説明

有機EL素子用基板及びその製造方法、並びに有機EL素子

【課題】トップエミッション構造の有機EL素子の基板として好適な有機EL素子用基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属製の基材1と、該基材1の一方の面に設けられ白色微粒子2a及び樹脂バインダー2bを含む絶縁反射層2と、を有し、
可視光領域の表面反射率が70%以上であり、表面の最大高さ粗さRzが100nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子用基板及びその製造方法、並びに有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力が小さく、応答速度が高速であり、また視野角依存性の無いフラットパネルのディスプレイや照明装置として、有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子いわゆる有機EL素子)を用いた装置が注目されている(例えば、特許文献1〜5)。
【0003】
一般的に有機EL素子は、基板上において陰極と陽極との間に有機層を狭持してなり、陽極および陰極からそれぞれ注入された正孔(ホール)と電子とが有機層中において再結合することにより発光する。有機層としては、例えば、正孔輸送層、発光材料を含む発光層、および電子輸送層を陽極側から順に積層させた構成や、さらに電子輸送層中に発光材料を含ませて電子輸送性の発光層とした構成が開発されている。
【0004】
ところで、有機EL素子としては、有機層で発光した光を取り出す方向によって、基板側に発光を取り出すボトムエミッション構造と、基板とは反対側の上方に発光を取り出すトップエミッション構造(上面発光型構造ともいう)がある。このうち、トップエミッション構造の有機EL素子は、一般的なボトムエミッション構造のものに比べて発光面積率を大きくできるという利点があり、発光面積率が大きくなると一定光量を得るための輝度が低くてよく、電圧も低くてよくなり寿命も長くなることから今後有望な構造である。
【0005】
ここで、特許文献3では、トップエミッション構造の有機EL素子における基板上の電極(例えば陽極)を可視光に対して高反射率となるようにAlやAl合金からなる反射電極として、有機層で発光した光のうち、基板側へ向かう光を上方へ反射するようにして発光効率を向上させる発明が提案されている。
【0006】
しかしながら、その電極がAlやAl合金からなることから、該電極上に有機層を形成する際に受ける熱の影響により、電極表面にAlの異常成長に起因するヒロックやウイスカーが発生し、反射率の低下やリーク電流の原因となる問題があった。また、耐食性の点でも問題であった。
【0007】
この問題に関して、特許文献6では、電極材料をAl−Ni−B合金としてヒロックが発生しにくい電極(導体層)とし、さらにその上にMo(またはMo合金)のキャップ層を形成して電極の腐食を防ぐ発明が提案されている。しかしながら、Al合金である限り、ヒロックの発生を完全に抑制することは困難であり、またキャップ層形成のために余分な製造工程を増やすことになり製造上好ましいものではなかった。
【0008】
また、特許文献7では、有機EL素子の用途の拡大や取り扱い性の改善等を目的として、有機EL素子の基板を可撓性を有する樹脂フィルムとする発明が提案されている。ここで、発光層は水分や酸素による影響を受けて劣化しやすいため、樹脂フィルムに水分や酸素の浸入を抑制するガスバリア膜が設けられているが、その抑制効果は不十分であった。
【0009】
また、基板上に設けられる電極表面に突起が存在すると、電極間(陽極と陰極の間)の距離が短くなり、電極間に電圧を印加した場合にその突起部分に集中的に電流が流れるリーク電流が発生するため、基板上に設ける電極表面には平坦性が求められていた(例えば、特許文献8参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−103374号公報
【特許文献2】特開2011−108566号公報
【特許文献3】特開2010−192117号公報
【特許文献4】特開2011− 68639号公報
【特許文献5】特開2011− 86874号公報
【特許文献6】特開2009−302083号公報
【特許文献7】特開2010− 97803号公報
【特許文献8】特開2011− 34711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、トップエミッション構造の有機EL素子の基板として好適な有機EL素子用基板及びその製造方法、並びに前記有機EL素子用基板を用いた有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために提供する本発明は、金属製の基材と、該基材の一方の面に設けられ白色微粒子及び樹脂バインダーを含む絶縁反射層と、を有し、可視光領域の表面反射率が70%以上であり、表面の最大高さ粗さRzが100nm以下であることを特徴とする有機EL素子用基板である。
【0013】
また前記課題を解決するために提供する本発明は、金属製の基材の一方の面に、塗布により白色微粒子及び樹脂バインダーを含む塗膜を形成する工程と、前記塗膜表面を研磨して絶縁反射層とする工程と、を有することを特徴とする有機EL素子用基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有機EL素子用基板によれば、金属製の基材と、該基材の一方の面に設けられ白色微粒子を樹脂バインダーに分散させた絶縁反射層と、を有し、可視光領域の表面反射率が70%以上であり、表面の最大高さ粗さRzが100nm以下であるので、可撓性、耐ガスバリア性、表面電気絶縁性、耐熱性、反射性、表面平滑性について優れた特性を有し、トップエミッション構造の有機EL素子の基板として好適なものを提供できる。
また本発明の有機EL素子用基板の製造方法によれば、簡便な方法により、本発明の有機EL素子用基板を提供することができる。また、ロールトゥロール方式の有機EL素子の製造に好適な帯状の有機EL素子用基板を製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る有機EL素子用基板の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る有機EL素子の構成例(1)を示す断面図である。
【図3】本発明に係る有機EL素子の構成例(2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明者は、前述した従来技術における課題を解決すべく、有機EL素子の基板に前述した要求特性を集約することを前提に鋭意検討を行った。
(1) すなわち、まず水分や酸素などに対するガスバリア性を改善すべく、基板の材料を樹脂フィルムから金属製の基材とすることを検討した。トップエミッション構造の場合、基板は透明である必要はないからである。また、基材の厚さを薄くすることにより可撓性も確保することが可能である。
(2) また、基板の上に電極を設ける構成であることから該基板の電極形成面には電気絶縁性が必要であり、さらに後工程(発光層形成工程)で加熱されることから、金属製の基材表面に電気絶縁性及び耐熱性を有する膜を形成する必要がある。
(3) また、基板上に設ける電極を後工程の加熱でヒロックの発生しやすいAlやAl合金などの金属の電極から加熱によってもヒロックの発生しないインジウム錫酸化物(ITO)などの透明電極とする前提とし、反射特性を基板に付与することを検討した。ここでは、前記電気絶縁性及び耐熱性を有する膜に高反射特性を付与する必要がある。
(4) また、リーク電流防止のために、基板上の透明電極表面を平滑化する必要がある。この場合、透明電極単体である程度の平滑化を図ることは可能であるが、透明電極の厚さは1μm未満(100nm程度)であるため、基板の表面粗さの影響が大きい。ここでは、前記電気絶縁性及び耐熱性を有する膜の表面粗さを小さくする必要がある。
以上のことから、有機EL素子用基板として、(1)金属製の基材と、(2)電気絶縁性及び耐熱性を有する膜と、を有し、該電気絶縁性及び耐熱性を有する膜には(3)優れた反射特性(高反射率)と(4)平滑な表面(表面粗さの小さいこと)が必要である。
発明者は、この要件を満足する有機EL用基板を実現すべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
以下、本発明の有機EL素子の実施形態について説明する。
【0017】
〔有機EL素子用基板〕
図1は、本発明に係る有機EL素子用基板の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、有機EL素子用基板(以下、基板という)10は、金属製の基材1と、該基材1の一方の面に設けられ白色微粒子2a及び樹脂バインダー2bを含む絶縁反射層2と、を有し、可視光領域の表面反射率(以下、反射率)が70%以上であり、表面の最大高さ粗さRzが100nm以下であることを特徴とするものである。なお、図1では、基材1表面に化成処理皮膜1aを設けた例を示している。
【0018】
ここで、基材1は、基板10としての耐ガスバリア性及び可撓性を付与することのできる金属材料からなるものである。例えば、ステンレス鋼、普通鋼、めっき鋼板(Znめっき、Zn合金めっき、Zn−Al−Mgめっき、Alめっき、Cuめっき等)、Al、Cu、Ni、Tiのいずれかからなる金属板または金属箔が挙げられるが、耐食性、比強度、コストの観点からステンレス鋼の薄板(箔を含む)が好ましい。このとき、ステンレス鋼としては、JIS G4305で規定されるステンレス鋼であれば鋼種は特に制限されない。
【0019】
基材1の板厚は、特に制約を受けないが、加工性、軽量化及び有機EL素子としての可撓性付与の観点から0.01〜0.3mmであることが好ましい。
【0020】
基材1の表面は、絶縁反射層2を設けることからある程度平滑であればよく、例えば算術平均粗さRaとして0.3μm以下、最大高さ粗さRzとして10μm以下であればよい。なお、これらの粗さパラメータは、JIS B0601:2001に従う(以降、同じ)。なお、ステンレス鋼板の表面粗さは表面仕上げに応じて異なるが、BA仕上げ、2B仕上げ、HT仕上げなどいずれでもよく、表面粗さが小さいBA仕上げ(測定例として、Ra=32nm、Rz=2.6μm)が最も好ましい。
【0021】
化成処理皮膜1aは、基板10の耐食性および塗膜密着性を向上させるためのものであり、その種類は特に限定されない。例えば、クロメート処理、クロムフリー処理、リン酸塩処理などにより形成される皮膜である。また、化成処理皮膜1aの膜厚は、塗装原板の腐食の抑制および塗膜密着性向上に有効な範囲であれば、特に限定されない。例えば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5〜100mg/m2となるように膜厚を調整すればよい。また、クロムフリー皮膜の場合、Ti−Mo複合皮膜では10〜500mg/m2となるように膜厚を調整し、フルオロアシッド系皮膜ではふっ素換算付着量または総金属元素換算付着量が3〜100mg/m2の範囲内となるように膜厚を調整すればよい。リン酸塩皮膜の場合、付着量が5〜500mg/m2となるように膜厚を調整すればよい。化成処理皮膜1aは省略してもよい。
【0022】
絶縁反射層2は、樹脂バインダー2bの中に白色微粒子2aが分散あるいは充填されてなる薄膜である。
【0023】
白色微粒子2aは、電気絶縁性を有するとともに可視光に対する高反射性を有する顔料であり、反射効率の観点からできるだけ白色であることが好ましい。また白色微粒子2aは、粉末での反射率が70%以上のものが好ましく、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛等が挙げられるが、基板10としての反射効率を考慮すれば、白色度の高い二酸化チタン(TiO2)が特に好ましい。
なお、ここでいう反射率とは、可視光領域における反射率であり、例えば波長520nmにおける全反射率のことである(以降、同じ)。
【0024】
白色微粒子2aの粒径は、絶縁反射層2の厚さよりも小さければよく、例えば粉末における2次平均粒子で3μm以下が好ましい。また、粒度の異なる微粒子を混在させてもよい。
【0025】
樹脂バインダー2bは、電気絶縁性を示す有機樹脂であり、300℃程度の耐熱性を有することが好ましい。例えば、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0026】
白色微粒子2aと樹脂バインダー2bの組成物(塗料主樹脂)との配合比は、光反射効果や塗膜密着性等を考慮して、絶縁反射層2を形成するための塗料主樹脂100質量部に対して、白色微粒子2aが40〜120質量部の範囲が好ましい。
【0027】
なお、絶縁反射層2内における白色微粒子2aの配置態様としては、光反射効果を考慮すれば、白色微粒子2aが基材1表面をほぼ被うとともに均一に分布させる態様が好ましい。
【0028】
絶縁反射層2の厚さは、基板10としての反射特性、電気絶縁性及び周知のロールコート方式による基材1への塗設の難易性などを考慮して、5〜30μm程度が好ましい。絶縁反射層2の厚さが5μm未満では、基材1表面の隠蔽が劣り、絶縁反射層2の白色度が劣るため、目的の反射率が得られない場合がある。また、絶縁反射層2の厚さが30μmを超えると、塗料を塗布し焼き付ける際、ワキが発生し塗膜表面の平滑性を著しく阻害する。
【0029】
また、基板10の表面、すなわち絶縁反射層2の表面の反射率が70%以上である。さらに、その反射率が80%以上であることが好ましい。有機ELは自己発光のため、液晶のようにバックライト、反射パネルを配置しなくてもよい。しかし、反射パネルを配置し、観察者とは反対向きに放出された光を反射させて、観察者に向けて放出した光と協調的に干渉し合うように有機EL層を最適化することにより、観察者とは反対向きに放出された光も利用できる。なお、絶縁反射層2の表面の反射率が70%未満では、観察者とは反対向きに放出された光が効率良く反射されないため、発光ロスが大きく、効率的ではない。
これにより、基板10を用いてトップエミッション構造の有機EL素子を作製した場合、発光層から基板10側へ向かう光を表面に効率的に反射することができ、発光効率の向上を図ることができる。
【0030】
また、基板10の表面、すなわち絶縁反射層2の表面の最大高さ粗さRzが100nm以下である。さらに、その最大高さ粗さRzが80nm以下であることが好ましい。また、基板10の表面、すなわち絶縁反射層2の表面の表面粗さを算術平均粗さRaとしてみると、該算術平均粗さRaが20nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nmである。前記透明電極の厚さは1μm未満(100nm程度)であるため、最大高さ粗さRzが100nmを超えると、有機EL素子上に透明電極の無いポイントができ、有機EL層が発光しない不具合が発生する。あるいは算術平均粗さRaが20nmを超えると、透明電極断面が凹凸形状になり、凸部への電界が高まり、電流が集中することになり、有機EL層の劣化が促進され、発光輝度が低下し、発光しなくなる。
これにより、基板10を用いてトップエミッション構造の有機EL素子を作製する際、基板10上に容易に平滑な電極(陽極)を形成することができ、リーク電流を防止することが可能となる。
【0031】
また、図1に示すように、基材1の絶縁反射層2とは反対側の面(他方の面、図1において下方の面)に、放熱塗膜3を有することが好ましい。
【0032】
放熱塗膜3としては、例えばポリエステル、エポキシ、エポキシ変性ポリエステル、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリオルガノシロキサン、シリコーン変性アクリル、フッ素樹脂等の樹脂塗料中に、濃色顔料を分散させたものを塗布、焼付けすることにより形成されるものであり、この塗膜の明度L値を50以下としたものが挙げられる。
このとき、濃色顔料としては、カーボンブラック、黒色粉末、セラミック粉末、遷移金属酸化物粉末、複合酸化物粉末等のうち、熱吸収能の高い顔料が用いられる。
【0033】
あるいは、放熱塗膜3としては、前記樹脂塗料中に、濃色顔料の代わりにマグネタイトを20〜80質量%添加してなるものが挙げられる。
【0034】
基板10を有機EL素子に用いた場合、有機EL素子を駆動(発光)させたときに発生する熱を金属製の基材1で奪い、有機EL素子の発光面における局所的な過熱を防止するが、この放熱塗膜3を設けることにより裏面からの放熱を平均化し、かつ、促進を図ることができるのでより有機EL素子の過熱を防止することが可能である。
なお、放熱塗膜3は省略してもよい。
【0035】
ところで、本発明では、絶縁反射層2の形成に当たり、まず塗布により基材1の一方の面に白色微粒子及び樹脂バインダーを含む塗膜を形成するが、基板10としての反射率はこの塗膜の厚さや白色微粒子配合量に対して比例する傾向にある。一方で、この塗膜の表面粗さ(例えば、最大高さ粗さRz)は、その厚さに反比例する傾向にある。ここで、基板10表面の反射率が70%以上となるように塗膜を厚くすると、その表面粗さとして最大高さ粗さRzが100nmを超えてしまい、有機EL素子用の基板として不適となった。すなわち、単に塗布による塗膜の形成だけでは、高反射率と表面粗さの小さいことの両立を図ることができない。
本発明者らは、基板10において反射率と表面粗さの両立を図るべく鋭意検討を行い、反射率を満足する塗膜の表面を研磨することにより、表面の平滑化を実現する技術を開発した。
【0036】
すなわち、本発明に係る有機EL素子用基板の製造方法は、基材1の一方の面に、塗布により白色微粒子2a及び樹脂バインダー2bを含む塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜表面を研磨して絶縁反射層2とする研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0037】
まず塗膜形成工程では、塗装原板となる基材1に耐食性および塗膜密着性を向上させる観点から化成処理皮膜1aを形成してもよい。この化成処理皮膜1aの形成方法は、公知の方法でよく、例えば化成処理液をロールコート法、スピンコート法、スプレー法などの方法で塗装原板の表面に塗布し、水洗せずに乾燥させればよい。乾燥温度および乾燥時間は、水分を蒸発できれば、特に限定されない。生産性の観点からは、乾燥温度は到達板温で60〜150℃の範囲内が好ましく、乾燥時間は2〜10秒の範囲内が好ましい。
【0038】
塗膜は、公知の方法で形成されうる。例えば、化成処理を施した基材1の片方の主面に、塗布により樹脂バインダー2bの組成物(結合剤及び有機溶媒)に白色微粒子2aを分散させた塗料を塗布し、乾燥(あるいは焼付け)して塗膜を形成する。
【0039】
このとき、塗膜厚みを白色微粒子2aの2次粒子径よりも厚くして、塗膜の最表面に白色微粒子2aが突出することを抑制して表面粗さを制御するとよい。また、前記塗料に、アクリル系あるいはシリコーン系のレベリング剤を1質量%以下配合して塗膜表面の平滑化を図るとよい。
【0040】
なお、このときの塗布方法としては、従来の公知の塗布、方式、例えばディッピング塗布、グラビア塗布、バーコート、ロール塗布、ブレード塗布、ダイコーティング等の各種方式でよい。基材1が帯状の材料(いわゆるコイル材)であるとき、ロール塗布により連続的な塗膜形成が可能である。焼付け温度は、到達板温で250〜400℃の範囲内が好ましく、乾燥時間は、30〜120秒の範囲内が好ましい。
【0041】
つぎに、研磨工程では、基材1上に形成された前記塗膜の表面を研磨してその表面の平滑化を行い、絶縁反射層2とする。
【0042】
塗膜表面の研磨方式としては、金属やプラスチックの表面研磨、ガラスのポリシングで適用される公知の研磨方式でよい。例えば、乾式の研磨方式としては、(1)綿布を多数のヒダが付くように織り込んだ厚さ10〜20mm程度の綿バフをロール状に重ね、シリカ粉、アルミナ粉等の無機成分と固形パラフィン、脂肪酸エステル、動植物油脂等からなる研磨剤を綿バフに含浸させた綿バフロールを研磨対象物の表面上に接触させ、ロール回転させながら移動させる乾式ロール研磨方式、(2)同じく綿バフを断面方向円盤(ディスク)状に使用し、上記研磨剤を含浸させた綿バフディスクのディスク面を研磨対象物の表面に接触させ、ディスク回転させながら移動させる乾式ディスク方式、(3)綿バフの代わりにあや織り綿やナイロン不織布製のベルトに上記研磨剤を含浸させ、研磨対象物の表面に回転ベルトを接触させ、移動させる乾式ベルト方式などが挙げられる。
【0043】
また、湿式の研磨方式としては、研磨対象物の研磨表面側に不織布貼りやセラミックス処理(SiC焼結材)した鋼製ロール、反対側に塗装鋼板を支持する目的で鋼製ロールを配置し、研磨剤を用いず、また研磨時に発生する摩擦熱を抑制するため、研磨対象物に水スプレーしながら、2本のロール間に研磨対象物を移動させる湿式ロール方式が挙げられる。
【0044】
これら方式を用いた研磨によれば、帯状の基材1に塗膜を形成したものについて、連続的な研磨処理が可能である。
【0045】
以上の有機EL素子用基板の製造方法により、本発明の有機EL素子用基板(基板10)を簡便に製造することが可能である。
【0046】
〔有機EL素子〕
次に、本発明の有機EL素子用基板を用いた有機EL素子の構成について説明する。
有機EL素子は、本発明の有機EL素子用基板(基板10)の絶縁反射層2の上に、少なくとも透明電極である陽極及び陰極と、該陽極と陰極の間に設けられる有機発光材料からなる発光層と、を有する。以下、その構成例について説明する。
【0047】
図2は、本発明の有機EL素子の構成例(1)を模式的に示す断面図である。この図に示す有機EL素子11は、基板10上に、陽極13、有機層14、および陰極15をこの順に積層してなる。このうち有機層14は、陽極13側から順に、例えば正孔輸送層14b、発光層14c、および電子輸送層14dを積層してなるものである。
【0048】
また図3は、本発明の有機EL素子の構成例(2)を模式的に示す断面図である。この図に示す有機EL素子11’は、基板10上に、陽極13、有機層14、および陰極15をこの順に積層してなる。このうち有機層14は、陽極13側から順に、例えば正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c、および電子輸送層14dを積層してなるものである。
【0049】
次に、この有機EL素子11,11’を構成する各部の詳細な構成を、基板10側から順に説明する。
<陽極>
陽極13には、透明電極であって効率良く正孔を注入するために電極材料の真空準位からの仕事関数が大きいもの、例えばIWO(酸化インジウムタングステン)、ITO(酸化インジウム錫)、InZnO(酸化インジウム亜鉛)等が用いられる。このうち、IWOの表面平滑透明導電層がより好ましい。
【0050】
<正孔注入層/正孔輸送層>
正孔注入層14aおよび正孔輸送層14bは、それぞれ発光層14cへの正孔注入効率を高めるためのものである。このような正孔注入層14aもしくは正孔輸送層14bの材料としては、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、テトラシアノキノジメタン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベンあるいはこれらの誘導体、または、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを用いることができる。
【0051】
また、上記正孔注入層14aもしくは正孔輸送層14bのさらに具体的な材料としては、α−ナフチルフェニルフェニレンジアミン(NPD)、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、金属ナフタロシアニン、ヘキサシアノアザトリフェニレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(F4−TCNQ)、テトラシアノ−4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
<発光層>
発光層14cは、陽極13側から注入された正孔と、陰極15側から注入された電子とが再結合して発光光を発生する領域である。このような発光層14cは、炭素及び水素のみから構成される有機材料で形成された有機薄膜であっても良く、正孔輸送性を示す三級アミンを分子構造中に有する材料を用いて構成された層であっても良い。加えて、発光層14cは、ドーパントとして、ベリレン誘導体、クマリン誘導体、ピラン系色素、トリフェニルアミン誘導体等の有機物質を微量含む混合有機薄膜であっても良い。この場合には発光層14cを構成するホスト材料(主材料)と、ドーパントとなる材料との共蒸着によって、発光層14cが形成される。また特に、正孔輸送性を示す三級アミンを分子構造中に有する材料のうち、分子間相互作用が小さく濃度消光しにくい特徴を有するものであれば、高濃度のドーピングが可能になり、最適なドーパントの1つとして機能する。
【0053】
以上のような発光層14cを構成する材料(有機発光材料)は、希望する色に応じて選択することが可能である。例えば、青色系統の発光光を得たい場合には、オキサジアゾール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体などが用いられる。緑色系統の発光光を得たい場合には、青色系統の発光層にクマリン6などのクマリン誘導体、キナクリドン誘導体などの既知の緑色色素をドーピングした層が用いられる。赤色系統の発光光を得たい場合には、青色系統または緑色系統の発光層にニールレッド、DCM1{4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン}、DCJT{4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(ジュロリジルスチリル)−ピラン}などのピラン誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、クロリン誘導体、ユーロジリン誘導体などの既知の赤色色素をドーピングした層が用いられる。
【0054】
また、有機EL素子11,11’を照明装置として用いる場合には、発光層14cを、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層を積層させた白色発光層とする。
【0055】
<電子輸送層>
電子輸送層14dは、陰極15から注入される電子を発光層14cに輸送するためのものである。電子輸送層14dの材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、またはこれらの誘導体が挙げられる。
【0056】
以上、有機層14を構成する上記の各層14a〜14dは、例えばスパッタその他の蒸着法や、スピンコート法などの方法によって形成することができる。
【0057】
なお、有機層14は、少なくとも発光層14cと共に、陽極13と発光層14cとの間に、正孔輸送層14aを有する構成(図2の構成)、正孔輸送層14a及び正孔注入層14bを有する構成(図3の構成)のいずれかの層構造を有する。
【0058】
さらに、以上の有機層14を構成する各層、例えば正孔輸送層14a、発光層14c、および電子輸送層14dは、それぞれが複数層からなる積層構造であっても良い。
【0059】
<陰極>
陰極15は、例えば、有機層14側から順に第1層(電子注入層)15a、第2層(陰極電極層)15bを積層させた2層構造で構成されている。
【0060】
第1層15aは、第2層15bからの電子を電子輸送層14dに注入するためのものであり、仕事関数が小さく、かつ光透過性の良好な材料を用いて構成される。このような材料としては、例えば酸化リチウム(Li2O)や炭酸セシウム(Cs2CO3)、さらにはこれらの酸化物及び複合酸化物の混合物を用いることができる。
【0061】
第2層15bは、例えば、MgAgなどの光透過性を有する層を用いた薄膜により構成されている。
【0062】
また陰極15は、真空蒸着法、スパッタリング法、更にはプラズマCVD法などの手法によって形成することができる。
【0063】
なお、陰極15は上記のような積層構造に限定されることはなく、作製されるデバイスの構造に応じて最適な組み合わせ、積層構造を取れば良いことは言うまでもない。例えば、上記実施形態の陰極15の構成は、電極各層の機能分離、すなわち有機層14への電子注入を促進させる無機層(第1層15a)と、電極を司る無機層(第2層15b)とを分離した積層構造である。しかしながら、有機層14への電子注入を促進させる無機層が、電極を司る無機層を兼ねても良く、これらの層を単層構造として構成しても良い。また、この単層構造上にITOなどの透明電極を形成した積層構造としても良い。
【0064】
また上記した構成の有機EL素子11,11’に印加する電流は、通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子が破壊されない範囲内であれば特に制限はないが、有機EL素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。なお、基板10は絶縁反射層2により良好な表面電気絶縁性を有しているので、有機EL素子11,11’は正常に駆動する。
【0065】
このような本発明の有機EL素子11,11’を用いて、平面光源となる照明装置やカラーディスプレイなどの表示装置を構成することが可能である。
【0066】
以上の構成の有機EL素子によれば、本発明の有機EL素子用基板10を用いているので、発光層14cから基板10側へ向かう光を表面に効率的に反射することができ、発光効率の向上を図ることができる。また、基板10上に容易に平滑な陽極13を形成することができ、リーク電流を防止することが可能となる。
また、基板10に金属製の基材1を用いているので良好なガスバリア性を示し、発光層14cを含む有機層14の劣化を防止することができる。さらに、有機EL素子11,11’を駆動(発光)させたときに発生する熱を金属製の基材1で奪い、有機EL素子の発光面における局所的な過熱を防止することができる。特に、従来の大面積の有機EL素子では、発光面中央部の温度が端部よりも上昇することにより中央部が暗くなるような明度差が発生するが、本発明の有機EL素子11,11’によれば連続使用によっても金属製の基材1により発光面の均熱化を図ることができ、発光面全面の明度を均一にすることが可能である。これは放熱塗膜3を設ければより有効である。
また、基板10は、金属製の基材1を適切な厚さとすることにより、適度な剛性及び可撓性を有することから、ロールトゥロール方式の製造方法により生産性よく大面積の有機EL素子11,11’を製造することができる。また、このように製造した有機EL素子11,11’は取り扱い性に優れ、デザインの自由度の高いものとして照明装置や表示装置に用いることができる。
なお、本発明の基板10を薄膜太陽電池や半導体装置の基板として用いてもよい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の有機EL素子用基板の実施例を説明する。
(実施例1)
以下の条件で、基板10を作製した。
(作製条件)
(1)基材1;
・鋼種;SUS304(板厚0.1mm)
・表面仕上げ;BA(算術平均粗さRa=32nm、最大高さ粗さRz=2.6μm)
(2)クロムフリー化成処理液
化成処理液として、表1に示す成分のものを用いた。
【表1】

(3)絶縁反射層2用塗料
・白色微粒子2a:TiO2微粒子(商品名タイピュアR900、デュポン社製、2次平均粒径2μm) 25質量部
・顔料分散剤(商品名フローレンDOPA−35、共栄社化学製、カチオン基含有アクリルポリマー) 1質量部
・主樹脂:ポリエーテルスルホン樹脂(商品名PES5003P、住友化学工業製、数平均分子量23,000) 50質量部
・混合有機溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)50質量%、キシレン30質量%、メチルエチルケトン(MEK)20質量%の混合有機溶剤 100質量部
まず白色微粒子、顔料分散剤、混合有機溶媒を所定量混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行いTiO2微粒子分散液を得た。ついで、該分散液に塗料主樹脂を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料とした。
(4)有機EL素子用基板10の製造方法
(S11)基材1の表面を脱脂した後、表1に示す組成のクロムフリー化成処理液をTiおよびZrの総金属元素換算付着量が3.5mg/m2となるようにバーコーターで塗布し、該化成処理液を塗布した基材1を到達板温100℃で10秒間加熱して、基材1表面に化成処理皮膜を形成する。
(S12)ついで、化成処理された基材1の片面に調製した絶縁反射層2用塗料をバーコーター方式で塗布し、到達板温330℃で90秒間焼き付けて、基材1表面に乾燥膜厚17μmの絶縁反射層2用塗膜を形成する。
(S13)ついで、絶縁反射層2用塗膜の表面を研磨して、膜厚15μmの絶縁反射層2を形成し、有機EL素子用基板10を得た。なお、このときの研磨方式は、乾式ロール方式である。具体的には、バフ研磨機(型番RT−1500−H、野水機械製作所製)に、綿バフ(商品名バイヤス両面ネルバフ、光陽社製、バフ外径350mm、厚さ12〜16mm)を15枚重ね合わせた綿バフロール(研磨幅約200mm)を取り付けて使用した。綿バフロールは研磨剤(商品名ダンジーD−491、主成分1μmアルミナ、固形パラフィン)を含浸して使用した。研磨条件は、綿バフ表面速度1500m/min、押し付け荷重0.1MPa、絶縁反射層2用塗膜形成基材1の研磨速度は0.5m/minとした。
【0068】
(測定方法及び結果)
(1)反射率測定方法
積分球式反射率測定装置(型番CM3700d、ミノルタ社製)を用いて正反射光を含んだSCIモードにより、ステップS12の塗膜及び基板10について、波長520nmにおける全反射率を測定した。
(2)表面粗さ測定方法
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM)、型番Dimension Edge、ビーコ・インスツルメンツ社製)を用いて、ステップS12の塗膜及び基板10について測定領域50μm×50μmを走査周波数300kHz(タッピングモード)で測定し、JIS B6010:2001に規定される表面粗さに準ずる値として、算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzを求めた。
(3)測定結果
塗膜の表面反射率は75%、算術平均粗さRaは81nm、最大高さ粗さRzは778nmであった。
また、得られた基板10の表面反射率は81%、算術平均粗さRaは9nm、最大高さ粗さRzは69nmであった。
【0069】
(実施例2)
実施例1において、基材1の表面仕上げを2B(算術平均粗さRa=124nm、最大高さ粗さRz=3.6μm)に変更し、それ以外は実施例1の条件で基板10を作製した。
このとき、塗膜の表面反射率は68%、算術平均粗さRaは142nm、最大高さ粗さRzは1561nmであり、基板10の表面反射率は75%、算術平均粗さRaは19nm、最大高さ粗さRzは96nmであった。
【0070】
(実施例3)
実施例1において、基材1の表面仕上げをHT(算術平均粗さRa=60nm、最大高さ粗さRz=4.6μm)に変更し、それ以外は実施例1の条件で基板10を作製した。
このとき、塗膜の表面反射率は71%、算術平均粗さRaは108nm、最大高さ粗さRzは1050nmであり、基板10の表面反射率は77%、算術平均粗さRaは14nm、最大高さ粗さRzは87nmであった。
【0071】
(実施例4)
実施例1において、塗料における主樹脂をポリアミドイミド樹脂(商品名HPC−5010S、日立化成工業製、数平均分子量17,000)に変更し、それ以外は実施例1の条件で基板10を作製した。
このとき、塗膜の表面反射率は68%、算術平均粗さRaは89nm、最大高さ粗さRzは876nmであり、基板10の表面反射率は74%、算術平均粗さRaは11nm、最大高さ粗さRzは72nmであった。
【0072】
(実施例5)
実施例1において、絶縁反射層2の膜厚を27μmに変更し、それ以外は実施例1の条件で基板10を作製した。
このとき、塗膜の表面反射率は79%、算術平均粗さRaは123nm、最大高さ粗さRzは962nmであり、基板10の表面反射率は83%、算術平均粗さRaは14nm、最大高さ粗さRzは89nmであった。
【0073】
(比較例1)
実施例1において、絶縁反射層2の膜厚を4μmに変更し、それ以外は実施例1の条件で基板10を作製した。
このとき、塗膜の表面反射率は61%、算術平均粗さRaは115nm、最大高さ粗さRzは354nmであり、基板10の表面反射率は67%、算術平均粗さRaは14nm、最大高さ粗さRzは104nmであった。
【0074】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 基材
1a 化成処理皮膜
2 絶縁反射層
2a 白色微粒子
2b 樹脂バインダー
3 放熱塗膜
10 有機EL素子用基板
11,11’ 有機EL素子
13 陽極
14 有機層
14a 正孔注入層
14b 正孔輸送層
14c 発光層
14d 電子輸送層
15 陰極
15a 第1層
15b 第2層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の基材と、該基材の一方の面に設けられ白色微粒子及び樹脂バインダーを含む絶縁反射層と、を有し、
可視光領域の表面反射率が70%以上であり、表面の最大高さ粗さRzが100nm以下であることを特徴とする有機EL素子用基板。
【請求項2】
前記絶縁反射層は、白色微粒子及び樹脂バインダーを含む塗膜を研磨してなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子用基板。
【請求項3】
前記基材は、ステンレス鋼、普通鋼、めっき鋼板のいずれかからなる金属板または金属箔であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子用基板。
【請求項4】
前記白色微粒子は、TiO2からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子用基板。
【請求項5】
前記樹脂バインダーは、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子用基板。
【請求項6】
前記基材の他方の面に、放熱塗膜を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子用基板。
【請求項7】
金属製の基材の一方の面に、塗布により白色微粒子及び樹脂バインダーを含む塗膜を形成する工程と、
前記塗膜表面を研磨して絶縁反射層とする工程と、を有することを特徴とする有機EL素子用基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機EL素子用基板の絶縁反射層の上に、少なくとも、透明電極である一対の電極と、該一対の電極の間に設けられる有機化合物からなる発光層と、を有することを特徴とする有機EL素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−84461(P2013−84461A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223990(P2011−223990)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】