説明

架構の歩廊構造

【課題】ケーブルダクトに対する仮設の足場を不要にし、しかも歩廊を片持ち状に支持する梁の負荷を軽減した、架構の歩廊構造を提供する。
【解決手段】架構1の側部に沿ってその外方に延出して設けられた歩廊2を有する架構の歩廊構造である。架構1に片持ち状に設けられて架構1の側部から延出する複数の第1の梁6と、第1の梁6の外側端部上に架け渡されて第1の梁6間を連結する第2の梁7とを有する支持梁5と、第2の梁7と架構1側との間に架け渡された歩廊2とを備える。歩廊2と第1の梁6との間にケーブルダクト11が配設されている。歩廊2は少なくとも一部が開閉可能に形成されている。第2の梁7は、調整材9と梁本体10とを有し、調整材9は梁本体10の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構の歩廊構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばLNGやLPG等の低温タンクのプラント設備では、各種配管や計器、計装、電気配線等をまとめて収容するケーブルダクトが、架構上に直接据付けられ、あるいはダクトサポートに収容されて架構上に配置されている。このような架構では、各種メンテナンス等を行う必要上、架構の側部の外方に延出して歩廊が設けられている。
【0003】
このような架構においては、ケーブルダクト内の配管や配線等を増設したり、ケーブルダクトを新設したり、あるいは計器や計装等のメンテナンスを行う場合に、架構上に配置されたケーブルダクトに対して歩廊からのアクセスを可能にするため、新たに仮設の足場を組む必要がある。しかし、このように増設や新設、メンテナンスのたびに歩廊からケーブルダクトまで足場を組むのでは、工事が大がかりとなり、時間的にもコスト的にもロスが多くなるため、その改善が求められている。
【0004】
特許文献1には、屋上に設けられた配管(空調用配管)を収容した配管カバー設備の上に、歩廊を設けた技術が開示されている。また、特許文献2には、空調用配管や電気ケーブル等の配管を集合状態で配設する場合において、点検者が歩行可能な歩廊用として用いられる直線型の化粧ダクトが開示されている。さらに、特許文献3には、歩廊の下方空間を利用して構成されたダクト部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−158618号公報
【特許文献2】特開2008−32080号公報
【特許文献3】特開2001−141263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、前記架構においても、ケーブルダクトを歩廊の下方に配置することで、増設や新設、メンテナンスのたびに歩廊からケーブルダクトまで足場を組む必要を無くし、時間的、コスト的なロスを抑えることが考えられる。
しかしながら、前記架構における歩廊は、架構の側部の外方に延出して配置されており、したがって架構に片持ち状に設けられた梁上に形成されているため、このような歩廊の下方にケーブルダクトを配置すると、前記梁への負荷が増大し、配置するケーブルダクトの重さや歩廊上への機材の持ち込みが制限されてしまう。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ケーブルダクトに対する仮設の足場を不要にし、しかも歩廊を片持ち状に支持する梁の負荷を軽減した、架構の歩廊構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の架構の歩廊構造は、架構の側部に沿って該側部の外方に延出して設けられた歩廊を有する架構の歩廊構造であって、
前記架構に片持ち状に設けられて該架構の側部から延出する複数の第1の梁と、該第1の梁の外側端部上に架け渡されて該第1の梁間を連結する第2の梁とを有する支持梁と、
前記支持梁の前記第2の梁と前記架構側との間に架け渡された歩廊と、を備え、
前記歩廊と前記第1の梁との間にケーブルダクトが配設され、
前記歩廊は、該歩廊上から前記ケーブルダクトに対する処理が可能となるように、少なくとも一部が開閉可能に形成され、
前記第2の梁は、高さ調整を行う調整材と前記第1の梁の外側端部上に架け渡される梁本体とを有し、前記調整材は前記梁本体の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記架構の歩廊構造において、前記支持梁は、前記架構の側部と前記第2の梁との間に、前記第1の梁の中間部上に架け渡されて該第1の梁間を連結する第3の梁を有しており、前記歩廊は、前記支持梁の前記第3の梁と前記架構側との間に架け渡された第1の歩廊と、前記第2の梁と前記第3の梁との間に架け渡された第2の歩廊と、を有し、これら第1の歩廊および第2の歩廊は、該歩廊上から前記ケーブルダクトに対する処理が可能となるように、少なくとも一部が開閉可能に形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記架構の歩廊構造において、前記第3の梁は、高さ調整を行う調整材と前記第1の梁の外側端部上に架け渡される梁本体とを有し、前記調整材は前記梁本体の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の架構の歩廊構造によれば、歩廊と第1の梁との間にケーブルダクトを配設し、歩廊を、該歩廊上から前記ケーブルダクトに対する処理が可能となるように、少なくとも一部を開閉可能に形成しているので、歩廊の一部を開くことで歩廊上からケーブルダクトに対する処理を直接行うことができる。したがって、ケーブルダクトについての増設や新設、メンテナンスのたびに仮設の足場を組む必要を無くなり、時間的、コスト的なロスを無くすことができる。
【0012】
また、第1の梁の外側端部上に架け渡した第2の梁を調整材と梁本体とで形成し、調整材を、梁本体の長さ方向に沿って連続させることなく不連続に複数配置しているので、調整材を梁本体に比べて部分的に間引くことで第2の梁を軽量化することができる。したがって、片持ち状に形成される第1の梁の外側にかかる負荷を軽減し、支持梁上に配置するケーブルダクトの重さや歩廊上への機材の持ち込みなどの制限を大幅に緩めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る架構の歩廊構造の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の要部斜視図である。
【図3】(a)は支持梁の平面図、(b)は第2の梁の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る架構の歩廊構造を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明に係る架構の歩廊構造の一実施形態を示す図であり、図1中符号1は、架構、2は歩廊である。架構1は、本実施形態ではLNG等の低温タンクのプラント設備に設けられたもので、柱や梁、ブレース等によって組み立てられた骨組みからなっている。架構1を形成する柱や梁等は、例えばH形鋼やI形鋼からなっている。
【0015】
架構1は、例えばLNG等の低温タンク(図示せず)の近傍に配置されたもので、該低温タンクに接続する配管3や各種制御系の計装類(図示せず)等を、梁4上に配置している。配管3としては、LNG等の貯蔵物を低温タンクに供給しまたは排出するためのものや、窒素等の不活性ガスの供給を行うためのものなどがある。また、これら配管3や前記した各種制御系の計装類(図示せず)等には、分岐して設けられた配管や、計装類に付随する計器類、さらには電力線(パワーケーブル)等の各種配線などが接続されており、これらは一括して後述するケーブルダクトに収容されている。
【0016】
なお、従来では、ケーブルダクトは架構1の最上部の梁4a上に配置されており、したがって歩廊2から直接アクセスすることができず、必要時に仮設の足場を組んで対処していた。
架構1の側部には、該側部に沿って該側部の外方に延出して歩廊2が設けられている。歩廊2は、図2に示すように支持梁5上に配置されたもので、多数のグレーチィングGが並列配置されて形成されている。
【0017】
支持梁5は、図3(a)に示すように架構1に片持ち状に設けられて該架構1の側部から延出する複数の第1の梁6と、該第1の梁6の外側端部上に架け渡されて該第1の梁6、6間を連結する第2の梁7とを有して形成されている。また、本実施形態では、支持梁5は架構1の側部と第2の梁7との間に、第1の梁6の中間部上に架け渡されて該第1の梁6、6間を連結する第3の梁8を有している。
【0018】
第1の梁6、第3の梁8は、本実施形態ではH形鋼やI形鋼からなっている。ただし、リップみぞ形鋼等の軽量形鋼からなっていてもよい。
第2の梁7は、図3(b)に示すように高さ調整を行う調整材9と、これら調整材9上に配置された梁本体10とを有して構成されている。梁本体10は、本実施形態では調整材9を介して第1の梁6の外側端部上に架け渡されたもので、架構2の側部に沿って配置され、したがって第1の梁6に直交して配置されて、これら第1の梁6、6間を連結するように構成されている。このような梁本体10は、H形鋼やI形鋼、あるいはリップみぞ形鋼等の軽量形鋼からなっている。
【0019】
調整材9は、例えば図3(b)に示すような軽量形鋼であるリップみぞ形鋼によって形成されたもので、梁本体10の長さ方向に沿って連続することなく、不連続な状態で複数配置されている。すなわち、調整材9は、リップみぞ形鋼がその長さ方向に短く切断され、切断された各パーツ9aが第1の梁6上に固定されており、これら各パーツ9aが全ての第1の梁6上に配置固定されたことによって形成されている。
【0020】
このような構成からなる調整材9は、第1の梁6と歩廊2との間の間隔を所望の間隔にするべく、第1の梁6と梁本体10との間に配置されたものである。すなわち、第2の梁を梁本体10のみで構成しようとした場合、梁本体10は長さ方向に連続しているためその重量が重くなり、したがって架構1に片持ち状に設けられた第1の梁6に対して大きな負荷(荷重)を与えてしまう。そこで、本実施形態では、第2の梁7を梁本体10と調整材9とで構成し、調整材9を複数のパーツ9aで構成するとともに、これら複数のパーツ9aを連続させることなく不連続に配置している。このようにパーツ9a間を間引いた調整材9を用いることで、第2の梁7全体の軽量化を図り、第1の梁6に対する負荷を軽減している。
【0021】
第2の梁7の高さ、すなわち調整材9と梁本体10の高さとの和は、200mm〜300mm程度とされる。なお、この第2の梁7の高さ位置(高さレベル)は、架構1の高さ位置(高さレベル)と同じになるように、予め第1の梁6の高さ位置(高さレベル)が設定されている。第1の梁6に対する調整材9の連結、固定は、ボルト止め及び溶接によってなされている。また、調整材9に対する梁本体10の連結、固定も、同様にボルト止め及び溶接によってなされている。
【0022】
第3の梁8は、図2、図3(a)に示すように架構1の側部と第2の梁7との間をほぼ2等分する位置に配置されたもので、本実施形態では前記したようにH形鋼やI形鋼等からなっている。この第3の梁8は、前記梁本体10と同様に架構2の側部に沿って配置され、したがって第1の梁6に直交して配置されて、これら第1の梁6、6間を連結するように構成されている。第3の梁8の第1の梁6に対する連結、固定も、ボルト止め及び溶接によってなされている。なお、第3の梁8は、その高さが前記第2の梁7の高さと同じに形成されている。
【0023】
第1の梁6上には、架構1の側部に沿って、すなわち第2の梁7や第3の梁8の長さ方向に沿ってケーブルダクト11が配設されている。本実施形態では、架構1の側部と第3の梁8との間、および第3の梁8と第2の梁7との間にそれぞれケーブルダクト11が配設されている。
【0024】
ケーブルダクト11は、図2に示すようにケース状のダクトトレイ12とこれの開口を覆う蓋13とからなるもので、前述したように内部に各種配管や、計器類、計装類、さらには各種配線などが収容されている。具体的には、前記配管3から分岐した配管(図示せず)や、圧力計、温度計等の計器類、さらには各種制御装置などの計装類や、電力線(パワーケーブル)などの各種配線が収容されている。
【0025】
ダクトトレイ12は、内部の収容空間を連続させるべく、架構1の側部に沿って連続して形成されている。一方、蓋13は、所望の箇所のみを開けて内部に収容された配管等の収容物に対する処理を可能にするため、ダクトトレイ12の長さ方向において多数に分割されて形成されている。すなわち、蓋13は、ダクトトレイ12の長さ方向において、50cm〜1m程度の長さで独立して開閉可能に形成された多数の蓋パーツ(図示せず)からなっており、これら蓋パーツが隙間なくダクトトレイ12の長さ方向に配置されている。このような構成により、ダクトトレイ12は所望する箇所のみを開けて内部の収容物に対する処理が行えるようになっている。
【0026】
なお、ダクトトレイ12は例えばボルトによって第1の梁6に着脱可能に固定されている。また、蓋13には各蓋パーツ毎に取っ手(図示せず)が設けられており、取っ手によって蓋パーツの開閉を容易に行えるようになっている。ケーブルダクト11は、その高さが例えば100mm〜150mm程度であり、したがって第2の梁7や第3の梁8の高さより充分に低くなっている。これにより、ケーブルダクト11は第1の梁6と歩廊2との間に形成される収容空間内に、支障なく収容されている。
【0027】
なお、本実施形態では前記したように第1の梁6上に直接ケーブルダクト11を配置するようにしたが、例えば第1の梁6上に薄い鉄板やグレーチィングを載置固定し、その上にケーブルダクト11を配置するようにしてもよい。第1の梁6上に鉄板やグレーチィングを配置することで、ケーブルダクト11に対して処理を行った際に、誤って工具や蓋パーツ等を落下させてしまうことを防止することができる。なお、蓋パーツについては、ダクトトレイ12に対して蝶番で連結しておくのが好ましく、このように構成することで、その落下を防止することができる。
【0028】
歩廊2は、前述したように多数のグレーチィングが並列配置されて形成されたもので、本実施形態では、図2に示すように第3の梁8と架構1との間に架け渡された第1の歩廊2aと、第2の梁7と第3の梁8との間に架け渡された第2の歩廊2bとからなっている。すなわち、本実施形態の歩廊2は、架構1側に配設されたケーブルダクト11に対応する第1の歩廊2aと、第2の梁7側に配設されたケーブルダクト11に対応する第2の歩廊2bとからなっている。
【0029】
これら第1の歩廊2a、第2の歩廊2bはいずれも、その長さ方向、すなわち架構1の側部に沿って多数のグレーチィングGが並列配置されて形成されている。グレーチィングGは、鋼材を格子状に組んで形成された矩形状のもので、本実施形態では長さ1000mm、幅400mm程度、重さ10kg程度に形成されている。これらグレーチィングGは、架構1や第3の梁8、第2の梁7にボルト止めされたことにより、着脱可能に固定されている。
【0030】
したがって、これらグレーチィングGは、ボルトを外すことで支持梁5側から取り外すことができ、これによって開くこと、つまり開閉が可能になっている。
また、これらグレーチィングGは、例えば一方の側が蝶番によって第3の梁8に固定され、開閉可能に構成されていてもよく、あるいは、他方の側が蝶番によって架構1や第2の梁7に固定され、開閉可能に構成されていてもよい。
【0031】
このように各グレーチィングGはそれぞれ開閉可能になっているため、歩廊2上にいる作業者は、その下に配置されているケーブルダクト11に対する処理が可能になっている。すなわち、所望の位置のグレーチィングGを開くことで、その下のケーブルダクト11に対して、開いたグレーチィングGに隣接するグレーチィングG上から直接処理することが可能になっている。
【0032】
また、歩廊2の両側には、歩廊2からの落下を防止するための手摺り14が配設されている。これら手摺り14は、架構1の側部上、および第2の梁7の梁本体10上に配置され、ボルト止めや溶接によって固定されている。
【0033】
このような構成からなる架構の歩廊構造にあっては、歩廊2と第1の梁6との間にケーブルダクト11を配設し、歩廊2を、該歩廊2上からケーブルダクト11に対する処理が可能となるように開閉可能に形成しているので、歩廊2の一部を開くことで歩廊2上からケーブルダクト11に対する処理を直接行うことができる。したがって、ケーブルダクト11についてその収容物の増設や新設、メンテナンスの際に、仮設の足場を組むことなく、歩廊2上から直接目的とする処理を行うことができる。よって、仮設の足場を必要としていた従来に比べ、時間的、コスト的なロスを無くすことができる。
【0034】
また、第1の梁6の外側端部上に架け渡した第2の梁7を調整材9と梁本体10とで形成し、調整材9を、梁本体10の長さ方向に沿って連続させることなく不連続に複数配置しているので、調整材9を梁本体10に比べて部分的に間引くことで第2の梁7を軽量化することができる。したがって、片持ち状に形成される第1の梁6の外側にかかる負荷を軽減し、支持梁5上に配置するケーブルダクト11の重さや歩廊2上への機材の持ち込みなどの制限を大幅に緩めることができる。
【0035】
また、架構1の側部と第2の梁7との間に第3の梁8を設け、歩廊2を、第3の梁8と架構1側との間に架け渡された第1の歩廊2aと、第2の梁7と第3の梁8との間に架け渡された第2の歩廊2bとによって構成しているので、例えば第1の歩廊2a側のケーブルダクト11の所望箇所に対してメンテナンス等の処理を行いたい場合に、この所望箇所に対応するグレーチィングGを開き、開いたグレーチィングGに隣接するグレーチィングG上、すなわち第2の歩廊2b側のグレーチィングG上から、ケーブルダクト11の所望箇所に対して直接処理を行うことができる。したがって、所望箇所のケーブルダクト11に対して比較的近距離から処理を行うことができるため、処理を容易にしかも迅速に行うことができる。
【0036】
また、従来では架構1の最上部の梁4a上にケーブルダクト11を配置していたのに対し、本実施形態では歩廊2の下方にケーブルダクト11を配置しているので、例えば梁4上に配置していた配管3を最上部の梁4a上に配置することができるなど、梁4a上の空間を自由に有効利用することができる。したがって、架構1における各種配管等の設計自由度を高めることができる。
また、第3の梁8を設け、歩廊2の下にケーブルダクト11を2系統配置できるようにしたので、ケーブルダクト11内に収容する収容物を例えば配管系と配線系とを別にするなど適宜に分類分けすることにより、メンテナンス等の作業性を向上することができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、第3の梁8をH形鋼やI形鋼などからなる連続した梁としたが、この第3の梁8についても、第2の梁7と同様に高さ調整を行う調整材と、第1の梁6の中間部上に架け渡される梁本体とによって構成するとともに、調整材を、梁本体の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置して構成してもよい。このように調整材を梁本体に比べて部分的に間引くことで、第3の梁8についてもその軽量化を図ることができる。したがって、片持ち状に形成される第1の梁6にかかる負荷(荷重)を軽減し、支持梁5上に配置するケーブルダクト11の重さや歩廊2上への機材の持ち込みなどの制限を大幅に緩めることができる。
【0038】
また、第2の梁7やこれと同様に構成した場合の第3の梁8については、調整材9と梁本体10との位置関係を逆にして、第1の梁6側に梁本体10を配置し、その上に調整材9を配置してもよい。
また、本発明では、第3の梁8を配置することなく、したがって架構1と第2の梁7との間にグレーチィングGを架け渡すことにより、歩廊2を形成してもよい。
また、前記実施形態では、歩廊2を構成するグレーチィングGを架構1や第2の梁7などに対して着脱可能にし、これによって歩廊2を開閉可能としたが、例えばグレーチィングGに開閉可能な窓部を設け、この窓部を開けることでケーブルダクト11に対する処理を行えるようにしてもよい。
【0039】
また、前記支持梁5については、これを補強するため、図1中二点鎖線で示すように架構1の側部から斜めにブレース15を設け、該ブレース15の一端側で第1の梁6の外側端部を支持するようにしてもよい。
また、本発明の架構の歩廊構造は、低温タンクのプラント設備に設けられた架構に限定されることなく、低温タンク以外の各種のプラント設備や、各種の電気計装設備における架構の歩廊構造にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…架構、2…歩廊、2a…第1の歩廊、2b…第2の歩廊、5…支持梁、6…第1の梁、7…第2の梁、8…第3の梁、9…調整材、10…梁本体、11…ケーブルダクト、G…グレーチィング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架構の側部に沿って該側部の外方に延出して設けられた歩廊を有する架構の歩廊構造であって、
前記架構に片持ち状に設けられて該架構の側部から延出する複数の第1の梁と、該第1の梁の外側端部上に架け渡されて該第1の梁間を連結する第2の梁とを有する支持梁と、
前記支持梁の前記第2の梁と前記架構側との間に架け渡された歩廊と、を備え、
前記歩廊と前記第1の梁との間にケーブルダクトが配設され、
前記歩廊は、該歩廊上から前記ケーブルダクトに対する処理が可能となるように、少なくとも一部が開閉可能に形成され、
前記第2の梁は、高さ調整を行う調整材と前記第1の梁の外側端部上に架け渡される梁本体とを有し、前記調整材は前記梁本体の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置されていることを特徴とする架構の歩廊構造。
【請求項2】
前記支持梁は、前記架構の側部と前記第2の梁との間に、前記第1の梁の中間部上に架け渡されて該第1の梁間を連結する第3の梁を有しており、
前記歩廊は、前記支持梁の前記第3の梁と前記架構側との間に架け渡された第1の歩廊と、前記第2の梁と前記第3の梁との間に架け渡された第2の歩廊と、を有し、これら第1の歩廊および第2の歩廊は、該歩廊上から前記ケーブルダクトに対する処理が可能となるように、少なくとも一部が開閉可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の架構の歩廊構造。
【請求項3】
前記第3の梁は、高さ調整を行う調整材と前記第1の梁の外側端部上に架け渡される梁本体とを有し、前記調整材は前記梁本体の長さ方向に沿って連続することなく不連続に複数配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の架構の歩廊構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−104274(P2013−104274A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250743(P2011−250743)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)