説明

枕カバー

【課題】高さ調整可能な枕を内包するための枕カバーであって、高さ調整部材の出し入れが容易であり、かつマチ幅を変更しても外観の美しさが損なわれない枕カバーを提供する。
【解決手段】枕本体2と高さ調整部材3とからなる高さ調整可能な枕を内包するための枕カバー1であって、枕本体2の上面を覆う本体部10と、枕本体2の下面又は高さ調整部材3の下面を覆う底部11と、本体部10と底部11の端縁同士を連結するマチ12とを備え、マチ12には、高さ方向に所定の距離αをおいて一対のファスナーエレメント13a,13bが水平方向に沿って延設されており、このファスナーエレメント13a,13b同士を噛合及び離脱させることでマチ幅を調整でき、一対のファスナーエレメント13a,13bの間の調整マチ部14に、高さ調整部材3を出し入れするための挿入口15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕カバーに関し、特に高さ調整可能な枕を内包するための枕カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の好みや体調等に応じて、高さを調整可能な枕としては、種々の構成のものが提案されている。下記の特許文献1には、枕本体部と高さ調整部材及び袋体より構成され、高さ調整部材の形状は枕本体部の下面と略同一形状を成し、高さ調整部材上に枕本体部を載せた形態で袋体に挿入され、高さ調整部材は、袋体より出し入れ可能とした枕が記載されている。
【0003】
従来、このような高さ調整可能な枕用の枕カバーにおいては、高さ調整部材を取り除いた場合に、マチにだぶつきが生じ、枕全体の形状や外観の美しさが損なわれる状態となっていた。また、枕の高さを低くした際に、マチ幅を縮められるようにマチの上下にファスナーを設けた枕カバーも存在するが、ファスナーの端部は固定される形状になっており、マチ幅を広げて枕の高さを高くする場合、ファスナーの端部が引っ張られる状態となってしまい、外観上好ましくない。
【0004】
下記の特許文献2にも、上面を頭部受面とした枕本体と、枕本体の下側に着脱可能に装着される板状のベース体と、枕本体及びベース体を積み重ねた状態で収納可能な枕カバーとからなる枕が記載されている。枕本体にベース体を装着するか否かにより、高さの調整を容易に行うことができるとともに、ベース体を複数から構成し、枕本体に対する該ベース体の装着数を変更することで、高さ調整を数段階で行うことができる。
【0005】
特許文献2の枕カバーは、枕本体を収納して枕本体の上面を覆う本体部と、枕本体の下面又はベース体の下面を覆う蓋部とからなり、蓋部が伸縮性に富んだ素材から形成されているため、枕の高さが変化したとしても単一の枕カバーで対応できるようになっている。本体部と蓋部は、横方向における一方の端縁同士が縫合されているとともに、残りの三方の端縁部分にはファスナーが延設されており、本体部へ収納した枕本体の下側にベース体を装着したもとでファスナーを閉めると、蓋部は、ベース体の下面及び側面に密着するように引き伸ばされ、枕本体及びベース体を収納できる。
【0006】
しかし、特許文献2の枕カバーは、枕の高さ変化に対応するためには非常に伸縮性が高い素材で蓋部を形成しなければならず、ベース体を枕本体に装着した状態でのファスナーの開閉は容易ではない。さらに、高さ調整用に設けられたファスナーは、使用者が寝ている間に毛髪がファスナーに絡まり、不快感が発生するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−70094号公報
【特許文献2】特開2007−7432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高さ調整可能な枕を内包するための枕カバーであって、高さ調整部材の出し入れが容易であり、かつマチ幅を変更しても外観の美しさが損なわれない枕カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係る枕カバーは、枕本体と高さ調整部材とからなる高さ調整可能な枕を内包するための枕カバーであって、前記枕本体の上面を覆う本体部と、前記枕本体の下面又は前記高さ調整部材の下面を覆う底部と、本体部と底部の端縁同士を連結するマチとを備え、前記マチには、高さ方向に所定の距離をおいて一対のファスナーエレメントが水平方向に沿って延設されており、このファスナーエレメント同士を噛合及び離脱させることでマチ幅を調整でき、前記一対のファスナーエレメントの間の調整マチ部に、前記高さ調整部材を出し入れするための挿入口が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る枕カバーによれば、高さ調整部材を用いない場合、すなわち枕の高さが低い場合には、ファスナーエレメント同士を噛合させることでマチ幅を縮めることができる。このとき、ファスナーエレメントの間の調整マチ部は内側に収納されるため、マチがだぶつくことはなく、外観の美しさが損なわれない。一方、高さ調整部材を用いる場合、すなわち枕の高さが高い場合には、ファスナーエレメント同士を離脱させることでマチ幅を広げることができる。ファスナーエレメント同士を離脱させることで調整マチ部が外側に露出し、調整マチ部に形成された挿入口から枕カバーの中に高さ調整部材を容易に出し入れすることができる。
【0011】
本発明に係る枕カバーにおいて、前記調整マチ部は、伸縮性に富む素材で形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、挿入口から高さ調整部材をさらに容易に出し入れすることができる。さらに、調整マチ部が伸縮性に富むことで、高さ調整部材を用いて数段階に高さを調整する場合にも、マチがだぶつくことはなく、外観の美しさが損なわれない。
【0013】
本発明に係る枕カバーにおいて、前記マチには、前記ファスナーエレメントを上方から覆うフラップが形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ファスナーエレメント同士を噛合又は離脱させた状態において、使用者が寝ている間に毛髪がファスナーエレメントに絡まるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る枕カバーの一例を示す斜視図
【図2】高さ調整可能な枕の分解斜視図
【図3A】枕カバーが枕本体のみを内包した状態を示す模式図
【図3B】枕カバーが枕本体及び高さ調整部材を内包した状態を示す模式図
【図3C】枕カバーが枕本体及び高さ調整部材を内包した状態を示す模式図
【図4】枕カバーの別実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る枕カバーの一例を示す斜視図である。図2は、高さ調整可能な枕の分解斜視図である。
【0017】
枕カバー1は、枕本体2と高さ調整部材3とからなる高さ調整可能な枕を内包するためのものである。
【0018】
枕本体2は、略直方体状であり、頭部を受けるために上面の中央が少し凹んだ形状となっている。枕本体2は、例えば、横幅wが500〜700mm、奥行きdが300〜500mm、高さhが60〜100mm程度に設定されている。枕本体2の材質としては、適度な弾性を有するものや、使用感のよいもの等を適宜選択でき、例えば、軟質ポリウレタンフォーム全般、ラテックスフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡材料を用いることができる。なかでも、軟質ポリウレタンフォームが好ましく、更に低反発ポリウレタンフォームや吸放湿性に優れた軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
【0019】
高さ調整部材3は、枕本体2の下部に着脱することで枕の高さを調整するためのものである。高さ調整部材3は、平板状をしている。高さ調整部材3の上面及び下面は、枕本体2の下面と略同一形状となっている。本実施形態では、2枚の高さ調整部材3を使用しており、枕本体2の下部に配置する高さ調整部材3の数を変更することで、枕の高さ調整を数段階で行うことができる。各高さ調整部材3の高さh1は15mmに設定されている。高さ調整部材3の材質としては、例えば、軟質ポリウレタンフォーム全般、ラテックスフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡材料を用いることができる。なかでも、軟質ポリウレタンフォームが好ましく、更に高さ調整に適した高硬度軟質ポリウレタンフォームを用いることが好ましい。
【0020】
枕カバー1は、枕本体2の上面を覆う本体部10と、枕本体2の下面又は高さ調整部材3の下面を覆う底部11と、本体部10と底部11の端縁同士を連結するマチ12とを備えている。マチ12は、枕本体2及び高さ調整部材3の側面を覆う。
【0021】
枕カバー1の材質は、使用感等を考慮して適宜選択可能であるが、例えば、綿、羊毛等の天然繊維や、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン等の化学繊維を使用したストレッチ素材、起毛素材、タオル素材、パイル織素材等を使用することができる。
【0022】
マチ12には、高さ方向に所定の距離αをおいて一対のファスナーエレメント13a,13bが水平方向に沿って延設されている。ファスナーエレメント13a,13bは、水平方向の全周にわたってそれぞれ設けられている。この一対のファスナーエレメント13a,13b同士は、噛合及び離脱可能となっている。本発明の一対のファスナーエレメント13a,13bは、離脱状態では上下に完全に分けられる、いわゆるオープンファスナーとなっている。ファスナーエレメント13a,13bをマチ12に設ける位置は、適宜設定可能であるが、本実施形態では、上方のファスナーエレメント13aをマチ12の上端縁に、下方のファスナーエレメント13bをマチ12の下端縁にそれぞれ設けている。
【0023】
ファスナーエレメント13a,13bには、それぞれ接続始点部130a、130bが設けられており、ファスナーエレメント13bには、ファスナーエレメント13bに沿って移動可能なスライダー131が設けられている。スライダー131は、ファスナーエレメント13a及びファスナーエレメント13bを噛合せる機能を有しており、スライダー131を接続始点部130bに待機させた状態で、接続始点部130aをスライダー131の胴体に挿入した後、スライダー131を移動させることにより、ファスナーエレメント13a及びファスナーエレメント13bを噛合せることができる。ファスナーエレメント13a及びファスナーエレメント13bを噛合させた状態から、スライダー131を逆方向に移動させることにより、ファスナーエレメント13a及びファスナーエレメント13bを離脱させることができる。
【0024】
本発明の枕カバー1は、ファスナーエレメント13a,13b同士を噛合及び離脱させることでマチ幅を調整できる。すなわち、ファスナーエレメント13a,13bを噛合させることで、ほぼ距離αだけマチ幅を縮めることができる。
【0025】
ファスナーエレメント13aとファスナーエレメント13bの間の調整マチ部14は、伸縮性に富む素材で形成されていることが好ましい。調整マチ部14は、枕カバー1の調整マチ部14以外の部分よりも伸縮性に優れるほうが良い。調整マチ部14は、高さ方向に最大で200%以上伸びるように構成されるのが好ましい。調整マチ部14の材質としては、ポリエステル等の化学繊維を使用したストレッチ素材を使用することができる。
【0026】
また、調整マチ部14には、高さ調整部材3を出し入れするための挿入口15が形成されている。挿入口15は、奥行き方向の端面であって、枕の使用状態において使用者から遠い側の調整マチ部14に形成される。挿入口15は不図示のファスナーにより開閉することができる。
【0027】
枕の高さに合わせて枕カバー1のマチ幅を調整する方法を、図3A〜図3Cを用いて説明する。図3Aは、枕カバー1が枕本体2のみを内包した状態を示す。このとき、ファスナーエレメント13a,13b同士を噛合させることでマチ幅を縮めている。ファスナーエレメント13a,13b同士を噛合させた状態では、調整マチ部14は枕カバー1の内側に収納されるため、マチ12がだぶつくことはない。
【0028】
図3Bは、枕カバー1が枕本体2と1枚の高さ調整部材3を内包した状態を示す。図3Aの状態から枕の高さを高くしたい場合、まず、ファスナーエレメント13a,13b同士を離脱させる。これにより、調整マチ部14の高さだけマチ幅を広げることができる。次いで、調整マチ部14に形成された挿入口15から枕カバー1の中に高さ調整部材3を1枚挿入する。高さ調整部材3を挿入後、挿入口15は不図示のファスナーで閉じる。
【0029】
図3Cは、枕カバー1が枕本体2と2枚の高さ調整部材3を内包した状態を示す。図3Bの状態からさらに枕の高さを高くしたい場合、挿入口15からさらに1枚の高さ調整部材3を挿入すればよい。このとき、高さ調整部材3を追加で挿入しても、調整マチ部14は、伸縮性に富む素材で形成されているため、調整マチ部14が伸びることでマチ幅を広げることができる。
【0030】
<別実施形態>
(1)マチ12には、ファスナーエレメント13a,13bを上方から覆うフラップが形成されていることが好ましい。図4は、ファスナーエレメント13a,13bの周辺を拡大して示す断面図である。図に示すように、ファスナーエレメント13a,13bを上方からそれぞれ覆うフラップ16a,16bが、マチ12から下方へ向かって突出するように形成されている。フラップ16bは、少なくともファスナーエレメント13bを覆う大きさであればよいが、フラップ16aは、ファスナーエレメント13a,13b同士を噛合させた状態で両者を完全に覆う大きさとするのが好ましい。
【0031】
(2)前述の実施形態では、高さ調整部材3を2枚用いる例を示したが、この高さ調整部材3の枚数はこれに限定されず、3枚以上であってもよい。このとき、各高さ調整部材3の高さを低く設定することで、枕の高さを細かく段階的に調整できる。さらに、複数の高さ調整部材3の高さは、すべて同じである必要はなく、それぞれ異ならせてもよい。
【0032】
(3)枕本体2と高さ調整部材3は、枕カバー1とは別に、通気性の高い袋体を別途準備し、この袋体に枕本体2と高さ調整部材3を各々収納してもよい。これにより、枕本体2と高さ調整部材3とが密着するのを防止できると共に、枕カバー1へ収納する際に適度に滑って挿入しやすくなる。枕本体2を収納する袋体の材質としては、例えばメッシュ生地が好ましく、高さ調整部材3を収納する袋体の材質としては、例えばメッシュ生地が好ましい。
【符号の説明】
【0033】
1 枕カバー
2 枕本体
3 調整部材
10 本体部
11 底部
12 マチ
13a ファスナーエレメント
13b ファスナーエレメント
14 調整マチ部
15 挿入口
16a フラップ
16b フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕本体と高さ調整部材とからなる高さ調整可能な枕を内包するための枕カバーであって、
前記枕本体の上面を覆う本体部と、前記枕本体の下面又は前記高さ調整部材の下面を覆う底部と、本体部と底部の端縁同士を連結するマチとを備え、
前記マチには、高さ方向に所定の距離をおいて一対のファスナーエレメントが水平方向に沿って延設されており、このファスナーエレメント同士を噛合及び離脱させることでマチ幅を調整でき、
前記一対のファスナーエレメントの間の調整マチ部に、前記高さ調整部材を出し入れするための挿入口が形成されていることを特徴とする枕カバー。
【請求項2】
前記調整マチ部は、伸縮性に富む素材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の枕カバー。
【請求項3】
前記マチには、前記ファスナーエレメントを上方から覆うフラップが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の枕カバー。




【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42856(P2013−42856A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181597(P2011−181597)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003425)株式会社東洋クオリティワン (18)
【Fターム(参考)】