説明

旋回作業車

【課題】旋回作業車において、ブームシリンダの破損を防止するシリンダーカバーを提供する。
【解決手段】ブーム6と、該ブームへ回動自在に取り付けられたアーム5と、該アームへ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメント4とを有し、ブームブラケット12とブーム6との間に介装されるブームシリンダ11を、該ブームの前方に配置した作業機を備える旋回作業車において、該ブームシリンダ11の前方を覆うシリンダカバー26を設け、該シリンダカバーの両端部を屈曲して両側にスライド片59・59を設け、該スライド片をブームシリンダの左右両側に設けた固定具59a・59aにスライド可能に取り付け、該シリンダカバーの前面形状を、平面視にて略中央部が両端部よりも前方へ突出する形状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回作業車のシリンダーカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックホー等の掘削作業機を搭載した旋回作業車においては、作業機を構成するブーム、アーム、及び、作業用アタッチメント等は油圧シリンダ等の油圧アクチュエーターにより駆動されており、これら作業機の油圧アクチュエーターへは旋回体に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油が供給されている。そして、前記ブームシリンダには、該ブームシリンダの前方を覆って保護するためのシリンダカバーが取り付けられている。
【特許文献1】実開昭62−035071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述の如く、ブームシリンダを保護するための前記シリンダカバーは、前面形状が平坦な形状に形成されており、バケット等の作業用アタッチメントを巻き込んだときに、該作業用アタッチメントに付着していた異物が作業用アタッチメントとシリンダカバーとの間に挟まってしまい、該シリンダカバーを変形させ、さらにはブームシリンダを破損してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
請求項1においては、旋回可能に構成した旋回体へ、ブームブラケットを介して回動可能に取り付けられたブームと、該ブームへ回動自在に取り付けられたアームと、該アームへ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有し、該ブームブラケットとブームとの間に介装されるブームシリンダを、該ブームの前方に配置した作業機を備える旋回作業車において、該ブームシリンダの前方を覆うシリンダカバーを設け、該シリンダカバーの両端部を屈曲して両側にスライド片を設け、該スライド片をブームシリンダの左右両側に設けた固定具にスライド可能に取り付け、該シリンダカバーの前面形状を、平面視にて略中央部が両端部よりも前方へ突出する形状に形成したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、請求項1の如く、ブームシリンダの前方を覆うシリンダカバーを設け、該シリンダカバーの前面形状を、平面視にて略中央部が両端部よりも前方へ突出する形状に形成したので、作業用アタッチメントを巻き込んだ際に該作業用アタッチメントに付着していた異物が、該作業用アタッチメントとシリンダカバーとの間に挟まったとしても、シリンダカバーに押し付けられた異物は該シリンダカバーの前面の形状により左右両側へ逃げることができるので、該シリンダカバーの変形及びブームシリンダの破損を確実に防止して保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明の作業機構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図、図2は作業機の下部を示す側面図、図3はブームの旋回体による支持部を示す側面図、図4はブームブラケットを示す側面図、図5はブームブラケットを示す平面図、図6はホースカバーを示す平面図、図7はシリンダカバーを示す平面断面図。図8はシリンダカバーの別実施例を示す平面断面図、図9はブームの上部を示す側面図、図10はアームシリンダを示す後面図、図11はアームシリンダの基端部を示す側面図、図12はアームとブームとの連結部を示す側面図、図13は同じく後面図である。
【0007】
まず、本発明の作業機構造を有する旋回作業車の構成について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回可能に支持しており、該クローラ式走行装置1の前後一端部には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回体2の上方にはエンジン等を被覆するボンネット14が配設されるとともに、運転操作部15及びシート16が設けられ、該運転操作部15及びシート16の上方にはキャノピー8が配設されている。
【0008】
また、旋回体2の前端部にはブームブラケット12が左右回動自在に取り付けられ、該ブームブラケット12にはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。ブーム6は途中部で前方に屈曲して、側面視において屈曲部6dを有する略「く」字状に形成されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントとしてのバケット4が回動自在に支持されている。これらのブーム6、アーム5、及びバケット4等により作業機7が構成されている。
【0009】
そして、前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、バケット4はバケットシリンダ9により回動動作されている。該ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ9は油圧シリンダにより構成され、各シリンダ9・10・11は、運転操作部15に配設される操作レバーを操作することにより、該運転操作部15内に配設されたコントロールバルブを介して、旋回台2のボンネット14内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油が供給されることで伸縮駆動されている。
【0010】
また、ブームシリンダ11はブームブラケット12のシリンダ支持部12bとブーム6の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット36との間に介装され、アームシリンダ10はブーム6の途中部背面に設けられるアームシリンダボトムブラケット31とアーム5基端部に設けられるバケットシリンダブラケット30との間に介装され、バケットシリンダ9は該バケットシリンダブラケット30とバケット4に連結されるバケットリンク29との間に介装されている。
【0011】
次に、作業機7の構成について説明する。図2に示すように、旋回体2の前端部にはスイングピン13を介してブームブラケット12が左右回動自在に枢支されている。ブーム6下端部の支持部6aは、ブームブラケット12の上端部に形成される支持ブラケット12aと枢支ピン18により前後方向回動自在に連結され、これにより該ブーム6がブームブラケット12により支持されている。前記ブームシリンダ11はブーム6の前方に配置されており、該ブームシリンダ11にはシリンダカバー26を取り付けて前方を覆っている。
【0012】
また、アームシリンダ10へ圧油を供給するアームシリンダ用油圧ホース22、及びバケットシリンダ9へ圧油を供給するバケットシリンダ用油圧ホース21は、旋回体2から延設されブーム6の背面に沿って配管されている。該アームシリンダ用油圧ホース22及びバケットシリンダ用油圧ホース21は、ブーム6の屈曲部6dより下方においては固定金具25・25により、例えば2箇所で固定されている。さらに、ブーム6の屈曲部6d近傍から該ブーム6の下端部にかけての範囲においては、アームシリンダ用油圧ホース22及びバケットシリンダ用油圧ホース21の後方にホースカバー27を配設して、各油圧ホース21・22を覆っている。
【0013】
次に、図3乃至図5により、ブーム6下端部及びブームシリンダ11へ圧油を供給するブームシリンダ用油圧ホース23の配管構成について説明する。ブーム6とブームブラケット12との間に介装される前記ブームシリンダ11の下端部は、ブームブラケット12のシリンダ支持部12bにより回動自在に支持されている。ブームブラケット12における該シリンダ支持部12bの左右両側には、前方へ突出するリブ12dがそれぞれ前記支持ブラケット12aから下方へ向けて形成されており、該リブ12dとシリンダ支持部12bとの間にはホース溝12eが形成されている。
【0014】
そして、旋回体2から前方へ延出するブームシリンダ用油圧ホース23は、ブームブラケット12上端部における左右一対のブーム支持部12a間を経た後に、該ホース溝12eを通過するように配管されている。また、ホース溝12eの上下方向の途中部には後方へ凹陥される凹陥部12fが形成されており、ホース溝12eに配管されたブームシリンダ用油圧ホース23は、該凹陥部12fに沿って湾曲している。該ホース溝12eに沿って上方から下方へ配管されたブームシリンダ用油圧ホース23は、該ホース溝12eの下部で上方に屈曲した後に、ブームシリンダ11の下端部に接続されている。
【0015】
ブームシリンダ用油圧ホース23は、ブームシリンダ11が下方回動した場合に突っ張らないように、ブームシリンダ11が上方回動した状態で撓むように余裕を持たせて配管している。しかし、本例においては前述の如く、ホース溝12eに凹陥部12fを形成して該凹陥部12fにブームシリンダ用油圧ホース23を沿わせて配管しているので、該凹陥部12fによりブームシリンダ用油圧ホース23の余裕分を吸収することができ、該ブームシリンダ用油圧ホース23がブームシリンダ11よりも前方へ突出することを防止できる。また、ブームシリンダ用油圧ホース23が湾曲する半径が大きくなり、折れて作動油の流れを止めることもないのである。これにより、ブームシリンダ用油圧ホース23をブームブラケットにより確実に保護することが可能となり、該ブームシリンダ用油圧ホース23が障害物と衝突して破損することを防止することができる。
【0016】
次に、前記ホースカバー27の構成について図2、図6により説明する。前記アームシリンダ用油圧ホース22及びバケットシリンダ用油圧ホース21は、ブーム6の下端部から上方へ向けて該ブーム6の背面に沿って配管されており、固定金具25によりブーム6に固定されている。該アームシリンダ用油圧ホース22及びバケットシリンダ用油圧ホース21の後方にはホースカバー27が配設され、該ホースカバー27は各固定金具25の後面にボルト等によって固設されている。
【0017】
ホースカバー27は板状部材により構成され、ブーム6の下端部から屈曲部6d近傍までの範囲に渡って配置されている。該ホースカバー27の左右両端部は前方に屈曲され、該ホースカバー27によりアームシリンダ用油圧ホース22及びバケットシリンダ用油圧ホース21の後方及び左右両側方を覆っている。このように、ブーム6の屈曲部6dよりも下方に配管されて、目に付き易い部分の各油圧ホース21・22を、後方及び左右両側方からホースカバー27により覆うことで、該各油圧ホース21・22を外部から見えないように隠すことが可能となり、外観的に見栄えを良くすることができる。また、各油圧ホース21・22が経年的に劣化する等して万が一破損した場合には、該ホースカバー27によって圧油がブームの周囲に飛散することを防止することができ、後処理作業を簡便にすることが可能となり、オペレーターに飛散した作動油がかかることもない。
【0018】
次に、ブームシリンダ11に取り付けられたシリンダカバー26の構成について説明する。図2、図7に示すように、シリンダカバー26は外カバー41及び内カバー42により構成されており、該内カバー42は外カバー41に固設されている。外カバー41は、ブームシリンダ11のロッド11aのヘッド部(上端部)に固着された座へ固定具28を介して取り付けられており、ブームシリンダ11のロッド11aを最大限伸長した状態で、その下端部がシリンダ本体11bの上端部とオーバーラップする位置まで延設されている。
【0019】
また、外カバー41の前面41aは、平面視にて左右略中央部が両端部よりも前方へ突出する山形形状に形成されており、該前面41aの両端は後方に屈曲して側面41bを形成している。
【0020】
このように、シリンダカバー26は、その上端部をブームシリンダ11のロッド11aのヘッド部にボルト及び座を介して保持され、その下端部をシリンダ本体11bに摺動自在に支持されて、ブームシリンダ11の伸縮状態にかかわらず、特にブームシリンダ11のロッド11aの前方を覆って保護するように構成し、ブームシリンダ11の破損を防止している。そして、前述の如く、外カバー41の前面41aを平面視にて左右略中央部が両端部よりも前方へ突出する山形形状に形成することにより、バケット4を巻き込んだ際に該バケット4に付着していた異物が、該バケット4とシリンダカバー26との間に挟まったとしても、バケット4によりシリンダカバー26に押し付けられた異物は該外カバー41の前面41aの形状によりシリンダカバー26の左右両側へ逃げることができるので、該シリンダカバー26の変形及びブームシリンダ11の破損を防止することができる。
【0021】
また、前記シリンダカバー26は、次に示すように構成することも可能である。即ち、図8に示すシリンダカバー26’の如く、その前面26b’を円弧形状に形成して、前述の場合と同様に、該前面26b’を平面視にて左右略中央部が両端部よりも前方へ突出する形状とするのである。本例の場合、シリンダカバー26’は、外カバー・内カバーの区別はなく一枚の板状部材を屈曲して形成されており、ブームシリンダ11の左右両側に固定具59aを介して取り付けられたスライド片59に、該シリンダカバー26’の両端部を屈曲して形成した嵌合部26a’を摺動自在に嵌合している。
【0022】
次に、ブーム6の途中部の構成について図9乃至図11により説明する。前述の如く、ブーム6は途中部で前方に屈曲して側面視略「く」字状に形成されており、該ブーム6の途中部背面にアームシリンダボトムブラケット31を設けるとともに、アーム5の基端部にバケットシリンダブラケット30を設けて、該アームシリンダボトムブラケット31とバケットシリンダブラケット30との間に、アーム5を回動動作させるためのアームシリンダ10を介装している。該アームシリンダ10の上端部はバケットシリンダブラケット30により支持され、アームシリンダ10の下端部はアームシリンダボトムブラケット31により支持されている。該アームシリンダボトムブラケット31は、ブーム6の背面に左右一対設けられ、屈曲部6dの近傍に配置されている。
【0023】
アームシリンダ10には、ブーム6の背面に配管されたアームシリンダ用油圧ホース22が接続されている。該アームシリンダ用油圧ホース22は伸長側と縮小側との二本が共にアームシリンダ10の基端部(図9における下端部)にニップル33を介して接続されている。そして、アームシリンダ10の基端部に接続されたアームシリンダ用油圧ホース22の内の一本は、ニップル33を介してアームシリンダ10に付設されたシリンダヘッド側油圧配管10aに接続され、他方はボトム側のシリンダから突出された配管に接続される。
【0024】
また、図9に示すように、前記ニップル33は、該ニップル33の軸心方向(アームシリンダ用油圧ホース22の接続方向)Pが側面視でアームシリンダ10が最大作動位置Rにあるときに、該ニップル33に取り付けたアームシリンダ用油圧ホース22がブーム6背面に沿って軽く接触するような向きになる傾斜角度でアームシリンダ10に取り付けられている。また、前記ニップル33のアームシリンダ10への取付位置は該アームシリンダ10のボトム近傍とし、該ニップル33に接続されるアームシリンダ用油圧ホース22はブーム6背面の形状に沿って屈曲しているが、ニップル33の傾斜方向は、アームシリンダ10を伸縮させたときにアームシリンダ用油圧ホース22の屈曲度合いが小さくなる方向としている。
【0025】
ここで、バケットシリンダブラケット30とアームシリンダボトムブラケット31との間に介装されるアームシリンダ10のロッド10bを伸縮することによりアーム5が上下回動するが、該アームシリンダ10は、アーム5の回動動作によりアームシリンダボトムブラケット31側の支持部を中心として上下回動し、これに伴ってニップル33も同様に回動することとなる。ニップル33が回動動作すると、該ニップル33に接続されているアームシリンダ用油圧ホース22の屈曲度合いが変化するとともに撓み具合も変化するが、該ニップル33は、前述の如くアームシリンダ用油圧ホース22の屈曲度合いが小さくなる方向に傾斜させて取り付けているため、該ニップル33を前記軸心Oに対して傾斜させずに取り付けた場合に比べて、アームシリンダ10が回動した際のアームシリンダ用油圧ホース22の撓み具合の変化を小さくすることができる。これにより、アームシリンダ10が回動した際に、屈曲によりアームシリンダ用油圧ホース22にかかる応力や無理な力を減少することができ、該アームシリンダ用油圧ホース22の疲労を抑えて、耐久性を向上することが可能となる。
【0026】
また、アームシリンダ用油圧ホース22が接続されるニップル33を、アームシリンダ10の基端部に取り付けることにより、消耗部品であり交換が行われるアームシリンダ用油圧ホース22の長さを短くすることができるため、コストダウンを図ることができる。さらに、万が一アームシリンダ用油圧ホース22のニップル33との接続部近傍にて圧油の漏れが発生したとしても、ブーム6の屈曲部6d近傍まで延設されているホースカバー27により圧油の飛散を防止することができる。
【0027】
次に、ブーム6とアーム5との連結部におけるバケットシリンダ用油圧ホース21の配管構成について図12、図13について説明する。ブーム6の先端部には左右一対のアーム支点ブラケット51が固設され、ブーム6の先端から先方へ延出している。該アーム支点ブラケット51の前端部にはアーム5が回動自在に支持されている。アーム5の基端部には左右一対のバケットシリンダブラケット30が固設され、該バケットシリンダブラケット30には、アームシリンダ10のロッド10bの先端部が回動自在に支持されるとともに、バケットシリンダ9の基端部が回動自在に支持されている。また、ブーム6の背面に配管されるバケットシリンダ9へ圧油を供給するためのバケットシリンダ用油圧ホース21は、バケットシリンダブラケット30間を通過してアーム5側まで延設され、バケットシリンダ9に接続されている。
【0028】
前記バケットシリンダブラケット30には、左右のバケットシリンダブラケット30を互いに連結するガイド板55が取り付けられており、該ガイド板55は、バケットシリンダブラケット30のアームシリンダ10支持部からバケットシリンダ9にかけて配設されている。該ガイド板55の後部55b(アームシリンダ10側部)は、バケットシリンダブラケット30の上端面に沿って平板状に形成されてアーム5と略平行としており、前部55a(バケットシリンダ9側部)は、内側に屈曲して側面視略U字状に形成している。
【0029】
そして、バケットシリンダ用油圧ホース21は、ガイド板55の下方、即ち内側に配置されている。即ち、バケットシリンダ用油圧ホース21は、アーム5又はブーム6と、左右のバケットシリンダブラケット30と、ガイド板55とで囲まれた空間60内を通過しているのである。また、バケットシリンダ用油圧ホース21は、アーム5を最下方に回動させた場合に必要となる長さに合わせて配管し、アーム5の回動動作に追従できるようにしているため、アームシリンダ10を縮小させてアーム5を上方回動させた際には、バケットシリンダ用油圧ホース21は長さが余って撓むこととなる。
【0030】
アーム5とブーム6との連結部において、長さが余ったバケットシリンダ用油圧ホース21は屈曲することとなるが、該バケットシリンダ用油圧ホース21は前記空間60内を通過しているので該空間60内で屈曲し、外部にはみ出すことはない。また、ガイド板55の前部55aは空間60の内側方向へ入り込んでいるために、バケットシリンダ用油圧ホース21が屈曲する際には、該前部55aにより屈曲姿勢がある程度規制され、無理な力がかからない自然な屈曲姿勢に屈曲させることができる。
【0031】
さらに、ガイド板55の後部55bはバケットシリンダブラケット30の上端部に取り付けて空間60を広く確保するようにしているので、屈曲したバケットシリンダ用油圧ホース21を余裕を持って収納することが可能である。また、ガイド板55を左右のバケットシリンダブラケット30間に設けることにより、該バケットシリンダブラケット30の剛性を向上することができ、アームシリンダ10やバケットシリンダ9等を支持するための支持孔を形成する際にバケットシリンダブラケット30がびびったり、変形したりすることを防止することができる。
【0032】
即ち、ブームブラケットの前端部に、旋回体から延出しブームシリンダへ接続される油圧ホースが通過するためのホース溝を上下方向に形成し、該ホース溝の途中部に後方へ凹陥する凹陥部を形成したので、該凹陥部により、ブームシリンダへ接続される油圧ホースが屈曲した際の余裕分を収納して吸収することができ、該油圧ホースがブームシリンダよりも前方へ突出することを防止できる。これにより、油圧ホースをブームブラケットによって確実に保護することが可能となり、該油圧ホースが障害物と衝突して破損することを防止することができ、折れ曲がり作動油の流れを阻害することもない。
【0033】
更に、ブームの下端部から屈曲部近傍にかけて、ブーム背面に配管した油圧ホースの後方を覆うホースカバーを配設したので、ブームの屈曲部よりも下方に配管されている、目に付き易い部分の油圧ホースを、ホースカバーにより覆うことで、該油圧ホースを外部から見えないように隠すことが可能となり、外観的に見栄えを良くすることができる。
また、油圧ホースが経年的に劣化する等して万が一破損した場合には、該ホースカバーによって圧油がブームの周囲に飛散することを防止することができ、後処理作業を簡便にすることが可能となり、オペレーターにかかることもない。
【0034】
更に、ブームとアームとの間に介装されるアームシリンダへ圧油を供給する伸長側の油圧ホースと縮小側の油圧ホースとの両方を該アームシリンダの基端部に接続し、該両油圧ホースの接続方向を、アームシリンダの軸心方向に対して傾斜させたので、油圧ホースの接続方向を該軸心方向に対して傾斜させない場合に比べて、アームシリンダが回動した際の油圧ホースの撓み具合の変化を小さくすることができる。
これにより、アームシリンダが回動した際に、屈曲により油圧ホースにかかる応力や無理な力を減少することができ、該油圧ホースの疲労を抑えて、耐久性を向上することが可能となる。
【0035】
また、油圧ホースをアームシリンダの基端部に接続することにより、消耗部品であり交換が行われる油圧ホースの長さを短くすることができるため、コストダウンを図ることができる。さらに、万が一油圧ホースのアームシリンダとの接続部近傍にて圧油の漏れが発生したとしても、ブームの屈曲部近傍まで延設されているホースカバーにより圧油の飛散を防止することができる。
【0036】
さらに、アームの基端部に、アタッチメントシリンダの基端部を支持する左右一対のアタッチメントシリンダブラケットを設け、該左右のアタッチメントシリンダブラケット間にアタッチメントシリンダへ圧油を供給する油圧ホースを通過させ、左右のアタッチメントシリンダブラケットを連結するガイド板を設け、該ガイド板を油圧ホースより外側に配置し、該ガイド板の一部を内側方向に屈曲したので、該油圧ホースは、アーム又はブームと、左右のバケットシリンダブラケットと、ガイド板とで囲まれた空間内を通過することとなり、アームとブームとの連結部において屈曲する油圧ホースが外部にはみ出すことを防止できる。
【0037】
また、油圧ホースが屈曲する際には、該ガイド板の屈曲部により屈曲姿勢を規制して、無理な力がかからない自然な屈曲姿勢に屈曲させることが可能となるとともに、油圧ホースが通過する空間を広く確保して屈曲した油圧ホースを余裕を持って収納することが可能となる。また、ガイド板によりバケットシリンダブラケットの剛性を向上することができ、アームシリンダやバケットシリンダ等を支持するための支持孔を形成する際にバケットシリンダブラケットがびびったり、変形したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の作業機構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図である。
【図2】作業機の下部を示す側面図である。
【図3】ブームの旋回体による支持部を示す側面図である。
【図4】ブームブラケットを示す側面図である。
【図5】ブームブラケットを示す平面図である。
【図6】ホースカバーを示す平面図である。
【図7】シリンダカバーを示す平面断面図である。
【図8】シリンダカバーの別実施例を示す平面断面図である。
【図9】ブームの上部を示す側面図である。
【図10】アームシリンダを示す後面図である。
【図11】アームシリンダの基端部を示す側面図である。
【図12】アームとブームとの連結部を示す側面図である。
【図13】同じく後面図である。
【符号の説明】
【0039】
2 旋回体
5 アーム
6 ブーム
6d 屈曲部
7 作業機
9 バケットシリンダ
10 アームシリンダ
11 ブームシリンダ
12 ブームブラケット
12d リブ
12e ホース溝
12f 凹陥部
21 バケットシリンダ用油圧ホース
22 アームシリンダ用油圧ホース
23 ブームシリンダ用油圧ホース
26 シリンダカバー
27 ホースカバー
30 アタッチメントシリンダブラケット
33 ニップル
55 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能に構成した旋回体へ、ブームブラケットを介して回動可能に取り付けられたブームと、該ブームへ回動自在に取り付けられたアームと、該アームへ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有し、該ブームブラケットとブームとの間に介装されるブームシリンダを、該ブームの前方に配置した作業機を備える旋回作業車において、該ブームシリンダの前方を覆うシリンダカバーを設け、該シリンダカバーの両端部を屈曲して両側にスライド片を設け、該スライド片をブームシリンダの左右両側に設けた固定具にスライド可能に取り付け、該シリンダカバーの前面形状を、平面視にて略中央部が両端部よりも前方へ突出する形状に形成したことを特徴とする旋回作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−111333(P2008−111333A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18369(P2008−18369)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【分割の表示】特願平11−123028の分割
【原出願日】平成11年4月28日(1999.4.28)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】