椅子

【課題】 背凭れを任意の位置で確実にロックしうるようにした椅子を提供する。
【解決手段】背凭れ支持杆と一体となって左右方向を向く軸線回りに回動可能として支基6に枢支され、かつ前記軸線を中心とする円弧状の外周面を有する回動部材16と、回動部材16における円弧状の外周面の一部に圧接することにより、回動部材16の回動を阻止するロック位置と、このロック位置から前記軸線方向と軸線から離れる方向との両方向に離れ、回動部材16の回動を許容するロック解除位置との間を、前記軸線に対して斜めに移動可能として、支基6に装着されたロック部材33と、ロック部材33と連係され、ロック部材33を、ロック位置とロック解除位置とに移動させる操作手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れを後傾可能とし、かつ背凭れを、起立位置または任意の後傾位置においてロックするロック装置を設けた椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の椅子としては、次のようなものがある。
(A) 背凭れを起立する方向に付勢するコイルばねの巻き始め側の端末の位置を、調節杆のねじ部に螺合するナットをハンドルにより回転させることによって変位させることにより、コイルばねの初期荷重を変えるようにしたもの(例えば特許文献1参照)。
(B) 複数のゴムトーションスプリングを、背凭れと一体となって回動するようにした枢軸に沿って並べ、それらのゴムトーションスプリングの付勢力を、枢軸に選択的に作用させるようにしたもの(例えば特許文献2参照)。
(C) 付勢力の伝達経路の途中において、付勢力が作用する位置を変化させることにより、伝達される付勢力に強弱をつけるようにしたもの(例えば特許文献3および4参照)。
(D) 背凭れと一体となって回動するようにした枢軸を、左右1対のコイルスプリングと、それらの間に配設したガスダンパとにより、背凭れが起立する方向に付勢するようにし、かつ一方のコイルスプリングの予圧縮量(初期圧)を、反力調節機構により調節しうるようにしたもの(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−20456号公報
【特許文献2】特許第4087653号公報
【特許文献3】特開2010−158438号公報
【特許文献4】特開2010−94339号公報
【特許文献5】特許第3345342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この(A)〜(D)のような従来の椅子は、それぞれ次のような問題点がある。
(A) ハンドルの操作にコイルばねの付勢力が直接作用するので、ハンドルの操作が重くなり、操作性が悪い。
(B) 背凭れを起立する方向に付勢する付勢力を段階的にしか調節することができず、細かな調整ができない。
(C) 移動させる部材のストロークを大きくしなければならないため、付勢手段その他の部材のレイアウトの変更を余儀なくされたり、または装置全体が大型化する。
(D) 左右のコイルスプリングのうちの一方のみの予圧縮量(初期圧)を、反力調節機構により調節するようにしてあるので、その調節によっては、左右のコイルスプリングの付勢力がアンバランスとなり、枢軸等に偏荷重や捩れが生じ、耐久性が悪くなったり、背凭れの回動が不円滑となったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたもので、複数の付勢手段をもって、背凭れをバランスよく円滑に付勢することができるとともに、背凭れに作用する付勢力を、バランスが崩れることなく、効率よく調節することができ、しかも複数の付勢手段を狭い空間内に集約して収容しうるようにし、さらに、背凭れを任意の位置で確実にロックしうるようにした椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)脚体と、前記脚体に支持された支基と、後部において背凭れを支持し、かつ前部が前記支基に左右方向を向く軸線回りに回動可能として枢支され、前記背凭れとともに、前記背凭れが起立する起立位置とそれより後傾する後傾位置とに、前記軸線を中心として回動可能とした背凭れ支持杆と、前記背凭れ支持杆と一体となって前記軸線回りに回動可能として前記支基に枢支され、かつ前記軸線を中心とする円弧状の外周面を有する回動部材と、前記回動部材における円弧状の外周面の一部に係合することにより、前記回動部材の回動を阻止するロック位置と、このロック位置から前記軸線方向と軸線から離れる方向との両方向に離脱し、前記回動部材の回動を許容するロック解除位置との間を、前記軸線に対して斜めに移動可能として、前記支基に装着されたロック部材と、前記ロック部材と連係され、前記ロック部材を、ロック位置とロック解除位置とに移動させる操作手段とを備えるものとする。
【0007】
(2)上記(1)項において、回動部材における円弧状の外周面と、それに対向するロック部材の対向面とに、左右方向を向く軸線と平行をなし、かつ互いに斜めの方向に係脱するようにした歯を設ける。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、背凭れ支持杆を左右1対とし、それらの前端部に固着した左右方向を向く枢軸を、支基の側片を貫通するようにして、前記支基に枢支し、前記支基内において、回動部材を前記枢軸に固着する。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ロック部材をロック位置に向かって付勢する付勢手段を、支基に設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、背凭れを任意の位置で確実にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の正面図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】同じく、分解斜視図である。
【図4】支基を右斜め前上方から見た分解斜視図である。
【図5】支基左右斜め前下方から見た分解斜視図である。図3のV−V線における拡大横断平面図である。
【図6】支基の下カバーを外して下方より見た底面図である。
【図7】図6のVII−VII線縦断正面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線縦断端面図であって、背凭れのロックを解除したときの支基内部の状態を示す図である。
【図9】背凭れの回動をロックしたときの支基内部の状態を示す、図8と同様の部分の縦断端面図である。
【図10】図8のX−X線断面図であって、背凭れのロックを解除したときの支基内部の状態を示す図である。
【図11】背凭れの回動をロックしたときの支基内部の状態を示す、図10と同様の部分の断面図である。
【図12】図6のXII−XII線縦断側面図であって、背凭れを起立位置としたときの支基内部の状態を示す図である。
【図13】背凭れを後傾させたときの支基内部の状態を示す、図12と同様の部分の断面図である。
【図14】図6のXIV−XIV線縦断端面図であって、背凭れの付勢力を弱としたときの支基内部の状態を示す図である。
【図15】背凭れの付勢力を強としたときの支基内部の状態を示す、図14と同様の部分を示す縦断端面図である。
【図16】図6のXVI−XVI線縦断正面図であって、背凭れの付勢力を弱としたときの支基内部の状態を示す図である。
【図17】背凭れの付勢力を強としたときの支基内部の状態を示す、図16と同様の部分の縦断正面図である。
【図18】背凭れの付勢力を弱としたときの付勢力伝達部材の動きを説明するための説明図である。
【図19】背凭れの付勢力を強としたときの付勢力伝達部材の動きを説明するための説明図である。
【図20】図1のXX−XX線拡大縦断側面図であって、背凭れが起立位置のとき状態を示す図ある。
【図21】背凭れの後傾に連動して、座が後下方に移動したときの状態を示す、図20と同様の部分の縦断側面図である。
【図22】座受けフレームと座板とを左斜め後下方より見た斜視図である。
【図23】座板のみを左斜め後下方より見た斜視図である。
【図24】座板の平面図である。
【図25】図24のXXV−XXV線縦断正面図である。
【図26】図24のXXVI−XXVI線縦断正面図である。
【図27】図24のXXVII−XXVII線縦断正面図である。
【図28】座受けフレームと座板との側面図である。
【図29】図24のXXIX−XXIX線縦断側面図である。
【図30】図24のXXX−XXX線縦断側面図である。
【図31】背凭れの付勢力調整手段の操作装置の取付部分を左斜め前上方より見た斜視図である。
【図32】付勢力調整手段の操作装置のみを取出して、左斜め前上方より見た斜視図である。
【図33】図32に示す操作装置における下カバーを外して、上下反転させて示す斜視図である。
【図34】図32に示す操作装置を左右方向を向く垂直面で縦断して、左斜め前上方より見た斜視図である。
【図35】座の高さ調節装置の分解斜視図である。
【図36】同じく、平面図である。
【図37】座の高さ調節装置における傾斜カムの初期位置を示す平面図である。
【図38】同じく、傾斜カムの作動位置を示す平面図である。
【図39】座の高さ調節装置における傾斜カムが初期位置のときの傾斜カムと昇降体との関係を示す正面図である。
【図40】座の高さ調節装置における傾斜カムが作動位置のときの傾斜カムと昇降体との関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、左右は正面視において言う。
図1は、本発明の椅子の正面図、図2は、同じく側面図である。
この椅子は、先端部にキャスタ1を備える放射状をなす5本の脚杆2を有する脚体3と、脚体3の中央に立設され、内部にガススプリング4(図3、図14等参照)が収容された伸縮式の脚柱5と、脚柱4の上端部に後端部が支持された前上方を向く支基6と、支基6の上方に、後述するようにして支持された座7と、前端部が左右方向を向く左右1対の枢軸8、8(図3、図7等参照)をもって支基6に枢着された後方を向く左右1対の背凭れ支持杆9、9と、両背凭れ支持杆9、9の後端部によって支持された背凭れ10とを備えている。
【0013】
背凭れ10は、左右の背凭れ支持杆9、9および枢軸8、8と一体となって、図2に示すように、座7の後方において起立する起立位置から、適宜の後傾位置(図示略)までの範囲を、枢軸8、8の中心軸線を中心として回動しうるようになっている。
なお、背凭れ10に関しては、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0014】
図4〜図21に示すように、支基6は、硬質合成樹脂材料からなり、かつ下面が開口する野球のホームベース状の平面視五角形の支基本体11と、その下面の開口部を着脱自在に閉塞する硬質合成樹脂材料からなる下カバー12とを備え、支基本体11の下面に、支基6内における各種の部品が装着されている。
【0015】
支基本体11の上片11aの両側端より垂下する両側片11b、11bにおける中央よりやや後方の部分には、左右方向を向く軸孔13、13が、同一直線上に並ぶようにして穿設されており、各軸孔13にはブッシュ14が嵌着され、
このブッシュ14を、支基本体11の上片11aと、その下面にねじ止めした軸押え14aとによって挾持している。
各ブッシュ14内には、上記枢軸8が回転自在に嵌合されている。
【0016】
各枢軸8の外端部と内端部とには、非円形軸である角軸部8a、8bが設けられ、外端部の角軸部8aは、各背凭れ支持杆9の前端部の内側面に設けた角孔15に、また内端部の角軸部8bは、支基6内に配設した側面視扇形をなす左右1対の回動部材16、16における扇の要部分に設けた角孔17に嵌合されている。
【0017】
左右の回動部材16、16における角孔17の直上における偏心部に設けた嵌合孔18には、左右方向を向く連結杆19の各端部が嵌合されている。この連結杆19の各端部は、嵌合孔18内において回動しうるようにしてもよいし、各回動部材16に固着してもよい。
【0018】
こうして、背凭れ10と、背凭れ支持杆9、9と、枢軸8、8と、回動部材16、16と、連結杆19とは、互いに一体となって、枢軸8、8の中心軸線を中心として回動しうるようになっている。
【0019】
左右の回動部材16、16における角孔17より前下方における偏心部と、支基本体11内の前部との間には、各回動部材16に背凭れ10が起立する方向、すなわち図8における反時計回りの方向の付勢力を付与する左右1対の第1付勢手段20、20が設けられている。
【0020】
図4〜図13に示すように、各第1付勢手段20は、支基6内において前上方に向かって傾斜するようにして配設され、後下端部が、各回動部材16における角孔17より前下方における偏心部の外側面に、左右方向を向く軸21をもって連結され、かつ前上端部に設けた長手方向を向く長孔22が、支基本体11内の前部に配設された左右方向を向く軸23に外嵌されたばねガイド板24と、このばねガイド板24の後端部寄りに固着されたばね受け板25と、ばね受け面26aの中央に設けたスリット27(図20参照)に、ばねガイド板24が挿通するようにして、両側片26b、26bに設けた貫通孔26c、26cを、上記軸23に外嵌したスプリングリテーナ26と、ばねガイド板24に外嵌するようにして、ばね受け板25とスプリングリテーナ26のばね受け面26aとの間に縮設され、かつ圧縮によって反力を蓄積して、回動部材16の前下端部を後下方に向かって付勢する圧縮コイルばね28とを備えている。
【0021】
軸23は、支基本体11における両側片11b、11bの対向面間の間隔に近い長さを有し、支基本体11の上片11aの下面に設けた前後方向を向く2条のリブ11c、11cの前部の下面に設けた倒立U字状の凹溝29に嵌合され、かつその下方から軸押え30を、各リブ11cの下面にねじ止めすることにより、支基本体11内の前部に、落下しないように、かつ回転自在に(回転不能としてもよい)装着されている。
【0022】
図12に示すように、ばねガイド板24における長孔22の前端部が軸23に当接しているときは、ばねガイド板24の後下端部のそれ以上の後方への移動が阻止され、それによって、回動部材16の図12における反時計回りの方向の回動、および背凭れ10の起立位置から前方への回動が阻止されているが、図13に示すように、背凭れ10の後傾に伴って、回動部材16が枢軸8を中心として時計回り方向に回動させられると、ばねガイド板24は、長孔22が軸23に対して移動しうる範囲内において前上方に押し上げられ、そのとき、圧縮コイルばね28が圧縮されて、回動部材16に、背凭れ10を起立させる方向の付勢力を付与する。
【0023】
左右の回動部材16、16における円弧状の外周面には、平歯車の一部をなすような歯31がそれぞれ設けられており、この一方の回動部材16に設けられた歯31を利用し、背凭れ10の回動のロック装置32が設けられている。
【0024】
ロック装置32は、この実施形態においては、椅子に向かって右方の回動部材16の歯31に係脱するようにした歯33aを下面に設けたロック部材33を備えている。
図10および図11に示すように、このロック部材33は、上面が支基本体11の中央に向かって上向き傾斜し、同方向に傾斜するようにして支基本体11の上片11aの下面に設けたガイド部11dに沿って、図11に示すように、下端の歯33aが回動部材16の歯31と噛合するようにしたロック位置と、図10に示すように、下端の歯33aが回動部材16の歯31から内上方に外れたロック解除位置とに斜めに移動しうるようになっている。
【0025】
ロック部材33は、後述する操作手段と、ボーデンケーブル34をもって連係されている。
このボーデンケーブル34は、一端がガイド部11dの上部から斜め外下方を向くようにして止着され、かつ他端が操作手段のケースに止着された可撓性のアウターチューブ35と、このアウターチューブ35の一端から斜め外下方に向かって引き出され、ロック部材33の上端部に設けた斜め外下方を向くワイヤ挿通部33bを挿通し、そこからさらに引き出された部分の端末に、ワイヤエンド部材36aが止着されたインナーワイヤ36とからなっている。
【0026】
ロック部材33とアウターチューブ35の一端との間、およびロック部材33とワイヤエンド部材36aとの間には、好ましくはばね定数を同一とした圧縮コイルばね37、38が、インナーワイヤ36に外嵌するようにして縮設されている。
【0027】
図11に示すように、ロック部材33がロック位置に位置しているときは、内外の圧縮コイルばね37、38は互いにバランスして、ロック部材33をロック位置に保持しているが、操作手段により、インナーワイヤ36が引かれると、両圧縮コイルばね37、38が圧縮され、背凭れ10に負荷が掛かっていないときは、ロック部材33は、両圧縮コイルばね37、38の付勢力のバランスにより、図10に示すロック解除位置に移動させられ、背凭れ10は、自由に回動しうるようになる。
【0028】
背凭れ10に負荷が掛かっており、ロック部材33の歯32aが回動部材16の歯31から離脱できない場合は、操作手段により、インナーワイヤ36が引かれると、外側の圧縮コイルばね38のみが圧縮され、その後に、背凭れ10の負荷が解除された時点で、圧縮コイルばね38の付勢力により、ロック部材33は、両圧縮コイルばね37、38の付勢力がバランスする、図10に示すロック解除位置に移動させられる。
【0029】
図6、図7、および図14〜図19に示すように、連結杆19と支基6の前部との間には、連結杆19および左右の回動部材16、16に、背凭れ10が起立する方向の付勢力を付与する付勢力調整手段39付きの第2付勢手段40が、左右の回動部材16、16および左右の第1付勢手段20、20の間に配設されるようにして設けられている。
【0030】
この第2付勢手段40の構成は、付勢力調整手段39の部分を除いては、第1付勢手段20の構成と類似している。
すなわち、第2付勢手段40は、上端部(基端部)が連結杆19に枢着され、そこから垂下する、付勢力調整手段39の一部をなす付勢力伝達部材41と、支基6内において前上方に向かって傾斜するようにして配設され、後下端部が、付勢力伝達部材41の下端部(先端部)に設けた二股部41a内に嵌合され、そこに左右方向を向く軸42をもって連結され、かつ前上端部に設けた長手方向を向く長孔43が、上記軸23に外嵌されたばねガイド板44と、このばねガイド板44の後端部寄りに固着されたばね受け板45と、ばね受け面46aの中央に設けたスリット47(図20参照)に、ばねガイド板44が挿通するようにして、両側片46b、46bに設けた貫通孔46c、46cを、上記軸23に外嵌したスプリングリテーナ46と、ばねガイド板44に外嵌するようにして、ばね受け板45とスプリングリテーナ46のばね受け面46aとの間に縮設され、かつ圧縮によって反力を蓄積して、付勢力伝達部材41の下端部を後下方に向かって付勢する圧縮コイルばね48とを備えている。
圧縮コイルばね48のばね定数は、圧縮コイルばね28のばね定数より大としてある。
【0031】
図4および図5、並びに図14〜図17に示すように、支基6内における付勢力伝達部材41と、支基本体11の上片11aの後部より垂下する垂直壁11eの前面との間には、付勢力調整手段39が設けられている。
【0032】
この付勢力調整手段39は、上記付勢力伝達部材41と、この付勢力伝達部材41の受圧側の面、すなわち後面における上下方向の中間部に当接可能、かつ付勢力伝達部材41の後面に沿って上下方向に移動可能として支基6に設けた支点部材49と、この支点部材49を、付勢力伝達部材41の後面に沿って上下方向に移動させる移動部材50とを備えており、付勢力伝達部材41が、支点部材49との当接点を支点Pとするてことして、力点Qである先端部に作用する第2付勢手段40の付勢力を反転させて、作用点Rである基端部により、連結杆19および回動部材16を、背凭れ10が起立する方向に付勢するようにしてある。
【0033】
支点部材49の下面49aは、図16において右上がり(左上がりとしてもよい)に傾斜する傾斜面をなし、同じく上面49bは水平面をなし、上面49bから前面49cにかけて、前下がり傾斜する傾斜面49dが形成され、この傾斜面49dと前面49cとの角部が、付勢力伝達部材41の後面との当接部49eをなしている。この当接部49eは、枢軸8の軸線方向から見て円弧状とするのが好ましい。
【0034】
支点部材49の後部は、支基本体11における垂直壁11eの前面ほぼ中央に設けた後方に向かって凹入する上下方向を向く浅い凹溝51に、上下方向に摺動自在に嵌合されている。
【0035】
支点部材49の下面49aは、正面視ほぼ直角三角形の傾斜カムとした移動部材50における、上記支点部材49の下面49aと同方向に右上がり傾斜する上面50a上に載置され、移動部材50が、図16における左右方向に移動することにより、支点部材49の下面49aが、移動部材50の上面50aに沿って摺動し、支点部材49は、凹溝51に沿って上下動させられるようになっている。
【0036】
移動部材50の右方への移動時に、支点部材49が確実に下降するようにするため、図14および図15に示すように、支点部材49の後面49fの下部に、下面49aと平行をなす短寸の凹溝52を設け、また移動部材50の後面50bの上部にも、上面50aと平行をなす長寸の凹溝53を設け、各凹溝52、53に、側面視ほぼ前向きコ字状をなす板ばね54における前下方を向く上片54aおよび前上方を向く下片54bを嵌合し、両凹溝52、53間を板ばね54により弾性把持し、支点部材49が移動部材50からあまり離間しないようにしてある。
【0037】
支点部材49の下面49aと、それに対向する移動部材50の上面50aとには、微小な波形の凹凸を施し、移動部材50が妄りに左右方向に移動しないようにしてある。
しかし、移動部材50の上面50aが、支点部材49の下面49aに対して摺動しうるようにするため、板ばね54の上片54aと下片54bの先端部が、上下方向に拡開するように弾性変形し、移動部材50の上面50aの波形の山部が、支点部材49の下面49aの波形の山部を乗り越える際の移動部材50に対する支点部材49の上下動を許容しうるようにしてある。
【0038】
移動部材50の下端部は、支基11における垂直壁11eの下端部の前面に固着した左右方向を向くガイド部材55の上面に、左右方向に摺動可能として載置されている。
【0039】
移動部材50の下端部には、左右方向を向くワイヤ挿通溝56が設けられており、ここに、後述する操作手段に連係された閉ループ状に連続する1本のインナーワイヤ57が挿通させられている。
このインナーワイヤ57は、移動部材50のワイヤ挿通溝56からガイド部材55の左右の端部を越えて両側方に延出し、支基11におけるガイド部材55の両側方に一端が止着された可撓性のアウターチューブ58、58内に進入している。
【0040】
左右のアウターチューブ58、58の他端は、後述する操作手段のケースに止着され、そこから引き出されたインナーワイヤ57は、操作レバーによって軸線方向に押し引きされるようになっている。
この閉ループ状の1本のインナーワイヤ57と、1対のアウターチューブ58、58とによって、ボーデンケーブル59が形成されている。
【0041】
移動部材50におけるワイヤ挿通溝56の中間部の上方には、左右方向を向くばね収容部60が、ワイヤ挿通溝56と連続して設けられている。
このばね収容部60の左右方向の中間部において、インナーワイヤ57には、円筒形のばね受け61が固着されており、このばね受け61の左端面とばね収容部60の左端との間、およびばね受け61の右端面とばね収容部60の右端との間には、圧縮コイルばね62、63が、インナーワイヤ57に外嵌するようにして設けられている。
【0042】
したがって、移動部材50に外部から負荷が掛かっていないときは、移動部材50は、ばね受け61の位置に対して、左右の圧縮コイルばね62、63がバランスするような位置に保持される。
図16に示す状態において、操作手段の操作により、インナーワイヤ57が左方に牽引されると、そのときのばね受け61の左進により、左方の圧縮コイルばね62が圧縮されつつ、移動部材50が左進させられ、そのときの移動部材50の上面50aによって、支点部材49は持ち上げられる(図17参照)。
【0043】
図17に示す状態において、操作手段の操作により、インナーワイヤ57が右方に牽引されると、そのときのばね受け61の右進により、右方の圧縮コイルばね63が圧縮されつつ、移動部材50が左進させられ、支点部材49は下降させられる。
【0044】
背凭れ10が起立位置に位置しており、かつ図14に示すように、ばねガイド板44の長孔43の前端が、軸23に当接しているときは、付勢力伝達部材41の下端のそれ以上の後方への回動は、ばねガイド板44によって阻止されている。
このとき、付勢力伝達部材41の後面は、支基11の垂直壁11eの前面と平行をなし、かつ支点部材49が付勢力伝達部材41の後面からわずかに離間しているか、または、圧縮コイルばね48の付勢力が支点部材49に作用しない程度に付勢力伝達部材41の後面に接するようにしておくのが望ましい。
【0045】
次に、第2付勢手段40、およびその付勢力調整手段39の作用、並びに、支基11内の全部材の作用について説明する。
背凭れ10が起立位置に位置しているときは、左右の回動部材16、16は、図8、図9、および図12に示す停止位置に位置している。このときの回動部材16および背凭れ10の図8等における反時計方向の回動は、ばねガイド板24における長孔22の前端部が軸23に当接していることによって阻止されている。
【0046】
また、図14および図15に示すように、付勢力伝達部材41は、連結杆19から真下に垂下し、そのときの付勢力伝達部材41の下端のそれ以上の後方への回動は、ばねガイド板44の長孔43の前端が、軸23に当接していることによって阻止されている。
したがって、このとき、付勢力調整手段39における支点部材49は、操作手段の操作により、軽力で上下動させることができる。
【0047】
ロック装置32は、普段は、図9および図11に示すように、ロック部材33の歯33aが左方の回動部材16の歯31に噛合したロック状態となっている。
【0048】
この状態から、ロック装置32の操作手段を操作して、インナーワイヤ36を牽引し、ロック部材33を、図8および図10に示すように、回動部材16に対して内側上方に移動させ、その歯33aを、回動部材16の歯31から離脱させて、ロック解除状態とする。
【0049】
この状態で、背凭れ10に着座者の背中を凭せかけることにより、背凭れ10を後傾させることができる。
この背凭れ10の後傾時に、図13に示すように、左右の回動部材16、16と連結杆19とが、背凭れ10と一体となって、枢軸8の軸線を中心として、図13における時計回りに回動し、このときの軸21、21の移動により、左右のばねガイド板24、24が前上方に押し上げられ、圧縮コイルばね28、28が圧縮されて、そのときの反力が、左右の第1付勢手段20、20の付勢力として、回動部材16、16に、背凭れ10を起立位置方向に復帰回動させるように作用する。
【0050】
また、このときの連結杆19の回動により、付勢力伝達部材41の上端部が、支点部材49の当接部49eを支点として、後下方に回動させられ、それに伴って、付勢力伝達部材41の下端部が前方に回動させられ、軸42を介して、ばねガイド板44が前上方に押し上げられ、圧縮コイルばね48が圧縮されて、そのときの反力が、第2付勢手段40の付勢力として、回動部材16、16に、背凭れ10を起立位置方向に復帰回動させるように作用する。
【0051】
このとき、図18に示すように、支点部材49が例えば下限に位置していると、支点Pから力点Qまでの距離L1が、支点Pから作用点Rまでの距離L2より小であるので、第2付勢手段40の付勢力は、連結杆19を介して、回動部材16、16、ひいては背凭れ10に、わずかしか伝達されない。したがって、このときの背凭れ10の復帰回動力は弱くなる。
【0052】
図19に示すように、支点部材49を下限位置よりΔLだけ上昇させると、支点Pから力点Qまでの距離L3は、L1+ΔL、支点Pから作用点Rまでの距離L4は、L2−ΔLとなり、第2付勢手段40の付勢力は、連結杆19を介して、回動部材16、16、ひいては背凭れ10に、大量に伝達される。したがって、このときの背凭れ10の復帰回動力は強くなる。
【0053】
このように、付勢力伝達部材41における支点Pから力点Qまでの距離L1と、支点Pから作用点Rまでの距離の差が、支点部材41の移動量の2倍に変化するので、支点部材41をわずかに移動させるだけで、背凭れ10に作用する付勢力を大きく変化させることができる。したがって、装置全体の小型化を図ることができる。しかも、背凭れ10に作用する付勢力を、原理的には無段階的に調節することができる。
【0054】
また、支点部材49における付勢力伝達部材41との当接部49eを、枢軸8の軸線方向から見て円弧状としてあるので、付勢力伝達部材41が支点部材49との当接点を中心として円滑に回動できるだけでなく、付勢力伝達部材41の回動角度に応じて上記当接点が支点部材49の当接部49eの円弧面沿って移動するので、摩耗が局所に集中することがなく、耐久性を高めることができる。しかも、この当接点が付勢力伝達部材41の回動角度に応じて移動することを利用して、背凭れ10が後傾するのに連れて、背凭れ10に伝達される付勢力が大となるようにすることができる。
【0055】
さらに、左右の回動部材16、16における枢軸8との固着部分より上方の部分に連結杆19を連結し、付勢力伝達部材41を、連結杆19から垂下し、かつその下端部において第2付勢手段40が連結されるようにして配設し、付勢力伝達部材41と左右の回動部材16、16とが、左右方向に重合するようにしてあるので、左右の回動部材16、16と付勢力伝達部材41、および左右の第1付勢手段20、20と第2付勢手段40とを、左右方向に重合するようにして、狭い空間内に集約して収容することができる。
【0056】
しかも、複数の付勢手段をもって、背凭れ10をバランスよく円滑に付勢することができるとともに、背凭れ10に作用する付勢力を、バランスが崩れることなく、効率よく調節することができ、さらに、複数の付勢手段を狭い空間内に集約して収容することができる。
【0057】
次に、支基6への座7の取付けについて、図1〜図3、および図20〜図30を参照して説明する。
座7は、平面視枠状をなす座受けフレーム70と、この座受けフレーム70に取付けられた合成樹脂製の座板71と、座板71の上面および外周面を覆うように座板71に取付けられたクッション体72とからなっている。
【0058】
座受けフレーム70は、前後方向を向く左右1対のガイド杆73、73と、その前端部同士を連結する前部連結杆74と、左右のガイド杆73、73の後端部同士を連結する後部連結杆75とからなる硬質合成樹脂製の平面視方形枠状をなしている。
【0059】
前部連結杆74の左右方向の中央寄りには、前後方向に長い左右1対の長孔76、76が設けられている。
図3、図20および図21に示すように、支基本体11の上面の前部には、上面が側面視において曲率の大きい円弧面をなす左右1対の受け板77、77が設けられており、この各受け板77上に、その上面と補形をなす円弧面とした前部連結杆74の下面を載置し、さらにその上に前部より後部の厚さを大としたワッシャ78を載置して、このワッシャ78と、前部連結杆74の長孔76と、受け板77とを貫通するボルト79を、支基本体11の上片11aに螺着することにより、座受けフレーム70の前部が、支基本体11の上面から上方に外れることなく、受け板77の上面の円弧面に沿って前後方向に摺動しうるようにしてある。
【0060】
各受け板77の後端における左右方向の中央部には、凹溝80が設けられており、この凹溝80を、支基本体11の上面に突設した突起81に係合させることにより、各受け板77は、ボルト79を中心として回動しないように、回り止めされている。
【0061】
座受けフレーム70における左右のガイド杆73、73の後部下面より垂下する左右1対の下向突片82、82と、左右1対の背凭れ支持杆9、9における前端より若干後方の部分より起立する上向突片83、83とを、それぞれ左右方向を向く軸84をもって連結することにより、座受けフレーム70は、背凭れ10の後傾に連動して、後部が後下方に移動し、かつ前部が受け板77の上面の円弧面に沿って後方に摺動しつつ、後下向きに傾動するようになっている。
【0062】
図23に示すように、座板71の下面における左右の両側部には、座受けフレーム70における左右のガイド杆73、73が嵌合し、かつ座板71がガイド杆73、73に対して一定範囲内において前後方向に摺動しうるようにした前後方向を向く左右1対の凹溝85、85が設けられている。
左右の凹溝85、85を、座板71の下面における左右の両側端より若干内方寄りに設けてあるので、左右のガイド杆73、73は、座板71の両端より内方に離間している。
【0063】
図23〜図27に示すように、各凹溝85の内側の縁と外側の縁とには、凹溝85内に嵌合したガイド杆73の側縁に設けた両側方に向かって突出する複数の外向突片86、87に係合して、ガイド杆73が凹溝85から下方に離脱するのを阻止するようにした複数の係合突片88、89が設けられている。
この例では、各ガイド杆73の内側の縁と、各凹溝85の内側の縁との前後方向のほぼ中央に、前後方向に長い1個の外向突片86と係合突片88とを設け、各ガイド杆73の外側の縁と、各凹溝85の外側の縁とには、前後方向の長さが短い3個の外向突片87と係合突片89とを設け、座受けフレーム70に対して、座板71が、後限から前限の手前の境界位置までの間に位置しているとき、いずれかの外向突片86、87と係合突片88、89とが互いに係合して、ガイド杆73が凹溝85から下方に離脱するのを阻止するが、座板71が、境界位置を越えて前限寄りに位置したときは、すべての外向突片86、87と係合突片88、89とが係合しなくなるようにしてある。
このように、外向突片86、87と係合突片88、89の数、長さ、および間隔を、各凹溝85内におけるガイド杆73の所要の移動範囲内において、常にいずれかの部分が係合して、ガイド杆73が凹溝85から脱落しないようにしてあるので、外向突片86、87と係合突片88、89を、上記移動範囲の全域に亘って設ける場合よりも、係合突片88、89を形成するための型抜き孔88a、89a(図23および図27参照)の範囲を狭くして、座板71の強度の低下を抑えることができる。
【0064】
座板71における各凹溝85の上壁には、座受けフレーム70に対して、座板71が境界位置に達したとき、ガイド杆73の後端に当接して、座板71のそれ以上の前限位置方向への移動を阻止するようにした、下向きの弾性係合片90が設けられている。
この弾性係合片90を、上向きに弾性変形させて、ガイド杆73の移動軌跡から外すことにより、座板71は、前限位置方向へ移動することができるようになり、またその間においては、座板71を上方に持ち上げるだけで、座受けフレーム70から簡単に外すことができる。
【0065】
座板71を座受けフレーム70に装着するには、座受けフレーム70に対して、座板71が境界位置から前限までの間に位置するようにして、座板71を座受けフレーム70に上方より被せ、座受けフレーム70のガイド杆73の上面により、弾性係合片90が押し上げられるようにして、座板71を座受けフレーム70に押しつけつつ、後方に移動させて、各ガイド杆73が各凹溝85内において、境界位置より前方に位置させる。
ガイド杆73が、凹溝85内において、境界位置より前方に移動すると、弾性係合片90が、凹溝85内のガイド杆73の移動軌跡内に突出し、それ以後、ガイド杆73は境界位置より後方に相対的に移動できなくなり、座板71は座受けフレーム70から外れることはなくなる。
【0066】
次に、各部の動く部分の操作手段について説明する。
まず、座受けフレーム70に対する座板71の前後位置調節手段91について説明する。
図22に示すように、座受けフレーム70の前部右側面には、縦長の複数のスリット92が、前後方向に並べて設けられている。
【0067】
また、図24〜図26に示すように、座板71の前部右側部には、座板71の下面より外下方に向かって突出する操作レバー93の上端部における前後方向に突出する軸94が軸受されている。
【0068】
操作レバー93の基端部には、座7の内方に向かって突出する係合爪95が設けられており、この係合爪95が、座受けフレーム70の複数のスリット92に選択的に係合することにより、座板71を、座受けフレーム70に対して、所望の前後位置で係止しうるようになっている。
なお、操作レバー93を、その係合爪95がスリット92に係合する方向に付勢する付勢手段を設けてあるが、それについては図示を省略してある。
【0069】
このスリット92および操作レバー93によって、座の前後位置調節手段91が形成されている。
【0070】
次に、ロック装置32を操作するロック操作手段100について説明する。
このロック操作手段100は、図2および図27に示すように、前後位置調節手段91の後方における座受けフレーム70の右側部に設けられている。
【0071】
図27に示すように、このロック操作手段100は、座受けフレーム70における右方のガイド杆73の前後方向の中間部の下面に取付けられた操作装置本体101と、そのケース102に前後方向を向く軸103をもって枢着され、かつ座板71の下面より外下方に向かって突出する操作レバー104とを備えている。
上述したように、左右のガイド杆73、73を、座板71の両端より内方に離間するようにしてあるので、操作レバー104を、座板71の側部の下方に、座板71の側端から外側方に突出しないように配設することができるとともに、座板71の下面が操作レバー104を引き上げた際のストッパとすることもでき、さらに、座板71に手を掛けて、操作レバー104を操作することができ、操作性を向上させることができる。
【0072】
操作装置本体101のケース102には、ロック装置32に連係されたボーデンケーブル34におけるアウターチューブ35の他端が止着されている。
また、このアウターチューブ35の他端から引き出されたインナーワイヤ36の端末は、操作レバー104に止着され、操作レバー104を、図27に実線で示すロック位置から、上向き回動させることにより、インナーワイヤ36を牽引しうるようになっている。
【0073】
操作装置本体101内には、操作レバー104を、ロック位置から図27に想像線で示す上方の操作位置まで引き上げると、その復帰回動時に、図27に想像線で示す下方のロック解除位置で停止させられ、その位置から再度操作位置まで引き上げると、その復帰回動時に、ロック位置まで回動し、以後それを繰り返すようにした、公知の機構(例えば、特開2006−136437号公報参照)が設けられている。
【0074】
操作レバー104をロック位置としているときは、図11に示すように、内外の圧縮コイルばね37、38のバランスにより、ロック部材33をロック位置に保持することができ、操作レバー104をロック解除位置としているときは、図10に示すように、内外の圧縮コイルばね37、38のバランスにより、ロック部材33をロック解除位置に保持することができる。
【0075】
したがって、操作レバー104をロック位置としているときは、背凭れ10を、ロックしたときの位置に拘束することができ、操作レバー104をロック解除位置としているときは、背凭れ10を、前後方向に自由に(第1付勢手段20および第2付勢手段40の付勢力が作用しているが)回動させることができる。
【0076】
次に、付勢力調整手段39の操作手段110について、図31〜図34を参照して説明する。
この操作手段110は、図31に示すように、座受けフレーム70の左側部における前後方向の中間部の下面に設けられている。
【0077】
この操作手段110は、座受けフレーム70における左方のガイド杆73の前後方向の中間部の下面に取付けられ、下面が開口する箱状をなし、かつ外側面に窓孔111が設けられた本体ケース112と、本体ケース112の下面の開口部を閉塞するとともに、外端部が本体ケース112より外側方に突出して、下部ガード113を形成する下部カバー114と、本体ケース112内に上下方向を向く軸115をもって枢着され、かつ連係手段であるボーデンケーブル59のインナーワイヤ57を介して、被操作部材である付勢力調整手段39における移動部材50に連係され、軸115回りに回動することにより、移動部材50を移動させるようにした回動部材116と、回動部材116の外周面に突設され、かつ本体ケース112の窓孔111を通って外側方に突出し、かつ座板71の下面と下部カバー114の下部ガード113との間の空間内において回動しうるようにした操作レバー117とを備えている。
この操作手段110の取付けに関しても、左右のガイド杆73、73を、座板71の両端より内方に離間するようにしたことが役立っている。
すなわち、下部ガード113の外側端を、座板71の外側端の直下か、または内方に位置させることにより、下部ガード113が、座板71より外側方に突出しないようにすることができ、下部ガード113が、座板71より外側方に突出しているときのように、着座者が下部ガード113の上面に手をついて、体重をかけることにより、下部カバー114が下方に外される等のおそれを防止することができる。
【0078】
図33に示すように、ボーデンケーブル59における1対のアウターチューブ58、58の他端は、本体ケース112にそれぞれ止着してある。
【0079】
操作手段110をこのような構成としたことにより、下部カバー114の下部ガード113によって、操作レバー117の下方がガードされるので、操作レバー117が他物と当接して傷つくのを防止しうるだけでなく、操作レバー117が外部に露呈しにくくして、外観の向上を図ることができる。
【0080】
下部ガード113の上面には、操作レバー117に関する表示、例えば図32に示すように、後方に向かって漸次拡がる二等辺三角形の図形と、その両端に設けた+−の表示118等を設けることにより、その操作レバー117の操作要領や機能等がわかり易くなるようにしてある。
【0081】
図33に示すように、回動部材116は、この実施形態においては円形のプーリとし、その外周面の一部に、半円弧状の切欠き119を設け、ここに、回動部材116の外周面に掛け回したインナーワイヤ57の一部に固着した平面視円形のワイヤ止め120を係合させることにより、インナーワイヤ57の一部を回動部材116の外周面の一部に止着してある。
回動部材116は、その回動範囲に応じて、例えば半円弧状、または扇形等とすることができる。また、操作レバー117と直交する腕部を有する十字形とし、その腕部の先端部に、2本のインナーワイヤの端末を止着するようにしてもよい。
【0082】
このような構成とすると、下部カバー114を外すだけで、連係手段であるボーデンケーブル59を回動部材116に容易に取り付けたり、外したりすることができ、組付作業や連係手段の交換等を容易に行うことができる。
【0083】
本体ケース112内には、板ばね121によって回動部材116の外周面に向かって付勢させた押圧部材122を設け、この押圧部材122における回動部材116との対向面の中央部に平面半円弧状の凸部123を設け、それに対向する回動部材116の外周面には、回動部材116の異なる回動位置において凸部123と弾性係合するようにした複数の凹部124を設け、操作レバー117の回動操作に節度感を付与し、操作性が向上するようにしてある。
【0084】
押圧部材122は、前後方向を向く板状の基片122aの両端に拡幅部122b、122bを設け、その前後の端面を、本体ケース112内に設けた互いに対向して左右方向を向くガイド面112a、112aにより左右方向に摺動しうるように案内するとともに、前後の拡幅部122b、122bを上下方向に貫通するガイド軸125、125の上下の端部を、本体ケース112に設けた左右方向に長い前後1対の長孔126,126と下部カバー114の上面に設けた左右方向を前後1対の凹溝(図示略)に摺動自在に嵌合することにより、左右方向に円滑に摺動しうるように案内されている。
【0085】
板ばね121は、図34に示すように、下端部を上向きコ字状に折曲して、その折曲部分を本体ケース112の下端の開口縁部に嵌合した状態で、その下方から下部カバー114を押し当てて、下部カバー114を本体ケース112に適宜ねじ止めすることにより、特別な固着手段を設けることなく、本体ケース112に固定してある。
したがって、板ばね121の固定手段を省略することができ、構造を簡素化できるとともに、安価に製造することができる。
【0086】
板ばね121の上下方向の中間部から上部は、回動部材116に向かって傾斜し、上部が押圧部材122に当接して、押圧部材122を回動部材116に向かって付勢している。
【0087】
次に、座7の高さ調節手段130について説明する。
この高さ調節手段130は、図3、図26、および図31に示すように、座受けフレーム70の前部の左側面から下面にかけての部分に取付けられた保持部材131に、前後方向を向く軸132をもって枢着され、かつ座7の下方において外下方に向かって突出する操作レバー133と、図14および図15に示すように、脚柱5の直上における支基本体11の後部上面に設けられた端面カム機構134と、操作レバー133と端面カム機構134とを連係する連係手段135とからなっている。
上述したように、左右のガイド杆73、73を、座板71の両端より内方に離間するようにしてあるので、操作レバー133を、座板71の側部の下方に、座板71の側端から外側方に突出しないように配設することができるとともに、座板71の下面が操作レバー133を引き上げた際のストッパとすることもでき、さらに、座板71に手を掛けて、操作レバー133を操作することができ、操作性を向上させることができる。
【0088】
端面カム機構134は、図14、図15、および図35〜図40に示すように、支基本体11の後部上面に取付けられた円筒形のケース136と、ケース136内の上部に回転自在に配設された回転部材137と、ケース136内の下部に配設された昇降部材138とを備えている。
【0089】
ケース136における円筒部139の上端は、上面板140により閉塞されているが、その上面板139の一部と、それに続く円筒部139の上部とには、扇形の切欠き141が設けられている。
【0090】
上面板140の下面中央には、下方を向く軸142が突設されている。この軸142は、上部の大径軸142aの下端に小径軸142bが連設された段付き軸としてある。
【0091】
大径軸142aには、回転部材137の中央に設けた大径孔143が、また小径軸142bには、昇降部材138の中央に設けた小径孔144がそれぞれ嵌合しうるようになっている。
【0092】
円筒部139の内面には、上下方向を向く3個の縦溝139aが、円周方向に等間隔に設けられており、各縦溝139aに、昇降部材138の外周面に等間隔に設けた3個の突条138aを上下方向に摺動自在に嵌合することにより、昇降部材138は、ケース136の対して、上下方向に摺動可能であるが、回転は不能として保持されている。
【0093】
回転部材137の下端面には、円周方向に傾斜する3個の傾斜カム面145が設けられている。
また、それに対向する昇降部材138の上端面には、傾斜カム面145と同一の傾斜角度をもって円周方向に傾斜する3個の傾斜カム面146が設けられている。
【0094】
図14および図15に示すように、昇降部材138の下面は、伸縮式の脚柱5の上部を形成するガススプリング4の上端より上方に突出するロック解除ピン4aの上端に当接し、ガススプリング4内に設けたロック解除ピン4aの復帰用の付勢手段(図示略)により、常時上向きに付勢されている。
【0095】
回転部材137の上部の外周面の一部には、ワイヤ係止部147が、切欠き141内に位置するようにして設けられている。
【0096】
連係手段135は、一端が、図3および図26に示す保持部材131に止着され、かつ他端が、図36に示すように、ケース136の上部の外周部に止着された可撓性のアウターチューブ148と、その内部を挿通し、アウターチューブ148の一端から引き出された一端が操作レバー133に止着され、かつアウターチューブ148の他端から引き出された他端が、回転部材137の外周面に掛け回された後、そのワイヤ係止部147に係止されたインナーワイヤ149とからなるボーデンケーブル150としてある。
【0097】
この高さ調節手段130によると、操作レバー133を、図26に実線で示す不作動位置から、想像線で示す作動位置まで引き上げると、インナーワイヤ149が牽引されて、回転部材137が、図37に示す位置から、図39に示す位置まで回転させられ、そのときの回転部材137の傾斜カム面145と、昇降部材138の傾斜カム面146との摺動により、昇降部材138が押し下げられ、それに伴って、ガススプリング4のロック解除ピン4aが押し下げられて、脚柱5が自由に伸縮しうるようになる。
【0098】
座7が所望の高さとなった時点で、操作レバー133から手を離すと、ガススプリング4のロック解除ピン4aの復帰力により、昇降部材138が押し上げられ、そのときの昇降部材138の傾斜カム面146と回転部材137の傾斜カム面145との摺動により、回転部材137が、上記と逆方向に回転させられ、それに伴って、インナーワイヤ149が端面カム機構134側に牽引させられて、操作レバー133が不作動位置まで復帰回動させられる。
【0099】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、例えば次のような変形した態様での実施が可能である。
第2付勢手段40における圧縮コイルばね48に代えて、ガススプリングとする。
【符号の説明】
【0100】
1 キャスタ
2 脚杆
3 脚体
4 ガススプリング
4a ロック解除ピン
5 脚柱
6 支基
7 座
8 枢軸
8a、8b 角軸部
9 背凭れ支持杆
10 背凭れ
11 支基本体
11a上片
11b側片
11cリブ
11dガイド部
11e垂直壁
12 下カバー
13 軸孔
14 ブッシュ
14a軸押え
15 角孔
16 回動部材
17 角孔
18 嵌合孔
19 連結杆
20 第1付勢手段
21 軸
22 長孔
23 軸
24 ばねガイド板
25 ばね受け板
26 スプリングリテーナ
26aばね受け面
26b側片
26c貫通孔
27 スリット
28 圧縮コイルばね
29 凹溝
30 軸押え
31 歯
32 ロック装置
33 ロック部材
33a歯
33bワイヤ挿通部
34 ボーデンケーブル
35 アウターチューブ
36 インナーワイヤ
36aワイヤエンド部材
37、38 圧縮コイルばね
39 付勢力調整手段
40 第2付勢手段
41 付勢力伝達部材
41a二股部
42 軸
43 長孔
44 ばねガイド板
45 ばね受け板
46 スプリングリテーナ
46aばね受け面
46b側片
46c貫通孔
47 スリット
48 圧縮コイルばね
49 支点部材
49a下面
49b上面
49c前面
49d傾斜面
49e当接部
49f後面
50 移動部材
50a上面
50b後面
51 凹溝
52、53 凹溝
54 板ばね
54a上片
54b下片
55 ガイド部材
56 ワイヤ挿通溝
57 インナーワイヤ
58 アウターチューブ
59 ボーデンケーブル
60 ばね収容部
61 ばね受け
62、63圧縮コイルばね
70 座受けフレーム
71 座板
72 クッション体
73 ガイド杆
74 前部連結杆
75 後部連結杆
76 長孔
77 受け板
78 ワッシャ
79 ボルト
80 凹溝
81 突起
82 下向突片
83 上向突片
84 軸
85 凹溝
86、87 外向突片
88、89 係合突片
88a、89a 型抜き孔
90 弾性係合片
91 前後位置調節手段
92 スリット
93 操作レバー
94 軸
95 係合爪
100 ロック操作手段
101 操作装置本体
102 ケース
103 軸
104 操作レバー
110 操作手段
111 窓孔
112 本体ケース
113 下部ガード
114 下部カバー
115 軸
116 回動部材
117 操作レバー
118 表示
119 切欠き
120 ワイヤ止め
121 板ばね
122 押圧部材
122a 基片
122b 拡幅部
123 凸部
124 凹部
125 ガイド軸
126 長孔
130 高さ調節手段
131 保持部材
132 軸
133 操作レバー
134 端面カム機構
135 連係手段
136 ケース
137 回転部材
138 昇降部材
138a突条
139 円筒部
139a縦溝
140 上面板
141 切欠き
142 軸
142a 大径軸
142b 小径軸
143 大径孔
144 小径孔
145、146 傾斜カム面
147 ワイヤ係止部
148 アウターチューブ
149 インナーワイヤ
150 ボーデンケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚体と、
前記脚体に支持された支基と、
後部において背凭れを支持し、かつ前部が前記支基に左右方向を向く軸線回りに回動可能として枢支され、前記背凭れとともに、前記背凭れが起立する起立位置とそれより後傾する後傾位置とに、前記軸線を中心として回動可能とした背凭れ支持杆と、
前記背凭れ支持杆と一体となって前記軸線回りに回動可能として前記支基に枢支され、かつ前記軸線を中心とする円弧状の外周面を有する回動部材と、
前記回動部材における円弧状の外周面の一部に係合することにより、前記回動部材の回動を阻止するロック位置と、このロック位置から前記軸線方向と軸線から離れる方向との両方向に離脱し、前記回動部材の回動を許容するロック解除位置との間を、前記軸線に対して斜めに移動可能として、前記支基に装着されたロック部材と、
前記ロック部材と連係され、前記ロック部材を、ロック位置とロック解除位置とに移動させる操作手段とを備えることを特徴とする椅子。
【請求項2】
回動部材における円弧状の外周面と、それに対向するロック部材の対向面とに、左右方向を向く軸線と平行をなし、かつ互いに斜めの方向に係脱するようにした歯を設けたことを特徴とする請求項1記載の椅子。
【請求項3】
背凭れ支持杆を左右1対とし、それらの前端部に固着した左右方向を向く枢軸を、支基の側片を貫通するようにして、前記支基に枢支し、前記支基内において、回動部材を前記枢軸に固着したことを特徴とする請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
ロック部材をロック位置に向かって付勢する付勢手段を、支基に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−94665(P2013−94665A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204290(P2012−204290)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2011−242880(P2011−242880)の分割
【原出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】