説明

普通型コンバイン

【課題】受網の掃除や交換作業などを簡単に実行でき、受網等のメンテナンス作業性を向上できるようにしたコンバインを提供する。
【解決手段】走行部2及び運転座席42を有する走行機体と刈刃を有する刈取装置3と扱胴21を有する脱穀装置9と刈取装置3から脱穀装置9に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと各部を駆動するエンジンと脱穀装置9の脱粒物を選別する選別機構と穀粒を収集するグレンタンク6を備えた普通型コンバインにおいて、脱穀装置9の機筐一側方に扱胴21の排稈口を設け、脱穀装置9の機筐他側方に扱胴駆動ベルト等を設け、前記排稈口側から扱胴21下側の受網24を差し抜き可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、圃場の未刈り穀稈を刈取る刈取装置と、刈取り穀稈の穀粒を脱粒する脱穀装置を搭載したコンバインに係り、詳しくは刈取装置にて刈取られた刈取穀稈の全量が脱穀装置に投入される普通型コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行部及び運転座席を有する走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、刈取装置から脱穀装置に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと、各部を駆動するエンジンと、脱穀装置の脱粒物を選別する選別機構と、穀粒を収集するグレンタンクを備え、扱胴の上方に鞍形のグレンタンクを搭載する技術がある(特許文献1参照)。また、機体左右方向に向けて扱胴を軸架した扱胴支持構造も公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−175909号公報
【特許文献2】特開2000−14230号公報
【特許文献3】特開2007−20450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1または特許文献2に示された従来技術では、脱穀機筐の右側面に二番還元筒を設け、脱穀機筐の後面に排稈ダクトを設けていた。二番還元筒の設置場所や扱胴の排稈口位置が特定される。脱穀部のレイアウトが制限され、コンパクト化・軽量化(低コスト化)が困難である等の構造上の問題と、機体の左右方向又は前後方向の平衡や駆動構造の簡略化を簡単に図ることができない等の問題がある。また、特許文献3に示された従来技術のように、扱胴の軸芯線に直交する方向に受網を出入させる構造では、扱胴の軸芯線回りに受網を回転させて出入させる必要があり、スライド移動させるだけで扱室に出入操作できない等の問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施したコンバインを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、走行部及び運転座席を有する走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、前記刈取装置から前記脱穀装置に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと、各部を駆動するエンジンと、前記脱穀装置の脱粒物を選別する選別機構と、穀粒を収集するグレンタンクを備えた普通型コンバインにおいて、前記脱穀装置の機筐一側方に前記扱胴の排稈口を設け、前記脱穀装置の機筐他側方に扱胴駆動ベルトを設け、前記排稈口側から前記扱胴下側の受網を差し抜き可能に構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記走行機体の左右向きに前記扱胴を軸支させる構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐左側に扱胴駆動ベルトを配置し、前記脱穀装置の機筐右側に前記排稈ダクトを着脱可能に配置したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記脱穀装置の前側に前記刈取装置及び運転座席を設け、かつ前記脱穀装置の上側に前記グレンタンクを設ける構造であって、前記脱穀装置の後方の前記走行機体に前記エンジンを搭載したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記脱穀装置から穀粒を搬出する一番揚穀コンベヤと、前記脱穀装置から二番還元物を搬出する二番還元コンベヤとを、前記脱穀装置に備える構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐一側面に沿わせて前記排稈ダクトを着脱可能に設け、前記脱穀装置の機筐と前記一番揚穀コンベヤの間に、前記二番還元コンベヤ及び前記排稈ダクトを相互に隣接させて配置したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、走行部及び運転座席を有する走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、前記刈取装置から前記脱穀装置に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと、各部を駆動するエンジンと、前記脱穀装置の脱粒物を選別する選別機構と、穀粒を収集するグレンタンクを備えた普通型コンバインにおいて、前記脱穀装置の機筐一側方に前記扱胴の排稈口を設け、前記脱穀装置の機筐他側方に扱胴駆動ベルトを設け、前記排稈口側から前記扱胴下側の受網を差し抜き可能に構成したものであるから、前記排稈口側の脱穀機筐を解放するだけで、前記扱胴駆動ベルトによって阻害されることなく、前記受網の掃除や交換作業などを実行できる。例えば、前記扱胴駆動ベルトによって前記受網の出入操作が制限されることなく、前記扱胴の軸芯線方向に前記受網をスライド移動させることによって、前記扱胴下側に前記受網を出入できる。前記受網等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記走行機体の左右向きに前記扱胴を軸支させる構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐左側に前記扱胴駆動ベルトを配置し、前記脱穀装置の機筐右側に前記排稈ダクトを着脱可能に配置したものであるから、機体左側のカバー等を外すことによって、前記扱胴駆動ベルトなどの脱穀駆動機構の組付け又は保守作業を容易に実行できる。前記脱穀駆動機構のメンテナンス作業性などを向上できる。また、前記扱胴駆動ベルトによって阻害されることなく、前記扱胴の排稈口又は排稈ダクトの掃除又はメンテナンス作業などを機体右側から容易に実行できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記脱穀装置の前側に前記刈取装置及び運転座席を設け、かつ前記脱穀装置の上側に前記グレンタンクを設ける構造であって、前記脱穀装置の後方の前記走行機体に前記エンジンを搭載したものであるから、前記刈取装置及び前記エンジンによって機体の前後バランスを良好に設定できる。また、前記グレンタンクを機体一側方に配置する従来構造に比べ、機体の左右幅中央に前記グレンタンクを支持できるから、前記グレンタンク内の穀粒重量変化によって、前記走行機体の左右バランスが変化するのを低減できる。機体の姿勢安定や軽量化などを簡単に図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記脱穀装置から穀粒を搬出する一番揚穀コンベヤと、前記脱穀装置から二番還元物を搬出する二番還元コンベヤとを、前記脱穀装置に備える構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐一側面に沿わせて前記排稈ダクトを着脱可能に設け、前記脱穀装置の機筐と前記一番揚穀コンベヤの間に、前記二番還元コンベヤ及び前記排稈ダクトを相互に隣接させて配置したものであるから、前記脱穀装置及び前記グレンタンクの付設機構を機能別に分けて組付けることができ、組立作業性又は保守作業性を向上できる。例えば、前記排稈ダクト、前記一番揚穀コンベヤ、前記二番還元コンベヤ等は、前記脱穀装置及び前記グレンタンクの一側外方に集中して配置でき、前記脱穀装置及び前記グレンタンクの他側外方に前記扱胴駆動ベルトなどの脱穀駆動機構を配置できる。前記脱穀装置及び前記グレンタンク周りの駆動構造を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態を示すコンバインの左側面図である。
【図2】同コンバインの右側面図である。
【図3】同コンバインの平面図である。
【図4】脱穀装置の左側面図である。
【図5】脱穀装置の右側面図である。
【図6】脱穀装置の右側面視の斜視図である。
【図7】同コンバインの駆動ベルト部の左側面図である。
【図8】同コンバインの駆動系統図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示すコンバインの右側面図である。
【図10】同コンバインの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに適用した図面(図1〜図6)に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2は同コンバインの右側面図、図3は同コンバインの平面図、図4は脱穀装置の左側面図、図5は脱穀装置の右側面図、図6は脱穀装置の右側面視の斜視図、図7はコンバインの駆動ベルト部の左側面図、図8は同駆動系統図である。まず、図1乃至図3を参照しながら、コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
図1乃至図3に示す如く、走行部としての鉄製の左右一対の履帯2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、稲(又は麦又は大豆又はトーモロコシ)等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取装置3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
【0017】
走行機体1の前部には、オペレータが搭乗する運転台5を搭載する。運転台5の後方には、脱穀後の穀粒を貯留するためのグレンタンク6を配置する。グレンタンク6の後方には、動力源としてのエンジン7を配置する。グレンタンク6の後部の右側には、穀粒排出コンベヤ8を旋回可能に設ける。グレンタンク6内の穀粒は、穀粒排出コンベヤ8先端の籾投げ出し口8aから例えばトラックの荷台やコンテナ等に搬出されるように構成する。走行機体1の他側(実施形態では左側)には、刈取装置3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀装置9を搭載する。脱穀装置9の下部には、揺動選別及び風選別を行うための穀粒選別機構10を配置する。
【0018】
刈取装置3は、脱穀装置9前部の扱口9aに連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12とを備えている。フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結されている。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。
【0019】
上記の構成により、掻込みリール14にて掻込まれた未刈り穀稈の穂先側が刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって穀物ヘッダー12の左右幅の中央部付近に集められる。穀物ヘッダー12の刈取穀稈の全量が、フィーダハウス11内の供給コンベヤ17によって脱穀装置9の扱口9aに投入されるように構成している。なお、掻込みリール14は、リール高さ調節機構によって対地高さを変更するように構成している。
【0020】
脱穀装置9の扱室19内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の左右方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。なお、扱胴21は、多角形(六角形)状の左右の扱胴側板25と、扱胴側板25の頂角部に左右両端部を溶接固定する複数本(6本)の扱胴フレーム26と、扱胴フレーム26に等間隔に埴設する多数の扱歯27を有する。棒状突起形の多数の扱歯27が扱胴21の外周面に半径方向外向きに放射状に突設される(図6、図7参照)。また、脱穀装置9の機筐右側に排稈ダクト28を着脱可能に固着させる。扱室19内に排稈ダクト28の一端側を連通させ、走行機体1の後側に向けて排稈ダクト28の他端側を延長させ、排稈ダクト28の排稈搬送中途部に排稈体としての排稈ビータ38を配置させる。
【0021】
上記の構成により、扱口9aから投入された刈取穀稈は、扱胴21の回転による扱歯27の脱粒作用によって、扱胴21の左側から右側に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間で混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、脱穀装置9右側の排稈ダクト28から走行機体1後方の圃場に排出される。
【0022】
図5、図6に示す如く、扱室19の上面側にカバー支軸35を介して開閉可能に設ける扱室上面カバー36と、扱胴21によって左側の扱口9aから右側の排稈ダクト28に向けて移動される扱室19内の脱穀物の移動速度(滞留時間)を調節する複数の送塵弁37を備える。扱胴21の上方側で、扱室上面カバー36の下面側に送塵弁37を回動可能に枢着する。前記送塵弁37の角度調整によって、扱室19内の脱穀物の移動速度(滞留時間)を、刈取穀稈の品種や性状に応じて調節できる。一方、脱穀装置9の下方に配置された穀粒選別機構10は、グレンパン及びチャフシーブ及びグレンシーブ及びストローラック等を有する比重選別用の揺動選別盤22によって構成される。
【0023】
また、扱室上面カバー36は、解放側カバー36aと固定側カバー36bによって構成されている。解放側カバー36aの内面側に複数の送塵弁37を送塵量調節可能に配置する。即ち、扱胴21の軸心線方向視で台形山型に、扱室上面カバー36を形成し、扱室上面カバー36の台形対角線(解放側カバー36aの開口縁36c)を境にして解放側カバー36aと固定側カバー36bとに扱室上面カバー36を分割し、脱穀装置9の扱室19上面にカバー支軸35を介して解放側カバー36aを開閉可能に軸支している。グレンタンク6から離れる運転座席42方向に向けて解放側カバー36aを開動操作し、カバー支軸35回りに解放側カバー36aを開動させたときに、扱室上面カバー36にて閉塞される扱室19の上面積の約3分の2の部分が解放されるように構成している。
【0024】
図4、図7に示す如く、穀粒選別機構10には、選別風を供給する唐箕ファン29等を備える。扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、揺動選別盤22の比重選別作用と唐箕ファン29の風選別作用とにより、一番選別物としての穀粒(精粒)、枝梗付き穀粒等の二番還元物、及び藁屑等に分離選別されるように構成する。穀粒選別機構10には、揺動選別盤22の下側方に設ける一番コンベヤ機構30と、穀粒を送り終端側出口から漏出させる押し出しタイプの揚穀コンベヤ32を備える。上面が解放されたグレンタンク6内に揚穀コンベヤ32の上端側(送り終端側)を突入させ、揺動選別盤22及び唐箕ファン29の選別によって、揺動選別盤22から落下した穀粒等の一番物は、一番コンベヤ機構30及び揚穀コンベヤ32によってグレンタンク6に収集されるように構成する。なお、押し出しタイプの揚穀コンベヤ32は、広範囲に穀粒を飛散させる羽根部材を設ける拡散タイプの揚穀コンベヤに比べ、グレンタンク6の上面開口から外部に穀粒を飛散させる不具合がないから、グレンタンク6の上面を解放してグレンタンク6を軽量に構成できる。
【0025】
また、揚穀コンベヤ32には、グレンタンク6上面近傍に穀粒を漏出させる上出口32aと、グレンタンク6底部近傍に穀粒を漏出させる下出口32bを設け、上出口32aから穀粒を漏出させてグレンタンク6内に充填させる作業と、下出口32bから穀粒を漏出させながら穀粒排出コンベヤ8にて外部に搬出させる作業を実行可能に構成している。また、穀粒選別機構10には、揺動選別盤22の下側方に設ける二番コンベヤ機構31と、二番還元コンベヤ33を備える。枝梗付き穀粒等の二番還元物は、二番コンベヤ機構31及び二番還元コンベヤ33等を介して揺動選別盤22の選別始端側に戻され、揺動選別盤22によって再選別される。藁屑等は、走行機体1後側の排塵口34から圃場に排出されるように構成する。
【0026】
さらに、図1乃至図3に示す如く、運転台5には、走行機体1の進路を変更する操縦ハンドルレバー40と、操縦ハンドルレバー40等を設けるハンドルコラム41と、オペレータが座乗する運転座席42と、走行速度を変更する主変速レバー43と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切り操作する作業クラッチレバー44等を配置している。なお、図示しない副変速レバーまたは刈取昇降レバーまたは穀粒排出レバー等が運転台5に配置されている。
【0027】
図1、図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ53と、履帯2の非接地側を保持する中間ローラ54とを設けている。駆動スプロケット51によって履帯2の後側を支持させ、テンションローラ23によって履帯2の前側を支持させ、トラックローラ53によって履帯2の接地側を支持させ、中間ローラ54によって履帯2の非接地側を支持させるように構成する。なお、図4中、符号18は、エンジン7の燃料タンクである。
【0028】
また、図1乃至図6に示す如く、グレンタンク6の底部に配置させる左右の底送りコンベヤ60と、グレンタンク6の右外側方に垂直に立設させる縦送りコンベヤ61を備える。縦送りコンベヤ61の上端側(送り終端側)に穀粒排出コンベヤ8を連設させる。左右の底送りコンベヤ60は、グレンタンク6の底部で左右方向に延長されていて、グレンタンク6右側の縦送りコンベヤ61に向けてグレンタンク6底部の穀粒を搬送する。縦送りコンベヤ61は、穀粒排出コンベヤ8に向けて底送りコンベヤ60からの穀粒を搬送する。グレンタンク6内の穀粒は、穀粒排出コンベヤ8先端の籾投げ出し口8aから搬出されるように構成する。
【0029】
穀粒排出コンベヤ8は、縦送りコンベヤ61のコンベヤ軸芯回りに籾投げ出し口8a側を左右方向に移動可能に構成している。また、穀粒排出コンベヤ8は、縦送りコンベヤ61との連結部を中心に籾投げ出し口8a側を上下方向に移動可能に構成している。即ち、走行機体1の前方に籾投げ出し口8a側を移動させて、運転台5及びグレンタンク6の右側方に穀粒排出コンベヤ8を収納する一方、走行機体1の後方に籾投げ出し口8a側を移動させて、走行機体1の後方に穀粒排出コンベヤ8を突出させ、トラックの荷台又はコンテナ等に籾投げ出し口8aを対向させ、グレンタンク6からトラックの荷台又はコンテナ等に穀粒を搬出するように構成する。
【0030】
次に、図4、図7、図8のコンバインの駆動系統図に示す如く、左右一対の斜板可変型走行油圧ポンプ65を有する走行変速部66を備える。出力軸67及びベルトテンション形走行クラッチ機構70を介して走行変速部66にエンジン7の駆動出力を伝達する。脱穀装置9(扱胴21)よりも後方の走行機体1にエンジン7と走行変速部66を設け、走行機体1の前後方向中心線を挟んで、エンジン7と走行変速部66を左右に振分けて配置している。なお、左右一対の斜板可変型走行油圧ポンプ65は、タンデム型ポンプユニット構造に構成され、左右一対の斜板可変型走行油圧ポンプ65のタンデム型ポンプケースが、エンジン7を支持した走行機体1の同一平面上(エンジン台フレーム)に組付けられる。また、昇降用油圧シリンダ4等を駆動するチャージポンプ兼用の作業ポンプ68も、走行油圧ポンプ65と同軸上に設けている。
【0031】
上記の構成により、刈取装置3とのバランスによってエンジン7や走行変速部66等の重量物を簡単に配置できる。脱穀装置9よりも前方にエンジン7を配置する従来構造に比べ、フィーダハウス11の配置構造が制約されることがないから、フィーダハウス11によって刈取装置3をバランス良く支持でき、フィーダハウス11に負荷される刈取装置3の左右方向の偏荷重等を低減でき、走行機体1の左右方向又は前後方向の平衡や駆動構造を簡略化できる。また、運転台5から離反させてエンジン7が設置され、運転座席42のオペレータに対してエンジン7の排気や吸気の構造を殆ど考慮する必要がない。また、オペレータに対してエンジン7騒音を低減できる。
【0032】
即ち、左右の履帯2の左右設置幅内で、脱穀装置9よりも後方の走行機体1に、エンジン7と走行変速部66を配置することによって、刈取装置3との前後重量バランスによってエンジン7や走行変速部66等の重量物を簡単に配置できるばかりでなく、左右一対の履帯2の接地圧を均等に維持できる。その結果、左右一対の履帯2の接地圧差による蛇行走行又は横滑り又は走行機体1の左右傾動等を低減できる。左右一対の履帯2の操舵(左側方向又は右側方向の旋回)性能を向上できる。
【0033】
一方、図8に示す如く、左右一対の走行油圧ポンプ65には、閉ループ油圧回路を介して左右一対の走行油圧モータ69が油圧接続される。左右一対の走行油圧モータ69によって、左右の駆動スプロケット51を介して、左右一対の履帯2が前進方向又は後進方向に駆動される。オペレータが操縦ハンドルレバー40を操作して、走行油圧ポンプ65の斜板角(変速制御)を調節することによって、左右の走行油圧モータ69の回転数又は回転方向がそれぞれ変更され、左右の履帯2が駆動されて前進移動又は後進移動又は進路変更するように構成している。
【0034】
図8に示す如く、エンジン7の出力軸67に作業部駆動ベルト72を介して作業部駆動軸73の一端側を連結する。テンションローラを兼用した作業クラッチ74と作業部駆動ベルト72を介して、出力軸67から作業部駆動軸73にエンジン7の動力を伝達させる。なお、オペレータのレバー操作によって作業クラッチ74が入り切り制御される。さらに、作業部駆動軸73の他端側(左側)に作業部駆動ベルト84を介してカウンタ軸112の左側端部を連結させる。脱穀装置9の左側から右側に向けてカウンタ軸112を貫通させ、カウンタ軸112の右側端部に排稈ビータ38を軸支させる。
【0035】
また、カウンタ軸112に脱穀ベルト114を介して扱胴軸20が連結され、脱穀ベルト114のテンションローラを兼用した脱穀クラッチ71を入り操作することによって、扱胴21が駆動されるように構成している。扱胴軸20には、動力分岐ベルト83を介して、唐箕ファン29を軸支した唐箕軸76が連結され、一番コンベヤ機構30の一番コンベヤ軸77と、二番コンベヤ機構31の二番コンベヤ軸78と、揺動選別盤22の揺動駆動軸79とが、選別駆動ベルト82を介して唐箕軸76に連結されている。なお、一番コンベヤ軸77を介して揚穀コンベヤ32が駆動される。また、二番コンベヤ軸78を介して二番還元コンベヤ33が駆動される。
【0036】
一方、扱胴軸20には、刈取り駆動ベルト87及び刈取クラッチ88を介して、供給コンベヤ17の供給軸89を連結している。供給軸89にヘッダー駆動チェン90を介してヘッダー駆動軸91を連結する。ヘッダー駆動軸91に掻込み駆動チェン92を介して掻込みオーガ13の掻込み軸93を連結する。また、ヘッダー駆動軸91には、刈刃駆動ベルト94及びクランク機構95を介して刈刃15を連結する。さらに、ヘッダー駆動軸91にリール駆動ベルト96を介して掻込みリール14のリール軸97を連結させる。刈取クラッチ88の入り切り操作によって、供給コンベヤ17と掻込みオーガ13と刈刃15と掻込みリール14が駆動制御されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を刈取るように構成している。
【0037】
図7、図8に示す如く、脱穀装置9及び刈取装置3及びグレンタンク6にエンジン7動力を伝達するための全てのベルト、即ち、選別駆動ベルト82、動力分岐ベルト83、作業部駆動ベルト84、刈取り駆動ベルト87、穀粒排出ベルト101及び脱穀ベルト114等は、脱穀装置9及びグレンタンク6の左外側方に集中して配置されている。また、脱穀装置9及びグレンタンク6に付設される排稈機構及び穀粒取出し機構、即ち、穀粒排出コンベヤ8、排稈ダクト28、揚穀コンベヤ32、二番還元コンベヤ33、縦送りコンベヤ61等は、脱穀装置9及びグレンタンク6の右外側方に集中して配置されている。
【0038】
他方、図8に示す如く、カウンタ軸112の左側端部に、穀粒排出ベルト101及び穀粒排出クラッチ102を介して、底送りコンベヤ60の底送りコンベヤ軸103の左端側を連結させる。底送りコンベヤ軸103の右端側には、ベベルギヤ機構104を介して、縦送りコンベヤ61の下端側を連結する。縦送りコンベヤ61の上端側に、仲介軸107を介して、穀粒排出コンベヤ8の排出コンベヤ軸108の送り始端側を連結する。穀粒排出クラッチ102の入り切り操作によって、左右の底送りコンベヤ60と縦送りコンベヤ61と穀粒排出コンベヤ8が駆動制御されて、グレンタンク6内の穀粒を排出するように構成している。
【0039】
図1、図2、図5、図6に示す如く、走行部2及び運転座席42を有する走行機体1と、刈刃15を有する刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、刈取装置3から脱穀装置9に刈取り穀稈を供給するフィーダハウス11と、各部を駆動するエンジン7と、脱穀装置9の脱粒物を選別する選別機構10と、穀粒を収集するグレンタンク6を備えた普通型コンバインにおいて、扱胴21の排稈口から機外に向けて排稈を排出する排稈ダクト28を備え、選別機構10から排出された二番還元物を再処理位置に戻す二番還元筒としての二番還元コンベヤ33と並列に、排稈ダクト28を設けたものであるから、二番還元コンベヤ33と排稈ダクト28を脱穀装置9の側板に沿わせてコンパクトに設置できる。例えば二番還元コンベヤ33と排稈ダクト28に制限されることなく、脱穀装置9の排稈側に揚穀コンベヤ32(一番楊穀筒)等の穀粒取出部などを機能的に配置できる。脱穀装置9の排稈側と反対側に駆動ベルト(作業部駆動ベルト84、脱穀ベルト114等)などの組付けスペースを簡単に形成できる。従来に比べ、脱穀装置9のレイアウト設計の自由度が高くなり、コンパクト化・軽量化(低コスト化)等を簡単に図ることができる。
【0040】
図4、図7、図8に示す如く、脱穀装置9の上面側にグレンタンク6を搭載し、脱穀装置9及びグレンタンク6の後方側にエンジン7を搭載し、脱穀装置9及びグレンタンク6及びエンジン7の側面のうち排稈ダクト28設置側の側面に、脱穀装置9から穀粒を取出す揚穀コンベヤ32(一番楊穀筒)と、二番還元コンベヤ33(二番還元筒)と、グレンタンク6内の穀粒を搬出する穀粒排出コンベヤ8を設けたものであるから、刈取装置3及びエンジン7及びグレンタンク6によって機体の前後バランス及び左右バランスを良好に設定できるものでありながら、例えば、排稈ダクト28と二番還元コンベヤ33を上下方向にオフセットさせて設置でき、かつ揚穀コンベヤ32と穀粒排出コンベヤ8を前後方向にオフセットさせて設置でき、脱穀装置9の左右幅をコンパクトに形成できる。
【0041】
請求項1に記載の発明によれば、走行部としての履帯2及び運転座席42を有する走行機体1と、刈刃15を有する刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、刈取装置3から脱穀装置9に刈取り穀稈を供給するフィーダハウス11と、各部を駆動するエンジン7と、脱穀装置9の脱粒物を選別する穀粒選別機構10と、穀粒を収集するグレンタンク6を備えた普通型コンバインにおいて、脱穀装置9の機筐一側方に扱胴21の排稈口を設け、脱穀装置9の機筐他側方に扱胴駆動ベルト(作業部駆動ベルト84、脱穀ベルト114等)を設け、前記排稈口側から扱胴21下側の受網24を差し抜き可能に構成したものであるから、前記排稈口側の脱穀機筐を解放するだけで、前記扱胴駆動ベルトによって阻害されることなく、受網24の掃除や交換作業などを実行できる。例えば、前記扱胴駆動ベルトによって受網24の出入操作が制限されることなく、扱胴21の軸芯線方向に受網24をスライド移動させることによって、扱胴21下側に受網24を出入できる。受網24等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0042】
図1乃至図4に示す如く、脱穀装置9の前側に刈取装置3及び運転座席42を設け、かつ脱穀装置9の上側にグレンタンク6を設ける構造であって、脱穀装置9の後方の走行機体1にエンジン7を搭載したものであるから、刈取装置3及びエンジン7によって機体の前後バランスを良好に設定できる。また、グレンタンク6を機体一側方に配置する従来構造に比べ、機体の左右幅中央にグレンタンク6を支持できるから、グレンタンク6内の穀粒重量変化によって、走行機体1の左右バランスが変化するのを低減できる。機体の姿勢安定や軽量化などを簡単に図ることができる。
【0043】
図5、図6に示す如く、脱穀装置9から穀粒を搬出する一番揚穀コンベヤ32と、脱穀装置9から二番還元物を搬出する二番還元コンベヤ33とを、脱穀装置9に備える構造であって、扱胴21の排稈口に接続させる排稈ダクト28を備え、脱穀装置9の機筐一側面に沿わせて排稈ダクト28を着脱可能に設け、脱穀装置9の機筐と一番揚穀コンベヤ32の間に、二番還元コンベヤ33及び排稈ダクト28を相互に隣接させて配置したものであるから、脱穀装置9及びグレンタンク6の付設機構を機能別に分けて組付けることができ、組立作業性又は保守作業性を向上できる。例えば、排稈ダクト28、一番揚穀コンベヤ32、二番還元コンベヤ33等は、脱穀装置9及び前記グレンタンク6の一側外方に集中して配置でき、脱穀装置9及びグレンタンク6の他側外方に前記扱胴駆動ベルトなどの脱穀駆動機構を配置できる。脱穀装置9及びグレンタンク6周りの駆動構造を簡略化できる。
【0044】
図1乃至図4に示す如く、走行部としての履帯2及び運転座席42を有する走行機体1と、刈刃15を有する刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、各部を駆動するエンジン7と、脱穀装置9の脱粒物を選別する選別機構10と、穀粒を収集するグレンタンク6と、グレンタンク6内の穀粒を搬出する排出コンベヤとしての穀粒排出コンベヤ8又は縦送りコンベヤ61を備えた普通型コンバインにおいて、脱穀装置9の上面側にグレンタンク6を搭載した構造であって、前記グレンタンク6の一側外方に穀粒排出コンベヤ8又は縦送りコンベヤ61を設け、グレンタンク6内の底部コンベヤとしての底送りコンベヤ60を左右方向に向けて延長させたものであるから、グレンタンク6の左側面及び右側面を垂直面に形成して、グレンタンク6の容積を簡単に増大できるものでありながら、穀粒排出コンベヤ8又は縦送りコンベヤ61の設置高さを高くして、穀粒排出コンベヤ8又は縦送りコンベヤ61の駆動構造又は組立作業等を簡略化できる。即ち、グレンタンク6のコンパクト化・軽量化(低コスト化)、並びに機体の左右方向又は前後方向の平衡や駆動構造を簡略化できる。また、グレンタンク6等に規制されない扱胴21の側面に穀粒漏下用受網24の出入スペースを確保でき、扱胴21の下側に受網24を簡単に出入操作でき、脱穀装置9のメンテナンス作業性を向上できる。
【0045】
図1乃至図8に示す如く、脱穀装置9から穀粒を搬出する一番揚穀コンベヤ32を設ける構造であって、グレンタンク6の内部のうち底送りコンベヤ60の送り終端側の上方に、一番揚穀コンベヤ32の送り終端部を配置させたものであるから、グレンタンク6の外部に一番揚穀コンベヤ32を配置させる従来構造に比べ、一番揚穀コンベヤ32の内外にグレンタンク6を拡張させて、グレンタンク6の容積を簡単に確保できる。一番揚穀コンベヤ32等に規制されることなく、グレンタンク6の左右幅を大きく形成できるから、グレンタンク6の高さを高くすることなく、グレンタンク6内の穀粒増減による重心移動を低減できる。収穫作業時の機体の左右傾きを防止して、安定した姿勢で移動できる。
【0046】
図1乃至図7に示す如く、送り終端側から穀粒を飛散させない穀粒押出しタイプに一番揚穀コンベヤ32を形成し、グレンタンク6の上面を解放可能に構成したものであるから、一番揚穀コンベヤ32が跳ね出しタイプの従来に比べてグレンタンク6上面の遮蔽が不要になり、グレンタンク6上面の遮蔽用の天板を省いた分だけ、従来の箱型密閉タンク構造よりもグレンタンク6及びタンク支持構造等を軽量に形成できる。グレンタンク6又はタンク支持構造等を低コストに形成できる。グレンタンク6の組付け取外し作業性を向上できる。
【0047】
図1乃至図6に示す如く、グレンタンク6の左側面及び右側面を垂直面に形成し、グレンタンク6の前側面及び後側面を斜面に形成し、扱胴21及びエンジン7の上方に向けてグレンタンク6の前面側及び後面側を延長させたものであるから、扱胴21とエンジン7の間に側面視V形凹部を形成することによって、グレンタンク6の前部下側又は後部下側の近傍に、扱胴21又はエンジン7等の組付けスペースを簡単に確保できる。グレンタンク6上面の地上高さを高く形成する必要がないから、グレンタンク6の容積を簡単に確保できるものでありながら、グレンタンク6内に穀粒を充填させたときの機体重心の上方移動を低減できる。
【0048】
図1乃至図6に示す如く、脱穀装置9の上面側にグレンタンク6を設ける構造であって、グレンタンク6から離れる運転座席42方向に向けて解放側カバー36aを開動可能に構成したものであるから、固定側カバー36bの上面側にグレンタンク6の下面側をラップさせることができ、固定側カバー36b及びグレンタンク6の前後方向の設置幅を拡大させることなく、脱穀装置9の上面側に前記グレンタンク6を簡単に拡張できる。グレンタンク6上面の対地高さを低く形成しながら、グレンタンク6の容積を必要な大きさに形成できる。
【0049】
図1乃至図8に示す如く、扱胴21(扱室19)の排稈口19aに排稈ダクト28を設け、排稈ダクト28に排稈体としての排稈ビータ38を配置する一方、脱穀装置9の対向する左右機筐の両側外方に両端側を突出させる脱穀伝動用のカウンタ軸112を備え、カウンタ軸112の一端側に排稈ビータ38を軸支し、カウンタ軸112の他端側に動力伝達輪を軸支したものであるから、カウンタ軸112を兼用して排稈ビータ38の駆動構造を簡単に形成できる。排稈構造を低コストに構成できるものでありながら、排稈ダクト28の排稈機能を向上できる。また、刈取装置3及び脱穀装置9及びグレンタンク6の一側外方(排稈ダクト28を設置した機筐一側と反対の機筐他側)に、刈取装置3及び脱穀装置9及びグレンタンク6にエンジン7の動力を伝達するための伝動ベルト(選別駆動ベルト82、動力分岐ベルト83、作業部駆動ベルト84、刈取り駆動ベルト87、穀粒排出ベルト101及び脱穀ベルト114)等の刈取脱穀駆動ベルト機構を集中して配置できる。なお、脱穀装置9及びグレンタンク6の他側外方(排稈ダクト28を設置した機筐一側)には、穀粒排出コンベヤ8、排稈ダクト28、揚穀コンベヤ32、二番還元コンベヤ33、縦送りコンベヤ61等の穀粒搬送機構が集中して配置されている。
【0050】
次に、図9、図10を参照して、本発明の第2実施形態として、コンバインの穀粒取出し構造の変形例を説明する。図9、図10に示す如く、図1〜図8(第1実施形態)に示した大容量のグレンタンク6に代えて、二口の前後穀粒排出口222を有する小容量グレンタンク6aを設けている。小容量グレンタンク6aに揚穀コンベヤ32の送り終端側を連通させ、揚穀コンベヤ32から小容量グレンタンク6aに一番コンベヤ機構30の穀粒を直接投入させるように構成している。例えば、図1の大容量グレンタンク6は12袋分の籾が入る大きさであるのに対し、小容量グレンタンク6aは2袋分の籾が入る大きさである。また、穀粒排出口222の下方側には、籾袋223を装着する二組の前後籾受け棒224と、走行機体1の右側端部に籾受け台225を配置している。
【0051】
上記の構成により、運転座席42のオペレータとは別の作業者が籾受け台225に搭乗して、籾受け台225上の作業者が穀粒排出口222の穀粒排出シャッタを開閉操作し、穀粒排出口222から、籾受け棒224に支持した複数の籾袋223に、グレンタンク6a内の穀粒を順次排出する。穀粒が充填された籾袋223は、圃場に転落させて、回収する。図1の穀粒排出コンベヤ8を省くことによって、機体を軽量に構成でき、且つ製造コストを低減できる。
【0052】
図2、図5に示す如く、脱穀装置9から穀粒を取出す一番楊穀筒である揚穀コンベヤ32と脱穀装置9との間に、二番還元筒である二番還元コンベヤ33及び排稈ダクト28を設け、排稈ダクト28の排稈送出側を後向きに延長させ、排稈ダクト28の下方側で前向きに二番還元コンベヤ33の還元物送出側を延長させたものであるから、排稈ダクト28下方の機体にグレンタンク6設置スペース又は籾受け台225設置スペースを簡単に形成できる。グレンタンク6仕様又は籾袋充填仕様等に容易に設計変更できる。従来に比べ、脱穀装置9のレイアウト設計の自由度が高くなり、コンパクト化・軽量化(低コスト化)等を簡単に図ることができる。
【0053】
図4、図7、図8、図10に示す如く、脱穀装置9及びグレンタンク6,6aの後方側にエンジン7を搭載し、脱穀装置9及びグレンタンク6,6a及びエンジン7の側面のうち排稈ダクト28設置側と反対の側面に、刈取装置3及び脱穀装置9にエンジン7の動力を伝達する駆動ベルト(作業部駆動ベルト84、脱穀ベルト114等)を配置させたものであるから、刈取装置3及びエンジン7によって機体の前後バランスを良好に設定できる。また、排稈ダクト28によって前記駆動ベルトのメンテナンス又は交換等の作業が制限されないから、取扱い性を容易に向上できる。さらに、グレンタンク6,6aを機体一側方に配置する従来構造に比べ、機体の左右幅中央寄りにグレンタンク6,6aを支持できるから、グレンタンク6,6a内の穀粒重量変化によって、走行機体1の左右バランスが変化するのを低減できる。バランスウエイトなどを不要とし、機体の姿勢安定や軽量化を簡単に図ることができる。
【0054】
図4、図7、図8、図10に示す如く、走行機体1の左右向きに扱胴21を軸支させる構造であって、扱胴21の排稈口に接続させる排稈ダクト28を備え、脱穀装置9の機筐左側に前記扱胴駆動ベルト(作業部駆動ベルト84、脱穀ベルト114等)を配置し、脱穀装置9の機筐右側に排稈ダクト28を着脱可能に配置したものであるから、機体左側のカバー等を外すことによって、前記扱胴駆動ベルトなどの脱穀駆動機構の組付け又は保守作業を容易に実行できる。前記脱穀駆動機構のメンテナンス作業性などを向上できる。また、前記扱胴駆動ベルトによって阻害されることなく、扱胴21の排稈口又は排稈ダクト28の掃除又はメンテナンス作業などを機体右側から容易に実行できる。
【0055】
図1乃至図6、図9に示す如く、走行部としての履帯2及び運転座席42を有する走行機体1と、刈刃15を有する刈取装置3と、扱胴21を有する脱穀装置9と、各部を駆動するエンジン7と、脱穀装置9から穀粒を取出して収集するグレンタンク6,6aを備えた普通型コンバインにおいて、扱胴21の上面側を閉塞させる扱室上面カバー36を、解放側カバー36aと固定側カバー36bによって形成し、脱穀装置9の上面に固定側カバー36bを固着させ、固定側カバー36bに対して解放側カバー36aを接離可能に設けたものであるから、扱室上面カバー36全体を解放させる従来構造に比べ、扱室上面カバー36を部分的に解放させることによって、扱室上面カバー36の解放部構造(前記解放側カバー36a)をコンパクトかつ軽量に形成できる。扱室上面カバー36の解放部構造(解放側カバー36a)又はカバー支持構造を低コストに製造できるものでありながら、扱胴21等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0056】
図1乃至図6、図9に示す如く、扱胴21の軸心線方向視で台形山型に、扱室上面カバー36を形成し、扱室上面カバー36の台形対角線(解放側カバー36aの開口縁36c)を境にして解放側カバー36aと固定側カバー36bとに扱室上面カバー36を分割し、脱穀装置9の扱室19上面にカバー支軸35を介して解放側カバー36aを開閉可能に軸支したものであるから、解放側カバー36aの開閉によって、扱室19の上面の約3分の2を解放でき、扱胴21のメンテナンス作業に必要な大きさの空間を容易に確保できる。扱室上面カバー36全体を解放させる従来構造に比べ、扱室上面カバー36を部分的に解放させることによって、扱室上面カバー36の解放部構造(解放側カバー36a)をコンパクトかつ軽量に形成できる。扱室上面カバー36の解放部構造(解放側カバー36a)又はカバー支持構造を低コストに製造できるものでありながら、扱胴21等のメンテナンス作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0057】
1 走行機体
2 履帯(走行部)
3 刈取装置
6 グレンタンク
7 エンジン
9 脱穀装置
10 穀粒選別機構
11 フィーダハウス
15 刈刃
21 扱胴
24 受網
28 排稈ダクト
32 揚穀コンベヤ
33 二番還元コンベヤ
42 運転座席
113 カウンタベルト(扱胴駆動ベルト)
114 脱穀ベルト(扱胴駆動ベルト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部及び運転座席を有する走行機体と、刈刃を有する刈取装置と、扱胴を有する脱穀装置と、前記刈取装置から前記脱穀装置に刈取り穀稈を供給するフィーダハウスと、各部を駆動するエンジンと、前記脱穀装置の脱粒物を選別する選別機構と、穀粒を収集するグレンタンクを備えた普通型コンバインにおいて、
前記脱穀装置の機筐一側方に前記扱胴の排稈口を設け、前記脱穀装置の機筐他側方に扱胴駆動ベルトを設け、前記排稈口側から前記扱胴下側の受網を差し抜き可能に構成したことを特徴とする普通型コンバイン。
【請求項2】
前記走行機体の左右向きに前記扱胴を軸支させる構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐左側に扱胴駆動ベルトを配置し、前記脱穀装置の機筐右側に前記排稈ダクトを着脱可能に配置したことを特徴とする請求項1に記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
前記脱穀装置の前側に前記刈取装置及び運転座席を設け、かつ前記脱穀装置の上側に前記グレンタンクを設ける構造であって、前記脱穀装置の後方の前記走行機体に前記エンジンを搭載したことを特徴とする請求項1に記載の普通型コンバイン。
【請求項4】
前記脱穀装置から穀粒を搬出する一番揚穀コンベヤと、前記脱穀装置から二番還元物を搬出する二番還元コンベヤとを、前記脱穀装置に備える構造であって、前記扱胴の排稈口に接続させる排稈ダクトを備え、前記脱穀装置の機筐一側面に沿わせて前記排稈ダクトを着脱可能に設け、前記脱穀装置の機筐と前記一番揚穀コンベヤの間に、前記二番還元コンベヤ及び前記排稈ダクトを相互に隣接させて配置したことを特徴とする請求項1に記載の普通型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−250751(P2011−250751A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127819(P2010−127819)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】