説明

柵付帯設備用の台座及びその取付構造並びに取付方法

【課題】柵付帯設備用の台座及びそのような台座の取付構造並びに取付方法の提供。
【解決手段】ビーム材3を支持するためのブラケット2を横方向に張り出すように備えている支柱1の上端部に対して、被せて取り付けられる台座本体21を備えている柵付帯設備用の台座取付構造であって、前記台座本体21は、上面に付帯設備部材取付部24を有し、前記ビーム材長手方向に間隔をおいて対向する一対の係合アーム17がブラケットに向って突出するように台座本体21に設けられ、対向する一対の係合アーム17の先端部が、ブラケット2の下面に係止されている。間隔をおいて対向する一対の係合アームを有する台座本体21を備えた台座20とする。係合アーム17をブラケット2に挿し込んだ後に垂直周りに台座20全体を支柱上部に向って回動させて被せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に固定されているブラケットを備えた柵に、視線誘導標或いは防眩板等の付帯設備を設けるための柵付帯設備用の台座及びその取付構造並びに取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路沿いに設置されて、正しい進行方向を外れた車両に対し、路外へ飛び出ることのないよう誘導する構造物として、ガードレールやガードパイプなどの防護柵がある。この防護柵について、車両の運転者に夜間でも防護柵の存在を明確に認識させるため、車両のライトを反射する反射材を備え、防護柵に取り付けられる視線誘導標に関する技術がある。
【0003】
前記視線誘導標は、防護柵の機能を損なわず、運転者からの視認が容易な位置に取り付けられ、さまざまな取り付け位置の形状に対応する取付構造が必要となる。視線誘導標の取り付け位置としては、運転者からの視認性が優良な防護柵における支柱の上部に反射材部分が位置するように、防護柵の支柱上部へ取り付けるための構造が提案されている。
【0004】
例えば、図22及び図23に示すように、支柱1の上端部に、上端部に上方に突出する筒状突出部からなる付帯設備部材取付部24を備え底部が開口されたキャップ状の台座41を嵌合すると共に、前記台座41における側周壁部42に適宜側方開口部を設けると共に等角度間隔等をおいて設けた横雌ねじ孔43に雄ねじ部材44をねじ込んで、支柱1の外周壁に係止させることで、前記台座41を支柱1の上端部に設置し、その台座41の付帯設備部材取付部24に、視線誘導標25における下部筒部を嵌合して、図示省略の止めねじ等により固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記横雌ねじ孔43は、支柱1の中心に向って伸びる中心軸線の横雌ねじ孔とされている。
【0005】
また、支柱の上端部に傾斜したフランジ板を有するキャップを固定し、そのキャップに対して、二つ割の取付金具をボルト・ナットにより固定することで、上部に取り付け部を有する支持体の下部挟着部を前記ボルト・ナットにより固定し、前記支持体の上部の取り付け部に、反射体の下部を取り付けるようにした形態も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】意匠登録第769490号公報
【特許文献2】特開2008−190269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11〜図13に示すように、防護柵31における支柱1の上端部にブラケット2を上部のボルト10により固定する構造も知られている。前記の上部のボルト10のボルト頭部は最も歩道側寄りに位置している構造となっている。このような場合に、視線誘導標を設けるためのキャップ状の台座を支柱上端部に被せて固定ねじにより固定しようとした場合には、前記の上部のボルト10の位置に、台座を固定するための固定ねじを設けようとしても干渉してしまう。干渉を回避するためには、上部のボルト10を避けて台座(台座41の周側壁)の左右(道路長手方向)2箇所をねじ止めすることが考えられるが、この場合、道路側の固定ねじ2本と歩道側の固定ねじ2本を合わせて4本での固定になる。このように、固定ねじ4本でのねじ止めは、ねじ締結に手間がかかり、多数の視線誘導標を取り付ける場合、取り付け作業に多くの時間が掛かるため望ましくない。
【0008】
そこで、本発明は、ビーム材と支柱との間にブラケットが介在されている構造の場合に、台座の道路側寄り部分を係止するための部材として、前記ブラケットを有効に利用することができる台座取付構造とすることで、前記の課題を有利に解消することができ、また、台座を固定するための固定ねじの本数を少なくすることができ、また、台座設置作業の時間短縮を図ることが可能な柵付帯設備用の台座及びそのような台座の取付構造並びに取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の柵付帯設備用の台座取付構造においては、ビーム材を支持するためのブラケットを横方向に張り出して備えている支柱の上端部に対して、被せて取り付けられる台座本体を備えている柵付帯設備用の台座取付構造であって、前記台座本体は、上面に付帯設備部材取付部を有し、前記ビーム材長手方向に間隔をおいて対向する一対の係合アームが前記ブラケットに向って突出するように前記台座本体に設けられ、前記対向する一対の係合アームの先端部が、前記ブラケットに係止されていることを特徴とする。
【0010】
第2発明では、第1発明の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記台座本体は、台座を歩道側へ垂直回りに回転させて支柱上端部に被せる場合に、支柱を平面からみて道路長手方向の両側部分に台座本体の側周壁部が干渉しないように、切り欠き部を設けた側周壁部、若しくは広幅内側空間を有する側周壁部とされていることを特徴とする。
【0011】
第3発明では、第1発明又は第2発明の請求項1又は2に記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、横方向に対向する一対の係合アームは、一方又は両方が、板状又は棒状の先端部を備えていることを特徴とする。
【0012】
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、横方向に対向する一対の係合アームのいずれか一方又は両方の中間部には、内向き開口凹部が設けられて、前記一対の係合アーム間の幅寸法は、係合アーム先端部間の幅寸法よりも、広幅寸法とされていることを特徴とする。
【0013】
第5発明では、第1発明〜第3発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記各係合アームの先端部には、互に接近するように突出する内向き突出部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記台座本体の歩道側の側周壁部には、支柱に設けられた横雌ねじ孔を有し、前記横雌ねじ孔に雄ねじがねじ込まれると共に前記雄ねじは、支柱に係合されていることを特徴とする。
【0015】
第7発明の柵付帯設備用の台座取付構造においては、前記横雌ねじ孔及び雄ねじは、支柱上端に設置されているキャップの下端より下方で、前記キャップの下端部に僅かに離れた高さ位置に設けられて、前記雄ねじ軸部が前記キャップ下面に近接配置されていることを特徴とする。
【0016】
第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、上部にボルト及びナットが固定された支柱の上端部に対して、被せて台座本体を設ける際に、前記上部のボルトにおけるボルト頭部と干渉しないようにするために、台座本体の周側壁部には、切欠き部を備えていることを特徴とする。
【0017】
第9発明では、第1発明〜第8発明のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記ブラケットは、平面視で道路長手方向の幅寸法が道路側寄りの幅寸法よりも歩道側寄りの幅寸法が小さい幅寸法のブラケットとされていることを特徴とする。
【0018】
第10発明の柵付帯設備用の台座においては、第1発明〜第9発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において用いられる台座であって、前記台座は、上面に付帯設備部材取付部を有すると共に前記支柱の上端部に被せられて取り付けられる台座本体を備え、その台座本体には、間隔をおいて対向する係合アームが、横方向に突出するように設けられていることを特徴とする。
【0019】
第11発明の柵付帯設備用の台座の取り付け方法では、第1発明〜第9発明のいずれか1つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造とするための柵付帯設備用の台座の取り付け方法であって、前記ブラケットの上方において、前記台座における一対の係合用アームを道路側に向って下方に傾斜するように、前記台座全体を道路側に向って傾斜配置し、その後、台座全体を下降移動させて係合用アームの先端部をブラケットの下方に挿し入れ、次いで、前記係合用アームの先端部をブラケットにおける道路側へスライド移動させながら台座全体を歩道側へ垂直回りに回転させて、前記各係合用アームの先端部を前記ブラケットの下面側に係合させると共に台座本体を支柱上部へ被せた後、台座本体を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1発明の柵付帯設備用の台座取付構造によると、ビーム材を支持するためのブラケットを横方向に張り出して備えている支柱の上端部に対して、被せて取り付けられる台座本体を備えている柵付帯設備用の台座取付構造であって、前記台座本体は、上面に付帯設備部材取付部を有し、前記ビーム材長手方向に間隔をおいて対向する一対の係合アームが前記ブラケットに向って突出するように前記台座本体に設けられ、前記対向する一対の係合アームの先端部が、前記ブラケットに係止されているので、台座におけるブラケット側に位置する周側壁部分の取り付けに、係合アームの先端部を、ビーム材を取り付けているブラケットを有効に利用して、係合又は係止することができるため、その分、台座を固定するためのボルト本数を少なくすることができ、また、台座の取り付け作業が簡単に短時間で作業することができる等の効果が得られる。
【0021】
第2発明によると、第1発明の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記台座本体は、台座を歩道側へ垂直回りに回転させて支柱上端部に被せる場合に、支柱を平面からみて道路長手方向の両側部分に台座本体の側周壁部が干渉しないように、切り欠き部を設けた側周壁部、若しくは広幅内側空間を有する側周壁部とされているので、係合アームの先端部がブラケットの下面側となるように挿し込んだ状態で、台座全体を垂直回りに回動させた場合に、台座本体の側周壁部が、支柱或いは支柱側のキャップに干渉するのを簡単な手段で防止して、係合アームがブラケットに係合した状態で台座本体を支柱側に被せるようにして装着することができる等の効果が得られる。
【0022】
第3発明によると、第1発明又は第2発明の請求項1又は2に記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、横方向に対向する一対の係合アームは、一方又は両方が、板状又は棒状の先端部を備えているので、係合アームを簡単な形状の係合アームとすることができ、また、簡単な構造の係合アームを備えた台座とすることができ、また、ブラケットの下面側に容易に挿し込むことができる等の効果が得られる。
【0023】
第4発明によると、第1発明〜第3発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、横方向に対向する一対の係合アームのいずれか一方又は両方の中間部には、内向き開口凹部が設けられて、前記一対の係合アーム間の幅寸法は、係合アーム先端部間の幅寸法よりも、広幅寸法とされているので、前記の内向き開口凹部の部分に、ブラケットにおける上面板を配置することができるため、係合アームの基端側を上面板の上側に配置し、係合アームの先端部を上面板の下側に配置して、係合アームの先端部を確実に、ブラケットの上面板の下面側に近接配置又は係合配置することができる等の効果が得られる。また、一方の係合アームにおける内向き開口凹部に、上面板における道路長手方向の幅の一側部を配置するようにして、設置作業をすることができるため、係合アームの先端部間の寸法が、ブラケットの上面板の基端側の幅寸法よりも小さくて、対向する係合アームを上面板の下面に係合するように設置可能な係合アームを備えた台座とすることができる等の効果が得られる。
【0024】
第5発明によると、第1発明〜第3発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記各係合アームの先端部には、互に接近するように突出する内向き突出部が設けられているので、対向する係合アームが平行である場合に比べて、係合アームの先端の内向き突出部をブラケットにおける上面板の幅方向の中央寄りに配置して、係合アームの先端部を確実にブラケットにおける上面板の下面側に確実に配置することができ、また、係合アームとブラケットにおける上面板との係合を確実することができる等の効果が得られる。
【0025】
第6発明によると、第1発明〜第5発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記台座本体の歩道側の側周壁部には、支柱に設けられた横雌ねじ孔を有し、前記横雌ねじ孔に雄ねじがねじ込まれると共に前記雄ねじは、支柱に係合されているので、歩道よりの台座本体を支柱側に雄ねじ部材を用いて確実に固定することができる等の効果が得られる。
【0026】
第7発明によると、第6発明の柵付帯設備用の台座取付構造においては、前記横雌ねじ孔及び雄ねじは、支柱上端に設置されているキャップの下端より下方で、前記キャップの下端部に僅かに離れた高さ位置に設けられて、前記雄ねじ軸部が前記キャップ下面に近接配置されているので、キャップ下面に近接配置された雄ねじを利用して、台座本体の歩道側寄り部分を係止することができ、台座本体が支柱側から離脱するのを防止することができる等の効果が得られる。
【0027】
第8発明によると、第1発明〜第7発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、上部にボルト及びナットが固定された支柱の上端部に対して、被せて台座本体を設ける際に、前記上部のボルトにおけるボルト頭部と干渉しないようにするために、台座本体の周側壁部には、切欠き部を備えているので、支柱上端部にキャップが設けられている場合にも、台座本体における側周壁部がボルト頭部と干渉するのを防止して、台座本体を容易かつ確実にキャップを備えた支柱上端部に設置することができる等の効果が得られる。
【0028】
第9発明によると、第1発明〜第8発明のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造において、前記ブラケットは、平面視で道路長手方向の幅寸法が道路側寄りの幅寸法よりも歩道側寄りの幅寸法が小さい幅寸法のブラケットとされているので、対向する係合アームをブラケットに係合させる場合に、ブラケットの幅(道路長手方向の幅)寸法が一定寸法である場合に比べて、確実に係合させることができる等の効果が得られる。
【0029】
第10発明の柵付帯設備用の台座によると、第1発明〜第9発明のいずれか一つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造において用いられる台座であって、前記台座は、上面に付帯設備部材取付部を有すると共に前記支柱の上端部に被せられて取り付けられる台座本体を備え、その台座本体には、間隔をおいて対向する係合アームが、横方向に突出するように設けられているので、間隔をおいて対向する係合アームをブラケットにおける上面板の下側に係合させて配置することができる等の効果が得られる。
【0030】
第11発明の柵付帯設備用の台座の取り付け方法によると、第1発明〜第9発明のいずれか1つに記載の柵付帯設備用の台座取付構造とするための柵付帯設備用の台座の取り付け方法であって、前記ブラケットの上方において、前記台座における一対の係合用アームが道路側に向って下方に傾斜するように、前記台座全体を道路側に向って傾斜配置し、その後、台座全体を下降移動させて係合用アームの先端部をブラケットの下方に挿し入れ、次いで、前記係合用アームの先端部をブラケットにおける道路側へスライド移動させながら台座全体を歩道側へ垂直回りに回転させて、前記各係合用アームの先端部を前記ブラケットの下面側に係合させると共に台座本体を支柱上部へ被せた後、台座本体を固定するので、係合アームを備えた台座を支柱上端部に設置する場合に、係合アームの先端部をブラケットの下面側に、容易に挿入することができ、また、台座全体をブラケットの上方において垂直回りに回動させることで、支柱の上部に被せるように設置することができるので、設置作業が容易になり、また、道路側寄りの係合アームと反対側の歩道側において固定するようにすればよいので、固定作業も容易になる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】付帯設備を装着した第1実施形態の台座を、防護柵における支柱に被せるように設置すると共に、台座側の係合アームをブラケットの下面に係合させ、台座の脚部を止めねじにより固定する直前の状態を示す正面寄り側面の斜視図である。
【図2】図1の背面寄り側面の斜視図である。
【図3】付帯設備を装着した第1実施形態の台座を道路側に傾斜配置すると共に、台座における係合アーム先端部をブラケットの下面側に差し込んでいる状態を示す斜視図である。
【図4】図3の一部縦断側面図である。
【図5】付帯設備を装着した第1実施形態の台座を、防護柵における支柱に被せるように設置すると共に、台座側の係合アームをブラケットの下面に係合させ、台座の脚部を止めねじにより固定した状態の側面図である。
【図6】図5の背面図である。
【図7】図5の平面図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す平面図である。
【図9】台座部分を取り出して示す平面図である。
【図10】ビーム長手方向のブラケットの幅寸法と、間隔をおいて対向する係合アーム間の幅寸法との関係を示す説明図である。
【図11】ブラケットを備えた防護柵の一形態を示す一部縦断側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11を道路側のビーム材側から見た正面図である。
【図14】(a)(b)は、間隔をおいて対向する係合アームの先端部をブラケットにおける上面板の下側に差し込む場合に、台座を傾斜させることで係合アームを傾斜させて差し込むようにする場合の説明図である。
【図15】棒状の先端部を備えた係合アームと上面板との関係を示す平面説明図である。
【図16】内向き係合凸部を備えていない係合アームとブラケットとの関係を示す平面説明図である。
【図17】付帯設備を装着した第2実施形態の台座を、防護柵における支柱に被せるように設置すると共に、台座側の係合アームをブラケットの下面に係合させ、台座の後部周側壁片を止めねじにより固定する直前の状態を示す正面寄りの側面からの斜視図である。
【図18】付帯設備を装着した第2実施形態の台座を道路側に傾斜配置すると共に、台座における係合アーム先端部をブラケットの下面側に差し込んでいる状態を示す斜視図である。
【図19】図17の一部縦断側面図である。
【図20】図17の背面図である。
【図21】図17の正面図である。
【図22】従来の視認用反射板を備えた防護柵の一例を示す一部縦断側面図である。
【図23】図22における支柱上端付近を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
先ず、本発明の柵付帯設備用の台座取付構造とする場合に好適な防護柵の一形態について、図11〜図13を参照して説明する。道路長手方向に間隔をおいて歩道側に設置された支柱1の上端部にブラケット2を介して道路側に鋼製パイプ等のビーム材3が固定されている。前記支柱1は鋼製パイプ等からなりその下部が基礎コンクリート等により埋め込み固定されている。図11における左側が道路側であり、右側が歩道側である。
【0034】
前記支柱1の上端部に、鋼製のキャップ4が嵌合載置されていると共に、そのキャップ4の道路側寄り部分は平坦な縦支承面5とされ、前記縦支承面5に、ブラケット2の基端側縦板6が当接され、前記ブラケット2の内側に横断面U字状の補強部材7が収納配置され、前記補強部材7における間隔をおいて平行な補強縦側板8相互を接続している基端側接続板9は、前記基端側縦板6に重ね合わされている。
【0035】
前記キャップ4と支柱1とブラケット2の基端側縦板6と補強部材7の基端側接続板9とのボルト孔に渡って、ボルト10の軸部が挿通配置されていると共に、補強部材7の基端側接続板9側に配置されたナット11にねじ込まれて、キャップ4と、ブラケット2と補強部材7とは、支柱1に固定されている。
【0036】
直列に隣り合うビーム材3内に渡って鋼製パイプ等の連結用インナー材12が挿入配置され、前記連結用インナー材12はボルト孔を備えており、各ビーム材3と連結用インナー材12とは、ビーム材3の下側から挿入されて連結用インナー材12の内部に収められたナット13bにねじ込まれたボルト13aにより固定されて、ビーム材3相互が直列に連結されている。直列に隣り合うビーム材3は、前記ブラケット2における道路側の円弧状支承部14に面タッチされた状態で配置されて、前記ブラケット2の円弧状支承部14と前記ビーム材3とに挿通され連結用インナー材12にねじ込まれたボルト13aにより、直列に隣り合う各ビーム材3は、ブラケット2に固定されている。さらに説明すると、前記ブラケット2は、ブラケット2の内側で、かつ前記上面板15の下面から下方に離れた位置における円弧状支承部14に、ボルト挿通孔が設けられ、前記円弧状支承部14の前記ボルト挿通孔とビーム材3のボルト挿通孔に挿通されると共に、連結用インナー材12の内部に収められたナット13bにねじ込まれたボルト13aにより、ビーム材3は、前記円弧状支承部14に固定されている。
【0037】
前記のように、前記ブラケット2にビーム材3を固定するためのボルト13aが、上面板15の下面から下方に離れていることで、道路長手方向両端側の上面板15の下面直下に、補強部材7の外側において、後記の係合アーム17(図8等参照)の先端部を配置可能な空間18を備えている。
【0038】
ここで、前記ブラケット2の形状について説明する。前記ブラケット2は、基端側縦板6の上端部に一体に、道路側方向に張り出す上面板15が屈曲連設され、その上面板15の先端部(道路側)に、支柱1側に向って下端部が下に凹となる折り返しを備える前記円弧状支承部14が一体に屈曲連設されている。前記基端側縦板6の下端部と、前記円弧状支承部14の下端部とは、互いに対向するように内向きに、ブラケット2の内空側に張り出すように折り曲げ加工されている。
【0039】
前記のブラケット2上部における基端側(歩道寄り側)の道路長手方向(ビーム材長手方向)の幅寸法w2は、先端側(道路側)の道路長手方向(ビ−ム材長手方向)の幅寸法w1よりも小さい幅寸法とされている。図示の形態では、ブラケット2における上面板15における基端側(歩道寄り側)の道路長手方向(ビーム材長手方向)の幅寸法w2を、先端側(道路側)の道路長手方向(ビーム材長手方向)の幅寸法w1よりも、幅寸法が小さい幅寸法としている。前記上面板15の幅寸法は、基端側から線端側に向って漸次、幅寸法が大きくなるようにされている。
【0040】
また、前記ブラケット2の上面板15の下側に配置されている横断面U字状の補強部材7における各補強縦側板8は、ブラケット2における上面板15の下側における道路長手方向の中央寄りに配置されている。そのため、ブラケット2における上面板15の道路長手方向の両端部の内側面は、前記各補強縦側板8の外側となり、上面板15の道路長手方向の両端部下面を、後記の係合アーム先端部を係止するための係止下面16として利用可能にしている。また、上面板15は、道路側に向って漸次末広がりとなるように広幅寸法となっていることから、前記の係止下面16は、道路側寄りになるに従って広幅となるようにしている。
【0041】
次に、前記のような支柱用のキャップ4の外側に被着される台座であって、図5〜図8に示す形態の一形態の台座20を参照しながら、本発明の一実施形態において使用する防護柵付帯設備用の台座20の構造について、さらに説明する。
【0042】
本発明において使用する台座20は、防護柵における支柱1に被さるように、或いは支柱1の上端に設置されているキャップ4に被さるように設けられる。また、前記台座20は、支柱1の上端に被さる部分(側面部及び上面部)として、図示のように側周方向に断続した側周壁部22及び上面部23を有する台座本体21と、前記上面部23に、円筒状体等からなる付帯設備部材取付部24を立設するように備えている。前記の側周壁部22は、支柱1又はその上端に設けられているキャップ4と干渉しない形態であれば、側周方向に連続した形態であってもよい。前記の台座20は、例えば、金属や樹脂などにより製作される。
【0043】
図示の形態では、前記の側周壁部22及びこれに接続している上面部23には、周方向に間隔をおいて複数の切り欠き部が設けられて、台座20の装着時において、側周壁部22が支柱側のキャップ4と干渉して装着不能にならないようにされている。前記の複数の切り欠き部は、図示の形態では、歩道側寄りの後部切り欠き部26と、各側部切り欠き部27と、前部切り欠き部28とが設けられている。各側部切り欠き部27と後部切り欠き部26との間でそれぞれ後部周側壁片29が形成され、各側部切り欠き部27と前部切り欠き部28との間で、それぞれ前部周側壁片30が道路側寄りに形成されている。前記2つの前部周側壁片30の上下方向の長さ寸法は、後部周側壁片29よりも短くされ、各前部周側壁片30の下端部から、ほぼ道路側に向って横方向に張り出すように、それぞれ係合アーム17が設けられている。前記各係合アーム17の先端部の上面は、前記ブラケット2の上面板15の下面に係合又は近接配置となるように、前記ブラケット2の上面板15と平行とされている。図示の形態では、ブラケット2の上面板15は道路側に向って漸次高くなるように傾斜した上面板15とされているので、係合アーム17の先端部も、道路側に向って上昇する傾斜面とされている。そのため、台座20の設置完了時において、係合アーム17の先端部上面は、上面板15の下面に近接又は面接触された状態で配置されている。前記のように、各係合アーム17の先端部上面が、前記上面板15の下面に近接又は面接触された状態で配置されていることで、先に固定されているブラケット2を係合アーム17先端側が浮き上がるような場合に、すぐに係合アーム17の先端部が上面板15の下面に係合して、上昇しないように係止される。
【0044】
前記のように、前記台座本体21には、その下部側で道路側寄りに、道路長手方向(ビーム材の長手方向と同じ意)に間隔をおいて、道路側に向って突出する一対の係合アーム17が設けられている。前記各係合アーム17は、図示の形態では、台座本体21と一体に連設するように曲げ加工等が施されて形成されている。
【0045】
前記係合アーム17は、その先端部19の上面を、支柱1とビーム材3との間に介在されてビーム材3を取り付けているブラケット2の下面に係合配置又は近接配置される、又は前記ブラケット2における上面板15の下面に係合配置されることで、台座20における道路側より部分を、これらのブラケット2と係合アーム17の先端部との係合配置又は近接配置により、係合アーム17側の上方への分離(台座20の道路側寄り前部の上方への分離)が防止される構造とされている。また、前記のブラケット2における上面板15の下面と係合アーム17の係合配置又は近接配置が維持されるように、係合アーム17以外の部分において、台座本体21を支柱1に対して水平回転移動しないように、ねじ止め等の固定手段により、台座本体21を支柱1又はキャップ4等に取り付けている。
【0046】
次に、本発明において用いる係合アーム17を備えた台座20、又は前記台座20に視線誘導標25(図示の場合)或いは防眩板(図示省略)等の付帯設備付の台座20を、作業員の手動操作により、防護柵31におけるキャップ付の支柱1の上端部に装着する場合には、図3及び図4に示すように、台座20又は付帯設備付の台座20の上部を、ビーム材3の上方で道路側となるように、傾斜した状態とすると共に、前記係合アーム17の先端部を、ブラケット2における上面板15の下面に係合又は位置するようにした状態とした後、係合アーム17の先端部を、道路側に若干スライド移動させながら、台座20を支柱1側に回動することで、台座本体21を支柱1上端のキャップ4に被せるように遊嵌状態で嵌合可能にされている。
【0047】
前記のように台座20又は付帯設備付の台座20を支柱1又はキャップ付の支柱1の上部に配置することで、各係合アーム17の先端部上面を、ブラケット2における上面板15のそれぞれの下面に係合配置又は近接配置され、各後部周側壁片29を支柱1等に対して、図示を省略するが、手動式回動工具又は電動式回動工具を用いて、ねじ止め固定することで、台座20又は付帯設備付の台座20を支柱1側に取り付け可能にされている。
【0048】
次に、平面視での対向する前記の各係合アーム17の形態と、平面視でのブラケット2における上面板15の形態によって、台座20又は付帯設備付の台座20の取付作業動作が異なる場合が考えられるので、これについて説明する。なお、前記の係合アーム17の上下方向の板厚寸法と、上面板15の上下方向の板厚寸法を考慮すると、係合アーム17と上面板15における板厚寸法を考慮した板厚寸法内における対角方向の幅寸法になり、複雑になるので、ここでは、単純化して、係合アーム17の上下方向の板厚寸法と、ブラケット2における上下方向の板厚寸法を考慮しないで検討する。間隔をおいて対向する係合アーム17間の幅寸法は、係合アーム17を上面板15に最終状態で係合させるに必要な幅寸法と、最初に台座20における対向する係合アーム17を装着する場合に必要な幅寸法とが考えられる。また、間隔をおいて対向するいずれか一方又は両方の係合アーム17の先端部に、図14に示すように内向き開口凹部32が設けられていると、前記内向き開口凹部32を利用して、台座20を傾斜させて係合アーム17を上面板15の側部下方に挿し込み、後から他方の係合アーム17を上面板15の下面側に挿し込むようにすることができる。例えば、図14(a)に示すように、最初に、間隔をおいて対向する係合アーム17における一方の係合アーム17を、上面板15の下側に挿入するように、台座20全体を、道路長手方向の道路側が低くなるように傾斜配置させると共に、一方係合アーム17側を他方の係合アーム17よりもさらに低くなるように台座20全体を傾斜させることで、前記一方の係合アーム17を上面板15の側方から上面板15の側部下方に配置して、反対側の係合アーム17側に向けて、台座全体を横移動させることで前記一方の係合アーム17の先端部を上面板15の下面に先に差し込みむと共に、他方の係合アーム17の先端部を上面板15の幅方向他方の側方に配置して、台座20を矢印A方向に下降回動し後、一方の係合アーム17側に水平移動させることで、図14(b)に示すように、各係合アーム17の先端部19を、ブラケット2における上面板15の下面側に配置することができる。その後、図3及び図4に示すように、ブラケット2上方における台座20又は付帯設備部材取付部24を備えた台座20を、係合アーム17の先端部を上面板15の下面側で道路側へスライド移動させると共に、垂直面内において支柱1側に回動させることで、前記の台座20又は付帯設備付きの台座20を、支柱1又はキャップ付の支柱1の上端部に被せることもできる。
【0049】
台座20を支柱側に装着した後に、仮に台座20が歩道側に垂直に回動して離脱しようとした場合に、間隔をおいて対向する係合アーム17先端部を、ブラケット2における上面板15の下面に係合可能にさせるためには、対向する係合アーム17の先端部等間の幅寸法が上面板15における道路長手方向の幅寸法よりも小さくすることで、各係合アーム17を上面板15の下面に係合させることができる(但し、各係合アーム17と上面板15の中心軸線を一致させて考えさせた場合で、台座20が固定された場合には、前記のようになる。)。
【0050】
前記のように、間隔をおいて対向する係合アーム17の先端部19を上面板15の下面に配置させるためには、係合アーム17の先端部の幅寸法が、上面板15の幅寸法よりも小さくても、各係合アーム17の先端部を上面板15の下面に近接又は係合させて配置することができる。また、図14に示すように、台座20又は付帯設備付の台座20における各係合アーム17をブラケット2における上面板15に係合させる場合に、2つの各係合アーム17の内のいずれか一方の係合アーム17の内向き開口凹部32を、他方の係合アーム17より先に上面板15の幅方向の一端側に係合させることができる。また、図10に示すように、対向する係合アーム17の先端部19間の寸法w3が上面板15基端側の寸法w2よりも大きい場合には、台座20全体を傾斜させて各係合アーム17の先端部を、上面板15の下方に位置するように、上面板15の基端側から挿し込んで配置した後、台座20全体を、支柱1とブラケット2の中心軸線を結ぶ垂直面内において、係合アーム17の先端部19を上面板15の広幅部分に向ってスライドさせるようにしながら台座20を支柱1側に向って回動させることがで、係合アーム17及び台座20を、上面板15の下面及び支柱1側に被せるように装着することができる。
【0051】
前記にように、係合アーム17をブラケット2に係合させる場合の方法として、一対の係合アーム17の形態とブラケット2の上部(上面板15)の幅形態に応じて、本発明では、複数通りの形態を想定している。いずれの場合も台座20全体を係合アーム17が下側となるように作業員が手に台座20を持って、台座20全体をブラケット2直上において傾斜させた状態で、係合アーム17の先端部を挿し込むようにしている点は共通している。台座20全体をブラケット2直上において傾斜させる場合に、歩道側から道路側に向う垂直面内において、傾斜させる場合と、道路長手方向の垂直面内において傾斜させる場合とがあるが、これらを適宜組合せことで、いずれか一方又は両方の係合アーム17の先端部19に内向き開口凹部32を備えている形態でも、装着することができる。
【0052】
前記のように、上面板15における基端側の幅寸法w2に比べて、間隔をおいて対向する係合アーム17の先端部間の寸法w3、又は一方の係合アーム17の先端部19と他方の係合アーム17の内向き開口凹部32間の寸法w4と比較した場合に、上面板15における基端側の幅寸法w2よりも、間隔をおいて対向する係合アーム17間に若干広い余裕幅w5を持たせることで、各係合アーム17の先端部を、上面板15の下面に近接配置又は係合配置することができる。
【0053】
前記のように、台座20又は付帯設備付の台座20を支柱1側に被せた後に、後部周側壁片29に設けた雌ねじ孔33に雄ねじ34をねじ込んで、前記雄ねじ34の先端部をキャップ4下面に近接した状態で、図1及び図2に示すように、支柱1に押し付けることで、台座20を支柱1側に固定することができる。前記の状態では、台座20の前部は、係合アーム17により、台座20の後部は、周側壁片29を雄ねじ34により支柱1に押し付けることで、がたを防止して台座20を支柱側に固定することができる。
【0054】
(係合アームについての変形形態)
前記実施形態における係合アーム17は、板状の係合アーム17を形成している形態を示したが、係合アーム17は、板状部材以外にも、棒状部材或いは角棒状部材であってもよい。例えば、図15に示すように、平面視で、台座本体21の基端部からビーム材3に向って直角等の角度で、道路側に突出する係合アーム17とすることでもよい。係合アーム17は、棒状部材であっても、湾曲させることで、内向き開口凹部32を形成することができる。
【0055】
(係合アーム17先端部の変形形態)
前記第1実施形態では、対向する係合アーム17の先端部内側に、内向き突出部36を設けた形態を示したが、前記内向き突出部36を省略するようにしてもよい。例えば、図16に示すように、係合アーム17の先端部に、係合用突出部を設けないで、対向する係合アーム17の内側部分が、互いに平行な直線状部となっている形態を採用するようにしても、前記ブラケット2側における上面板15のビーム材寄りの幅寸法が漸次広幅寸法となる形態では、各係合アーム17の先端部を上面板15の下面に係合させて、台座本体21が離脱するのを防止することができる。また、前記のブラケット2における上面板15は、道路側に向って漸次、道路長手方向の幅寸法が広くなる形態である場合には、対向する係合アーム17が、ビーム材3に近づくにつれ多少互いに離反するように間隔が広がる形態であっても、各先端部同士の間隔w3が係合させる上面板15の幅寸法より狭ければ、係合アーム17の先端部を、ブラケット2における上面板15の下面に係合させることは可能である。なお、前記上面板15の両側部は、両側部全体に渡って漸次広幅となるように傾斜していなくても、部分的に広幅となる形態、或いは階段状に傾斜して広幅となる形態であってもよい。
【0056】
なお、前記の台座20の上面側に、円筒状の付帯設備部材取付部24に、視線誘導標25を備えたホルダー40における下部筒体41が嵌合され適宜雄ねじ(図示省略した)により固定されることは、前記実施形態と同様である。
【0057】
(第2実施形態)
図1に示す第1実施形態における係合アーム17は、前部周側壁30から前方に形成するような形態を示したが、後部周側壁片29から張り出すように、係合アーム17を形成してもよいので、このような形態について、図17〜図21を参照して説明する。
【0058】
図17では、上面板15と下面板とこれらを接続する基端側縦板6を備えたブラケット2における基端側縦板6がボルト10及びナットにより、キャップ4の下側において固定されている。前記のブラケット2における上面板15は、基端側が狭幅寸法とされている点は、前記実施形態と同様である。また、この形態では、上面板15と基端側縦板6とビーム材31の間で、前記ボルト10とナット11から離れた位置で、係合アーム17の先端部を挿入可能な空間18を形成している。また、ビーム材3は、ブラケット2に対して、上面板15とビーム材3と下面板に挿通されたボルト13a及びこれにねじ込まれるナットにより、前記ブラケット2を介して、支柱1に固定されている。
【0059】
また、台座20における後部周側壁片29の下端部から水平に外側に凸に湾曲した湾曲接続部35を介して係合アーム17が設けられている。また、この形態では、前記のボルト10の上側において、雄ねじ34先端部を支柱1に押し付けることにより、前記の後部周側壁片29を支柱1に固定するために、後部切り欠き部26を省略している。また、係合アーム17を前部側に設けていないため、前部切り欠き部30を省略して、前部周側壁片28の周方向の幅を短くしている。さらに、この形態では、後部周側壁片29から係合アーム17を前部周側壁片28の前部に張り出して、上面板15に係合させるようにしていることで、前部周側壁片28を支柱1に固定していない。前記の形態でも、台座20又は付帯設備付の台座20を、支柱1又はキャップ4付き支柱1の上部に被せて設置する場合の作業は、前記実施形態と同様であるので、省略する。
【0060】
前記の第2実施形態では、前部周側壁片30の下端部中央に、キャップ4の下面に近接又は係合する半径方向で内向きの凸部を設けるようにしてもよい。
【0061】
前記各実施形態では、係合アーム17を台座本体20に一体に屈曲形成した形態を示したが、本発明を実施する場合に、係合アーム17を台座本体20に溶接等の手段により固定するようにしてもよい。このようにすると、係合アーム17の形態の自由度を向上させることができる。
【0062】
前記実施形態では、台座本体の上面側に視線誘導標25を設ける形態を示したが、本発明を実施する場合、防眩板等の付帯設備を設ける形態としてもよい。また、本発明を実施する場合に、内向き開口凹部32は、図10に示すように、係合アーム17の少なくとも板厚寸法程度の幅寸法の凹部の溝底部を設ける形態とするほうが、上面板15の側縁部を確実に前記溝底部に当接することができ、間隔をおいて対向する係合アーム17の内向き開口凹部32の溝底部間の寸法w4を有効に利用することができる。
【0063】
本発明を実施する場合、台座本体21の周側壁部は、筒状であってもよく、前記台座本体は、台座を歩道側へ垂直回りに回転させて支柱上端部に被せる場合に、支柱を平面からみて道路長手方向の両側部分に台座本体の側周壁部が干渉しないように、広幅内側空間を有する側周壁部としてもよい。例えば、支柱1及びキャップ4が平面矩形状である場合に、ブラケット2の上面板15の上方において、台座本体21を道路側から歩道側に向って(前後方向)、垂直回りに回動するようになるから、台座本体21は、左右方向の内側寸法をキャップ4より僅かに大きくすれば、他に干渉する部分がなければ、台座本体21の側壁部分は干渉しない。しかし、周側壁部における前後の側壁部分は、支柱に干渉するから、前後方向の周側壁間の寸法を大きくして、干渉しないような広幅内側空間を有する台座本体としてもよい。
【0064】
前記実施形態では、防護柵の場合を示して説明したが、本発明の場合は、ブラケット2(ブラケット2の上面板15)が横方向へ張り出すように備えている支柱を有しておれば、防護柵に限らず、それ以外の柵全般に適用することができる。また、柵としては、ブラケット2が横方向へ張り出すように備えている一つ又は複数の支柱からなる柵でも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 支柱
2 ブラケット
3 ビーム材
4 キャップ
5 縦支承面
6 基端側縦板(ブラケットの)
7 補強部材
8 補強縦側板(補強部材の)
9 基端側接続板(補強部材の)
10 ボルト(ブラケット固定用の)
11 ナット(ブラケット固定用の)
12 連結用インナー材
13a ボルト
13b ナット
14 円弧状支承部(ブラケットの)
15 上面板(ブラケットの)
16 係止下面(ブラケットの)
17 係合アーム
18 空間
19 先端部
20 台座(本発明の)
21 台座本体
22 側周壁部
23 上面部
24 付帯設備部材取付部
25 視線誘導標
26 後部切り欠き部
27 側部切り欠き部
28 前部切り欠き部
29 後部周側壁片
30 前部周側壁片
31 防護柵
32 内向き開口凹部
33 雌ねじ孔
34 雄ねじ
35 湾曲接続部
36 内向き突出部
40 ホルダー
41 台座
42 側周壁部
43 雌ねじ孔
44 雄ねじ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム材を支持するためのブラケットを横方向に張り出して備えている支柱の上端部に対して、被せて取り付けられる台座本体を備えている柵付帯設備用の台座取付構造であって、
前記台座本体は、上面に付帯設備部材取付部を有し、前記ビーム材長手方向に間隔をおいて対向する一対の係合アームが前記ブラケットに向って突出するように前記台座本体に設けられ、
前記対向する一対の係合アームの先端部が、前記ブラケットに係止されていることを特徴とする柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項2】
前記台座本体は、台座を歩道側へ垂直回りに回転させて支柱上端部に被せる場合に、支柱を平面からみて道路長手方向の両側部分に台座本体の側周壁部が干渉しないように、切り欠き部を設けた側周壁部、若しくは広幅内側空間を有する側周壁部とされていることを特徴とする請求項1に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項3】
横方向に対向する一対の係合アームは、一方又は両方が、板状又は棒状の先端部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項4】
横方向に対向する一対の係合アームのいずれか一方又は両方の中間部には、内向き開口凹部が設けられて、前記一対の係合アーム間の幅寸法は、係合アーム先端部間の幅寸法よりも、広幅寸法とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項5】
前記各係合アームの先端部には、互に接近するように突出する内向き突出部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項6】
前記台座本体の歩道側の側周壁部には、支柱に設けられた横雌ねじ孔を有し、前記横雌ねじ孔に雄ねじがねじ込まれると共に前記雄ねじは、支柱に係合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項7】
前記横雌ねじ孔及び雄ねじは、支柱上端に設置されているキャップの下端より下方で、前記キャップの下端部に僅かに離れた高さ位置に設けられて、前記雄ねじ軸部が前記キャップ下面に近接配置されていることを特徴とする請求項6に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項8】
上部にボルト及びナットが固定された支柱の上端部に対して、被せて台座本体を設ける際に、前記上部のボルトにおけるボルト頭部と干渉しないようにするために、台座本体の周側壁部には、切欠き部を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項9】
前記ブラケットは、平面視で道路長手方向の幅寸法が道路側寄りの幅寸法よりも歩道側寄りの幅寸法が小さい幅寸法のブラケットとされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造において用いられる台座であって、前記台座は、上面に付帯設備部材取付部を有すると共に前記支柱の上端部に被せられて取り付けられる台座本体を備え、その台座本体には、間隔をおいて対向する係合アームが、横方向に突出するように設けられていることを特徴とする柵付帯設備用の台座。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の柵付帯設備用の台座取付構造とするための柵付帯設備用の台座の取り付け方法であって、前記ブラケットの上方において、前記台座における一対の係合用アームを道路側に向って下方に傾斜するように、前記台座全体を道路側に向って傾斜配置し、その後、台座全体を下降移動させて係合用アームの先端部をブラケットの下方に挿し入れ、次いで、前記係合用アームの先端部をブラケットにおける道路側へスライド移動させながら台座全体を歩道側へ垂直回りに回転させて、前記各係合用アームの先端部を前記ブラケットの下面側に係合させると共に台座本体を支柱上部へ被せた後、台座本体を固定することを特徴とする柵付帯設備用の台座の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−87457(P2013−87457A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227273(P2011−227273)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】