説明

時刻制御装置及び時刻制御方法

【課題】子局からのデータ収集時間を削減する時刻制御装置及び時刻制御方法を提供することを目的としている。
【解決手段】衛星から情報を受信し、受信した前記情報に基づき第1クロック信号を生成する第1クロック生成部と、第1クロック信号に基づき第2クロック信号を調整し、調整した後に自部及び第1クロック生成部をスリープ状態に制御する制御部と、第2クロック信号に基づき予め定められている第1の時刻に制御部をスリープ状態から復帰させるアラーム信号を生成するアラーム信号生成部と、アラーム信号に基づき制御部がスリープ状態から復帰後、予め定められている第2の時刻と第2クロック信号に基づく時刻とを比較し、比較した結果に基づき割り込み信号を出力するカウンタ部と、を備え、制御部は、カウンタ部が出力した割り込み信号の受信後、所定の動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻制御装置及び時刻制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境監視システム等では、親局と、親局から離れた地点に設置された複数の子局各々が観測した観測データを親局に送信するテレメータシステムが用いられている。これらの子局は、自局が各々有しているRTC(リアル・タイム・クロック)に基づく時刻データを持っている。
【0003】
これに対して、特許文献1に記載の従来技術において、親局は、通信網を介して順次、子局に観測データの送信を要求する。各子局が親局からの送信要求に応じて、観測データを送信する。これにより、親局は、所望の時刻に各子局の観測データを収集していた。つまり、子局は、親局からの送信要求に応じたタイミングで観測データを送信していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−308586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、局からの送信要求が必要なため、各子局からのデータ収集の完了に時間がかかるという課題があった。親局からの送信要求によらず子局が各々持っている時刻データでデータを送信するようにした場合、子局が各々有しているRTCは、部品の特性や、子局が設置されている周辺温度の変化などが原因で誤差が生じる。このため、複数の子局が有しているRTCに誤差が大きくなった場合でも、複数の子局から親局に送信する観測データのタイミングが重ならないように、各子局に設定する送信タイミングの間隔にマージンを加算しておく必要があった。したがって、親局は、子局からの本来のデータ収集以外に送信要求やマージンを含めた時間がかかるという課題があった。

【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、子局からのデータ収集時間を削減する時刻制御装置及び時刻制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る時刻制御装置は、衛星から情報を受信し、受信した前記情報に基づき第1クロック信号を生成する第1クロック生成部と、前記第1クロック信号に基づき第2クロック信号を調整し、調整した後に自部及び前記第1クロック生成部をスリープ状態に制御する制御部と、前記第2クロック信号に基づき予め定められている第1の時刻に前記制御部をスリープ状態から復帰させるアラーム信号を生成するアラーム信号生成部と、前記アラーム信号に基づき前記制御部がスリープ状態から復帰後、予め定められている第2の時刻と前記第2クロック信号に基づく時刻とを比較し、比較した結果に基づき割り込み信号を出力するカウンタ部と、を備え、前記制御部は、前記カウンタ部が出力した割り込み信号の受信後、所定の動作を行うことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の時刻制御装置において、前記第1クロック生成部は、前記制御部が前記所定の動作を行っていないときにスリープ状態から復帰して、前記情報を受信して前記第1クロック信号を生成するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の時刻制御装置において、前記第2クロック信号を生成する第2クロック生成部と、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号との誤差を検出する誤差検出部と、を備え、前記制御部は、前記誤差検出部が検出した誤差で前記カウンタ部に設定する値を調整し、前記カウンタ部が割り込み信号を出力するタイミングを調整するようにしてもよい。
【0010】
また、前記制御部は、前記誤差検出部が検出した誤差が予め定められている値より大きい場合、前記第2クロック生成部が生成する第2クロック信号を調整するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の時刻制御装置において、前記制御部は、前記第2クロック信号を調整した後、前記第1クロック生成部に対して衛星からの情報の受信を停止するように制御し、当該制御部をスリープ状態に制御するようにしてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、時刻制御装置における時刻制御方法であって、
第1クロック生成部が、衛星から情報を受信し、受信した前記情報に基づき第1クロック信号を生成する手段と、制御部が、前記第1クロック信号に基づき第2クロック信号を調整し、調整した後に自部をスリープ状態に制御する手段と、アラーム信号生成部が、前記第2クロック信号に基づき予め定められている第1の時刻に前記制御部をスリープ状態から復帰させるアラーム信号を生成する手段と、カウンタ部が、前記アラーム信号に基づき前記制御部がスリープ状態から復帰後、予め定められている第2の時刻と前記第2クロック信号に基づく時刻とを比較し、比較した結果に基づき割り込み信号を出力する手段と、制御部が、前記カウンタ部が出力した割り込み信号の受信後、所定の動作を行う手段と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の時刻制御装置は、制御部が、衛星から受信した情報に基づき生成された第1クロックに基づいて調整された第2クロック信号に基づくアラーム信号により予め定められている第1の時刻にスリープ状態から復帰する。アラーム信号に基づき制御部がスリープ状態から復帰後、制御部は、カウンタ部が出力する該制御部に所定の動作を行わせるための割り込み信号の受信後、所定の動作を行うようにした。この結果、子局から親局へ精度良くデータを送信できるので、親局は、子局からのデータ収集時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るテレメータシステム1の概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る子局10における時刻制御部11の概略構成図である。
【図3】同実施形態に係る子局10の起動後、初回に行う時刻校正動作のタイミングチャートである。
【図4】同実施形態に係る子局10の制御方法を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るテレメータシステム1の概略構成図である。図1に示すように、テレメータシステム1は、n個の子局10−1〜10−n(nは1以上の自然数)、親局20及びGPS衛星30を含んでいる。なお、テレメータシステムとは、遠隔地において観測した観測データを送信する子局(観測局ともいう)と、この子局から送信された観測データを、通信網を介して受信する親局(監視局ともいう)で構成されるシステムである。以下、子局10−1〜10−nを総称して、子局10という。
【0016】
子局10は、後述するように、時刻制御部を備える。各子局10−1〜10−nの他の機能は、同一であっても異なっていてもよい。子局10は、GPS衛星30が発する航法メッセージs1を受信し、受信した航法メッセージs1に基づき時刻制御部のクロックを校正する。子局10−1は、予め各子局に定められている時刻に、送信データs3−1を親局20に送信する。同様に、子局10−nは、予め各子局に定められている時刻に、送信データs3−nを親局20に送信する。例えば、子局10は、子局10が設置されている場所の温度等の観測データを、送信データとして親局20に送信する。
親局20は、図示しない通信衛星または通信網を介して子局10と通信を行う。親局20は、例えば、各子局10から送信データs3−1〜s3−nを受信する。
なお、親局20は、例えば予め各子局に定められている時刻以外に送信要求s2−1〜s2−nを子局10−nに送信し、子局10−nからの応答である送信データs3−1〜s3−nを受信することで、予め各子局に定められている時刻以外の任意の時刻にもデータを収集できるようにしてもよい。
【0017】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System))衛星30は、GPSで用いられる人工衛星であり、地上から約2万kmの高度の軌道を、一周約12時間で移動する準同期衛星である。GPS衛星30は、宇宙空間に向けて航法メッセージs1を発している。航法メッセージs1には、GPS衛星30に搭載された原子時計からの時刻のデータと、自衛星の天体(軌道)暦情報等が含まれている。
【0018】
次に、子局10の時刻制御部11の構成について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る子局10における時刻制御部11の概略構成図である。図2に示すように、時刻制御部11は、GPS受信部101、RTC102、制御部103、発振器104、第1カウンタ105、RAM106、バックアップ電源部107及び第2カウンタ108を備える。また、時刻制御部11は、アンテナ12に接続されている。なお、GPS受信部101、制御部103、発振器104、第1カウンタ105、バックアップ電源部107、及び第2カウンタ108には、子局10の図示しない電源部から電力が供給されている。
【0019】
GPS受信部101(第1クロック生成部)は、GPS衛星30が発する航法メッセージs1を、アンテナ12を介して受信する。GPS受信部101は、受信した航法メッセージs1に基づきクロック信号GPSPPS(第1クロック信号)を生成し、生成したクロック信号GPSPPS(PPSは、パルス/秒の略である)を第1カウンタ105に出力する。ここで、クロック信号GPSPPSとは、1秒毎の時刻データであるGPS時刻情報に基づくクロック信号である。なお、GPS時刻とは、1週間を周期とするGPS衛星30で管理されている時間である。また、GPS受信部101は、受信した航法メッセージs1から、うるう秒に関する情報を抽出し、抽出したうるう秒に関する情報をRAM106に記憶させる。また、GPS受信部101は、GPS時刻及びうるう秒に関する情報に基づきUTC(協定世界時)を計算し、計算したUTC情報を制御部103に出力する。なお、うるう秒に関する情報とは、UTCにおいて、地球の自転に基づく世界時との差を調整するために用いられる情報である。
【0020】
RTC(リアル・タイム・クロック)102(第2クロック生成部、アラーム信号生成部)は、例えば水晶発振器により生成されたクロック信号RTCPPS(第2クロック信号)を生成し、生成したクロック信号RTCPPSを第1カウンタ105に出力する。RTC102は、生成したクロック信号RTCPPSに基づいて計時情報を生成し、生成した計時情報を制御部103に出力する。また、RTC102は、制御部103により設定されたスリープから復帰する時刻(予め定められている第1の時刻)に、制御部103にアラーム信号を出力する。
【0021】
制御部103は、GPS受信部101、第1カウンタ105、及び第2カウンタ108の電源のオン状態とオフ状態を制御する。制御部103は、RTC102が出力するアラーム信号に基づき、自部をスリープ状態から通常動作状態に復帰させる。なお、スリープ状態とは、制御部103を省電力モードで動作させる状態である。制御部103は、GPS受信部101が出力するUTC情報及びRTC102が出力する計時情報を、図示しない子局10の送受信制御部に出力する。なお、子局10は、親局20に送信データs3−1〜s3−nを送信する際にUTC情報及び計時情報を含めて送信するようにしてもよい。
制御部103は、スリープ状態から復帰後、親局20へデータ送信を行う予め定められている時刻(予め定められている第2の時刻)と、クロック信号RTCに基づく時刻とを比較し、比較結果に基づいてカウント値を第2カウンタ108に出力する。制御部103は、第2カウンタ108が出力する割り込み信号に基づき、親局20にデータ送信を行う。
【0022】
発振器104は、例えば水晶発振器であり、発振したクロック信号を第1カウンタ105及び第2カウンタ108に出力する。
第1カウンタ105(誤差検出部)には、GPS受信部101が出力するクロック信号GPSPPSと、RTC102が出力するクロック信号RTCPPSとが入力される。第1カウンタ105は、入力されたクロック信号GPSPPSに対するRTC102が出力するクロック信号RTCPPSのタイミング差を発振器104が出力するクロック信号を用いてカウントする。第1カウンタ105は、クロック信号GPSPPSが入力されたときのカウント値とクロック信号RTCPPSが入力されたときのカウント値を、制御部103に出力する。
RAM(Random Access Memory)106には、航法メッセージs1から抽出されたうるう秒に関する情報等が記憶されている。
【0023】
バックアップ電源部107は、例えば、2次電池や容量の大きなキャパシタなどである。バックアップ電源部107は、電源部(図示せず)から供給される電力を用いて2次電池やキャパシタを充電し、充電した電力をRTC102及びRAM106に供給する。
【0024】
第2カウンタ108(カウンタ部)は、制御部103が出力するアラーム設定情報に基づいて発振器104が出力するクロック信号のカウントを行う。第2カウンタ108は、アラーム設定情報で設定されたカウント数になったとき、制御部103に対する割り込み信号を生成し、生成した割り込み信号を制御部103に出力する。
【0025】
次に、子局10の起動後、初回に行う時刻校正動作について、図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る子局10の起動後、初回時に行う時刻校正動作のタイミングチャートである。図3において、波形g101はクロック信号GPSPPSを表し、波形g102は、クロック信号RTCPPSを表している。また、横軸は時間を表し、縦軸は各クロックの信号レベルを表している。
図3に示すように、時刻t1において、時刻制御部11は電源がオン状態になる。
時刻t2において、時刻制御部11のRTC102は、クロック信号RTCPPSの生成を開始し、生成したクロック信号RTCPPSを第1カウンタ105に出力する。
時刻t3からt5の期間、GPS受信部101は、航法メッセージs1の取得を待機する。
時刻t4において、GPS受信部101は、航法メッセージs1からGPS時刻情報を取得した後、クロック信号GPSPPSの生成を開始し、生成したクロック信号GPSPPSを第1カウンタ105に出力する。
【0026】
時刻t5において、GPS受信部101は、航法メッセージs1から、うるう秒に関する情報を抽出する。GPS受信部101は、時刻t4で抽出したGPS時刻情報及び時刻t5で抽出したうるう秒に関する情報に基づきUTCを計算する。
時刻t6において、第1カウンタ105は、クロック信号GPSPPSにおいて、例えば信号の立ち上がりのタイミングを表す信号を制御部103に出力する。制御部103は、第1カウンタ105が出力する信号が表すタイミングで、RTC102のクロック信号の生成開始タイミングをリセットする。この結果、時刻t6では、クロック信号GPSPPSに対するクロック信号RTCPPSのタイミング差がなくなる。クロック信号RTCの生成開始タイミングをリセット後、制御部103は、GPS受信部101に対して、電源がオフ状態になるように制御する。
【0027】
時刻t7において、制御部103は、アラーム時間情報をRTC102に出力する。なお、アラーム時刻とは、制御部103がスリープ状態になった後、RTC102が出力するアラーム信号により復帰するまでの時間である。次に、RTC102は、制御部103が出力するアラーム時間情報に基づき、制御部103にアラーム信号を出力する時刻をセットする(RTCアラームセットともいう)。次に、制御部103は、時刻t7において該制御部103をスリープ状態になるように制御する。なお、制御部103がスリープ状態でも、バックアップ電源部107から供給される電力によりRTC102は電源オン状態を維持し、クロック信号RTCPPSの生成を継続する。
【0028】
次に、子局10の制御方法の一例について、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る子局10の制御方法を説明するタイミングチャートである。図4において、波形g201はクロック信号GPSPPSを表し、波形g202は、クロック信号RTCPPSを表し、波形g203は、第1カウンタのカウント値を表し、波形g204は、第2カウンタのカウント値を表している。また、横軸は時間を表し、縦軸は波形g201及びg202において信号レベルを表し、波形g203とg204においてカウント値を表している。
【0029】
図4において、時刻0に時刻制御部11は電源がオン状態になる。電源がオン状態になった後、第1カウンタ105は、カウントを開始し、クロック信号RTCPPSの立ち上がり(時刻t101)のとき、カウント値をリセットする。
時刻t101からt102の期間、時刻制御部11は、航法メッセージs1を取得する。
時刻t102において、図3の時刻t6と同様に、制御部103は、第1カウンタ105が出力する信号が表すタイミングで、RTC102のクロック信号RTCPPSの生成開始タイミングをリセットして、クロック信号RTCPPSのタイミングを校正する。
【0030】
時刻t103において、第1カウンタ105は、発振器104が生成したクロック信号に基づき、時刻t102からクロック信号GPSPPSの立ち上がりの時刻t103までをカウントし、カウント値をRAM106に記憶させる。次に、第1カウンタ105は、カウント値をリセットする。
時刻t103において、制御部103は、スリープから復帰する時刻をRTC102に設定する。スリープから復帰する時刻は、例えば子局10が予め定められている送信予定時刻の1分前である。
スリープから復帰する時刻をRTC102に設定後、制御部103は、GPS受信部101、該制御部103、第1カウンタ105及び第2カウンタ108に対して、電源がオフ状態になるように制御する。
制御部103がスリープ中であっても、バックアップ電源部107から供給される電力により、RTC102は計時動作を継続する。
【0031】
時刻t104において、RTC102は、アラーム信号を制御部103に出力する。
制御部103は、RTC102が出力するアラーム信号に応じてスリープ状態から復帰する。また、制御部103は、スリープ状態から復帰後、GPS受信部101及び第1カウンタ105をスリープ状態から復帰するように制御する。
GPS受信部101は、航法メッセージs1を受信する。
時刻t106においてGPS受信部101は、航法メッセージs1からGPS時刻情報を取得し、取得したGPS時刻情報に基づきクロック信号GPSPPSの生成を開始する。次に、GPS受信部101は、生成したクロック信号GPSPPSを第1カウンタ105に出力する。次に、第1カウンタ105は、発振器104が生成したクロック信号に基づき、時刻t105からクロック信号GPSPPSの立ち上がりの時刻t106までをカウントし、カウント値をRAM106に記憶させる。
時刻t107において、第1カウンタ105は、発振器104が生成したクロック信号に基づき、時刻t105からクロック信号RTCPPSの立ち上がりの時刻t107までをカウントし、カウント値をRAM106に記憶させる。
なお、GPS受信部101起動してGPS時刻情報を取得するタイミングは、RTC102の精度及び時刻制御部11に求められる精度に基づいて設定する。例えば、RTC102の精度誤差が時刻制御部11に求められる精度を上回らない間隔で定期的に起動するように設定してもよいし、例えば、子局10の送信予定時刻の1分前に起動し、毎送信前にカウント値を記憶させるように起動時刻を設定してもよい。
GPS時刻情報の取得後、時刻t103において、制御部103は、スリープから復帰する時刻(予め定められている第1の時刻)をRTC102に設定する。スリープから復帰する時刻は、例えば子局10が予め定められている送信予定時刻の5秒前である。
スリープから復帰する時刻をRTC102に設定後、制御部103は、GPS受信部101、該制御部103、第1カウンタ105に対して、電源がオフ状態になるように制御する。
【0032】
時刻t108において、RTC102は、アラーム信号を制御部103に出力する。
制御部103は、RTC102が出力するアラーム信号に応じてスリープ状態から復帰する。また、制御部103は、スリープ状態から復帰後、第1カウンタ105及び第2カウンタ108をスリープ状態から復帰するように制御する。次に、制御部103は、RTC102から現在時刻を示す情報を読み出し、時刻制御部11の時刻を更新する。
次に、制御部103は、現在時刻に対する子局10を制御する時刻(予め定められている第2の時刻)の差を算出し、算出した値が予め定められている時間内であるか否かを判定する。時刻t108において、制御部103は、算出した値が予め定められている時間内ではないと判定する。
【0033】
時刻t109において、第1カウンタ105は、クロック信号RTCPPSの立ち上がりの時刻t109でカウンタをリセットする。
次に、制御部103は、現在時刻に対する子局10を制御する時刻の差を算出し、算出した値が予め定められている時間内であるか否かを判定する。時刻t109において、制御部103は、算出した値が予め定められている時間内であると判定する。
【0034】
次に、制御部103は、RAM106に記憶されている時刻t106におけるクロック信号GPSPPSのカウント値と、時刻t107におけるクロック信号RTCPPSのカウント値を読み出す。次に、制御部103は、読み出したクロック信号GPSPPSのカウント値に対するクロック信号RTCPPSのカウント値の差を算出する。
算出した値が正の場合、制御部103は、第2カウンタ108に設定する初期値から算出した値を減算して、第2カウンタ108に設定するカウント値を生成する。一方、算出した値が負の場合、制御部103は、第2カウンタ108に設定する初期値に算出した値を加算して、第2カウンタ108に設定するカウント値を生成する。図4において、一点破線g211は、第2カウンタ108に設定する初期値を表し、一点破線g212は、第2カウンタ108に設定するカウント値を表している。
時刻t109において、第2カウンタ108は、発振器104が出力するクロック信号を用いて、カウントを開始する。
【0035】
時刻t110において、第1カウンタ105は、クロック信号RTCPPSの立ち上がりのタイミングのとき、カウンタをリセットする。
時刻t111において、第2カウンタ108は、制御部103が設定したカウント値に達したと判定し、判定結果に基づき割り込み信号を制御部103に出力する。割り込み信号を出力後、第2カウンタ108は、カウンタをリセットする。
制御部103は、第2カウンタ108が出力する割り込み信号に基づき、子局10の所定の動作を行うように制御する。所定の動作とは、予め定められている時刻に送信データs3を親局20に送信する処理である。
制御部103は、所定の処理終了後、スリープから復帰する時刻をRTC102に設定する。スリープから復帰する時刻を設定後、GPS受信部101及び該制御部103に対して、電源がオフ状態になるように制御する。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、制御部103は、UTC情報に基づく時間を用いて子局10の内部時刻として使用するクロック信号RTCPPSを校正するようにした。そして、第2カウンタ108は、校正されたクロック信号RTCPPSに基づきカウントを開始し、送信前にRAM106に記憶しておいたカウント値の差を計算に入れた設定値までカウントしたら、親局20にデータ送信するタイミングを表す割り込み信号を生成し、生成された割り込み信号のタイミングで、子局10は親局20にデータ送信を行うようにした。
この結果、複数の子局10が行うため、子局間の内部時刻情報を高精度に合わせることができる。従って親局からの送信要求によらず子局が予め各々定められている時刻でデータを送信するようにして、親局からの送信要求にかかる時間を削減することができる。
また、RTCの誤差を計算に入れたタイミングでデータ送信を行うことにより、子局から親局に送信するタイミングのマージンを削減することができる。
また、以上のように時刻情報を校正するようにしたため、各子局10に記憶されている動作ログに記録されている時刻の精度が高くなっている。この結果、親局20は、この動作ログをテレメータシステム1の動作を確認する場合等に活用することが可能になる。例えば、各子局10から送信データが送信されない場合や送信データが適切ではない場合など、親局20は、その子局10の動作ログを取得して検証することで子局10の動作を調査することができる。
【0037】
さらに、本実施形態によれば、制御部103は、親局20にデータ送信を行う時以外、スリープ状態に制御することで時刻制御部11の消費電力を軽減することができる。さらに、制御部103は、自部を所定の動作時以外、スリープ状態に制御し、GPS受信部101は、GPS時刻に基づくクロック信号GPSPPS生成時以外、スリープ状態になるように制御したので、消費電力を軽減できる。
【0038】
なお、本実施形態では、スリープ状態から復帰後、GPS受信部101を定期的にスリープ状態から復帰させて航法メッセージs1を受信する例を説明したが、GPS受信部101をスリープ状態にさせないように制御してもよい。また、第1カウンタ105及び第2カウンタ108をスリープ状態に制御する例を説明したが、制御部103は、第1カウンタ105及び第2カウンタ108のいずれか1つ、または両方のカウンタをスリープさせないように制御するようにしてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、制御部103は、クロック信号GPSPPSの立ち上がりではなく、立ち下がりでリセットを行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1カウンタ105が、発振器104が生成したクロック信号に基づき、クロック信号RTCPPS入力時とクロック信号GPSPPS入力時の値をRAM106に記憶させる例を説明したが、クロック信号RTCPPS用のカウンタ及びクロック信号GPSPPS用のカウンタを備えるようにし、制御部103がこれらのカウント数の差を算出するようにしてもよい。
あるいは、第1カウンタ105が、クロック信号GPSPPS入力時、RTCPPS入力時の値を記憶し、さらに制御部103に対する割り込み信号のタイミングもカウントして、割り込み信号を生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、10−1〜10−n・・・子局、20・・・親局、30・・・GPS衛星、11・・・時刻制御部、101・・・GPS受信部、102・・・RTC、103・・・制御部、104・・・発振器、105・・・第1カウンタ、106・・・RAM、107・・・バックアップ電源部、108・・・第2カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から情報を受信し、受信した前記情報に基づき第1クロック信号を生成する第1クロック生成部と、
前記第1クロック信号に基づき第2クロック信号を調整し、調整した後に自部及び前記第1クロック生成部をスリープ状態に制御する制御部と、
前記第2クロック信号に基づき予め定められている第1の時刻に前記制御部をスリープ状態から復帰させるアラーム信号を生成するアラーム信号生成部と、
前記アラーム信号に基づき前記制御部がスリープ状態から復帰後、予め定められている第2の時刻と前記第2クロック信号に基づく時刻とを比較し、比較した結果に基づき割り込み信号を出力するカウンタ部と、
を備え、
前記制御部は、
前記カウンタ部が出力した割り込み信号の受信後、所定の動作を行う
ことを特徴とする時刻制御装置。
【請求項2】
前記第1クロック生成部は、
前記制御部が前記所定の動作を行っていないときにスリープ状態から復帰して、前記情報を受信して前記第1クロック信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の時刻制御装置。
【請求項3】
前記第2クロック信号を生成する第2クロック生成部と、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号との誤差を検出する誤差検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記誤差検出部が検出した誤差で、前記カウンタ部に設定する値を調整し、前記カウンタ部が割り込み信号を出力するタイミングを調整する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時刻制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記誤差検出部が検出した誤差が予め定められている値より大きい場合、前記第2クロック生成部が生成する第2クロック信号を調整する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時刻制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2クロック信号を調整した後、前記第1クロック生成部に対して衛星からの情報の受信を停止するように制御し、当該制御部をスリープ状態に制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の時刻制御装置。
【請求項6】
時刻制御装置における時刻制御方法であって、
第1クロック生成部が、衛星から情報を受信し、受信した前記情報に基づき第1クロック信号を生成する手段と、
制御部が、前記第1クロック信号に基づき第2クロック信号を調整し、調整した後に自部をスリープ状態に制御する手段と、
アラーム信号生成部が、前記第2クロック信号に基づき予め定められている第1の時刻に前記制御部をスリープ状態から復帰させるアラーム信号を生成する手段と、
カウンタ部が、前記アラーム信号に基づき前記制御部がスリープ状態から復帰後、予め定められている第2の時刻と前記第2クロック信号に基づく時刻とを比較し、比較した結果に基づき割り込み信号を出力する手段と、
制御部が、前記カウンタ部が出力した割り込み信号の受信後、所定の動作を行う手段と、
を含むことを特徴とする時刻制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−96974(P2013−96974A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243329(P2011−243329)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】