説明

棒材積載装置

【課題】収容具内に棒材を段積みする場合に荷崩れを生じず、段積みの完全自動化と生産性向上を実現することができる棒材積載装置を提供する。
【解決手段】棒材2を積載状態で収容するパレットと、棒材2を保持して少なくとも収容された棒材2を横切る二次元垂直面内の任意位置へ搬送するローダ3と、ローダ3に一体に設けられ垂直下方のパレット内に収容された棒材2の積載高さを検出するレーザ距離センサ4と、収容された棒材に対しこれを横切る方向へローダ3を移動させてパレット内の棒材2の積載高さが最も低い位置でローダ3による棒材2の保持を解消させて当該棒材2をパレット内の棒材2上へ落下供給する制御装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒材積載装置に関し、特に棒材をパレット等の収容具に段積みする際の荷崩れを効果的に防止できる棒材積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に示すような上方へ開放するコ字形に成形されたパレット1等の収容具内に棒材2を段積みするための従来の棒材積載装置では、予め段積みする三次元位置を記憶した制御装置によって、棒材2を把持したローダ3の把持爪31を位置決めしつつ、例えば図6中に付した数字の順番に、下段から上段へと順次隣接させて棒材2を落下させ段積みしている。
【0003】
なお、特許文献1には、載置テーブル上の各ワークの位置座標を求めて、載置位置の高い順にワークを載置テーブル上から取り出すようにしたワーク供給装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−269147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の棒材積載装置において、パレットの底面は往々にしてスケールの付着等によって平面にはならず凹凸が生じているため、下段から上段へと順番に隣接させて棒材を段積みすると同一段での棒材の高さが一定にならず、局部的に大きな高低を生じることがある。これにより、特に局部的に高くなった棒材上にさらに新たな棒材が上方から落下させられると荷崩れを起こして、甚だしい場合は積み込んだ棒材がパレットから飛び出すことがあった。そして、飛び出した棒材を処理するためにラインを停止するとともに人手も要し、このため完全自動化が実現されず、生産性も損なわれるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、収容具内に棒材を段積みする場合に荷崩れを生じず、段積みの完全自動化と生産性向上を実現することができる棒材積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明では、棒材(2)を積載状態で収容する収容具(1)と、棒材(2)を保持して少なくとも前記収容された棒材(2)を横切る二次元垂直面内の任意位置へ搬送する搬送手段(3)と、前記搬送手段(3)に一体に設けられ垂直下方の前記収容具(1)内に収容された棒材(2)の積載高さを検出する高さ検出手段(4)と、収容された棒材に対しこれを横切る方向へ前記搬送手段(3)を移動させて前記収容具(1)内の棒材(2)の積載高さが最も低い位置で前記搬送手段(3)による棒材(2)の保持を解消させて当該棒材(2)を前記収容具(1)内の棒材(2)上へ落下供給する制御手段(5)とを備える。
【0008】
本第1発明によれば、局部的な高低を生じている段積みされた棒材に対して、最も低い位置で棒材を落下供給するから、段積み高さが平均化されて荷崩れが防止され、積み込んだ棒材が収容具から飛び出すことが回避される。この結果、棒材を処理するためのライン停止や人手を要しないから、完全自動化が実現され、生産性が向上する。
【0009】
本第2発明では、前記制御手段(5)は積載高さが最も高い棒材(2)よりも上方位置で前記搬送手段(3)による棒材(2)の保持を解消するように設定されている。
【0010】
本第2発明によれば、棒材を落下供給する搬送手段が、収容具内の棒材と干渉することが避けられる。
【0011】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、収容具内に棒材を段積みする場合に荷崩れを生じず、段積みの完全自動化と生産性向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す、棒材が段積みされたパレットおよびローダの側面図である。
【図2】段積みされた棒材およびローダの斜視図である。
【図3】段積みされた棒材およびローダの概略側面図である。
【図4】段積みされた棒材およびローダの概略側面図である。
【図5】制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】従来例を示す、棒材が段積みされたパレットおよびローダの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には収容具としての上方へ開放するコ字形に成形されたパレット1内に、棒材2が段積みされた様子を示す。従来技術で説明したように棒材2をパレット1内に順番に段積みしていっても、パレット1底面の凹凸によって段積みされた棒材2は各段で水平には並ばず、図1に示すように局部的な高低を生じる。
【0015】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、搬送手段たる公知のローダ3の側面に、高さ検出手段としてのレーザ距離センサ4が設けてある。ローダ3の下面には棒材2を把持する把持爪31が設けられている。ローダ3は少なくとも、棒材2をほぼ直交して横切る二次元垂直面内で自在に移動可能であり、上記レーザ距離センサ4は垂直下方のパレット1(図1)内に向けて設けられている。ここで、ローダ3は図略の駆動機構と制御装置5(図2)によって、その水平移動と上下移動が制御されており、この制御はレーザ距離センサ4からの信号を取り込みつつ以下のように行われる。なお、制御装置4における制御手順を図5にフローチャートで示す。
【0016】
ローダ3は図3に示すように、パレット1内の最下段の棒材2については、従来のようにパレット1の幅方向の一方から他方へ順番に積載する(図5のステップ101,102)。次にローダ3は棒材2と干渉しない十分な高さを保って、パレット1の幅方向(図3の左右方向)へ各棒材2を略直交して横切るように一方の端から他方の端へ水平移動(スキャン)する(図5のステップ103)。この間、レーザ距離センサ4は図2に示す棒材を横切る軌跡Pに沿って逐次下方の棒材2までの距離Hを測定し、制御装置5は測定された距離Hを取り込んで、当該距離Hがそれまでに得られた最大値Hmaxである場合にはこれを記憶するとともに(図5のステップ104,105)、最大値Hmaxを示したローダ3の移動位置Xmaxを記憶する(図5のステップ106)。この移動位置Xmaxでは、棒材2の段積み高さが最も低くなっている(図3参照)。なお、最大値Hmaxが二箇所以上で測定された場合には(図3では二箇所)、スキャン動作の移動方向の、後の方(図3の右方)の位置がXmaxとして記憶される。
【0017】
ローダ3のスキャン時に、制御装置5は取り込んだ距離Hがそれまでに得られた最小値Hminである場合には(図5のステップ107)、次式の演算によって下降量Dを算出する(図5のステップ108)。なお、上記最小値Hminは段積み高さが最も高い位置で得られる。
【0018】
Hmin−h=Z
Z−A=D
ここで、図4に示すように、hはレーザ距離センサ4から把持爪31の先端までの距離、Aは干渉余裕値である。
【0019】
スキャンが終了すると、ローダ3は上記移動位置Xmaxまで図3の左方へ戻り移動させられ、移動位置Xmaxで設定下降量Dだけ下降して(図5のステップ109,110)、把持爪31の先端が図4のQ点に至ったときに把持爪31に把持した棒材2を放す。これにより、ローダ3で搬送された新たな棒材2が、段積みされた棒材2の最も低い位置に、パレット1内の棒材2とローダ3が干渉することの無い適当な高さから落下供給される。
【0020】
棒材2を落下供給した後はローダ3は再びスキャン用の高さへ上昇し、さらにスキャン開始位置である図3の左端へ戻されて再びスキャンが開始される。このようにして、局部的な高低を生じている段積みされた棒材2に対して、最も低くなった箇所に新たな棒材2を落下供給するから、段積み高さが平均化されて、荷崩れを生じることが防止される。したがって、積み込んだ棒材2がパレットから飛び出すことが未然に防止され、この結果、棒材2を処理するためのライン停止や人手を要しないから、完全自動化が実現されて生産性が向上する。
【符号の説明】
【0021】
1…パレット(収容具)、2…棒材、3…ローダ(搬送手段)、4…レーザ距離センサ(検出手段)、5…制御装置(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を積載状態で収容する収容具と、棒材を保持して少なくとも前記収容された棒材を横切る二次元垂直面内の任意位置へ搬送する搬送手段と、前記搬送手段に一体に設けられ垂直下方の前記収容具内に収容された棒材の積載高さを検出する高さ検出手段と、収容された棒材に対しこれを横切る方向へ前記搬送手段を移動させて前記収容具内の棒材の積載高さが最も低い位置で前記搬送手段による棒材の保持を解消させて当該棒材を前記収容具内の棒材上へ落下供給する制御手段とを備える棒材積載装置。
【請求項2】
前記制御手段は積載高さが最も高い棒材よりも上方位置で前記搬送手段による棒材の保持を解消するように設定されている請求項1に記載の棒材積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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