木質系床材

【課題】潜熱蓄熱材の状態を把握することにより、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる木質系床材を提供する。
【解決手段】木質系床材10は、裏面11bに収納凹部15が形成された木質系基材11と、収納凹部15に収納された潜熱蓄熱材17とを少なくとも備えている。木質系床材10の表面11には、潜熱蓄熱材17の相変化温度と同じ温度で変色する可逆式の第1の示温材31と、蓄熱された潜熱蓄熱材17が放熱状態にあるときの木質系床材10の表面温度と同じ温度でで変色する可逆式の第2の示温材32と、が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面に収納凹部が形成された木質系基材と、該収納凹部に収納された潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質系床材に係り、特に、潜熱蓄熱材を好適に活用することができる木質系床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床暖房用の木質系床材は、木質系基材の裏面に、収納凹部が形成されており、収納凹部には、たとえば温水パイプや電気式ヒータなどの熱源が収納されている。そして、この木質系床材を床下地面に敷設し、実部を介してこれらを連結させている。
【0003】
近年、耐環境性の観点をすべく、このような床材の技術分野においても、室内暖房時に発生する熱エネルギや、日射光などの自然エネルギをより有効に活用するような研究・開発が盛んに取り組まれており、これらの研究・開発に基づいた省エネおよびエコ対策が講じられている。
【0004】
このような点を鑑みて、近年では、蓄熱材を用いた木質系床材の開発がなされている。ここでは、蓄熱材として、融点(相変化温度)以上の温度で蓄熱することができる潜熱蓄熱材が注目されており、この潜熱蓄熱材を利用した様々な木質系床材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、このような潜熱蓄熱材は、他の技術分野においても、多岐にわたって使用されており、たとえば、潜熱蓄熱材を有効に利用するために、潜熱蓄熱材が融点(相変化温度)を超えたかを測定するサーモスタットを備えた採暖装置等が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−9829号公報
【特許文献2】特開昭61−5843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
たとえば、特許文献1の如き木質系床材を用いた場合、潜熱蓄熱材の近傍には、床暖房用の熱源が配置されているため、潜熱蓄熱材を有効に活用するには、この熱源を電気的に制御すればよい。
【0008】
しかしながら、このような熱源が無い木質系床材を用いて、日射光などの熱または室内暖房による熱などを有効に活用する場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱状態・放熱状態等、どのような状態にあるかを把握することが重要である。
【0009】
具体的には、潜熱蓄熱材が蓄熱状態にあるにもかかわらず、日射光を遮断したり、室内暖房を停止してしまったりすることがある。一方、潜熱蓄熱材が放熱状態(潜熱蓄熱剤に蓄熱された熱を外部に放熱している状態)にあり、潜熱蓄熱材を蓄熱する必要が無いにもかかわらず、室内暖房を過剰に運転してしまったりすることがある。この結果、潜熱蓄熱材を有効に利用することができないことがある。
【0010】
そこで、特許文献2の如きサーモスタットの原理を用いれば、潜熱蓄熱材の相変化温度(融点)の到達を監視することができる。しかしながら、このような監視を行なったとしても、潜熱蓄熱材の上述した状態を十分には把握することはできない。
【0011】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、潜熱蓄熱材の状態を把握することにより、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる木質系床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、潜熱蓄熱材が放熱状態、蓄熱状態等にある場合には、木質系床材の温度が、その部位によって異なる点に着眼し、少なくとも2つの可逆式の示温材を用いてその変化(変色)を確認することにより、潜熱蓄熱材の状態を判断または推定することができるとの新たな知見を得た。
【0013】
本発明は、この新たな知見によるものであり、第1の発明に係る木質系床材は、裏面に収納凹部が形成された木質系基材と、該収納凹部に収納された潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質系床材であって、前記木質系床材の表面には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する可逆式の第1の示温材と、蓄熱された前記潜熱蓄熱材が放熱状態にあるときの前記木質系床材の表面温度と同じ温度で変色する可逆式の第2の示温材と、が配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、第1の示温材と第2の示温材とは、異なる温度で変化する。具体的には、第1の示温材は、潜熱蓄熱材の相変化温度(融点)と同じ温度で変色する。一方、第2の示温材は、潜熱蓄熱材が放熱状態にあるときには、潜熱蓄熱材が相変化温度で略一定になることを利用したものである。放熱状態において、潜熱蓄熱材の温度が相変化温度で一定となっているときに、木質系基材を介して潜熱蓄熱材から時間当たり一定の熱量が木質系床材の表面に放熱されるので、木質系床材の表面温度は、相変化温度よりもやや低い温度で一定となる。第2の示温材はこの温度と同じ温度で変色するものである。
【0015】
このような2つの示温材を利用して、本発明では、潜熱蓄熱材の状態を、以下の(1)〜(3)に示すようにして判断または推定することができる。
(1)第1の示温材および第2の示温材が共に変色していない場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱および放熱されていないことを目視で容易に判断できる。この場合には、木質系床材の表面に日射光を照射させたり、室内の暖房を運転したりすることにより、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すことができる。
【0016】
(2)第1の示温材および第2の示温材が共に変色している場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱されていると推定できる。この場合には、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すための室内暖房の運転をさらに行わなくてもよい。
【0017】
(3)第1の示温材が変色せず、第2の示温材のみが変色した場合には、潜熱蓄熱材が放熱されていると推定できる。すなわち、潜熱蓄熱材が放熱状態にあるときには、潜熱蓄熱材が相変化温度で略一定になり、木質系基材を介して潜熱蓄熱材から時間あたり一定の熱量が放熱されるので、このときの木質系床材の表面の温度は、相変化温度よりもやや低い温度で一定となる。これにより、第2の示温材のみが変色した状態となる。さらに、第2の示温材の変色が元の状態に戻ったときには、潜熱蓄熱材による放熱が完了していると推定できる。これにより、潜熱蓄熱材に蓄熱されたエネルギを有効に活用することができる。
【0018】
なお、ここで、本発明でいう示温材が「変色する」とは、その温度(第1の示温材の場合には相変化温度と同じ温度)に達したときに、変色したことが視認できるような変色をいい、その温度に達したことを把握することができるのであれば、その温度で示温材の変色が開始する必要はない。そして、このような変色特性を有し、かつ可逆性(その温度未満では元の色に戻る性質)を有する示温材であれば、示温材の形態は、示温インキ、示温テープ、示温ラベル、示温シールなど、特に限定されるものではなく、変色前後の色も特に限定されるものではない。
【0019】
さらに、第1の発明に係る好ましい態様としては、前記木質系基材の表面には、前記収納凹部に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、前記潜熱蓄熱材に当接するように嵌挿された透明の樹脂材または透明のガラス材が設けられており、該樹脂材またはガラス材と前記潜熱蓄熱材とが当接する部分には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する第3の示温材が配置されている。
【0020】
この態様によれば、第3の示温材の変色を、透明の樹脂材または透明のガラス材を介して、木質系床材の表面側から視認することができる。そして、第1、第2、および第3の示温材のすべてが変色している場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱状態にあると確実に判断することができる。また、第1及び第2の示温材が変色した状態で、第3の示温材が変色し始めたときに、潜熱蓄熱材への蓄熱の開始を判断することができる。
【0021】
一方、第1の示温材が変色せず、第2および第3の示温材が変色している場合には、潜熱蓄熱材が放熱されていると判断できる。また、第3の示温材が元の色に戻り始めた時に、潜熱蓄熱材の放熱終了が判断できる。これにより、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すための室内暖房の運転等を効率的に行なうことができる。
【0022】
さらに、第2の発明に係る木質系床材は、裏面に収納凹部が形成された木質系基材と、該収納凹部に収納された潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質系床材であって、前記木質系床材の表面には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する可逆式の第1の示温材が配置され、前記木質系基材の表面には、前記収納凹部に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、前記潜熱蓄熱材に当接するように嵌挿された透明の樹脂材または透明のガラス材が設けられており、該樹脂材またはガラス材と前記潜熱蓄熱材とが当接する部分には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する第2の示温材が配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、第1および第2の示温材を利用して、潜熱蓄熱材の状態を、以下の(A)〜(C)に示すようにして判断することができる。なお、第2の発明における第2の示温材の構成は、第1の発明における第3の示温材の構成と同じである。
(A)第1の示温材および第2の示温材が共に変色していない場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱および放熱されていないことを目視で判断できる。この場合には、木質系床材の表面に日光を照射させたり、室内の暖房を運転したりすることにより、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すことができる。
【0024】
(B)第1および第2の示温材が共に変色している場合には、潜熱蓄熱材が蓄熱されていると判断できる。この場合には、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すための室内暖房の運転を行わなくてもよい。第1の示温材が変色し始めて、第2の示温材が変色していない場合には、蓄熱が開始される可能性があると判断することができる。
【0025】
(C)第1の示温材が変色せず、第2の示温材のみが変色している場合には、潜熱蓄熱材が放熱されていると判断できる。すなわち、潜熱蓄熱材が放熱状態にあるときには、潜熱蓄熱材が相変化温度で略一定になり、木質系基材を介して潜熱蓄熱材から時間あたり一定の熱量が放熱されるので、このときの木質系床材の表面の温度は、相変化温度よりもやや低い温度で一定となる。これにより、木質系床材の表面に配置された第1の示温材は変化しない。従って、放熱状態にあるときは、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すための室内暖房の運転を行わなくてもよいので、潜熱蓄熱材に蓄熱されたエネルギを有効に活用することができる。
【0026】
さらに、第1の示温材が変色していない状態で、第2の示温材の変色が元の状態(変色しない状態)に戻ったときには、潜熱蓄熱材による放熱が完了したと判断できる。これにより、潜熱蓄熱材への蓄熱を促すための室内暖房の運転等を効率的に行なうことができる。
【発明の効果】
【0027】
第1および第2の発明によれば、潜熱蓄熱材の状態を把握することにより、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の発明の第1実施形態に係る木質系床材の模式的斜視図であり、(a)は、床面(表面)側の木質系床材の斜視図、(b)は、裏面側の木質系床材の分解斜視図。
【図2】図1に示す木質系床材を床面に敷設したときの断面図。
【図3】図1に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1および第2の示温材の変色の状態と、を示したグラフ。
【図4】第1の発明の第2実施形態に係る木質系床材の模式的斜視図であり、(a)は、床面(表面)側の木質系床材の斜視図、(b)は、裏面側の木質系床材の分解斜視図。
【図5】図4に示す木質系床材を床面に敷設したときの断面図。
【図6】図4に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1〜第3の示温材の変色の状態と、を示したグラフ。
【図7】第3実施形態(第2の発明)に係る木質系床材を床面に敷設したときの断面図。
【図8】図7に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1および第3の示温材の変色の状態と、を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本実施形態に基づき本発明を説明する。
〔第1実施形態(第1の発明)〕
図1は、第1の発明の第1実施形態に係る木質系床材の模式的斜視図であり、(a)は、床面(表面)側の木質系床材の斜視図、(b)は、裏面側の木質系床材の分解斜視図であり、図2は、図1に示す木質系床材を床面に敷設したときの断面図である。
【0030】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態に係る木質系床材10は、木質系基材11と、潜熱蓄熱材17とを少なくとも備えている。
【0031】
木質系基材11は、少なくとも床材の剛性および強度を確保ための基材であり、材料としては、広葉樹や針葉樹からなる通常の合板、LVL、LVB、MDF(木質繊維板)、集成材、さらには、これらを任意に積層した積層板、などを挙げることができる。さらに、本実施形態では、図1(a)に示すように、木質系基材11の表面11aには、ナラ材、カバ材、ブナ材、チーク材、等の表面化粧材および化粧用表面合成樹脂シートが貼着されている。
【0032】
また、木質系基材11の周縁には、雄実部12aと雌実部12bとが形成されている。この雄実部12aと雌実部12bを係合させることにより、図2に示すように、木質系床材10を実接合することができる。
【0033】
また、図1(b)に示すように、木質系基材11の裏面11bには、収納凹部15が形成されている。収納凹部15には、その底部15aから開口部15bに向って、潜熱蓄熱材17が収納されており、潜熱蓄熱材17は、接着剤を介して収納凹部15の底部15aに貼着されている。
【0034】
また、潜熱蓄熱材(潜熱蓄熱体)17は、たとえばABS樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂成形品の容体17a内に、潜熱蓄熱剤が封入されている。ここで、潜熱蓄熱剤は、日射光により付与される日射熱、または、室内の暖房による熱で溶融する潜熱蓄熱剤であり、好まくは相変化温度が(融点)18℃〜28℃の範囲にある潜熱蓄熱材である。具体的には、硫酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、パラフィン(C1838)、ポリエチレングリコール(分子量500〜1000)などを挙げることができ、この融点以上において蓄熱することができるものであれば、その材料は特に限定されるものではない。
【0035】
なお、本実施形態では、潜熱蓄熱材を、潜熱蓄熱剤を封入した容体として特定したが、収納凹部15内において、潜熱蓄熱剤を密封可能に収容することができるのであれば、潜熱蓄熱材そのものが、潜熱蓄熱剤であってもよい。
【0036】
ここで、潜熱蓄熱材17の蓄熱状態とは、外部からの熱により潜熱蓄熱材17の潜熱蓄熱剤が溶融して、その熱を蓄熱している状態のことをいい、このときには、潜熱蓄熱剤の温度は、相変化温度(融点)以上の温度にある。一方、潜熱蓄熱材17の放熱状態とは、蓄熱状態において蓄熱した熱を、外部に放熱する状態をいい、このときは、潜熱蓄熱材の温度は、相変化温度(融点)で所定の時間保持される。
【0037】
そして、木質系床材10の表面11aには、第1の示温材31と第2の示温材32とが配置されている。具体的には、第1の示温材31は、潜熱蓄熱材(具体的には潜熱蓄熱剤)17の相変化温度(変色温度Te1)と同じ温度で変色する可逆式の示温インキである。たとえば、潜熱蓄熱剤の相変化温度(融点)が25℃である場合には、第1の示温材31は、25℃で(同じ温度)変色する(変色を視認できる)示温インキである。
【0038】
一方、第2の示温材32は、蓄熱された潜熱蓄熱材17が放熱状態にあるときの木質系床材10の表面温度(変色温度Te2)と同じ温度で変色する可逆式の示温インキである。ここで、潜熱蓄熱材17が放熱状態にあるときには、潜熱蓄熱材17が相変化温度(たとえば25℃)で略一定になることを、第2の示温材32で利用している。
【0039】
すなわち、潜熱蓄熱材17が相変化温度で一定となっているときに、潜熱蓄熱材17から木質系基材11を介して単位時間あたり一定の熱量が放熱されるので、木質系床材10の表面温度は、相変化温度(変色温度Te1、たとえば25℃)よりもやや低い温度(たとえば22℃)で一定となる。第2の示温材はこの温度(変色温度Te2、たとえば22℃)と同じ温度で変色するものを選定する。この変色温度Te2は、予め実験等により決めることができる。
【0040】
また、第1および第2の示温材の変色は、その変色温度(たとえば第1の示温材の場合、25℃、第2の示温材の場合、22℃)以上になったことが認識できるような変色であり、温度低下とともに元の色の状態に戻る可逆式のものであればよく、その温度に到達したことが変色により繰り返し判断することができるものであれば、必ずしもその変色温度で変色が開始しなくてもよい。
【0041】
第1および第2の示温材は、一般的に市販されている示温インキであり、たとえば、電子供与性呈色性有機化合物とフェノール性水酸基含有化合物とアルコール性水酸基含有化合物とを主成分とする示温剤のように、有機系染料や有機系顔料等の有機化合物を用いた示温剤や、銅のような遷移金属の錯塩化合物であるサーモクロミズム性物質などを含有する金属錯塩化合物を用いた示温剤など公知の示温剤を挙げることができ、これらの成分の配合の割合を変えることにより、変色温度を変化させることができる。
【0042】
市販の示温インキとしては、サーマルカラーOR−20((株)記録素材総合研究所製)などを挙げることができ、示温インキの替わりに、示温テープ、示温ラベル、示温シールなどであってもよい。市販の示温シールとしては、メデシルカラー(日油技研工業(株)製)などを挙げることができる。
【0043】
そして、このようにして得られた木質系床材10は、図2に示すように、示温材を設けていない他の木質系床材10’とともに、実接合されて、床下地面71aの上に敷設される。なお、ここでは、本実施形態に係る木質系床材10は、示温材を設けていない他の木質系床材10’に実接合されたが、すべての床材が木質系床材10であってもよく、必要に応じた箇所に、木質系床材10をさらに敷設してもよい。
【0044】
図3は、図1に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1および第2の示温材の変色の状態と、を示したグラフである。図3の木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の時間経過に伴う温度プロフィールを説明し、これに伴う第1および第2の示温材の変色の状態を以下に説明する。
【0045】
図3に示すように、時刻t0以前では、木質系床材の表面温度T1、および潜熱蓄熱材の温度T2は、いずれも、変色温度Te1,Te2よりも低いので、第1の示温材31および第2の示温材32は共に変色していない。
【0046】
この状態では、潜熱蓄熱材17が蓄熱および放熱されていないと、目視で容易に判断することができる。そして、木質系床材を含む床材の表面に日射光を照射させたり、室内の暖房を運転したりすることにより、木質系床材の表面に日射光、暖房等による熱を入熱し、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促す。
【0047】
そして、木質系床材10の表面に日射光、暖房等により入熱されると、これに伴い木質系床材の表面温度T1と、潜熱蓄熱材の温度T2とが上昇する。ここで、まず、時刻t0において、木質系床材の表面温度T1が、第2の示温材の変色温度Te2に到達し、第2の示温材32が変色する。
【0048】
木質系床材10の表面がさらに入熱されると、木質系床材の表面温度T1と、潜熱蓄熱材の温度T2とが上昇する。そして、時刻t1において、木質系床材の表面温度T1が、第1の示温材の変色温度(すなわち潜熱蓄熱剤の相変化温度)Te1に到達し、第1の示温材31が変色する。
【0049】
さらに、時刻tcまで木質系床材10の表面が入熱されると、この間(時刻t1〜tcの間)のある時刻で、潜熱蓄熱材の温度T2が相変化温度(変色温度Te1)に到達して、潜熱蓄熱剤は溶融し、この段階で、潜熱蓄熱材の蓄熱が開始される。すなわち、このときには、第1の示温材31および第2の示温材32が共に変色している。したがって、本実施形態の場合には、第1の示温材31および第2の示温材32が共に変色している場合、潜熱蓄熱材17が蓄熱されている(蓄熱状態)と推定することができる。この場合には、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促すための室内暖房の運転等をさらに行わなくてもよい。
【0050】
次に、時刻tcを過ぎると、木質系床材10の表面への入熱が無くなる。これに伴い、木質系床材の表面温度T1が低下し、少し遅れて潜熱蓄熱材の温度T2が低下する。さらに、時刻t2を経過すると、木質系床材の表面温度T1が、第1の示温材31の変色温度Te1を下回り、変色していた第1の示温材31が元の色に戻る(変色なしの状態になる)。
【0051】
そして、時刻t4までの間に、潜熱蓄熱材17が放熱される。ここで、時刻t3から時刻t4までの間、潜熱蓄熱材17の温度は、相変化温度(変色温度Te1)で一定温度に保持され、このときまで、第2の示温材32の温度は変色温度Te2に保持され、第2の示温材32のみ、変色した状態が維持される。
【0052】
このことから、時刻t2〜t4までの間の状態のように、第1の示温材3 1が変色せず、第2の示温材32のみが変色している場合には、潜熱蓄熱材17が放熱されている(放熱状態)と推定できる。この際には、潜熱蓄熱材17に蓄熱されたエネルギを有効に活用することができる。さらに、時刻t4を過ぎたときに、第2の示温材32の変色が元の状態に戻るので、このときには、潜熱蓄熱材17による放熱が完了したと推定できる。このようにして、潜熱蓄熱材の状態を把握することにより、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる。
【0053】
〔第2実施形態(第1の発明)〕
図4は、第1の発明の第2実施形態に係る木質系床材の模式的斜視図であり、(a)は、床面(表面)側の木質系床材の斜視図、(b)は、裏面側の木質系床材の分解斜視図である。図5は、図4に示す木質系床材を床面に敷設したときの断面図である。
【0054】
第2実施形態の木質系床材が、第1実施形態のものと相違する点は、木質系床材にさらに第3の示温材を設けた点である。したがって、第1実施形態と同じ部材および部分に関しては、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0055】
具体的には、図4および図5に示すように、木質系基材11の表面11aには、裏面側に形成された収納凹部15にまで貫通する貫通孔19が形成されている。貫通孔19には、潜熱蓄熱材17に当接するように、円柱状の透明の樹脂材34が嵌挿されている。樹脂材34と潜熱蓄熱材17とが当接する部分には、潜熱蓄熱材(の潜熱蓄熱剤)17の相変化温度と同じ温度で変色する第3の示温材33が配置されている。また、第3の示温材33の変色温度Te3は、第1の示温材の変色温度Te1と同じ温度であり、第3の示温材33は、上述した第1の示温材31と同じの示温インクを用いることができる。
【0056】
このように、透明な樹脂材34を用いることにより、木質系基材11の表面側から、樹脂材34を介して、潜熱蓄熱材17(の容体17a)と樹脂材34との間に配置された第3の示温材33を、視認することができる。そして、第3の示温材33の変色により、潜熱蓄熱材17が相変化温度以上となったことを確認することができる。ここで、樹脂材34としては、第3の示温材33を視認することができる材料であれば、特に限定されるものではなく、たとえばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはエポキシ樹脂などを挙げることができる。また、樹脂材34の替わりに透明なガラス材を用いてもよい。
【0057】
ここで、第3の示温材33を配置するにあたって、まず、木質系基材11の所望の位置に、ドリルにより貫通孔19を穿削する。次に、樹脂材34の先端側に、第3の示温材33を配置する(示温インクの場合には塗布する)。樹脂材34の先端を、木質系基材11の表面側から、貫通孔19に嵌挿し、樹脂材34の先端の第3の示温材33を、潜熱蓄熱材17に当接させる。このようにして、図5に示す、木質系床材10Aを得ることができる。
【0058】
図6は、図4に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1〜第3の示温材の変色の状態と、を示したグラフである。まず、図6の木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の時間経過に伴う温度プロフィールは、図3の第1実施形態で示したものと略同じであり、以下に、この温度プロフィールに伴う第1〜第3の示温材の変色の状態を説明する。なお、図6に示す、第1および第3の示温材の変色温度Te1,Te3は同じ温度である。
【0059】
図6に示すように、時刻t0以前では、第1、第2、および第3の示温材31,32,33は変色していない。この状態では、潜熱蓄熱材17が蓄熱および放熱されていないと、目視で容易に判断することができる。そして、木質系床材を含む床材の表面に日射光を照射させたり、室内の暖房を運転したりすることにより、床材の表面へ日射光、暖房等による熱を入熱し、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促す。
【0060】
木質系床材10Aの表面に日射光、暖房等により入熱されると、これに伴い木質系床材の表面温度T1と、潜熱蓄熱材の温度T2とが上昇する。ここで、まず、時刻t0において、木質系床材の表面温度T1が、第2の示温材の変色温度Te2に到達し、第2の示温材32が変色する。さらに、木質系床材の表面温度T1と、潜熱蓄熱材の温度T2とが上昇し、時刻t1において、木質系床材の表面温度T1が、第1の示温材の変色温度Te1に到達し、第1の示温材31が変色する。
【0061】
さらに、時刻tcまで木質系床材10Aの表面が入熱されると、この間(時刻t1〜tcの間)の時刻tsで、潜熱蓄熱材の温度T2が、第3の示温材の変色温度Te3に到達する。このとき、第3の示温材33が変色する。変色温度Te3は、潜熱蓄熱剤の相変化温度であるので、潜熱蓄熱剤は溶融し始め、この段階で、潜熱蓄熱材17の蓄熱が開始される。
【0062】
したがって、第1及び第2の示温材31,32が変色している状態で、第3の示温材33が変色し始めたときに、潜熱蓄熱材17への蓄熱の開始を判断することができる。そして、第1、第2、および第3の示温材31,32,33のすべてが変色している場合(図の時刻ts〜時刻t2までの期間)には、潜熱蓄熱材17が蓄熱されている(蓄熱状態)と確実に判断できる。この場合には、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促すための室内暖房の運転等をさらに行わなくてもよい。
【0063】
そして、少なくとも時刻t2から時刻t3’までの間に、潜熱蓄熱材17が放熱される。ここで、時刻t3から時刻t3’までの間、潜熱蓄熱材17の温度は、相変化温度(変色温度Te3)で一定温度に保持され、このときまで、第2の示温材32の温度は変色温度Te2に保持され、第2の示温材32と第3の示温材33が、変色した状態に維持される。
【0064】
このことから、時刻t2〜t3’までの間の状態のように、第1の示温材31が変色せず、第2および第3の示温材32,33が変色している場合には、潜熱蓄熱材17が放熱されている(放熱状態)と判断できる。さらに、温度が降下し、時刻t3’で、第3の示温材33が元の色に戻り始めた時に、放熱終了が判断できる。したがって、時刻t3’〜時刻t4において、第2の示温材32が変色をしている場合であっても、潜熱蓄熱材17の放熱は終了しているので、この場合には、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促すための室内暖房の運転等を行なうことで、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる。
〔第3実施形態(第2の発明)〕
図7は、第3実施形態(第2の発明)に係る木質系床材10Bを床面に敷設したときの断面図である。第3実施形態の木質系床材が、第2実施形態のものと相違する点は、木質系床材に第2の示温材を設けていない点である。したがって、第2実施形態と同じ部材および部分に関しては、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0065】
ここで、本実施形態における第3の示温材33は、第2の発明の第2の示温材に相当するものであり、本実施形態では、第1および第3の示温材31,33により、潜熱蓄熱材17の状態を判断する。
【0066】
図8は、図7に示す木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の温度プロフィールの一例と、これに対応する第1および第3の示温材の変色の状態と、を示したグラフである。
【0067】
まず、図8の木質系床材の表面温度T1および潜熱蓄熱材の温度T2の時間経過に伴う温度プロフィールは、図6の第2実施形態で示したものと略同じであり、以下に、この温度プロフィールに伴う第1および第3の示温材の変色の状態を説明する。なお、図8では、第1および第3の示温材の変色温度Te1,Te3は同じ温度である。
【0068】
図8に示すように、時刻t1以前では、第1および第3の示温材31,33が共に変色していない。この状態では、潜熱蓄熱材17が蓄熱および放熱されていないと、目視で容易に判断することができる。そして、木質系床材を含む床材の表面に日射光を照射させたり、室内の暖房を運転したりすることにより、床材の表面へ日射光、暖房等による熱を入熱し、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促す。
【0069】
木質系床材10Bの表面に日射光、暖房等により入熱されると、これに伴い木質系床材の表面温度T1と、潜熱蓄熱材の温度T2とが上昇する。ここで、まず、時刻t1において、木質系床材の表面温度T1が、第1の示温材の変色温度Te1に到達し、第1の示温材31が変色する。ここで、第1の示温材31が変色し始めて、第3の示温材33が変色していない場合には、以下に示すように潜熱蓄熱材17の蓄熱が開始される可能性があると判断できる。
【0070】
さらに、時刻tcまで木質系床材10の表面が入熱されると、この間(時刻t1〜tcの間)の時刻tsで、潜熱蓄熱材の温度T2が、第3の示温材の変色温度Te3に到達する。このとき、第3の示温材33が変色する。変色温度Te3は、潜熱蓄熱剤の相変化温度であるので、潜熱蓄熱剤は溶融し始め、この段階で、潜熱蓄熱材17の蓄熱が開始される。
【0071】
したがって、第1の示温材31が変色した状態で、第3の示温材33が変色し始めたときに、潜熱蓄熱材17への蓄熱の開始を判断することができる。そして、第1および第3の示温材31,33が共に変色している場合(図の時刻ts〜時刻t2までの期間)には、潜熱蓄熱材17が蓄熱されている(蓄熱状態)と確実に判断できる。この場合には、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促すための室内暖房の運転等をさらに行わなくてもよい。
【0072】
つぎに、時刻t2〜時刻t3’までの間に、潜熱蓄熱材17が放熱される。ここで、時刻t3から時刻t3’までの間、潜熱蓄熱材の温度T2は、相変化温度すなわち変色温度Te1(Te3)で一定温度に保持され、このときまで、第3の示温材33が、変色した状態に維持される。
【0073】
このことから、時刻t2〜t3’までの間の状態のように、第1の示温材33が変色せず、第3の示温材33が変色している場合には、潜熱蓄熱材17が放熱されている(放熱状態)と判断できる。さらに、温度が降下し、時刻t3’で、第3の示温材33が元の色に戻り始めた時に、放熱終了が判断できる。このように潜熱蓄熱材17の放熱は終了している場合には、潜熱蓄熱材17への蓄熱を促すための室内暖房の運転等を行なうことで、日射光、室内暖房等の熱を有効に活用することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0075】
たとえば、第2および第3の実施形態では、樹脂材の先端側に配置された第3の示温材は、潜熱蓄熱材の容体に当接していたが、容体内の潜熱蓄熱剤そのものに接触していてもよく、潜熱蓄熱材が、潜熱蓄熱剤のみからなる場合も同様に、第3の示温材を、潜熱蓄熱剤そのものに接触させることになる。
【符号の説明】
【0076】
10,10A,10B:木質系床材、11:木質系基材、11a:表面、11b:裏面、12a:雄実部、12b:雌実部、15:収納凹部、15a:底部、15b:開口部、17:潜熱蓄熱材、17a:容体、19:貫通孔、31:第1の示温材、32:第2の示温材、33:第3の示温材、34:樹脂材、T1:木質系床材の表面温度、T2:潜熱蓄熱材の温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に収納凹部が形成された木質系基材と、該収納凹部に収納された潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質系床材であって、
前記木質系床材の表面には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する可逆式の第1の示温材と、蓄熱された前記潜熱蓄熱材が放熱状態にあるときの前記木質系床材の表面温度と同じ温度で変色する可逆式の第2の示温材と、が配置されていることを特徴とする木質系床材。
【請求項2】
前記木質系基材の表面には、前記収納凹部に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、前記潜熱蓄熱材に当接するように嵌挿された透明の樹脂材または透明のガラス材が設けられており、該樹脂材またはガラス材と前記潜熱蓄熱材とが当接する部分には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する第3の示温材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の木質系床材。
【請求項3】
裏面に収納凹部が形成された木質系基材と、該収納凹部に収納された潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質系床材であって、
前記木質系床材の表面には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する可逆式の第1の示温材が配置され、
前記木質系基材の表面には、前記収納凹部に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、前記潜熱蓄熱材に当接するように嵌挿された透明の樹脂材または透明のガラス材が設けられており、該樹脂材またはガラス材と前記潜熱蓄熱材とが当接する部分には、前記潜熱蓄熱材の相変化温度と同じ温度で変色する第2の示温材が配置されていることを特徴とする木質系床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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