有機リン殺虫剤とクロルピクリンを含む混合農薬乳剤組成物

【課題】病害虫の防除に有効なクロルピクリンと有機リン殺虫剤の混合製剤において、保存安定性に優れ、且つ水を用いて簡便に散布施用することができる混合農薬乳剤組成物の開発。
【解決手段】下記式(I)で表される有機リン殺虫剤、クロルピクリン、及びノニオン界面活性剤を含有する混合農薬乳剤組成物。


(R、RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、Rは置換基を有して良い含窒素へテロ環基又は−OR基(Rは置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基)、X、Yがそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロルピクリンと含窒素ヘテロ環基を有するホスホロ又はホスホノチオアート有機リン殺虫剤の混合製剤に関するもので、長期保存安定性が良好であり、水と混合した際に良好な乳化性を有する混合乳剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作物の中で、果菜類や花卉類の施設栽培では同じ圃場で同じ作物を連作する。このため、土壌と作物の根部圏に適応した病原菌類やセンチュウ類が高濃度に生息するようになる。そして作物の根部組織に侵入して根腐れや根粒を生じ、更には作物の導管に侵入して地上部に病気を発生させることがある。その結果、作物の生育遅延、収量や品質の低下をまねき重大な経済的損害を与える。そのため土壌病害や土壌害虫の防除に、土壌燻蒸剤や殺虫剤が使用されてきた。
【0003】
クロルピクリンは殺虫殺菌作用を示し、土壌燻蒸剤として広く普及している。クロルピクリンは、臭気を伴う揮散性の水非混和液体であり、薬剤を土壌に処理する場合は、専用の土壌消毒機械を用いて薬剤2〜3mLを、深さ約15cmの土壌中に30cm間隔で注入した後、被覆材で土壌表面を被覆する方法により施用される。この方法は、煩雑な土中埋め込み操作を要するため、簡便で効率的な施用方法の要望があった。これに応えるため、特許文献1には、クロルピクリンに界面活性剤を加えた農薬乳剤が開発され、水に混和し散布施用できることが記載されている。更に、特許文献2には、クロルピクリンに界面活性剤を加えた農薬乳剤を、土壌表面に灌水チューブを設置し、これらを被覆材で覆った後、液肥混合器を用いて薬剤を水に希釈しながら、灌水チューブを通して土壌に処理することにより、簡便で効果的な害虫防除を達成できる散布方法が記載されている。
【0004】
クロルピクリンの害虫防除効力を補うため、若しくは土壌の病害虫の防除効果を高める目的で、クロルピクリンに有機リン殺虫剤を混合して施用することが報告されている。例えば、特許文献3にクロルピクリンとダイアジノンを混合した燻蒸剤が記載され、ダイアジノンの害虫防除効果の残効性を高めることができることを開示している。また特許文献4に、クロルピクリンと、プロペタンポスまたはホスチアゼートの混合剤組成物が、土壌中殺虫殺菌効果と地上部害虫の同時防除が達成できることを記載している。したがって、クロルピクリンと有機リン殺虫剤の混用は、病害虫の効率的で高い防除効果が得られる処方であることから、使い勝手の良い混合製剤の開発が希求されている。
一方、有機リン殺虫剤の方も、殺虫効力の増強や補完を目的として、複数の殺虫剤との混合製剤の開発が報告されている。特許文献5にはホスチアゼート、イミシアホス、またはカズサホスから選択される有機リン系殺線虫剤と有機リン系殺虫剤とを有効成分とする有機リン剤混合殺虫・殺線虫剤組成物が記載されている。
しかしながら、クロルピクリンは保存中に徐々に酸成分を遊離する物性であり、他の農薬活性成分との混用は、混合剤成分の酸分解をもたらすことが懸念される。特に有機リン殺虫剤は、酸分解や加水分解を受け易い物性である。したがって、クロルピクリンと有機リン殺虫剤を混合した混合農薬乳剤組成物を金属容器に充填した混合農薬製剤は、長期保存安定性を保証することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−29902号公報
【特許文献2】特開2000−336002号公報
【特許文献3】特開平8−231303号公報
【特許文献4】特開2004−250437号公報
【特許文献5】特開2007−269787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、クロルピクリンと後記式(I)で表される有機リン殺虫剤を含み、かつ、長期保存安定性を有し、長期保存後においても良好な乳化性を有する、散布の簡便な混合農薬乳剤組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、クロルピクリン及び後記式(I)で表される含窒素ヘテロ環基を有する有機リン殺虫剤と共に、ノニオン界面活性剤、特にアリール基を含むノニオン界面活性剤を共存させ、混合農薬乳剤組成物にすると、長期保存においても当該有機リン殺虫剤の分解が抑制され、長期保存が可能で、且つ、長期保存後においても、水と混合した際の乳化性も良好であること、即ち長期保存安定性と良好な乳化特性の両立を達し得ることを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、本願は以下の発明を要旨とする。
(1)下記式(I)で表される有機リン殺虫剤、クロルピクリン、ノニオン界面活性剤を含有する混合農薬乳剤組成物、
式(I)

(RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、Rは置換基を有して良い含窒素へテロ環基又は−OR基(Rは置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基)X及びYはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表し、何れか一方が酸素原子であり、他方が硫黄原子である)。
(2)前記R又はRは含窒素へテロ環基が、イミダゾリジニル基、1,3−チアゾリジニル基、1,3−オキサゾリジニル基、ピラゾイル基、イソキサゾイル基、チアゾイル基、ピリジル基、ピリミジル基、またはピリダジニル基である前記(1)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(3)前記有機リン殺虫剤が0.1〜80質量%、クロルピクリンが10〜90質量%、前記ノニオン界面活性剤が1〜40質量%を含有する前記(1)または(2)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(4)前記有機リン殺虫剤が、ダイアジノン、ホスチアゼート、イミシアホス、ピラクロホス、クロルピリホス及びピリミホスメチルからなる群から選択される1種以上である前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(5) 前記ノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤である前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【0009】
(6) ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物である前記(5)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(7) ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造におけるアリール基が、非置換フェニル基又はC8〜C12アルキル置換フェニル基であるか、又は、フェニル基又はフェニルC1〜C3脂肪族基で置換されたフェニル基である前記(5)又は(6)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(8) ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンフェニル置換フェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンベンジル置換フェニルエーテル又はポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテル、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレン(非置換フェニル、C8〜C12アルキル置換フェニル又はスチリル置換フェニル)エーテルホルムアルデヒド縮合物、である前記(5)〜(7)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(9)前記ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレンアリールエーテルまたはポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(10)前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテル又はポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル、又は、それらのいずれかのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である上記(1)〜(4)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(11)前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物である上記(10)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(12)更にエポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を含有する前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(13)更にアニオン界面活性剤を含有する前記(10)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(14) ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造における、ポリオキシC2〜C4アルキレン部分の繰り返し単位の繰り返し数が10〜25である前記(5)〜(13)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物、但し、ホルムアルデヒド縮合物の場合には、2分子が結合された形になるので、ポリオキシC2〜C4アルキレン部分の繰り返し単位の繰り返し数の合計の数である。
(15)有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスである前記(1)〜(14)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(16) 前記有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスであり、ノニオン界面活性剤として、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を含む上記(1)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(17) ポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエーテルがポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルであり、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物が、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である上記(16)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(18) 更にエポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を含有する上記(15)〜(17)のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(19) 組成物全体に対して、ホスチアゼート又はイミシアホスが0.3〜10質量%、クロロピクリンが70〜90質量%、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を5〜30質量%、及びエポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を0.1〜30質量%含有する上記(18)に記載の混合農薬乳剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機リン殺虫剤、クロルピクリン及び界面活性剤の三者が共存するにもかかわらず、不安定な有機リン殺虫剤の分解が抑制され、長期保存安定性を有する。例えば、54℃において14日保存した後においても式(I)の有機リン殺虫剤の残存率が80%以上であり、特に好ましい場合においては90%以上である。また、当該混合製剤は、水と混合した際に、良好な乳化性を有する。すなわち、本発明の式(I)で表される有機リン殺虫剤とクロルピクリンの混合農薬乳剤組成物は、混合製剤として一般流通させることが可能である。当該混合製剤は、該有機リン殺虫剤とクロルピクリンを使用時混合調製する必要がなく、且つ水と共に効率的に農薬散布を可能とする混合農薬乳剤を提供することができ、農作業の労力低減に大きく貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、特定の化学構造を有する有機リン殺虫剤、クロルピクリン、ノニオン界面活性剤を含有する混合農薬乳剤組成物に関する。以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の混合農薬乳剤組成物は、有効成分としてクロルピクリン(トリクロロニトロメタン)及び前記式(I)で表される有機リン殺虫剤を含有する。
クロルピクリンは、刺激臭を有する水非混和性の液体であり、金属腐食性を示す物性である。本発明に用いるクロルピクリンは、クロルピクリン原体そのものを用いてもよく、灯油等の希釈剤との混合物を用いても良い。
【0013】
本発明の混合農薬乳剤組成物で使用する有機リン殺虫剤は、下記式(I)で示されるものである。
式(I)

(RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、Rは置換基を有して良い含窒素へテロ環基又は−OR基(Rは置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基)、X及びYはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表し、何れか一方が酸素原子であり、他方が硫黄原子である。即ち、XとYが同じ原子を示すことはなく、Xが酸素原子の場合はYが硫黄原子であり、Xが硫黄原子の場合はYが酸素原子である。)
本発明によれば、クロルピクリン、界面活性剤及び前記、特定構造を有する有機リン殺虫剤の三者が共存する乳剤にもかかわらず、該有機リン殺虫剤の長期保存安定性が保証される。
前記R又はRはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基を示す。C1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基とはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基である。
また、X、Yはそれぞれ独立して酸素原子、または硫黄原子である。この場合、XとYは同じ原子を示すことはなく、Xが酸素原子の場合、Yは硫黄原子であり、また、Xが硫黄原子の場合は、Yは酸素原子である。
【0014】
前記Rは置換基を有して良い含窒素へテロ環基、又は−OR基(Rは置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基)である。R及びRが示す含窒素ヘテロ環基は同義である。含窒素ヘテロ環基として具体的にはイミダゾリジニル基、1,3−チアゾリジニル基、1,3−オキサゾリジニル基、ピラゾイル基、イソキサゾイル基、チアゾイル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基を示す。これらの含窒素ヘテロ環上に有してもよい置換基としては、塩素原子、オキソ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、クロル原子で置換されていてもよいフェニル基、シアノイミノ基、ジ(C1−C4)アルキルアミノ基等を挙げることが出来る。通常、これらの置換基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有する含窒素ヘテロ環基が好ましい。
より具体的には、R又はRで示される置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基としては、5−フェニルイソキサゾイル基、2−オキソ−1,3−チアゾリジニル基、2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジニル基、1−(4−クロロフェニル)ピラゾイル基、3−メチルピラゾイル基、2,3,5−トリクロロピリジル基、3−オキソ−2−フェニルピリダジニル基、ピリミジル基、2−エチル−4−エトキシピリミジル基、2−イソプロピル−4−メチルピリミジル基、2−ジエチルアミノ−4−メチルピリミジル基が挙げられる。これらの中で、2−オキソ−1,3−チアゾリジニル基、2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジニル基、又は2−イソプロピル−4−メチルピリミジル基が好ましく、2−オキソ−1,3−チアゾリジニル基又は2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジニル基がより好ましい。
【0015】
本発明にて用いられる式(I)で示される有機リン殺虫剤としては、土壌に施用された場合、有効成分が根を加害する害虫や地上部の害虫を死亡させる性質を持つものであれば良く、市販されている該当の有機リン殺虫剤を使用することができる。
具体的には、O,O−ジメチル−O−(5−フェニル−3−イソキサゾリル)ホスホロチオアート;(メチルイソキサチオン)、O,O−ジエチル−O−(5−フェニル−3−イソキサゾリル)ホスホロチオアート;(イソキサチオン)、O−エチル S−プロピル (E)−[2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジン−1−イル]ホスホノチオアート;(イミシアホス)、(RS)−(O−1−(4−クロロフェニル)ピラゾール−4−イル)O−エチル S−プロピルホスホロチオアート;(ピラクロホス)、(RS)−S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート;(ホスチアゼート)、O,O−ジエチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル ホスホロチオアート;(クロルピリホス)、O,O−ジエチル O−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−3−ピリダジニルホスホロチオアート;(ピリダフェンチオン)、O−6−エトキシ−2−エチルピリミジン−4−イル O,O−ジメチルホスホロチオアート;(エトリムホス)、O,O−ジエチルO−(2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イル)ホスホロチオアート;(ダイアジノン)、O−2−ジエチルアミノ−6−メチルピリミジン−4−イル O,O−ジメチルホスホロチオアート;(ピリミホスメチル)が挙げられる。これらの殺虫剤は、いずれも市販されており、入手可能である。好ましくは、一般名において、ダイアジノン、ホスチアゼート、イミシアホス、ピラクロホス、クロルピリホス又はピリミホスメチルである。より好ましくはダイアジノン、ホスチアゼート又はイミシアホスである。
クロルピクリンとの併用により土壌病害虫と共に地上部における害虫をも防除できるという観点からはO−エチル S−プロピル (E)−[2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジン−1−イル]ホスホノチオアート;(イミシアホス)又は(RS)−S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート;(ホスチアゼート)を好ましい例として挙げることができる。
また、害虫防除効果の残効性が付与できるという観点からは、クロルピクリンとO,O−ジエチルO−(2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イル)ホスホロチオアート;(ダイアジノン)との混用が好ましい。
すなわち、本発明において、有機リン殺虫剤は、O−エチル S−プロピル (E)−[2−(シアノイミノ)−3−エチルイミダゾリジン−1−イル]ホスホノチオアート;(イミシアホス)、(RS)−S−sec−ブチル O−エチル 2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート;(ホスチアゼート)、及びO,O−ジエチルO−(2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イル)ホスホロチオアート;(ダイアジノン)が好ましい。
【0016】
本発明の混合農薬乳剤組成物は、ノニオン界面活性剤を含有する。
ノニオン界面活性剤としては、特にアリール基を含むノニオン界面活性剤が好ましく、クロルピクリンと式(I)の有機リン殺虫剤の混合剤において長期保存安定性と良好な乳化特性の両立を達し得る。該ノニオン界面活性剤の好ましいものとしては、ポリオキシアルキレンアリールエーテル構造を有する界面活性剤を挙げることができる。
【0017】
本発明においては、適用し得るノニオン界面活性剤としては、上記のアリール基を含むノニオン界面活性剤が好ましいが、場合ににより、それ以外の他のノニオン界面活性剤であってもよい。
上記のアリール基を含むノニオン界面活性剤の好ましいものとして、ポリオキシアルキレンアリールエーテル構造、好ましくはポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有する界面活性剤を挙げることできる。該界面活性剤としては例えば、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテルの好ましい具体例を挙げればポリオキシエチレンモノ又はトリスチリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、又は、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(好ましくはポリオキシエチレンC8−C12アルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)を挙げることができる。また、上記のホルムアルデヒド縮合物の好ましい具体例としては、上記の好ましいポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテルの具体例のホルムアルデヒド縮合物、及び、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物等を挙げることが出来る。
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレンモノ又はトリスチリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、又は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を挙げることが出来る。
アリール基を含むノニオン界面活性剤以外のノニオン界面活性剤としては例えばポリオキシエチレンとポリオキシエチレンのブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等が挙げられるがこれらには限定されない。
本発明において、ノニオン界面活性剤は、1種または2種類以上を併せたものを混用しても良い。
【0018】
また、好適なノニオン界面活性剤であるポリオキシアルキレンアリールエーテル構造を有する界面活性剤としては、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤(より好ましくはポリオキシエチレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤)が挙げられる。これは、親水基としてポリオキシC2〜C4アルキレン鎖(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等、好ましくはポリオキシエチレン)を有し、疎水性基としてアリール基(好ましくは非置換フェニル基、C8−C12アルキル置換フェニル基、アリール置換フェニル基又はアラルキル置換フェニル基)を備え、これらをエーテル結合でつないだ界面活性剤であり、この構造を有するノニオン界面活性剤であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物を挙げることが出来る。
上記のポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造におけるアリール基としては、非置換フェニル基、又は置換フェニル基、例えばアルキル置換フェニル基(好ましくはC8〜C12アルキル置換フェニル基)、アリール置換又はアリールC1〜C3脂肪族基置換フェニル基(より具体的には、フェニル又はフェニルC1〜C3脂肪族基で置換されたフェニル基、例えばフェニル置換フェニル基、ベンジル置換フェニル基又はスチリル置換フェニル等)、アラアルキル基、 ナフチル基などの多環式アリール基、等が挙げられる。これらの中でアリール基としては非置換フェニル基又はアリールフェニル基(例えばアリール置換又はアリールC1〜C3脂肪族基置換フェニル基)が好ましく、アリールフェニル基がより好ましい。本発明においては「アリールフェニル」は、フェニル又はナフチル等のアリール基で置換されたフェニル及びベンジル又はスチリルなどのアラルキル基で置換されたフェニルの両者を含む。
アリール置換又はアリールC1〜C3脂肪族基置換フェニル基としては例えば、フェニル置換フェニル、ベンジル置換フェニル又はスチリル置換フェニル基を挙げることができ、スチリル置換フェニル基がより好ましい。フェニル置換フェニル基、ベンジル置換フェニル基又はスチリル置換フェニル基における置換基であるフェニル、ベンジル又はスチリルの置換数は1〜3で、モノ、ジ又はトリの何れでもよい。スチリル置換フェニル基の中ではトリスチリルフェニル基がより好ましい。
また、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテルホルムアルデヒド縮合物の場合には、好ましいアリール基は非置換フェニル基、C8〜C12アルキル置換フェニル基又はスチリル置換フェニル基であり、より好ましくは非置換フェニルである。
【0019】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤の好ましいものとしては、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテルとしては、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテル等のポリオキシC2〜C4アルキレン非置換又はアルキル置換フェニルエーテル、及び、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニル置換フェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンベンジル置換フェニルエーテル、又はポリオキシC2〜C4アルキレンモノ又はトリスチリル置換フェニルエーテル等のポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテルを挙げることができ、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニル置換フェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンベンジル置換フェニルエーテル、又はポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテル等のポリオキシC2〜C4アルキレンアリールアリールエーテルが好ましい。なお、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールアリールエーテルにおける「アリールアリール」はアリール置換アリール又はアリールC1〜C3脂肪族基置換アリールの両者を含む意味で使用され、より具体的にはフェニル置換フェニル基、ベンジル置換フェニル基又はスチリル置換フェニル等が挙げられる。
また、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテルホルムアルデヒド縮合物としては、ポリオキシC2〜C4アルキレン(非置換フェニル、C8〜C12アルキル置換フェニル又は、アリールフェニル、例えばモノ又はトリスチリル置換フェニル)エーテルホルムアルデヒド縮合物が好ましい。例えばポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、又はポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。
該界面活性剤において、フェニル置換フェニル基、ベンジル置換フェニル基又はスチリル置換フェニル基の例としては、モノ、ジ又はトリフェニルフェニル基、モノ、ジ又はトリベンジルフェニル基又はモノ、ジ又はトリスチリルフェニル基を挙げることができる。
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノ又はトリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられ、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル又はポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物がより好ましい。
【0020】
本発明で使用するポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤におけるポリオキシC2〜C4アルキレン部分の繰り返し単位(具体的にはオキシC2〜C4アルキレン単位)の繰り返し数は、本発明組成物の乳化性の点から、10〜25程度が好ましく、12〜20程度が更に好ましい。この繰り返し数は、ホルムアルデヒド縮合物の場合には、通常主体はポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル2分子がメチレン基で結合された構造となるので、両者の合計数を繰り返し数とする。又、該ノニオン界面活性剤のHLBの値では、HLBが11〜14.5程度が好ましく、より好ましくは11.5〜13.5程度であり、更に好ましくは12〜13.4程度である。該ノニオン界面活性剤のHLBの値がこの範囲であるとき、より好ましい乳化性を示す。
本発明においては、これらポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤は、一種であっても、また、2種以上、例えば2又は3種が混用されてもよく、例えば、ポリオキシエチレンアリールエーテルの2種以上の混合物であっても良い。 また、本発明においてはポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤、例えば、前記ポリオキシエチレンアリールエーテルを、前記した他のノニオン界面活性剤と併用しても良いが、通常ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤が、少なくともノニオン界面活性剤全量に対して50質量%以上が好ましく、より好ましくは75〜100質量%であり、更に好ましくは80〜100質量%である。式(I)の有機リン殺虫剤の保存安定性からは、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリール構造を有するノニオン界面活性剤を単独で使用するのが好ましいが、乳化性を更に向上させたい時には、上記有機リン殺虫剤の保存安定性が許容し得る範囲で、前記アニオン界面活性剤を併用してもよい。上記有機リン殺虫剤の保存安定性が許容し得る範囲としては、例えば後記する保存安定性試験(54℃、14日保存)において、上記有機リン殺虫剤の当初に対する残存率が、液体クロマトグラフィー分析で、80%以上、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上を挙げることができる。
【0021】
本発明の混合農薬乳剤組成物において、各成分の組成比としては、組成物全体に対して式(I)で示される含窒素ヘテロ環を有する有機リン殺虫剤が0.1〜80質量%、クロルピクリンが10〜90質量%、ノニオン界面活性剤が1〜40質量%であることが好ましい。好ましくは、組成物全体に対して式(I)で示される有機リン殺虫剤が0.1〜20質量%、クロルピクリンが40〜90質量%、ノニオン界面活性剤が5〜30質量%である。更に好ましい態様においては、組成物全体に対して、式(I)の有機リン殺虫剤が、0.3〜10質量%、クロルピクリンが70〜90質量%、ノニオン界面活性剤(好ましくはポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤)が5〜30質量%である。式(I)の有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスの場合、それらの組成物全体に対する含量は0.3〜5質量%(より好ましくは0.3〜3質量%)程度であってもよい。
【0022】
本発明の混合農薬乳剤組成物は、前述した成分の他に、他の成分を添加することもできる。添加することが好ましいものとして、安定剤、その他の界面活性剤、希釈剤、無機担体、等が挙げられる。
本発明の混合農薬乳剤組成物に含有し得る安定剤としては、クロルピクリンからの遊離酸成分を捕捉できる物性のものが好ましい。例えば(i)エポキシグリセライド、(ii)エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油、又は(iii)ソーダライム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ剤、などが挙げられる。好ましくは、当該クロルピクリンや有機リン殺虫剤に溶解するものが好ましく、エポキシグリセライド又はエポキシ化大豆油の使用が好ましい。これらは1種または2種以上を併用してもよい。また添加量は本発明の組成物全体に対して、0〜30質量%程度であり、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0023】
本発明の混合乳剤組成物において、必要に応じて、その他の界面活性剤を添加することができる。その他の界面活性剤としては、本発明で使用するノニオン界面活性剤以外の界面活性剤を挙げることができる。例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等である。その他の界面活性剤を添加する場合は、用いる有機リン殺虫剤の安定性を考慮して用いる必要がある。
これらのその他の界面活性剤の添加は、必要に応じて行うことができるが、通常これらの界面活性剤の添加は本発明の効果、特に本発明で使用する有機リン殺虫剤の安定性に好ましくない影響を与えることが多いので、該有機リン剤の安定性の面からはできれば添加しないか、添加する場合には最小限にとどめるのが好ましい。
例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(以下、Na塩、Ca塩等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を示す)、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属塩、ジアルキルスルホコハク酸エステルの金属塩、ナフタレンスルホン酸重縮合物の金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸金属塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート金属塩等のアニオン界面活性剤の添加は、式(I)の有機リン殺虫剤の安定性に好ましくない影響を与える場合が多いが、本発明組成物の乳化性を向上させる意味では好ましい場合がある。例えば、該アニオン界面活性剤を添加することにより、本発明組成物の乳化性が向上し、農薬散布液の調製が容易になる場合があり、このような場合には、必要に応じて、該有機リン剤への悪影響を最小限にしながら、該アニオン界面活性剤を添加してもよい。
式(I)の有機リン殺虫剤のなかでも、ホスチアゼート又はイミシアホスはクロルピクリンとアニオン界面活性剤の共存下においては悪影響が大きいことから、アニオン界面活性剤を配合する場合は、その配合量を少なくすると共に、安定化剤を共存させることが好ましい。
その他の界面活性剤の添加量は本発明組成物の全体に対して、0〜30質量%程度であり、添加が必要な場合においては、0.1〜30質量%であり、0.1〜20質量%が、より好ましい。また、本発明で使用するノニオン界面活性剤の総量に対するアニオン界面活性剤の割合は0〜50質量%、好ましくは0から40質量%程度である。
本発明において、その他の界面活性剤としてアニオン界面活性剤を用いる場合は、前述したエポキシ化植物油等の安定化剤を共用することが好ましい。
【0024】
本発明の混合農薬乳剤組成物の種々の好ましい態様を列記すると下記の通りである。
(i)前記式(1)で表される有機リン剤、クロルピクリン、及び、ノニオン界面活性剤として、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテル及びポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つ、又は、そのホルムアルデヒド縮合物、を含有する混合農薬乳剤組成物。
(ii)前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテル又はそのアルデヒド縮合物、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である上記(i)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(iii)ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテルが、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルフェニルエーテル又はポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルC1〜C3脂肪族基置換フェニルエーテルである上記(ii)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(iv)ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルC1〜C3脂肪族基置換フェニルエーテルが、ポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテルである上記(iii)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(v)ポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテルがポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルである上記(iv)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(vi)ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物がポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である上記(i)〜(v)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【0025】
(vii)更に、エポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を含有する上記(i)〜(vi)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(viii)組成物全体に対して、前記有機リン殺虫剤の含量が0.1〜20質量%、クロロピクリンの含量が40〜90質量%、前記ノニオン界面活性剤が5〜30質量%、必要に応じて、更に、エポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を、組成物全体に対して、0〜30質量%含有する上記(i)〜(vi)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(ix)前記有機リン殺虫剤が、ダイアジノン、ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群から選択される少なくとも一つである上記(i)〜(viii)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(x)前記有機リン殺虫剤が、ホスチアゼート又はイミシアホスである上記(ix)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(xi)前記有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスであり、組成物全体に対して、ホスチアゼート又はイミシアホスが0.3〜10質量%、クロロピクリンが70〜90質量%、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を5〜30質量%、及びエポキシグリセライド又はエポキシ化植物油を0.1〜30質量%含有する上記(viii)に記載の混合農薬乳剤組成物。
(xii)上記ノニオン界面活性剤において、ポリオキシC2〜C4アルキレン基における繰り返し単位(オキシC2〜C4アルキレン単位)の、繰り返し数が10〜25である上記(i)〜(xi)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
(xiii)上記ノニオン界面活性剤におけるHLBの値が、11〜14.5の範囲内である上記(i)〜(xii)の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【0026】
希釈剤としては、クロルピクリン及び当該含窒素へテロ環を有する有機リン殺虫剤と任意に混和するものであれば特に制限はなく、公知の希釈剤を使用することが出来る。具体例としては、灯油(白灯油、燃料灯油、溶剤灯油、灯火用灯油等)、石油ナフサ、石油スプリット、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。好ましくは灯油が挙げられ、更に好ましくは白灯油が挙げられる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。また添加量は特に限定されず、必要に応じて添加されれば良く、本発明組成物全体に対して0〜60質量%程度で、任意に選択が可能である。通常0〜30質量%程度である。
本発明組成物は、好ましい態様においては後記54℃、14日の保存後においても、式(I)の有機リン殺虫剤の残存率が液体クロマトグラフィー分析で当初の80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、最も好ましくは95%以上である。
本発明の農薬乳剤組成物の土壌への処理方法は、水により希釈して農薬散布液を調製し、圃場に散布することにより、所望の病害虫防除効果が達せられる。一般に土壌燻蒸用クロルピクリン製剤は、圃場域全体に亘り30cm程度の一定間隔で各個所において土壌中に一定量を注入する方法により施用されるため、その施用に多くの労力と時間を要していた。本発明に係る農薬乳剤は、良好な乳化性を示し、水を用いて散布することができることから、簡便で効率的な農薬散布を可能とする。特に好ましい散布方法としては、灌水チューブを土壌表面又は土壌中に敷設し、土壌表面を被覆剤で被覆し、液肥混合器などを用いて、本発明組成物を10〜300倍の水に希釈しながら該灌水チューブを介して散布する方法である。
【0027】
使用する灌水チューブとしては、例えば市販されている灌水チューブ(散水チューブ)や点滴チューブの他に側面に穴を有するチューブであればいずれも使用可能である。また穴があいていないチューブ、例えば水道のホース、塩化ビニルの水道パイプ、雨樋のパイプなどに穴を開けて用いることもできる。
灌水チューブの素材は、使用する農薬や土壌水分などとの接触および温度などによって変質しなければポリエチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、ナイロン、ポリプロピレンなどの1種または2種以上の共重合物および混合物などからなる灌水チューブを使用してもよく、またこれらの素材には限定されない。灌水チューブの太さは特に限定されないが直径1mm〜300mm程度がよい。灌水チューブの穴の大きさは、大きすぎると水の量が多く必要になったり、小さすぎると農薬を処理するのに時間が長く必要になったりするため、穴の大きさは直径0.1μm〜30mm、好ましくは1μm〜10mm程度が適している。穴はチューブの側面に10〜200cmの等間隔またはランダムに一列または二列あるいは周全面に開いていれば良いが、これらに限定されるものではない。
【0028】
灌水チューブによる灌水方式としては、例えば点滴型、噴霧型、多孔質、散水型などがあり、散布巾や圃場の形状などで適宜選択される。例えば灌水チューブとしてはエバフローA、スーパーエバフローA−100、エバフローM(噴霧型)、エバフローD(点滴型)、エバフローS(散水型)、エバフローKW(片側散水型)、KIRICO BIG HOLE SIDE SPRAY、キリコA型、キリコ(マルチ)型、KIRIKO H型(ハウス用)、キリコR型、キリコKH型、キリコH型、片側散水型、強力P.E灌水チューブ、チャピン点滴チューブ、(以上三井化学プラスチック株式会社製の散水チューブ)、スミサンスイマルチ(住友化学工業株式会社製)、片面×穴式灌水チューブ(日新化学工業株式会社製)、セフティ灌水チューブ又は灌水パワーSチューブ(伊藤忠サンプラス株式会社社製)などが使用できるがこれらに限定されない。
【0029】
本発明において灌水チューブの敷設場所は、土壌表面又は土壌中であれば特に制限はないが、栽培用施設内の土壌表面又は土壌中が好ましい。栽培用施設としては、例えばトンネル栽培用のトンネル、ビニールハウス、ガラス温室などがあげられる。灌水チューブ敷設後の土壌表面は、必要に応じて被覆材で被覆される。被覆材で被覆される場合、植栽すべき部分の被覆を除去後に植物が植えられ、育てられる。栽培用施設では、土壌表面を被覆材で被覆することが多い。本発明では、作物収穫後に農薬を散布するが、農薬活性成分として揮発性の農薬活性成分を使用する場合、除草効果の向上、病害虫に対する防除効果の向上を考慮すると、栽培用施設を閉鎖状態にして農薬を散布することが好ましい。
【0030】
本発明で使用する被覆材としては、ガスバリア性のあるフィルムが好ましい。中でも蒸気圧の高い農薬を処理するとき使用できる被覆フィルムはガスバリア性があれば特に限定されない。ガスバリア性はフィルム自体の性質によって異なり、その厚さによってもまた数種類の張り合わせなどでも異なる。土壌を被覆するための強度、経済性などを考慮するのは当然であるが、ガスバリア性は高いほど良く、酸素ガス透過度(ガス透過度の測定条件および測定方法は25℃、相対湿度50%でASTMD1434−66に準じ、フィルム厚については測定したフィルムの厚さを基準に反比例するとして補正計算する)が通常8000cc/m・hr・atm以下、好ましくは4000cc/m・hr・atm以下である。
【0031】
フィルムの材質としては例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合物、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル重合物、ポリプロピレンなどの1種または2種類以上の共重合物および混合物或いは貼り合わせなどからなるフィルムが選択されるが、これらに限定されるものではない。
フィルムの厚さは、酸素透過度とも関連し、ポリエチレンや軟質塩化ビニルなどの単層フィルムのガスバリア性があまり高くないフィルムは、ガス透過性がほぼ厚さに反比例することを目安に厚くすることによってガスバリア性を高める必要がある。また、使用する農薬や土壌水分などとの接触によって変質しガスバリア性が失われたりしにくい、取り扱いやすいフィルム、経済的にも優れているフィルム等を使う必要があり、厚さは素材にもよるが通常10μm〜500μm、好ましくは10μm〜200μm程度が適している。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製、エチレンオキサイド付加数14、HLB12.0)を19.3質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0034】
実施例2
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0035】
実施例3
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0036】
実施例4
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を10.3質量部、灯油を7質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0037】
実施例5
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、HLB12.0、竹本油脂株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0038】
実施例6
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0039】
実施例7
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩(アニオン系界面活性剤、商品名;RHODACAL60/BE、HLB8.3、株式会社ローディア日華)を4質量部とポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を13.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0040】
実施例8
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−20、エチレンオキサイド付加数19、HLB13.3 東邦化学工業株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0041】
実施例9
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソプロフォールCY/8 エチレンオキサイド付加数20、HLB13.5、株式会社ローディア日華)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0042】
実施例10
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソプロフォールS/25 エチレンオキサイド付加数25、HLB14.5、株式会社ローディア日華)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0043】
実施例11
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を18質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0044】
実施例12
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を16質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0045】
実施例13
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を10質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0046】
実施例14
クロルピクリンを70質量部、ダイアジノンを2質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を18質量部、灯油を10質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0047】
実施例15
クロルピクリンを70質量部、ダイアジノンを2質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を10質量部、灯油10質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬組成物を得た。
【0048】
実施例16
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80{商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物(質量量比1:2.64、溶剤20質量%含む、HLB12.8、竹本油脂株式会社製}を18質量部、を混合攪拌して、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0049】
実施例17
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物、竹本油脂株式会社製)を16質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0050】
実施例18
クロルピクリンを80質量部、ダイアジノンを2質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物、竹本油脂株式会社製)を10質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0051】
実施例19
クロルピクリンを70質量部、ダイアジノンを2質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物、竹本油脂株式会社製)を10質量部、灯油を10質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬組成物を得た。
【0052】
実施例20
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を19.3質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0053】
実施例21
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0054】
実施例22
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(商品名;ソルポールT−15 東邦化学工業株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0055】
実施例23
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を19.3質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0056】
実施例24
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0057】
実施例25
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;ニューカルゲンD−615、竹本油脂株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、本発明の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0058】
実施例26
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物、竹本油脂株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0059】
実施例27
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、界面活性剤としてニューカルゲンKC−80(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(アニオン界面活性剤)とポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエ−テル(ノニオン界面活性剤)の混合物、竹本油脂株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0060】
比較例1
クロルピクリンを80質量部、ホスチアゼートを0.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩(アニオン系界面活性剤、商品名;RHODACAL60/BE)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0061】
比較例2
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩(アニオン系界面活性剤、商品名;ニューカルゲンA−85C、HLB7.0、竹本油脂株式会社製)を19.3質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0062】
比較例3
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩(アニオン系界面活性剤、商品名;ニューカルゲンA−85C、竹本油脂株式会社製)を17.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を2質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0063】
比較例4
クロルピクリンを80質量部、イミシアホスを0.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩(アニオン系界面活性剤、商品名;ニューカルゲンA−85C、竹本油脂株式会社製)を11.3質量部、エポキシグリセライド(商品名;K−800、竹本油脂株式会社製)を8質量部、を混合撹拌し、比較例の混合農薬乳剤組成物を得た。
【0064】
試験例1 製剤安定性試験及び安定性試験後の製剤の乳化性
実施例1〜27、及び比較例1〜4の混合農薬乳剤組成物(クロルピクリンと各有機リン殺虫剤を含む乳剤組成物)を、54℃で、14日間保存し、該乳剤組成物の保存安定性を調べた。
実施例1〜7及び11〜27、及び比較例1〜4の各混合農薬乳剤中のクロルピクリン、並びにホスチアゼート、ダイアジノン、及びイミシアホスの残留含有量を液体クロマトグラフィーにて分析した。その結果を、表1〜3に示した。なお、表には、試験前のそれぞれの含量を100とし、試験後のそれぞれの含量を、該試験前の含量に対する相対含量として表1〜3に記載した。
また合わせて、試験後の実施例1〜27及び比較例1〜4の混合農薬乳剤組成物製剤の外観を観察して、濁りの有無を確認した。その結果を表1〜3に記載した。更に該試験後の製剤を共栓付メスシリンダーに採取し、水で100倍希釈した。これを振とうし、その乳化性を調べた。乳化性の評価は下記の基準に従って判定した。結果を表1〜3に示した。
乳化性の評価基準
○:内容物が均一な乳化液となる。
△:容器内壁に薬剤の一部が付着する。
×:容器内壁に薬剤が付着し、乳化状態とならない。
【0065】
[表1] クロルピクリン−ホスチアゼート混合製剤安定性試験結果
54℃、14日後の各成分残存率 外観 乳化性
試料 クロルピクリン ホスチアゼート
実施例1 99.4 89.9 透明 ○
実施例2 100.0 95.2 透明 ○
実施例3 99.9 100.0 透明 ○
実施例4 100.0 100.0 透明 ○
実施例5 100.0 96.0 透明 ○
実施例6 100.0 96.0 透明 ○
実施例7 100.0 84.5 透明 ○
実施例8 未実施 未実施 透明 ○
実施例9 未実施 未実施 透明 ○
実施例10 未実施 未実施 透明 ○
比較例1 99.7 69.7 濁り ×
【0066】
[表2] クロルピクリン−ダイアジノン混合製剤安定性試験結果
54℃、14日後の各成分残存率 外観 乳化性
試料 クロルピクリン ダイアジノン
実施例11 98.6 88.9 透明 ○
実施例12 99.3 98.5 透明 ○
実施例13 99.6 99.5 透明 ○
実施例14 98.2 87.1 透明 ○
実施例15 98.0 100.0 透明 ○
実施例16 99.1 73.1 透明 ○
実施例17 99.1 97.0 透明 ○
実施例18 99.5 98.6 透明 ○
実施例19 98.0 96.6 透明 ○
【0067】
[表3] クロルピクリン−イミシアホス混合製剤安定性試験結果
54℃、14日後の各成分残存率 外観 乳化性
試料 クロルピクリン イミシアホス
実施例20 98.2 80.8 透明 ○
実施例21 98.6 93.0 透明 ○
実施例22 99.4 97.2 透明 ○
実施例23 100.0 81.8 透明 ○
実施例24 99.2 98.6 透明 ○
実施例25 100.0 97.2 透明 ○
実施例26 99.7 87.1 透明 ○
実施例27 99.7 87.3 透明 ○
比較例2 100.0 48.6 透明 ×
比較例3 98.5 62.9 透明 ×
比較例4 100.0 71.4 透明 ×
【0068】
この結果から、本発明の混合農薬乳剤組成物(実施例)は、式(I)の有機リン剤であるホスチアゼート、ダイアジノン、またはイミシアホスの分解が少なく、該有機リン殺虫剤成分の安定性が良いことが明らかになった。また、本発明の混合農薬乳剤組成物は上記保存試験後においても乳化性に優れる結果であった。一方、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を用いた比較例は、安定化剤であるエポキシグリセライドの添加により、有機リン剤の分解が無添加のものに比べて抑制されるものの、有機リン殺虫剤の分解が見られた。特に、有機リン殺虫剤としてホスチアゼートまたはイミシアホスを用い、アニオン系界面活性剤を処方した混合製剤は、安定化剤であるエポキシグリセライドを添加しても、比較例1、3及び4の結果から明らかなように、分解抑制が困難であり、一般流通できる製剤安定性を保証することは困難であった。以上の結果から、本発明の混合農薬乳剤組成物は、該有機リン殺虫剤成分の安定性に優れると共に、長期保存後においても水との混和による乳化性に優れ、製剤安定性に優れる。従って、一般流通し得る農薬製剤の物性を備えることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、従来困難とされていた、灌水方式で使用できる一定以上の保存安定性を有する乳剤形態の、クロルピクリンと式(I)の有機リン系殺虫剤との混合剤を可能としたものであり、本発明の混合農薬組成物を使用することにより、土壌中おける病害虫などの防除を効率的に行うことが出来るもので、産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される有機リン殺虫剤、クロルピクリン、及びノニオン界面活性剤を含有する混合農薬乳剤組成物、
式(I)

(RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、RはC1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基、Rは置換基を有して良い含窒素へテロ環基又は−OR基(Rは置換基を有して良い含窒素ヘテロ環基)、X及びYはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表し、何れか一方が酸素原子であり、他方が硫黄原子である)。
【請求項2】
前記R基またはR基の含窒素へテロ環基が、イミダゾリジニル基、1,3−チアゾリジニル基、1,3−オキサゾリジニル基、ピラゾイル基、イソキサゾイル基、チアゾイル基、ピリジル基、ピリミジル基、またはピリダジニル基である請求項1に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項3】
前記有機リン殺虫剤が0.1〜80質量%、クロルピクリンが10〜90質量%、前記ノニオン界面活性剤が1〜40質量%を含有する請求項1または2に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項4】
前記有機リン殺虫剤が、ダイアジノン、ホスチアゼート、イミシアホス、ピラクロホス、クロルピリホス及びピリミホスメチルからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項5】
前記ノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項6】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物である請求項5に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項7】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造におけるアリール基が、非置換フェニル基、又は、C8〜C12アルキル置換フェニル基であるか、又は、フェニル又はフェニルC1〜C3脂肪族基で置換されたフェニル基である請求項5又は6に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項8】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造を有するノニオン界面活性剤がポリオキシC2〜C4アルキレンフェニル置換フェニルエーテル、ポリオキシC2〜C4アルキレンベンジル置換フェニルエーテル、又はポリオキシC2〜C4アルキレンスチリル置換フェニルエーテル、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレン(非置換フェニル、C8〜C12アルキル置換フェニル又はスチリル置換フェニル)エーテルホルムアルデヒド縮合物である請求項5〜7の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項9】
前記ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレンアリールエーテルまたはポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項10】
前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテル又はそのアルデヒド縮合物、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンC8〜C12アルキル置換フェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である請求項1に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項11】
前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物である請求項10に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項12】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールエーテル構造における、ポリオキシC2〜C4アルキレン部分の繰り返し単位の繰り返し数が10〜25である請求項5〜11の何れか一項に記載の混合農薬乳剤組成物、但し、ホルムアルデヒド縮合物の場合には、2分子が結合された形になるので、ポリオキシC2〜C4アルキレン部分の繰り返し数の合計の数である。
【請求項13】
更にエポキシグリセリド又はエポキシ化植物油を含有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項14】
更にアニオン界面活性剤を含有する請求項13に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項15】
前記有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスである請求項1〜14に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項16】
前記有機リン殺虫剤がホスチアゼート又はイミシアホスであり、ノニオン界面活性剤として、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を含む請求項1に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項17】
ポリオキシC2〜C4アルキレンアリ−ルフェニルエーテルがポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルであり、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物が、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物である請求項16に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項18】
更にエポキシグリセリド又はエポキシ化植物油を含有する請求項15〜17のいずれか一項に記載の混合農薬乳剤組成物。
【請求項19】
組成物全体に対して、ホスチアゼート又はイミシアホスが0.3〜10質量%、クロロピクリンが70〜90質量%、ポリオキシC2〜C4アルキレンアリールフェニルエーテル又はそのホルムアルデヒド縮合物、又は、ポリオキシC2〜C4アルキレンフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物を5〜30質量%、及びエポキシグリセリド又はエポキシ化植物油を0.1〜30質量%含有する請求項18に記載の混合農薬乳剤組成物。

【公開番号】特開2013−91638(P2013−91638A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220861(P2012−220861)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】