げ搬送すべき土木構築物用ユニット2の掴み代31を100mm〜120mm程度にし、その掴み代31を吊り金具27により把持して、既に敷設されている土木構築物用ユニット2に隣り合う位置に吊り上げ搬送すれば(図11参照)、隣り合う土木構築物用ユニット2のブロック7間に掴み代31が挟まれて、その掴み代31は起立状態に維持されることになる。このため、この掴み代31に覆土4が引っかかり、この掴み代31も、覆土4の流失防止に貢献することになる。
【0037】
図14に示す第3実施形態は、土木構築物用ユニット2の変形例を示す。この実施形態においては、屈撓性シート6における長手方向各端部のブロック不存在部が100〜120mm程度にされる一方、その屈撓性シート6の幅方向両端部が掴み対象とされ、その幅方向各端部は、その複数の掴み点(○印をもって示す)33において図外の吊り上げ金具(クレーン)により吊り上げられることになっている。これにより、土木構築物用ユニット2は、吊り上げ時に下方に撓みにくくなり、搬送作業性が向上することになる。
尚、図14においては、吸い出し防止シート8が、土木構築物用ユニット2の幅方向一方側において、その一部がはみ出すことになっている。
【0038】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)屈撓性シート6として、幅及び延び方向長さのいずれも等しいもの、具体的には、一辺が2m前後のものを用いること。
(2)河川5における護岸1を対象とする場合に限らず、湖水、海における護岸等にも本発明を適用すること。
(3)施工面保護用ブロック7の用途を、土木構築物用ユニット2の構成要素とする場合に限らず、直接、施工面(吸い出しシート)に敷設する用途に用いること。
(4)施工面保護用ブロック7を、用途、必要性に応じて適宜の大きさとすること。
(5)屈撓性シート6に対するブロック7の取付け手段として、接着剤、アンカー等の種々の留め具を用いること。
(6)凹所20の深さを深くして、覆土保持空間としての役割を高めること。
(7)本体部10の周面を、各仕切部11の延び方向外端が至る周面部分において、該各仕切部11に対して垂直な平坦面とすること(八角柱等とすること)。これにより、本体部10の垂直な側面同士を突き合わせることによって、各施工面保護用ブロック7における仕切部11の連続性を高めることができることになる。
(8)屈撓性シート(吸い出し防止シート8と樹脂ネット9)6に換えて、或いは屈撓性シート6の構成要素である吸い出し防止シート8、樹脂ネット9のうちのいずれか一方に換えて、繊維密度が高く貫通抵抗性にも優れた防草シート(例えば長繊維不織布)を用いること。これにより、高茎草本等の植物、樹木が生長、繁茂することを規制でき、草刈りの頻度を減らすことができることになる。すなわち、高茎草本等の根が防草シートの下側にあるときには、その防草シートは、その高茎草本等が上方に成長することを防ぎ、高茎草本等の根が防草シートの上側にあるときには、その根が防草シートの下側へ成長して、高茎草本等が大きくなることを防ぐことになる。勿論この場合、通気性、透水性は確保される。
【0039】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る護岸を説明する説明図。
【図2】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを説明する平面図。
【図3】土木構築物用ユニットに用いられるブロックを示す斜視図。
【図4】図3の平面図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】図4のB−B線断面図。
【図7】図3の正面図。
【図8】第1実施形態に係るブロックが形成する区画空間を説明する説明図。
【図9】屈撓性シートに対するブロックの取付けを説明する説明図。
【図10】実施形態に係る土木構築物用ユニットを吊り上げ搬送するために用いられる吊り金具の一例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの搬送、敷設工程を説明する説明図。
【図12】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの敷設状態を説明する説明図。
【図13】図12の部分拡大平面図。
【図14】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【符号の説明】
【0041】
1 護岸
2 土木構築物用ユニット
4 覆土
6 屈撓性シート
7 ブロック
8 吸い出し防止シート
9 樹脂ネット(樹脂製メッシュ部材)
10 本体部
11 仕切部(11a,11b)
12 区画空間
13 本体部上面
14 中心部
15 構成面(本体部上面)
16 構成面(本体部上面)
17 構成面(本体部上面)
18 構成面(本体部上面)
19 最低部
20 凹所
23 区画空間
25 ねじ(留めねじ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面に敷設されて施工面を保護する施工面保護用ブロックであって、
本体部を備え、
前記本体部の上面に複数の仕切部が、該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化され、
前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部上面の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項2】
請求項1において、
前記本体部上面の中心部に、前記複数の仕切部により囲まれる凹所が形成されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数の仕切部が、4つの仕切部とされ、
前記4つの仕切部が、前記本体部上面の中心部を中心として等角度毎に配置されて、直列配置される2つの仕切部を一組として、2組の2つの仕切部が互いに直交するように設定されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項4】
請求項3において、
前記本体部の周面下縁が、前記各仕切部の延び方向外端が至る周面部分において、該各仕切部に対して直交するように形成されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項5】
請求項4において、
前記本体部が、略八角柱に形成されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項6】
請求項5において、
前記本体部上面の中心部に、前記複数の仕切部により囲まれる凹所が形成されている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項7】
請求項1において、
前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向で隣り合う各仕切部間において、周方向両側よりも周方向中央に近づくほど、低くなっている、
ことを特徴とする施工面保護用ブロック。
【請求項8】
屈撓性シートに複数の施工面保護用ブロックが取付けられている土木構築物用ユニットにおいて、
前記各施工面保護用ブロックが、本体部を備え、前記本体部の上面に複数の仕切部が、該本体部の上面の中心部から放射状に延びるようにして一体化され、前記本体部の上面が、該本体部上面の中心部を中心とした周方向において隣り合う各仕切部間で、該本体部上面の周囲から該本体部上面の中心部に向うに従って高くなるように傾斜されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項9】
請求項8において、
前記各施工面保護用ブロックの複数の仕切部が、4つの仕切部により構成され、
前記4つの仕切部が、前記本体部上面の中心部を中心として等角度毎に配置されて、直列配置される2つの仕切部を一組として、2組の2つの仕切部が互いに直交するように設定され、
前記各施工面保護用ブロックが、互いに隣接するように配置されていると共に、該各施工面保護用ブロックにおける各組の2つの仕切部が、隣り合う施工面保護用ブロックにおける一方の組の2つの仕切部に対して直列的に連続するように設定されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項10】
請求項9において、
前記本体部が略八角柱に形成され、
前記本体部の周面下縁が、前記各仕切部の延び方向外端が至る周面部分において、該各仕切部に対して直交するように形成されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項11】
請求項8において、
前記屈撓性シートが、吸い出し防止シートと、該吸い出し防止シート上に積層される樹脂製メッシュ部材とを備え、
前記各施工面保護用ブロックが、前記樹脂製メッシュ部材を介して前記吸い出し防止シート上に配置されていると共に、該各施工面保護用ブロックの下部に対して該樹脂製メッシュ部材及び該吸い出し防止シートを介して留めねじがそれぞれねじ込まれている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−97339(P2006−97339A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284874(P2004−284874)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【出願人】(301015864)株式会社環境工学研究所 (18)
【出願人】(000100687)アイエルビー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】