説明

椅子

【課題】ねじ止め作業等を行うことなく、各部材を簡単かつ確実に組み付けることができ、しかも組付後に、外れることがないようにした椅子を提供する。
【解決手段】座の側方より起立し、上端が開口し、下端が底壁11aをもって閉塞され、かつ底壁11aに係合孔19が設けられた肘掛支持筒11と、肘掛支持筒11の上端の開口より肘掛支持筒11内に嵌合され、上部が肘掛支持筒11の上端より上方に突出し、かつ下端に、肘掛支持筒内11に上方より挿入されたとき、底壁11aの係合孔19に嵌合係止されるようにした弾性係止爪18が設けられた肘掛け支持体と、肘掛支持筒11の上端より上方に突出した肘掛け支持体の上端に支持された肘掛け13とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単かつ確実に組み付けることができるようにした肘掛けを有する椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
高級仕様の事務用椅子には、座板の高さ調整機構や、背板のリクライニング機構を備えるほか、肘掛けの高さを調節可能とした肘掛装置を設けたものがある。
【0003】
この種の肘掛装置の従来例として、例えば下記特許文献1に記載されているようなものがある。
【0004】
このものは、座の側方より起立する筒状の肘掛け支柱の上端より、肘当てを支持する肘当て支持杆を、上下方向に摺動可能として嵌合し、肘当て支持杆の上部に前後方向に進退自在に設けた操作ノブの押動操作により、肘当て支持杆内に中間部を支点として回動可能に設けた操作杆の上部を後方に押動し、それによって、操作杆の下部に設けた係合ピンを前方に移動し、肘掛け支柱の内面に嵌合したガイドスリーブの両側面に設けた上下方向を向くガイド孔後縁に上下多段状に設けた係止溝のいずれかに係合していた上記係合ピンを、その係合溝から離脱させ、その状態で、肘当ておよび肘当て支持杆を所望の高さに移動させた後、操作ノブから手を離すと、肘当て支持杆内に設けた付勢手段の付勢力により、上記係合ピンが後方に移動させられ、いずれかの係合溝に係合するようになっている。
【0005】
また、上記ガイドスリーブは、ほぼ半円弧状断面の2個の半割片を向き合わせて接合した状態で、各半割片の上端に設けた外向き鍔部が、肘掛け支柱の上端に当接するまで、肘掛け支柱内に圧嵌されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−185629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のものにおいては、2分割構造としたガイドスリーブは、両半割片を向き合わせて接合した状態で、各半割片の上端に設けた外向き鍔部が、肘掛け支柱の上端に当接するまで、肘掛け支柱内に圧嵌してあるだけであるので、肘当てを引き上げる際等に、肘掛け支柱から上方に抜け外れるおそれがある。
これを防止するため、ガイドスリーブを肘掛け支柱にねじ止めすることが考えられるが、それによると、ねじの頭部が外部に露呈し、体裁が悪くなるとともに、ねじ止め作業が煩雑になり、組付作業性が悪くなる。
【0008】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ねじ止め作業等を行うことなく、各部材を簡単かつ確実に組み付けることができ、しかも組付後に、外れることがないようにした肘掛けを有する椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)座の側方より起立し、上端が開口し、下端が底壁をもって閉塞され、かつ前記底壁に係合孔が設けられた肘掛支持筒と、前記肘掛支持筒の上端の開口より前記肘掛支持筒内に嵌合され、上部が前記肘掛支持筒の上端より上方に突出し、かつ下端に、前記肘掛支持筒内に上方より挿入されたとき、前記底壁の係合孔に嵌合係止されるようにした弾性係止爪が設けられた肘掛け支持体と、前記肘掛支持筒の上端より上方に突出した肘掛け支持体の上端に支持された肘掛けとを備えるものとする。
【0010】
このような構成によると、肘掛けを装着した肘掛支持体を、肘掛支持筒に上方より挿入するだけで、弾性係止爪が肘掛支持筒の底壁における係合孔に嵌合係止され、肘掛支持体が肘掛支持筒より抜け止めされるので、ねじ止め作業等を行うことなく、各部材を簡単かつ確実に組み付けることができ、しかも組付後に、肘掛支持体が肘掛支持筒より外れることがない。
【0011】
(2)上記(1)項において、肘掛支持筒の底壁における係合孔に、弾性係止爪の背面に当接して、弾性係止爪の係合孔から外れる方向への弾性撓曲を阻止する差し込み片を嵌合する。
【0012】
このような構成によると、肘掛支持筒の底壁における係合孔に、弾性係止爪の背面に当接して、弾性係止爪の係合孔から外れる方向への弾性撓曲を阻止する差し込み片を嵌合してあるので、弾性係止爪が、係合孔から外れるのを防止することができ、ひいては、肘掛支持体が肘掛支持筒から外れるのを防止することができる。
【0013】
(3)上記(2)項において、差し込み片を、肘掛支持筒の底壁の下面を覆う下部カバーの上面に突設する。
【0014】
このような構成によると、差し込み片を、肘掛支持筒の底壁の下面を覆う下部カバーの上面に突設してあるので、差し込み片を係合孔に嵌合し易くなり、また、肘掛支持筒の底壁、特に係合孔の部分が下部カバーにより覆われるので、体裁がよくなる。
【0015】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、肘掛け支持体が、肘掛支持筒内に嵌合された中筒と、前記中筒に上下方向に移動可能として嵌合され、上部が前記肘掛支持筒の上端より上方に突出し、かつ上端に肘掛けが支持された肘掛支持杆と、前記中筒に対する肘掛支持杆の高さを調節する高さ調節装置とを備えており、前記中筒の下端に弾性係止爪を設ける。
【0016】
このような構成によると、中筒と肘掛支持杆と高さ調節装置とを、一体として、肘掛支持筒に上方より挿入するだけで、弾性係止爪が肘掛支持筒の底壁における係合孔に嵌合係止され、中筒が肘掛支持筒より抜け止めされるので、ねじ止め作業等を行うことなく、各部材を簡単かつ確実に組み付けることができ、しかも組付後に、中筒が肘掛支持筒より外れることがない。
【0017】
(5)上記(4)項において、中筒を、ほぼ半円弧状断面の2個の半割片を向き合わせて接合することにより形成するとともに、各半割片の下端両側部より垂下する弾性係止爪の側面同士を互いに突き合わせて、同一の係合孔に嵌合係止させる。
【0018】
このような構成によると、肘掛支持杆に係合ピンを装着した状態で、2個の半割片を、肘掛支持杆に、左右から挟むようにして、簡単に装着することができ、組み付け作業性をよくすることができるとともに、両半割片を向き合わせて接合したとき、左右に対向する弾性係止爪の側面同士が互いに接合し、この接合した2個の弾性係止爪を、肘掛支持筒の底壁に設けた係合孔に嵌合係止することにより、中筒は、両半割片が位置ずれすることなく、肘掛支持筒より抜け止めされる。また、肘掛支持筒の底壁に設ける係合孔の数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ねじ止め作業等を行うことなく、各部材を簡単かつ確実に組み付けることができ、しかも組付後に、中筒が外れることがないようにした、椅子における肘掛けの高さ調節装置を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の椅子の一実施形態の斜視図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】肘掛装置の分解斜視図である。
【図4】肘掛装置における高さ調節装置の部分の拡大分解斜視図である。
【図5】図4図示の状態から、一部の部材を組み付けた状態を示す分解斜視図である。
【図6】同じく、組立完成状態を示す斜視図である。
【図7】完成した肘掛装置を斜め下方より見た斜視図である。
【図8】同じく、縦断側面図である。
【図9】本発明の肘掛装置の第2の実施形態の下部の縦断側面図である。
【図10】同じく、下部の縦断正面図である。組立完成状態を示す斜視図である。
【図11】同じく、下方より見た分解斜視図である。
【図12】下部カバーを斜め上方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の椅子の第1の実施形態の斜視図、図2は、同じく側面図である。
この椅子は、先端部にキャスタ1が設けられた放射状の5本の脚杆2の中心部に支持された脚柱3と、この脚柱3の上端に設けられた支基4と、この支基4の上方に、支持リンク5を介して支持された座6と、支基4に左右方向を向く軸7をもって枢着され、後傾可能とした背凭れ8と、座6の両側方(片方のみとすることもある)より起立する肘掛装置9とを備えている。
【0022】
図3〜図8は、肘掛装置9の詳細を示す。
肘掛装置9は、下端部内面に設けたブラケット10を、座6の側部下面に固着することにより、座6の側方より若干前傾姿勢で起立するようにした肘掛支持筒11と、この肘掛支持筒11内面に内接するように嵌合された中筒12と、肘掛け13を支持するとともに、中筒12内に上下方向に摺動可能として嵌合された筒状の肘掛支持杆14と、肘掛支持筒11に対する肘掛支持杆14の高さを調節する高さ調節装置15とを備えている。
また、肘掛支持筒内に嵌合された中筒12と、中筒12に上下方向に移動可能として嵌合され、上部が肘掛支持筒の上端より上方に突出し、かつ上端に肘掛け13が支持された肘掛支持杆14と、中筒12に対する肘掛支持杆14の高さを調節する高さ調節装置15とによって、肘掛け支持体が形成されている。
【0023】
肘掛支持筒11と中筒12と肘掛支持杆14とは、前後方向を向く長軸を、左右方向を向く短軸よりわずかに長くした楕円形断面の筒状としてあるが、断面円弧状その他の形状としてもよい。
【0024】
中筒12は、左右に2分割した2個の半割片12A、12Bを向き合わせて接合することにより形成されている。両半割片12A、12Bの対向面の4隅部には、正規の位置関係したとき、互いに嵌合するようにした位置決め用の凹部16と凸部17とが設けられている。
【0025】
両半割片12A、12Bの対向部の下端前後部には、下端部に前後外向きの爪18aを有する弾性係止爪18が垂下するように設けられており、両半割片12A、12Bを向き合わせて接合したとき、左右に対向する弾性係止爪18、18の側面同士が互いに接合し、この接合した2個の弾性係止爪18、18を、肘掛支持筒11の下端を閉塞する底壁11aに設けた係合孔19(図7および図8参照)に嵌合係止することにより、中筒12は、両半割片12A、12Bが位置ずれすることなく、肘掛支持筒11より抜け止めされている。
【0026】
高さ調節装置15は、肘掛支持杆14の上部前面に設けられた切欠き20を通って前下方に突出する操作部21aを有するとともに、後端部に、下向きU字状の係合凹部21bを有し、かつ中間部が左右方向を向く軸21cをもって、肘掛支持杆14の上部に枢着された操作レバー21と、側面形が上下方向に長いほぼ菱形をなし、中間部を中心に回動可能として、肘掛支持杆14内に嵌合され、上端部に、操作レバー21の係合凹部21bに受け入れられて係合する、左右方向を向く軸部22aが設けられ、かつ下端部に、肘掛支持杆14のやや下部の両側壁に設けられた前後方向を向く長孔23を通って、肘掛支持杆14を左右方向に貫通する係合ピン24の中間部が貫通する左右方向を向くピン挿入孔22bが設けられた回動レバー22と、中筒12の各半割片12A、12Bにそれぞれ設けられ、かつ肘掛支持杆14の両側方に突出する係合ピン24の各端部が嵌合するようにした係合孔25とを備えている。
【0027】
操作レバー21は、その中間部両側面に突設した軸21cを、肘掛支持杆14の上端の開口縁に設けた上方に開口する左右1対の凹部26に上方より嵌合し、かつ操作レバー21の中間部の上面に、肘掛支持杆14の上端開口部を閉塞する閉塞部材27の下面を当接させることにより、軸21cを、凹部26より抜け止めして、肘掛支持杆14の上部に簡単に装着しうるようにしてある。
【0028】
回動レバー22の上下方向の中間部には、肘掛支持杆14の前後の内面に内接するとともに、菱形の前後の頂部に相当する部分において、曲率中心が同一の円弧状をなして前後に突出する膨出部22cが設けられ、回動レバー22は、特別に枢軸を設けることなく、この膨出部22cの曲率中心を中心として、肘掛支持杆14内において回動しうるようになっている。
【0029】
各半割片12A、12Bに設けられた係合孔25は、中筒12の軸線方向を向く長孔状の連絡孔25aと、その前縁に、前方を向く凹溝状をなして上下多段状に設けられた複数の係合部25bとからなり、肘掛支持杆14より両側方に突出する係合ピン24の各端部が、前記連絡孔25aに嵌合しているときは、係合ピン24およびは肘掛支持杆14は、中筒12および肘掛支持筒11に対して、上下方向に自由に移動することができ、係合ピン24が、いずれかの係合部25bに係合しているときは、係合ピン24および肘掛支持杆14の上下方向の移動は阻止されるようになっている。
【0030】
回動レバー22の下端部には、後上方を向く弾性舌片28が一体的に形成されており、この弾性舌片28の先端部が、肘掛支持杆14の後部内面に圧接することにより、回動レバー22は、図8に実線で示すように、係合ピン24が係合孔25におけるいずれかの係合部25bに係合する係止位置に向けて常時付勢されている。
すなわち、この弾性舌片28は、回動レバー22を、係合ピン24がいずれかの係合部25bに係合する方向に向けて付勢する付勢手段をなしている。
【0031】
したがって、図8に実線で示すように、常時は、この付勢手段の作用により、係合ピン24はいずれかの係合部25bに係合し、肘掛け13は、その係合部25bに対応する高さに保持され、操作レバー21は、その操作部21aが切欠き20より前下方に突出する非操作位置に位置している。
【0032】
この状態から、肘掛け13の高さを変更したい場合は、まず、操作レバー21の操作部21aを、この弾性舌片28の付勢力に抗して、非操作位置から、図8に想像線で示すように、上方の操作位置に向かって上向きに回動させる。
すると、操作レバー21の後部の係合凹部21bが、前方に回動し、それに伴って、係合凹部21bと上端の軸部22aが係合している回動レバー22は、図8に想像線で示すように、反時計回りに回動させられ、係合ピン24は、係合孔25の係合部25bから離脱して、連絡孔25a内に嵌合する係止解除位置へ移動させられる。
【0033】
ついで、操作レバー21の操作部21aを操作位置に保持したままの状態で、肘掛け13および肘掛支持杆14を、所望の高さまで上昇または下降させる。
このとき、係合ピン24は、連絡孔25a内に位置しているので、その連絡孔25a内を自由に上下動することができる。
【0034】
所望の高さに到達した後、操作レバー21の操作部21aから手を離すか、または操作力を緩めると、弾性舌片28の付勢力により、回動レバー22は、元の係止位置に向かって付勢させられ、係合ピン24は、そのときの最も近い係合部25bに係合させられる。なお、係合ピン24が、いずれかの係合部25bに適正に係合しないときは、肘掛け13を若干上下いずれかに移動させればよい。
【0035】
係合ピン24がいずれかの係合部25bに適正に係合し、回動レバー22が係止位置に復帰させられると、それに伴って、操作レバー21も非操作位置に復帰させられる。
【0036】
また、この肘掛装置9の組立てに際しては、肘掛支持杆14に操作レバー21を装着した後、操作レバー21を位置決めしておき、かつ回動レバー22を、肘掛支持杆14の下端から上方に向けて差し込むだけで、操作レバー21の後端部と回動レバー22の上端部とが、係合凹部21bを介して互いに係合するとともに、肘掛支持杆14の長孔23と回動レバー22のピン挿入孔22bとを整合させた状態で、簡単に組み立てることができる。このとき、操作レバー21は、重心が軸21cより操作部21a寄りに位置するように、操作部21aを重く形成しておくことにより、自重で非操作位置に位置決めされ、また、回動レバー22は、弾性舌片28を、肘掛支持杆14の後部内面に圧接させることにより、係止位置に位置決めされるので、操作レバー21および回動レバー22のための特別な位置決め手段を設ける必要はない。
【0037】
この状態で、互いに整合した肘掛支持杆14の長孔23と回動レバー22のピン挿入孔22bとに、係合ピン24を貫通させた後、その左右両側方より、両半割片12A、12Bを、互いに向き合わせて、かつ係合ピン24の両端が予め定めた係合部25bに係合するようにして、肘掛支持杆14を挟んで接合させ、それらを一体として、肘掛支持筒11内に上方より挿入し、互いに接合された左右に対応する弾性係止爪18、18を、肘掛支持筒11の底壁11aにおける係合孔19に嵌合係止させることにより、ねじ等を全く使用することなく、肘掛支持筒11、中筒12、肘掛支持杆14、操作レバー21、回動レバー22等を、簡単かつ確実に組み立てることができる。
【0038】
肘掛け13は、本発明には直接関係しないので、その詳細な説明は省略するが、この例では、図3に示すように、肘掛基板29と、チルト部材30と、固定円板31と、芯材32と、クッション材33と、肘掛パッド34とを、順次積み重ねて、合体させることにより、左右方向に旋回可能で、しかも、左右方向に平行移動もできるような構成としてある。
【0039】
図9〜図12は、本発明の第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態におけるのと同一または類似の部材には、同一の符号をもって図示するに止め、それらについての詳細な説明は省略する。
この実施形態においては、肘掛支持筒11の底壁11aにおける前後の係合孔19に、弾性係止爪18の背面に当接して、弾性係止爪18の係合孔19から外れる方向への弾性撓曲を阻止する差し込み片35を嵌合してあるので、弾性係止爪18が、係合孔19から外れるのを防止することができ、ひいては、中筒12が肘掛支持筒11から外れるのを防止できるようにしてある。
【0040】
また、前後の差し込み片35を、肘掛支持筒11の底壁11aの下面を覆う下部カバー36の上面に突設してあるので、差し込み片35を係合孔19に嵌合し易くなり、また、肘掛支持筒11の底壁11a、特に係合孔19の部分が下部カバー36により覆われるので、体裁がよくなる。
【0041】
さらに、この例では、肘掛支持筒11の底壁11aの中央に、円形孔37を設け、中筒12における左右の半割片12A、12Bの下端部に、この円形孔37の左右の縁に弾性係合するようにした1対の平面視円弧状の弾性係合爪38、38を設け、さらに、下部カバー36の上面中央に、円形孔37に弾性係合した左右の弾性係合爪38、38間に下方より嵌合することにより、両弾性係合爪38、38のないほうへの弾性撓曲を阻止する差し込み片39と、円形孔37の前後の縁に弾性係合する弾性係合片40、40を設けてある。
このような構成を付加することにより、中筒12が肘掛支持筒11から外れるのを、より強力に防止することができる。
【0042】
なお、第1の実施形態においては、操作レバー21の後端部に、下向きU字状の係合凹部21bを設け、これに、回動レバー22の軸部22aが受け入れられて係合するようにしてあるが、操作レバー21の後端部に、左右方向を向く軸部を設け、回動レバー22の上端部に、回動レバー22を肘掛支持杆14の下端より上方に向けて押し入れたとき、上記軸部を受け入れて係合するようにした上向きU字状の係合凹部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 キャスタ
2 脚杆
3 脚柱
4 支基
5 支持リンク
6 座
7 軸
8 背凭れ
9 肘掛装置
10 ブラケット
11 肘掛支持筒
11a底壁
12 中筒
12A、12B 半割片
13 肘掛け
14 肘掛支持杆
15 高さ調節装置
16 凹部
17 凸部
18 弾性係止爪
18a爪
19 係合孔
20 切欠き
21 操作レバー
21a操作部
21b係合凹部
21c軸
22 回動レバー
22a軸部
22bピン挿入孔
22c膨出部
23 長孔
24 係合ピン
25 係合孔
25a連絡孔
25b係合部
26 凹部
27 閉塞部材
28 弾性舌片(付勢手段)
29 肘掛基板
30 チルト部材
31 固定円板
32 芯材
33 クッション材
34 肘掛パッド
35 差し込み片
36 下部カバー
37 円形孔
38 弾性係合爪
39 差し込み片
40 弾性係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座の側方より起立し、上端が開口し、下端が底壁をもって閉塞され、かつ前記底壁に係合孔が設けられた肘掛支持筒と、
前記肘掛支持筒の上端の開口より前記肘掛支持筒内に嵌合され、上部が前記肘掛支持筒の上端より上方に突出し、かつ下端に、前記肘掛支持筒内に上方より挿入されたとき、前記底壁の係合孔に嵌合係止されるようにした弾性係止爪が設けられた肘掛け支持体と、
前記肘掛支持筒の上端より上方に突出した肘掛け支持体の上端に支持された肘掛け
とを備えることを特徴とする椅子。
【請求項2】
肘掛支持筒の底壁における係合孔に、弾性係止爪の背面に当接して、弾性係止爪の係合孔から外れる方向への弾性撓曲を阻止する差し込み片を嵌合した請求項1記載の椅子。
【請求項3】
差し込み片を、肘掛支持筒の底壁の下面を覆う下部カバーの上面に突設した請求項2記載の椅子。
【請求項4】
肘掛け支持体が、肘掛支持筒内に嵌合された中筒と、前記中筒に上下方向に移動可能として嵌合され、上部が前記肘掛支持筒の上端より上方に突出し、かつ上端に肘掛けが支持された肘掛支持杆と、前記中筒に対する肘掛支持杆の高さを調節する高さ調節装置とを備えており、前記中筒の下端に弾性係止爪を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】
中筒を、ほぼ半円弧状断面の2個の半割片を向き合わせて接合することにより形成するとともに、各半割片の下端両側部より垂下する弾性係止爪の側面同士を互いに突き合わせて、同一の係合孔に嵌合係止させた請求項4記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−223657(P2012−223657A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185430(P2012−185430)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2007−32413(P2007−32413)の分割
【原出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.カタログの名称「Visconteオフィスシーティング[ヴィスコンテ]シリーズ 2.カタログの発行者 株式会社岡村製作所 3.公開日 平成18年11月15日
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)