説明

校正関数取得システムおよびディスプレイ装置の試験システム

【課題】安価なセンサを用いてディスプレイ装置を試験可能にする。
【解決手段】試験対象のディスプレイ装置と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置(1)の輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度の入力値範囲内の3点以上で実測した基準測定値(R)と校正対象測定値(D)とを比較して校正関数(F)を算出する。校正パターン表示用ディスプレイ装置(1)と同型の試験対象のディスプレイ装置を、校正関数(F)を取得したセンサ(4)により試験する。
【効果】試験対象のディスプレイ装置に適合し且つセンサ(4)ごとに適合した校正関数(F)を取得できるので、誤差の発生を抑制でき且つ安価なセンサを使用することが出来る。このため、量産されるディスプレイ装置の試験を効率よく行うことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正関数取得システムおよびディスプレイ装置の試験システムに関し、さらに詳しくは、安価なセンサを校正するための校正関数を取得しうる校正関数取得システムおよび安価なセンサを用いてディスプレイ装置を試験しうる試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は、出荷時にセンサを用いて試験される(特許文献1参照)。
量産されるディスプレイ装置の試験を効率よく行うためには多数のセンサが必要になる。このため、安価なセンサを使えることが望ましい。
このような安価なセンサは、標準光源を用いて校正されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−152188号公報
【特許文献2】特開平6−283279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、安価なセンサは、標準光源を用いて校正されている。
しかし、ディスプレイ装置の発光特性は標準光源とは異なるため、標準光源を用いて校正された安価なセンサを用いてディスプレイ装置の試験を行うと誤差が発生する。
このため、安価なセンサを用いてディスプレイ装置の試験を行うことが出来ない問題点がある。
そこで、本発明の目的は、安価なセンサを校正するための校正関数を取得しうる校正関数取得システムおよび安価なセンサを用いてディスプレイ装置を試験しうる試験システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、試験対象のディスプレイ装置と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置と、前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正基準器と、前記校正パターン表示用ディスプレイに表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正対象センサと、校正装置とを具備し、前記校正装置は、前記校正パターン表示用ディスプレイ装置の輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度の入力値範囲内の3点以上の入力値を前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に入力しその時の前記校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を前記校正基準器によりそれぞれ測定して得た基準測定値を記憶すると共に前記3点以上の入力値を前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に入力しその時の前記校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を前記校正対象センサによりそれぞれ測定して得た校正対象測定値を記憶し、前記記憶した校正対象測定値を前記記憶した基準測定値に変換するための校正関数を算出することを特徴とする校正関数取得システムを提供する。
【0005】
上記構成において、校正基準器は、高性能の高価なセンサ、または、高性能の高価なセンサを用いて校正済みの安価なセンサ、または、高性能の高価なセンサを用いて校正済みの安価なセンサを用いて校正済みの安価なセンサのいずれかである。
また、校正対象センサは、輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定しうる安価なセンサである。
【0006】
上記第1の観点による校正関数取得システムでは、試験対象のディスプレイ装置と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置の輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度の入力値範囲内の3点以上で実測した基準測定値と校正対象測定値とを比較して校正関数を算出するため、試験対象のディスプレイ装置に適合し且つ校正対象センサごとに適合した校正関数を取得することが出来る。
【0007】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による校正関数取得システムで校正関数を取得したときに用いた校正パターン表示用ディスプレイ装置と同型の試験対象ディスプレイ装置に試験パターンを表示させるための試験パターン表示指示手段と、前記試験パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定するためのセンサであって前記第1の観点による校正関数取得システムで校正関数を取得したセンサと、該センサの測定値を前記校正関数により変換する変換装置とを具備したことを特徴とするディスプレイ装置の試験システムを提供する。
上記第2の観点によるディスプレイ装置の試験システムでは、試験対象のディスプレイ装置と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置を用いて校正したセンサにより試験するため、誤差の発生を抑制することが出来る。また、安価なセンサを使用することが出来る。このため、量産されるディスプレイ装置の試験を効率よく行うことが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の校正関数取得システムによれば、安価なセンサを校正するための校正関数を取得することが出来る。
本発明のディスプレイ装置の試験システムによれば、安価なセンサを用いてディスプレイ装置を試験することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0010】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る校正関数取得システム100を示す説明図である。
この校正関数取得システム100は、試験対象のディスプレイ装置(図2のX)と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置1と、校正パターン表示用ディスプレイ装置1に表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正基準器2と、校正パターン表示用ディスプレイ1に表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正対象センサ4と、校正装置3とを具備している。
【0011】
まず、図1の(a)に示すように、校正装置3は、校正パターン表示用ディスプレイ装置1へ校正パターン表示指示Cを送り、校正パターン表示用ディスプレイ装置1の輝度の入力値範囲(例えば1〜256)内の3点以上の入力値(例えば1から1刻みに10まで,11から2刻みに20まで,21から20刻みに256まで)を校正パターン表示用ディスプレイ装置1に入力し、その時の校正パターンの輝度を校正基準器2によりそれぞれ測定し、得られた基準測定値Rを記憶する。これを輝度について行った後、x色度およびy色度についても行う。
【0012】
次に、図1の(b)に示すように、校正装置3は、校正パターン表示用ディスプレイ装置1へ校正パターン表示指示Cを送り、校正パターン表示用ディスプレイ装置1の輝度の入力値範囲(例えば1〜256)内の3点以上の入力値(例えば1から1刻みに10まで,11から2刻みに20まで,21から20刻みに256まで)を校正パターン表示用ディスプレイ装置1に入力し、その時の校正パターンの輝度を校正対象センサ4によりそれぞれ測定し、得られた校正対象測定値Dを記憶する。これを輝度について行った後、x色度およびy色度についても行う。
【0013】
最後に、図1の(c)に示すように、校正装置3は、記憶した輝度の校正対象測定値Dを輝度の基準測定値Rに変換するための校正関数Fを算出する。これを輝度について行った後、x色度およびy色度についても行う。なお、校正関数F=k(D)=R/Dを想定している。
【0014】
校正パターン表示用ディスプレイ装置1は、例えばカラー液晶表示パネルである。
校正基準器2は、例えばトプコン社の分光放射光度計「SR3」である。
校正対象センサ4は、例えばエックスライト社の輝度・色度センサ「クロマ5」である。
【0015】
図2は、実施例1に係るディスプレイ装置の試験システム200を示す説明図である。
この試験システム200は、試験装置5と、校正関数取得システム100で校正関数Fを取得したセンサ4とを具備している。
【0016】
試験装置5は、試験対象ディスプレイ装置Xへ試験パターン表示指示Iを送り、試験対象ディスプレイ装置Xに試験パターンを表示させ、その時の試験パターンの輝度をセンサ4により測定し、得られた測定値dを校正関数Fにより校正値rに変換して出力する。
r=k(d)・d
これを輝度について行った後、x色度およびy色度についても行う。
【0017】
実施例1の校正関数取得システム100によれば、安価なセンサ4を校正するための校正関数を取得することが出来る。また、ディスプレイ装置の試験システム200によれば、安価なセンサ4を用いてディスプレイ装置Xを試験することが出来る。
【0018】
−実施例2−
試験対象ディスプレイ装置Xが例えばモノクロ液晶表示パネルである場合は、輝度についてのみ校正を行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の校正関数取得システムおよびディスプレイ装置の試験システムは、量産されるディスプレイ装置の試験に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る校正関数取得システムを示す説明図である。
【図2】実施例1に係るディスプレイ装置の試験システムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 校正パターン表示用ディスプレイ装置
2 校正基準器
3 校正装置
4 センサ(校正対象センサ,校正関数取得済センサ)
5 試験装置
100 校正関数取得システム
200 ディスプレイ装置の試験システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象のディスプレイ装置と同型の校正パターン表示用ディスプレイ装置と、前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正基準器と、前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に表示した校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定する校正対象センサと、校正装置とを具備し、前記校正装置は、前記校正パターン表示用ディスプレイ装置の輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度の入力値範囲内の3点以上の入力値を前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に入力しその時の前記校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を前記校正基準器によりそれぞれ測定して得た基準測定値を記憶すると共に前記3点以上の入力値を前記校正パターン表示用ディスプレイ装置に入力しその時の前記校正パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を前記校正対象センサによりそれぞれ測定して得た校正対象測定値を記憶し、前記記憶した校正対象測定値を前記記憶した基準測定値に変換するための校正関数を算出することを特徴とする校正関数取得システム。
【請求項2】
請求項1に記載の校正関数取得システムで校正関数を取得したときに用いた校正パターン表示用ディスプレイ装置と同型の試験対象ディスプレイ装置に試験パターンを表示させるための試験パターン表示指示手段と、前記試験パターンの輝度,x色度,y色度のうちの少なくとも輝度を測定するためのセンサであって請求項1に記載の校正関数取得システムで校正関数を取得したセンサと、該センサの測定値を前記校正関数により変換する変換装置とを具備したことを特徴とするディスプレイ装置の試験システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−139356(P2010−139356A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315391(P2008−315391)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】