説明

棒状化粧料の容器

【課題】アイライナーやアイブロウ等の棒状化粧料を保持して芯筒先端の開口部から、棒状化粧料の芯材を出没自在とさせる棒状化粧料の容器に関し、芯材の不用意な折れ等を生じさせることがなく、しかも気密性を維持することのできるような棒状化粧料の容器を提供することを課題とする。
【解決手段】棒状に形成された化粧料の芯材を収容することのできる芯筒と、該芯筒に回動可能に嵌合される外筒と、前記芯材を保持する複数の爪片を有する芯材保持体とが容器本体に具備され、前記芯筒と外筒相互間の回動により前記芯材が前記芯筒の開口部から出没自在とされ、該芯筒の開口部を覆うように前記容器本体に蓋体が外嵌される棒状化粧料の容器において、前記芯材を構成する化粧料が、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとを含有成分として含み、前記容器本体と蓋体との嵌合部、及び該容器本体を構成する芯筒と外筒との嵌合部に、気密性保持手段が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナーやアイブロウ等の棒状化粧料を保持して芯筒先端の開口部から、棒状化粧料の芯材を出没自在とさせる棒状化粧料の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアイライナーやアイブロウ等の棒状化粧料の容器として、一般には、図5に示すような芯筒3cと、図6に示すような芯チャック11cを有する芯保持体 5cとを具備し、図7に示すように、前記芯保持体5cの芯チャック11cで棒状化粧料の芯材8cが保持されたような構成のものが使用されている。
【0003】
このような棒状化粧料の容器は、芯チャック11cが円筒状に形成されたものであり、その芯チャック11cを有する芯保持体5cが、芯筒3cに摺動自在に嵌装されたものである。しかし、この棒状化粧料の容器においては、その芯筒3cと芯保持体5cとの間に一定の間隙があり、棒状化粧料が比較的柔らかい素材のものである場合には、その棒状化粧料の芯材8cが不用意に動き、芯筒3cの内壁面にあたって芯材8cが折れるおそれがあるという問題があった。
【0004】
そこで、このような芯材の不用意な折れ等を防止するために、たとえば下記特許文献1のような特許出願もなされている。すなわち、この特許文献1に記載された棒状化粧料の容器は、芯チャックに複数の爪片が形成されており、このような爪片で芯材が保持される構成とすることで、芯筒と芯保持体との間の間隙が狭くされ、それによって、芯材の不用意な折れ等が極力防止されることとされている。
【0005】
これに対して、近年のアイライナーやアイブロウ等の棒状化粧料は、素材が柔らかいだけではなく、たとえば揮発性の成分が含まれる等、素材の構成成分も従来から変化してきている。従って、そのような棒状化粧料を収納する容器には、気密性を有していることも要求される。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された棒状化粧料の容器や、上記図5乃至図7で示される従来の棒状化粧料の容器には、気密性が維持されているわけではなく、これらの容器では、素材の構成成分が変化してきている近年のアイライナーやアイブロウ等の容器としての機能性が十分発揮できない場合もある。
【0007】
【特許文献1】実開昭60−33919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、芯材の不用意な折れ等を生じさせることがなく、しかも気密性を維持することのできるような棒状化粧料の容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、棒状に形成された化粧料の芯材を収容することのできる芯筒と、該芯筒に回動可能に嵌合される外筒と、前記芯材を保持する複数の爪片を有する芯材保持体とが容器本体に具備され、前記芯筒と外筒相互間の回動により前記芯材が前記芯筒の開口部から出没自在とされ、該芯筒の開口部を覆うように前記容器本体に蓋体が外嵌される棒状化粧料の容器において、前記芯材を構成する化粧料が、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとを含有成分として含み、前記容器本体と蓋体との嵌合部、及び該容器本体を構成する芯筒と外筒との嵌合部に、気密性保持手段が設けられていることを特徴とする棒状化粧料の容器を提供するものである。
【0010】
気密性保持手段としては、たとえばOリングのようなものが用いられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述のように、芯材を構成する化粧料が、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとを含有成分として含み、容器本体と蓋体との嵌合部、及び該容器本体を構成する芯筒と外筒との嵌合部に、気密性保持手段が設けられているものであるため、芯材を構成する化粧料が揮発性シリコーンという揮発性の含有成分を含むものであるにもかかわらず、容器の気密性を維持することができるという効果がある。
【0012】
特に、本発明では、容器本体と蓋体との嵌合部と、芯筒と外筒との嵌合部との2箇所に気密性保持手段が設けられているため、容器本体の構成部材である芯筒と外筒間の気密性が維持されるだけでなく、容器本体と蓋体間の気密性が維持されるので、容器全体としての気密性が非常に良好になり、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとを含有成分として含む、アイライナー、アイブロウ等の棒状化粧料に適した容器を提供することができるという効果がある。
【0013】
また、芯材保持体が、化粧料の芯材を保持する複数の爪片を有して構成されているので、芯材の不用意な折れ等を防止することができるという従来の利点を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態の棒状化粧料の容器は、図1乃至図4に示すように、容器本体1と、該容器本体1に外嵌合可能な蓋体2とで構成されている。さらに容器本体1は、芯筒3と、外筒4と、芯材保持体5と、螺旋体6と、ストッパー部材7とを具備して構成されている。
【0016】
芯筒3は、上部の芯筒ボディ3aと、外筒4への連結部分となる下部の連結部3bとからなる。この連結部3bは、外筒4内に、回動可能に嵌着されて連結される。また、芯筒ボディ3aの上端部には、棒状化粧料の芯材8が出没自在となる開口部9が形成されている。芯材8の断面形状は、前記開口部9に挿入可能で、該開口部9と略同径の円形断面となっている。また芯筒3の内周面には、4本の摺動溝10が、軸方向に延びて形成されている。これらの摺動溝10内には、芯材保持体5の上端部に形成された爪片11が挿入される。
【0017】
本実施形態では、芯材8を構成する化粧料として、有機シリコーン樹脂と、揮発性シリコーンを含有するものが用いられる。化粧料の種類としては、たとえばアイライナーやアイブロウに使用することができる。
【0018】
アイライナーに使用する場合、有機シリコーン樹脂としてたとえばトリメチルシロキシケイ酸、アクリレーツ・アルリル酸ステアリル・メタクリル酸ジメチコン共重合体、シクロメチコン等が用いられ、揮発性シリコーンとしてたとえばリンゴ酸ジイソステアリルが用いられる。この有機シリコーン樹脂や揮発性シリコーンの他に、ビスポリエチレングリコール、ポリエチレン、酸化鉄、酸化チタン等を適宜配合することが可能である。
【0019】
またアイブロウに使用する場合、有機シリコーン樹脂としてたとえばシメチコン(ポリメチルシロキサン)、デカメチルシクロペンタシロキサン等が用いられ、揮発性シリコーンとしてたとえばトリメチルシロキシケイ酸が用いられる。この有機シリコーン樹脂や揮発性シリコーンの他に、飽和脂肪酸グリセリル、カルナウバロウ、マイクロクリスタリンワックス、パルミチン酸デキシストリン、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ポリエチレンワックス、トリステアリン酸グリセリド、タルク、黒酸化鉄、ベンガラ等を適宜配合したような化粧料成分が用いられる。
【0020】
外筒4は有底の筒状に形成されている。この外筒4の上部開口部側は、上述のように、芯筒3の連結部3bとの連結部分となっている。この外筒4の上部開口部側の内周面と、芯筒3の連結部3bの外周面との間には、Oリング12が設けられる。より詳しくは、芯筒3の連結部3bの外周面に溝が形成され、その溝にOリング12が収納されて、該芯筒3の連結部3bの外周面と、外筒4の上端開口側の内周面との間でOリング12が圧接されることとなる。
【0021】
また、外筒4の上部外周面と蓋体2の下部内周面との間にも、Oリング13が設けられている。より詳しくは、外筒4の上部外周面に溝が形成され、その溝にOリング13が収納されて、該外筒4の上部外周面と、蓋体2の下部内周面との間で圧接されることとなる。
【0022】
さらに、外筒4の中段の内部には、螺旋体6を載置する段部14が設けられている。
この段部14には、図示しないが、縦方向にリブが立設されている。また螺旋体6の外周面には、図示しないが、係合部が形成されており、その螺旋体6の係合部が段部14に立設されたリブに係合する。これによって、外筒4を回動させることに伴って、螺旋体6も回動することとなる。螺旋体6は筒状の部材であり、その内周面には、図示しないが螺旋溝が形成されている。
【0023】
芯材保持体5の保持体ボディ5aの外周面には、多数の突起15が等間隔に配置されるように形成されている。これら多数の突起15が前記螺旋体6の螺旋溝に螺合状態で係合することとなる。すなわち、多数の突起15は、雄ねじとして作用することとなる。この芯材保持体5の上端に、略90度の間隔で上述のように4本の爪片11が配置されている。
【0024】
これらの突起15と爪片11は、芯材保持体5の軸方向の同一直線上に配置されている。すなわち、突起15は、4片の爪片11のそれぞれの下方で、4列をなしている。これら多数の突起15は、螺旋体6と螺合しつつ該螺旋体6に対して上方に移動し、芯筒3の摺動溝10に係合する。これによって、芯筒3の回動に伴って芯材保持体5も回動する。
【0025】
芯材保持体5の下部には、保持体ボディ5aに比べて窪むように形成された窪み部5bと、該窪み部5bよりも膨出して前記保持体ボディ5aと略同幅に形成された膨出部5cが形成され、これら保持体ボディ5a、窪み部5b、及び膨出部5cに適合するように、ストッパー部材7は、全体が筒状に形成されているとともに、上下部分に対して中央が窪んだ状態に形成されている。
【0026】
外筒4の下部内周面には縦方向にリブ16が形成されており、このリブ16に前記ストッパー部材7の下端部が係止されて該ストッパー部材7が位置決めされている。
【0027】
このような構成からなる棒状化粧料の容器は、芯材保持体5を下部側から螺旋体6内に挿入する。この挿入時には、芯材保持体5に形成された多数の突起15は、螺旋体6の螺旋溝に順次係合して螺合状態となる。
【0028】
次に、ストッパー部材7の下部を、芯材保持体5の保持体ボディ5a、窪み部5b、膨出部5cに外嵌させることにより、ストッパー部材7を芯材保持体5の下部に装着する。これにより、芯材保持体5、螺旋体6、ストッパー部材7が一体化することとなる。
【0029】
そして、該芯材保持体5の下部側を外筒4内に挿入し、ストッパー部材7の下端部を外筒4のリブ16に係止させる。この場合、上述のように螺旋体6の係合部が外筒4の段部14に立設されたリブに係合する。
【0030】
その後、芯筒3の連結部3bを外筒4内に挿入して、芯筒3を外筒4に連結させる。この場合、芯筒3の内周面に形成された摺動溝10に、芯材保持体5の上部の爪片11が係合させながら、芯筒3を外筒4内に挿入していく。この場合、Oリング12を芯筒3の連結部3bの外周面の溝に予め収納しておく。さらに、芯筒3の連結部3bの下端部が螺旋体6の上端部に当接し、芯筒3の芯筒ボディ3aの下端部が外筒4の上端部に
当接するまで、芯筒3を外筒4内に挿入する。
【0031】
これによって容器本体1の組み立てが完成する。この場合、図示しないが、芯筒3の連結部3bの外周面には突起が形成されているとともに、該突起に係合可能な凹部が外筒4の内周面に形成されており、その突起と凹部とが係合することによって、芯筒3の
外筒4からの不用意な離脱が防止されることとなる。
【0032】
さらに、この状態において、Oリング12は、芯筒3の連結部3bの外周面と、外筒4の内周面との間で圧接された状態となる。これによって、容器本体1を構成する芯筒3と外筒4間の気密性が維持されることとなる。
【0033】
このようにして容器本体1が組み立てられた後、蓋体2を容器本体1の上部に外嵌する。より具体的には、芯筒3の芯筒ボディ3aから外筒4の上部に跨がるように、蓋体2を容器本体1に外嵌する。これによって、容器の組み立てが完成する。
【0034】
この場合、外筒4の上部外周面の溝部に予めOリング13を収納しておく。これによって、蓋体2が容器本体1の上部に外嵌されたときに、Oリング13が容器本体1の外筒4の上部外周面と、蓋体2の内周面との間で圧接された状態となる。これによって、容器本体1と蓋体2間の気密性が維持されることとなる。
【0035】
次に、上記のような構成からなる棒状化粧料の容器を使用する場合には、外筒4を固定して芯筒3を回動させると、外筒4に係合している螺旋体6に対して、芯筒3に係合している芯材保持体5が回動する。
【0036】
これにより、螺旋体6の螺旋溝と、芯材保持体5の外周に形成された突起15との螺合による作用で、芯材保持体5が上方に移動する。この場合、芯材保持体5の多数の突起15は、螺旋体6から上方に順次抜け出ることとなり、抜け出た突起15は、芯筒3内に形成されている摺動溝10に係合して、芯材保持体5と芯筒3の回転止めの役割を果たす。この芯材保持体5の上方への移動に伴って、芯材保持体5に保持された棒状化粧料の芯材8は、図3に示すように、芯筒3上端の開口部9から繰り出されることとなる。
【0037】
このように外筒4に対して芯筒3を回動し続けると、芯材保持体5の下端部に取り付けられたストッパー部材7の上端部が、螺旋体6の下端部と当接する。このとき、芯材
保持体5は、図3に示すように最上部に位置することとなる。
【0038】
一方、外筒4に対して芯筒3を逆方向に回動させると、芯材保持体5は下方に移動する。そして、ストッパー部材7の下端部が外筒4のリブ16に当接して係止されたときに、図2に示すように芯材保持体5は最下部に位置することとなる。
【0039】
尚、上記実施形態では、芯材8を構成する化粧料として、上記のような成分からなるものを用いたが、芯材8を構成する化粧料の含有成分は上記実施形態に限定されるものではない。要は、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとが含有成分として含まれているものであればよい。
【0040】
また、該実施形態では、4本の爪片11を有する芯材保持体5を用いたが、芯材保持体5に形成される爪片11の本数は該実施形態に限定されるものではなく、要は複数本形成されていればよいのである。
【0041】
さらに、本発明は、アイライナー、アイブロウに適用することを主眼とするものではあるが、アイライナー、アイブロウ以外の棒状化粧料に本発明を適用することも可能である。
【0042】
さらに、容器本体1を構成する芯筒3、外筒4、芯材保持体5、螺旋体6、ストッパー部材7等の各部の構成も上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内で任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一実施形態としての棒状化粧料容器の縦断面図。
【図2】蓋体を取り外した容器本体の縦断面図。
【図3】芯材を上方へ移動させた状態の縦断面図。
【図4】芯材を保持した芯材保持体と芯筒との嵌合状態を拡大して示す横断面図。
【図5】従来の容器の芯筒を示す概略断面図。
【図6】従来の容器の芯材保持体を示す概略断面図。
【図7】従来の容器の芯材を保持した芯材保持体と芯筒との嵌合状態を拡大して示す横断面図。
【符号の説明】
【0044】
1…容器本体 2…蓋体
3…芯筒 4…外筒
5…芯保持体 12…Oリング
13…Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成された化粧料の芯材(8)を収容することのできる芯筒(3)と、該芯筒(3)に回動可能に嵌合される外筒(4)と、前記芯材(8)を保持する複数の爪片(11)を有する芯材保持体(5)とが容器本体(1)に具備され、前記芯筒(3)と外筒(4)相互間の回動により前記芯材(8)が前記芯筒(3)の開口部(9)から出没自在とされ、該芯筒(3)の開口部(9)を覆うように前記容器本体(1)に蓋体(2)が外嵌される棒状化粧料の容器において、前記芯材(8)を構成する化粧料が、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーンとを含有成分として含み、前記容器本体(1)と蓋体(2)との嵌合部、及び該容器本体(1)を構成する芯筒(3)と外筒(4)との嵌合部に、気密性保持手段が設けられていることを特徴とする棒状化粧料の容器。
【請求項2】
気密性保持手段がOリングである請求項1記載の棒状化粧料の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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