説明

有機ELモジュール

【課題】有機ELパネルの有機層に発生した部分短絡を容易に検出することが可能な有機ELモジュールを提供する。
【解決手段】有機ELモジュール200は、透明電極層12を含み、給電されることによって発光する有機ELパネル10と、透明電極層12に設けられた複数の電圧検出部21〜24と、複数の電圧検出部21〜24の各々における透明電極層12の電圧値を検出するとともに、検出した複数の電圧値同士の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Organic Electro Luminescence)パネルを備える有機ELモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008−251276号公報(特許文献1)に開示されるように、複数のLED(Light Emitting Diode)を備えるLEDモジュールが知られている。その一方で、近年、有機ELパネルを備える有機ELモジュールが注目されている。
【0003】
有機ELパネルは、非常に薄い板ガラスまたは樹脂製の基板等を用いて製造されるため、可撓性を有する。有機ELパネルは、その薄さによる省スペース化が図れるだけでなく、可撓性を活用して自由な形状で取り付けられることができるため、デザイン性の高い照明器具用途として期待されている。
【0004】
さらに、有機ELパネルはいわゆる面光源として機能し、発光面の全体が発光する。有機ELパネルは、白熱灯若しくはLEDのような点光源または蛍光灯のような線光源とは異なり、輝度を抑えた柔らかな光の演出をすることが可能であり、高品位な照明器具用途としても期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−251276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機ELパネルにおいては、面状に形成された有機層(発光部)の一部に欠陥が発生する場合がある。この場合、その欠陥部分に流れる電流が増加することによって、その欠陥部分が徐々に短絡に至るといった故障モードが発生することが多い。
【0007】
本発明は、有機ELパネルの有機層に発生した部分短絡を容易に検出することが可能な有機ELモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく有機ELモジュールは、透明電極層を含み、給電されることによって発光する有機ELパネルと、上記透明電極層に設けられた複数の電圧検出部と、複数の上記電圧検出部の各々における上記透明電極層の電圧値を検出するとともに、検出した複数の上記電圧値同士の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0009】
好ましくは、上記有機ELパネルは、複数のうちの全部または一部の上記電圧検出部を通して給電される。好ましくは、上記透明電極層は、複数の上記電圧検出部が設けられる部分に対応するように複数の領域に分割されている。
【0010】
好ましくは、本発明に基づく上記の有機ELモジュールは、上記有機ELパネルへの給電を制御する制御部をさらに備え、上記判定部によって複数の上記電圧値同士の差が上記所定の閾値以上であると判定された場合、上記制御部は上記有機ELパネルへの給電を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機ELパネルの有機層に発生した部分短絡を容易に検出することが可能な有機ELモジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】参考技術における有機ELモジュールを示す平面図である。
【図2】参考技術における有機ELモジュールに備えられる有機ELパネルを示す断面図であり、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】参考技術における有機ELモジュールが駆動されている際の様子を示す平面図である。
【図4】参考技術における有機ELモジュールが駆動されている際の様子を示す断面図であり、図3中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】参考技術における有機ELモジュール(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている際の様子を示す平面図である。
【図6】参考技術における有機ELモジュール(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている際の様子を示す断面図であり、図5中のVI−VI線に沿った矢視断面図である。
【図7】実施の形態1における有機ELモジュール(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている際の様子を示す平面図である。
【図8】実施の形態1における有機ELモジュールに用いられるウィンドウコンパレーターの入出力特性を示す図である。
【図9】実施の形態2における有機ELモジュール(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている際の様子を示す平面図である。
【図10】実施の形態2における有機ELモジュールに備えられる有機ELパネルを示す断面図であり、図9中のX−X線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた各実施の形態について説明する前に、本発明に関する参考技術について、以下、図面を参照しながら説明する。参考技術の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0014】
[参考技術]
図1は、参考技術における有機ELモジュール100を示す平面図である。図2は、有機ELモジュール100に備えられる有機ELパネル10を示す断面図であり、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。図1に示すように、有機ELモジュール100は、有機ELパネル10、複数の給電部21〜24、および電源40を備える。
【0015】
(有機ELパネル10)
図2に示すように、有機ELパネル10は、透明基板11(カバー層)、陽極12(透明電極層)、有機層13、陰極14(金属電極層)、封止部材15、発光面16、および電極部17,18を含む。陽極12、有機層13、陰極14、および封止部材15は、透明基板11の表面上に順次積層される。
【0016】
透明基板11は、たとえば各種のガラス基板から構成される。透明基板11を構成する部材としては、PET(Polyethylene Terephthalate)またはポリカーボネイト等のフィルム基板が用いられてもよい。
【0017】
陽極12は、透明性を有する導電膜である。陽極12を形成するためには、スパッタリング法等によって、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等が透明基板11上に成膜される。フォトリソグラフィ法等によりITO膜が所定の形状にパターニングされることによって、陽極12が形成される。
【0018】
有機層13は、電力が供給されることによって光(可視光)を生成することができる。有機層13は、単層の発光層から構成されていてもよく、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層などが順次積層されることによって構成されていてもよい。
【0019】
陰極14は、たとえばアルミニウム(AL)である。陰極14は、真空蒸着法等によって有機層13を覆うように形成される。陰極14を所定の形状にパターニングするために、真空蒸着の際にはマスクが用いられるとよい。
【0020】
封止部材15は、絶縁性を有するガラス基板等から構成される。封止部材15は、有機層13等を水分等から保護するために設けられる。封止部材15は、陽極12、有機層13、および陰極14の略全体を透明基板11上に封止する。
【0021】
陽極12の一部と陰極14の一部とは、電気的な接続のために、封止部材15から露出している。陽極12の封止部材15から露出している部分は、電極部17を構成する。電極部17と陽極12とは互いに同じ材料で構成される。電極部17は、有機ELパネル10の外周部に位置する。
【0022】
陰極14の封止部材15から露出している部分は、電極部18を構成する。電極部18と陰極14とは互いに同じ材料で構成される。電極部18も、有機ELパネル10の外周部に位置する。電極部17および電極部18は、有機層13を挟んで相互に反対側に位置している。発光面16は、透明基板11の下面(陽極12等が積層される側とは反対側の面)に形成される。
【0023】
(給電部21〜24・電源40)
図1を再び参照して、電源40の正極に配線の一端が接続され、その配線の他端は4つに分割されて、有機ELパネル10の電極部17(陽極12)に接続される。これらの4つの配線には、配線抵抗21R,22R,23R,24R(配線自身の電気抵抗)がそれぞれ設けられ、これらの4つの配線と電極部17(陽極12)とが相互に接続された部分が、給電部21〜24をそれぞれ構成している。
【0024】
電源40の負極にも他の配線の一端が接続され、その配線の他端は有機ELパネル10の電極部18(陰極14)に接続される。この配線と電極部18(陰極14)とが相互に接続された部分が、給電部25を構成している。
【0025】
(有機ELモジュール100の動作)
図3は、有機ELモジュール100が駆動されている様子を示す平面図である。図4は、有機ELモジュール100が駆動されている様子を示す断面図であり、図3中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【0026】
図3においては、説明上の便宜のため、封止部材15が一点鎖線を用いて図示されるとともに、封止部材15に封止されている陽極12が実線を用いて透過的に図示される。同じく説明上の便宜のため、図3においては有機層13および陰極14は図示されていない。これらについては、後述する図5、図7、および図9においても同様である。
【0027】
図3および図4に示すように、有機ELモジュール100が駆動される際、電源40から給電部21〜24を通して陽極12の全体に電流が供給される(図3および図4における矢印AH参照)。陽極12に供給された電流は、有機層13を通して陰極14に流れる(図4における矢印AL参照)。
【0028】
有機層13に供給された電流により、有機層13は活性化され、有機層13には蛍光または燐光による発光現象が発生する。有機層13において生成された光は、透明基板11(発光面16)側から外部に取り出される。
【0029】
ここで、ITOなどから構成される陽極12(透明電極層)は、一般的な金属に比べて抵抗率が高い。陽極12に電流が供給されている際(有機層13が発光している際)、抵抗による電圧降下が発生し、陽極12内には電圧分布が生じる。この電圧分布は、電圧等圧線L1〜L8によって表される。
【0030】
図3および図4に示すように、有機ELパネル10の有機層13に部分短絡が発生していない場合には、陽極12内においては一様な電圧分布が形成される。電圧等圧線L1〜L8は略平行な位置関係となり、給電部21〜24における電圧は略等しい値となる。
【0031】
図5は、有機ELモジュール100(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている様子を示す平面図である。図6は、有機ELモジュール100(部分短絡が発生しているもの)が駆動されている様子を示す断面図であり、図5中のVI−VI線に沿った矢視断面図である。
【0032】
図5および図6に示すように、有機ELパネル10の有機層13に部分短絡が発生すると、陽極12に供給された電流はその短絡部SHに集中するように流れる。短絡部SHにおける電圧降下の程度が大きくなり、電圧等圧線は、短絡部SHを取り巻くように形成される。その結果、給電部21〜24における電圧値同士の間には、この電圧分布に応じた電圧差が発生する。
【0033】
なお、電極部17(陽極12)に接続される4つの配線に配線抵抗21R,22R,23R,24Rが設けられない場合(存在していない場合)、理論上では給電部21〜24における電圧はすべて同じ値となるが、現実的には各配線には配線抵抗(配線自身の電気抵抗)が存在し、給電部21〜24における電圧値同士の間には、上記の電圧分布に応じた電圧差が発生する。本実施の形態においては、配線抵抗21R,22R,23R,24Rが各配線部材の電気抵抗に相当するが、配線抵抗21R,22R,23R,24Rの代わりに別の抵抗を直列接続して、有機ELパネル10に供給される電流を一定の値以下に制御する制限抵抗を構成してもよい。
【0034】
短絡部SHが形成された状態で有機層13に電流が供給され続けると、短絡部SHに電流が集中することにより、有機層13の温度が次第に上昇する。有機層13は、短絡部SHを中心として劣化するとともに、劣化に伴って短絡部SHにはさらに大きな電流が流れる。有機ELパネル10としては、故障した状態となり、交換または修理される必要が生じる。
【0035】
[実施の形態]
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0036】
[実施の形態1]
図7は、本実施の形態における有機ELモジュール200を示す平面図である。図7においては、有機ELモジュール200に備えられる有機ELパネル10の有機層13に、短絡部SHが形成されている状態が示される。
【0037】
有機ELモジュール200は、有機ELパネル10、複数の給電部21〜24(電圧検出部)、判定部30、および電源40を備える。有機ELパネル10は、上述の参考技術における有機ELパネル10(図2等参照)と略同様に構成される。
【0038】
有機ELモジュール200においては、給電部21〜24の各々における陽極12(透明電極層)の電圧値を検出するとともに、検出した複数の電圧値同士の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部30が用いられる。本実施の形態においては、判定部30の出力が、フリップフロップ35を通してスイッチ素子36に接続される。スイッチ素子36は、たとえばFET(Field Effect Transistor)から構成され、フリップフロップ35からの出力はFETのゲート電圧に入力される。
【0039】
本実施の形態における判定部30は、一例として、コンパレーター31,32,33(ウィンドウコンパレーター)およびORゲート34から構成される。
【0040】
給電部21は、コンパレーター31の一方の入力端子(反転入力端子)に接続される。給電部22は、コンパレーター31の他方の入力端子(非反転入力端子)およびコンパレーター32の一方の入力端子(反転入力端子)に接続される。給電部23は、コンパレーター32の他方の入力端子(非反転入力端子)およびコンパレーター33の一方の入力端子(反転入力端子)に接続される。給電部24は、コンパレーター33の他方の入力端子(非反転入力端子)に接続される。
【0041】
図8に示すように、コンパレーター31,32,33は、電圧差が−Vth<Vin(+)−Vin(−)<+Vthの場合はVL(ローレベル)を出力し、Vin(+)−Vin(−)≦−Vthまたは+Vth≦Vin(+)−Vin(−)の場合はVH(ハイレベル)を出力する。このVthは、判定に用いられる所定の閾値である。この閾値は、有機ELパネル10が正常な状態である場合には異常として検出されず、有機層13に短絡部SHが発生した場合など、有機ELパネル10が正常でない状態である場合には異常として検出されるような適切な値が予め実験などに基づき設定される。
【0042】
コンパレーター31,32,33の出力端子はORゲート34の入力端子にそれぞれ接続され、コンパレーター31,32,33の出力は、ORゲート34によって論理和を演算される。ORゲート34の出力は、判定部30としての出力を構成している。
【0043】
以上のように構成される判定部30は、コンパレーター31,32,33を用いて給電部21〜24の各々における陽極12(透明電極層)の電圧値を検出するとともに、検出した複数の電圧値同士の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0044】
上述のように、有機ELパネル10の有機層13に部分短絡が発生すると、陽極12に供給された電流はその短絡部SHに集中するように流れる。短絡部SHにおける電圧降下の程度が大きくなり、電圧等圧線は、短絡部SHを取り巻くように形成される。その結果、給電部21〜24における電圧値同士の間には、この電圧分布に応じた電圧差が発生する。
【0045】
コンパレーター31,32,33のうちのいずれか1つが閾値以上であると判定された場合、ORゲート34からの論理和出力がフリップフロップ35等によりラッチされ、その出力は、スイッチ素子36としてのFET(Field Effect Transistor)のゲート電圧に入力される。スイッチ素子36は、フリップフロップ35からの信号を受けて電源40と有機ELパネル10との間の電気接続を遮断する。すなわち、本実施の形態においては、フリップフロップ35およびスイッチ素子36によって、有機ELパネル10への給電を制御する制御部が構成される。
【0046】
有機ELモジュール200によれば、給電部21〜24(電圧検出部)における陽極12の電圧値を判定部30を用いて容易に検出することができるとともに、短絡部SH(部分短絡)が発生したことにより複数の電圧値同士の差が所定の閾値以上に達していると判定部30が判定した場合には、電源40と有機ELパネル10との間の電気接続を遮断することもできる。電源40と有機ELパネル10との間の電気接続が遮断された状態においては、もはや短絡部SHには電流が供給されないため、有機ELモジュール200によれば、部分短絡の発生に起因する高温の発生を防止することも可能となる。
【0047】
複数の電圧値同士の差が所定の閾値以上に達していると判定部30が判定した場合、電源40と有機ELパネル10との間の電気接続を遮断するという制御の他にも、たとえば、有機ELパネル10への電流の供給量を減らしたり、故障(若しくは故障と思われる現象)が発生している旨または交換をうながす旨などを表示手段に表示したり、故障(若しくは故障と思われる現象)が発生している旨を報知手段によって報知したりしてもよい。
【0048】
本実施の形態においては、電源40と電極部17とが接続された部分である給電部21〜24を用いて、陽極12の各所の電圧値が検出される。すなわち、本実施の形態においては、電極部17に給電を行なう給電部21〜24の全部によって、陽極12の各所の電圧値を検出する電圧検出部が構成され、配線の簡素化と装置の小型化とが実現可能となっている。この態様の他にも、電極部17に給電を行なう給電部21〜24のうちの一部によって、陽極12の各所の電圧値を検出する電圧検出部が構成されてもよく、給電部21〜24とは別の回路として判定部30に接続された電圧検出部が電極部17上に別途設けられてもよい。
【0049】
本実施の形態においては、フリップフロップ35およびスイッチ素子36(FET)によって、有機ELパネル10への給電が制御される。電源投入時の過渡状態で判定部30が誤検出しないように、ラッチ回路の初期化とタイミング制御するような構成も有効である。
【0050】
また、電圧を検出する回路および電流の供給量を制限する回路としては、本実施の形態のような回路素子による構成だけでなく、たとえばFETのゲートのON/OFF電圧を直接的に検出電圧として利用したり、電流制御のためには半導体スイッチ以外にも、たとえば溶断ヒューズ、ポリスイッチ、または機械リレーなど多様な素子が用いられたりしてもよい。
【0051】
[実施の形態2]
図9は、本実施の形態における有機ELモジュール300を示す平面図である。図10は、有機ELモジュール300に備えられる有機ELパネル10Aを示す断面図であり、図9中のX−X線に沿った矢視断面図である。図9においては、有機ELモジュール300に備えられる有機ELパネル10Aの有機層13に、短絡部SHが形成されている状態が示される。
【0052】
有機ELモジュール300の有機ELパネル10Aにおいては、陽極(透明電極層)が、陽極12A〜12Dの4つの領域に分割される。陽極12Aの封止部材15から露出している部分に電極部17Aが構成され、陽極12Bの封止部材15から露出している部分に電極部17Bが構成され、陽極12Cの封止部材15から露出している部分に電極部17Cが構成され、陽極12Dの封止部材15から露出している部分に電極部17Dが構成される。電極部17A〜17Dは、給電部21〜24(電圧検出部)が設けられる部分にそれぞれ一対一で対応している。
【0053】
有機ELパネル10Aの有機層13に部分短絡が発生すると、陽極12に供給された電流はその短絡部SHに集中するように流れる。図9に示すように、陽極12Bが設けられている領域内に短絡部SHが形成された場合、陽極12Bに電流が集中して流れ、陽極12A,12C,12Dに流れる電流は減少する。
【0054】
その結果、陽極12A,12C,12Dは陽極12Bに比べて電圧降下が小さくなり、上述の実施の形態1の場合に比べて、給電部21〜24同士の間における電圧差が大きくなる。有機ELモジュール300によれば、部分短絡の検出感度を高めることができるため、有機ELパネル10Aの有機層13に発生した部分短絡をより容易に検出することが可能となる。
【0055】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10,10A 有機ELパネル、11 透明基板、12,12A,12B,12C,12D 陽極(透明電極層)、13 有機層、14 陰極、15 封止部材、16 発光面、17,17A,17B,17C,17D,18 電極部、21,22,23,24,25 給電部、21R,22R,23R,24R 配線抵抗、30 判定部、31,32,33 コンパレーター(ウィンドウコンパレーター)、34 ORゲート、35 フリップフロップ、36 スイッチ素子、40 電源、100,200,300 有機ELモジュール、AH,AL 矢印、L1〜L8 電圧等圧線、SH 短絡部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極層を含み、給電されることによって発光する有機ELパネルと、
前記透明電極層に設けられた複数の電圧検出部と、
複数の前記電圧検出部の各々における前記透明電極層の電圧値を検出するとともに、検出した複数の前記電圧値同士の差が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部と、を備える、
有機ELモジュール。
【請求項2】
前記有機ELパネルは、複数のうちの全部または一部の前記電圧検出部を通して給電される、
請求項1に記載の有機ELモジュール。
【請求項3】
前記透明電極層は、複数の前記電圧検出部が設けられる部分に対応するように複数の領域に分割されている、
請求項1または2に記載の有機ELモジュール。
【請求項4】
前記有機ELパネルへの給電を制御する制御部をさらに備え、
前記判定部によって複数の前記電圧値同士の差が前記所定の閾値以上であると判定された場合、前記制御部は前記有機ELパネルへの給電を制御する、
請求項1から3のいずれかに記載の有機ELモジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−114794(P2013−114794A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257587(P2011−257587)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001270)コニカミノルタ株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】