説明

【課題】設置スペースやコストの問題を招来することがなく、脱いだ衣服等の物品を見栄え良く収納すること。
【解決手段】後脚フレーム20及び前脚フレーム30によって支持された天板1の下方に収納棚10を備え、この収納棚10よりも下方となる部位に、外部から物品の出し入れが可能となるネット50を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机に関するもので、特に、小学校や中学・高等学校等の教育施設で用いられる机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小学校や中学・高等学校等の教育施設で用いられる机としては、左右の脚部フレームの間に天板を支持したものが一般的である。天板の下方には、手前側が開放した収納棚が設けられており、その内部に教科書やノート等の文具を収納させることが可能である。また、天板の側面にはフックが設けられており、鞄や帽子を係止させておくことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、更衣室が完備されていない教育施設においては、体育の時間に着替えた衣服を収納する場所がない。生徒が個別に使用する備品としては机があるが、上述したように、収納棚やフック以外に物品の収納領域がないのが多数である。このため、生徒は、机の上に脱いだ衣服を置いているのが実情である。
【0005】
しかしながら、机の上の衣服が綺麗に折り畳まれていることは稀であり、外観上、見苦しさがあるのは否めない。また、机のそばを通った際に机の上から衣服が床に落下する恐れもある。こうした問題は、収納ボックス等、新たな収納具を用意すれば解決することが可能である。しかしながら、新たな収納具を適用するには、設置するためのスペースが必要となるばかりか、多大なコストが必要になるという問題を招来することになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、設置スペースやコストの問題を招来することがなく、脱いだ衣服等の物品を見栄え良く収納することのできる机を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る机は、脚部によって支持された天板よりも下方となる部位に、外部から物品の出し入れが可能となるネットを配設したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述した机において、前記天板の下方には、該天板との間に物品を収容する収納棚を備え、この収納棚の下方に前記ネットを配設したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述した机において、前記脚部は、前記天板の左右となる部位に前脚フレーム及び後脚フレームを備え、これら前脚フレーム及び後脚フレームに前記ネットを着脱可能に支持する係止フックを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した机において、前記係止フックは、前記前脚フレームと前記後脚フレームとの互いに対向する部位から他方の脚部に向けて突出させたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した机において、前記後脚フレームは前記天板の後端部から下方に向けて延在し、かつ前記前脚フレームは前記天板の前端縁と前記後脚フレームとの間となる部位から下方に向けて延在したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天板の下方に配設したネットに物品を収納させておくことができるため、外観上の問題や物品が落下する等の問題を招来する恐れがない。しかも、天板の下方にネットを配設すれば良いため、新たな設置スペースが必要となることもなく、安価に物品を収納することができる。
【0013】
また、本発明によれば、収納棚の下方にネットを配設しているため、収納棚による収納スペースを確保しつつ、ネットによる収納スペースを追加することができる。
【0014】
また、本発明によれば、前脚フレーム及び後脚フレームにネットを着脱可能に支持する係止フックを備えるようにしているため、不必要時にネットを取り外すことができる。
【0015】
また、本発明によれば、係止フックが前脚フレームと後脚フレームとの互いに対向する部位から他方の脚部に向けて突出してあり、天板の外方側及び内方側のいずれの方向にも突出する構成にないため、係止フックが椅子に座ったものや机の傍らを通過するものに引掛かる恐れがない。
【0016】
また、本発明によれば、天板が前脚フレームよりも手前側に突出し、後脚フレームと前脚フレームとに係止させたネットが天板の下方においてその後端側部分にのみネットが配設されることになる。従って、着座時においてネットが邪魔になる事態を可及的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である机を下方から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した机の側面図である。
【図3】図3は、図1に示した机の平面断面図である。
【図4】図4は、図1に示した机に適用するネットの外観図である。
【図5】図5は、図1に示した机に椅子をセットした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る机の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1〜図3は、本発明の実施の形態である机を示したものである。ここで例示する机は、小学校や中学・高等学校等の教育施設において生徒が使用することを目的として構成したもので、天板1を備えている。
【0020】
天板1は、表面を平坦に構成した矩形の板状を成す部材である。この天板1の裏面には、収納棚10が設けてある。収納棚10は、縦横の長さを天板1よりも小さく構成した矩形の板状を成し、かつ左右の両側端縁及び後端縁にそれぞれ周壁部10a,10b,10cを有したもので、各周壁部10a,10b,10cの上端部を介して天板1の裏面に取り付けることにより、天板1の裏面との間に物品の収容空間11を構成している。この収容空間11は、天板1の手前側に位置する端部が常時開放しており、この開放された開口を介して内部に物品を出し入れすることが可能である。また、天板1の裏面には、図1及び図2に示すように、その両側に左右一対の後脚フレーム20及び前脚フレーム30が取り付けてある。
【0021】
後脚フレーム20は、それぞれ天板1の後端隅部から下方に向けて延在する主後脚部21と、主後脚部21の下端部から前方に向けて屈曲した接地部22とを一体に成形したもので、主後脚部21の上端部を介して天板1の裏面に固定してある。後脚フレーム20の接地部22は、天板1の上下方向に沿った寸法とほぼ等しい長さに形成してあり、その後端部の下面及び前端部の下面にそれぞれカバー部材23を備えている。カバー部材23は、机を接地した際に床面に当接する部分である。後脚フレーム20の相互間には、連結フレーム24が設けてある。連結フレーム24は、主後脚部21において収納棚10よりも下方となる部位に水平方向に沿って配設したもので、後脚フレーム20の間を互いに連結している。
【0022】
前脚フレーム30は、それぞれ天板1の前後方向略中央となる部位から下方に向けて延在する主前脚部31と、主前脚部31の下端部から前方に向けて屈曲した連結部32とを一体に成形したもので、主前脚部31の上端部を介して天板1の裏面に固定してある。前脚フレーム30の連結部32は、接地部22よりも長さが小さく形成してあり、互いの先端の位置をほぼ合致させた状態で接地部22の上部に連結してある。
【0023】
これら後脚フレーム20及び前脚フレーム30には、係止フック40が設けてある。係止フック40は、後脚フレーム20の主後脚部21及び前脚フレーム30の主前脚部31において収納棚10の下面よりも下方となる高さ位置に取り付けたものである。それぞれの係止フック40は、一旦径外方向に突出した後、屈曲して上方に延在している。本実施の形態では、図1及び図3に示すように、主後脚部21及び主前脚部31の互いに対向する部位から他方に向けて係止フック40が突設してある。つまり、係止フック40は、主後脚部21及び主前脚部31からは、天板1の外方側及び内方側のいずれの方向にも突出する構成にない。
【0024】
一方、この机には、図1〜図3に示すように、ネット50が用意してある。ネット50は、後脚フレーム20及び前脚フレーム30の相互間隔と同等の幅を有し、かつ後脚フレーム20の相互間隔と同等の長さを有したほぼ矩形の薄幕状を成すものである。本実施の形態では、図4に示すように、繊維によって構成したもので、薄く、かつ軽量であるとともに、折り畳んだり、丸めたりと、任意の形状に変形させることが可能である。ネット50の周囲には、ネット50が平坦状となった形状を安定化させるために、その全周に渡って布製の補強帯51が付設してある。ネット50の四隅部には、係止リング52が設けてある。係止リング52は、補強帯51と同様に、比較的強度を有した布によって環状に形成したもので、ネット50の四隅部においてそれぞれ補強帯51に縫い付けてある。
【0025】
上記のように構成した机では、図1〜図3に示すように、四隅部の係止リング52をそれぞれ係止フック40に引掛ければ、収納棚10よりも下方となる部位であって、収納棚10の後端側部分に対応する部位にネット50を配設することができる。ネット50は、四隅部が係止リング52及び係止フック40を介して後脚フレーム20の主後脚部21及び前脚フレーム30の主前脚部31に支持され、ほぼ水平に沿って平坦状に配置された状態にある。従って、外部からネット50の上面に物品を差し入れれば、当該物品をネット50の上面に載置した状態で収納させることが可能となる。
【0026】
ネット50の上面に収納された物品は、天板1及び収納棚10によって上方が覆われた状態にあり、外部から容易に視認できる状態にない。また、ネット50の上面に収納された物品は、机の傍らを通過する通行人が接触することもなく、収納位置がずれる恐れもない。従って、例えば更衣室が完備されていない教育施設において、体育の時間に着替えた衣服をネット50の上面に収納させておけば、仮にきちんと折り畳んでない状態であっても、外観上の見苦しさを招来することはなく、床に落下する恐れもない。しかも、上述のネット50は、天板1の下方に配設すれば良いため、新たな設置スペースが必要となることもなく、安価に物品を収納することができる。さらに、ネット50は通気性に優れているため、収納している間に衣服が蒸れることもない。
【0027】
図5に示すように、ネット50を配設したままの状態では、椅子100の座面からの距離を十分に確保することができないため、椅子100に座った場合に膝がぶつかる恐れがある。しかしながら、ネット50及びこれに収納した衣服は、膝に触れた部分が適宜変形したり、移動したりすることができるため、膝が怪我する恐れは全くない。しかも、椅子100に座る場合には、係止リング52を係止フック40から取り外せば、ネット50を取り外すことができ、椅子100の座面からの距離を確保することができるようになり、膝がぶつかる事態を未然に防止できる。さらに、取り外したネット50は、丸めたり、折り畳んだ状態とすることができるため、収納棚10によって構成した収納空間に収納させておけば、紛失する恐れもない。さらに、丸めたり、折り畳んだネット50は、鞄に入れることも可能であり、自宅に持ち帰って簡単に洗濯することもできる。
【0028】
また、上述した机によれば、係止フック40を主後脚部21及び主前脚部31の互いに対向する部位から他方に向けて突設し、天板1の外方側及び内方側のいずれの方向にも突出する構成にないため、係止フック40が椅子100に座ったものや机の傍らを通過するものに引掛かる恐れがない。
【0029】
尚、上述した実施の形態では、天板1の下方に収納棚10を有した机を例示しているが、必ずしも収納棚10を備えている必要はない。また、後脚フレーム20を天板1の後端部から下方に向けて延在し、かつ前脚フレーム30を天板1の前端縁と後脚フレーム20との間となる部位から下方に向けて延在することにより、天板1(収納棚10)の下方においてその後端側部分にのみネット50を配設するようにしているため、着座時においてネット50が邪魔になる事態を可及的に防ぐことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、後脚フレーム20を天板1の後端部から下方に向けて延在し、かつ前脚フレーム30を天板1の前端部から下方に向けて延在するとともに、天板1(収納棚10)と同等の大きさを有したネット50を用意し、これを天板1(収納棚10)の全面に対応する部位に配設しても構わない。さらに、天板1の前端側からネット50への物品の出し入れを考慮し、天板1(収納棚10)の前端側部分にのみネット50を配設しても構わない。
【0030】
また、上述した実施の形態では、広げた場合に平坦状となるネット50を適用しているが、本発明はこれに限らず、袋状を呈するものを適用しても良い。この場合、袋の開口を上方に有するものであっても良いし、前方に開口するように構成したものであっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 天板
10 収納棚
20 後脚フレーム
30 前脚フレーム
40 係止フック
50 ネット
52 係止リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部によって支持された天板よりも下方となる部位に、外部から物品の出し入れが可能となるネットを配設したことを特徴とする机。
【請求項2】
前記天板の下方には、該天板との間に物品を収容する収納棚を備え、この収納棚の下方に前記ネットを配設したことを特徴とする請求項1に記載の机。
【請求項3】
前記脚部は、前記天板の左右となる部位に前脚フレーム及び後脚フレームを備え、これら前脚フレーム及び後脚フレームに前記ネットを着脱可能に支持する係止フックを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の机。
【請求項4】
前記係止フックは、前記前脚フレームと前記後脚フレームとの互いに対向する部位から他方の脚部に向けて突出させたことを特徴とする請求項3に記載の机。
【請求項5】
前記後脚フレームは前記天板の後端部から下方に向けて延在し、かつ前記前脚フレームは前記天板の前端縁と前記後脚フレームとの間となる部位から下方に向けて延在したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−61257(P2012−61257A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209995(P2010−209995)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】