説明

末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法

【課題】末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造について、重合速度、重合体構造(分子量、分子量分布、官能基数など)などを従来と同様に制御できるとともに、精製負荷を大幅に低減できる製造方法を提供する。
【解決手段】重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、遷移金属とアミン化合物からなる触媒の存在下、リビングラジカル重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合したハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リビングラジカル重合を利用した末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末端に反応性官能基を有する重合体は、そのもの単独、あるいは適当な硬化剤と組み合わせることによって架橋し、耐熱性、耐久性等の優れた硬化物を与えることが知られている。中でも末端にアルケニル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基あるいは架橋性シリル基を有する重合体はそれらの代表例である。末端にアルケニル基を有する重合体は、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤として用いることにより、あるいは光反応を利用することにより、架橋硬化する。水酸基を末端に有する重合体は、ポリイソシアネートと反応することによりウレタン架橋を形成し、硬化する。(メタ)アクリロイル基を末端に有する重合体は、ラジカル発生源存在下UVや電子線を含む活性エネルギー線を照射することによりラジカル硬化する。また、架橋性シリル基を末端に有する重合体は、適当な縮合触媒の存在下、湿分を吸収することにより硬化物を与える。特に(メタ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、ポリエーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいはポリエステル系重合体では得られない特性を有しており、アルケニル基や架橋性シリル基等の反応性官能基を末端に有する(メタ)アクリル系重合体はシーリング材、塗料等の高耐候性・高耐熱性材料として期待され、近年積極的に開発されている。
【0003】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法として、リビング重合法(特にリビングラジカル重合法)を利用することが好ましく、これまでに様々な製造方法が開発されてきた。例えば、我々は、リビングラジカル重合によるビニル系単量体の重合系に、活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを添加すると、その生長末端にほぼ1つだけ付加すること、あるいはリビングラジカル重合で得られた重合体の末端ハロゲン基をカルボン酸またはカルボン酸塩で置換することを見出し、これらを利用することにより、末端に様々な反応性官能基を有する重合体を製造する方法を発明している(特許文献1〜4参照)。これらの製造方法では、系中に残留する重合触媒である遷移金属及びアミン化合物は生成する重合体への着色やその後の末端官能化反応等へ悪影響を与えるため、触媒除去等の精製工程が必要である。我々はこれまでにろ過方法、吸着方法等あらゆる精製方法を発明し、それらを組み合わせることで重合触媒の除去を行い、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造に成功した(特許文献5〜7参照)。また、上記発明の改良として、活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを導入させる際に、0価の遷移金属、又は遷移金属単体等を添加して活性を高める方法を発明している(特許文献8参照)。この方法により活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを導入させる際に必要であったアミン化合物を削減することができる。しかしながら商業的に末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造するためには、重合触媒減量による製造コスト削減、精製負荷低減によるプロセス簡略化、生産性向上等の更なる改良が必要である。
【0004】
一方Percec,Vらは近年、少量の遷移金属とアミン化合物を触媒として高分子量の重合体を得ることができるシングルエレクトロントランスファリビングラジカル重合法(Sigle Electron Transfer Living Radical Polymerization:SET−LRP)を発明している(特許文献9、非特許文献1、2参照)。この重合方法はジメチルスルホキシド(以下DMSOと称す)のような高極性溶媒中でCu(I)がCu(0)とCu(II)に不均化することを特徴としているが、重合反応の触媒サイクルには公知の原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)(非特許文献3参照)と同じ銅にアミン化合物が配位した錯体が作用したものである。また、重合活性が確認されているモノマーは芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル系ビニルモノマー、あるいはハロライド系ビニルモノマーなどの電子吸引性基を有する、活性化されている(重合性の高い)オレフィンについてのみであり、少量の遷移金属による末端に反応性官能基を有する重合体の製造方法については開示が為されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−044626号公報
【特許文献2】特開2003−292505号公報
【特許文献3】特許第3977959号公報
【特許文献4】特許第4176900号公報
【特許文献5】特開2004−155846号公報
【特許文献6】特開2005−307220号公報
【特許文献7】特開平11−193307号公報
【特許文献8】特開2008−038097号公報
【特許文献9】WO2008/019100号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.2006,128,14156
【非特許文献2】JPSChem 2007,45,1607
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においては、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造について、重合速度、重合体構造(分子量、分子量分布、官能基数など)などを従来と同様に制御しつつ、精製負荷を大幅に低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、0価の遷移金属又は遷移金属単体、およびアミン化合物からなる触媒の存在下、(メタ)アクリル系モノマーを重合することによって得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造する方法、若しくは、重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、I価、II価、またはIII価の遷移金属とアミン化合物からなる触媒の存在下、遷移金属を不均化させることを特徴とするシングルエレクトロントランスファ重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合して、得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造することを特徴とする、(メタ)アクリル系重合体(I)を製造する方法、により上記課題を効果的に解決できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は、重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、0価の遷移金属、又は遷移金属単体とアミン化合物からなる触媒の存在下、リビングラジカル重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合し、得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造することを特徴とする、(メタ)アクリル系重合体(I)製造方法に関する。
【0010】
前記遷移金属が、0価の銅、ニッケル、ルテニウム、または鉄であることが好ましい。
【0011】
前記リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合又はシングルエレクトロントランスファ重合であることが好ましい。
【0012】
重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、I価、II価、またはIII価の遷移金属とアミン化合物からなる触媒の存在下、遷移金属を不均化させることを特徴とするシングルエレクトロントランスファ重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合して、得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造することを特徴とする、(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法に関する。
【0013】
前記オレフィン化合物(A)が官能基を有するものであり、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、末端に前記官能基を有するものでことが好ましい。
【0014】
前記オレフィン化合物(A)が、一般式(1):
【0015】
【化1】

{式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、シリル基、一般式(2):
【0016】
【化2】

(R4は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基、あるいは一般式(3):
【0017】
【化3】

(式中、R5は、酸素原子または窒素原子であり、R6は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、複数個のR6は同じでも異なってもよい)
で表される化合物であることが好ましい。
【0018】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることが好ましい。
【0019】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の数平均分子量が3000以上であることが好ましい。
【0020】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満であることが好ましい。
【0021】
さらに、上記に記載の製造方法により得られた、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体に関する。
【0022】
さらに、上記(メタ)アクリル系重合体を含有する硬化性組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、箔状のような塊状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体を用いて重合および活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを末端に導入した(メタ)アクリル重合体を製造した場合には、製造後も0価の遷移金属、又は遷移金属単体は塊状を維持しており除去が容易にできるため、精製工程を簡略化することができる。また粉末状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体を用いた場合、あるいは粉末状のI価、II価、またはIII価の遷移金属を用いて遷移金属を不均化させることを特徴とするシングルエレクトロントランスファ重合をした場合においても、遷移金属は少量で重合および活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを末端に導入した(メタ)アクリル重合体を製造することができ、さらに用いるアミン化合物も合わせて削減できるため、精製工程を無くす、あるいは簡略化することができる。この効果は、スケールが大きくなるほど大きくなり、本発明は、活性化されていない(重合性の低い)オレフィンを末端に付加させた(メタ)アクリル重合体を製造するにおいて非常に重要である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の精製が容易な遷移金属を用いたリビングラジカル重合法によりラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させた末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法について、詳細に説明する。
【0025】
<<(メタ)アクリル系重合体(I)>>
<重合体主鎖>
本発明の末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
【0026】
これらモノマーは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。必要に応じて(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の単量体を共重合することもできる。
なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが好ましい。
【0027】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマー(上記例示のうち、好ましいモノマー以外のもの)と共重合、更にはブロック共重合させても構わないが、好ましいモノマー同士を共重合、更にはブロック共重合させても構わない。
【0028】
なお、上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0029】
本発明の末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖は、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを主として重合して得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好ましい。ここで「主として」とは、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
【0030】
本発明の末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の数平均分子量は、特に制限されないが、下限は好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上であり、上限は好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下である。つまり、3000〜1000000が好ましく、5000〜500000がより好ましい。
【0031】
本発明の末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7未満であり、さらに好ましくは1.5未満であり、特に好ましくは1.3未満である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0032】
本発明の末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖は直鎖状でもよいし、枝分かれがあってもよい。
【0033】
<主鎖の合成方法>
ラジカル重合は一般に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等による停止反応が起こりやすいため制御が難しいとされる。しかしリビングラジカル重合は、ラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。従ってリビングラジカル重合法は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、本発明の特定の官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法としてより好ましいものである。
【0034】
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0035】
リビングラジカル重合法としては、Matyjaszewski,Kらによって提唱された原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)、Percec,Vらによって提唱されたシングルエレクトロントランスファ重合法(Sigle Electron Transfer Living Radical Polymerization:SET−LRP)等が挙げられるが、どちらも遷移金属と配位子による錯体が作用したものである。シングルエレクトロントランスファ重合法はジメチルスルホキシド(DMSO)のような高極性溶媒中でCu(I)がCu(0)とCu(II)に不均化することを特徴としている。
【0036】
<触媒>
上記リビングラジカル重合法において、触媒として用いられる0価の遷移金属、または遷移金属単体としては、銅(Cu(0))、ニッケル(Ni(0))、ルテニウム(Ru(0))、または鉄(Fe(0))が好ましく、この中でも銅(Cu(0))がより好ましい。
【0037】
上記シングルエレクトロントランスファ重合法において、触媒として用いられる0価の遷移金属、又は遷移金属単体としては、銅(Cu(0))、ニッケル(Ni(0))、ルテニウム(Ru(0))、または鉄(Fe(0))が好ましく、この中でも銅(Cu(0))がより好ましい。また上記シングルエレクトロントランスファ重合法において、触媒として用いられるI価、II価、またはIII価の遷移金属としては、銅(Cu(I)、Cu(II))、ニッケル(Ni(I)、Ni(II)、Ni(III))、ルテニウム(Ru(I)、Ru(II)、Ru(III))、または鉄(Fe(I)、Fe(II)、Fe(III))が好ましく、中でも銅(Cu(I))がより好ましい。
【0038】
用いる遷移金属の形状には限定はないが、微粉末状、ワイヤー状、箔状、粒状等が挙げられる。
【0039】
微粉末状の0価の遷移金属、遷移金属単体、あるいはI価、II価、又はIII価の遷移金属は取り除く際に凝集工程、ろ過工程が必要であるのに対して、ワイヤー状、箔状、粒状のような塊状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体は、凝集工程を省くことができ、さらにろ過時間も短縮できるため精製負荷低減が期待できる。また、塊状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体は、重合釜中に固定することも可能であるため、ろ過工程を省くことができ、更なる精製負荷低減も期待できる。このような塊状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体を用いる場合には生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.0001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましい。0.0001以下であればモノマー反応率80%以上まで重合させるほどの活性がなく好ましくない。
【0040】
一方、微粉末状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体は表面積が大きいため活性が高く、遷移金属およびアミン化合物を減らすことができるため、精製工程を無くす、あるいは一部削減することができ、精製負荷低減が期待できる。微粉末状の0価の遷移金属、又は遷移金属単体を用いる場合には、生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して、銅原子の重量にして0.1〜0.0001重量部が好ましく、0.01〜0.001重量部がより好ましい。銅原子の重量にして0.0001重量部以下ではモノマー反応率80%以上まで重合させるほどの活性がなく好ましくない。銅原子の重量にして0.1重量部以上の遷移金属が存在していると精製工程を削減することは困難であり、精製負荷低減にはならない。
【0041】
また、微粉末状のI価、II価、またはIII価の遷移金属は表面積が大きいため活性が高く、さらに遷移金属を不均化させるシングルエレクトロントランスファ重合を行なうため遷移金属およびアミン化合物を減らすことができる。その結果として精製工程を無くす、あるいは一部削減することができ、精製負荷低減が期待できる。微粉末状のI価、II価、又はIII価の遷移金属を用いる場合には、生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して、銅原子の重量にして0.1〜0.0001重量部が好ましく、0.01〜0.001重量部がより好ましい。銅原子の重量にして0.0001重量部以下ではモノマー反応率80%以上まで重合させるほどの活性がなく好ましくない。銅原子の重量にして0.1重量部以上の遷移金属が存在していると精製工程を削減することは困難であり、精製負荷低減にはならない。
【0042】
また通常、遷移金属のみでは活性が低く、重合が進行しないのでアミン化合物などを配位子として併用する事が好ましい。アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2,2'−ビピリジル、及びその誘導体、1,10−フェナントロリン、及びその誘導体、トリブチルアミン等のアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン等のポリアミン等が挙げられるが、より高度に一次構造を制御するにはトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミンが好ましい。
【0043】
さらに、上記リビングラジカル重合法およびシングルエレクトロントランスファ重合法におけるアミン化合物の量としては、生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して10〜0.001重量部が好ましく、1〜0.005重量部がより好ましく、0.1〜0.01重量部がさらに好ましい。アミン化合物の量が従来方法より少ない0.1重量部以下では精製負荷低減が可能になる。一方、10部以上のアミン化合物が存在していると精製が困難になり、生成重合体への強い着色、その後の末端官能化等に悪影響を与える傾向がある。
【0044】
触媒の添加方法としては、触媒そのものを添加しても構わないし、触媒のアミン化合物だけを追加する方法をとっても構わない。後者の方法は、本発明者らが発明した方法であるが、反応系中に触媒原料となる0価の遷移金属、遷移金属単体、又はI価、II価、III価の遷移金属を予め添加しておき、触媒活性を生み出すことのできるアミン化合物を後から必要に応じて添加し、系中で触媒活性種を発生させる方法である。
【0045】
<重合開始剤>
重合開始剤として使用される有機ハロゲン化物は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が好ましい。具体的に例示するならば、
65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32
(ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
10−C(H)(X)−CO211、R10−C(CH3)(X)−CO211、R10−C(H)(X)−C(O)R11、R10−C(CH3)(X)−C(O)R11
(式中、R10、R11は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
10−C64−SO2
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0046】
また、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として使用してもよい。
【0047】
<溶媒>
このリビングラジカル重合法を用いる場合、溶媒は特に限定されないが、例示するならば、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン等の高極性非プロトン性溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;イオン性液体等が挙げられる。
【0048】
上記溶媒は単独又は2種以上を混合して用いることができる。また超臨界流体を用いてもよい。
【0049】
また上記リビングラジカル重合法における溶媒の量は特に限定されないが、生成する(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
【0050】
またDMSO等の高沸点溶媒を反応溶媒に用いる場合には生成する(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましい。10重量部以上では除去することが困難になり、精製、末端官能化および貯蔵安定性に悪影響を与える傾向がある。
【0051】
<<オレフィン化合物(A)>>
ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)としては、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれるものが好ましい。
【0052】
【化4】

{式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、アミド基、シリル基、一般式(2):
【0053】
【化5】

(R4は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の炭化水素基を示し、 R1は、炭素数1〜20のアルキレン基、あるいは一般式(3):
【0054】
【化6】

(式中、R5は、酸素原子又は窒素原子を示し、R6は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、複数個のR6は同じでも異なっていてもよい)
で表される基を示し、 R2は、水素原子あるいはメチル基を示す}
上記一般式(1)のR1の具体例としては、
−(CH2)n−(nは1〜20の整数)、
−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH32−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH2CH32−、−CH2CH(CH3)−、
−(CH2)n−O−CH2−(nは1〜19の整数)、
−CH(CH3)−O−CH2−、−CH(CH2CH3)−O−CH2−、−C(CH32−O−CH2−、−C(CH3)(CH2CH3)−O−CH2−、−C(CH2CH32−O−CH2−、
−(CH2)n−O−(CH2)m−
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2)n−C(O)O−(CH2)m−
(m、nは1〜19の整数、ただし2≦m+n≦20)、
−(CH2)n−OC(O)−(CH2)m−C(O)O−(CH2)l−、
(lは0〜18の整数、m,nは1〜17の整数、ただし2≦l+m+n≦20)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−(CH2)m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−O−(CH2)m−、
(mは0〜13の整数、nは1〜14の整数、ただし1≦m+n≦14)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−O−CH(CH3)−、
(nは1〜12の整数)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−O−C(CH32−、
(nは1〜11の整数)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2)m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2)n−OC(O)−o−,m−,p−C64−C(O)O−(CH2)m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
−(CH2)n−o−,m−,p−C64−OC(O)−(CH2)m−、
(m,nは1〜12の整数、ただし2≦m+n≦13)、
−(CH2)n−C(O)O−o−,m−,p−C64−(CH2)m−、
(m,nは1〜11の整数、ただし2≦m+n≦12)、
等が挙げられる。なお、R1のうちの炭素数1〜20のアルキレン基は、その中にアリーレン基(例えばフェニレン基等)を含んでいてもよい。
【0055】
上記一般式(1)のR2は、水素原子あるいはメチル基であるが、水素原子が好ましい。
【0056】
一般式(1)のR3としては、以下のような基が好ましく例示される。
【0057】
【化7】

(式中、R7、R8は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R')3SiO−(R'は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR'は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R7又はR8が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2又は3を、また、bは0,1又は2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。R9は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
【0058】
上記Yで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。 なお、シリル基としては、特に限定されないが、上記式においてm=0のものが好ましい。
【0059】
上記R9としては、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH2)n−CH3
−CH(CH3)−(CH2)n−CH3
−CH(CH2CH3)−(CH2)n−CH3
−CH(CH2CH32
−C(CH32−(CH2)n−CH3
−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2)n−CH3
−C65
−C64(CH3)、
−C63(CH32
−(CH2)n−C65
−(CH2)n−C64(CH3)、
−(CH2)n−C63(CH32
(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
【0060】
また、R3のうちの重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の炭化水素基も、R9の上記例示と同様なものが挙げられる。
【0061】
上記一般式(1)のR3としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、シリル基、一般式(2)で表わされる基、から選ばれる基である化合物であることが好ましく、一般式(2)で表わされる基を有する、重合性の低いアルケニル基を2つ有するオレフィン化合物が最も好ましい。上記のアルケニル基を導入するために用いられる、重合性の低いアルケニル基を2つ有するオレフィン化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物から選ばれるものが挙げられる。
【0062】
【化8】

{式中、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基、あるいは一般式(3):
【0063】
【化9】

(式中、R5は、酸素原子又は窒素原子を示し、R6は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、複数個のR6は同じでも異なっていてもよい)
で表される基を示し、R2は、水素原子あるいはメチル基を示し、R4は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す}
なお、R2は、水素原子あるいはメチル基であるが、水素原子が好ましい。
【0064】
4は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基であるが、水素原子が好ましい。
【0065】
1が炭素数1〜20のアルキレン基である場合、その構造に特に制約はないが、オレフィン化合物(A)としては、下記一般式(5)に示す化合物が好ましく例示される。
【0066】
【化10】

(式中、rは1〜20の整数を示す)
原料入手の容易さから、rは2、4、6のものが好ましい。つまり、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましい。
【0067】
上記一般式(1)のR3として、アミノ基、水酸基あるいはカルボン酸基を持つ重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を重合末端に反応させる場合には、そのまま反応させても構わないが、それらの基が、重合末端あるいは触媒に影響を与える場合があるので、その場合には保護基をつけた化合物を用いても構わない。保護基としては、アセチル基、シリル基、炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。
【0068】
<オレフィン化合物(A)の導入方法>
(メタ)アクリル系重合体の末端にオレフィン化合物(A)を付加させる方法としては、例えば特開2000−044626号公報に記載の、従来公知の方法を用いることができる。これは即ち、リビングラジカル重合系に、重合性の低い(活性化されていない)オレフィン化合物(A)を添加することにより、重合体生長末端にほぼ1つだけオレフィンを付加させ、末端に様々な官能基を有する重合体を製造する方法である。
【0069】
これらの官能基を導入するために用いられるオレフィン化合物(A)の添加量は、特に限定されない。重合体生長末端に対して等量から1.2倍の小過剰量を使用することが好ましい。一方、オレフィン化合物(A)のアルケニル基の反応性はあまり高くないため、反応速度を高めるために添加量を増やすことも可能であり、この場合の添加量は1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましく、5倍以上が特に好ましい。逆に、未反応のオレフィン化合物(A)を重合体に残したくない場合等には、重合体生長末端に対して0.7倍から等量までの小不足量とすることも可能である。従って、オレフィン化合物(A)の添加量は特に限定されず、オレフィン化合物(A)の反応性、コスト及び未反応物の回収にかかるコスト・生産性等を考慮して、状況により適正化すればよい。
【0070】
また、末端にアルケニル基を導入するために用いられる重合性の低いアルケニル基を2つ以上有する化合物の添加量は、重合体生長末端に対して過剰量であることが好ましい。等量あるいは末端より少量の場合、2つのオレフィンの両方ともが反応し、重合末端をカップリングしてしまう可能性がある。2つのオレフィンの反応性が等しい化合物の場合、カップリングの起こる確率は、過剰に添加する量に応じて統計的に決まる。よって、重合性の低いアルケニル基を2つ以上有する化合物の添加量は、重合体生長末端に対して、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
【0071】
リビングラジカル重合の最中又は終点において、重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を添加すると、末端にほぼ1つずつオレフィン化合物(A)が付加する。オレフィン化合物(A)が官能基を有する場合、結果として、そのオレフィン化合物(A)の有する官能基が重合体の末端に導入される。なお、一般式(1)で表されるオレフィン化合物(A)において、R3が当該官能基に相当する。
【0072】
また、オレフィン化合物(A)は、リビングラジカル重合によりラジカル重合性単量体の80重量%が消費された後に添加するのが好ましく、85重量%が消費された時点で加えるのがより好ましく、90重量%が消費された時点で加えるのがさらに好ましく、95重量%が消費された時点で加えるのが特に好ましい。ラジカル重合性単量体が十分消費される前にオレフィン化合物(A)を添加すると、(メタ)アクリル系重合体の分子量が設定値よりも小さくなってしまう傾向がある。なお、上記ラジカル重合性単量体の量は、いずれも最終的に重合溶液に仕込んだ量のことである。また、ラジカル重合性単量体とは、前記(メタ)アクリル系モノマーを意味する。
【0073】
リビングラジカル重合系にオレフィン化合物(A)を添加するとき、オレフィン化合物(A)の種類によっては、反応系の極性が低下する等によって触媒活性が不十分になる場合がある。この場合、オレフィン化合物(A)より誘電率の高い化合物(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン等の高極性非プロトン性溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;イオン性液体等)を添加することができる。
【0074】
リビングラジカル重合系にオレフィン化合物(A)を添加する際の溶媒の量は特に限定されないが、生成する(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。またDMSO等の高沸点溶媒を反応溶媒に用いる場合には生成する(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましい。10重量部以上では除去することが困難になり、精製、末端官能化および貯蔵安定性に悪影響を与える傾向がある。
【0075】
リビングラジカル重合系にオレフィン化合物(A)を添加する際の遷移金属の量としては、精製が困難な微粉末状の遷移金属を用いる場合には、生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.1〜0.0001重量部が好ましく、0.01〜0.001重量部がより好ましい。0.0001重量部以下ではモノマー反応率80%以上まで重合させるほどの活性がなく好ましくない。一方、0.1重量部以上の遷移金属が存在していると精製工程を削減することは困難であり、精製負荷低減にはならない。
【0076】
塊状の遷移金属を用いる場合には生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して0.0001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましい。0.0001以下であればモノマー反応率80%以上まで重合させるほどの活性がなく好ましくない。
【0077】
さらに、リビングラジカル重合系にオレフィン化合物(A)を添加する際のアミン化合物の量としては、生成した(メタ)アクリル系重合体総量100重量部に対して10〜0.001重量部が好ましく、1〜0.005重量部がより好ましく、0.1〜0.01重量部がさらに好ましい。アミン化合物の量が従来方法より少ない0.1重量部以下では精製負荷低減が可能になる。一方、10部以上のアミン化合物が存在していると精製が困難になり、生成重合体への強い着色、その後の末端官能化等に悪影響を与える傾向がある。
【0078】
<<用途>>
本発明で得られる末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)は、特に限定されないが、単独で、又は各種添加剤を配合することにより、硬化性組成物とすることができる。物性を調製するための添加剤としては、特に限定されないが、例えば硬化触媒、充填剤、可塑剤、接着性付与剤、老化防止剤、顔料、物性調整剤、溶剤等を配合することができる。 このようにして得られる硬化性組成物の用途としては、特に限定されないが、電気・電子部品{重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材(冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロン又は漏電ブレーカー用のシール材)、ポッティング材(トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池又はテレビ用フライバックトランスのポッティング)、コーティング材(高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子;HIC;電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材;半導電体素子;又は光通信用オプティカルファイバーのコーティング)、フォトレジスト材もしくは接着剤(ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品又は導電部品の接着);電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;又はゲルもしくはコンデンサの封入)}、自動車部品(自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のボッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材;又はオイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤;燃料噴射装置、燃料加熱装置、エアダンパ、圧力検出装置、熱交換器用樹脂タンクのオイルクーラー、可変圧縮比エンジン、シリンダ装置、圧縮天然ガス用レギュレータ、圧力容器、筒内直噴式内燃機関の燃料供給システムもしくは高圧ポンプ用のOリング)、船舶(配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;又は電線もしくはガラス用の接着剤)、航空機又は鉄道車輛、土木・建築(商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;又は粘着シート、防水シートもしくは防振シート)、医療(医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料)又はレジャー(スイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材;又はスポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材)等の様々な用途に利用可能である。
【実施例】
【0079】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0080】
下記実施例及び比較例中、「部」は、「重量部」を表す。
「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−802.5、shodex GPC K−804昭和電工(株)製(2本並列して使用))を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
重合体1分子当たりに導入された反応性官能基数は、1H−NMRによる濃度分析、及びGPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。
【0081】
(参考例1)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下室温で撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに室温撹拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後PMDETAと称す)0.153部を加えて80℃で2時間加熱撹拌し、アクリル酸n−ブチルの反応率が79モル%に達したところで触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[1]を得た。重合体[1]の数平均分子量は21000、分子量分布は1.46であり、また重合体一分子当たりの臭素末端は0.87個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0082】
(参考例2)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下室温で撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに室温撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.203部を加えて50℃で2時間加熱撹拌し、アクリル酸n−ブチルの反応率が85モル%に達したところで触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[2]を得た。重合体[2]の数平均分子量は17500、分子量分布は1.06であり、また重合体一分子当たりの臭素末端は0.98個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0083】
(参考例3)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部(モノマーに対してCu量=3.7×10-3)、ジメチルスルホキシド1.23部を仕込み、窒素気流下70℃で撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに室温撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.203部を加えて2時間80℃で加熱撹拌し、アクリル酸n−ブチルの反応率が96モル%に達したところで触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[3]を得た。重合体[3]の数平均分子量は22200、分子量分布は1.10であり、また重合体一分子当たりの臭素末端は0.73個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0084】
(実施例1)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部、N,N−ジメチルアセトアミド1.1部を仕込み、窒素気流下85℃で撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに85℃撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.203部を加えて85℃で4時間加熱撹拌したところ、アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達した。
これに1,7−オクタジエン21部添加して80℃で1時間加熱撹拌したところで、触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[4]を得た。重合体[4]の数平均分子量は20200、分子量分布は1.31であり、また重合体一分子当たりに導入されたアルケニル基は0.76個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0085】
(実施例2)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下室温で撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに室温撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.203部を加え、その後逐一Me6TRENを添加していき50℃で3時間、65℃で2時間加熱撹拌したところアクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達した。ここまでのMe6TRENの使用量は0.248部であった。
これに1,7−オクタジエン22部、アセトニトリル26部を添加して65℃で1時間加熱撹拌したところで、触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[5]を得た。重合体[5]の数平均分子量は22900、分子量分布は1.10であり、また重合体一分子当たりに導入されたアルケニル基は1.09個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0086】
実施例1,2、参考例3の結果を表1に示す。DMSOおよびDMAcは生成する(メタ)アクリル系重合体に対して1体積%程度の量であってもモノマー消費率95モル%程度まで重合が進行しており、さらにDMAcでは生成する(メタ)アクリル系重合体に対して1体積%程度の量であっても、末端にアルケニル基を導入することができている。DMSOに関しては末端にアルケニル基を導入する操作は未実施ではあるが、DMAcと同様に1体積%程度の量であっても導入できると推察できる。
【0087】
【表1】

【0088】
(実施例3)
アクリル酸n−ブチル100部、箔状のCu(0)0.37部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下70℃で撹拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を加え、さらにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.045部を加え、途中Me6TRENを適宜追加し、アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達するまで80℃で加熱撹拌を続けた。ここまでのMe6TRENの使用量は0.18部であった。
これに1,7−オクタジエン22部、アセトニトリル26部を添加し、70℃で3時間加熱撹拌した後、Me6TREN0.14部添加し、さらに2時間加熱撹拌したところで、触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[6]を得た。重合体[6]の数平均分子量は22700、分子量分布は1.27であり、また重合体一分子当たりに導入されたアルケニル基は2.4個であった。重合停止後もCu(0)は箔状を保っており、ピンセットで容易に取り除くことができた。
【0089】
(実施例4)
アクリル酸n−ブチル100部、粉末状Cu(0)0.01部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下80℃90分間撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに80℃撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.011部を加えて85℃3.5時間加熱撹拌し、アクリル酸n−ブチルの反応率は93モル%に達した。
これに1,7−オクタジエン22部、アセトニトリル26部を添加し、80℃で2時間加熱撹拌した後、Me6TREN0.011部添加し、さらに1時間加熱撹拌したところでMe6TREN0.011部添加、さらにもう1時間加熱撹拌したところで触媒を酸素で失活させ重合を停止させ、重合体[7]を得た。重合体[7]の数平均分子量は22000、分子量分布は1.50であり、また重合体一分子当たりに導入されたアルケニル基は0.83個であった。
【0090】
(比較例1)
アクリル酸n−ブチル100部、CuBr0.022部、アセトニトリル8.8部を仕込み、窒素気流下80℃で20分間撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル0.95部を加え、さらに80℃撹拌した。これにトリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以後Me6TRENと称す)0.007部を加えた。Me6TREN添加から25分間撹拌した時点でアクリル酸n−ブチルの反応率は23モル%であったが、45分間撹拌してもアクリル酸n−ブチルの反応率は23モル%であり、ほとんど変化が無かった。この後、逐一Me6TRENを添加していきながら、80℃で加熱撹拌した。210分間反応させたところでアクリル酸n−ブチルの反応率は40モル%であり、これ以上重合は進行していなかった。そこで、触媒を酸素で失活させて重合を停止させ、重合体[8]を得た。ここまでのMe6TRENの添加量は0.036部であった。得られた重合体[8]の数平均分子量は8560、分子量分布は1.18であり、活性な臭素末端は1分子あたり平均で1.0個であった。
【0091】
(比較例2)
アクリル酸エチル100部、CuBr0.34部、アセトニトリル8.5部を仕込み、窒素気流下80℃で20分間撹拌した。これに2−ブロモ酪酸エチル1.04部を加え、さらに80℃撹拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン0.014部(以後PMDETAと称す)を加えた。この後、逐一PMDETAを添加していきながら、アクリル酸エチルの反応率が95モル%に達するまで加熱撹拌を続けた。ここまでのPMDETAの添加量は0.11部であった。
これに1,7−オクタジエン6.9部、アセトニトリル26部、PMDETA0.22部を添加し、80℃で加熱撹拌した。その後11時間加熱撹拌し、重合体[9]を得た。重合体[9]の数平均分子量は21400、分子量分布は1.11であり、また重合体一分子当たりに導入されたアルケニル基は0.99個であった。
【0092】
実施例2,4および比較例1,2の比較を表2に示した。実施例2では残存遷移金属はピンセットでも取り除くことができる程度箔状を維持しており、除去が容易で精製負荷を低減できるといえる。実施例4では少量の遷移金属でアルケニル基の導入ができており、残存遷移金属は比較例2の30分の1以下まで減らすことができており、さらにアミン化合物の量も比較例2に対して15分の1まで減らすことができているため、精製工程を一部省略でき、実施例2よりもさらに大きな精製負荷を低減できるといえる。一方、比較例1では活性が低くアルケニル基の導入は不可能であり、比較例2では大量の微分散した遷移金属が残存してしまうため、精製負荷は大きいといえる。
【0093】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、0価の遷移金属又は遷移金属単体、およびアミン化合物からなる触媒の存在下、リビングラジカル重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合し、得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造することを特徴とする、(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項2】
遷移金属が、0価の銅、ニッケル、ルテニウム、または鉄である請求項1記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項3】
リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合又はシングルエレクトロントランスファ重合である請求項1〜2のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項4】
重合開始剤として有機ハロゲン化合物を使用し、I価、II価、またはIII価の遷移金属とアミン化合物からなる触媒の存在下、遷移金属を不均化させることを特徴とするシングルエレクトロントランスファ重合により(メタ)アクリル系モノマーを重合して、得られたハロゲン末端(メタ)アクリル系重合体に、上記触媒の存在下、ラジカル重合性の低いアルケニル基を有するオレフィン化合物(A)を反応させて、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)を製造することを特徴とする、(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項5】
オレフィン化合物(A)が官能基を有するものであり、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)が、末端に前記官能基を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項6】
オレフィン化合物(A)が、一般式(1):
【化11】

{式中、R3は、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、シリル基、一般式(2):
【化12】

(R4は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される基、あるいは重合性のオレフィンを含まない炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基、あるいは一般式(3):
【化13】

(式中、R5は、酸素原子または窒素原子であり、R6は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、複数個のR6は同じでも異なってもよい)
で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項7】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項8】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)の数平均分子量が3000以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項9】
末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(I)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体(I)の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法により得られた、末端に反応性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体。
【請求項11】
請求項10の(メタ)アクリル系重合体を含有する硬化性組成物。

【公開番号】特開2011−16938(P2011−16938A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162911(P2009−162911)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】