有機エレクトロルミネセンス素子
【課題】 輝度むらがない照明光を照射することができ、簡易な構成で色調整することができるライトボックスを提供する。
【解決手段】 ライトボックスは、薄型の箱形形状を呈し、その正面に出射面を形成する。ライトボックスの内部には、光源として有機EL素子20を設ける。有機EL素子20の各層は、ライトボックスの厚さ方向に積層し、有機EL素子20で発した光は、出射面から発せられる。有機EL素子20において積層される第1〜第3発光部30A、30B、30Cは、それぞれ緑色発光層、青色発光層、赤色発光層を有し、緑色、青色、赤色の光を発する。第1〜第3発光部30A、30B、30Cには、それぞれ独立に電流を供給する。これにより、各発光層から発する緑色、青色、赤色の光の発光輝度は、それぞれ調整可能である。
【解決手段】 ライトボックスは、薄型の箱形形状を呈し、その正面に出射面を形成する。ライトボックスの内部には、光源として有機EL素子20を設ける。有機EL素子20の各層は、ライトボックスの厚さ方向に積層し、有機EL素子20で発した光は、出射面から発せられる。有機EL素子20において積層される第1〜第3発光部30A、30B、30Cは、それぞれ緑色発光層、青色発光層、赤色発光層を有し、緑色、青色、赤色の光を発する。第1〜第3発光部30A、30B、30Cには、それぞれ独立に電流を供給する。これにより、各発光層から発する緑色、青色、赤色の光の発光輝度は、それぞれ調整可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子(以下有機EL素子という)を用いたライトボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型の筐体の中に光源を収納し、筐体の一面から照明光を発する装置としてライトボックスが知られている。ライトボックスは、例えば屋内外の看板等のバックライトや、写真のポジやネガを観察するために使用される。従来のライトボックスは、その光源として、特許文献1や2に記載されるように、例えば蛍光灯が用いられ、蛍光灯から発せられた白色光は、拡散板で拡散された後、外部に向けて照射される。
【特許文献1】特開平8−329715号公報
【特許文献2】特開2003−22701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ライトボックスを写真観察に使用する場合、各写真の微妙な色目の違い等を観察する必要があるため、写真には均一な輝度の白色光を照射しなければならない。しかし、従来のように光源として蛍光灯を用いると、蛍光灯をライトボックス内に複数設けなければならず、これにより照明光には照明むらが生じ、写真に均一な輝度を有する白色光が照射されることは難しい。
【0004】
また、写真フィルムは、フィルムメーカーやフィルムの品質によって微妙に色合いが異なる。したがって、メーカーや品質等に応じて、フィルムに適したRGBバランスを有する白色光を写真に照射させたほうが、より正確に写真観察を行うことができる。しかし、従来のライトボックスでは、色の調整を行うことが難しく、例えばフィルムが異なる写真についても、同じRGBバランスを有する白色光によって、写真を観察しなければならない。さらに、蛍光灯が用いられたライトボックスはその厚みが厚くなってしまうため、持ち運ぶのが困難である。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、輝度むらがない照明光を照射することができ、かつ小型化(薄型化)されたライトボックスを提供することを目的とする。さらに、簡易な構成で色調整、特にRGBバランスを正確に調整可能なライトボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るライトボックスは、箱形形状を呈し、その正面に内部から光を発するための出射面が形成されたライトボックスであって、箱形形状の内部に、出射面から光を発するように、出射面に対してその発光領域が平行に広がる面発光素子が設けられることを特徴とする。ライトボックスの光源として、面発光素子を用いることにより、本発明においては、照明むらのない均一な照明光を外部に照射することができる。また、ライトボックスの厚さを薄くすることができる。面発光素子は、出射面に対して垂直方向に発光層が積層された有機EL素子であることが好ましい。
【0007】
有機EL素子は、垂直方向に異なる色を発する複数の有機発光層が積層され、各有機発光層の発光輝度はそれぞれ独立に制御可能である。これにより、本発明に係るライトボックスは、簡易な構成で色調整することができる。ここで、複数の有機発光層は例えば2層の有機発光層を含み、2層の有機発光層の発光色はそれぞれ補色の関係にある。また、複数の有機発光層は例えば3層の有機発光層を含み、各有機発光層からの発光色を混色することにより、白色光を発することが可能である。この場合、3層の有機発光層は、例えば赤色発光層、青色発光層、および緑色発光層である。
【0008】
各有機発光層の発光輝度は、各有機発光層に流される電流値を変化させることより、制御されることが好ましい。複数の有機発光層は、それぞれ電極層間に配置され、それぞれの電極層は分割されていないことが好ましい。電極層が分割されていない場合、同一の有機発光層の発光領域全体に亘って、同一の電流値の電流が供給されるので、色調整の制御が簡単で、かつ全ての発光領域において同一の発光輝度を照射することができるライトボックスを提供できる。
【0009】
また、出射面に拡散板が配置されることが好ましい。これにより、有機EL素子の照明光をより均一に拡散させることができる。
【発明の効果】
【0010】
ライトボックスの光源として、有機EL素子を用いることにより、ライトボックスの厚さを薄くすることができるとともに、照明むらのない均一な照明光を外部に照射することができる。また、本発明に係るライトボックスは、簡易な構成で色調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るライトボックス10の模式的な斜視図を示す。図2は、図1におけるII−II線の断面におけるライトボックス10の内部構造を示す。ただし、本実施形態に示す図面において、ライトボックス10の内部構造は、その厚さが誇張して記載されている。図1に示すように、ライトボックス10は、薄型の箱型形状を呈し、その厚さ方向に垂直な正面および底面12を有し、正面は照明光を発するための出射面11として形成される。出射面11には、光が通過するための開口部13が設けられ、開口部13には拡散板14が嵌め込まれる。底面12上には、図2に示すように有機EL素子20が設けられ、有機EL素子20上には、拡散板14が配置される。有機EL素子20は、ライトボックス10の厚さ方向(すなわち、出射面11に対して垂直方向)に各発光層(図3参照)が積層され、各発光層(すなわち、発光領域)は出射面11に対して平行に広がる。有機EL素子20に電流が流されると、各発光層から光が発させられ、その発光層から発せられた光は、拡散板14によって拡散され、開口部13から外部に照射される。拡散板14上には、例えば写真が載せられ、有機EL素子20からの光により、写真観察が行なわれる。
【0012】
図3は、ライトボックス10内部に設けられた有機EL素子20の構造を示す。有機EL素子20は、底面12側から順に、層に形成されたベース電極部22、第1電極部31A、第2電極部31B、第3電極部31Cが配置され、これら電極部の間に、それぞれ第1ないし第3発光部30A、30B、30C等が積層されて構成される。
【0013】
ここで、ベース電極部22は、底面12上に積層され、ベース電極部22と、第1電極部31Aの間には、第1発光部(有機発光層)30Aが積層される。第1電極部31Aと第2電極部31Bの間には、第1電極部31A側から順に、正孔注入層26a、第2発光部(有機発光層)30Bが積層される。第2電極部31Bと第3電極部31Cの間には、第2電極部31B側から順に、正孔注入層26b、第3発光部(有機発光層)30Cが積層される。
【0014】
第1発光部30Aは、少なくとも緑色発光層を含み緑色を発するように構成され、例えば、底面12側(ベース電極部22側)から順に、正孔輸送層、緑色発光層が順に積層されて構成される。第2発光部30Bは、少なくとも青色発光層を含み青色を発するように構成され、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、青色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。第3発光部30Cは、少なくとも赤色発光層を含み赤色を発するように構成され、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、赤色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。なお、第2発光部30Bおよび第3発光部30Cそれぞれにおいては、電子輸送層が積層されなくても良く、また第1ないし第3発光部30A、30B、30Cそれぞれにおいて、正孔輸送層が積層されなくても良い。また、第1発光部30Aにおいても、正孔注入層および(または)電子輸送層が積層されていても良い。
【0015】
上記第1ないし第3発光部30A、30B、30Cで使用される正孔輸送層は、正孔を陽極側から各発光層に輸送するための役割を果たす。正孔輸送層は、例えばビフェニル骨格を有するジアミン系の正孔輸送材料を材料として形成され、例えばα-NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、NPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)―N,N’−ジフェニル−ベンジジン)、TPD(N,N0−ジフェニル−N,N0−ビス(3−メチルフェニル)−1,10−ジフェニル−4,40−ジアミン)等が使用されるが、好ましくはα-NPDが使用される。第1発光部30Aにおける正孔輸送層は、その厚さが、50〜60nmである。一方、第2および第3発光部30B、30Cにおける正孔輸送層は、その層の厚さが例えば35〜45nmである。
【0016】
緑色発光層は、緑色発光材料であって、アルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等を材料として形成される。青色発光層は、青色発光材料を材料として形成され、例えばアルキレート化合物の誘導体、スチリル誘導体、アントラセン誘導体等が使用され、例えばAlq2'Oph(ビス‐(8‐ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキシド)、DPVBi(1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)、ADS082(4,4−ビス(ジフェニルビニレン)−ビフェニル)、β-ADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、TBADN(2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)等が使用されるが、好ましくはAlq2'Ophが使用される。緑色発光層の厚さは、例えば45〜55nmである。
【0017】
赤色発光層は、緑色発光材料に赤色ドーパント色素がドープされて形成される。緑色発光材料は、アルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等が使用される。赤色ドーパント色素としては、PtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル‐21H,23H−ポルフィンプラチナ)、DCM2(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(2−(2,3,6,7−テトラ−ヒドロ−1H,5H−ベンゾ)[ij]キノリジン−8−イル)−4H−ピラン)、DCJTB(4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン)、ローダミン6G(rhodamine 6G)、DCM(4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン)等が使用されるが、好ましくはPtOEPが使用される。赤色発光層において、赤色ドーパント色素は、例えば緑色発光材料に対して9重量%以下ドープされる。赤色発光層の厚さは、例えば30〜40nmである。なお、緑色発光層、および青色発光層についても、必要に応じて、それぞれ緑色ドーパント色素、青色ドーパント色素がドープされていても良い。
【0018】
電子輸送層は、電子を陰極側から発光層に注入しやすくするための層であって、例えばアルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等を材料として形成される。電子輸送層の厚さは、例えば10〜20nmである。
【0019】
正孔注入層26a、26bは、陽極から注入された正孔を取り込み、発光部30B、30Cに注入する働きをする。正孔注入層26a、26bは、MTDATA(4,4’,4”−トリス(3−メチル−フェニル−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、CuPc(copper phthalocyanine)等が材料として形成されるが、好ましくはCuPcが使用される。正孔注入層26a、26bの厚さは、それぞれ5〜6nmであって、好ましくは金属錯体層24と同一の厚さである。
【0020】
ベース電極部22は、例えば金属酸化物であるITO(インジウムと錫の酸化物)が材料として形成される。第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ透明電極であって、それぞれ底面側から順に金属錯体層24と、金属酸化物層25が積層されて構成される。金属錯体層24は、CuPc(copper phthalocyanine)が材料として形成され、金属酸化物層25は例えばITO(インジウムと錫の酸化物)が材料として形成される。ベース電極部22の厚さは、例えば100〜200nmである。金属錯体層24は、金属酸化物層25より薄く、その厚さは例えば5〜6nmである。金属酸化物層25の厚さは、例えば50〜60nmである。
【0021】
有機EL素子20には、第1ないし第3電源33A、33B、33Cが設けられる。第1電源33Aはベース電極部22と、第1電極部31Aの金属酸化物層25に接続され、第2電源33Bは第1電極部31Aの金属酸化物層25と、第2電極部31Bの金属酸化物層25に接続され、第3電源33Cは、第2電極部31Bの金属酸化物層25と、第3電極部31Cの金属酸化物層25に接続される。
【0022】
以上の構成により、第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ第1、第2および第3発光部30A、30B、30Cに電子を注入するための陰極として形成される。一方、ベース電極部22は、第1発光部30Aに正孔を注入するための陽極となる。さらに第1、第2電極部31A、31Bは、第2および第3発光部30B、30Cに正孔を注入するための陽極としての役割も果たす。すなわち、第1、第2電極部31A、31Bは陽極と陰極の役割を兼ねている。なお、第1、第2電極部31A、31B上には、それぞれ、正孔注入層26a、26bが積層されるため、第1および第2電極31A、31Bから、第2および第3発光部30B,30Cには正孔が効率よく注入させることができる。したがって、第1ないし第3の電源33A、33B、33Cから電流が供給されると、第1、第2、および第3発光部30A、30B、30Cには、電子と正孔が注入される。
【0023】
第1、第2、および第3発光部30A、30B、30Cに注入された電子と正孔は、緑色発光層、青色発光層、赤色発光層で、それぞれ再結合し、それぞれの発光層から緑色、青色、赤色の発色光が出射される。各発光層から出射された緑色、青色、赤色の発色光は、混色され、白色光として、拡散板14(図1参照)を介して外部に照射される。
【0024】
ここで、発光部30A、30B、30Cの各発光層の発光輝度は、それぞれの発光層に流される電流値、すなわち、各電極間(ベース電極部22‐第1電極部31A、第1電極部31A‐第2電極部31B、第2電極部31B‐第3電極部31C)に流される電流値に比例する。各電極間に流される電流は、それぞれ第1ないし第3電源33A、33B、33Cからそれぞれ供給されるので、各発光層に供給される電流値は、それぞれ独立に制御可能であり、各発光層の発光輝度は、独立に制御可能である。
【0025】
また、本実施形態では、ベース電極部22、第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ単一電極であって、分割されていない。したがって、第1発光部30A全体は、ベース電極部22および第1電極部31A間に流される単一の電流値の制御により、その発光輝度が調整される。同様に、発光部30B、30Cも、その発光輝度が、単一の電流値の制御により、調整される。
【0026】
本実施形態に係る各発光部30A、30B、30C(各発光層)に流される電流値の制御方法の詳細な一例について図4を用いて説明する。図4は、ライトボックス10のブロック図を示す。
【0027】
ライトボックス10内部には、制御部40が設けられており、制御部40には操作部43が接続される。操作部43には、電源スイッチおよび色調整スイッチが設けられ、電源スイッチの入力により、有機EL素子20のON‐OFFが制御される。また、色調整スイッチは、それぞれ独立に制御可能なRGBスイッチが設けられ、RGBスイッチそれぞれのGBR(緑、青、赤)の入力値に応じて、各発光部30A、30B、30Cから発せられる光の色が調整される。制御部40には、上述の第1ないし第3電源部33A、33B、33Cが接続されており、第1ないし第3電源部33A、33B、33Cから第1ないし第3発光部30A、30B,30Cに供給される電流値An、Bn、Cnが、制御部40によって制御される。
【0028】
操作部43の電源スイッチがオン状態に入力され、電源がオンされると、第1ないし第3電源部33A、33B、33Cから、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cへの電流の供給が開始される。電流の供給が開始されたとき、RGBスイッチのGBRの入力値は1:1:1に設定されており、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cに供給される電流値An、Bn、Cnが初期電流値Ani、Bni、Cniに設定される。初期電流値Ani、Bni、Cniは、各発光部30A、30B、30Cそれぞれから、外部に発せられる緑、青、赤の光の発光輝度が、1:1:1となるように設定されている。
【0029】
RGBスイッチが操作され、GBRの入力値が例えば1.1:1:1に設定されると、この操作に応じて、発光部30A、30B、30Cに供給される電流値が制御される。ここで、発光層それぞれの発光輝度は、供給された電流値に比例する。したがって、GBRスイッチが1.1:1:1に設定されると、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cに供給される電流の電流値An、Bn、Cnは、それぞれ1.1×Ani、Bni、Cniに設定され、各発光部30A、30B、30Cから発せられる光の発光輝度が1.1:1:1に変更される。
【0030】
なお、初期電流値Ani、Bni、Cniの設定方法は、いかなる方法で設定されても良い。例えば、発光部30A、30B、30Cの各発光部について、それぞれ発光部1つに電流を供給し、そのとき有機EL素子20から外部に発せられる光の発光輝度をそれぞれ測定し、それぞれの発光輝度が同一となる所定の電流値を初期電流値Ani、Bni、Cniとして設定しても良い。
【0031】
以上のように、本実施形態においては、緑色、青色、赤色の発色光の発光輝度を自由に調整可能であるので、有機EL素子20から発せられる光の色は、自由に調整可能であり、これにより本実施形態に係るライトボックスは使用者の好みに応じて、光を発することができる。したがって、ライトボックス10を用いて写真観察を行う場合、例えばフィルムメーカー等の色合いにあわせて、照明光のRGBバランスを変更させることができる。
【0032】
また、有機EL素子20においては、各有機発光層に電流を供給するための電極部は単一電極であって、分割されていない。したがって、発光色を調整するために、3つの電流値(第1〜第3の電極部33A、33B、33Cの電流値)のみ制御すれば良く、非常に簡単な構成で3色(緑色、青色、赤色)の発光輝度を自由に調整可能なライトボックスを提供することができる。また、各電極部は、分割されておらず、各発光部から発せられる光の発光領域は分割されていないので、ライトボックス10は均一な白色光を発することができる。ただし、有機EL素子20の第1〜第3の電極部33A、33B、33Cは、それぞれ単一電極でなくても良く、複数の電極部に分割されていても良い。
【0033】
なお、有機EL素子20の構成は、図2の構成に限定されず、例えば第1ないし第3発光部30A、30B、30Cの積層順は、特に限定されない。すなわち、発光層の積層順は、底面12側から緑色、青色、赤色の順でなくても良い。また、正孔注入層26b、第3発光部30C、第3電極部31Cは省略され、有機EL素子20は、2つの発光部から構成されても良い。このとき、2つの発光部から発せられる光は、補色の関係にあり、例えば2つの発光部は、一方が青色の発光色を、一方が黄色の発光色を発するように構成されても良い。この場合、青色の発光色を発する発光部は、上述の30Bと同様の構成であるのでその記載は省略する。黄色の発光色を発する発光部は、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、黄色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。正孔輸送層および電子輸送層の構成は、上述の実施形態の構成と同様なので省略する。黄色発光層は、例えば緑色発光材料に黄色ドーパント色素がドープされて形成される。黄色ドーパント色素は、例えばルブレン(Rubrene)が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係るライトボックスの斜視図である。
【図2】図1におけるII‐II線上におけるライトボックスの断面図を模式的に示す図である。
【図3】有機EL素子の断面図を模式的に示す図である。
【図4】ライトボックスのブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ライトボックス
11 出射面(正面)
12 底面
13 開口部
14 拡散板
20 有機EL素子
22 ベース電極部
30A 第1発光部(有機発光層)
30B 第2発光部(有機発光層)
30C 第3発光部(有機発光層)
31A 第1電極部
31B 第2電極部
31C 第3電極部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子(以下有機EL素子という)を用いたライトボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型の筐体の中に光源を収納し、筐体の一面から照明光を発する装置としてライトボックスが知られている。ライトボックスは、例えば屋内外の看板等のバックライトや、写真のポジやネガを観察するために使用される。従来のライトボックスは、その光源として、特許文献1や2に記載されるように、例えば蛍光灯が用いられ、蛍光灯から発せられた白色光は、拡散板で拡散された後、外部に向けて照射される。
【特許文献1】特開平8−329715号公報
【特許文献2】特開2003−22701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ライトボックスを写真観察に使用する場合、各写真の微妙な色目の違い等を観察する必要があるため、写真には均一な輝度の白色光を照射しなければならない。しかし、従来のように光源として蛍光灯を用いると、蛍光灯をライトボックス内に複数設けなければならず、これにより照明光には照明むらが生じ、写真に均一な輝度を有する白色光が照射されることは難しい。
【0004】
また、写真フィルムは、フィルムメーカーやフィルムの品質によって微妙に色合いが異なる。したがって、メーカーや品質等に応じて、フィルムに適したRGBバランスを有する白色光を写真に照射させたほうが、より正確に写真観察を行うことができる。しかし、従来のライトボックスでは、色の調整を行うことが難しく、例えばフィルムが異なる写真についても、同じRGBバランスを有する白色光によって、写真を観察しなければならない。さらに、蛍光灯が用いられたライトボックスはその厚みが厚くなってしまうため、持ち運ぶのが困難である。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、輝度むらがない照明光を照射することができ、かつ小型化(薄型化)されたライトボックスを提供することを目的とする。さらに、簡易な構成で色調整、特にRGBバランスを正確に調整可能なライトボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るライトボックスは、箱形形状を呈し、その正面に内部から光を発するための出射面が形成されたライトボックスであって、箱形形状の内部に、出射面から光を発するように、出射面に対してその発光領域が平行に広がる面発光素子が設けられることを特徴とする。ライトボックスの光源として、面発光素子を用いることにより、本発明においては、照明むらのない均一な照明光を外部に照射することができる。また、ライトボックスの厚さを薄くすることができる。面発光素子は、出射面に対して垂直方向に発光層が積層された有機EL素子であることが好ましい。
【0007】
有機EL素子は、垂直方向に異なる色を発する複数の有機発光層が積層され、各有機発光層の発光輝度はそれぞれ独立に制御可能である。これにより、本発明に係るライトボックスは、簡易な構成で色調整することができる。ここで、複数の有機発光層は例えば2層の有機発光層を含み、2層の有機発光層の発光色はそれぞれ補色の関係にある。また、複数の有機発光層は例えば3層の有機発光層を含み、各有機発光層からの発光色を混色することにより、白色光を発することが可能である。この場合、3層の有機発光層は、例えば赤色発光層、青色発光層、および緑色発光層である。
【0008】
各有機発光層の発光輝度は、各有機発光層に流される電流値を変化させることより、制御されることが好ましい。複数の有機発光層は、それぞれ電極層間に配置され、それぞれの電極層は分割されていないことが好ましい。電極層が分割されていない場合、同一の有機発光層の発光領域全体に亘って、同一の電流値の電流が供給されるので、色調整の制御が簡単で、かつ全ての発光領域において同一の発光輝度を照射することができるライトボックスを提供できる。
【0009】
また、出射面に拡散板が配置されることが好ましい。これにより、有機EL素子の照明光をより均一に拡散させることができる。
【発明の効果】
【0010】
ライトボックスの光源として、有機EL素子を用いることにより、ライトボックスの厚さを薄くすることができるとともに、照明むらのない均一な照明光を外部に照射することができる。また、本発明に係るライトボックスは、簡易な構成で色調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るライトボックス10の模式的な斜視図を示す。図2は、図1におけるII−II線の断面におけるライトボックス10の内部構造を示す。ただし、本実施形態に示す図面において、ライトボックス10の内部構造は、その厚さが誇張して記載されている。図1に示すように、ライトボックス10は、薄型の箱型形状を呈し、その厚さ方向に垂直な正面および底面12を有し、正面は照明光を発するための出射面11として形成される。出射面11には、光が通過するための開口部13が設けられ、開口部13には拡散板14が嵌め込まれる。底面12上には、図2に示すように有機EL素子20が設けられ、有機EL素子20上には、拡散板14が配置される。有機EL素子20は、ライトボックス10の厚さ方向(すなわち、出射面11に対して垂直方向)に各発光層(図3参照)が積層され、各発光層(すなわち、発光領域)は出射面11に対して平行に広がる。有機EL素子20に電流が流されると、各発光層から光が発させられ、その発光層から発せられた光は、拡散板14によって拡散され、開口部13から外部に照射される。拡散板14上には、例えば写真が載せられ、有機EL素子20からの光により、写真観察が行なわれる。
【0012】
図3は、ライトボックス10内部に設けられた有機EL素子20の構造を示す。有機EL素子20は、底面12側から順に、層に形成されたベース電極部22、第1電極部31A、第2電極部31B、第3電極部31Cが配置され、これら電極部の間に、それぞれ第1ないし第3発光部30A、30B、30C等が積層されて構成される。
【0013】
ここで、ベース電極部22は、底面12上に積層され、ベース電極部22と、第1電極部31Aの間には、第1発光部(有機発光層)30Aが積層される。第1電極部31Aと第2電極部31Bの間には、第1電極部31A側から順に、正孔注入層26a、第2発光部(有機発光層)30Bが積層される。第2電極部31Bと第3電極部31Cの間には、第2電極部31B側から順に、正孔注入層26b、第3発光部(有機発光層)30Cが積層される。
【0014】
第1発光部30Aは、少なくとも緑色発光層を含み緑色を発するように構成され、例えば、底面12側(ベース電極部22側)から順に、正孔輸送層、緑色発光層が順に積層されて構成される。第2発光部30Bは、少なくとも青色発光層を含み青色を発するように構成され、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、青色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。第3発光部30Cは、少なくとも赤色発光層を含み赤色を発するように構成され、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、赤色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。なお、第2発光部30Bおよび第3発光部30Cそれぞれにおいては、電子輸送層が積層されなくても良く、また第1ないし第3発光部30A、30B、30Cそれぞれにおいて、正孔輸送層が積層されなくても良い。また、第1発光部30Aにおいても、正孔注入層および(または)電子輸送層が積層されていても良い。
【0015】
上記第1ないし第3発光部30A、30B、30Cで使用される正孔輸送層は、正孔を陽極側から各発光層に輸送するための役割を果たす。正孔輸送層は、例えばビフェニル骨格を有するジアミン系の正孔輸送材料を材料として形成され、例えばα-NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、NPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)―N,N’−ジフェニル−ベンジジン)、TPD(N,N0−ジフェニル−N,N0−ビス(3−メチルフェニル)−1,10−ジフェニル−4,40−ジアミン)等が使用されるが、好ましくはα-NPDが使用される。第1発光部30Aにおける正孔輸送層は、その厚さが、50〜60nmである。一方、第2および第3発光部30B、30Cにおける正孔輸送層は、その層の厚さが例えば35〜45nmである。
【0016】
緑色発光層は、緑色発光材料であって、アルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等を材料として形成される。青色発光層は、青色発光材料を材料として形成され、例えばアルキレート化合物の誘導体、スチリル誘導体、アントラセン誘導体等が使用され、例えばAlq2'Oph(ビス‐(8‐ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキシド)、DPVBi(1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)、ADS082(4,4−ビス(ジフェニルビニレン)−ビフェニル)、β-ADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、TBADN(2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)等が使用されるが、好ましくはAlq2'Ophが使用される。緑色発光層の厚さは、例えば45〜55nmである。
【0017】
赤色発光層は、緑色発光材料に赤色ドーパント色素がドープされて形成される。緑色発光材料は、アルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等が使用される。赤色ドーパント色素としては、PtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル‐21H,23H−ポルフィンプラチナ)、DCM2(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(2−(2,3,6,7−テトラ−ヒドロ−1H,5H−ベンゾ)[ij]キノリジン−8−イル)−4H−ピラン)、DCJTB(4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン)、ローダミン6G(rhodamine 6G)、DCM(4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン)等が使用されるが、好ましくはPtOEPが使用される。赤色発光層において、赤色ドーパント色素は、例えば緑色発光材料に対して9重量%以下ドープされる。赤色発光層の厚さは、例えば30〜40nmである。なお、緑色発光層、および青色発光層についても、必要に応じて、それぞれ緑色ドーパント色素、青色ドーパント色素がドープされていても良い。
【0018】
電子輸送層は、電子を陰極側から発光層に注入しやすくするための層であって、例えばアルキレート化合物であるAlq3(トリキノリノレートアルミニウム)等を材料として形成される。電子輸送層の厚さは、例えば10〜20nmである。
【0019】
正孔注入層26a、26bは、陽極から注入された正孔を取り込み、発光部30B、30Cに注入する働きをする。正孔注入層26a、26bは、MTDATA(4,4’,4”−トリス(3−メチル−フェニル−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、CuPc(copper phthalocyanine)等が材料として形成されるが、好ましくはCuPcが使用される。正孔注入層26a、26bの厚さは、それぞれ5〜6nmであって、好ましくは金属錯体層24と同一の厚さである。
【0020】
ベース電極部22は、例えば金属酸化物であるITO(インジウムと錫の酸化物)が材料として形成される。第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ透明電極であって、それぞれ底面側から順に金属錯体層24と、金属酸化物層25が積層されて構成される。金属錯体層24は、CuPc(copper phthalocyanine)が材料として形成され、金属酸化物層25は例えばITO(インジウムと錫の酸化物)が材料として形成される。ベース電極部22の厚さは、例えば100〜200nmである。金属錯体層24は、金属酸化物層25より薄く、その厚さは例えば5〜6nmである。金属酸化物層25の厚さは、例えば50〜60nmである。
【0021】
有機EL素子20には、第1ないし第3電源33A、33B、33Cが設けられる。第1電源33Aはベース電極部22と、第1電極部31Aの金属酸化物層25に接続され、第2電源33Bは第1電極部31Aの金属酸化物層25と、第2電極部31Bの金属酸化物層25に接続され、第3電源33Cは、第2電極部31Bの金属酸化物層25と、第3電極部31Cの金属酸化物層25に接続される。
【0022】
以上の構成により、第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ第1、第2および第3発光部30A、30B、30Cに電子を注入するための陰極として形成される。一方、ベース電極部22は、第1発光部30Aに正孔を注入するための陽極となる。さらに第1、第2電極部31A、31Bは、第2および第3発光部30B、30Cに正孔を注入するための陽極としての役割も果たす。すなわち、第1、第2電極部31A、31Bは陽極と陰極の役割を兼ねている。なお、第1、第2電極部31A、31B上には、それぞれ、正孔注入層26a、26bが積層されるため、第1および第2電極31A、31Bから、第2および第3発光部30B,30Cには正孔が効率よく注入させることができる。したがって、第1ないし第3の電源33A、33B、33Cから電流が供給されると、第1、第2、および第3発光部30A、30B、30Cには、電子と正孔が注入される。
【0023】
第1、第2、および第3発光部30A、30B、30Cに注入された電子と正孔は、緑色発光層、青色発光層、赤色発光層で、それぞれ再結合し、それぞれの発光層から緑色、青色、赤色の発色光が出射される。各発光層から出射された緑色、青色、赤色の発色光は、混色され、白色光として、拡散板14(図1参照)を介して外部に照射される。
【0024】
ここで、発光部30A、30B、30Cの各発光層の発光輝度は、それぞれの発光層に流される電流値、すなわち、各電極間(ベース電極部22‐第1電極部31A、第1電極部31A‐第2電極部31B、第2電極部31B‐第3電極部31C)に流される電流値に比例する。各電極間に流される電流は、それぞれ第1ないし第3電源33A、33B、33Cからそれぞれ供給されるので、各発光層に供給される電流値は、それぞれ独立に制御可能であり、各発光層の発光輝度は、独立に制御可能である。
【0025】
また、本実施形態では、ベース電極部22、第1、第2および第3電極部31A、31B、31Cは、それぞれ単一電極であって、分割されていない。したがって、第1発光部30A全体は、ベース電極部22および第1電極部31A間に流される単一の電流値の制御により、その発光輝度が調整される。同様に、発光部30B、30Cも、その発光輝度が、単一の電流値の制御により、調整される。
【0026】
本実施形態に係る各発光部30A、30B、30C(各発光層)に流される電流値の制御方法の詳細な一例について図4を用いて説明する。図4は、ライトボックス10のブロック図を示す。
【0027】
ライトボックス10内部には、制御部40が設けられており、制御部40には操作部43が接続される。操作部43には、電源スイッチおよび色調整スイッチが設けられ、電源スイッチの入力により、有機EL素子20のON‐OFFが制御される。また、色調整スイッチは、それぞれ独立に制御可能なRGBスイッチが設けられ、RGBスイッチそれぞれのGBR(緑、青、赤)の入力値に応じて、各発光部30A、30B、30Cから発せられる光の色が調整される。制御部40には、上述の第1ないし第3電源部33A、33B、33Cが接続されており、第1ないし第3電源部33A、33B、33Cから第1ないし第3発光部30A、30B,30Cに供給される電流値An、Bn、Cnが、制御部40によって制御される。
【0028】
操作部43の電源スイッチがオン状態に入力され、電源がオンされると、第1ないし第3電源部33A、33B、33Cから、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cへの電流の供給が開始される。電流の供給が開始されたとき、RGBスイッチのGBRの入力値は1:1:1に設定されており、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cに供給される電流値An、Bn、Cnが初期電流値Ani、Bni、Cniに設定される。初期電流値Ani、Bni、Cniは、各発光部30A、30B、30Cそれぞれから、外部に発せられる緑、青、赤の光の発光輝度が、1:1:1となるように設定されている。
【0029】
RGBスイッチが操作され、GBRの入力値が例えば1.1:1:1に設定されると、この操作に応じて、発光部30A、30B、30Cに供給される電流値が制御される。ここで、発光層それぞれの発光輝度は、供給された電流値に比例する。したがって、GBRスイッチが1.1:1:1に設定されると、第1ないし第3発光部31A、31B、31Cに供給される電流の電流値An、Bn、Cnは、それぞれ1.1×Ani、Bni、Cniに設定され、各発光部30A、30B、30Cから発せられる光の発光輝度が1.1:1:1に変更される。
【0030】
なお、初期電流値Ani、Bni、Cniの設定方法は、いかなる方法で設定されても良い。例えば、発光部30A、30B、30Cの各発光部について、それぞれ発光部1つに電流を供給し、そのとき有機EL素子20から外部に発せられる光の発光輝度をそれぞれ測定し、それぞれの発光輝度が同一となる所定の電流値を初期電流値Ani、Bni、Cniとして設定しても良い。
【0031】
以上のように、本実施形態においては、緑色、青色、赤色の発色光の発光輝度を自由に調整可能であるので、有機EL素子20から発せられる光の色は、自由に調整可能であり、これにより本実施形態に係るライトボックスは使用者の好みに応じて、光を発することができる。したがって、ライトボックス10を用いて写真観察を行う場合、例えばフィルムメーカー等の色合いにあわせて、照明光のRGBバランスを変更させることができる。
【0032】
また、有機EL素子20においては、各有機発光層に電流を供給するための電極部は単一電極であって、分割されていない。したがって、発光色を調整するために、3つの電流値(第1〜第3の電極部33A、33B、33Cの電流値)のみ制御すれば良く、非常に簡単な構成で3色(緑色、青色、赤色)の発光輝度を自由に調整可能なライトボックスを提供することができる。また、各電極部は、分割されておらず、各発光部から発せられる光の発光領域は分割されていないので、ライトボックス10は均一な白色光を発することができる。ただし、有機EL素子20の第1〜第3の電極部33A、33B、33Cは、それぞれ単一電極でなくても良く、複数の電極部に分割されていても良い。
【0033】
なお、有機EL素子20の構成は、図2の構成に限定されず、例えば第1ないし第3発光部30A、30B、30Cの積層順は、特に限定されない。すなわち、発光層の積層順は、底面12側から緑色、青色、赤色の順でなくても良い。また、正孔注入層26b、第3発光部30C、第3電極部31Cは省略され、有機EL素子20は、2つの発光部から構成されても良い。このとき、2つの発光部から発せられる光は、補色の関係にあり、例えば2つの発光部は、一方が青色の発光色を、一方が黄色の発光色を発するように構成されても良い。この場合、青色の発光色を発する発光部は、上述の30Bと同様の構成であるのでその記載は省略する。黄色の発光色を発する発光部は、例えば、底面12側から順に、正孔輸送層、黄色発光層、電子輸送層が順に積層されて構成される。正孔輸送層および電子輸送層の構成は、上述の実施形態の構成と同様なので省略する。黄色発光層は、例えば緑色発光材料に黄色ドーパント色素がドープされて形成される。黄色ドーパント色素は、例えばルブレン(Rubrene)が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係るライトボックスの斜視図である。
【図2】図1におけるII‐II線上におけるライトボックスの断面図を模式的に示す図である。
【図3】有機EL素子の断面図を模式的に示す図である。
【図4】ライトボックスのブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ライトボックス
11 出射面(正面)
12 底面
13 開口部
14 拡散板
20 有機EL素子
22 ベース電極部
30A 第1発光部(有機発光層)
30B 第2発光部(有機発光層)
30C 第3発光部(有機発光層)
31A 第1電極部
31B 第2電極部
31C 第3電極部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形形状を呈し、その正面に内部から光を発するための出射面が形成されたライトボックスであって、
前記箱形形状の内部に、前記出射面から光を発するように、前記出射面に対してその発光領域が平行に広がる面発光素子が設けられることを特徴とするライトボックス。
【請求項2】
前記面発光素子は、前記出射面に対して垂直方向に発光層が積層された有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする請求項1に記載のライトボックス。
【請求項3】
前記有機エレクトロルミネセンス素子は、前記垂直方向に異なる色を発する複数の有機発光層が積層され、各有機発光層の発光輝度はそれぞれ独立に制御可能であることを特徴とする請求項2に記載のライトボックス。
【請求項4】
前記複数の有機発光層は2層の有機発光層を含み、2層の有機発光層の発光色はそれぞれ補色の関係にあることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項5】
前記複数の有機発光層は3層の有機発光層を含み、各有機発光層からの発光色を混色することにより、白色光を発することが可能であることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項6】
前記3層の有機発光層は、赤色発光層、青色発光層、および緑色発光層であることを特徴とする請求項5に記載のライトボックス。
【請求項7】
前記各有機発光層の発光輝度は、各有機発光層に供給される電流値を変化させることより、制御されることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項8】
前記複数の有機発光層は、それぞれ電極層間に配置され、それぞれの電極層は分割されていないことを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項9】
前記出射面に拡散板が配置されることを特徴とする請求項1に記載のライトボックス。
【請求項1】
箱形形状を呈し、その正面に内部から光を発するための出射面が形成されたライトボックスであって、
前記箱形形状の内部に、前記出射面から光を発するように、前記出射面に対してその発光領域が平行に広がる面発光素子が設けられることを特徴とするライトボックス。
【請求項2】
前記面発光素子は、前記出射面に対して垂直方向に発光層が積層された有機エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とする請求項1に記載のライトボックス。
【請求項3】
前記有機エレクトロルミネセンス素子は、前記垂直方向に異なる色を発する複数の有機発光層が積層され、各有機発光層の発光輝度はそれぞれ独立に制御可能であることを特徴とする請求項2に記載のライトボックス。
【請求項4】
前記複数の有機発光層は2層の有機発光層を含み、2層の有機発光層の発光色はそれぞれ補色の関係にあることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項5】
前記複数の有機発光層は3層の有機発光層を含み、各有機発光層からの発光色を混色することにより、白色光を発することが可能であることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項6】
前記3層の有機発光層は、赤色発光層、青色発光層、および緑色発光層であることを特徴とする請求項5に記載のライトボックス。
【請求項7】
前記各有機発光層の発光輝度は、各有機発光層に供給される電流値を変化させることより、制御されることを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項8】
前記複数の有機発光層は、それぞれ電極層間に配置され、それぞれの電極層は分割されていないことを特徴とする請求項3に記載のライトボックス。
【請求項9】
前記出射面に拡散板が配置されることを特徴とする請求項1に記載のライトボックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−324089(P2006−324089A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145188(P2005−145188)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
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