説明

映像信号切換えシステム

【課題】 映像端末装置からの要求による映像信号の切替えは人手により映像信号切替え器の入出力ポートの接続を変更すると共に映像信号の伝送は、波長の異なる光信号に変換・多重化し、受信側で光デマルチプレキサにより分波・電気信号変換した後に映像信号切替え器を経由して映像端末装置に配信していた。このため、映像信号選択切替えの柔軟性と共にシステムの経済性に欠点があった。
【解決手段】 映像信号切替え器のそれぞれの出力ポートが複数の入力ポートのうち任意の一を選択制御するためのポート指定制御回路を映像信号切換・送信装置に内蔵し、映像信号切替え器の出力ポートからの信号は、出力ポート毎に対応した光波長信号に変換後光ファイバを介して映像信号を映像端末装置に配信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入出力ポートを有する映像信号切換えシステム、特に、複数の映像信号に対応する映像信号切換え器の入力ポートから映像端末装置が指定するポートを任意に選択制御し、映像信号切換え器の出力ポートからの信号をポート固有の光波長信号に変換して映像端末装置に配信する映像信号切換えシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号の種類、周波数などの規格は、ARIB(Associ−ation of Radio and Business:社団法人電波産業会)、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers:全米映画テレビジョン技術者協会)などで検討されており、高精細度テレビジョン(HDTV)の普及見通しなどからHD−SDI(High Definition Serial Digital Interface:高精細度直列ディジタル・インターフェイス)フォーマットのBTA(Broadcasting Technology Association)−S004BやSMPTE−292Mなどの規格が注目されている。
【0003】
映像信号のビット速度については、例えば、上記HD−SDIフォーマットのBTA−S004B規格のディジタル信号においては毎秒1.485ギガビット(Gb/s)である。また、映像信号の伝送距離については、同軸線による高周波信号の伝送には信号の立ち上り特性などの特性劣化による誤りが増加するので、長距離の伝送はできず、100メートル程度までの伝送が保証されている。それ以上の長距離伝送には、電気信号を光信号に変換して低損失の光ファイバを媒体とすることにより2キロメートル以上の伝送が達成できるようになっている。
【0004】
また、映像信号としては、例えば、劇場、野球場などでの実況中継のため設置した複数のテレビカメラからの映像や既に録画されたビデオテープなどがある。前者の場合には、スタジオや中継車に各テレビカメラからの映像が電気信号で送信され、これら複数の映像源から適時適切な映像が主として人手により選択切替えられ、その信号を光信号に変換して低損失伝送媒体である光ファイバにより遠方に送信する方法が採られることが多い。後者の場合には、複数の映像信号をマルチプレキサにより多重化して遠方に送信した後に、グループ化された複数のユーザ映像端末装置の中心場所近傍に設置されたデマルチプレキサにより各映像信号を抽出し、ユーザが希望する映像信号を選択する方法が採られることが多い。
いずれの場合にもこれら複数の映像信号から任意の映像信号を選択するには、映像信号切換え器が用いられる。
【0005】
図8は、従来の形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図である。このシステムにおいて、映像信号入力個別同軸線2−1,2−2、・・・、2−nの各々に接続された映像信号源である複数の映像信号は、各入力個別同軸線に対応した電気−光変換器33−1,33−2、・・・33−nによりそれぞれ異なる波長λ1、λ2、・・・、λnの光信号に変換される。互いに波長の異なる各光信号は、光マルチプレキサ36に入力され、光多重化されたそれぞれの映像信号が光マルチプレキサの出力に得られる。この光多重化信号は、同軸線による伝送に比し一定距離当たりの低損失である多重伝送用光ファイバ7により遠方に伝送される。
【0006】
一方、光多重化された映像信号は、グループ化された複数の映像端末装置中心部近傍に設置された受信側光デマルチプレキサ81により、波長λ1、λ2、・・・、λnの各光信号に分波され、分波されたそれぞれの光映像信号は、映像信号個別伝送用光ファイバ82−1,82−2、・・・、82−nを介してそれぞれ固有の光波長信号から電気信号に光−電気変換器83−1、83−2、・・・、83−nにより変換される。光−電気変換器により変換された映像電気信号は、映像信号個別同軸線41−1、41−2、・・・、41−nを介して映像信号切換え器31に入力される。すなわち、これらの映像信号個別同軸線が映像信号切換え器の各入力ポートに接続される。
映像信号切換え器の各出力ポートは、映像信号切換え器出力個別同軸線32−1、32−2、・・・、32−nに接続され、それぞれ対応の映像端末装置51−1,51−2、・・・、51−nに接続されている。
また、同一映像端末装置で他の映像信号を切替えて受信したい場合には、映像端末装置側からの要求に基づき入出力のそれぞれのポートを接続するのに接続ピンを挿入するなど、いわゆる、マトリックス・パッチボードのなどの人手操作により、映像信号切換え器の各入力ポートと出力ポートとの切替えが実施されている。
【0007】
このように、従来の形態においては、それぞれの映像端末装置が選択した映像信号に基づき各映像端末装置で写像される映像を他の映像に切替えたい場合には、映像端末装置側からの切替え要求により人手で映像信号切換え器の入出力ポートを切替えていた。また、複数の映像信号を映像端末装置に伝送するには、複数の映像信号を光マルチプレキサの入力ポートに対応したそれぞれ波長の異なる光信号に変換したのち光信号を多重化して共通に送信し、受信側において多重化された光信号を予め定められた光波長に対応する光デマルチプレキサのそれぞれの出力に分波して出力した後に各出力チャネルの光映像信号を電気映像信号に変換する。その後に、映像信号切換え器により対応する映像端末装置が接続されている映像信号切換え器の出力ポートに信号を切替え接続する配信システムが用いられていた。
【0008】
このため、従来の映像信号切換え器は、各出力ポートの入力ポートに対する選択切替えは人手操作により行われていたので、映像端末装置からの映像信号選択切替えを実時間で実施することができず、入力ポート切替えの柔軟性に欠点があった。
また、従来の映像信号の送受信の形態においては、映像信号源から映像端末装置への伝送距離が比較的近距離である複数のスタジオからの映像モニタやディジタルシネマの番組鑑賞などの場合には、一度映像信号を多重化して共通に送信した後に、受信側においてその多重化された信号を光波長毎に分波する過程、すなわち、光マルチプレックスおよび光デマルチプレックスする過程は必ずしも必要ではなく、経済性の点で問題であった。
さらに、映像信号切換え器の出力ポートから映像端末装置への信号伝送は同軸線を媒体として高速電気信号を伝送しているため、映像端末装置の映像信号切換え器からの設置場所が所定距離以上遠方になると信号劣化が生じる。このため、映像信号切換え器の出力ポートには駆動能力を拡大できる駆動回路が必要となり、経済性の点で欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、映像信号切換え器の各入力ポートに対応した複数の映像信号に対して映像端末装置が要求するポートを任意に切替え選択し、当該選択した映像信号を光信号に変換して映像端末装置に送信する映像信号切換えシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は映像装置毎の映像信号を対応する複数の入力ポートに入力し、それぞれの出力ポートに指定された入力ポートを切替えて映像信号を出力する映像信号切替え器と、上記映像信号を光映像信号に変換する電気−光変換器とを具備し、複数の映像装置による映像信号から映像端末装置が要求する映像信号を切替え選択してそれぞれの映像端末装置に配信するに際して、上記映像信号切替え器のそれぞれの出力ポートが複数の入力ポートのうち一を選択制御するためのポート指定制御回路を映像信号切換・送信装置に内蔵し、上記入力ポートのうち一を選択した映像信号切替え器の出力ポートからの信号は、出力ポート毎に対応した光波長信号に変換後光ファイバを介して映像信号を映像端末装置に配信するようにしたものである。
【0011】
また、上記ポート指定制御回路は、上記それぞれの映像端末装置と入力ポート指定信号線により接続され、当該信号線により送信される映像信号切替え器の入力ポート指定信号を受信し、当該信号により生成した任意の一の上記映像信号切替え器入力ポートを選択制御することにより映像信号をそれぞれの出力ポートに出力するようにしたものである。
【0012】
さらに、上記ポート指定制御回路がそれぞれの映像端末装置からの入力ポート指定信号を受信する信号線は、公衆回線若しくはローカルネットワークであるようにしたものである。
【0013】
そのうえ、上記映像信号切換・送信装置のそれぞれの出力に対応した光波長信号を光マルチプレキサにより多重化して共通送信し、その共通送信された信号をそれぞれ所定の光波長信号に光デマルチプレキサにより分波して所定の光波長映像信号をそれぞれの映像端末装置に配信するようにしたものである。
【0014】
またさらに、上記映像信号切換・送信装置のそれぞれの出力に対応した光波長信号を光マルチプレキサにより多重化して共通送信し、その共通送信された信号をそれぞれ所定の光波長信号に光デマルチプレキサにより分波して得た所定の光波長映像信号を、電気信号に変換したのち映像信号個別同軸線を介してそれぞれの映像端末装置に映像信号を配信するようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像信号切換え器のそれぞれの出力ポートを複数チャネルの入力ポートのうち一を選択制御するため、映像端末装置と入力ポート指定信号線で接続したポート指定制御回路を映像信号切換・送信装置に内蔵し、映像信号切換え器の各出力ポートに映像信号を選択制御するようにしたので、映像信号入力ポートの選択・切換えを人手を介さずに映像端末装置から自動的にでき映像信号の切替の利便性が極めて良い。
また、映像信号源から映像端末装置への伝送距離が比較的近距離である場合には、映像信号切換え器のそれぞれの出力ポートに対応して上記電気−光変換器を介して光ファイバを信号伝送媒体として映像信号を映像端末装置に配信するようにしたので、一度映像信号を光多重化して共通に送信した後に受信側においてその多重化された信号を光波長毎に分波する過程は不要となり、経済性の点で効果がある。
さらに、映像信号切換え器の出力ポートに出力される映像信号を光映像信号に変換し光ファイバを介して映像端末装置に配信するようにしたので、映像信号切換え器の出力に駆動能力を拡大できる駆動回路が不要となり経済性の点で効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のシステムは、ディジタル・ビデオ等を含む各種映像ライブラリの保有者からの映像を、比較的近接する複数の場所でそれぞれにジャンルを選んだり希望する映像をその都度時間により変更して映写する、いわゆる、シネマシアターに実施できる。なお、大画面の映写が必要な場合には拡大プロジェクター等を具備した映像端末装置を利用すればよいのは周知である。
【0017】
また、スポーツ等の実況中継に複数の異なる場所に設置したテレビカメラでの撮影映像をユーザの意向により観る角度等をその都度変更したい等、いわゆる、多元同時中継に実施できる。
【実施例1】
【0018】
次に本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図である。複数の映像装置1−1、1−2、・・・、1−nは、それぞれ映像信号入力個別同軸線2−1、2−2、・・・、2−nにより映像信号切替え・送信装置3の各入力ポートに接続されている。映像信号切替ブロックの各出力ポートからは映像信号個別伝送用光ファイバ4−1、4−2、・・・、4−j、・・・、4−nを介して映像端末装置5−1、5−2、・・・、5−j、・・・、5−nに接続されている。映像端末装置は、入力段に映像端末装置毎にそれぞれ固有の波長の光信号を電気信号に変換する光−電気変換器(O/E)を内臓しており、この電気信号を基に映像信号を受信する。
【0019】
また、それぞれの映像端末装置は、複数の映像装置に対応する映像信号切換え器の入力ポートを選択するための入力ポート指定信号線6−1、6−2、・・・、6−nを出力に有しており、これらの入力ポート指定信号線は映像信号切替ブロックに接続されている。映像端末装置は、当該映像端末装置が接続される出力ポートに映像信号切換えシステムの特定の入力ポートの選択指定信号を送信する。
映像信号切換えシステムは、映像端末装置からの入力ポート指定信号により、当該映像端末装置が接続される出力ポートに複数の映像装置に対応する多チャネルの入力ポートの中から特定の入力ポートと導通するよう動作し、映像信号個別伝送用光ファイバに選択した映像信号を光信号に変換して出力する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る映像信号切換えシステムの映像信号切替え・送信装置の構成を示すブロック図であり、図1の映像信号切替え・送信装置3の詳細構成ブロック図を示したものである。映像信号切換え器31の各入力ポートは、映像装置からの映像信号入力個別同軸線2−1、2−2、・・・、2−i、・・・、2−nが接続されており、各出力ポートには映像信号切換え器出力個別同軸線32−1、32−2、・・・、32−j、・・・、32−nを介し電気−光変換器33−1、33−2、・・・、33−j、・・・、33−nが接続されている。ここで、それぞれの電気−光変換器(E/O)により変換される光信号の波長λ1、λ2、・・・、λj、・・・、λnは、各映像端末装置が受光できる固有の光信号波長である。電気−光変換器の出力は、映像信号個別伝送用光ファイバ4−1、4−2、・・・、4−j、・・・、4−nに接続されている。
また、ポート指定制御回路34の入力は、映像端末装置からの入力ポート指定信号線6−1、6−2、・・・、6−nが接続されている。ポート指定制御回路34の出力であるポート指定制御線35は、映像信号切換え器のポート指定制御信号として映像信号切換え器31に入力されている。このポート指定制御情報により、映像信号切換え器31は、映像端末装置が指定した映像信号対応入力ポートを選択し、当該映像端末装置が接続されている出力ポート32に切替え動作する。
【0021】
図3は、本発明の映像信号切替え・送信装置が有するポート指定制御回路の構成例を示す図であり、図2におけるポート指定制御回路34の詳細構成例を示す図である。また、同図は、本発明のシステムにおける映像装置の数量を16、すなわち、nを16とした場合についての構成を示す図である。それぞれの映像端末装置からの入力ポート指定信号線6−1、6−2、・・・、6−j、・・・、6−nによる4ビットの入力ポート指定信号は、それぞれ対応するラッチ回路340−1、340−2、・・・、340−j、・・・、340−nに入力され、それぞれの映像端末装置から入力ポート指定の変更がない限り従前の各指定情報が保持される。各ラッチ回路の出力は、それぞれ対応する4−16デコーダ343−1、343−2、・・・、343−j、・・・、343−nに入力されている。各デコーダは16の出力のなかからそれぞれの映像端末装置が指定する唯一の映像信号入力ポートのみを“1”として出力する。例えば、第1番目の映像端末装置が第16番目の入力ポートを指定し、第j番目の映像端末装置が第2番目の入力ポートを指定したとすると、上記デコーダ343−1は第16ビット目の出力(本例においては351−n)のみを“1”とし、他ビットの出力はすべて“0”として出力する。また、デコーダ343−jは第2ビット目の出力(本例においては35j−2)のみを“1”とし、他ビットの出力はすべて“0”として出力する。このように、それぞれの映像端末装置は独自に映像信号入力ポートを指定することができる。
【0022】
図4は、本発明の映像信号切替え・送信装置が有する映像信号切換え器の回路構成例を示す図である。各映像装置に対応した映像信号は、映像信号入力個別同軸線2−1、2−2、・・・、2−nによりそれぞれ対応する入力ポートのANDゲート341−pq(pは入力ポートの番号、qは映像端末装置の番号を示す。また、pおよびqは1からnまでの正整数である。以下同様。)の一方の入力に接続されている。
また、上記ANDゲートのそれぞれ他方の入力は、図3に示す各デコーダ343の対応出力と接続されている。例えば、ANDゲート341−11の入力351−1はデコーダ343−1の第1ビット目の出力と接続されており、ANDゲート341−12の入力352−1はデコーダ343−2の第1ビット目の出力と接続されており、ANDゲート341−2jの入力35j−2はデコーダ343−jの第2ビット目の出力と接続されている。
このようにANDゲート341の入力接続が施せれていることにより、例えば、前記の第1番目の映像端末装置が第16番目の入力ポートを指定し第j番目の映像端末装置が第2番目の入力ポートを指定した例においては、デコーダ343−1の第16ビット目の出力351−nとデコーダ343−jの第2ビット目の出力35j−2が“1”でそれぞれ他ビットの出力が“0”であるので、映像信号入力個別同軸線2−nに接続されたANDゲート341−n1および映像信号入力個別同軸線2−2に接続されたANDゲート341−2jがそれぞれ選択される。
【0023】
また、ANDゲート341−pqの出力は次段のORゲート342−1、342−2、・・・、342−nと以下のように接続されている。各映像装置からの映像信号に対するANDゲート341−p1のそれぞれの出力(信号線数量16)はORゲート342−1の入力に接続され、ANDゲート341−p2のそれぞれの出力(信号線数量16)はORゲート342−2の入力に接続される。同様に、ANDゲート341−pjのそれぞれの出力(信号線数量16)はORゲート342−jの入力に接続され、ANDゲート341−pnのそれぞれの出力(信号線数量16)はORゲート342−nの入力に接続されている。ORゲート342−1、342−2、・・・、342−nの出力は、映像信号切換え器出力個別同軸線32−1、32−2、・・・、32−nに接続されている。
【0024】
これにより、上記の第1番目の映像端末装置が第16番目の入力ポートを指定し、第j番目の映像端末装置が第2番目の入力ポートを指定した例においては、選択されたANDゲート341−n1の出力信号がORゲート342−1の出力として得られ、映像信号切換え器出力個別同軸線32−1を介して第1番目の映像端末装置に送信される。また、選択されたANDゲート341−2jの出力信号がORゲート342−jの出力として得られ、映像信号切換え器出力個別同軸線32−jを介して第j番目の映像端末装置に送信される。
【0025】
また、異なる装置番号の第k番目と第m番目(kおよびmは1からnまでの正整数である。以下同様。)の映像端末装置が同一の映像装置に対応する入力ポートpが指定された場合には、同一の映像信号入力個別同軸線に入力接続されるANDゲート341−pkおよびANDゲート341−pmが選択され、選択されたANDゲート341−pkおよびANDゲート341−pmの出力信号がORゲート342−kおよびORゲート342−mの出力として得られ、映像信号切換え器出力個別同軸線32−kおよび映像信号切換え器出力個別同軸線32−mを介して入力ポートpの映像信号が第k番目と第m番目の映像端末装置に送信される。すなわち、複数の異なる映像端末装置から同一の映像装置に対応する入力ポートを任意に指定することができる。
【0026】
以上説明したように、各映像端末装置からの映像信号入力ポートの指定信号を映像信号切換え器に送信することにより、任意に映像装置に対応するポート指定ができるので、映像信号入力ポート指定の融通性が極めて優れている。
【実施例2】
【0027】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図である。本実施例においては、n台でグループを構成する映像端末装置5が映像信号切替え・送信装置3から遠方に位置している場合の映像信号切替・送受信システムの構成を示している。映像信号切替え・送信装置3の出力は、各映像端末装置5が送信要求するそれぞれの映像信号を光マルチプレキサにより多重化した光映像信号である。この信号は、多重伝送用光ファイバ7を経由して光受信装置8により受信される。光受信装置8は、波長多重化された光映像信号から各映像端末装置5−1、5−2、・・・、5−nに対応して割り付けた固有の光波長λを分波する光デマルチプレキサを具備しており、映像端末装置固有の受光光波長で送信された映像信号をそれぞれ分波して映像信号個別伝送用光ファイバ4−1、4−2、・・・、4−nにより配信する。
このような構成であるため、映像信号切替え・送信装置の出力は低損失の光ファイバを介して光受信装置に送信されると共に映像端末装置固有の光波長信号も同軸線に比し低損失の個別伝送用光ファイバを介して光信号で映像端末装置に伝送されるので、駆動能力が大きい電気駆動回路が不要であり、経済性の点で有利である。
【0028】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る映像信号切換えシステムの映像信号切換え・送信装置の光多重化構成を示すブロック図であり、図5の映像信号切替え・送信装置3の構成を示すブロック図である。本構成は、図2に示す映像信号切替え・送信装置の構成の映像信号個別伝送用光ファイバに光マルチプレキサ36を接続した構成である。電気−光変換器により映像端末装置固有の光波長λに変換されたそれぞれの光映像信号を入力接続した光マルチプレキサ36は、それぞれの光映像信号を光波長多重化した光映像信号を多重伝送用光ファイバ7に出力する。
このような構成であるため、映像信号切替え・送信装置から遠方の比較的纏まってグループ化して設置された映像端末装置用の受信装置に対して映像信号を送信するのに各映像端末装置で固有の光波長信号に変換して多重化し、受信装置までの途中の伝送系を低損失の多重伝送用光ファイバにより伝送することができる。
【実施例3】
【0029】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る映像信号切換えシステムの光受信装置の構成を示すブロック図である。各映像端末装置からの切替・送信要求されたそれぞれの映像信号が光マルチプレキサにより多重化された光映像信号は多重伝送用光ファイバ7により光デマルチプレキサ81に接続されている。
各映像端末装置に対応して割り付けられた固有の光波長λの光映像信号が映像端末装置毎に分波され、映像信号個別伝送用光ファイバ82−1、82−2、・・・、82−j、・・・、82−nに出力される。これらの映像信号個別伝送用光ファイバは、それぞれ光−電気変換器83−1、83−2、・・・、83−j、・・・、83−nに接続され、固有の光波長の映像信号が電気映像信号に変換される。この電気映像信号は、映像信号個別同軸線41−1、41−2、・・・、41−j、・・・、41−nに出力され、各映像端末装置に伝送される。
このような構成であるため、映像信号切替え・送信装置から各映像端末装置で固有の光波長信号受信に応じた光信号に変換後途中の伝送系を光多重化して送信し、映像信号を比較的纏まってグループ化して設置された受信装置において光デマルチプレキサにより分波された光信号を電気信号に変換し、当該変換器から比較的近距離の各映像端末装置に映像信号を配信できる。これにより、駆動能力の大きな電気駆動回路が不必要になり経済性の点で有利である。
【実施例4】
【0030】
図8は、本発明の第4の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図である。映像端末装置5−1、5−2、・・・、5−j、・・・、5−nの近傍にそれぞれポート指定情報発信装置9−1、9−2、・・・、9−j、・・・、9−nが設置されており、それぞれポート指定情報発信装置からはポート指定情報送信線61−1、61−2、・・・、61−j、・・・、61−nが公衆通信回線11若しくはローカルエリアネットワーク(LAN)12に接続されている。それぞれの映像端末装置が選択した映像信号に基づき各映像端末装置で写像される映像を他の映像に切替えたい場合には、当該ポート指定情報発信装置から希望する映像信号が映像信号切替え・送信装置3に接続されている入力ポートを指定する情報を送信する。
また、映像信号切替え・送信装置3は、ポート指定情報受信線62−1、・・・、62−j、・・・、62−nにより公衆通信回線11若しくはローカルエリアネットワーク(LAN)12に接続されている。これにより、ポート指定情報発信装置からの入力ポート指定情報を映像信号切替え・送信装置3で受信することができる。なお、この場合のポート指定情報送信線およびポート指定情報受信線で転送される入力ポート指定情報はシリアル情報であることが多く、映像信号切替え・送信装置の当該受信部に設けた直並列変換回路により変換して得られた情報をラッチ回路に入力する手段が適用できるのは周知である。
また、ポート指定情報発信装置はパーソナルコンピュータ(PC)であってもよく、インターネットなどの処理手段を利用した発信であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る映像信号切換えシステムの映像信号切替え・送信装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の映像信号切替え・送信装置が有するポート指定制御回路の構成例を示す図
【図4】本発明の映像信号切替え・送信装置が有する映像信号切換え器の回路構成例を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る映像信号切換えシステムの映像信号切換え器の光多重化構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る映像信号切換えシステムの光分波化構成を示すブロック図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図
【図9】従来の形態に係る映像信号切換えシステムのブロック図
【符号の説明】
【0032】
1−1、1−2、・・・、1−n:映像装置
2−1、2−2、・・・、2−n:映像信号入力個別同軸線
3:映像信号切替え・送信装置、31:映像信号切換え器
4−1、4−2、・・・、4−n、82−1、82−2、・・・、82−n:映像信号個別伝送用光ファイバ
41−1、41−2、・・・、41−n:映像信号個別同軸線
5−1、5−2、・・・、5−n、51−1,51−2、・・・、51−n:映像端末装置
6−1、6−2、・・・、6−n:入力ポート指定信号線
32−1、32−2、・・・、32−n:映像信号切換え器出力個別同軸線
33−1、33−2、・・・、33−n:電気−光変換器
34:ポート指定制御回路、 35:ポート指定制御線
36:光マルチプレキサ 7:多重伝送用光ファイバ
8:光受信装置、 9:ポート指定情報発信装置
11:公衆通信回線 12:ローカルエリアネットワーク(LAN)
61:ポート指定情報送信線 62:ポート指定情報受信線
81:光デマルチプレキサ
83−1、83−2、・・・、83−n:光−電気変換器
340:ラッチ回路、 341:ANDゲート、 342:ORゲート
343:4−16デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像装置毎の映像信号を対応する複数の入力ポートに入力し、それぞれの出力ポートに指定された入力ポートを切替えて映像信号を出力する映像信号切替え器と、
上記映像信号を光映像信号に変換する電気−光変換器とを具備し、
複数の映像装置による映像信号から映像端末装置が要求する映像信号を切替え選択してそれぞれの映像端末装置に配信する映像信号切替えシステムにおいて、上記映像信号切替え器のそれぞれの出力ポートが複数の入力ポートのうち一を選択制御するためのポート指定制御回路を映像信号切換え・送信装置に内蔵し、上記入力ポートのうち一を選択した映像信号切替え器の出力ポートからの信号を、出力ポート毎に対応した光波長信号に変換後光ファイバを介して映像端末装置に配信することを特徴とする映像信号切替えシステム。
【請求項2】
上記ポート指定制御回路は、上記それぞれの映像端末装置と入力ポート指定信号線により接続され、当該信号線により送信される映像信号切替え器の入力ポート指定信号を受信し、当該信号により生成した任意の一の上記映像信号切替え器入力ポートを選択制御することを特徴とする請求項1記載の映像信号切替えシステム。
【請求項3】
上記ポート指定制御回路がそれぞれのポート指定発信装置からの入力ポート指定信号を受信する信号線は、公衆通信回線若しくはローカルネットワークであることを特徴とする請求項2記載の映像信号切替えシステム。
【請求項4】
上記映像信号切換え器のそれぞれの出力ポートに対応した光波長信号を光マルチプレキサにより多重化して共通送信し、当該送信された信号をそれぞれ所定の光波長信号に光デマルチプレキサにより分波してそれぞれの映像端末装置に配信することを特徴とする請求項1記載の映像信号切替えシステム。
【請求項5】
上記映像信号切換え器のそれぞれの出力ポートに対応した光波長信号を光マルチプレキサにより多重化して共通送信し、当該送信された信号をそれぞれ所定の光波長信号に光デマルチプレキサにより分波して得た所定の光波長映像信号を、電気信号に変換したのち映像信号個別同軸線を介してそれぞれの映像端末装置に配信することを特徴とする請求項4記載の映像信号切替えシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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