説明

椅子ワゴンを備えたキャビネット

【課題】本発明は、椅子として使用する際のバランスや、キャビネットに収納した際の意匠性を確保しつつ、座面を深く大きくとることができ、しかも、座面を前板に隣接した位置に設けることで無駄なスペースが生じないようにすることができる椅子ワゴンを備えたキャビネットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、躯体フレームと、その上部の座面と、前面の前板と、底部のキャスターと、転倒防止用のストッパーとを有する椅子ワゴンと、前面に設けた開口から前記椅子ワゴンを出し入れ可能な収納空間を備えたキャビネットであって、前記椅子ワゴンのストッパーが、前記前板の下方に、この前板と略面一となるように設けられ、前記座面が前記キャスターよりも前方に亘って設けられる椅子ワゴンを備えたキャビネットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子ワゴンを備えたキャビネットに関し、特には、転倒防止付きの椅子ワゴンを備えたキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
蹴込みを有するキャビネットに収納されたときに、その前面と略面一となり意匠性を損なわず収納されるとともに、椅子として使用したときにバランス性に優れた椅子ワゴンを備えたキャビネットが望まれている。
【0003】
このようなキャビネットに使用する椅子ワゴンとしては、椅子ワゴン本体がキャビネットに収納されたとき、このキャビネットの前板と略面一となる化粧前板と、座面と、キャスターとを有し、化粧前板の下端にはキャビネットの蹴込み形状に対応した蹴込みを設けたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−135616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の椅子ワゴンでは、椅子として使用する際のバランスを確保するため、座面を前板側のキャスターよりも後方(キャビネットの奥方向)に設置する必要があり、その分、座面の位置が、後方に移動せざるを得ず、座面が浅くなったり、座面と前板との間隔が大きくなり、無駄なスペースが生じる問題があった。特に、蹴込みを有するキャビネットに対応する場合は、蹴込みの分だけ、キャスターを後方に設けるため、座面はさらに後方に設置する必要があり、座面はかなり浅くなり、座面と前板との間隔(無駄なスペース)も拡大する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、椅子として使用する際のバランスや、キャビネットに収納した際の意匠性を確保しつつ、座面を深く大きくとることができ、しかも、座面を前板に隣接した位置に設けることで、座面と前板との間に無駄なスペースが生じない椅子ワゴンを備えたキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 躯体フレームと、その上部の座面と、前面の前板と、底部のキャスターと、転倒防止用のストッパーとを有する椅子ワゴンと、前面に設けた開口から前記椅子ワゴンを出し入れ可能な収納空間を備えたキャビネットであって、前記キャスターが、前記躯体フレーム底部の前部と後部に設けられ、前記椅子ワゴンのストッパーが、前記前板の下方に、この前板と略面一となるように設けられ、前記座面が前記前部キャスターよりも前方に亘って設けられる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
(2) (1)において、椅子ワゴンのストッパーが、上下方向に可動とされて、この可動範囲の略下限の位置でロックされる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
(3) (1)又は(2)において、椅子ワゴンが、躯体フレームに略垂直方向に固定された昇降シャフトと、ストッパーに連動するように連結されたガイドレールとを有し、前記昇降シャフトが、その側部に凹部を有し、前記ガイドレールが、前記昇降シャフトを貫通させる略水平方向の長穴を有し、この長穴の縁部が、前記凹部に嵌合することにより、前記ストッパーがロックされる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
(4) (1)から(3)の何れかにおいて、キャビネットが、その収納空間の側壁に固定した凸部材を有し、椅子ワゴンのガイドレールが、後方に向かって登り勾配の傾斜部を有し、前記椅子ワゴンを前記キャビネットの収納空間に収納する際は、前記凸部材が、前記傾斜部に当接して、前記ガイドレールを上方向に移動させ、前記キャビネットを収納した際は、前記凸部材が、前記傾斜部に当接したまま、前記ガイドレールが下方に移動しないよう支持し、前記椅子ワゴンを前記キャビネットの収納空間から引き出す際は、前記傾斜部が、前記凸部材に当接したまま、前記ガイドレールが下方に移動する椅子ワゴンを備えたキャビネット。
(5) (1)から(4)の何れかにおいて、椅子ワゴンのガイドレールが、ストッパーとの連結部を有する垂直部と、この垂直部に繋がり略水平方向に向かって伸び、昇降シャフトを貫通させる軸受を有する軸受部と、この軸受部に繋がり後方に向かって上り勾配で伸びる傾斜部と、この傾斜部に繋がり前方に向かって略水平に伸び、前記昇降シャフトを貫通させる長穴を有する水平部と、この水平部に繋がり略垂直下方の軸受部に向かって伸びる垂下部とを有し、前記傾斜部が、前記凸部材に当接しない状態では、前記垂下部の下端と、前記軸受部との間には隙間を有し、かつ、前記長穴の縁部が、前記昇降シャフトの凹部に嵌合することによりロックされており、前記傾斜部が、前記凸部材に当接すると、前記隙間の範囲内で、前記ガイドレールが変形して、前記水平部が前方に移動し、前記長穴の縁部と昇降シャフトの凹部との嵌合が外されることにより、前記ロックが解除される椅子ワゴンを備えたキャビネット。
(6) (5)において、傾斜部が、凸部材に当接しない状態では、垂下部の下端と、軸受部との間には隙間を有し、かつ、長穴の縁部が、昇降シャフトの凹部に嵌合することによりロックされており、垂直部が、ストッパーの下端側から、上方への力を加えられても、前記垂下部と軸受部との間の隙間の範囲内で、前記ストッパーの上昇が制限される椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、椅子として使用する際のバランスや、キャビネットに収納した際の意匠性を確保しつつ、座面を深く大きくとることができ、しかも、座面を前板に隣接した位置に設けることで、座面と前板との間に無駄なスペースが生じない椅子ワゴンを備えたキャビネットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示すように、本発明で使用する椅子ワゴン10としては、躯体フレーム12と、その上部の座面11と、前面の前板14と、底部のキャスター13と、転倒防止用のストッパー16とを有するものが挙げられる。また、躯体フレーム12底部のキャスター13は、前板14側には前部キャスター13aが、後部には後部キャスター13bが設けられる。
【0009】
本発明で使用するキャビネット1としては、前面に設けた開口8から椅子ワゴン10を出し入れ可能な収納空間2を備えたものが挙げられる。
【0010】
図3に示すように、椅子ワゴン10のストッパー16は、前板14の下方に、この前板14と略面一となる位置に設けられる。図3には、前板14と意匠上の統一性を図ることが可能な点で望ましい、ストッパー16が板状のものを示したが、ストッパー16の形状はこれに限られず、前板14の下端から垂直に降ろした平面上に位置するように設けられる(略面一となる)ものであって、椅子ワゴン10が傾かないように支えることが可能なものであればよい。例えば、前板14の下端から突き出した棒状のものや、蹴込み15から前方に突き出すように設けられたリブ状のものでもよい。これにより、キャビネット1の蹴込み5(図1)と統一性を持たせるために、椅子ワゴン10に蹴込み15が設けられ、前部キャスター13aが前板14よりも後方(キャビネット1の奥方向)に設けられる場合でも、前板14(キャビネット1の手前方向)に倒れる方向に斜めにしようとすると、前板14の下方に、この前板14と面一となるように設けられたストッパー16の下端が床面36に当接してそれ以上は傾斜しないように支えるため、椅子ワゴン1のバランスを保つことが可能になる。また、ストッパー16は前板14と面一の位置であるため、椅子ワゴン10を傾斜した際に、ストッパー16が床面36に当接する位置が、蹴込み15の下端が床面36に当接する位置よりも前方側となるため、従来のように蹴込み15の下端にストッパーを設ける場合に比べて、椅子として使用する際の安定性がより向上する。さらに、前板14とストッパー16とが面一であるため、意匠性にも優れる。
【0011】
椅子ワゴン10の座面11は、前部キャスター13aよりも前方に亘って設けられる。このように、座面11を設けても、上述したストッパー16によって、椅子として使用した場合のバランスが保たれる。このため、蹴込み5を有するキャビネット1に対しても、椅子として使用する際のバランスや、キャビネット1に収納した際の意匠性を確保しつつ、座面11を深く大きくとることができ、しかも、座面11を前板に隣接した位置に設けることで無駄なスペースが生じないようにすることができる。また、座面11の前方(キャビネット1の手前方向)側の端部近傍には、深座り防止バー17が設けられるのが望ましい。これにより、使用者が座面11から前方側にはみ出して座るのを防止する。
【0012】
椅子ワゴン10のストッパー16は、上下方向に可動とされて、この可動範囲37の略下限の位置でロックされるのが望ましい。これにより、ストッパー16の下端と床面36との距離が小さくなり、椅子ワゴン10が、前方(キャビネット1の手前方向)に斜めになる角度が小さくなるため、より椅子として使用した場合のバランスが保たれる。
【0013】
図2に示すように、椅子ワゴン10が、躯体フレーム12に略垂直方向に固定された昇降シャフト21と、ストッパー16に連動するように、連結部31によって連結されたガイドレール20とを有するのが望ましい。これにより、ガイドレール20を操作することにより、これに連動して、ストッパー16を上下させることができる。昇降シャフト21が、その側部に凹部22を有し、ガイドレール20が、昇降シャフト21を貫通させる略水平方向の長穴23を有し、この長穴23の縁部が、凹部22に嵌合することにより、ストッパー16がロックされるのが望ましい。これにより、長穴23を水平方向に移動することで、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22とが嵌合されたり、嵌合が解除されたりすることが可能になる。また、昇降シャフト21の凹部22の位置によって、ストッパー16がロックされる高さを容易に設定することができる。
【0014】
図1、図3に示すように、キャビネット1が、その収納空間2の側壁9に固定した凸部材4を有し、椅子ワゴン10のガイドレール20が、後方(キャビネット1の奥方向)に向かって登り勾配の傾斜部28を有するのが望ましい。また、図3に示すように、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2に収納する場合(キャビネット1の奥方向へ移動する場合)は、凸部材4が、傾斜部28に当接して、ガイドレール20を上方向に移動させ(図3(a)、(b)、(c)の順の移動。)、キャビネット1に収納した状態では、凸部材4が、傾斜部28に当接したまま、ガイドレール20が下方に移動しないよう支持し(図3(c)の状態。)、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2から引き出す際(キャビネット1の手前方向へ移動する場合)は、傾斜部28が、凸部材4に当接したまま、ガイドレール20が下方に移動する(図3(c)、(b)、(a)の順の移動。)のが望ましい。これにより、ストッパー16を上下に操作することなく、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2から出し入れする操作をするだけで、ストッパー16を上下することができる。また、このため、ストッパー16を下げるのを忘れる心配がない。
【0015】
図2に示すように、椅子ワゴン10のガイドレール20が、ストッパー16との連結部31を有する垂直部32と、この垂直部32に繋がり略水平方向に向かって伸び、昇降シャフト21を貫通させる軸受24を有する軸受部27と、この軸受部27に繋がり後方(キャビネットの奥方向)に向かって上り勾配で伸びる傾斜部28と、この傾斜部28に繋がり前方(キャビネットの手前方向)に向かって略水平に伸び、昇降シャフト21を貫通させる長穴23を有する水平部29と、この水平部29に繋がり略垂直下方の軸受部27に向かって伸びる垂下部30とを有するのが望ましい。また、図2、図4に示すように、傾斜部28が、凸部材4に当接しない状態では(図4(a))、垂下部30の下端と、軸受部27との間には隙間25を有し、かつ、長穴23の縁部が、昇降シャフト21の凹部22に嵌合することによりロックされており、傾斜部28が、凸部材4に当接すると(図4(b)、(c))、隙間25の範囲内で、ガイドレール20が変形して、水平部29が前方(キャビネットの手前方向)に移動し、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22との嵌合が外され、ロックが解除されるのが望ましい。つまり、長穴23が、その移動方向35を示す矢印のように移動することによって、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22との相対的位置が変化し、ロックと解除が行われるのが望ましい。これにより、ストッパー16やロック機構であるガイドレール20を操作することなく、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2から出し入れする操作をするだけで、ストッパー16を上下することができ、また、ストッパー16の可動範囲37の略下限でのロックやその解除を行うことができるため、非常に使い勝手がよい。また、このため、ストッパー16を下げてロックしたり、反対に、ロックを解除しストッパー16を上げるのを忘れる心配がない。
【0016】
ガイドレール20のうちで、垂直部32を除く、軸受部27と傾斜部28と水平部29と垂下部30とが、いわゆるトライアングルばね26を形成するようにし、垂下部30の下端と軸受部27との隙間25の間隔の範囲で、弾性変形するようにするのが望ましい。これにより、昇降シャフト21の凹部22に対する水平部29の長穴23の水平方向の位置も、弾性的に変化するようにできる。また、図4(a)のように、傾斜部28に凸部材4が当接しておらず、力が作用していない状態では、水平部29の長穴23の水平方向の位置は、長穴23の縁部が昇降シャフト21の凹部22に嵌合した状態(ロック状態)となる位置となり、一方、図4(b)、(c)のように、傾斜部28に凸部材4が当接して、力が作用している状態に限っては、水平部29の長穴23の水平方向の位置は、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22との嵌合が解除(ロック解除)される位置となるようにするのがさらに望ましい。これにより、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2から出し入れする操作をするだけで、ストッパー16のロックやその解除を行う動作を確実に行うことが可能になる。
【0017】
傾斜部28が、凸部材4に当接しない状態では、垂下部30の下端と、軸受部27との間には隙間25を有し、かつ、長穴23の縁部が、昇降シャフト21の凹部22に嵌合することによりロックされており、垂直部32が、ストッパー16の下端側から、上方への力を加えられても、垂下部30と軸受部27との間の隙間25の範囲内で、ストッパー16の上昇が制限されるのが望ましい。これにより、椅子ワゴン10が前方(キャビネットの手前方向)に傾けようとしても、ストッパー16は、垂下部30と軸受部27との間の隙間25の範囲までしか、上方に移動しない。このため、隙間25を適正に設定することにより、椅子ワゴン10が傾く許容範囲を、バランスを失わない程度に定めることができる。また、ストッパー16の下端側からの力が作用すると、軸受部27が垂下部30の下端に当接し、これを押し上げようとするが、垂下部30の上部に近い長穴23が、躯体フレーム12に固定された昇降シャフト21の凹部22によって、しっかりとロックされているため、隙間25の範囲以上にストッパー16が上昇するのを防止することができる。
【0018】
図5〜図7に示すように、椅子ワゴン10の前板14とストッパー16は、面一とし、かつ統一感のあるデザインとするのが望ましい。特に、図5に示すように、椅子ワゴン10をキャビネット1に収納した場合は、椅子ワゴン10の前板14及びストッパー16と、キャビネット1の幕前板3や引き出し33の前板34が面一となるようにするのが望ましい。また、椅子ワゴン10の取っ手19が、キャビネット1の取っ手6と直線状になるようにするのが望ましい。これにより、椅子ワゴン10とキャビネット1との意匠に一体感を生じさせることができ、意匠性が向上する。
【実施例】
【0019】
本発明の椅子ワゴンを備えたキャビネットの実施例を図1〜7に示す。
【0020】
図1に示すように、本実施例で使用する椅子ワゴン10は、躯体フレーム12と、その上部の座面11と、前面の前板14と、底部のキャスター13と、転倒防止用のストッパー16とを有するものである。また、本実施例で使用するキャビネット1は、前面に設けた開口8から椅子ワゴン10を出し入れ可能な収納空間2を備えたものである。また、躯体フレーム12底部のキャスター13は、前板14側には前部キャスター13aが、後部には後部キャスター13bが設けられる。
【0021】
椅子ワゴン10のストッパー16は、前板14の下方に、この前板14と略面一となるように設けられ、上下方向に可動とされて、この可動範囲37の略下限の位置でロックされる。ストッパー16の下端には、床面36に当接した際の緩衝や傷防止のため、ゴム製の緩衝部材が取り付けられる。また、椅子ワゴン10の座面11は、前部キャスター13aよりも前方に亘って設けられる。座面11の前方(キャビネット1の手前方向)側の端部近傍には、深座り防止バー17が設けられ、使用者が座面11から前方側にはみ出して座るのを防止する。
【0022】
図2に示すように、椅子ワゴン10は、躯体フレーム12に略垂直方向に固定された昇降シャフト21と、ストッパー16に連動するように連結されたガイドレール20とを有する。また、昇降シャフト21が、その側部に凹部22を有し、ガイドレール20が、昇降シャフト21を貫通させる略水平方向の長穴23を有し、この長穴23の縁部が、凹部22に嵌合することにより、ストッパー16がロックされる。
【0023】
図2に示すように、キャビネット1が、その収納空間2の側壁9に固定した凸部材4を有し、椅子ワゴン10のガイドレール20が、後方(キャビネット1の奥方向)に向かって登り勾配の傾斜部28を有する。凸部材4としては、軟質樹脂製のツバ付ローラーを用いる。また、図3に示すように、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2に収納する場合(キャビネット1の奥方向へ移動する場合)は、凸部材4が、傾斜部28に当接して、ガイドレール20を上方向に移動させ(図3(a)、(b)、(c)の順の移動。)、キャビネット1に収納した状態では、凸部材が、傾斜部28に当接したまま、ガイドレール20が下方に移動しないよう支持し(図3(c)の状態。)、椅子ワゴン10をキャビネット1の収納空間2から引き出す際(キャビネット1の手前方向へ移動する場合)は、傾斜部28が、凸部材4に当接したまま、ガイドレール20が下方に移動する(図3(c)、(b)、(a)の順の移動。)ようにする。
【0024】
図2に示すように、椅子ワゴン10のガイドレール20が、ストッパー16との連結部31を有する垂直部32と、この垂直部32に繋がり略水平方向に向かって伸び、昇降シャフト21を貫通させる軸受24を有する軸受部27と、この軸受部27に繋がり後方(キャビネットの奥方向)に向かって上り勾配で伸びる傾斜部28と、この傾斜部28に繋がり前方(キャビネットの手前方向)に向かって略水平に伸び、昇降シャフト21を貫通させる長穴23を有する水平部29と、この水平部29に繋がり略垂直下方の軸受部27に向かって伸びる垂下部30とを有する。また、傾斜部28が、凸部材4に当接しない状態では(図4(a))、垂下部30の下端と、軸受部27との間には隙間25を有し、かつ、長穴23の縁部が、昇降シャフト21の凹部22に嵌合することによりロックされており、傾斜部28が、凸部材4に当接すると(図4(b)、(c))、隙間25の範囲内で、ガイドレール20が変形して、水平部29が前方(キャビネットの手前方向)に移動し、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22との嵌合が外され、ロックが解除される。
【0025】
ガイドレール20のうちで、垂直部32を除く、軸受部27と傾斜部28と水平部29と垂下部30とが、いわゆるトライアングルばね26を形成するようにし、垂下部30の下端と軸受部27との隙間25の間隔の範囲で、弾性変形するようにする。また、図4(a)のように、傾斜部28に凸部材4が当接しておらず、力が作用していない状態では、水平部29の長穴23の水平方向の位置は、長穴23の縁部が昇降シャフト21の凹部22に嵌合した状態(ロック状態)となる位置となり、一方、図4(b)、(c)のように、傾斜部28に凸部材4が当接して、力が作用している状態に限っては、水平部29の長穴23の水平方向の位置は、長穴23の縁部と昇降シャフト21の凹部22との嵌合が解除(ロック解除)される位置となるようにする。
【0026】
傾斜部28が、凸部材4に当接しない状態では、垂下部30の下端と、軸受部27との間には隙間25を有し、かつ、長穴23の縁部が、昇降シャフト21の凹部22に嵌合することによりロックされており、垂直部32が、ストッパー16の下端側から、上方への力を加えられても、垂下部30と軸受部27との間の隙間25の範囲内で、ストッパー16の上昇が制限される。
【0027】
図5〜図7に示すように、椅子ワゴン10の前板14とストッパー16は、面一とし、かつ統一感のあるデザインとする。特に、図5に示すように、椅子ワゴン10をキャビネット1に収納した場合は、椅子ワゴン10の前板14及びストッパー16と、キャビネット1の幕前板3や引き出し33の前板34が面一となるようにする。また、椅子ワゴン10の取っ手19が、キャビネット1の取っ手6と直線状になるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例の椅子ワゴンを備えたキャビネットの斜視図である。
【図2】本発明の実施例に使用する椅子ワゴンのロック機構部の拡大図である。
【図3】本発明の実施例に使用する椅子ワゴンのストッパーの動作を表す側面図である。
【図4】本発明の実施例に使用する椅子ワゴンのロック機構部の動作を表す側面図である。
【図5】本発明に実施例の椅子ワゴンを備えたキャビネットの斜視図である(椅子ワゴン収納後の状態)。
【図6】本発明に実施例の椅子ワゴンを備えたキャビネットの斜視図である(椅子ワゴンを引き出す途中の状態)。
【図7】本発明に実施例の椅子ワゴンを備えたキャビネットの斜視図である(椅子ワゴン引き出した後の状態)。
【符号の説明】
【0029】
1…キャビネット、2…収納空間、3…幕前板、4…凸部材、5…蹴込み、6…取っ手、7…シンク、8…開口、9…側壁、10…椅子ワゴン、11…座面、12…躯体フレーム、13…キャスター、13a…前部キャスター、13b…後部キャスター、14…前板、15…蹴込み、16…ストッパー、17…深座り防止バー、18…底板、19…取っ手、20…ガイドレール、21…昇降シャフト、22…凹部、23…長穴、24…軸受、25…隙間、26…トライアングルばね、27…軸受部、28…傾斜部、29…水平部、30…垂下部、31…連結部、32…垂直部、33…引き出し、34…前板、35…移動方向、36…床面、37…可動範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体フレームと、その上部の座面と、前面の前板と、底部のキャスターと、転倒防止用のストッパーとを有する椅子ワゴンと、前面に設けた開口から前記椅子ワゴンを出し入れ可能な収納空間を備えたキャビネットであって、前記キャスターが、前記躯体フレーム底部の前部と後部に設けられ、前記椅子ワゴンのストッパーが、前記前板の下方に、この前板と略面一となるように設けられ、前記座面が前記前部キャスターよりも前方に亘って設けられる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【請求項2】
請求項1において、椅子ワゴンのストッパーが、上下方向に可動とされて、この可動範囲の略下限の位置でロックされる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【請求項3】
請求項1又は2において、椅子ワゴンが、躯体フレームに略垂直方向に固定された昇降シャフトと、ストッパーに連動するように連結されたガイドレールとを有し、前記昇降シャフトが、その側部に凹部を有し、前記ガイドレールが、前記昇降シャフトを貫通させる略水平方向の長穴を有し、この長穴の縁部が、前記凹部に嵌合することにより、前記ストッパーがロックされる椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【請求項4】
請求項1から3の何れかにおいて、キャビネットが、その収納空間の側壁に固定した凸部材を有し、椅子ワゴンのガイドレールが、後方に向かって登り勾配の傾斜部を有し、前記椅子ワゴンを前記キャビネットの収納空間に収納する際は、前記凸部材が、前記傾斜部に当接して、前記ガイドレールを上方向に移動させ、前記キャビネットを収納した際は、前記凸部材が、前記傾斜部に当接したまま、前記ガイドレールが下方に移動しないよう支持し、前記椅子ワゴンを前記キャビネットの収納空間から引き出す際は、前記傾斜部が、前記凸部材に当接したまま、前記ガイドレールが下方に移動する椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【請求項5】
請求項1から4の何れかにおいて、椅子ワゴンのガイドレールが、ストッパーとの連結部を有する垂直部と、この垂直部に繋がり略水平方向に向かって伸び、昇降シャフトを貫通させる軸受を有する軸受部と、この軸受部に繋がり後方に向かって上り勾配で伸びる傾斜部と、この傾斜部に繋がり前方に向かって略水平に伸び、前記昇降シャフトを貫通させる長穴を有する水平部と、この水平部に繋がり略垂直下方の軸受部に向かって伸びる垂下部とを有し、前記傾斜部が、前記凸部材に当接しない状態では、前記垂下部の下端と、前記軸受部との間には隙間を有し、かつ、前記長穴の縁部が、前記昇降シャフトの凹部に嵌合することによりロックされており、前記傾斜部が、前記凸部材に当接すると、前記隙間の範囲内で、前記ガイドレールが変形して、前記水平部が前方に移動し、前記長穴の縁部と昇降シャフトの凹部との嵌合が外されることにより、前記ロックが解除される椅子ワゴンを備えたキャビネット。
【請求項6】
請求項5において、傾斜部が、凸部材に当接しない状態では、垂下部の下端と、軸受部との間には隙間を有し、かつ、長穴の縁部が、昇降シャフトの凹部に嵌合することによりロックされており、垂直部が、ストッパーの下端側から、上方への力を加えられても、前記垂下部と軸受部との間の隙間の範囲内で、前記ストッパーの上昇が制限される椅子ワゴンを備えたキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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