説明

昇降補助を伴うジャックハンマー

本発明は、撃発機構(2)と昇降補助機構(3)とを含み、撃発電動工具の昇降および抜脱を促進することによって、その操作のための身体的負担を軽減する、一体型撃発電動工具に関する。一般に、一体型撃発電動工具は、2つのハンドル(11)を備えた垂直円筒体(10)と、上部にわたって配置される2つの手動制御レバー(12、13)と、作業面と係合するための底部の作業ツール(14)および昇降台(15)とを有する、T字形の機械である。第1の手動レバーは、撃発機構の操作を制御するためのものであり、第2の手動レバーは、昇降補助機構の操作を操縦するためのものである。撃発機構および昇降補助機構は両方とも、一体型撃発電動工具の垂直円筒体内に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降補助機構を含み、撃発電動工具の作業面からの昇降および抜脱を促進することによって、重い撃発電動工具の操作のための身体的負担を緩和する、撃発電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧式ジャックハンマー等の携帯用撃発電動工具は、迅速にかつ繰り返し、チゼルビットの端部を衝打し、作業面内に付勢する、直線往復ピストン駆動型アンビルを採用する。その有効性は、その本体の質量の慣性に依存し、重力もまた、各衝打後、その質量を戻して、作業面と接触させるために必要とされる。したがって、撃発電動工具は、非常に重い傾向があり、典型的には、約60〜100ポンドの重量を有する。定常操作の間、操作者は、次の操作のために、繰り返し重い装置を昇降し、再配置することが必要となる。そのような重量の工具を使用して作業を行う場合、操作者は、多大なる身体的負荷に耐えなければならず、したがって、ジャックハンマーを長期間操作することが妨げられる。さらに、チゼルビットもまた、作業が行われる材料内に引っかかる場合が多く、それを除去するために多大な努力を要し、操作を身体的にさらに負担がかかるものとする。結果として、生産性を大幅に低減し、さらにその操作者の健康上の危険性も提起する。
【0003】
機器の昇降および抜脱を促進することによって、これらの身体的負担を軽減するためのいくつかの異なる種類の昇降補助装置が開発されてきた。Longeneckerの特許文献1は、舗装破砕機等の撃発電動工具のための、着脱可能昇降補助装置を開示している。昇降補助装置は、撃発電動工具の取っ手の1つに隣接する操作レバーを備えた絞り弁によって制御される、流体作動式昇降ジャッキである。絞り弁が係合すると、作動媒体は、昇降ジャッキ内に流入し、撃発電動工具を昇降するための力を提供する。絞り弁が係脱すると、作動媒体圧が解放されるが、昇降ジャッキのピストンは、作業面と接触したままとなる。本開示には、昇降ジャッキのピストンのために提供される引込機構は存在しない。しかしながら、ピストンは、手動で収縮位置に押し戻すことが可能である。
【0004】
Eatonの特許文献2は、空気圧式ドリルの昇降のために、作業面と係合する略半円形の台を備えた一対の空気圧式昇降ジャッキを付設することによる、空気圧式ドリルにおける改良例を開示している。また、機構は、空気圧式ドリルが作業位置に戻ると、昇降台を収縮するように提供される。
【0005】
Zarubaの特許文献3は、引っかかった解体工具を解放するための抜出器を備えた、解体工具を開示している。抜出器は、昇降台を備えた空気圧式シリンダを有する。本開示には、ピストンのために提供される引込機構は存在しない。昇降台は、常時、作業面と接触する。流量制御弁は、昇降速度を調節するために提供される。
【0006】
Johnsonの特許文献4は、ジャックハンマーに上方への力を印加するために、空気圧式ジャックハンマーのための空気圧式昇降用アタッチメントを開示している。昇降用アタッチメントは、昇降台を備えたシリンダである。シリンダの本体は、ガイド孔を備えた昇降プレートと、空気圧式ハンマを昇降プレートに固定するための調節可能チェーンとを有する、支持筐体内に封入される。係合されると、昇降台は、常時、作業面と接触する。
【0007】
Jarvinenらの特許文献5は、ジャックハンマーと、昇降補助機構とを含む、人間工学に基づいた工具を開示している。昇降補助機構は、下端に付設された昇降台と、上端に付設されたピストンとを備えた、摺動式フレームを含む。ピストンは、ジャックハンマーの本体上方に直接接続され、動かない。ロッドレスシリンダを含むフレームが移動し、ジャックハンマーを押し上げるための引上力を提供する。
【0008】
1年を超えてそれより前に、本発明者らは、空気圧式ジャックハンマー等の撃発電動工具のための昇降補助装置の試作品を開示した。昇降補助装置は、昇降台を備えた複動シリンダと、5つのポートを備えた市販の4方向制御弁とを含む。作動シリンダおよび方向制御弁は、市販の供給源から調達され、2つの別個の部品として供給される。方向制御弁は、取付金具を使用して、シリンダの上端に取り付けられ、台は、シリンダの下端に取り付けられる。次いで、昇降補助装置は、同一取付金具を使用して、ジャックハンマーの本体上方に固定される。複動シリンダを使用することによって、撃発電動工具の操作中に、昇降補助装置に損傷を及ぼさないように、上方チャンバから下方チャンバへ圧縮空気流の方向を変え、昇降台が収縮されてもよい。この試作品の大きな制約の1つは、20ポンドを超える総重量を有し、昇降補助装置が重くなってしまい、操作者にさらなる不必要な身体的負荷を加えてしまう。
【0009】
しかしながら、これらすべての以前の昇降補助装置は、別個の構成単位として設計され、撃発電動工具の本体に付設される。そのような設計の不利点の1つは、昇降補助装置がさらなる重量を加えてしまい、そのようなアセンブリの運搬が問題となってしまうことである。撃発電動工具のアセンブリと、昇降補助装置との総重量を軽減するための解決策の1つは、昇降補助装置を撃発電動工具の本体に一体化することである。故に、本発明の目的は、昇降補助機構を備える、一体型撃発電動工具を提供することである。
【特許文献1】米国特許第2,622,562号明細書
【特許文献2】米国特許第2,776,653号明細書
【特許文献3】米国特許第4,548,279号明細書
【特許文献4】米国特許第4,986,370号明細書
【特許文献5】米国特許第6,050,345号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、撃発機構と昇降補助機構とを含む撃発電動工具が提供され、撃発電動工具の昇降および抜脱を促進することによって、その操作のための身体的負担を軽減する。一般に、撃発電動工具は、2つのハンドルを備える垂直円筒体と、上部にわたって配置される2つの手動レバーと、作業面と係合するための底部の作業ツールおよび昇降台とを有する、T字形の機械である。第1の手動レバーは、撃発機構の操作を制御するためのものであり、第2の手動レバーは、昇降補助機構の操作を操縦するためのものである。
【0011】
撃発電動工具の撃発機構および昇降補助機構は、撃発電動工具の垂直円筒体内に一体化される。撃発機構は、上方円筒ボア内のピストンと、下方同軸円筒ボアを貫通して延在する摺動式アンビルとを含む、撃発シリンダを有する。下方円筒ボア内に収容される上部を備える作業ツールは、摺動式アンビルの直下に位置する。
【0012】
昇降補助機構は、ピストンロッドの外側端に付設された少なくとも1つの昇降台を備える少なくとも1つの作動シリンダと、方向制御弁を備える制御装置とを含む。制御装置は、撃発工具の垂直円筒体の上部に位置し、昇降台は、作業面と係合する底部に位置する。方向制御弁は、手動レバー(好ましくは、その操作を単純化するために、撃発電動工具のハンドルの1つに隣接する)を使用して操作される。
【0013】
一実施形態では、昇降補助機構の作動シリンダは、偏向バネ等の収縮装置を備える単動シリンダであり、下方収縮チャンバは、収縮装置が配置される同一側に位置し、上方昇降チャンバは、ピストンの反対側に位置する。好ましくは、制御弁は、3方向制御弁である。圧縮空気等の加圧作動媒体がシリンダの昇降チャンバに流入すると、ピストンロッドを備えたピストンが、作業面に対し下方へ移動し、したがって、上方への力を生成し、撃発電動工具を押し上げ、解放する。昇降プロセスの際、バネが圧縮される。方向制御弁がオフ位置に切り替えられると、加圧作動媒体は、シリンダの昇降チャンバから解放され、バネが、上方へ移動させ、収縮させるために、ピストンロッドを付勢し、したがって、撃発電動工具を作業面へ戻す。
【0014】
別の実施形態では、作動シリンダは、昇降チャンバと収縮チャンバとを有する複動シリンダである。好ましくは、制御弁は、4方向制御弁である。弁が作動されると、加圧作動媒体が昇降チャンバに誘導され、ピストンロッドを備えたピストンが、作業面に対し下方へ移動し、したがって、上方への力を生成し、撃発電動工具を押し上げ、解放する。昇降プロセスの際、収縮チャンバ内の加圧作動媒体が解放される。加圧作動媒体が収縮チャンバに誘導され、ピストンロッドは、上方へ移動し、収縮し、撃発電動工具が作業面に戻る。収縮プロセスの際、昇降チャンバ内の加圧作動媒体が、方向制御弁上の排出ポートを通して解放される。
【0015】
さらに別の実施形態では、制御装置は、圧力調整器をさらに含み、昇降チャンバと収縮チャンバとの間の圧力差を制御し、したがって、撃発電動工具と昇降補助装置との総合重量を受けて、昇降操作の揚程および速度を調節する。
【0016】
さらに別の実施形態では、制御装置は、圧力調整器の代わりに、流量制御弁を含む。流量制御弁が使用され、ピストンロッドの引張速度、したがって、撃発電動工具の昇降速度を調節する。また、流量制御弁を使用して、収縮速度を調節してもよい。随意に、制御装置は、昇降および収縮速度が独立して操縦され得るように、2つの流量制御弁を含んでもよい。
【0017】
さらに別の実施形態では、制御装置は、圧力調整器と流量制御器とをさらに含む。したがって、速度および揚程の両方が、前述のように調節されてもよい。
【0018】
さらに別の実施形態では、昇降補助機構は、2つの作動シリンダを含む。2つの作動シリンダは、昇降操作のために均衡が提供されるように配列される。好ましくは、2つの作動シリンダは、撃発シリンダの両側に対称的に配列される。昇降補助機構は、各作動シリンダのピストンロッドの外側端に接続される、昇降台を1つのみ有してもよい。別様に、補助昇降補助機構は、各作動シリンダが、ピストンロッドの外側端に付設された1つの昇降台を有するように、2つの昇降台を有してもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、撃発電動工具は、その運搬を補助するための運搬機構をさらに含む。運搬機構は、少なくとも1つの車輪を含む。車輪は、昇降台であってもよく、または車輪は、撃発電動工具の本体下方に付設されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、撃発機構2と、昇降補助機構3とを含む、撃発電動工具1に関する(図1および2)。撃発電動工具1は、典型的には、ジャックハンマーまたは砕石ドリルであり、岩、コンクリート、アスファルトおよびマカダム等の舗装道路、土壌を粉砕するために使用される。昇降補助機構3は、昇降および抜脱を促進することによって、重い撃発電動工具1の操作のための身体的負担を緩和するために使用される。
【0021】
一般に、撃発電動工具1は、特定の用途に好適となるように、種々の重量で頑丈に構成されたT字形の機械である(図1)。従来のジャックハンマーと同様に、撃発電動工具1は、2つのハンドル11を備えた垂直円筒体10と、上部にわたって配置される2つの手動レバー(12および13)とを有する。底部には、撃発電動工具1は、チゼルまたはドリル等の作業ツール14と、昇降台15とを有する。好ましくは、撃発機構2および昇降補助機構3は、撃発機構2のための撃発シリンダ20と、昇降補助機構3のための少なくとも1つの作動シリンダ50とを格納する、単一垂直円筒体10内に一体化される(図2)。第1の手動レバー12は、撃発機構2の操作を制御するための絞り弁25に接続される。第2の手動レバー13は、昇降補助機構3の操作を操縦するための制御装置51に接続される。好ましくは、第1の手動レバー12は、ハンドル11の一方に隣接し、第2の手動レバー13は、ハンドル11の他方に隣接する。
【0022】
撃発機構2および昇降補助機構3は両方とも、空気圧、流体圧、および電力を含む、種々の種類の動力によって、独立してまたは連動して励起されてもよい。好ましくは、撃発機構2および昇降補助機構3は両方とも、圧縮空気等の単一作動媒体源によって駆動される。典型的には、加圧作動媒体は、加圧作動媒体源から、垂直円筒体10の上部かつハンドル11の下に配置された作動媒体ポート16に、可撓性ホース17を通って供給され、撃発機構2および昇降補助機構3の両方に動力を提供する。
【0023】
本発明の撃発機構2は、舗装破砕機としても知られるジャックハンマー、および砕石ドリル等の特定の用途に好適となるような種々の構成を有してもよい。例示的実施形態(図2)では、撃発機構2は、垂直円筒体10内に格納される撃発シリンダ20によって駆動される。撃発シリンダ20は、上方円筒ボア23内のピストン21と、下方円筒ボア24を貫通して延在する摺動式アンビル22とを含む。上方および下方円筒ボア23および24は、互いに対し同軸上にある。作業ツール14は、摺動式アンビル22下に配置され、第2の円筒ボア24内に収容される上部と、作業面を衝打するように適合される下端とを備える。作業ツール14は、撃発電動工具1の底部に可撤式に付設される。
【0024】
ピストン20を作動させるために、作動媒体分配システムが垂直円筒体10の壁に設けられ、絞り弁25およびダクト35を通して加圧作動媒体源に接続される、垂直円筒体10の上端壁に主要ダクト31を含む。絞り弁25は、手動レバー12によって制御される。また、分岐ダクト32および33が提供され、それを通って、作動媒体が、それぞれ円筒ボア23の上方チャンバ26および下方チャンバ27に輸送される。また、スイッチ機構36が設けられ、分岐ダクト32および33を交互に閉鎖することによって、作動媒体の流動を制御する。操作の際に、円筒ボア23および24内の圧力を解放するために、排出ダクト34は、垂直円筒体10の側壁に設けられ、周囲空気または大気を介して円筒ボア23および24の両方に接続される。
【0025】
通常操作では、最初に、加圧作動媒体が、分岐ダクト32を通って、円筒ボア23の上方チャンバ26に侵入する。作動媒体圧は、ピストン21を摺動式アンビル22まで下方に付勢する。次いで、アンビル22を衝打するピストン21のエネルギが、その下の作業ツール14に伝えられ、作業面を叩打する。ピストン21がアンビル22を衝打すると、スイッチ機構36は、分岐ダクト32を閉鎖することによって、円筒ボア23の上方チャンバ26への作動媒体の流動を遮断し、分岐ダクト33を開放することによって、下方チャンバ27へ流動の方向を変えるように切り替える。次いで、作動媒体圧によって、ピストン21を円筒ボア23の上部まで戻す。同時に、排出ダクト34を通して上方チャンバ26内の媒体を解放することによって、シリンダボア23の上方チャンバ26内の圧力が低減される。ピストン21が上部に達すると、スイッチ機構36は、自動的に反転し、円筒ボア23の上方チャンバ26へ流動の方向を変え、ピストン21が円筒ボア23下方に付勢され、アンビル22および作業ツール14を再び衝打する。このシーケンスは、手動レバー12が押下されるまで、何度も繰り返される。
【0026】
アンビル22およびピストン21を動かす際の摩耗を最小限にするために、加圧作動媒体は、通常、ハンドル11の一方に配置され得るリザーバ(図示せず)から供給される噴油弁によって、潤滑油が差される。摩耗のさらなる低減は、ピストン21によるシリンダ20端部の衝打を防止するために、撃発シリンダ20の上部および底部におけるエアクッションの設計によって達成されてもよい。
【0027】
本発明では、撃発電動工具1の昇降補助機構3もまた、図1、3、および4に示されるような種々の構成を有してもよい。昇降補助機構3は、少なくとも1つの作動シリンダ50と、垂直円筒体10上部の制御装置51とを含む(図2)。制御装置51は、少なくとも方向制御弁310を含む。好ましくは、作動シリンダ50は、垂直円筒体10内に格納され、撃発シリンダ20と平行である。作動シリンダ50は、上部および底部を備え、円筒ボア114内で作動するラムまたはピストン112を含む(図2)。本明細書で使用されるように、用語「ラム」および「ピストン」は、区別することなく交換して使用可能である。さらに、シリンダ50は、上端および下端を備えるピストンロッド113を含む。ピストンロッド113の上端は、ピストン112に付設され、下端は、随意に、昇降台20に付設される。昇降台15は、ピンまたは止ネジでピストンロッド113に固定されてもよい。また、昇降台15は、ネジ端でピストンロッド113に螺嵌されてもよい。昇降台15は、バー、皿、シリンダ、または車輪を含むが、それらに限定されない、種々の形態および形状であってもよい。作動シリンダ50は、作動媒体の動力を直線力に変換し、昇降台15を上下に動かす。
【0028】
作動シリンダ50は、垂直円筒体10内の撃発シリンダ20に対し、種々の位置に配置されてもよい。好ましくは、作動シリンダ50の下端は、作動シリンダ50のピストンロッド113の長さが最小限となるように、垂直円筒体10の下端に近接する。また、作動シリンダ50は、種々のサイズのボアと、種々の長さの行程とを有してもよい。作動シリンダ50は、内径約0.2〜約10インチまたは約0.5〜約5インチを有してもよく、好ましい直径は、約2.0〜約2.75インチである。さらに、作動シリンダ50は、長さ約2〜約30インチまたは約5〜約25インチを有してもよく、好ましい長さは、約18〜約20インチである。作動シリンダ50の行程は、長さ約1〜約25インチまたは約3〜約20インチを有してもよく、好ましい長さは、約16〜約18インチである。また、種々の種類のピストン取付部材を使用して、性能を向上させ、寿命を延ばしてもよい。例えば、調節可能クッション130を設け、ピストン運動の円滑な停止を促進してもよい(図5)。
【0029】
単動および複動シリンダを含む、種々の作動シリンダが本発明で使用されてもよい。一側面では、昇降補助機構3の作動シリンダ50は、偏向バネ、ピストン112、およびピストンロッド113(すべて長手方向ボア114(図6)内に配置される)等の収縮装置111を含む、単動シリンダ110である。また、シリンダ110の本体は、作動媒体ポート115と、空気ポート116とを含む。好ましくは、図6に示されるように、バネ111は、圧縮バネであり、ピストンロッド113が位置する同一側に配置される。代替実施形態では、バネ111は、引張バネであり、ピストン112の反対側に配置される。したがって、円筒ボア114は、必然的に、ピストン112によって2つのチャンバ(昇降チャンバ117、およびバネ111が配置される収縮チャンバ118)に分割される。作動媒体ポート115は、バネ111の反対側である昇降チャンバ117に配置され、空気ポート116は、収縮チャンバ118に配置される。単動シリンダ110は、作動媒体圧を使用して、一方向にピストンロッド113を伸長するための力を提供し、他方向にピストンロッド113を収縮するためのバネ引張を提供する。
【0030】
3方向制御弁311は、通常、単動シリンダ110(図8)の操作を制御するために使用される。概して、方向制御弁311は、入口ポート313と、出口ポート314と、排出ポート315とを有する。ピストン112を作動するために、垂直円筒体10の上端壁の入口ダクト37と、媒体輸送機構ダクト38と、排出ダクト39とを含む、作動媒体分配システムが垂直円筒体10の壁に提供される。入口ダクト37の一端は、ダクト35を通して加圧作動媒体源に接続され、他端は、方向制御弁310の入口ポート313に接続される。媒体輸送機構ダクト38は、一端で出口ポート314に接続され、他端で作動媒体ポート115に接続される。排出ダクト39は、一端で空気ポート116に接続され、他端で主要排出ダクト34に接続される。
【0031】
ピストンロッド113を伸長するために、圧縮空気等の加圧作動媒体は、作動媒体ポート115を通って、シリンダ110の昇降チャンバ117内からダクト38へ誘導される。圧力がピストン112の上部表面上に作用し、ピストン112をピストンロッド113および台15と共に作業面に対し押し下げ、撃発電動工具1を押し上げる。昇降プロセスの際、バネ111は、ピストン112の底部側と円筒ボア114の底部との間で圧縮される。
【0032】
ピストンロッド113を収縮するために、方向制御弁311は、オフ位置に切り替えられ、シリンダ110の昇降チャンバ117内の圧力を解放する。バネ引張によってピストン112が上方へ移動し、したがって、ピストンロッド113を収縮する。作動媒体は、自由に、昇降チャンバ40から作動媒体ポート115およびダクト38に貫流し、制御弁311から流体圧システム内の戻り配管または空気圧式システム内の大気に逆流する。典型的には、シリンダ110の空気ポート116は、ピストンが下方へ移動する際に収縮チャンバから空気を排出し、ピストンが上方へ移動する際に収縮チャンバに空気を吸入するために、ダクト39および34を通して大気と通気する。
【0033】
特定の実施形態では、3方向制御弁311は、2つの位置(すなわち、通常および作動位置)を有する。弁311が作動位置にある場合、入口ポート313および出口ポート314は接続され、したがって、加圧作動媒体は、昇降チャンバ117に流入し、ピストン112をピストンロッド113および台15と共に作業面に対し押し下げ、撃発電動工具1を押し上げる。弁311が通常位置にある場合、入口ポート313は遮断され、出口ポート314は排出ポート315に接続され、したがって、加圧作動媒体は、昇降チャンバ117から解放され、バネ引張によってピストン112が上方へ移動し、ピストンロッド113を収縮する。
【0034】
別の側面では、昇降補助機構3の作動シリンダ50は、複動シリンダ120であり、加圧作動媒体は、ピストン112の一方の側に適用され、力を印加し、上方および下方運動の両方を提供し得る(図7)。典型的には、シリンダ120は、1つのピストン112と、1つのピストンロッド113とを含む(両方とも、長手方向ボア114内に配置される。一方の方向のピストン112およびピストンロッド113の行程は、作動媒体圧によって生成される。また、シリンダ120は、2つの作動媒体ポート(121および122)を含み(シリンダの各端近傍に1つずつ)、方向制御弁によって制御される流動方向に応じて、入口ポートおよび出口ポートに切り替わる。ピストン112の両側に2つの異なる有効作業領域を有する不均衡作動シリンダ120が使用される場合、シリンダ120は、通常、ピストンロッド拡張行程の際により大きな負荷を載荷するピストン120の空の側が、昇降のために使用されるように搭載される。また、円筒ボア114は、ピストン112によって、上部の昇降チャンバ123と、底部の収縮チャンバ124との2つのチャンバに分割される。
【0035】
4方向制御弁312は、通常、複動シリンダ120(図9)の操作を制御するために使用される。概して、方向制御弁312は、5つのポート(すなわち、入口ポート313、出口ポート316および317、排出ポート318および319)を有する。ピストン112を作動するために、垂直円筒体10の上端壁の入口ダクト37と、媒体輸送機構ダクト38および39とを含む、作動媒体分配システムが垂直円筒体10の壁に提供される。入口ダクト37の一端は、ダクト35を通して加圧作動媒体源に接続され、他端は、方向制御弁312の入口ポート313に接続される。媒体輸送機構ダクト38は、一端で出口ポート316に接続され、他端で作動媒体ポート121に接続される。排出ダクト39は、一端で作動媒体ポート122に接続され、他端で出口ポート317に接続される。
【0036】
特定の実施形態では、方向制御弁312は、2つの位置(通常および作動位置)を有する(図9)。方向制御弁312は、シリンダ120の一方の端に加圧作動媒体を誘導するように位置付けられてもよく、変位作動媒体をシリンダ120の反対端から、制御弁312を通って、流体圧システム内の戻り配管または空気圧式システム内の大気に流動させることが可能である。弁312が作動位置にある場合、入口ポート313および出口ポート316は接続され、したがって、加圧作動媒体は、昇降チャンバ123に流入し、ピストン112をピストンロッド113および台15と共に作業面に対し押し下げ、撃発電動工具1を押し上げる。この位置では、出口ポート317もまた、排出ポート318に接続され、作動媒体を収縮チャンバ124から解放する。弁312が通常位置にある場合、入口ポート313は出口ポート317に接続され、したがって、加圧作動媒体は、収縮チャンバ124に流入し、昇降台15を引き込む。この位置では、出口ポート316は、排出ポート319に接続され、作動媒体を昇降チャンバ123から解放させる。
【0037】
特定の実施形態では、方向制御弁310は、3つの位置(昇降のための動作右位置、中央オフ位置、および収縮のための動作左位置)を有する(図10)。4方向、3位置、方向弁320の実施例は、図8に示される。動作右位置は、昇降チャンバ(117または123)への作動媒体の吸気のためであり、動作左位置は、昇降チャンバ(117または123)からの作動媒体の解放のためである。中央オフ位置は、昇降台15を備えるピストンロッド113が伸長された後、チャンバ(117または123)の圧力を維持することを可能にするための機構を提供する。この位置では、作動媒体は、シリンダ50に流入またはそこから流出せず、昇降台15が車輪等の場合、あるいは撃発電動工具1は、図4に示されるような運搬機構を有する場合、撃発電動工具1は、容易に運搬され得る。
【0038】
特定の実施形態では、昇降補助機構3の制御装置51は、ピストンロッド113の移動距離(拡張)、したがって、撃発電動工具1の重量下の揚程の操縦のための圧力調整器320をさらに含む。本明細書で使用されるように、用語「圧力調整器」はまた、供給システムにおける低圧力時に一定の圧力を提供する、圧力低減弁を含む。好ましくは、圧力調整器320は、昇降チャンバの最大圧力を調節するために使用される。圧力調整器320は、昇降チャンバ(117または123)の作動媒体ポート(115または121)と方向制御弁310との間、あるいは方向制御弁310の前に配置されてもよい。シリンダ50が複動シリンダ120である場合、圧力調整器320は、好ましくは、両チャンバの圧力が調節され得るように、方向制御弁310の前に配置される。操作中、圧力は、撃発電動工具1の重量下、特定の用途のための所望の揚程に達するようなレベルに調節されてもよい。揚程は、撃発電動工具1の重量、および2つのチャンバ間の圧力差によって決定される。圧力差が大きいほど、より長く台が移動する。
【0039】
特定の実施形態では、制御装置51は、圧力調整器320の代わりに流量制御弁330を含む。流量制御弁330は、ピストンロッド113の引張速度、したがって、昇降速度を調節するために使用される。流量制御弁330は、方向制御弁310の前または後のいずれかに配置されてもよい。流量制御弁330が方向制御弁310の前に配置される場合、昇降および収縮速度は、使用される複動シリンダ120に対し調節され得る。流量制御弁330が方向制御弁310の後に配置される場合、昇降速度のみ調節可能である。この場合、任意の流量制御弁が追加され、独立して複動シリンダ120の収縮速度を調節してもよい。
【0040】
特定の実施形態では、制御装置は、圧力調整器320と、流量制御器330とをさらに含む。したがって、速度および揚程の両方とも、前述のように調節される。
【0041】
本発明の撃発電動工具1は、撃発機構2と昇降補助機構3との組み合わせである。一実施形態では、撃発電動工具1の昇降補助機構3は、1つの作動シリンダ50と、制御装置51とを含む。また、昇降台15は、撃発電動工具1の操作者に対し、種々の位置であってもよく、昇降補助シリンダ50に対する撃発シリンダ20の相対位置によって決定される。いくつかの非制限例示的構成が、図11に示される。好ましくは、昇降台15は、図11の構成Cである。したがって、昇降台15は、操作者と撃発電動工具1との間に位置する。
【0042】
別の実施形態では、昇降補助機構3は、2つの作動シリンダ50と、制御装置51とを含む。好ましくは、2つの作動シリンダ50は、昇降プロセスの際に均衡が提供されるように構成される。例えば、2つの作動シリンダ50は、撃発電動工具1の垂直円筒体10の両側に、対称的に配列されてもよい(図12)。昇降補助機構3は、各作動シリンダ50のピストンロッド113の外側端に接続される、単一昇降台15を有してもよい。別様に、補助昇降補助機構3は、それぞれ、各作動シリンダ50のピストンロッド113の外側端に付設される、2つの昇降台15を有してもよい。
【0043】
さらに別の実施形態では、撃発電動工具1は、撃発電動工具1の運搬を補助するための運搬機構4をさらに含む。一側面では、昇降台15は、昇降補助機構3および運搬機構4の両方の役割を果たす車輪である。別の側面では、運搬機構4は、垂直円筒体10の下方部分に付設される、少なくとも1つの車輪を有する。好ましくは、運搬機構4は、図4に示されるような2つの車輪を有する。
【0044】
本発明の撃発電動工具1は、種々の高さおよび寸法を有し、特定の用途に好適であってもよい。一側面では、撃発電動工具1は、200ポンド以下、180ポンド以下、160ポンド以下、140ポンド以下、120ポンド以下、110ポンド以下、または100ポンド以下の重量を有する。別の側面では、撃発電動工具1の円筒体は、約16インチ以下、約12インチ以下、10インチ以下、9インチ以下、または8インチ以下の幅を有する。さらに別の側面では、作業ツールが付設されていない撃発電動工具1の本体は、約40インチ以下、約38インチ以下、36インチ以下、インチ34以下、または32インチ以下の高さを有する。
【0045】
昇降補助機構3を備えた撃発電動工具1は、約50〜200psiの様々な範囲の圧力下で操作されてもよい。典型的作動圧力は、約70〜約120psiであり、最も一般的には約90psiである。通常、撃発電動工具1は、−40〜700℃の範囲の温度で動作可能である。撃発電動工具1は、1〜200ポンド、5〜150ポンド、または10〜120ポンドの種々の重量を有してもよい。撃発機構2および昇降補助機構3は、異なる圧力で作動してもよいが、好ましくは、類似圧力で作動する。市販のジャックハンマーと同様に、撃発機構は、圧力約85psiで作動し、毎分1.1〜2.1mの空気量を消費し、毎分打撃数1100〜1500を生じさせてもよい。
【0046】
当業者は、種々の修正が前述の実施形態になされてもよく、それらは依然として、本明細書に記載の本発明の範囲および精神内であることを理解されるであろう。前述の説明は、制限されるものと解釈されるべきではなく、本発明の好ましい実施形態の例示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、単一作動シリンダを有する昇降補助機構を備えた、撃発電動工具の斜視図である。
【図2】図2は、単一作動シリンダを有する昇降補助機構を備えた、撃発電動工具の横断面図である。
【図3】図3は、2つの作動シリンダを有する昇降補助機構を備えた、撃発電動工具の斜視図である。
【図4】図4は、単一作動シリンダを有する昇降補助機構を備えた、撃発電動工具と、撃発電動工具の下方円筒体に付設された2つの車輪を含む運搬機構との斜視図である。
【図5】図5は、作動シリンダの大断面図である。
【図6】図6は、撃発電動工具の昇降および解放を促進するための昇降補助機構内で使用するために、バネを備えた単動シリンダの部分的表示である。
【図7】図7は、撃発電動工具の昇降および解放を促進するための昇降補助機構内で使用するための、複動シリンダの部分的表示である。
【図8A】図8A〜図8Cは、それぞれ2つの位置を備えた、3方向制御弁の概略図、上面図、および側面図である。
【図8B】図8A〜図8Cは、それぞれ2つの位置を備えた、3方向制御弁の概略図、上面図、および側面図である。
【図8C】図8A〜図8Cは、それぞれ2つの位置を備えた、3方向制御弁の概略図、上面図、および側面図である。
【図9A】図9Aおよび図9Bはそれぞれ2つの位置を備えた、4方向制御弁の略図および斜視図である。
【図9B】図9Aおよび図9Bはそれぞれ2つの位置を備えた、4方向制御弁の略図および斜視図である。
【図10A】図10Aおよび図10Bは、それぞれ3つの位置を備えた、4方向制御弁の斜視図および断面図の略図である。
【図10B】図10Aおよび図10Bは、それぞれ3つの位置を備えた、4方向制御弁の斜視図および断面図の略図である。
【図11】図11は、図1の線60〜60に沿った、撃発電動工具の撃発シリンダおよび昇降補助シリンダの代替構成A〜Dの横断面図である。
【図12】図12は、図3の線70〜70に沿った、撃発電動工具の撃発シリンダおよび2つの昇降補助シリンダの代替構成AおよびBの横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
撃発機構と、
昇降補助機構と
を含み、該撃発機構および該昇降補助機構は、該本体内に格納される、撃発電動工具。
【請求項2】
前記撃発機構は、撃発シリンダを含む、請求項1に記載の撃発電動工具。
【請求項3】
前記撃発シリンダは、上方円筒ボアと下方円筒ボアとを含む、請求項2に記載の撃発電動工具。
【請求項4】
前記上方円筒ボアは、ピストンを収容する、請求項3に記載の撃発電動工具。
【請求項5】
前記下方円筒ボアは、摺動式アンビルを収容する、請求項4に記載の撃発電動工具。
【請求項6】
前記上方円筒ボアおよび前記下方円筒ボアは、互いに対し同軸である、請求項5に記載の撃発電動工具。
【請求項7】
前記摺動式アンビルは、該摺動式アンビルの下に配置され、かつ該摺動式アンビルに付設される作業ツールをさらに含む、請求項6に記載の撃発電動工具。
【請求項8】
前記昇降補助機構は、少なくとも1つの作動シリンダと、前記本体の上部に配置される制御装置とを含む、請求項7に記載の撃発電動工具。
【請求項9】
前記作動シリンダは、上部および底部を有するピストンと、ピストンロッドとを収容し、該ピストンロッドの上端は該ピストンに付設され、下端は昇降台に接続される、請求項8に記載の撃発電動工具。
【請求項10】
前記本体は、概して円筒形である、請求項9に記載の撃発電動工具。
【請求項11】
前記撃発機構は、空気圧式に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項12】
前記撃発機構は、流体圧式に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項13】
前記撃発機構は、電気的に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項14】
前記昇降機構は、空気圧式に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項15】
前記昇降機構は、流体圧式に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項16】
前記昇降機構は、電気的に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項17】
前記撃発機構および前記昇降機構は、独立して駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項18】
前記撃発機構および前記昇降機構は、一緒に駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項19】
前記撃発機構および前記昇降機構は、単一の作動媒体によって駆動される、請求項10に記載の撃発電動工具。
【請求項20】
少なくとも1つのハンドルと、2つの手動制御器とをさらに含み、該ハンドルおよび該手動制御器は、前記本体の上部にわたって配置される、請求項1に記載の撃発電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2009−533228(P2009−533228A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500492(P2009−500492)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/006570
【国際公開番号】WO2007/106574
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508276752)インテグレイテッド ツール ソリューションズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】