説明

机システム

【課題】机と袖箱とを備えた机システムで、文具や書類等の収納位置や収納形態をより多用な形態で変更できるようにする。
【解決手段】机10と袖箱40と共有抽斗60とを備えている。袖箱40には、収納棚空間Saが形成されており、この収納棚空間Saは共有抽斗60を出し入れ可能な共有抽斗空間も成す。机10は、天板12と、天板と平行に天板の下方に配置された棚板18と、天板と棚板との間の空間を仕切る仕切板19と、を有している。天板と棚板との間の空間を仕切板で仕切られて形成された複数の空間は、収納棚空間Se,Sf,Seを成し、複数の収納棚空間のうち、少なくとも一の収納棚空間Seが共有抽斗60を出し入れ可能な共有抽斗空間も成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机と、机の天板の下方空間に出し入れ可能な袖箱とを備えている机システムに関する。
【背景技術】
【0002】
机と袖箱とを備えている机システムとしては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この机システムの机は、天板と、天板を支える両側脚板と、天板の下に配置されている机専用の抽斗と、を備えている。また、この机システムの袖箱は、筐体と、この筐体内に収まる複数の袖箱専用の抽斗と、筐体の下部に設けられているキャスタと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−149820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の机システムは、机に対して袖箱を移動させることで、文具や書類等の収納位置や収納形態を比較的自由に変えることができ、使用者の利便性を高めることができる。しかしながら、使用者とっては、文具や書類等の収納位置や収納形態をより多用な形態で変更できることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、文具や書類等の収納位置や収納形態をより多用な形態で変更できる机システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための発明に係る机システムは、
天板及び該天板を支える脚を有する机と、該天板の下方空間に出し入れ可能な袖箱と、を備えている机システムにおいて、共有抽斗を備え、前記机及び前記袖箱には、それぞれ、前記共有抽斗を出し入れ可能な幅、高さ及び奥行きを有する共有抽斗空間が形成されていることを特徴とする。
【0008】
当該机システムでは、机の下方空間に袖箱を出し入れすることで、文具や書類等の収納位置や収納形態を比較的自由に変えることができ、使用者の利便性を高めることができる。また、当該机システムでは、机と袖箱との両方に、共有抽斗を出し入れできる共有抽斗空間が形成されているので、机の共有抽斗空間に対しても、袖箱の共有抽斗空間にも、同一の共有抽斗を収めることができる。さらに、当該机システムでは、机の共有抽斗空間と袖箱の共有抽斗空間とのうち、一方の共有抽斗空間に共有抽斗を入れている状態から、他方の共有抽斗空間に共有抽斗を入れている状態に、容易に変更することができる。
【0009】
ここで、前記机システムにおいて、前記机は、前記天板と平行に該天板の下方に配置された棚板と、該天板と該棚板との間の空間を仕切る仕切板と、を有し、前記天板と前記棚板との間の空間を前記仕切板で仕切られて形成された複数の空間は、収納棚空間を成し、複数の該収納棚空間のうち、少なくとも一の収納棚空間が前記共有抽斗空間も成すことが好ましい。ここで、前記天板と前記棚板との間の空間は、複数の前記仕切板により、該天板の幅方向に仕切られて、該幅方向に並ぶ複数の収納棚空間を成し、複数の前記収納棚空間のうち、幅方向における両側の収納棚空間が、前記共有抽斗空間を成してもよい。
【0010】
当該机システムでは、少なくとも一の収納棚空間が共有抽斗空間も成すので、この空間を文具や書籍等を直接入れておく空間として利用できると共に、共有抽斗を入れておく空間としても利用することができる。
【0011】
また、前記机システムにおいて、複数の前記収納棚空間は、いずれも、幅寸法が前記共有抽斗空間の幅寸法の自然数倍であってもよい。
【0012】
複数の前記収納棚空間の幅寸法がいずれも共有抽斗空間の幅寸法の自然数倍であれば、各収納棚空間に、該当自然数個の共有抽斗を入れることができる。
【0013】
また、前記机システムにおいて、前記机の前記仕切板は、前記机の前記天板と前記棚板との間の空間内で移動可能であり、該天板と該棚板とのうちの少なくとも一方の板には、該仕切板を所定の位置に拘束するための位置決め構造が設けられていてもよい。
【0014】
当該机システムでは、仕切板を移動させることで、共有抽斗空間や収納棚空間(共有抽斗空間を除く)の位置、さらに、収納棚空間(共有抽斗空間を除く)のサイズを変えることができる。
【0015】
また、前記机システムにおいて、前記袖箱は、前面が開口している筐体と、該筐体内を仕切る複数の仕切板と、を有し、前記筐体内を複数の前記仕切板で仕切られて形成された複数の空間は、収納棚空間を成し、複数の該収納棚空間のうち、少なくとも一の該収納棚空間が前記共有抽斗空間も成すことが好ましい。
【0016】
当該机システムでは、袖箱の少なくとも一の収納棚空間が共有抽斗空間も成すので、この空間を文具や書籍等を直接入れておく空間として利用できると共に、共有抽斗を入れておく空間としても利用することができる。
【0017】
また、前記机システムにおいて、前記袖箱の複数の前記仕切板のうち、少なくとも一の仕切板には、前縁の一部が後方にさがった後退部が形成され、前記共有抽斗は、底板と、該底板の縁に沿って設けられ、互いに対向する一対の側板と、該底板の縁に設けられ、互いに対向する前板及び後板と、を有し、該共有抽斗が前記共有抽斗空間内納まっている際に前記仕切板の前記後退部に対向する部分及び該前板が少なくとも透明であってもよい。
【0018】
当該机システムでは、共有抽斗の透明な前板を介して、この共有抽斗の内容物を視認することができる。さらに、仕切板の上に共有抽斗が載っている場合、仕切板の後退部、及びこの後退部に対向する共有抽斗の透明部分を介して、外部からの光が下方の抽斗内に入り込むので、この下方の抽斗の内容物の視認性をより高めることができる。
【0019】
また、仕切板の上に書類等が置かれている場合、この仕切板の後退部より形成されている凹みを介して、書類の下面に手を接触させることができ、上下から書類等を挟んで、書類を袖箱から引き出すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、机の下方空間に袖箱を出し入れすることで、文具や書類等の収納位置や収納形態を比較的自由に変えることができ、使用者の利便性を高めることができる。また、当該机システムでは、机と袖箱との両方に、共有抽斗を出し入れできる共有抽斗空間が形成されているので、机の共有抽斗空間に対しても、袖箱の共有抽斗空間にも、同一の共有抽斗を収めることができる。さらに、当該机システムでは、机の共有抽斗空間と袖箱の共有抽斗空間とのうち、一方の共有抽斗空間に共有抽斗を入れている状態から、他方の共有抽斗空間に共有抽斗を入れている状態に、容易に変更することができる。
【0021】
よって、本発明によれば、文具や書類等の収納位置や収納形態をより多用な形態で変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第一実施形態における机システムの斜視図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における机の正面図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における机(天板の上昇時)の側面図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における机(天板の下降時)の側面図である。
【図5】本発明に係る第一実施形態における机の平面図である。
【図6】図2におけるVI断面図である。
【図7】本発明に係る第一実施形態における袖箱の正面図である。
【図8】本発明に係る第一実施形態における袖箱の側面図である。
【図9】本発明に係る第一実施形態における袖箱の横仕切板の平面図である。
【図10】本発明に係る第一実施形態における共有抽斗の斜視図である。
【図11】本発明に係る第一実施形態における横仕切板及び変形例の共有抽斗の斜視図である。
【図12】本発明に係る第一実施形態における袖箱及び収納箱の斜視図である。
【図13】本発明に係る第一実施形態における袖箱及び仕切枠の斜視図である。
【図14】本発明に係る第二実施形態における机システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る机システムの実施形態について説明する。
【0024】
「第一実施形態」
まず、本発明に係る机システムの第一実施形態について、図1〜図13を用いて説明する。
【0025】
本実施形態の机システムは、図1に示すように、机10と、机10の下方空間に出し入れ可能な袖箱40と、机10や袖箱40に配置できる共有抽斗60と、を備えている。なお、以下の説明で、上、下、前、後、右、左は、いずれも机10や袖箱40を設置面に設置している状態での向きを示している。すなわち、「下」は、机10を基準にして設置面側の向きを示し、「上」は、設置面と反対側の向きを示している。また、「前」は、机10や袖箱40を使用するユーザ側の向きを示し、「後」は、机10や袖箱40を基準にして、この机10や袖箱40を使用するユーザ側と反対側の向きを示す。また、「右」、「左」は、机10や袖箱40を使用している状態でのユーザの右、左を示す。さらに、以下では、前後方向を奥行き方向とし、左右方向を幅方向とする。
【0026】
机10は、図1〜図5に示すように、矩形状の板で形成され、その短辺を奥行き方向とする天板12と、矩形状の板で形成され、天板12の後部側の下方に配置されている幕板15と、矩形状の板で形成され、天板12と平行に設けられている棚板18と、天板12及び棚板18を支える左右一対の脚21と、を備えている。
【0027】
机10の脚21は、矩形状の板で形成され、天板12の両側の下面に互いに平行に固定されている側板22と、各側板22に取り付けられている脚板25と、を有している。脚板25は、図6に示すように、矩形状の板で形成され、側板22の奥行き幅とほぼ同じ奥行き幅の矩形状の板である脚本体板26と、この脚本体板26の前縁27に固定され、側板22の前縁23に摺接するフック部29と、を有している。
【0028】
図2に示すように、左脚21の脚板25は、左脚21の側板22よりも左側に位置し、且つこの側板22の左側面に接している。右脚21の脚板25は、右脚21の側板22よりも右側に位置し、且つこの側板22の右側面に接している。
【0029】
脚板25の脚本体板26には、左右方向に貫通するピン孔28が形成されている。また、側板22には、左右方向に貫通する複数のピン孔24が形成されている。側板22の複数のピン孔24は、上下方向に並んでいる。脚板25と側板22とは、それぞれのピン孔28,24にピン30を挿通させることで、両者の上下方向における相対位置関係が固定される。このため、図3及び図4に示すように、側板22の上下方向に並んでいる複数のピン孔24のうち、いずれのピン孔24にピン30を通すかにより、脚板25に対する側板22の上下方向の位置、言い換えると、側板22に固定されている天板12の上下方向の位置を調節することができる。
【0030】
棚板18の両側縁は、それぞれ、左右の側板22に固定されている。天板12と棚板18との間であって、天板12及び棚板18の後部であって、幕板15よりやや前方の箇所は、矩形状の板である後板14で塞がれている。この後板14の両側縁も、それぞれ、左右の側板22に固定されている。
【0031】
天板12と棚板18と後板14と左右の側板22とで囲まれた空間は、左右方向に互いに平行に並ぶ二枚の仕切板19により、三つの空間に仕切られている。各空間は、いずれも、文具や書籍等を収納できる収納棚空間Se,Sf,Seを成している。
【0032】
袖箱40は、図1、図7及び図8に示すように、前方が開口している直方体形状の筐体41と、この筐体41内を仕切る複数の仕切板46,48と、筐体41の下部に設けられているキャスタ49と、筐体41内に配される袖箱専用の袖箱抽斗50と、を有している。
【0033】
袖箱40の筐体41とキャスタ49とを合わせた高さ寸法は、机10の天板12が最も低い状態での机10の設置面から棚板18までの高さ寸法よりも短い。このため、袖箱40は、机10の棚板18の下方空間に出し入れできる。
【0034】
袖箱40の筐体41は、矩形状の板で形成され、上下方向で互いに対向している天板42及び底板43と、矩形状の板で形成され、左右方向で互いに対向している一対の側板44と、これらの板で囲まれた空間の後端を塞ぐ背面板45と、を有している。
【0035】
複数の仕切板46,48のうち、一の仕切板48は、矩形状の板で形成され、筐体41内にその側板44に平行に配置されて、筐体41内の空間を左右に仕切る縦仕切板を成している。また、複数の仕切板46,48のうち、残りの仕切板46は、矩形状の板で形成され、縦仕切板48により仕切られた筐体41内の左右の空間のうち、一方の空間内に、天板42と平行に配置されて、この一方の空間を上下に仕切る横仕切板を成している。縦仕切板48及び複数の横仕切板46で仕切られた筐体41内の各空間は、いずれも、文具や書籍等を収納できる収納棚空間Sa,Sb,Scを成している。
【0036】
横仕切板46には、図8及び図9に示すように、その前縁中で左右方向の中央部が後方のさがった後退部47が形成されている。
【0037】
共有抽斗60及び袖箱抽斗50は、いずれも、透明な樹脂で形成されている。共有抽斗60及び袖箱抽斗50は、図10に示すように、いずれも、矩形状の板で形成された底板61,51と、矩形状の板で形成され、底板61,51の側縁に沿って設けられ互いに対向する一対の側板62,52と、矩形状の板で形成され、底板61,51の前縁、後縁に沿って設けられ、互いに対向する前板63,53及び後板64,54と、前板63,53に固定されている取っ手65,55と、を有している。
【0038】
図7に示すように、共有抽斗60の一対の側板62の相互間隔である共有抽斗60の幅寸法wと袖箱抽斗50の一対の側板52の相互間隔である袖箱抽斗50の幅寸法wは、同じである。また、図8に示すように、共有抽斗60の前板63と後板と64の相互間隔である共有抽斗60の奥行き寸法dと袖箱抽斗50の前板53と後板54との相互間隔である袖箱抽斗50の奥行き寸法dも、同じである。すなわち、共有抽斗60の底板61と袖箱抽斗50の底板51とは、幅寸法及び奥行き寸法が同一である。一方、共有抽斗60の側板62、前板63及び後板64の高さ寸法hは、袖箱抽斗50の側板52、前板53及び後板54の高さ寸法h3よりも短い。
【0039】
袖箱40の複数の収納棚空間Sa,Sb,Scのうち、複数の横仕切板46のうちの最も下に配置されている横仕切板46と、縦仕切板48と、筐体41の一方の側板44と、筐体41の底板43とで囲まれて形成される収納棚空間Sbは、専ら袖箱抽斗50を出し入れできる袖箱抽斗空間も成している。また、最も下に配置されている横仕切板46と、縦仕切板48と、筐体41の一方の側板44と、筐体41の天板42とで囲まれた空間が複数納の横仕切板46で仕切られて形成されている収納棚空間Saは、つまり、袖箱抽斗空間Sbの上方の複数の収納棚空間Saは、共有抽斗60を出し入れできる共有抽斗空間も成している。
【0040】
図7に示すように、共有抽斗空間Saの幅寸法W2は、袖箱抽斗空間Sbの幅寸法W2と同じで、共有抽斗60の幅寸法(=袖箱抽斗50の幅寸法)wに数ミリ加えた寸法である。また、共有抽斗空間Saの高さ寸法H2は、共有抽斗60の高さ寸法hに数ミリ加えた寸法である。また、袖箱抽斗空間Sbの高さ寸法H3は、袖箱抽斗50の高さ寸法h3の数ミリ加えた寸法で、共有抽斗空間Saの高さ寸法H2よりも長い。また、図8に示すように、共有抽斗空間Saの奥行き寸法D2は、袖箱抽斗空間Sbの奥行き寸法D2と同じで、共有抽斗60の奥行き寸法(=袖箱抽斗50の奥行き寸法)dに数ミリ加えた寸法である。
【0041】
図3に示すように、机10の三つの収納棚空間Se,Sf,Seの奥行き寸法D1は、同一で、共有抽斗60の奥行き寸法dに数ミリ加えた寸法である。これら三つの収納棚空間Se,Sf,Seの高さ寸法H1は、図2に示すように、同一で、共有抽斗60の高さ寸法に数ミリ加えた寸法である。また、これら三つの収納棚空間Se,Sf,Seのうち、左右方向における両側の収納棚空間Se,Seの幅寸法W1は、共有抽斗60の幅寸法wに数ミリ加えた寸法である。すなわち、両側の収納棚空間Se,Seの各寸法W1,H1,D1も、袖箱40の共有抽斗空間Saと同様、共有抽斗60を出し入れできる共有抽斗空間も成している。一方、机10の三つの収納棚空間Se,Sf,Seのうち、中央の収納棚空間Sfの幅寸法W0は、共有抽斗空間Seの幅寸法W1の二倍近い寸法である。
【0042】
袖箱40には、図12に示すように、その天板42上に収納箱70を取り付けることができる。この収納箱70は、前方が開口している直方体形状の筐体71と、この筐体71内に出し入れ可能な抽斗72と、を有している。収納箱70の幅寸法は、袖箱40の幅寸法とほぼ等しく、この収納箱70を袖箱40の天板42上に載せた際に、袖箱40の一対の側板43と収納箱70の一対の側板とが面一になる寸法になっている。この収納箱70の奥行き寸法は、袖箱40の奥行き寸法とほぼ等しい。なお、収納箱70は、上記構造に限定されるものではなく、例えば、上方が開口している直方体の筐体と、この上方の開口を塞ぐ蓋と、を有するものであってもよい。
【0043】
袖箱40には、図13に示すように、さらに、その天板42上に仕切枠80を取り付けることができる。この仕切枠80は、矩形状の板で形成され、互いに対向する一対の側板81と、矩形状板で形成される背面板82と、を有している。一対の側板81は、その後端部で背面板82により連結されている。一対の側板81の相互間隔は、袖箱40の天板42の幅寸法にほぼ等しく、この仕切枠80を袖箱40の天板42上に載せた際に、袖箱40の一対の側板43と仕切枠80の一対の側板81とが面一になる寸法になっている。この仕切枠80の奥行き寸法、つまり、側板81の奥行き方向の寸法は、袖箱40の天板42の奥行き寸法よりも短い。
【0044】
この仕切枠80を取り付けた袖箱40の上部空間は、上方及び前方に開口を有する収納空間を形成することになる。この収納空間は、例えば、ランドセル等の鞄や、大型の書籍を収納する空間として利用することができる。
【0045】
以上の仕切枠80及び収納箱70は、いずれも、図12及び図13に示すように、連結具79で袖箱40の天板12上に取り付けることができる一方で、一旦取り付けた後に取り外すことができる。連結具79は、例えば、ダボである。
【0046】
なお、ここでは、連結具79の一例としてダボを例示しているが、例えば、特開2000−135124号に記載されているもののように、頭付きピンと、頭付きピンの頭部に係合可能な埋込み係合具と、を有するものであってもよい。この頭付きピンは、軸部と、この軸部の一方の端部に形成され、軸部の径よりも大きな径の頭部とを有する。埋込み係合具は、外形が円柱状を成し、頭付きピンの頭部に係合可能なフック部が内部に形成されているものである。頭付きピンは、例えば、袖箱40の天板42に、頭部が露出するように埋め込まれる。また、埋込み係合具は、例えば、仕切枠80の側板81内に回転可能に埋め込まれる。袖箱40に仕切枠80を取り付ける際には、袖箱40の天板42に取り付けられた頭付きピンの頭部を、仕切枠80に取り付けられた埋込み係合具のフック部の開口に入れた後、この埋込み係合具を回転させて、埋込み係合具のフック部と頭付きピンの頭部とを係合させる。これにより、袖箱に仕切枠を取り付けることができる。また、袖箱から仕切枠を外す際には、埋込み係合具を取付時とは逆方向に回転させて、埋込み係合具のフック部と頭付きピンの頭部との係合を解除する。これにより、袖箱から仕切枠を取り外すことができる。
【0047】
以上、本実施形態では、机10の下方空間に袖箱40を出し入れすることで、文具や書類等の収納位置や収納形態を比較的自由に変えることができ、使用者の利便性を高めることができる。
【0048】
また、本実施形態では、机10の複数の収納棚空間Se,Sf,Seは、いずれも、ここに文具や書籍等を直接入れる空間として利用できると共に、両側の収納棚空間Se,Seは、共有抽斗空間を成し、共有抽斗60を入れておく空間としても利用することができる。同様に、本実施形態では、袖箱40の複数の収納空間Sa,Sb,Scも、ここに文具や書籍等を直接入れる空間として利用できると共に、一部の収納棚空間Saは、共有抽斗空間を成し、共有抽斗60を入れておく空間としても利用することができる。さらに、本実施形態では、机10の共有抽斗空間Seと袖箱40の共有抽斗空間Saとのうち、一方の共有抽斗空間Saに共有抽斗60を入れている状態から、他方の共有抽斗空間Seに共有抽斗60を入れている状態に、容易に変更することができる。また、本実施形態では、袖箱40に、仕切枠80や収納箱70を取り付けることができるので、袖箱40の上部にも別途新たな収納空間を形成することができる。
【0049】
よって、本実施形態では、文具や書類等の収納位置や収納形態をより多用な形態で変更できる。
【0050】
また、本実施形態では、共有抽斗60及び袖箱抽斗50は、いずれも透明な樹脂で形成されているため、それぞれが共有抽斗空間Saや袖箱抽斗空間Sbに入っている状態でも、共有抽斗60及び袖箱抽斗50の前板63,53を介して、内部に収納されているものが何であるかを認識することができる。さらに、本実施形態の袖箱40の横仕切板46には、その前縁中の中央部が後方にさがった後退部47が形成されているため、この横仕切板46の下方の抽斗空間内に抽斗60,50が入っている場合、図8及び図11に示すように、この横仕切板46の後退部47により形成される凹みを介して、外部からの光が抽斗60,50内に入り込むので、この抽斗60,50の内容物の視認性をより高めることができる。
【0051】
なお、抽斗60,50の内容物の視認性を確保しつつ、この視認性を高めるためには、共有抽斗60の全体が透明である必要はなく、例えば、図11に示すように、共有抽斗60の前板63が透明であると共に、この共有抽斗60を共有抽斗空間Saに収めた際に横仕切板46の後退部47により形成される凹部と対向する部分69が透明であればよく、その他の部分は不透明であってもよい。このように不透明部分を設け、この不透明部分の強度を高めることで、共有抽斗60の内容物の視認性を確保しつつ、共有抽斗60の強度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態の袖箱40の横仕切板46には、前述したように、その前縁中の中央部が後方にさがった後退部47が形成されているため、この横仕切板46の上に書類等が置かれている場合、この横仕切板46の後退部47の凹みを介して、書類の下面に手を接触させることができ、上下から書類等を挟んで、書類を袖箱40から引き出すことができる。
【0053】
「第二実施形態」
次に、本発明に係る机システムの第二実施形態について、図14を用いて説明する。
【0054】
本実施形態の机システムも、第一実施形態の机システムと同様、机10aと袖箱40と共有抽斗60とを備えている。
【0055】
本実施形態の袖箱40及び共有抽斗60は、第一実施形態と同一のものである。また、本実施形態の机10aも、基本的には、第一実施形態の机10と同じである。但し、本実施形態は、天板12a及び棚板18aの幅寸法が第一実施形態のものよりも長い点で、第一実施形態と異なっている。
【0056】
天板12aと棚板18aと左右の側板22とで囲まれた空間は、第一実施形態と同様、左右方向に互いに平行に並ぶ二枚の仕切板19により、三つの空間に仕切られている。三つの空間のうち、左右方向の両側の空間は、第一実施形態と同様、収納棚空間Seを成すと共に、共有抽斗空間も成し、左右方向の中央の空間は、収納棚空間Sgを成している。
【0057】
机10aの共有抽斗空間Seの各寸法は、第一実施形態の供給抽斗空間Seの対応寸法と同じ寸法である。一方、机10aの中央の収納棚空間Sgは、高さ寸法及び奥行き寸法が第一実施形態の中央の収納棚空間Sfの対応寸法と同じであるものの、幅寸法は、共有抽斗空間Seの幅寸法の自然数倍、具体的には3倍の寸法である。
【0058】
机10aの二枚の仕切板19は、いずれも、その設置位置を変えることができる。机10aの天板12aと棚板18aとのうち、少なくとも一方の板には、一方の側板22から共有抽斗空間Seの1倍、2倍、3倍、4倍の位置に、仕切板46,48を拘束する位置決め構造91が設けられている。この位置決め構造91は、例えば、天板12aと棚板18aとのうち、少なくとも一方に形成され、奥行き方向に延び且つ仕切板19の厚さ相当の幅の溝であってもよいし、天板12aと棚板18aとのうち、少なくとも一方に設けられ、仕切板19の厚さ相当の間隔があけられた2つの部材であってもよい。このような位置決め構造91の場合、溝又は2つの部材の間に仕切板19を嵌め込むことで、仕切板19の位置を拘束することができる。
【0059】
以上、本実施形態は、机10a、袖箱40及び共有抽斗60が第一実施形態と基本的に同一のものであため、本実施形態も、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、机10aの三つの収納棚空間Se,Sg,Seのうち、中央の収納棚空間Sgの幅寸法が、共有抽斗空間でもある両側の収納棚空間Se,Seの自然数倍の幅であるため、この中央の収納棚空間Sgに、共有抽斗60を該当自然数個入れることができる。
【0061】
また、本実施形態の天板12aの幅寸法が第一実施形態の天板12の幅寸法よりの長いため、例えば、天板12aの下方空間中で、左右方向の中央部に袖箱40を配置することで、袖箱40を基準にして、左右に部分をそれぞれ異なる人の利用領域にすることができる。このため、例えば、一つの机10aを二人兄弟で利用する場合でも、各人の占有領域を確保することができる。しかも、この机10aは、天板12aの高さを変えることができるので、将来的には、二人兄弟のうちの一人の専用の机10aとしても利用することができる。
【0062】
なお、以上の実施形態の机10,10aは、いずれも、机10,10aの一対の側板22相互を棚板18,18aで連結し、左右方向で、一対の側板22相互間の全体を収納棚空間にしているが、棚板18,18aの一方の側端が一方の側板22に接し、他方の側端が他方の側板22に接触しない幅寸法の短い棚板を用い、天板12aとこの短い棚板の間の空間を収納棚空間にしてもよい。
【0063】
また、以上の実施形態の袖箱40には、複数の共有抽斗空間Saと、袖箱抽斗空間Sbと、専ら収納棚として利用される収納棚空間Scとが設けられているが、袖箱40には、少なくとも共有抽斗空間Saが設けられていればよく、その他の空間に関しては、袖箱40の用途や利用者等に応じて適宜設けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10,10a:机、12:天板、18:棚板、19:仕切板、21:脚、22:側板、25:脚板、40:袖箱、41:筐体、46:横仕切板、47:後退部、48:縦仕切板、49:キャスタ、50:袖箱抽斗、60:共有抽斗、53,63:(抽斗の)前板、70:収納箱、79:連結具、80:仕切枠、91:位置決め構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板及び該天板を支える脚を有する机と、該天板の下方空間に出し入れ可能な袖箱と、を備えている机システムにおいて、
共有抽斗を備え、
前記机及び前記袖箱には、それぞれ、前記共有抽斗を出し入れ可能な幅、高さ及び奥行きを有する共有抽斗空間が形成されている、
ことを特徴とする机システム。
【請求項2】
請求項1に記載の机システムにおいて、
前記机は、前記天板と平行に該天板の下方に配置された棚板と、該天板と該棚板との間の空間を仕切る仕切板と、を有し、
前記天板と前記棚板との間の空間を前記仕切板で仕切られて形成された複数の空間は、収納棚空間を成し、複数の該収納棚空間のうち、少なくとも一の収納棚空間が前記共有抽斗空間も成す、
ことを特徴とする机システム。
【請求項3】
請求項2に記載の机システムにおいて、
前記天板と前記棚板との間の空間は、複数の前記仕切板により、該天板の幅方向に仕切られて、該幅方向に並ぶ複数の収納棚空間を成し、
複数の前記収納棚空間のうち、幅方向における両側の収納棚空間が、前記共有抽斗空間を成す
ことを特徴とする机システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の机システムにおいて、
複数の前記収納棚空間は、いずれも、幅寸法が前記共有抽斗空間の幅寸法の自然数倍である、
ことを特徴とする机システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の机システムにおいて、
前記袖箱は、前面が開口している筐体と、該筐体内を仕切る複数の仕切板と、を有し、
前記筐体内を複数の前記仕切板で仕切られて形成された複数の空間は、収納棚空間を成し、複数の該収納棚空間のうち、少なくとも一の該収納棚空間が前記共有抽斗空間も成す、
ことを特徴とする机システム。
【請求項6】
請求項5に記載の机システムにおいて、
前記袖箱の複数の前記仕切板のうち、少なくとも一の仕切板には、前縁の一部が後方にさがった後退部が形成され、
前記共有抽斗は、底板と、該底板の縁に沿って設けられ、互いに対向する一対の側板と、該底板の縁に設けられ、互いに対向する前板及び後板と、を有し、該共有抽斗が前記共有抽斗空間内納まっている際に前記仕切板の前記後退部に対向する部分及び該前板が少なくとも透明である、
ことを特徴とする机システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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