昇降式曝気循環装置
【課題】空気噴出手段である散気管を1本のロープで水中に垂れ下がらせる構造であっても、散気管の横揺れを効果的に抑制できるようにした昇降式曝気循環装置を提供する。
【解決手段】水上に浮かぶ台船1と、この台船1上に設置された昇降機4と、この昇降機4の昇降用ロープ5で水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管6とを備えている。散気管6に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープ7と、台船1上に設置されて各振れ止め用ロープ7を水中に折り返す転向部材8と、各振れ止め用ロープ7の他端部に連結されたカウンターウェイト9とを備えている。
【解決手段】水上に浮かぶ台船1と、この台船1上に設置された昇降機4と、この昇降機4の昇降用ロープ5で水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管6とを備えている。散気管6に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープ7と、台船1上に設置されて各振れ止め用ロープ7を水中に折り返す転向部材8と、各振れ止め用ロープ7の他端部に連結されたカウンターウェイト9とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降式曝気循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水上に浮かぶ台船から水中に昇降可能に垂れ下がらせた空気噴出手段(散気管)を備えた湖沼等の浄化装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
この浄化装置では、台船上の空気管昇降装置で回動管を回動させるとともに、この回動管に、空気噴出手段を取付けた下垂管を回動自在に連結して、回動管の回動で空気噴出手段の深さを変えるようにしている。また、ケーブルの巻き取り・巻き戻しで、空気管とともに空気噴出手段の深さを変えるようにしたものもある。
【0004】
ところで、回動管と下垂管で空気噴出手段の深さを変える技術、あるいはケーブルと空気管で空気噴出手段の深さを変える技術は、いずれも管長さに構造的な限界があることから、空気噴出手段の深さ位置にも限界がある。
【0005】
そのため、台船上の昇降機(ウィンチ)の1本のロープに空気噴出手段を連結して、ロープの巻き取り・巻き戻しで空気噴出手段の深さを自由に変えるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−136691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、空気噴出手段は、1本のロープで水中に垂れ下がらせるだけであるから、水流や波浪等による振動の影響で空気噴出手段が不安定に横揺れするので、空気噴出手段から安定した曝気循環流を発生させることができないという問題がある。
【0008】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、空気噴出手段である散気管を1本のロープで水中に垂れ下がらせる構造であっても、散気管の横揺れを効果的に抑制できるようにした昇降式曝気循環装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、水上に浮かぶ台船と、この台船上に設置された昇降機と、この昇降機の昇降用ロープで水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管とを備えた昇降式曝気循環装置において、前記散気管に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープと、台船上に設置されて各振れ止め用ロープを水中に折り返す転向部材と、各振れ止め用ロープの他端部に連結されたカウンターウェイトとを備えていることを特徴とする昇降式曝気循環装置を提供するものである。
【0010】
請求項2のように、前記散気管に、浮き上がり防止用ウェイトが設けられている構成とすることができる。
【0011】
請求項3のように、前記散気管は、昇降機の昇降用ロープで水中から台船の上方に持ち上げ可能であり、台船の上に、持ち上げられた散気管を持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材が設けられている構成とすることができる。
【0012】
請求項4のように、前記係止部材は、散気管の略中心部分を係止するフック部材である構成とすることができる。
【0013】
請求項5のように、前記係止部材は、散気管の周辺部分を載せて係止する複数の載せ部材である構成とすることができる。
【0014】
請求項6のように、前記散気管の下部に、振れ止め部材が取付けられている構成とすることができる。
【0015】
請求項7のように、前記振れ止め部材は、略等角度間隔で少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有する構成とすることができる。
【0016】
請求項8のように、前記振れ止め部材の下部に、前記浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトが連結されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、散気管の複数箇所に振れ止め用ロープの一端部を連結し、各振れ止め用ロープは、台船上の転向部材で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイトを連結したものである。
【0018】
したがって、カウンターウェイトを付けた振れ止め用ロープで散気管を複数方向から略均等に引っ張ることで、散気管が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが抑制されるようになる。この結果、散気管から安定した曝気循環流を発生させることができる。
【0019】
請求項2によれば、散気管には、散気用空気が供給されるので浮力が発生することから、浮き上がり防止用ウェイトを設けることで、散気管の浮き上がりを防止することができる。なお、散気管自体の重量を増加させて浮き上がりを防止できれば、浮き上がり防止用ウェイトを不要とすることが可能である。
【0020】
請求項3によれば、散気管を台船の上方に持ち上げて、係止部材で持ち上げ位置に一時係止できるから、散気管の保守点検が台船の上で容易に行えるようになる。また、散気管は係止部材で持ち上げ位置に一時係止されるから、散気管の点検中に、昇降機にブレーキをかける必要もなくなる。さらに、散気管から昇降用ロープを取り外すこともできるから、昇降用ロープや昇降機の保守点検や交換等も安全かつ容易に行えるようになる。
【0021】
請求項4によれば、係止部材をフック部材とすれば、散気管の略中心部分1箇所で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0022】
請求項5によれば、係止部材を複数の載せ部材とすれば、散気管を載せて安定した状態で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0023】
請求項6によれば、振れ止め用ロープで散気管を引っ張る構成に加えて、散気管の下部に振れ止め部材を取付けたから、この振れ止め部材が大きな抵抗となって、散気管が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが、より抑制されるようになる。
【0024】
また、散気管の横揺れが抑制されるから、振れ止め用ロープにブレーキをかける必要がなくなるので、振れ止め用ロープの電磁ブレーキ(電気品)を廃止できる。そのため、電気品である台船の電気品は昇降機(ウィンチ)だけとなるから、ソーラ発電や風力発電(またはこれらの組み合わせ)のようなクリーンエネルギーを台船に搭載することが可能となる。この場合、昇降機はリモコンで遠隔操作可能であるから、電気供給用ケーブルの敷設のための手間とコストが不要となり、長いケーブルに起因する電気品の誤作動の発生もなくなる。
【0025】
請求項7によれば、振れ止め部材に少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有すれば、あらゆる方向からの水流や振動であっても横揺れを抑制することができる。また、構造はきわめて簡単でコスト安であり、故障も無く、既存の装置にも僅かに改造するだけで適用することができる。
【0026】
請求項8によれば、振れ止め部材に、浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトを連結することで、特に運転初期の振れの発生も効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第1実施形態の昇降式曝気循環装置の全体側面図である。
【図2】図1の台船であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】第1実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。
【図4】フック部材を備えた第1実施形態の昇降式曝気循環装置であり、(a)は要部側面図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は被係止部材部分の拡大図である。
【図5】係止用ロープを付けた散気管の側面図である。
【図6】載せ部材を備えた第1実施形態の昇降式曝気循環装置であり、(a)は要部側面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図7】図6の載せ部材であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】本発明に係る第2実施形態の昇降式曝気循環装置の要部側面図である。
【図9】散気管であり、(a)は平面図、(b)は要部断面側面図である。
【図10】(a)は実験1の実験装置の略画図、(b)は実験1のカウンターウェイトの重量と散気管の振れ幅との関係を示すグラフ、(c)は実験1のカウンターウェイトの重量と散気管の振れ停止時間との関係を示すグラフである。
【図11】実験2の実験装置の略画図である。
【図12】(a)は実験2の各タイプにおける散気管の振れ幅の関係を示すグラフ、(b)は実験2の各タイプにおける散気管の振れ停止時間の関係を示すグラフ、(c)は実験2の各タイプにおける散気管の到達時間の関係を示すグラフである。
【図13】(a)〜(c)は、それぞれ振れ止め羽根部の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態の昇降式曝気循環装置の全体側面図である。図2は、図1の台船であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図3は、第1実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、平面視で略正三角状の台船1を設け、この台船1を頂点部分の下部にそれぞれ取付けたフロート2で水上に浮かばせるようにしている。
【0030】
台船1の中央部分に略六角形の穴1aを形成し、台船1の上には、穴1aの真上に位置するフレーム状の骨組み体である構造体3を構築している。また、台船1の上の周囲には、台船1上の作業者のための安全柵32を設けている。
【0031】
台船1の上には、昇降機(ウィンチ)4を設置して、この昇降機4の昇降用ロープ5で構造体3の上位置のシーブ3aを介して散気管6を吊り下げ、この散気管6を穴1aから水中に昇降可能に垂れ下がらせている。
【0032】
散気管6は、図9(a)(b)に詳細に示すように、中空のパイプをリング状に丸めて、その上部に多数の散気孔6aを円周上略等角度間隔で形成したものである。また、散気管6の中央部には中空ボックス15が設けられ、この中空ボックス15と散気管6とが円周上3等分位置のパイプ16で連結されている。
【0033】
中空ボックス15の上部には、昇降機4の昇降用ロープ5の下端部を連結する連結金具15aが着脱可能に取付けられるとともに、散気管6の外周部には、パイプ16の連結位置に対応して、後述する振れ止め用ロープ7の一端部を連結する連結金具6bが取付けられている。
【0034】
中空ボックス15の下部には、中空パイプ15bが連結され、この中空パイプ15bの内部には、中空ボックス15に空気を導入する導入パイプ15cが連結されている。この導入パイプ15cには、陸上の管理棟11(図1参照)からの空気供給チューブ17が接続されている。なお、第1実施形態では、図9で示した中空パイプ15bと導入パイプ15cとの間の空間に、散気管6の浮き上がり防止用ウェイト33が収納されている。また、第1実施形態では、図9に図示されている振れ止め部材18(後述)は特に設ける必要はない。
【0035】
そして、昇降機4による昇降用ロープ5の巻き取り・巻き戻しによって、散気管6の水中での深度を自由に変更する一方、散気管6を穴1aから台船1の上方に持ち上げることにより(図3の二点鎖線a参照)、保守点検等が行えるようにしている。なお、散気管6を台船1の上方に持ち上げて一時係止する構造については後で説明する。
【0036】
この散気管6は、1本の昇降用ロープ5で水中に垂れ下がらせるだけであると、水流の影響で散気管6が不安定に横揺れするので、散気管6から安定した曝気循環流を発生させることができない。
【0037】
そこで、散気管6に、略等角度間隔(本例では120°)の三箇所の位置に振れ止め用ロープ7の一端部を連結するとともに、各振れ止め用ロープ7は、台船上のシーブ(転向部材)8で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結している。
【0038】
そして、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で三方向から散気管6を均等に引っ張ることで、散気管6が水流の影響で横揺れしないようにしている。なお、振れ止め用ロープ7に代えて振れ止め用チェーンを用いることができ、この場合には、シーブ8に代えてスプロケットホイール(転向部材)を用いることになる。
【0039】
第1実施形態は、散気管6の複数箇所に振れ止め用ロープ7の一端部を連結し、各振れ止め用ロープ7は、台船1上のシーブ8で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結したものである。
【0040】
したがって、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を複数方向から略均等に引っ張ることで、散気管6が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが抑制されるようになる。この結果、散気管6から安定した曝気循環流を発生させることができる。
【0041】
なお、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を引っ張るのは、振れ止め用ロープ7を散気管6の昇降に追従させる必要があるためである。なおまた、昇降用ロープ5は、必ずしもロープに限らず、チェーンのような牽引具であってもよい。
【0042】
また、散気管6には、散気用空気が供給されるので浮力が発生することから、浮き上がり防止用ウェイト33を設けることで、散気管6の浮き上がりを防止することができる。なお、散気管6自体の重量を増加させて浮き上がりを防止できれば、浮き上がり防止用ウェイト33を不要とすることが可能である。
【0043】
次に、散気管6を台船1の上方に持ち上げて一時係止する構造について説明する。図4,5は、揺動式フック部材(係止部材)34の実施形態、図6,7は、回転式載せ部材(係止部材)35の実施形態である。
【0044】
図4(a)〜(c)に示すように、台船1の上の構造体3には、昇降機4の昇降用ロープ5で水中から台船1の上方に持ち上げられた散気管6の略中心部分を係止して、持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材であるフック部材34が設けられている。
【0045】
具体的には、散気管6の略中心部分である中空ボックス15の上部には、図4(c)のように、逆U字状の被係止部材36が固定され、この被係止部材36の上部に、昇降機4の昇降用ロープ5の下端部を連結する連結金具15aが取付けられている。
【0046】
また、構造体3には、散気管6の被係止部材36を係止するフック部材34が支軸37で左右揺動可能に取付けられている。
【0047】
フック部材34は、常時は、二点鎖線で示す位置に揺動された状態で、係止ピン38(図5参照)で保持されることにより、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際の邪魔にならないようにしている。
【0048】
そして、散気管6が台船1の上方に持ち上げられた後、係止ピン38による仮係止を解除して、フック部材34を実線の位置に揺動させて、フック部材34で散気管6の被係止部材36を係止する。これにより、散気管6は持ち上げ位置に一時係止されるようになる。
【0049】
このように、散気管6を台船1の上方に持ち上げて、フック部材34で持ち上げ位置に一時係止できるから、散気管6の保守点検が台船1の上で容易に行えるようになる。
【0050】
また、散気管6はフック部材34で持ち上げ位置に一時係止されるから、散気管6の点検中に、昇降機4にブレーキをかける必要もなくなる。さらに、散気管6の連結金具15aから昇降用ロープ5の下端部を取り外すこともできるから、昇降用ロープ5や昇降機4の保守点検や交換等も安全かつ容易に行えるようになる。
【0051】
因みに、散気管6を持ち上げ位置に一時係止するフック部材34が無い場合には、浮き上がり防止用ウェイト33を含めて約350Kg(後述)も有る散気管6を、持ち上げ位置から手動で横方向に押して揺動(スイング)させ、構造体3にロープで縛りつける等の非効率的な作業をすることで、持ち上げ位置に一時係止することが想定されていた。この点で、散気管6が不安定な状態での保守点検作業等が無くなるから、安全性が大幅に改善されるようになる。
【0052】
また、係止部材をフック部材34とすれば、散気管6の略中心部分1箇所で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が安全かつ簡単かつ迅速に行えるようになる。なお、フック部材34は、揺動式に限るものではない。
【0053】
図4では、散気管6の中空ボックス15の上部に被係止部材36を設けたが、図5に示すように、散気管6に3本の係止用ロープ39の一端部を略等角度間隔(例えば120°)で連結し、この係止用ロープ39の他端部を束ねる部分に被係止部材36を設けることもできる。
【0054】
図4および図5では、係止部材としてフック部材34を用いたが、図6および図7に示すように、回転式載せ部材35を用いることができる。
【0055】
台船1の上の構造体3には、昇降機4の昇降用ロープ5で水中から台船1の上方に持ち上げられた散気管6の周辺部分を載せて係止して、持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材である複数の載せ部材35が設けられている。
【0056】
具体的には、散気管6は、構造体3から一部がはみ出した状態で持ち上げ位置に持ち上げられるようになっている。そのため、はみ出した部分では、構造体3の左右の2箇所のブラケット40に、散気管6の周辺部分を載せて係止する、ストレート状の載せ部材35(A)が支軸41でそれぞれ上下揺動可能に取付けられている。また、はみ出さない部分では、構造体3の1箇所のブラケット40に、散気管6の周辺部分を載せて係止する、逆く字状の載せ部材35(B)が支軸41で上下揺動可能に取付けられている。
【0057】
各載せ部材35(A,B)は、常時は、二点鎖線で示す位置に回転された状態で保持されることにより、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際の邪魔にならないようにしている。
【0058】
そして、散気管6が台船1の上方に持ち上げられた後〔図6(b)、図7(b)の各二点鎖線f参照〕、載せ部材35(A,B)を実線の位置に下向き回転させて、載せ部材35(A,B)に散気管6の周辺部分を載せることで係止する。これにより、散気管6は持ち上げ位置に一時係止されるようになる。
【0059】
なお、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる前に、載せ部材35(A,B)を予め実線の位置に回転させておくこともできる。この場合には、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際に、散気管6の周辺部分に当接することで、載せ部材35(A,B)が僅かに上向きに回転され、散気管6の周辺部分から外れると、載せ部材35(A,B)が自重で下向きに回転するようになる。これにより、散気管6を台船1の上方に持ち上げた状態で、載せ部材35(A,B)を下向き回転させる手間を省くことができる。
【0060】
このように、散気管6を台船1の上方に持ち上げて、載せ部材35(A,B)で持ち上げ位置に一時係止できるから、前述のフック部材34と同様に、散気管6の保守点検が台船1の上で容易に行えるようになる等の効果を得ることができる。
【0061】
また、係止部材を複数の載せ部材35(A,B)とすれば、散気管6を載せて安定した状態で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が安全かつ迅速に行えるようになる。なお、載せ部材35(A,B)は、回転式に限るものではない。
【0062】
図8は、第2実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。第1実施形態では、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で三方向から散気管6を引っ張ることで、散気管6の横揺れを抑制するようにしたものである。
【0063】
ここで、散気管6の横揺れをより確実に抑制するために、シーブ8に電磁ブレーキ13〔図2(b)参照〕をそれぞれ連結することが考えられる。そして、散気管6の昇降時は電磁ブレーキ13をオフし、散気管6の停止時は電磁ブレーキ13をオンすることで、振れ止め用ロープ7にブレーキをかけるものである。
【0064】
ところで、図1のように、台船1に昇降機4、3台の電磁ブレーキ13、盤類等の電気品を設置する場合、電気品に電気供給のため、アンカーロープ14とアンカー12で固定した台船1に対して、ケーブル10を陸上の管理棟11から敷設することになる。
【0065】
ところが、ケーブル10を敷設する場合、手間とコストがかかるうえ、ケーブル長が長くなると、ケーブル自体がコンデンサ状態となって電気品の誤作動が発生しやすいので、これらを改善する必要がある。また、台船1上に設置した電気品は、容易に点検できないことから、出来る限り、電気品を減少させる方が望ましいので、これらも改善する必要がある。
【0066】
そこで、図8および図9の第2実施形態のように、散気管6の下部に、中空パイプ15bに跨って、平面視で円周上6等分位置に、6枚の矩形状振れ止め羽根部18aを有する振れ止め部材(振れ止め板)18を溶接等で取付ける。この振れ止め羽根部18aは、略等角度間隔で少なくとも3枚以上あれば良い。
【0067】
また、振れ止め部材18の下部に、ロープ若しくはチェーン19aで浮き上がり防止用ウェイト33を兼ねる振れ抑制用ウェイト19を連結することもできる。この場合には、図8に二点鎖線で示すように、導入パイプ15cの途中に空気供給チューブ17を接続すればよい。また、振れ抑制用ウェイト19は、振れ止め部材18の中央下部の1箇所に限らず、各振れ止め羽根部18aの下部に均等な重さで連結することもできる。
【0068】
実機では、散気管6の重量は約200Kg、振れ抑制用ウェイト19の重量は約150Kg、カウンターウェイト9の重量は1個当たり約50Kg(3個の合計150Kg)とする。また、振れ抑制用ウェイト19を連結していないタイプでは、浮き上がり防止用ウェイト33を含めた散気管6の重量は約350Kgとする。
【0069】
次に、散気管6の重量や振れ止め部材18付きの形状を決定するために行った実証実験を説明する。
【0070】
図10は〔実験1〕である。〔実験1〕では、散気管6とカウンターウェイト9の重量比を決定するための実験を行った。
【0071】
実験装置としては、図10(a)のように、散気管6を天井26から2m下の水槽27の水中に昇降用ロープ5で吊り下げた。また、散気管6に3本の振れ止め用ロープ7の一端部を連結し、各振れ止め用ロープ7は、天井26のシーブ8で折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結した。
【0072】
そして、散気管6を中立位置から50cm(0.5m)だけ強制的に移動させ(符号c参照)、そこで離した場合の中立位置からの振れ幅Wの寸法および中立位置で停止するまでの時間を測定した。
【0073】
なお、実験装置では、スケールは実機の1/10としたことから、重量比は実機の1/1000で行った。
【0074】
図10(b)は、カウンターウェイト9の重量と散気管6の振れ幅との関係を示すグラフ、図10(c)は、カウンターウェイト9の重量と散気管6の振れ停止時間との関係を示すグラフである。
【0075】
図10(b)のように、散気管6の振れ幅は、カウンターウェイト9の重量を大きくするほど、振れ幅が抑制されることが分かった。
【0076】
図10(c)のように、散気管6の停止時間は、0.05Kg(実機では50Kg/1個…3個合計150kg)を超えると、停止までに時間がかかることが分かった。これは、カウンターウェイト9の重量が増えることで、これと比較すれば散気管6の重量が軽くなったことになるので、散気管6の安定性が減少したものと考えられる。
【0077】
この結果、散気管6の重量0.35Kg(実機では350Kg)に対して、カウンターウェイト9の重量は0.05Kg(実機では50Kg/1個…3個合計150kg)が最適である。
【0078】
図11および図12は〔実験2〕である。〔実験2〕では、散気管6の振れ抑制用ウェイト19の効果を把握するため、図1および図2の第1実施形態との比較受験を行った。
【0079】
実験装置としては、図10(a)に加えて、散気管6の側面にロープ28の一端部を連結し、水槽27内と天井26のシーブ29a,29bで折り返して、その他端部にウェイト30を連結した。
【0080】
散気管6は、第1実施形態と同じ方式で電磁ブレーキ付きのものをタイプAとし、電磁ブレーキ無しのものをタイプBとした。
【0081】
第2実施形態の内、振れ止め部材18付き散気管6をタイプCとし、振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19付き散気管6をタイプDとした。
【0082】
そして、〔実験1〕と同様に、散気管6を中立位置から50cm(0.5m)だけ強制的に移動させ(符号c参照)、そこで離した場合の中立位置からの振れ幅Wの寸法および中立位置で停止するまでの時間を測定した。
【0083】
また、散気管6を矢印dの方向にウェイト30(0.05Kg…実機では50Kg)で引っ張り、20cmまでの到達時間を計測した。
【0084】
図12(a)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の振れ幅の関係を示すグラフ、図12(b)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の振れ停止時間の関係を示すグラフ、図12(c)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の到達時間の関係を示すグラフである。
【0085】
図12(a)のように、散気管6の振れ幅は、タイプA,Bが大きく、タイプC,Dはいずれも振れ幅が抑制されることが分かった。
【0086】
図12(b)のように、散気管6の停止時間は、タイプA,Bが長く、タイプC,Dはいずれも短いことが分かった。
【0087】
図12(c)のように、散気管6の到達時間は、タイプA,Bが短く、タイプC,Dはいずれも長いことが分かった。これは、タイプCでは振れ止め部材18の影響、タイプDでは振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19の影響で移動抵抗が大きくなっていることが分かった。すなわち、移動抵抗が大きいことは、散気管6が移動しにくい、つまり、横揺れしにくいことを意味している。
【0088】
この結果、第2実施形態の内、振れ止め部材18付き散気管6のタイプCと、振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19付き散気管6をタイプDのいずれであっても横揺れしにくいことになる。
【0089】
第2実施形態の昇降式曝気循環装置であれば、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を引っ張る構成に加えて、散気管6の下部に振れ止め部材18を取付けたから、この振れ止め部材18の各振れ止め羽根部18aが大きな抵抗となって、散気管6が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが、より抑制されるようになる。
【0090】
また、散気管6の横揺れが抑制されるから、振れ止め用ロープ7にブレーキをかける必要がなくなるので、振れ止め用ロープ7の電磁ブレーキ(電気品)13を廃止できる。そのため、電気品である台船1の電気品は昇降機(ウィンチ)4だけとなるから、この電源として、図8のように、ソーラ発電パネル31Aや風力発電機31B、またはこれらの組み合わせのようなクリーンエネルギーを台船1に搭載することが可能となる。この場合、昇降機4はリモコンで遠隔操作可能であるから、電気供給用ケーブルの敷設のための手間とコストが不要となり、長いケーブルに起因する電気品の誤作動の発生もなくなる。
【0091】
また、振れ止め部材18に少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部18aを有すれば、あらゆる方向からの水流や振動であっても横揺れを抑制することができる。また、構造はきわめて簡単でコスト安であり、故障も無く、既存の装置にも僅かに改造するだけで適用することができる。
【0092】
さらに、振れ止め部材18の下部に振れ抑制用ウェイト19を連結することで、特に運転初期の振れの発生も効果的に防止することができる。
【0093】
第2実施形態では、振れ止め部材18として、振れ止め羽根部18aを有する振れ止め板の構成であったが、大きな抵抗が得られる構成であれば、振れ止め板に限られるものではなく、それ以外の構成でもよいことは言うまでもない。
【0094】
また、第2実施形態の振れ止め羽根部18aは、矩形状であったが、例えば図13(b)のような三角形状、図13(c)のような逆三角形状であってもよい。このようにすれば、矩形状と比べて、水の抵抗を半減させることができる。
【0095】
さらに、振れ止め羽根部18aには、図13(a)のように、水を通して抵抗を調整するための多数の貫通孔18cが形成されていてもよい。この貫通孔18cの個数の増減で水の抵抗を調整することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 台船
2 フロート
3 構造体
4 昇降機
5 昇降用ロープ
6 散気管
7 振れ止め用ロープ
8 シーブ(転向部材)
9 カウンターウェイト
18 振れ止め部材
18a 振れ止め羽根部
19 振れ抑制用ウェイト
33 浮き上がり防止用ウェイト
34 フック部材(係止部材)
35 載せ部材(係止部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降式曝気循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水上に浮かぶ台船から水中に昇降可能に垂れ下がらせた空気噴出手段(散気管)を備えた湖沼等の浄化装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
この浄化装置では、台船上の空気管昇降装置で回動管を回動させるとともに、この回動管に、空気噴出手段を取付けた下垂管を回動自在に連結して、回動管の回動で空気噴出手段の深さを変えるようにしている。また、ケーブルの巻き取り・巻き戻しで、空気管とともに空気噴出手段の深さを変えるようにしたものもある。
【0004】
ところで、回動管と下垂管で空気噴出手段の深さを変える技術、あるいはケーブルと空気管で空気噴出手段の深さを変える技術は、いずれも管長さに構造的な限界があることから、空気噴出手段の深さ位置にも限界がある。
【0005】
そのため、台船上の昇降機(ウィンチ)の1本のロープに空気噴出手段を連結して、ロープの巻き取り・巻き戻しで空気噴出手段の深さを自由に変えるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−136691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、空気噴出手段は、1本のロープで水中に垂れ下がらせるだけであるから、水流や波浪等による振動の影響で空気噴出手段が不安定に横揺れするので、空気噴出手段から安定した曝気循環流を発生させることができないという問題がある。
【0008】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、空気噴出手段である散気管を1本のロープで水中に垂れ下がらせる構造であっても、散気管の横揺れを効果的に抑制できるようにした昇降式曝気循環装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、水上に浮かぶ台船と、この台船上に設置された昇降機と、この昇降機の昇降用ロープで水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管とを備えた昇降式曝気循環装置において、前記散気管に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープと、台船上に設置されて各振れ止め用ロープを水中に折り返す転向部材と、各振れ止め用ロープの他端部に連結されたカウンターウェイトとを備えていることを特徴とする昇降式曝気循環装置を提供するものである。
【0010】
請求項2のように、前記散気管に、浮き上がり防止用ウェイトが設けられている構成とすることができる。
【0011】
請求項3のように、前記散気管は、昇降機の昇降用ロープで水中から台船の上方に持ち上げ可能であり、台船の上に、持ち上げられた散気管を持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材が設けられている構成とすることができる。
【0012】
請求項4のように、前記係止部材は、散気管の略中心部分を係止するフック部材である構成とすることができる。
【0013】
請求項5のように、前記係止部材は、散気管の周辺部分を載せて係止する複数の載せ部材である構成とすることができる。
【0014】
請求項6のように、前記散気管の下部に、振れ止め部材が取付けられている構成とすることができる。
【0015】
請求項7のように、前記振れ止め部材は、略等角度間隔で少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有する構成とすることができる。
【0016】
請求項8のように、前記振れ止め部材の下部に、前記浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトが連結されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、散気管の複数箇所に振れ止め用ロープの一端部を連結し、各振れ止め用ロープは、台船上の転向部材で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイトを連結したものである。
【0018】
したがって、カウンターウェイトを付けた振れ止め用ロープで散気管を複数方向から略均等に引っ張ることで、散気管が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが抑制されるようになる。この結果、散気管から安定した曝気循環流を発生させることができる。
【0019】
請求項2によれば、散気管には、散気用空気が供給されるので浮力が発生することから、浮き上がり防止用ウェイトを設けることで、散気管の浮き上がりを防止することができる。なお、散気管自体の重量を増加させて浮き上がりを防止できれば、浮き上がり防止用ウェイトを不要とすることが可能である。
【0020】
請求項3によれば、散気管を台船の上方に持ち上げて、係止部材で持ち上げ位置に一時係止できるから、散気管の保守点検が台船の上で容易に行えるようになる。また、散気管は係止部材で持ち上げ位置に一時係止されるから、散気管の点検中に、昇降機にブレーキをかける必要もなくなる。さらに、散気管から昇降用ロープを取り外すこともできるから、昇降用ロープや昇降機の保守点検や交換等も安全かつ容易に行えるようになる。
【0021】
請求項4によれば、係止部材をフック部材とすれば、散気管の略中心部分1箇所で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0022】
請求項5によれば、係止部材を複数の載せ部材とすれば、散気管を載せて安定した状態で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0023】
請求項6によれば、振れ止め用ロープで散気管を引っ張る構成に加えて、散気管の下部に振れ止め部材を取付けたから、この振れ止め部材が大きな抵抗となって、散気管が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが、より抑制されるようになる。
【0024】
また、散気管の横揺れが抑制されるから、振れ止め用ロープにブレーキをかける必要がなくなるので、振れ止め用ロープの電磁ブレーキ(電気品)を廃止できる。そのため、電気品である台船の電気品は昇降機(ウィンチ)だけとなるから、ソーラ発電や風力発電(またはこれらの組み合わせ)のようなクリーンエネルギーを台船に搭載することが可能となる。この場合、昇降機はリモコンで遠隔操作可能であるから、電気供給用ケーブルの敷設のための手間とコストが不要となり、長いケーブルに起因する電気品の誤作動の発生もなくなる。
【0025】
請求項7によれば、振れ止め部材に少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有すれば、あらゆる方向からの水流や振動であっても横揺れを抑制することができる。また、構造はきわめて簡単でコスト安であり、故障も無く、既存の装置にも僅かに改造するだけで適用することができる。
【0026】
請求項8によれば、振れ止め部材に、浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトを連結することで、特に運転初期の振れの発生も効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第1実施形態の昇降式曝気循環装置の全体側面図である。
【図2】図1の台船であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】第1実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。
【図4】フック部材を備えた第1実施形態の昇降式曝気循環装置であり、(a)は要部側面図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は被係止部材部分の拡大図である。
【図5】係止用ロープを付けた散気管の側面図である。
【図6】載せ部材を備えた第1実施形態の昇降式曝気循環装置であり、(a)は要部側面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図7】図6の載せ部材であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】本発明に係る第2実施形態の昇降式曝気循環装置の要部側面図である。
【図9】散気管であり、(a)は平面図、(b)は要部断面側面図である。
【図10】(a)は実験1の実験装置の略画図、(b)は実験1のカウンターウェイトの重量と散気管の振れ幅との関係を示すグラフ、(c)は実験1のカウンターウェイトの重量と散気管の振れ停止時間との関係を示すグラフである。
【図11】実験2の実験装置の略画図である。
【図12】(a)は実験2の各タイプにおける散気管の振れ幅の関係を示すグラフ、(b)は実験2の各タイプにおける散気管の振れ停止時間の関係を示すグラフ、(c)は実験2の各タイプにおける散気管の到達時間の関係を示すグラフである。
【図13】(a)〜(c)は、それぞれ振れ止め羽根部の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態の昇降式曝気循環装置の全体側面図である。図2は、図1の台船であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図3は、第1実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、平面視で略正三角状の台船1を設け、この台船1を頂点部分の下部にそれぞれ取付けたフロート2で水上に浮かばせるようにしている。
【0030】
台船1の中央部分に略六角形の穴1aを形成し、台船1の上には、穴1aの真上に位置するフレーム状の骨組み体である構造体3を構築している。また、台船1の上の周囲には、台船1上の作業者のための安全柵32を設けている。
【0031】
台船1の上には、昇降機(ウィンチ)4を設置して、この昇降機4の昇降用ロープ5で構造体3の上位置のシーブ3aを介して散気管6を吊り下げ、この散気管6を穴1aから水中に昇降可能に垂れ下がらせている。
【0032】
散気管6は、図9(a)(b)に詳細に示すように、中空のパイプをリング状に丸めて、その上部に多数の散気孔6aを円周上略等角度間隔で形成したものである。また、散気管6の中央部には中空ボックス15が設けられ、この中空ボックス15と散気管6とが円周上3等分位置のパイプ16で連結されている。
【0033】
中空ボックス15の上部には、昇降機4の昇降用ロープ5の下端部を連結する連結金具15aが着脱可能に取付けられるとともに、散気管6の外周部には、パイプ16の連結位置に対応して、後述する振れ止め用ロープ7の一端部を連結する連結金具6bが取付けられている。
【0034】
中空ボックス15の下部には、中空パイプ15bが連結され、この中空パイプ15bの内部には、中空ボックス15に空気を導入する導入パイプ15cが連結されている。この導入パイプ15cには、陸上の管理棟11(図1参照)からの空気供給チューブ17が接続されている。なお、第1実施形態では、図9で示した中空パイプ15bと導入パイプ15cとの間の空間に、散気管6の浮き上がり防止用ウェイト33が収納されている。また、第1実施形態では、図9に図示されている振れ止め部材18(後述)は特に設ける必要はない。
【0035】
そして、昇降機4による昇降用ロープ5の巻き取り・巻き戻しによって、散気管6の水中での深度を自由に変更する一方、散気管6を穴1aから台船1の上方に持ち上げることにより(図3の二点鎖線a参照)、保守点検等が行えるようにしている。なお、散気管6を台船1の上方に持ち上げて一時係止する構造については後で説明する。
【0036】
この散気管6は、1本の昇降用ロープ5で水中に垂れ下がらせるだけであると、水流の影響で散気管6が不安定に横揺れするので、散気管6から安定した曝気循環流を発生させることができない。
【0037】
そこで、散気管6に、略等角度間隔(本例では120°)の三箇所の位置に振れ止め用ロープ7の一端部を連結するとともに、各振れ止め用ロープ7は、台船上のシーブ(転向部材)8で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結している。
【0038】
そして、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で三方向から散気管6を均等に引っ張ることで、散気管6が水流の影響で横揺れしないようにしている。なお、振れ止め用ロープ7に代えて振れ止め用チェーンを用いることができ、この場合には、シーブ8に代えてスプロケットホイール(転向部材)を用いることになる。
【0039】
第1実施形態は、散気管6の複数箇所に振れ止め用ロープ7の一端部を連結し、各振れ止め用ロープ7は、台船1上のシーブ8で水中に折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結したものである。
【0040】
したがって、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を複数方向から略均等に引っ張ることで、散気管6が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが抑制されるようになる。この結果、散気管6から安定した曝気循環流を発生させることができる。
【0041】
なお、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を引っ張るのは、振れ止め用ロープ7を散気管6の昇降に追従させる必要があるためである。なおまた、昇降用ロープ5は、必ずしもロープに限らず、チェーンのような牽引具であってもよい。
【0042】
また、散気管6には、散気用空気が供給されるので浮力が発生することから、浮き上がり防止用ウェイト33を設けることで、散気管6の浮き上がりを防止することができる。なお、散気管6自体の重量を増加させて浮き上がりを防止できれば、浮き上がり防止用ウェイト33を不要とすることが可能である。
【0043】
次に、散気管6を台船1の上方に持ち上げて一時係止する構造について説明する。図4,5は、揺動式フック部材(係止部材)34の実施形態、図6,7は、回転式載せ部材(係止部材)35の実施形態である。
【0044】
図4(a)〜(c)に示すように、台船1の上の構造体3には、昇降機4の昇降用ロープ5で水中から台船1の上方に持ち上げられた散気管6の略中心部分を係止して、持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材であるフック部材34が設けられている。
【0045】
具体的には、散気管6の略中心部分である中空ボックス15の上部には、図4(c)のように、逆U字状の被係止部材36が固定され、この被係止部材36の上部に、昇降機4の昇降用ロープ5の下端部を連結する連結金具15aが取付けられている。
【0046】
また、構造体3には、散気管6の被係止部材36を係止するフック部材34が支軸37で左右揺動可能に取付けられている。
【0047】
フック部材34は、常時は、二点鎖線で示す位置に揺動された状態で、係止ピン38(図5参照)で保持されることにより、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際の邪魔にならないようにしている。
【0048】
そして、散気管6が台船1の上方に持ち上げられた後、係止ピン38による仮係止を解除して、フック部材34を実線の位置に揺動させて、フック部材34で散気管6の被係止部材36を係止する。これにより、散気管6は持ち上げ位置に一時係止されるようになる。
【0049】
このように、散気管6を台船1の上方に持ち上げて、フック部材34で持ち上げ位置に一時係止できるから、散気管6の保守点検が台船1の上で容易に行えるようになる。
【0050】
また、散気管6はフック部材34で持ち上げ位置に一時係止されるから、散気管6の点検中に、昇降機4にブレーキをかける必要もなくなる。さらに、散気管6の連結金具15aから昇降用ロープ5の下端部を取り外すこともできるから、昇降用ロープ5や昇降機4の保守点検や交換等も安全かつ容易に行えるようになる。
【0051】
因みに、散気管6を持ち上げ位置に一時係止するフック部材34が無い場合には、浮き上がり防止用ウェイト33を含めて約350Kg(後述)も有る散気管6を、持ち上げ位置から手動で横方向に押して揺動(スイング)させ、構造体3にロープで縛りつける等の非効率的な作業をすることで、持ち上げ位置に一時係止することが想定されていた。この点で、散気管6が不安定な状態での保守点検作業等が無くなるから、安全性が大幅に改善されるようになる。
【0052】
また、係止部材をフック部材34とすれば、散気管6の略中心部分1箇所で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が安全かつ簡単かつ迅速に行えるようになる。なお、フック部材34は、揺動式に限るものではない。
【0053】
図4では、散気管6の中空ボックス15の上部に被係止部材36を設けたが、図5に示すように、散気管6に3本の係止用ロープ39の一端部を略等角度間隔(例えば120°)で連結し、この係止用ロープ39の他端部を束ねる部分に被係止部材36を設けることもできる。
【0054】
図4および図5では、係止部材としてフック部材34を用いたが、図6および図7に示すように、回転式載せ部材35を用いることができる。
【0055】
台船1の上の構造体3には、昇降機4の昇降用ロープ5で水中から台船1の上方に持ち上げられた散気管6の周辺部分を載せて係止して、持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材である複数の載せ部材35が設けられている。
【0056】
具体的には、散気管6は、構造体3から一部がはみ出した状態で持ち上げ位置に持ち上げられるようになっている。そのため、はみ出した部分では、構造体3の左右の2箇所のブラケット40に、散気管6の周辺部分を載せて係止する、ストレート状の載せ部材35(A)が支軸41でそれぞれ上下揺動可能に取付けられている。また、はみ出さない部分では、構造体3の1箇所のブラケット40に、散気管6の周辺部分を載せて係止する、逆く字状の載せ部材35(B)が支軸41で上下揺動可能に取付けられている。
【0057】
各載せ部材35(A,B)は、常時は、二点鎖線で示す位置に回転された状態で保持されることにより、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際の邪魔にならないようにしている。
【0058】
そして、散気管6が台船1の上方に持ち上げられた後〔図6(b)、図7(b)の各二点鎖線f参照〕、載せ部材35(A,B)を実線の位置に下向き回転させて、載せ部材35(A,B)に散気管6の周辺部分を載せることで係止する。これにより、散気管6は持ち上げ位置に一時係止されるようになる。
【0059】
なお、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる前に、載せ部材35(A,B)を予め実線の位置に回転させておくこともできる。この場合には、散気管6が台船1の上方に持ち上げられる際に、散気管6の周辺部分に当接することで、載せ部材35(A,B)が僅かに上向きに回転され、散気管6の周辺部分から外れると、載せ部材35(A,B)が自重で下向きに回転するようになる。これにより、散気管6を台船1の上方に持ち上げた状態で、載せ部材35(A,B)を下向き回転させる手間を省くことができる。
【0060】
このように、散気管6を台船1の上方に持ち上げて、載せ部材35(A,B)で持ち上げ位置に一時係止できるから、前述のフック部材34と同様に、散気管6の保守点検が台船1の上で容易に行えるようになる等の効果を得ることができる。
【0061】
また、係止部材を複数の載せ部材35(A,B)とすれば、散気管6を載せて安定した状態で一時係止することができ、構造が簡単で、係止作業や係止解除作業が安全かつ迅速に行えるようになる。なお、載せ部材35(A,B)は、回転式に限るものではない。
【0062】
図8は、第2実施形態の昇降式曝気循環装置の要部拡大側面図である。第1実施形態では、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で三方向から散気管6を引っ張ることで、散気管6の横揺れを抑制するようにしたものである。
【0063】
ここで、散気管6の横揺れをより確実に抑制するために、シーブ8に電磁ブレーキ13〔図2(b)参照〕をそれぞれ連結することが考えられる。そして、散気管6の昇降時は電磁ブレーキ13をオフし、散気管6の停止時は電磁ブレーキ13をオンすることで、振れ止め用ロープ7にブレーキをかけるものである。
【0064】
ところで、図1のように、台船1に昇降機4、3台の電磁ブレーキ13、盤類等の電気品を設置する場合、電気品に電気供給のため、アンカーロープ14とアンカー12で固定した台船1に対して、ケーブル10を陸上の管理棟11から敷設することになる。
【0065】
ところが、ケーブル10を敷設する場合、手間とコストがかかるうえ、ケーブル長が長くなると、ケーブル自体がコンデンサ状態となって電気品の誤作動が発生しやすいので、これらを改善する必要がある。また、台船1上に設置した電気品は、容易に点検できないことから、出来る限り、電気品を減少させる方が望ましいので、これらも改善する必要がある。
【0066】
そこで、図8および図9の第2実施形態のように、散気管6の下部に、中空パイプ15bに跨って、平面視で円周上6等分位置に、6枚の矩形状振れ止め羽根部18aを有する振れ止め部材(振れ止め板)18を溶接等で取付ける。この振れ止め羽根部18aは、略等角度間隔で少なくとも3枚以上あれば良い。
【0067】
また、振れ止め部材18の下部に、ロープ若しくはチェーン19aで浮き上がり防止用ウェイト33を兼ねる振れ抑制用ウェイト19を連結することもできる。この場合には、図8に二点鎖線で示すように、導入パイプ15cの途中に空気供給チューブ17を接続すればよい。また、振れ抑制用ウェイト19は、振れ止め部材18の中央下部の1箇所に限らず、各振れ止め羽根部18aの下部に均等な重さで連結することもできる。
【0068】
実機では、散気管6の重量は約200Kg、振れ抑制用ウェイト19の重量は約150Kg、カウンターウェイト9の重量は1個当たり約50Kg(3個の合計150Kg)とする。また、振れ抑制用ウェイト19を連結していないタイプでは、浮き上がり防止用ウェイト33を含めた散気管6の重量は約350Kgとする。
【0069】
次に、散気管6の重量や振れ止め部材18付きの形状を決定するために行った実証実験を説明する。
【0070】
図10は〔実験1〕である。〔実験1〕では、散気管6とカウンターウェイト9の重量比を決定するための実験を行った。
【0071】
実験装置としては、図10(a)のように、散気管6を天井26から2m下の水槽27の水中に昇降用ロープ5で吊り下げた。また、散気管6に3本の振れ止め用ロープ7の一端部を連結し、各振れ止め用ロープ7は、天井26のシーブ8で折り返して、その他端部にカウンターウェイト9を連結した。
【0072】
そして、散気管6を中立位置から50cm(0.5m)だけ強制的に移動させ(符号c参照)、そこで離した場合の中立位置からの振れ幅Wの寸法および中立位置で停止するまでの時間を測定した。
【0073】
なお、実験装置では、スケールは実機の1/10としたことから、重量比は実機の1/1000で行った。
【0074】
図10(b)は、カウンターウェイト9の重量と散気管6の振れ幅との関係を示すグラフ、図10(c)は、カウンターウェイト9の重量と散気管6の振れ停止時間との関係を示すグラフである。
【0075】
図10(b)のように、散気管6の振れ幅は、カウンターウェイト9の重量を大きくするほど、振れ幅が抑制されることが分かった。
【0076】
図10(c)のように、散気管6の停止時間は、0.05Kg(実機では50Kg/1個…3個合計150kg)を超えると、停止までに時間がかかることが分かった。これは、カウンターウェイト9の重量が増えることで、これと比較すれば散気管6の重量が軽くなったことになるので、散気管6の安定性が減少したものと考えられる。
【0077】
この結果、散気管6の重量0.35Kg(実機では350Kg)に対して、カウンターウェイト9の重量は0.05Kg(実機では50Kg/1個…3個合計150kg)が最適である。
【0078】
図11および図12は〔実験2〕である。〔実験2〕では、散気管6の振れ抑制用ウェイト19の効果を把握するため、図1および図2の第1実施形態との比較受験を行った。
【0079】
実験装置としては、図10(a)に加えて、散気管6の側面にロープ28の一端部を連結し、水槽27内と天井26のシーブ29a,29bで折り返して、その他端部にウェイト30を連結した。
【0080】
散気管6は、第1実施形態と同じ方式で電磁ブレーキ付きのものをタイプAとし、電磁ブレーキ無しのものをタイプBとした。
【0081】
第2実施形態の内、振れ止め部材18付き散気管6をタイプCとし、振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19付き散気管6をタイプDとした。
【0082】
そして、〔実験1〕と同様に、散気管6を中立位置から50cm(0.5m)だけ強制的に移動させ(符号c参照)、そこで離した場合の中立位置からの振れ幅Wの寸法および中立位置で停止するまでの時間を測定した。
【0083】
また、散気管6を矢印dの方向にウェイト30(0.05Kg…実機では50Kg)で引っ張り、20cmまでの到達時間を計測した。
【0084】
図12(a)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の振れ幅の関係を示すグラフ、図12(b)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の振れ停止時間の関係を示すグラフ、図12(c)は、各タイプA〜Dにおける散気管6の到達時間の関係を示すグラフである。
【0085】
図12(a)のように、散気管6の振れ幅は、タイプA,Bが大きく、タイプC,Dはいずれも振れ幅が抑制されることが分かった。
【0086】
図12(b)のように、散気管6の停止時間は、タイプA,Bが長く、タイプC,Dはいずれも短いことが分かった。
【0087】
図12(c)のように、散気管6の到達時間は、タイプA,Bが短く、タイプC,Dはいずれも長いことが分かった。これは、タイプCでは振れ止め部材18の影響、タイプDでは振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19の影響で移動抵抗が大きくなっていることが分かった。すなわち、移動抵抗が大きいことは、散気管6が移動しにくい、つまり、横揺れしにくいことを意味している。
【0088】
この結果、第2実施形態の内、振れ止め部材18付き散気管6のタイプCと、振れ止め部材18・振れ抑制用ウェイト19付き散気管6をタイプDのいずれであっても横揺れしにくいことになる。
【0089】
第2実施形態の昇降式曝気循環装置であれば、カウンターウェイト9を付けた振れ止め用ロープ7で散気管6を引っ張る構成に加えて、散気管6の下部に振れ止め部材18を取付けたから、この振れ止め部材18の各振れ止め羽根部18aが大きな抵抗となって、散気管6が水流や波浪等による振動の影響で横揺れすることが、より抑制されるようになる。
【0090】
また、散気管6の横揺れが抑制されるから、振れ止め用ロープ7にブレーキをかける必要がなくなるので、振れ止め用ロープ7の電磁ブレーキ(電気品)13を廃止できる。そのため、電気品である台船1の電気品は昇降機(ウィンチ)4だけとなるから、この電源として、図8のように、ソーラ発電パネル31Aや風力発電機31B、またはこれらの組み合わせのようなクリーンエネルギーを台船1に搭載することが可能となる。この場合、昇降機4はリモコンで遠隔操作可能であるから、電気供給用ケーブルの敷設のための手間とコストが不要となり、長いケーブルに起因する電気品の誤作動の発生もなくなる。
【0091】
また、振れ止め部材18に少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部18aを有すれば、あらゆる方向からの水流や振動であっても横揺れを抑制することができる。また、構造はきわめて簡単でコスト安であり、故障も無く、既存の装置にも僅かに改造するだけで適用することができる。
【0092】
さらに、振れ止め部材18の下部に振れ抑制用ウェイト19を連結することで、特に運転初期の振れの発生も効果的に防止することができる。
【0093】
第2実施形態では、振れ止め部材18として、振れ止め羽根部18aを有する振れ止め板の構成であったが、大きな抵抗が得られる構成であれば、振れ止め板に限られるものではなく、それ以外の構成でもよいことは言うまでもない。
【0094】
また、第2実施形態の振れ止め羽根部18aは、矩形状であったが、例えば図13(b)のような三角形状、図13(c)のような逆三角形状であってもよい。このようにすれば、矩形状と比べて、水の抵抗を半減させることができる。
【0095】
さらに、振れ止め羽根部18aには、図13(a)のように、水を通して抵抗を調整するための多数の貫通孔18cが形成されていてもよい。この貫通孔18cの個数の増減で水の抵抗を調整することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 台船
2 フロート
3 構造体
4 昇降機
5 昇降用ロープ
6 散気管
7 振れ止め用ロープ
8 シーブ(転向部材)
9 カウンターウェイト
18 振れ止め部材
18a 振れ止め羽根部
19 振れ抑制用ウェイト
33 浮き上がり防止用ウェイト
34 フック部材(係止部材)
35 載せ部材(係止部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に浮かぶ台船と、この台船上に設置された昇降機と、この昇降機の昇降用ロープで水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管とを備えた昇降式曝気循環装置において、
前記散気管に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープと、台船上に設置されて各振れ止め用ロープを水中に折り返す転向部材と、各振れ止め用ロープの他端部に連結されたカウンターウェイトとを備えていることを特徴とする昇降式曝気循環装置。
【請求項2】
前記散気管に、浮き上がり防止用ウェイトが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項3】
前記散気管は、昇降機の昇降用ロープで水中から台船の上方に持ち上げ可能であり、台船の上に、持ち上げられた散気管を持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項4】
前記係止部材は、散気管の略中心部分を係止するフック部材であることを特徴とする請求項3に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項5】
前記係止部材は、散気管の周辺部分を載せて係止する複数の載せ部材であることを特徴とする請求項3に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項6】
前記散気管の下部に、振れ止め部材が取付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項7】
前記振れ止め部材は、略等角度間隔で少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有することを特徴とする請求項6に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項8】
前記振れ止め部材の下部に、前記浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトが連結されていることを特徴とする請求項6または7に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項1】
水上に浮かぶ台船と、この台船上に設置された昇降機と、この昇降機の昇降用ロープで水中に昇降可能に垂れ下がらせた散気管とを備えた昇降式曝気循環装置において、
前記散気管に一端部がそれぞれ連結された複数本の振れ止め用ロープと、台船上に設置されて各振れ止め用ロープを水中に折り返す転向部材と、各振れ止め用ロープの他端部に連結されたカウンターウェイトとを備えていることを特徴とする昇降式曝気循環装置。
【請求項2】
前記散気管に、浮き上がり防止用ウェイトが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項3】
前記散気管は、昇降機の昇降用ロープで水中から台船の上方に持ち上げ可能であり、台船の上に、持ち上げられた散気管を持ち上げ位置に一時係止可能な係止部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項4】
前記係止部材は、散気管の略中心部分を係止するフック部材であることを特徴とする請求項3に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項5】
前記係止部材は、散気管の周辺部分を載せて係止する複数の載せ部材であることを特徴とする請求項3に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項6】
前記散気管の下部に、振れ止め部材が取付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項7】
前記振れ止め部材は、略等角度間隔で少なくとも3枚以上の振れ止め羽根部を有することを特徴とする請求項6に記載の昇降式曝気循環装置。
【請求項8】
前記振れ止め部材の下部に、前記浮き上がり防止用ウェイトを兼ねる振れ抑制用ウェイトが連結されていることを特徴とする請求項6または7に記載の昇降式曝気循環装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−143398(P2011−143398A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38239(P2010−38239)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【特許番号】特許第4648990号(P4648990)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(591073337)株式会社丸島アクアシステム (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【特許番号】特許第4648990号(P4648990)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(591073337)株式会社丸島アクアシステム (58)
【Fターム(参考)】
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