説明

染毛剤組成物

【課題】染色性と色相持続性が向上し、毛髪損傷を緩和させることができる成分を含有する染毛剤組成物の提供。
【解決手段】緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを有効成分として含有する染毛剤組成物。単糖類は、炭水化物の単位体であり、多糖類(澱粉、セルロースなど)を酸または酵素で加水分解した時に生ずる糖類を意味する。より具体的には、上記単糖類は、ラムノース(rhamnose)、グルコース(glucose)、ガラクトース(galactose)、フルクトース(fructose)またはキシロース(xylose)であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物に関し、より詳細には、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク(芍薬)、蓮根(レンコン)及び旱蓮草(カンレンソウ)よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを有効成分として含有する染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤は、一般的に1剤と2剤を混合することによって、1剤に入っている染料間に酸化重合反応を起こすことによって、色を表す。また、2剤に入っている過酸化水素により毛髪にあるメラニン色素が分解され、毛髪を脱色させることによって、毛髪の地色を明るくして、さらに鮮明な色相が表現されることができる。
【0003】
染毛剤に使用される染料は、大きさが小さいため、毛髪の皮質層まで入ることができるが、酸化反応により重合体が形成されれば、毛髪内に入ることが難しくなる。このように染料が毛髪内に浸透する前に、重合反応を起こし、分子の大きさが大きくなれば、毛髪での染色性が低下し、染色後の持続性も低下するようになる。
【0004】
前述の問題を解決するために、染料の反応性を調節し、毛髪への浸透がよくできるようにするなどの方法を通じて染色性と持続性を向上させるための方法が提示されている。関連技術としては、特許文献1の「沒食子酸またはそのエステル誘導体を含有するケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物」及び特許文献2の「五倍子または旱蓮草を含有する酸化染色用染毛剤」などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許登録第1007469230000号公報
【特許文献2】大韓民国特許公開第10−2009−56200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これより、本発明者らは、染毛剤の染色性と色相持続性を向上させることができる方法について研究した結果、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とが、染色性向上、持続性向上及び毛髪損傷緩和効果に優れていることを知見し、本発明を完成した。
【0007】
したがって、本発明の目的は、染色性と色相持続性が向上し、毛髪損傷を緩和させることができる成分を含有する染毛剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する染毛剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への染着性を向上させて、染色性と色相持続性を向上させ、染色後に、染色時に発生する毛髪損傷を低減し、自然な染色を可能にする。また、組成物に多量含まれている各種ミネラル、ビタミン、タンパク質成分は、アレルギーや刺激を緩和させて、頭皮安定にも相当な効果があり、特有の香りがあり、嗅覚的にも楽しさを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを有効成分として含有する染毛剤組成物を提供する。
【0011】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の有効成分である緑茶多糖体(Green Tea Polysaccharides)は、緑茶(camellia sinensis)から由来する植物分類学上ツバキ目(theales)、ツバキ属(camellia)に属する木本性常緑樹であって、免疫機能、抗放射性、抗血液凝固、抗癌、抗HIV及び血糖降下作用などが報告されている。
【0012】
本発明の緑茶多糖体は、当業界に公知された方法によって収得されることができ、具体的な例として、粉砕された緑茶粉末から溶媒抽出工程で葉緑素及び低分子量ポリフェノールを除去した後、熱水抽出により得られた緑茶多糖体抽出液を減圧濃縮し、限外濾過で低分子量の遊離タンパク質を除去し、最終限外濾過濃縮液に沈殿反応を行い、沈殿された緑茶多糖体を真空乾燥し、パウダー形態の緑茶多糖体を収得する。
【0013】
本発明のヒノキは、ヒノキ科常緑喬木であって、高さが50m、直径が2m程度であり、ジュニパーとも言う。枝が水平に広がって、円錐形状の俊冠を形成し、樹皮は、赤褐色であり、縦に割れてはげる。真っ直ぐに成長し、木材の用途が非常に広く、主に建築材、土木材、船または彫刻材などに使用されている。
【0014】
本発明の有効成分であるヒノキ多糖体は、乾燥したヒノキ葉に水を添加した抽出液を減圧濃縮し、限外濾過で低分子量の遊離タンパク質を除去し、最終限外濾過濃縮液に沈殿反応を行い、沈殿されたヒノキ多糖体を真空乾燥し、パウダー形態のヒノキ多糖体を収得する。
【0015】
本発明の有効成分であるシャクヤク(Paeonia Lactiflora)は、ボタン科(Paeoniaceae)に属する品種であって、その栽培歴史が牡丹より古いものであり、漢方では根を洗った後に乾かしたもの、または沸いているお湯に浸してから取り出した後、乾かしたものをシャクヤクまたは白芍薬と言い、特にシャクヤクの根は赤芍薬と言い、シャクヤク根の皮をむいたものは白芍薬と言う。シャクヤクの効能と効果については、古くから研究されて来た。特にシャクヤクの根は、鎮痛、腹痛、吐血、貧血、打撲傷などの薬剤として使用され、化粧品原料として皮膚美白と抗酸化など多様な効能と効果を持っているものと知られていて、頭皮に保湿を提供し、毛髪成長を誘導し、痒さと頭垢を抑制する効能と効果を持っているものと知られている。
【0016】
本発明では、シャクヤクをよく乾かした後、粉砕機で粉砕して使用したが、水、有機溶媒、または有機溶媒と水との混合溶媒を使用して抽出した抽出物形態でも使用することができる。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して36〜39μmの平均粒子サイズを有する粉末を使用したが、このサイズに限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0017】
本発明の有効成分である蓮根は、スイレン科の多年生水草である蓮の根を言い、本発明では、乾かした蓮根を粉砕機で粉砕して製造した蓮根パウダー形態で使用することができる。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して、36〜39μmの平均粒子サイズを有する粉末を使用したが、このサイズに限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0018】
また、本発明では、蓮根を水または有機溶媒で抽出した抽出物として使用することもできる。上記有機溶媒は、エタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、エチルアセテート及びクロロホルムよりなる群から選択された1つ以上であることができ、または、これら有機溶媒と水との混合溶媒を使用することができる。また、上記蓮根抽出物は、濃縮し、蓮根濃縮液としても使用可能である。
【0019】
本発明の有効成分である旱蓮草(Eclipta prostrate)は、高さが10〜70cmであるキク科の一年性草本である。全草にニコチンとクマリン化合物であるウェデロラクトン(wedelolactone)がある。全草には、サポニン、ニコチン、タンニン、ビタミンA、エクリプチン(ecliptine)、多種のトリペン化合物(α−ターチエニルメタノール(α−terthienyl methanol)及びその酢酸エステルなど)を含有している。葉には、ウェデロラクトン、デメチルウェデロラクトン(demethylwedelolactone−7−glucoside)がある。
【0020】
本発明では、旱蓮草をよく乾燥した後、粉砕機で粉砕して使用したが、水、有機溶媒、または有機溶媒と水との混合溶媒を使用して抽出した抽出物形態で使用することもできる。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して、36〜39μmの平均粒子サイズを有する粉末を使用したが、この大きさに限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0021】
また、本発明での緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草は、粉末形態のものを使用することもでき、水または有機溶媒で抽出した抽出物の形態で使用することもできる。上記抽出に使用可能な有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、エチルアセテート及びクロロホルムよりなる群から選択された1種以上またはこれら有機溶媒と水の混合溶媒などがある。
【0022】
本発明の有効成分である炭水化物またはその誘導体は、一般的に炭素、水素、酸素で構成され、一般式は、Cn(H2O)nであって、1つの分子内に1個以上のアルコール基(−OH)と1個のアルデヒド基(−CHO)やケトン基(−CO−)を含有している化合物を意味するが、酸素原子数が一般式より1個少ないもの(デオキシリボースなど)、窒素原子を含有するもの(ジミノ糖など)、硫黄化合物を含有するもの(コンドロイチン硫酸など)をも含まれることができ、単糖類、少糖類、及び多糖類よりなる群から選択された1つ以上であることができる。
【0023】
上記で、単糖類は、炭水化物の単位体であり、多糖類(澱粉、セルロースなど)を酸または酵素で加水分解した時に生ずる糖類を意味する。より具体的に、本発明の一実施例において、上記単糖類は、ラムノース(rhamnose)、グルコース(glucose)、ガラクトース(galactose)、フルクトース(fructose)またはキシロース(xylose)であることができる。
【0024】
上記ラムノースの分子式は、C6125であり、天然に算出されるものは、主にL型であり、6−デオキシマンノースとも言う。
【0025】
上記グルコースの分子式は、C6126であり、代表的なアルデヒド基を有する六炭糖単糖類であり、下記化学式1のように表現されることができる。本発明の一実施例において、下記nは、1であることができる。
【0026】
【化1】

【0027】
上記ガラクトースは、アルデヒド基を有する六炭糖の1つであり、グルコースより甘口が少ない砂糖類型である。分子式は、C6126、化学式は、下記化学式2のように表現されることができる。本発明の一実施例において、下記nは、1であることができる。
【0028】
【化2】

【0029】
上記フルクトースは、六炭糖であり且つケトースであり、分子式は、C6126、化学式は、下記化学式3のように表現されることができる。本発明の一実施例において、下記nは、1であることができる。
【0030】
【化3】

【0031】
上記キシロースは、アルデヒド基を有する五炭糖であり、アルドペントースに属し、分子式は、C5105である。
上記少糖類は、オリゴ糖とも言い、単糖類がグリコシド結合をしたもので、2個の単糖よりなる二糖類から10個の単糖よりなる十糖類までの糖類を総称する。糖蛋白質と糖脂質においてその糖成分は、大部分少糖類に属する。より具体的に、本発明の一実施例において、上記少糖類は、ラクトース(lactose)、スクロース(sucrose)、またはマルトース(maltose)であることができる。本発明の他の一実施例において、上記少糖類は、三糖類であるラフィノース(raffinose)、または四糖類であるスタキオース(stachyose)を含むことができる。
【0032】
上記ラクトースは、乳糖とも言い、ガラクトースとグルコースよりなる二糖類である。分子式は、C122211で示すことができる。
【0033】
上記スクロースは、蔗糖とも言い、グルコースとフルクトースよりなる二糖類である。
【0034】
上記マルトースは、麦芽糖とも言い、2個の葡萄糖が結合されてなる二糖類であり、分子式は、C122211である。
【0035】
上記多糖類は、2個以上の単糖類がグリコシド結合し、大きい分子を作っている糖類をすべて含む。分子量は、数千から100万を超えるものまで多様であることができる。本発明の一実施例において、上記化学式1〜3において、nは、2〜100,000であることができる。
【0036】
本発明の一実施例において、上記多糖類は、構成糖が1種類である単純多糖類と、2種類以上の複合多糖類を含むことができる。具体的に、上記多糖類は、澱粉、グリコーゲン、セルロース、ヘミセルロース、またはペクチンを含む。より具体的に、上記多糖類は、グルコース重合体であるデキストラン(Dextran)若しくは澱粉(Starch)、キシロース重合体であるキシラン(Xylan)、フルクトース重合体であるイヌリン(inulin)若しくはレバン(levan)、またはガラクトース重合体であるガラクタン(Galactan)を含む。
【0037】
本発明による緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを有効成分として含有する染毛剤組成物は、毛髪への染着性を向上させて、染色性と色相の持続性が向上するだけでなく、毛髪損傷を緩和させることができ、染料による皮膚刺激緩和及び炎症予防または防止効果を有する。
【0038】
また、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する組成物は、染毛剤に限定されず、多様な化粧料組成物に含有されて利用されることができる。
【0039】
上記緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とは、それぞれ粉末、抽出物または濃縮液として使用可能である。
【0040】
本発明の染毛剤組成物は、好ましくは、ケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物であることができ、特に上記酸化染色用染毛剤は、酸化染料前駆体、カプラー、アルカリ剤、水溶性抗酸化剤及び還元剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とで構成される。
【0041】
本発明の上記有効成分は、第1剤または第2剤に含有されるか、または第1剤と第2剤の混合後に混合物に含有されることができる。この際、第1剤、第2剤またはこれら混合物の全体重量に対して0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜10重量%で含有されることが好ましい。その含量が0.01重量%未満なら、染色性、色相持続性向上、毛髪損傷緩和、刺激緩和効果が非常に弱く、30重量%を超過すれば、染料の酸化重合反応を抑制し、発色が良好に行われないので、上記範囲で使用することが好ましい。
【0042】
一方、上記有効成分は、第3剤の混合添加剤に含有され、組成物に混合されることができる。この際、上記第3剤の混合添加剤は、本発明の有効成分だけよりなるか、または、液相、ローション、クリーム、ジェルなど多様な形態であることができ、剤形上、特に限定されない。
【0043】
上記第3剤の混合添加剤は、染色時に、上記第1剤及び第2剤の混合物の全体重量に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜5重量%で使用される。0.01重量%未満で使用すれば、染色性、色相持続性向上及び毛髪損傷緩和に効果がなく、30重量%を超過すれば、染料の酸化重合反応を抑制し、発色が良好に行われないので、上記範囲で使用することが、染色後に毛髪損傷を緩和させることができ、染色による刺激緩和にも効果がある。
【0044】
本発明のケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物は、第1剤に通常的な酸化染料前駆体とカプラーを含有し、好ましくは、2種以上の酸化染料前駆体とカプラーを含有する。
【0045】
上記酸化染料前駆体及びカプラーとしては、現在知られた大部分の酸化染料前駆体とカプラーを使用することができる。このような酸化染料前駆体としては、その種類は特に限定されないが、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、塩酸トルエン−2,5−ジアミン、塩酸p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、硫酸p−フェニレンジアミン、硫酸p−メチルアミノフェノール、硫酸o−アミノフェノール、硫酸p−アミノフェノール、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸p−フェニレンジアミンなどを挙げることができる。また、カプラーとしては、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、p−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸m−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、α−ナフトール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノールなどを使用することができる。上記酸化染料前駆体と混合使用され、毛髪に多様な色調を示すことができる。
【0046】
本発明の酸化染色用染毛剤組成物は、中性からアルカリのpH範囲である6〜12で使用することができ、特にpH8〜11のアルカリ性の条件で使用することが好ましい。これは、上記pH範囲が6未満の場合、第2剤に含まれる酸化剤の分解が容易でなく、毛髪のキューティクルを広げ、毛髪の内部に処理剤が効率的に浸透する作用が容易ではなく、上記pH範囲が12を超過する場合、毛髪のタンパク質の損傷や皮膚刺激が発生することがある。
【0047】
これに使用されるアルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど通常的に染毛剤で使用されるアルカリ剤成分を使用することができる。
【0048】
本発明の酸化染色用組成物は、水溶性抗酸化剤及び還元剤を含有する。本発明に使用可能な水溶性抗酸化剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸及びその塩などがあり、還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン及びその塩などを挙げることができる。
【0049】
本発明のケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で通常的に使用される直接染料(direct dyes)を添加することができるが、このような直接染料としては、アリアノル(Arianol)染料、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、塩酸ニトロ−p−フェニレンジアミン、ピクラミン酸、その他植物性染料であるヘナ(Henna)などを使用することができる。
【0050】
また、本発明のケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物には、染毛剤に通常的に使用される成分を本発明の効果を劣化させない範囲内で使用することができる。例えば、酸化防止剤、金属封鎖剤、溶剤、界面活性剤、増粘剤、香料及びコンディショニング剤などが使用されるが、これらは、染毛剤に通常的に使用されることができるものであって、特に制限されない。
【0051】
上記酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、第三ブチルヒドロキノン、トコフェロール類などを挙げることができ、金属封鎖剤として、EDTA、ジソジウムEDTA、テトラソジウム−EDTA、ペンタソジウムペンテテートなどを挙げることができ、溶剤としては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどを使用することができ、界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤などを使用することができ、増粘剤としては、炭素数12〜22の高級アルコールを単独または混合して使用することができ、高分子増粘剤などを使用することができ、非イオン性重合体及び陰イオン性重合体、パラフィン、軽質流動イソパラフィンなどを使用することができ、コンディショニング剤としては、陽イオン性重合体、4級化アンモニウム塩またはシリコンなどを使用することができる。
【0052】
一方、本発明によるケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物の第2剤に含有される酸化剤としては、通常的に使用される過酸化水素、過酸化尿素(hydroxyurea)、アルカリ金属ブロメート、ペリシアニド、ペルボレート及びペルスルフェートなどから選択される1種以上を使用することができるが、特に過酸化水素を使用することが好ましい。
【0053】
第2剤にも、染毛剤に通常的に使用される成分を本発明の効果を劣化させない範囲内で使用することができる。例えば、パラフィン、軽質流動イソパラフィン高級脂肪アルコール、高級脂肪酸エステルなどの乳剤、陽イオン性または非イオン性界面活性剤、フェナセチンなどの安定化剤、ジソジウムEDTAなどの金属封鎖剤、リン酸などのpH調整剤などが含有されることができる。
【0054】
また、本発明による染毛剤組成物の第1剤及び第2剤は、前述した成分以外に、通常、水を含有している。水としては、イオン交換水、蒸留水などの精製水を利用することが好ましく、その含有量は、特に限定されず、上記染毛剤組成物に利用される各成分を充分に溶解または分散することができる量であれば、構わない。
【0055】
本発明の染毛剤は、多様な種類の染毛剤セットで構成されることができる。上記染毛剤セットとしては、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する第1剤、第2剤またはこれらの混合製剤を含む染毛剤セットで構成され、上記染毛剤セットに緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する第3剤の混合添加剤をさらに含むことができる。
【0056】
具体的な染毛剤セットの例としては、
第一に、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物と、酸化染料前駆体、カプラー、アルカリ剤、及び酸化防止剤とを含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とで構成された染毛剤セットであり、
第二に、酸化染料前駆体、カプラー、アルカリ剤、酸化防止剤を含有する第1剤と、
緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物と、酸化剤とを含有する第2剤とで構成された染毛剤セットであり、
第三に、酸化染料前駆体、カプラー、アルカリ剤、酸化防止剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との混合物に、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する染毛剤セットがあり、
最後に、上記3種類の染毛剤セットに、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する第3剤の混合添加剤がさらに含まれた染毛剤セットがその例である。
【0057】
本発明による染毛剤組成物は、毛髪に塗布する直前に、第1剤と第2剤を混合して使用する。この際、第1剤と第2剤の混合比率は、一般的に重量比(第1剤:第2剤)で1:1〜1:3とするが、特にこの比率に限定されるものではない。
【0058】
また、一般的には、第1剤と第2剤を混合して使用するが、パウダータイプなど第1剤形で構成された酸化型染毛剤にも使用することができる。
【0059】
本発明によるケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物を利用した染色方法は、下記の段階を含む。すなわち、
a)本発明によるケラチン繊維の酸化染色用染毛剤組成物を水と混合する段階。
上記酸化染色用染毛剤を水と1:2〜1:20の比率で混合して使用することができるが、その混合比率は特に限定されない。
b)上記水と混合させた染毛剤を、染色しようとする毛髪100重量部を基準にして、20〜30重量部の量で毛髪に塗布する段階。
c)塗布した後、毛髪を毛髪保護フィルムで取り囲み、常温で10〜30分間放置し、染色された毛髪をリンス剤及びシャンプー剤で洗浄し、乾燥させる後処理段階。
【0060】
以下、本発明を実施例及び試験例を通じてより具体的に説明するが、本発明がこれによって限定されるものではなく、当業界で通常的に周知された変形、置換及び挿入などを行うことができ、これも本発明の範囲に含まれる。
【0061】
[製造例1]緑茶多糖体製造
溶媒抽出工程で乾燥緑茶葉を粉砕し、ふるい分級処理して製造された緑茶粉末(d50=100〜100μm)10kgを95%(v/v)エタノール150Lに分散し、常温で撹拌して製造された混合液を遠心分離し、葉緑素及び低分子量のポリフェノールが除去された緑茶残渣を回収した。上記回収された残渣は、上記溶媒抽出工程を1回繰り返した後、乾燥した。上記溶媒抽出工程で葉緑素及び低分子量ポリフェノールを除去した緑茶粉末に水125Lを添加し、35℃で7時間撹拌し、熱水抽出を進行した。得られた緑茶多糖体抽出液は、フィルタープレス機器を利用して濾過及び回収した後、初期体積の1/10となるように62℃で減圧濃縮した。引き続いて、上記緑茶多糖体濃縮液を限外濾過(分子量CUT OFF:30,000ダルトン)し、低分子量の遊離タンパク質を除去し、最終限外濾過濃縮液の5倍体積のエタノールを100mL/minの速度で徐々に加え、エタノール沈殿反応を進行した。沈殿された緑茶多糖体を45℃で真空乾燥し、パウダー形態の緑茶多糖体250gを得た。
【0062】
[製造例2]ヒノキ多糖体製造
乾燥ヒノキ葉10kgを洗浄した後、水20Lを添加し、常温で24時間撹拌抽出した。得られた抽出液は、フィルタープレス機器を利用して濾過及び回収した後、初期体積の1/10となるように50℃で減圧濃縮した。引き続いて、上記濃縮液を限外濾過(分子量CUT OFF:30,000ダルトン)し、低分子量の遊離タンパク質を除去し、最終限外濾過濃縮液の5倍体積のエタノールを100mL/minの速度で徐々に加え、エタノール沈殿反応を進行した。沈殿されたヒノキ多糖体を45℃で真空乾燥し、パウダー形態のヒノキ多糖体430gを得た。
【0063】
[製造例3]シャクヤク粉末
シャクヤク5kgをよく乾燥した後、36〜39μmの平均粒子サイズで粉砕機で粉砕し、シャクヤク粉末を得た。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して、36〜39μmサイズの粉末を使用したが、このサイズの粒子に限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0064】
[製造例4]蓮根粉末
乾燥した蓮根5kgを36〜39μmの平均粒子サイズで粉砕機で粉砕し、蓮根粉末を得た。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して、36〜39μmサイズの粉末を使用したが、このサイズの粒子に限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0065】
[製造例5]旱蓮草粉末
旱蓮草5kgをよく乾燥した後、36〜39μmの平均粒子サイズで粉砕機で粉砕し、旱蓮草粉末を得た。本発明では、染毛剤との混合容易性などを考慮して、36〜39μmサイズの粉末を使用したが、このサイズの粒子に限定されず、これより小さいかまたは大きい粉末をも使用することができる。
【0066】
[実施例1〜12及び比較例1]
下記表1〜4の組成で第1剤、第2剤及び混合添加剤(第3剤)を製造した。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
[試験例1]染色性評価
上記実施例1〜11及び比較例1の染毛剤組成物の染着力を評価するために、上記表1の実施例1〜11及び比較例1の第1剤組成物と、上記表2の第2剤酸化剤組成物とを1:1比率で混合した後、毛髪重さの2倍量を取って、長さ12cmの実験用ヒト毛髪に均一に塗布した。上記実施例12及び13は、比較例1の染毛剤と上記表2の第2剤酸化剤組成物とを60g:60gの比率で混合する時、上記表3〜4の第3剤の混合添加剤それぞれを1g、5mLずつ一緒に混合したものであって、混合後、毛髪重さの2倍となる量を取って、長さ12cmの実験用ヒト毛髪に均一に塗布した。
【0072】
上記実験用ヒト毛髪は、白髪が約30%含まれたことを利用した。塗布後、通常的な染毛剤放置時間である30分間放置した後、シャンプー液を利用して流れる水に1分間洗浄した後、ヘアードライヤーを利用して乾燥させた。乾燥させた毛髪を色差計(機種:Hunterlab Labscan XE)を利用して色を測定した。結果は、色差計で測定した明度値であるL*値を利用して比較し、L*値が大きいほど色が明るいことを意味し、小さいほど色が濃いことを意味する。したがって、染色後のL*値が小さいほど染色性に優れていることを意味する。結果は、下記表5に示した。
【0073】
【表5】

【0074】
上記表5から分かるように、本発明によって緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する実施例1〜11と、染毛剤使用時に一緒に混合する混合添加物として、緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体、またはこれらの混合物とを含有する実施例12〜13は、有効成分を含有しない比較例1に比べて染色性に非常に優れていた。特に、天然成分と炭水化物を同時に含有する場合、単独で含有する時より染色力に優れていることを確認することができた。
【0075】
[試験例2]色相持続性評価
実施例1〜13、比較例1で染色した毛髪をシャンプー液に入れた後、シェカー(shaker)を利用して30分間200rpmの速度で攪拌した後、流れる水に1分間洗浄し、ヘアードライヤーで乾燥した。乾燥後、色差計を利用してL*値を測定し、表4の明度値との差異であるΔL*値を利用して色相持続性を評価した。ΔL*値が小さいほど色相持続性に優れていることを意味する。結果は、下記表6に示した。
【0076】
【表6】

【0077】
上記表6から分かるように、本発明によって染毛剤組成物に緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する実施例1〜11と、染毛剤使用時に一緒に混合する混合添加物として緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する実施例12〜13は、有効成分を含有しない比較例1に比べて染色色相持続性に優れていた。特に、天然成分と炭水化物を同時に含有する場合、単独で含有する時より染色色相持続性に優れていることを確認することができた。
【0078】
[試験例3]毛髪損傷感評価
上記実施例1〜13及び比較例1の組成物の毛髪損傷感を評価するために、上記実施例1〜13及び比較例1の組成物を利用して染色した毛髪を専門パネル5名が下記基準によって評価し、その結果を下記表7に示した。
【0079】
【表7】

【0080】
上記表7から分かるように、本発明によって染毛剤組成物に緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを含有する実施例1〜11と、染毛剤使用時に一緒に混合する混合添加物として緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体、またはこれらの混合物とを含有する実施例12〜13は、有効成分を含有しない比較例1に比べて染色後の毛髪損傷減少効果に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶多糖体、ヒノキ多糖体、シャクヤク、蓮根及び旱蓮草よりなる群から選択された1種以上の天然成分と、炭水化物、炭水化物の誘導体またはこれらの混合物とを有効成分として含有する染毛剤組成物。
【請求項2】
上記炭水化物またはその誘導体は、単糖類、少糖類及び多糖類よりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
上記単糖類は、ラムノース、グルコース、ガラクトース、フルクトースまたはキシロースであることを特徴とする請求項2に記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
上記少糖類は、ラクトース、スクロースまたはマルトースであることを特徴とする請求項2に記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
上記多糖類は、グルコース重合体であるデキストラン若しくは澱粉、キシロース重合体であるキシラン、フルクトース重合体であるイヌリン若しくはレバン、またはガラクトース重合体であるガラクタンであることを特徴とする請求項2に記載の染毛剤組成物。
【請求項6】
上記組成物は、酸化染料前駆体、カプラー、アルカリ剤、水溶性抗酸化剤及び還元剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とで構成されることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項7】
上記組成物は、pHが6〜12であることを特徴とする請求項6に記載の染毛剤組成物。

【公開番号】特開2013−87068(P2013−87068A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227337(P2011−227337)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(503327691)株式會社アモーレパシフィック (73)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】181,Hangang−ro 2ga,Yongsan−gu,Seoul 140−777,Republic of Korea
【Fターム(参考)】