説明

椅子

【課題】回転動作を利用してメモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得る椅子において、メモ台本体の回転動作を行う際に使用者の好みに応じた操作感を得るようにする。
【解決手段】椅子本体1と、この椅子本体1にメモ台保持機構7を介してメモ台本体6を支持させてなるメモ台5とを具備してなる椅子Cにおいて、前記メモ台保持機構7が、メモ台本体6の少なくとも回転動作を利用して当該メモ台本体6を使用姿勢(UU)と格納姿勢(SS)との間で作動させ得るように構成され、前記回転動作を担う機構部分に回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素Mを設けているとともに、この摩擦付与要素Mに働きかけて前記摩擦抵抗の大きさを調整するための摩擦調整機構Kを備える構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校用または事務用等として好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子として、椅子本体と、この椅子本体に保持機構を介してメモ台本体を支持させてなるメモ台とを具備してなり、前記メモ台本体が、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なものが知られている(例えば特許文献1参照)。前記特許文献1記載の椅子においては、メモ台本体の回転動作を利用して当該メモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得るように前記保持機構が構成されている。
【0003】
ところで、前記特許文献1記載の椅子では、保持機構が、椅子本体のメモ台支持フレームに対して該メモ台支持フレームの中心軸周りに回動する構造体を備えており、この構造体が前記回転動作を担う機構部分を備えている。
【0004】
しかして、前記メモ台本体の回転動作を行う際の摩擦力が小さくなりすぎると、メモ台の板面を略鉛直な姿勢に保持しておきたいにもかかわらずメモ台が意図せずその板面が水平な姿勢となるまで移動したり、逆にメモ台が前記使用姿勢をとる際に外部からのわずかな作用によりメモ台が跳ね上がったりする不具合、さらには利用者によっては回転動作を行う際に操作感が感じられない不具合が発生しうる。逆に、前記メモ台本体の回転動作を行う際の摩擦力が大きくなりすぎると、メモ台本体の回転動作がしにくくなるという別の不具合が発生しうる。さらに、メモ台本体の回転動作がしにくいと感じられる摩擦力は利用者ごとに異なり、特定の利用者にとっては回転動作を行う際に操作感が感じられる程度の摩擦力であっても他の利用者にとっては回転動作を行う際に操作感が感じられないことや、特定の利用者にとっては回転動作がしにくく感じられるほどの大きさの摩擦力であっても他の利用者にとっては摩擦力が回転動作がしにくく感じられるほどの大きさではないといった問題も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3154256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、回転動作を利用してメモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得る椅子において、メモ台本体の回転動作を行う際に使用者の好みに応じた操作感を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、椅子本体と、この椅子本体に保持機構を介してメモ台本体を支持させてなるメモ台とを具備してなる椅子であって、前記保持機構が、メモ台本体の少なくとも回転動作を利用して当該メモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得るように構成され、前記回転動作を担う機構部分に回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素を設けているとともに、この摩擦付与要素に働きかけて前記摩擦抵抗の大きさを調整するための摩擦調整機構を備えていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、前記回転動作の摩擦抵抗の大きさを調整することにより、回転動作を行う際の操作感を使用者の好みに応じて設定することができる。
【0009】
椅子の組立の際に前記回転動作の摩擦抵抗の大まかな大きさを設定し、椅子の組み立て完了後に前記摩擦抵抗の微調整を行う態様に好適な構成として、前記摩擦調整機構が、組立完了状態において調整操作が不可能な状態で設けられたものであり、組立完了状態においても前記摩擦抵抗の大きさを微調整できるようにするための補助摩擦調整機構が併設されているものが挙げられる。
【0010】
また、このような摩擦調整機構を設けるための具体的な構成の一例として、前記メモ台本体が、使用姿勢から起立姿勢を経て格納姿勢に至るように構成されたものであって、前記保持機構の回転動作を担う機構部分が、前記メモ台本体を使用姿勢から起立姿勢に移行させるために椅子本体に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体と、前記メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移行させるために前記第1の構造体に対して第2の軸心回りに回動する第2の構造体とを備えたものであり、前記摩擦付与要素及び摩擦調整機構が、前記椅子本体と前記第1の構造体との間に設けられているものが挙げられる。
【0011】
上述したような摩擦付与要素及び摩擦調整機構を少ない部品点数で容易に実現するための構成として、前記第1の構造体が、椅子本体のメモ台支持フレームを内部に収納するブラケットと、このブラケットとの間に前記メモ台支持フレームを位置付けてなるベースとを備え、前記摩擦付与要素及び摩擦調整機構を、前記ベースに設けた雌ねじ孔と、この雌ねじ孔に対して螺進退可能であり前記メモ台支持フレームを前記ブラケットに向けて押圧する雄ねじ部材を利用して形成しているものが挙げられる。
【0012】
また、前段で述べたような態様において回転動作の摩擦力をみだりに変更させるのを抑制するための構成として、前記摩擦調整機構の雄ねじ部材が、組み立て完了状態において前記第2の構造体により被覆されるものが挙げられる。
【0013】
一方、上述したような椅子の組立の際に前記回転動作の摩擦抵抗の大まかな大きさを設定し、椅子の組み立て完了後に前記摩擦抵抗の微調整を行う態様において、補助摩擦調整機構を設けるための具体的な構成の一例として、前記メモ台本体が、使用姿勢から起立姿勢を経て格納姿勢に至るように構成されたものであって、前記保持機構の回転動作を担う機構部分が、前記メモ台本体を使用姿勢から起立姿勢に移行させるために椅子本体に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体と、前記メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移行させるために前記第1の構造体に対して第2の軸心回りに回動する第2の構造体とを備えたものであり、前記第1の構造体が、椅子本体のメモ台支持フレームを内部に収納するブラケットと、このブラケットとの間に前記メモ台支持フレームを位置付けてなるベースとを備え、前記補助摩擦調整機構が、前記第1の構造体のブラケットとベースとの間に設けられこれらの間隔を変更するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転動作を利用してメモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得る椅子において、メモ台本体の回転動作を行う際に使用者の好みに応じた操作感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る椅子を示す正面図。
【図3】同実施形態に係る椅子を示す側面図。
【図4】同実施形態に係る椅子を示す平面図。
【図5】同実施形態に係る椅子のメモ台を起立位置に配した状態を示す側面図。
【図6】同実施形態に係る椅子のメモ台を格納位置に配した状態を示す側面図。
【図7】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す分解斜視図。
【図10】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の要部を示す中央横断面図。
【図11】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構のレールの取付態様を示す分解斜視図。
【図12】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の要部を示す斜視図。
【図13】同実施形態に係る椅子のネスティング態様を示す図。
【図14】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図15】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図16】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図17】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図18】本発明の他の実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図19】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図20】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図21】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜17を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を水平方向にネスティング可能な椅子Cに適用したものである。すなわち、本実施形態に係る椅子Cは、図13に具体的に示すように、収納時などに、座板3を跳ね上げ位置(J)に保持するとともにメモ台を格納姿勢(SS)に保持することによって同一構造をなす他の椅子C’と前後方向に近接させて少ないスペースで多くの椅子を収納し得るように構成されているものである。なお、図13では、他の椅子の符号を「C’」としているが、同一構造をなすものであるため、他の符号は椅子Cのものと同様のものを付している。
【0018】
椅子Cは、図1〜図6に示すように、椅子本体1に座板3、背板4及びメモ台5を支持させてなるものであり、より詳しくは、座板3を支持する座板支持フレーム26、及びメモ台5を支持するメモ台支持フレーム28を有した椅子本体1を具備してなるものである。また、この椅子Cは、前記座板支持フレーム26の軸着部たる軸262を介して座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動させ得るようにしているとともに、前記メモ台支持フレーム28がメモ台を板面が略水平な使用姿勢(UU)及び板面が略鉛直な格納姿勢(SS)との間で移動可能に支持しているものである。
【0019】
以下、椅子Cの各構成について詳述する。
【0020】
椅子本体1は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。椅子本体1は、図1〜図6に示すように、脚部2と、この脚部2に支持させてなる座板3と、同じく脚部2に支持させてなる背板4とを備えている。
【0021】
前記脚部2は、下端にキャスタ211を有した左右の前脚21と、下端にキャスタ221を有した左右の後脚22と、これら後脚22の上端と前脚21の上端とをそれぞれ繋ぐ左右の側フレーム24と、これら左右の側フレーム24の前端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する前フレーム25と、左右の側フレーム24の後端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する横架材たる後フレーム23と、この後フレーム23に回転可能に支持させた座板支持フレーム26と、前記後脚22の上端から上方に延出する左右の背フレーム27と、前記後フレーム23にその基端部の複数箇所を溶接等により固定して取り付けたメモ台支持フレーム28とを備えてなる。
【0022】
前脚21と側フレーム24とは、図1〜図3、図5及び図6に示すように、共通の金属パイプ材を曲げることにより一体に構成されたもので、側フレーム24の後端は後脚22の上端に溶接等により剛結されている。しかして、前脚21、後脚22、側フレーム24、前フレーム24、後フレーム23、座板支持フレーム26、及び背フレーム27は、座板3及び背板4に作用する着座者の荷重を受けることが可能な強度を備えている。そして、椅子本体1を構成する座板支持フレーム26に座板3を支持させており、例えば座板3が床面に対して略平行になる図4に示すような使用位置(U)と座板3が背板4に対して略平行になる図13に示すような跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。また、図2、図4、及び図13に示すように、左右の前脚21間の距離すなわち幅寸法は、左右の後脚22間の距離よりも小さく設定されているため、後述するように、座板3を跳ね上げた状態で同一の構造をなす他の椅子C’とネスティング可能になっている。
【0023】
前フレーム25は、図1及び図2に示すように、左右の側フレーム24の中央部分よりも前方の部分間に架設されてなる直線状の金属パイプ材を主体にしてなるもので、後述する座板支持フレーム26の横架材263が使用位置(U)において前フレーム25の上面に当接するようになっている。すなわち、座板3は、座板支持フレーム26の横架材263が前フレーム25に直接当接することにより、使用位置(U)に保持されるように構成されている。
【0024】
後フレーム23は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、左右の側フレーム24間に架設してなり、その中間部に取付ブラケット232を備えている。この取付ブラケット232の先端部には、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持するための軸受部232aを備えており、左右の取付ブラケット232間に軸262を回転可能に架設している。この軸受部232aは軸孔を主体に構成されたものである。換言すれば、本実施形態に係る椅子Cは、後フレーム23の取付ブラケット232に、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持させており、これによって座板支持フレーム26に支持された座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回転可能なものとしている。
【0025】
次に、座板3を支持する座板支持フレーム26について述べる。
【0026】
座板支持フレーム26は、枠状をなす支持フレーム本体261と、この支持フレーム本体261の後端部に設けられた軸262と、支持フレーム本体261の前後方向中間部に設けられた横架材263とを備えたものである。
【0027】
支持フレーム本体261は、底面視において野球のホームベースの外縁形状に近似した枠体の形状をなしており、図2、図3、図5及び図6に示すように、その上面は、座板3に直接当接するようになっている。また、この支持フレーム本体261の内側面には座板3を取り付けるための図示しないブラケットが突設されている。そして、その後端部は、左右方向に略一直線状に延びる軸262の左右方向中間部分と連結している。
【0028】
軸262は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。軸262は、図3、図5及び図6に示すように、その左右両端部を後フレーム23の取付ブラケット232に軸受部232aを介して回動可能に支持されている。しかして、座板支持フレーム26の支持フレーム本体261に支持された座板3は、座板支持フレーム26の軸262を介して使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。
【0029】
横架材263は、図2、図3、図5及び図6に示すように、使用位置(U)において前フレーム25に支持されるように構成されている。横架材263は使用位置(U)において、正面視において中央部分を下方に突出させた形状をなしている。換言すれば、横架材263は、使用位置(U)において正面視下方に凸をなす隆起部分を備えたものである。詳述すると、横架材263は、金属パイプ材を主体に構成された隆起部rを有した横架材本体263aと、この横架材本体263aの左右方向中間部位に取り付けられた当接部材263bを備えたものである。横架材本体263aは、正面視において左右方向中間部分が下方に膨出した形状をなしており、この横架材本体263aの膨出部分に樹脂製の当接部材263bが止着具たるねじにより取り付けられている。当接部材263bは、使用位置(U)において前フレーム25に当接するものであり、当接面が形成される下面は、前フレーム25の形状に対応した形状、すなわち前フレーム25のパイプフレーム形状に対応させて凹んだ形状となっている。
【0030】
次いで、メモ台5を支持するメモ台支持フレーム28について述べる。
【0031】
このメモ台支持フレーム28は、図1〜図6に示すように、前記後フレーム23の右側部に沿う形状を有し、該後フレーム23にその複数箇所を溶接等により固定して取り付けてなり、該後フレーム23の右側端縁を越えてさらに右側に延びる基部281と、この基部281の右端すなわち延出端から前上方に向けて延びる接続部282と、この接続部282の上端すなわち延出端から前方に向けて延びメモ台を回動可能に支持するメモ台支持部283とを備えている。前記接続部282は、平面視した場合において前方に向かうにつれ外側に向かう傾斜を有する。換言すれば、前方に向かうにつれ座板3から離間する傾斜を有する。また、前記メモ台支持部283は、前方に向かうにつれわずかに上方に向かう傾斜を有する。
【0032】
次に、座板3について詳述する。
【0033】
座板3は、図1〜図6に示すように、板状をなす座板本体31と、この座板本体31の裏面すなわち下面に設けられ座板支持フレーム26と係合させるための部位である図示しない支持フレーム係合部と、座板本体31の上面に設けられたクッション部33とを備えてなるものである。座板本体31及び前記支持フレーム係合部は、樹脂により一体に成形されている。
【0034】
座板本体31は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、その前端部分が下方に垂れ下がった形状をなしているとともに、後端部分が上方に反り上がった形状をなしている。この座板本体31における軸262の端部周辺、すなわち、後フレーム23の取付ブラケット232の外側近傍には、図示しない立壁部が設けられ、軸262の近傍に手指等が接近することを回避している。
【0035】
座板3の周縁部、すなわち座板本体31の周縁部は、図2、図3、図5及び図6に示すように、椅子本体1の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位と離間するように構成されている。より具体的には、本実施形態に係る椅子Cは、使用位置(U)において、座板本体31の周縁部の全域と、椅子本体1の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位とが、一定間隔をあけて離間するように構成されており、使用者等の手指や被服が座板3の下面側において挟まれにくいようにしている。前後方向に延びる側フレーム24と座板3の側縁部との間、並びに、側フレーム24と支持フレーム本体261との間は上下方向に離間するように構成されている。
【0036】
背板4は、図1〜図6に示すように、背板本体41と、この背板本体41の左右両側部に一体に設けられた取付部42とを備えたもので、取付部42は、背板本体41の下縁よりも下方に延出させてある。そして、取付部42に形成された下方に開口する取付孔421を背フレーム27に嵌め合わせることによって、背板4を椅子本体1に支持させている。背フレーム27は、その上端が背板本体41の中央部における下縁411とほぼ同一高さ位置に達するまで取付孔421に挿入され固定されている。また、背板本体41は、図5に示すように平面視において中央部が後方に膨出するように湾曲した形状をなしている。
【0037】
メモ台5は、図1〜図6に示すように、板状をなすメモ台本体6と、このメモ台本体6と前記メモ台支持フレーム28との間に介在してこのメモ台本体6を支持する保持機構たるメモ台保持機構7とを備えている。
【0038】
メモ台本体6は、図1及び図4に示すように、使用姿勢(UU)において着座者に近い側の縁部の右側部が着座者側に膨出した概略矩形板状をなし、使用姿勢(UU)において上方を向く面を物品を載置するための載置面6aとしている。また、このメモ台本体6は、その右端部を前記メモ台保持機構7により、図1〜図4に示す使用姿勢(UU)から図5に示す起立姿勢(TT)を経て図6に示す格納姿勢(SS)まで、又はその逆方向に回転可能かつ片持ち的に支持されている。
【0039】
メモ台保持機構7は、前記メモ台本体6を、前後方向に延びる第1の軸心周りに回転させることにより前記使用姿勢(UU)と略鉛直な起立姿勢(TT)との間を移動可能であるとともに、前記起立姿勢(TT)において前記メモ台本体6を左右方向に延びる第2の軸心周りに回転させることにより前記起立姿勢(TT)と前記格納姿勢(SS)との間を移動可能に支持する。また、このメモ台保持機構7は、メモ台本体6が前記使用姿勢(UU)と略鉛直な起立姿勢(TT)との間に位置する場合においてこのメモ台本体6をスライド動作可能に支持する。ここで、前記回転動作を担う機構部分と、前記スライド動作を担う機構部分とは相互に独立させて設けられている。さらに詳述すると、図3及び図5〜図12に示すように、前記回転動作を担う機構部分は、前記メモ台本体6を使用姿勢(UU)から起立姿勢(TT)に移行させるために椅子本体6に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体たる保持部材71と、前記メモ台本体6を起立姿勢(TT)から格納姿勢(SS)に移行させるために前記保持部材に対して第2の軸心回りに回動するガイド部材72とを備えたものである。一方、前記スライド動作を担う機構部分は、前記ガイド部材72に対してスライド可能に設けられ前記メモ台本体6を支持する第3の構造体たるスライダ部材73を備えている。さらに、このメモ台保持機構7は、メモ台本体6が所定のスライド動作位置、具体的には前記使用姿勢(UU)から起立姿勢(TT)に位置する場合における可動範囲の前端に位置する場合においてのみ前記メモ台本体6の回転動作を許容する回転制限部74と、前記保持部材71及び前記メモ台支持部283を被覆するカバー部材75とを備えている。
【0040】
保持部材71は、図8〜図12に示すように、両端が開放されたループ状をなしその内部にメモ台支持フレーム28のメモ台支持部283を収納する保持ブラケット711と、この保持ブラケット711との間に前記メモ台支持部283を位置させてなるベース712と、これら保持ブラケット711とベース712との間に設けられ前記メモ台支持部283を挟持するための第1及び第2のフレーム挟持部材713、714と、前記ベース712との間で前記スライダ部材72を挟持するための抜け止め板715と、前記ベース712と前記抜け止め板715との間に設けられこれらベース712及び抜け止め板715と前記スライダ部材72との間の干渉を防ぐためのスペーサ716と、前記ベース712に設けた雌ねじ孔712aに螺合され前記ベース712、前記スペーサ716及び前記抜け止め板715を締着するための雄ねじ部材717とを備えている。この保持部材71は、上述したように前後方向に延びる第1の軸心、より具体的には前記メモ台支持部283の中心軸を中心として前記使用姿勢(UU)と起立姿勢(TT)との間を回転移動可能である。また、前記保持ブラケット711には長孔711aが設けられているとともに、前記支持フレーム28(のメモ台支持部283)にはこの長孔711aに係り合う突起289を設けていて、これら長孔711a及び突起289により前記メモ台支持部283の中心軸を中心をした回転移動の範囲の制限及び回転移動の方向のガイドを行うようにしている。前記ベース712は、板状をなして前記保持ブラケット711と略重なり合う形状を有する。前記第1の挟持部材713は、前記保持ブラケット711の前記支持フレーム28を収納するための空間内において前記支持フレーム28のメモ台支持部283と前記ベース712との間に配され、前記支持フレーム28のメモ台支持部283に衝き当たる。前記第2の挟持部材714は、前記支持フレーム28のメモ台支持部283に雄ねじ部材288を介して装着してなり、前記第1の挟持部材713との間で前記メモ台支持部283を挟持する。なお、前記突起289は、前記雄ねじ部材288の頭部を利用して形成している。前記抜け止め板715は、前記ベース712との間で前記ガイド部材72を挟持するものであり、前記雄ねじ部材717を介して前記ベース712に取り付けられる。前記スペーサ716は、前記ガイド部材72に設けた後述する円形孔721b内に配されるとともに、前記抜け止め板715と前記ベース712との間に配される。ここで、この保持部材71の椅子本体1周りの回転動作の回転軸心L1は、メモ台本体6が少なくとも起立姿勢(TT)にある場合、メモ台本体6が前記使用姿勢(UU)と起立姿勢(TT)との間に位置する場合におけるメモ台本体6の椅子本体1に対するスライド方向Xに対して傾斜するように設定している。そして、この保持部材711に対して前記左右方向に延びる第2の軸心周りに回転可能に前記ガイド部材72が保持されている。
【0041】
前記ガイド部材72は、図7〜図12に示すように、前記保持部材71のベース712と抜け止め板715との間で挟持され前記左右方向に延びる第2の軸心周り、より具体的には前記ベース712の中心を通る法線周りに回転動作可能な板状のガイド部材本体721と、このガイド部材本体721の高さ方向両端部に設けられ前記スライダ部材73のレール732のガイド溝732xと係合するガイド突起722とを有する。また、ガイド部材本体721には、前記ベース712から突出させたピン718に係り合う半円周状の長孔721aを設けていて、これら長孔721aとピン718とによりガイド部材72の保持部材71に対する回転動作の範囲の規制及び前記回転動作の方向のガイドが行われるようにしている。さらに、このガイド部材本体721の中心部には、前記保持部材71のスペーサ716をその内部に配するための円形孔721bを設けている。前記スペーサ716は、このガイド部材72と前記ベース712及び抜け止め部材715との間に隙間を設け、このガイド部材72が前記第2の軸心周りに回転運動しうるようにするために設けられている。そして、上述したように前記ガイド突起722に前記スライダ部材73のレール732のガイド溝732xを係り合わせることにより、このガイド部材72に対して前記スライダ部材73がスライド動作可能に保持される。なお、このガイド部材72は請求項中の第2の部材としての機能を有する。また、前記スライダ部材73は請求項中の第1の部材としての機能を有する。
【0042】
前記スライダ部材73は、図7〜図11に示すように、メモ台本体6の載置面6aと反対側の面に沿う板状をなす面板部731x、及びこの面板部731xの高さ方向両端に設けられ該面板部731xに対向する折り返し壁731aを有する金属製のスライダ部材本体731と、前記折り返し壁731aの内側、換言すれば前記折り返し壁731aと面板部731xとの間にそれぞれ取り付けられその内部に幅方向に延びるガイド溝732xを有する樹脂製のレール732と、このレール732をスライダ部材本体731に取り付けた後このレール732がスライダ部材本体731から抜け落ちないようにするための取付部材733とを備えている。ここで、前記レール732は、図10に示すように、前記折り返し壁731aの先端縁を覆うカバーとしての機能を兼ね備えている。また、前記取付部材733は、ガイド部材72との相対スライド範囲を制限するためのストッパとしての機能を兼ね備えており、この取付部材733はレール732に設けた取付凹部732yに対して着脱可能である。この取付部材733をレール732に取り付けた状態において、取付部材733の外面とレール732の外面とは面一をなしている。一方、この取付部材733を取り付けていない状態では、前記レール732のガイド溝732xは外方に開放されている。しかして、前記ガイド溝732xはガイド部材72のガイド突起722とを係合することによりこのスライダ部材73の椅子本体1に対するスライド移動の方向、換言すればガイド部材72に対するスライド移動の方向を規制する。このメモ台本体6のスライド動作の方向Xは、椅子本体1の座板3の幅方向中心線に沿うとともに、前記メモ台本体6の反使用端6bに直交する。そして、このスライダ部材73及びメモ台本体6は、ガイド部材72に対してガイド溝732xが延びる方向にのみ移動可能となっている。また、このスライダ部材73は、図3、図4及び図5の実線に示す位置(可動範囲の前端)と想像線に示す位置(可動範囲の後端)との間でメモ台本体6を前後スライド可能に保持する。そして、このスライダ部材73のスライダ部材本体731に、前記回転制限部74を構成する回転案内部材741を相対移動不能に取り付けている。
【0043】
前記回転制限部74は、図7及び図9に示すように、上述したように前記スライダ部材本体731に相対移動不能に取り付けられた回転案内部材741と、前記保持部材71の雄ねじ部材717の頭部を利用して形成した複数個、具体的には2個の被案内部材742とを備えている。前記回転案内部材741は、図7及び図8に示すように、前記被案内部材742を案内することにより前記スライド動作を許容するとともに前記回転動作を禁止する回転規制部たる第1のカム面741aと、この第1のカム面741aの一端に連続して設けられ前記回転動作を許容する回転許容部たる第2のカム面741bとを備えている板状の部材であり、これら第1及び第2のカム面741a、741bはいずれも前記スライダ部材本体731の板面から起立している。また、前記第2のカム面741bの一端部には、前記被案内部材と742と係合することによりそれ以上の回転動作を禁止するための回動ストッパ部741cを設けている。ここで、メモ台本体6がスライド移動する際には、第1のカム面741aに沿って被案内部材742が摺動するように構成している。一方、メモ台本体6が回転移動する際には、第2のカム面741bに沿って被案内部材742が摺動するように構成している。さらに詳述すると、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する場合には、図15に示すように、一方の被案内部材742の上方に前記回転案内部材741の第2のカム面741bが位置するので、メモ台本体6に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合には回転が許可される。一方、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端以外に位置する場合には、図14に示すように、各被案内部材742それぞれの上方に前記回転案内部材741の第1のカム面741aが位置するので、メモ台本体6に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合であってもメモ台本体6の回転が規制される。ここで、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する状態から約180度回転移動させると、換言すれば図16に示すようなメモ台本体6を起立姿勢から90度回転させ所定の中間姿勢(CC)にある状態とした後、さらに90度回転させて格納姿勢(SS)とすると、該メモ台本体6の前後位置が最も後方となる。また、メモ台本体6が前記中間姿勢(CC)と格納姿勢(SS)との間に位置する状態では、図17に示すように、被案内部材742と第2のカム面741bとが係り合ってメモ台本体6のスライド移動が規制される。換言すれば、この回転案内部材74を含むメモ台保持機構7は、メモ台本体6が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)を経て前記中間姿勢(CC)に至る領域にある場合にのみメモ台本体6の前後移動が許容されるようにメモ台本体6を保持している。
【0044】
前記カバー部材75は、上述したように、前記保持部材71及び前記メモ台支持部283を被覆するもので、図示は省略するが、内方に向けて突出し弾性変形により退避可能な取付爪が設けられている。この取付爪は、前記保持部材71に設けた図示しない係合凹部に係合可能であり、これら取付爪及び係合凹部を弾性係合させることによりこのカバー部材75を前記保持部材71に取り付けるようにしている。
【0045】
加えて、本実施形態では、前記回転動作を担う機構部分に、回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素Mを設けている。この摩擦付与要素Mは、図8に示すように、前記椅子本体1と前記保持部材71との間、より具体的には前記支持フレーム28(のメモ台支持部283)と前記保持部材71との間に設けられている。さらに詳述すると、この摩擦付与要素Mは、前記ベース712に設けた摩擦調整用雌ねじ孔712xに螺合させてなる雄ねじ部材である摩擦付与ねじM1を前記メモ台支持部283と前記保持部材71のベース712との間に配した第1のフレーム挟持部材713に押し付け、該第1のフレーム挟持部材713を介して前記第2のフレーム挟持部材714を取り付けた状態の前記メモ台支持部283を前記保持ブラケット711に向けてさらに押し付けることにより、メモ台本体6が前記メモ台支持部283の中心軸周りに回転移動する際に前記第2のフレーム挟持部材714を取り付けた状態のメモ台支持部283と前記保持ブラケット711及び前記第1のフレーム挟持部材713との間に摩擦力を発生させるものである。
【0046】
さらに本実施形態では、前記摩擦付与要素Mに働きかけて前記摩擦抵抗の大きさを調整するための摩擦調整機構Kを備えている。この摩擦調整機構Kは、図8に示すように前記摩擦付与ねじM1を前記第1のフレーム挟持部材713に対して螺進退させることにより前記摩擦抵抗の大きさを調整するもので、より具体的には前記摩擦付与ねじM1の基端側に設けられ六角レンチやドライバ等の治具を挿入可能に構成した摩擦調整操作部を利用して形成している。この摩擦調整機構Kは、組立完了状態において調整操作が不可能な状態で設けられたものである。具体的には、前記摩擦調整操作部は、組立完了状態において前記抜け止め板715により被覆される。
【0047】
加えて本実施形態では、組立完了状態においても前記摩擦抵抗の大きさを微調整できるようにするための補助摩擦調整機構Hが併設されている。この補助摩擦調整機構Hは、図8に示すように前記保持ブラケット711とベース712との間に設けられている。さらに詳述すると、この補助摩擦調整機構Hは、前記保持ブラケット711に設けた補助摩擦調整用雌ねじ孔711xに雄ねじ部材である補助摩擦付与ねじH1を螺合させ、該補助摩擦付与ねじH1をベース712に対して螺進退させることによりこれら保持ブラケット711とベース712との間の距離を調整し、前記第2のフレーム挟持部材714を取り付けた状態のメモ台支持部283と前記保持ブラケット711及び前記第1のフレーム挟持部材713との間に発生する摩擦力を調整するものである。
【0048】
そして、同一構造を有する本実施形態の椅子同士を前後方向に重ね合わせた際のメモ台同士の位置関係について図13を参照しつつ以下に説明する。特定の椅子Cの前方に位置する他の椅子C’の左右の後脚22は、前記特定の椅子Cの前脚21よりも後方に位置し、該特定の椅子Cの後脚22の前方に位置する。また、特定の椅子Cのメモ台本体6の前端51xは、背板4の右端4xよりも右側、換言すればこの椅子のメモ台5及びメモ台支持フレーム28を除いた部分の幅方向端縁よりも外方に位置する。すなわち、メモ台本体6を格納姿勢(SS)とした状態の特定の椅子Cの前方に、メモ台本体6を格納姿勢(SS)とした状態の他の椅子C’を配した際に、他の椅子C’の背板5は前記特定の椅子Cのメモ台5と干渉することなくメモ台5を越えて後方に位置する。さらに、他の椅子C’のメモ台支持フレーム28の基端部も前記特定の椅子Cのメモ台本体6の前端を越えて後方に位置する。
【0049】
以上に述べたように、本実施形態に係る椅子Cの構成によれば、前記回転動作を担う機構部分に回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素Mを設けているとともに、この摩擦付与要素Mに働きかけて前記摩擦抵抗の大きさを調整するための摩擦調整機構Kを備えているので、この摩擦調整機構Kを介して前記回転動作の摩擦抵抗の大きさを調整することにより、回転動作を行う際の操作感を使用者の好みに応じて設定することができる。
【0050】
また、前記摩擦調整機構Kが、組立完了状態において調整操作が不可能な状態で設けられ、組立完了状態においても前記摩擦抵抗の大きさを微調整できるようにするための補助摩擦調整機構Hが併設されているので、椅子Cの組立の際に前記回転動作の摩擦抵抗の大まかな大きさを設定し、椅子Cの組み立て完了後に前記摩擦抵抗の微調整を行う要望に対応することができる。
【0051】
また、前記メモ台本体6が、使用姿勢(UU)から起立姿勢(TT)を経て格納姿勢(SS)に至るように構成され、前記メモ台保持機構7の回転動作を担う機構部分が、前記メモ台本体6を使用姿勢(UU)から起立姿勢(TT)に移行させるために椅子本体1に対して第1の軸心回りに回動する保持部材71と、前記メモ台本体6を起立姿勢(TT)から格納姿勢(SS)に移行させるために前記保持部材71に対して第2の軸心回りに回動するガイド部材72とを備えたものであり、前記摩擦付与要素M及び摩擦調整機構Kが、前記椅子本体1と前記第保持部材71との間に設けられているので、このような摩擦調整機構Kを簡単な構成により設けることができる。
【0052】
さらに、前記保持部材71が、椅子本体1のメモ台支持フレーム28を内部に収納するブラケット711と、このブラケット711との間に前記メモ台支持フレーム28を位置付けてなるベース712とを備え、前記摩擦付与要素M及び摩擦調整機構Kを、前記ベース712に設けた雌ねじ孔712xと、この雌ねじ孔712xに対して螺進退可能であり前記メモ台支持フレーム28を前記ブラケット711に向けて押圧する雄ねじ部材を利用して形成しているので、上述したような摩擦付与要素M及び摩擦調整機構Kを少ない部品点数で容易に実現することができる。
【0053】
加えて、前記摩擦調整機構Kを構成する摩擦付与ねじM1が、組み立て完了状態において前記ガイド部材72により被覆されるので、回転動作の摩擦力をみだりに変更させるのを抑制することができる。
【0054】
そして、前記補助摩擦調整機構Hが、前記保持部材71のブラケット711とベース712との間に設けられこれらの間隔を変更するものであるので、簡単な構成によりこの補助摩擦調整機構Hを設けることができる。
【0055】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、前記メモ台本体を可動範囲の前端にスライド動作させた際に回転運動が許容されるようにしているが、図18〜図21を参照しつつ以下に述べるように、メモ台本体6を可動範囲の後端にスライド動作させた際に回転運動が許容されるようにしてもよい。この態様におけるメモ台付き椅子は、回転案内部A74以外は上述した実施形態におけるものと同様の構成を有するので対応する部位には同一の名称及び符号を付し、詳細な説明は省略する。この態様の回転案内部A74は、図示しないスライダ部材本体に相対移動不能に取り付けられた回転案内部材A741と、図示しない保持部材の図示しない雄ねじ部材の頭部を利用して形成した複数個、具体的には2個の被案内部材A742とを備えている。回転案内部材A741は、上述した実施形態における回転案内部材741をメモ台本体6の天板面と平行を保ちつつ180度回転させた形状を有する板状の部材であり、上述した実施形態における回転案内部材741と同様に、前記被案内部材A742を案内することによりメモ台本体6のスライド動作を許容するとともに該メモ台本体6の回転動作を禁止する回転規制部たる第1のカム面A741aと、この第1のカム面A741aの一端に連続して設けられメモ台本体6の回転動作を許容する回転許容部たる第2のカム面A741bとを備えている。また、前記第2のカム面A741bの一端部には、前記被案内部材とA742と係合することによりそれ以上の回転動作を禁止するための回動ストッパ部A741cを設けている。ここで、メモ台本体6がスライド移動する際には、第1のカム面A741aに沿って被案内部材A742が摺動するように構成している。一方、メモ台本体6が回転移動する際には、第2のカム面A741bに沿って被案内部材A742が摺動するように構成している。さらに詳述すると、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の後端に位置する場合には、図18に示すように、一方の被案内部材A742の上方に前記回転案内部材A741の第2のカム面A741bが位置するので、メモ台本体6に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合には回転が許可される。一方、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の後端以外に位置する場合には、図19に示すように、各被案内部材A742それぞれの上方に前記回転案内部材A741の第1のカム面A741aが位置するので、メモ台本体6に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合であってもメモ台本体6の回転が規制される。ここで、メモ台本体6が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の後端に位置する状態からは、図20に示すようなメモ台本体6を起立姿勢から90度回転させ所定の中間姿勢(CC)にある状態とした後、さらに90度回転させて図21に示すような格納姿勢(SS)とすることができる。また、メモ台本体6が前記中間姿勢(CC)と格納姿勢(SS)との間に位置する状態では、図21に示すように、被案内部材A742と第2のカム面A741bとが係り合ってメモ台本体6のスライド移動が規制される。換言すれば、この回転案内部材A74を含むメモ台保持機構は、メモ台本体6が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)を経て前記中間姿勢(CC)に至る領域にある場合にのみメモ台本体6の前後移動が許容されるようにメモ台本体6を保持している。
【0057】
このような構成を採用すれば、メモ台本体6を起立姿勢(TT)を経て格納姿勢(SS)に移動させる際に、メモ台本体6を回転可能にすべく可動範囲の後端にスライド移動させた後、起立姿勢(TT)にあるメモ台本体6の上部が後方に向かう向きに該メモ台本体6を回転させるにあたってメモ台本体6はこれ以上後方にスライド移動しない。すなわち、メモ台本体6を起立姿勢(TT)を経て格納姿勢(SS)に移動させる際の一連の動作すなわち前記スライド操作と前記回転操作とを滑らかに連続して行うことができる。
【0058】
また、上述した実施形態では、組立完了状態において調整操作が不可能な状態で設けられた摩擦調整機構と、組立完了状態においても前記摩擦抵抗の大きさを微調整できるようにするための補助摩擦調整機構とが併設されているが、組立完了状態においても調整操作が可能な摩擦調整機構のみを設ける態様を採用してもよい。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、メモ台保持機構の回転動作を担う機構部分が、メモ台本体を使用姿勢から起立姿勢に移行させるために椅子本体に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体たる保持部材と、前記メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移行させるために前記保持部材に対して第2の軸心回りに回動する第2の構造体たるガイド部材とを備えているが、メモ台本体を前記第2の軸心周りに回動可能に構成していない椅子にも本発明は適用可能である。すなわち、メモ台本体がメモ台支持フレームの中心軸周りの回転動作及び椅子本体に対するスライド動作のみを行うことができるものであっても、この回転動作を担う機構部分と、前記スライド動作を担う機構部分とを相互に独立させて設けたものであれば、前記回転動作を担う機構部分に回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素を設けることにより本発明の最も主要な効果を得ることができる。
【0060】
そして、上述した実施形態では、雄ねじ部材が第1の挟持部材を介してメモ台支持フレームを保持部材のブラケットに向けて押し付ける構成の摩擦付与要素を採用しているが、例えば、前記第1の挟持部材をエラストマー等の弾性変形により反力を蓄積可能な素材により構成し、この反力を利用してメモ台支持フレームを前記ブラケットに向けて押し付けるようにしてもよい。すなわち前記第1の挟持部材と前記雄ねじ部材とに摩擦付与要素としての機能を備えさせる態様を採用してもよい。
【0061】
加えて、摩擦付与要素として機能する雄ねじ部材を螺進退させて摩擦力の調整を行う態様に代えて、例えば、
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0062】
C、C’…椅子
5…メモ台
6…メモ台本体
7…メモ台保持機構(保持機構)
UU…使用姿勢
SS…格納姿勢
M…摩擦付与要素
K…摩擦調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子本体と、この椅子本体に保持機構を介してメモ台本体を支持させてなるメモ台とを具備してなる椅子であって、前記保持機構が、メモ台本体の少なくとも回転動作を利用して当該メモ台本体を使用姿勢と格納姿勢との間で作動させ得るように構成され、前記回転動作を担う機構部分に回転動作に摩擦抵抗を与えるための摩擦付与要素を設けているとともに、この摩擦付与要素に働きかけて前記摩擦抵抗の大きさを調整するための摩擦調整機構を備えていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記摩擦調整機構が、組立完了状態において調整操作が不可能な状態で設けられたものであり、組立完了状態においても前記摩擦抵抗の大きさを微調整できるようにするための補助摩擦調整機構が併設されている請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記メモ台本体が、使用姿勢から起立姿勢を経て格納姿勢に至るように構成されたものであって、前記保持機構の回転動作を担う機構部分が、前記メモ台本体を使用姿勢から起立姿勢に移行させるために椅子本体に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体と、前記メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移行させるために前記第1の構造体に対して第2の軸心回りに回動する第2の構造体とを備えたものであり、前記摩擦付与要素及び摩擦調整機構が、前記椅子本体と前記第1の構造体との間に設けられている前記請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記第1の構造体が、椅子本体のメモ台支持フレームを内部に収納するブラケットと、このブラケットとの間に前記メモ台支持フレームを位置付けてなるベースとを備え、前記摩擦付与要素及び摩擦調整機構を、前記ベースに設けた雌ねじ孔と、この雌ねじ孔に対して螺進退可能であり前記メモ台支持フレームを前記ブラケットに向けて押圧する雄ねじ部材を利用して形成している前記請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記摩擦調整機構の雄ねじ部材が、組み立て完了状態において前記第2の構造体により被覆される請求項4記載の椅子。
【請求項6】
前記メモ台本体が、使用姿勢から起立姿勢を経て格納姿勢に至るように構成されたものであって、前記保持機構の回転動作を担う機構部分が、前記メモ台本体を使用姿勢から起立姿勢に移行させるために椅子本体に対して第1の軸心回りに回動する第1の構造体と、前記メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移行させるために前記第1の構造体に対して第2の軸心回りに回動する第2の構造体とを備えたものであり、前記前記第1の構造体が、椅子本体のメモ台支持フレームを内部に収納するブラケットと、このブラケットとの間に前記メモ台支持フレームを位置付けてなるベースとを備え、前記補助摩擦調整機構が、前記第1の構造体のブラケットとベースとの間に設けられこれらの間隔を変更するものである請求項2記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−102791(P2013−102791A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246321(P2011−246321)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】