説明

易開封性包装袋

【課題】開封し易く、かつ開封後に被包装物を速やかに取り出すことができるように改良された易開封性包装袋を提供することを目的とする
【解決手段】易開封性包装袋1は、表側フィルム2と裏側フィルム3とに囲まれて形成された収容部に被包装物を収容するものである。表側フィルム2には、当該包装袋の幅方向に延びる、千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bが設けられている。裏側フィルム3には、当該包装袋の厚み方向の投影において、上記千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bの間に位置するように、幅方向に延びる1本のミシン目7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に易開封性包装袋に関するものであり、より特定的には、開封し易く、かつ開封後に被包装物を速やかに取り出すことができるように改良された易開封性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)を参照して、従来から使用されている食品包装用袋23は、4辺が熱シールされ、表側フィルムと裏側フィルムとに囲まれて形成された収容部に、被包装物である例えばレトルトカレーなどの内容物24が密封されている。開封しやすいように、表側フィルムと裏側フィルムに、幅方向にミシン目25が入れられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−198320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図6(B)を参照して、ミシン目25は、上記幅方向と直交する高さ方向において表も裏も同じ位置に入れられていたので、開封後においても、取り出し口26が塞がれた状態で、切り口の端を指でつまむことができない。ひいては取り出し口26が開かず、内容物24を取り出し難いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、開封し易く、かつ開封後に被包装物を速やかに取り出すことができるように改良された易開封性包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表側フィルムと裏側フィルムとの間に形成された収容部に被包装物を収容する易開封性包装袋に係る。一方の側のフィルムには、当該包装袋の幅方向に延びる、2本のミシン目が設けられ、他方の側のフィルムには、当該包装袋の厚み方向の投影において、上記2本のミシン目の間に位置するように、上記幅方向に延びる1本のミシン目が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように構成することにより、開封後に、上記幅方向と直交する高さ方向において表側の開口端と裏側の開口端との間に段差ができるようになるので、切り口の端を指で容易につまむことができる。
【0008】
上記2本のミシン目は、千鳥足状に形成されるのが好ましい。千鳥足状にミシン目を形成するのは、一方のミシン目と他方のミシン目のいずれかが、必ず袋の左端又は右端に差し掛かかるようにするためである。いずれか一方が、袋の左端又は右端に差し掛かかるようにすることにより、この部分で、切れ目のきっかけが与えられ、開封が容易になる。
【0009】
上記表側フィルムと裏側フィルムは、表層/中間層/シール層の積層構造を有し、上記シール層が内側になるように形成されており、上記それぞれのミシン目は、レーザ加工によって上記表層側からハーフカットすることによって形成されているのが好ましい。
【0010】
上記表層はポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムで形成されており、上記中間層はアルミ箔で形成されており、上記シール層は無延伸ポリプロピレンフィルムで形成されているのが好ましい。
【0011】
上記2本のミシン目は、当該包装袋の上記幅方向と直交する高さ方向において1〜6mm離れて形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開封後に、高さ方向において表側の開口端と裏側の開口端との間に段差ができるようになるので、切り口の端を指で容易につまむことができ、ひいては取り出し口を容易に開けて、内容物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)は、本発明にかかる易開封性包装袋の斜視図であり、(B)は表側から見た正面図であり、(C)は裏側から見た正面図である。
【図2】本発明にかかる易開封性包装袋の動作を説明する図である。
【図3】易開封性包装袋の元となる多層積層フィルムの製造方法を説明する図である。
【図4】ミシン目形成のためのレーザ加工の様子を説明する図である。
【図5】多層積層フィルムから包装袋を製造する工程を説明する図である。
【図6】(A)従来から使用されている食品包装用袋の概念図であり、(B)は従来の食品包装用袋の問題点を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
開封し易く、かつ開封後に被包装物を速やかに取り出すことができるように改良された易開封性包装袋を得るという目的を、開封後に、高さ方向において表側の開口端と裏側の開口端との間に段差ができるようにすることによって実現した。
【0015】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(A)は、本発明にかかる易開封性包装袋の斜視図であり、図1(B)は表側から見た正面図であり、図1(C)は裏側から見た正面図である。
【0017】
これらの図を参照して、易開封性包装袋1は、表側フィルム2と裏側フィルム3とに囲まれて形成された収容部に被包装物を収容するものである。上端を除き、底部4と側部5,5の3辺が熱シールされている。表側フィルム2には、当該包装袋の幅方向に延びる、千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bが設けられている。千鳥足状にミシン目6a、6bを形成したのは、一方のミシン目と他方のミシン目のいずれかが、必ず袋の左端又は右端に差し掛かかるようにするためである。いずれか一方が、袋1の左端又は右端に差し掛かかるようにすることにより、この部分で、切れ目のきっかけが与えられ、開封が容易になる。
【0018】
裏側フィルム3には、当該包装袋1の厚み方向の投影において、上記千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bの間に位置するように、幅方向に延びる1本のミシン目7が設けられている。
【0019】
収容部に被包装物を充填して、上端部を熱シールすることにより、被包装物は密封される。
【0020】
図2を参照して、このように構成された包装袋の動作について説明する。例えば、図示しないが、食品が内容物として密封され、上端部が熱シールされている。ミシン目を開封して内容物を取り出す時に、2本のミシン目6a、6bとミシン目7との間には、上記幅方向と直交する高さ方向において段差があるので、図2(A)(B)(C)を参照して、ミシン目6a、6bのいずれが切れても、開封後において表側の開口部の上端と裏側の開口部の上端との間に段差ができるようになる。2本のミシン目6a、6bの高さ方向の間隔が大きいほど、上記段差は大きくなる。この千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bは、この高さ方向において1〜6mm離れて形成されているのが好ましい。
【0021】
いずれのミシン目6a、6b、7も、易開封性を実現するために、幅方向の孔径及び孔間は、0.2〜1.0mmが好ましい。
【0022】
本発明によれば、開封後に、高さ方向において表側の開口端と裏側の開口端との間に段差ができるようになるので、切り口の端を指で容易につまむことができ、ひいては取り出し口8を容易に開けて、内容物を取り出すことができる。
【0023】
次にこのような易開封性多層積層フィルムの製造方法について説明する。
【0024】
図3を参照して、表層/中間層の2層構造を有する積層フィルムのロール9を準備する。上述の表層/中間層の2層構造を有する積層フィルムにさらに積層して、表層/中間層/シール層を有する3層構造の積層フィルムを形成するための、シール層になるシール用フィルムのロール10を準備する。ロール9を巻き出し軸11に装填し、ロール10を巻き出し軸12に装填する。ロール9からの積層フィルムとロール10からのシール層となるフィルムを、一対のラミネート用ローラー13,13の間に挟みこんで、これらをラミネートし、表層/アルミ中間層/シール層の多層積層フィルム14を形成し、これを巻き取り軸15に巻き取らせる。
【0025】
多層積層フィルム14を巻き取り軸15に巻き取らせる前に、途中の工程で、多層積層フィルム14にレーザ加工によりミシン目を形成する処理を行う。ミシン目を形成する処理は、表層/中間層/シール層の多層積層フィルム14の表層側がレーザ加工機16a、16bに面するように多層積層フィルム14を搬送し、レーザ加工することによって行う。レーザ加工機16aは、千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bを形成する。レーザ加工機16bは、1本のミシン目7を形成する。
【0026】
図4は、レーザ加工の様子を示す、多層積層フィルムの断面図である。多層積層フィルム14は、表層17/中間層18/シール層19からなる。ミシン目6a、6b、7のそれぞれは、レーザ加工で表層側からハーフカットし、表層17のみに形成される。
【0027】
なお、表層17はポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムで形成されるのが好ましいが、これに限定されるものではない。表層17の厚みはポリエステルの場合12μm、ポリアミドの場合15μmである。中間層18はアルミ箔で形成されるのが好ましい。中間層18の厚みは7μmである。シール層19の厚みは50〜70μmである。シール層19は、後述する熱シールするためのものであり、ポリプロピレン系フィルム又はポリエチレン系フィルム、より好ましくは、無延伸ポリプロピレンフィルムで形成されるのが好ましい。
【0028】
ミシン目6a、6b、7は、パルスゼネレータにより測長を行いながらレーザーヘッドにより部分的にレーザを発振し、フィルムへ加工することによって形成される。
【0029】
ミシン目6a、6b、7の形状は、長方形の孔で形成してもよいし、楕円形、角丸長方形、正方形など種々の形状で形成してもよい。
【0030】
次に、ミシン目6a、6b、7が形成された多層積層フィルム14から包装袋を製造する工程を説明する。
【0031】
図5(A)を参照して、上記巻き取り軸15に巻き取られたロールから、表層/中間層/シール層の積層構造を有するミシン目付きの多層積層フィルム14を取り出す。図5(A)(B)を参照して、上記シール層19が内側になるように、かつ千鳥足状に形成された2本のミシン目6a、6bの間に位置する部分に1本のミシン目7が重なるように、矢印方向にミシン目付き多層積層フィルム14を折り曲げる。
【0032】
次に図5(C)を参照して、包装袋の底になる部分にシール部20ができるように熱シールする(シール層が互いに融着してシールされる)。次いで、図5(D)を参照して、包装袋の側部になる部分にサイドシール部21ができるように、熱でサイドシールする。その後図5(E)を参照して、サイドシール部21の中央部分をカットして、包装袋の個片22を切り出す。得られたものが、図1(A)に示す包装袋である。中身である例えばカレーなどの食品を充填し、袋の上端をシールすると内容物が密封される。
【0033】
本発明は、ミシン目の下に位置する部分にチャックを有する袋(チャックを合わせて端から軽くおさえて閉める袋)に有効であるが、これに限られるものでない。
【0034】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、開封し易く、かつ開封後に被包装物を速やかに取り出すことができる易開封性包装袋が得られる。
【符号の説明】
【0036】
1 易開封性包装袋
2 表側フィルム
3 裏側フィルム
4 底部
5 側部
6a、6b ミシン目
7 ミシン目
8 取り出し口
9,10 ロール
11,12 巻き出し軸
13 ラミネート用ローラー
14 多層積層フィルム
15 巻き取り軸
16a、16b レーザ加工機
17 表層
18 中間層
19 シール層
20 シール部
21 サイドシール部
22 包装袋の個片
23 食品包装用袋
24 内容物
25 ミシン目
26 取り出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側フィルムと裏側フィルムとに囲まれて形成された収容部に被包装物を収容する易開封性包装袋において、
一方の側のフィルムには、当該包装袋の幅方向に延びる、2本のミシン目が設けられ、
他方の側のフィルムには、当該包装袋の厚み方向の投影において、前記2本のミシン目の間に位置するように、前記幅方向に延びる1本のミシン目が設けられていることを特徴とする、易開封性包装袋。
【請求項2】
前記2本のミシン目が千鳥足状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の易開封性包装袋。
【請求項3】
前記表側フィルム及び裏側フィルムは、表層/中間層/シール層の積層構造を有し、前記シール層が内側になるように形成されており、
前記それぞれのミシン目は、レーザ加工によって前記表層側からハーフカットすることによって形成されている、請求項1又は2に記載の易開封性包装袋。
【請求項4】
前記表層はポリエステル系フィルム又はポリアミド系フィルムで形成されており、前記中間層はアルミ箔で形成されており、前記シール層は無延伸ポリプロピレンフィルムで形成されている請求項3に記載の易開封性包装袋。
【請求項5】
前記2本のミシン目は、当該包装袋の前記幅方向と直交する高さ方向において1〜6mm離れて形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の易開封性包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−100119(P2013−100119A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244620(P2011−244620)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】