説明

植物栽培装置用局部断熱用囲い

【課題】植物の育成において、植物の成長に必要な部分を冷却し、加温する温度管理のエネルギーを減量する。
【解決手段】作業台の上部あるいは作業台の下部の部分あるいは栽培床の上の部分を、側面及び上面の両方あるいはいずれか一方を開閉可能なプラスチックフィルムで囲い、該断熱囲いの内部に冷却装置、加温装置を設置することにより、植物栽培に適した温度管理、湿度管理を少ないエネルギーで実施することを可能とし、栽培費用を低減し、かつ、植物の品質を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花や樹木や野菜などの植物を育成する装置に関するものであり、さらに詳しくは、植物が成長するのに適切な温度および湿度の管理が可能な断熱用フィルム囲いに関するものであり、少ないエネルギーで温度管理を可能とする断熱用フィルム囲いに関するものである。
【背景技術】
【0002】
花卉や野菜を人工的に栽培する場合には、各々の植物に適した太陽光、水、空気、炭酸ガスおよび肥料などを施し、温度や湿度を適切に管理する。特に、温度の管理は、栽培用ハウスで、外気との熱遮断をするだけでなく、夏季は、クーラーで冷房し、冬季は温風や温水を循環することによって暖房をすることが行われている。
【0003】
ハウスの熱効率を高めたり、採光の調節をするために、ハウスの天井に開閉が可能なフィルムを取り付けたりすることが行なわれている。特許公開2001−231375には、農業用ハウスの天井頂部内側に、合成樹脂製素材を用いて形成された織布又は不織布からなる農業用カーテン資材を非使用時に収納保持してなる農業用ハウスにおいて、ハウス栽培用資材と農業用カーテン資材との間に、透過率が適切に調整される透明材を介在させ、該透明材により紫外線量と直達光量が調整された太陽光が農業用カーテン資材へ照射されるようにすることが提供されている。天井の開閉可能なフィルムによって、ハウスの冷却あるいは加温の容積は小さくなり、熱効率の改善にはわずかに改善されるものの、積極的に温度調節効率を改善することが意図されているものではない。特許公開平7−135860には、間隔をあけて床土に設置された複数のアーチパイプの上に樹脂製カバーシートを被せて形成される植物栽培用トンネルハウスに用いるハウス栽培用被覆材自動開閉装置において、シートの開閉が簡易に行なえる装置が提案されているが、ハウス内の冷却あるいは加温容積を減少して、冷却あるいは加温のエネルギー効率を改善することを示唆するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開2001−231375
【特許文献2】特許公開平7−135860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
植物の栽培では、植物に適した温度に管理することが、植物を健全に成長させるためには必要である。植物の栽培は、季節性がなくなり、どの季節にも出荷できるように生産されている。そのために、夏季には、冷却したり、涼しい場所に植物を移動して栽培することもあり、冬季には、加温して栽培することもある。そのために、夏季の冷却はなるべく省略できるように、暑さに弱い植物は、涼しい地域で栽培されることが多いが、胡蝶蘭のように、自然の冷却では対応できない植物は空調機によってハウス内を冷却することがある。冬季には、温風送風機で発生した温気をダクトでハウス内に送風して加温したり、スチーム放熱機、ヒートポンプや地熱で加温したり、温湯を循環して加温することもある。冷却も加温も、ハウス全体を冷却、あるいは、加温するには、大きなエネルギーが必要であり、植物の栽培のためにはその必要はない。本発明は、植物に育成に必要な部分のみを冷暖房し、植物栽培の温度管理エネルギーを減少し、植物栽培費用を減少しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、花卉や野菜の栽培において、ハウスの中の植物栽培に必要な空間を、開閉が可能なプラスチックフィルムによって囲い、その中に、冷却装置と加温装置の両方または片方を設置し、冷房または加温の容積を減少し、植物栽培に要する熱エネルギーを減少しようとするものである。植物栽培に必要な空間とは、植物を栽培する作業台あるいは地床の面積と、植物の成長した背丈の高さとの空間で、植物の成長との手入れをする作業に必要な空間である。作業台の上で栽培する植物については、作業台とその上部のみを囲うこともできるが、冷却、加温装置を設置するために作業台の下の部分を含む空間を囲うことも可能である。冷却装置による冷却とは、空調機やヒートポンプで冷却した冷気をダクトで挿入する方法や、土壌に通気し、蒸発熱で冷却する方法などがあるがこれらの方法に限定されるものではない。加温装置による方法とは、加温送風機で暖めた空気をダクトで挿入する方法や、スチーム放熱機を囲いの中に設置する方法、鉢の周囲に温水や、ヒートポンプや地熱のよる温気を循環して加温する方法などがあるが、これらの方法に限定するものではない。狭い空間で、温度管理を行なうと熱効率は改善されるが、植物によっては、湿度が高くなったり、温度変動が大きくなったりすることによって、成長に悪い影響を与えることがある。また、囲いのために採光が悪くなったり、日常の手入れ作業がやりにくくなったりする問題が発生することがある。この問題を解決するために、該囲いの側面あるいは、上部(天井)の部分のフィルムが開閉可能とした。夜間に加温装置で囲いの中を加温し、昼間は、湿度が高くなった囲いの中の空気を換気したり、採光のために上部フィルムを開放することが有益である。また、植物の手入れ作業のためには、側面のフィルムを開けることが有益である。植物の栽培には、温度管理とともに湿度管理が重要である。狭い空間で、加温すると潅水の余浄水が蒸発して、湿度が高くなりかちである。温度管理と併せて湿度管理を適切に行なうことが重要であり、該断熱囲いの中に温度センサーと併せて湿度センサーを設置し、湿度の状態に合わせて、囲いを開閉し、湿度管理を適切に行なえる装置とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、植物を健全に栽培するために、冷却、加温する空間を、栽培作業台の上部あるいは栽培床の上部で、植物が成長する高さを確保し、植物の手入れ作業が円滑に行なえられる空間とし、プラスチックフィルムによって断熱囲いを設けた。この空間の容積は、ハウス全体の容積に比較して10%から30%に相当している。該断熱囲いの内部に冷却この部分の温度管理を行なうことにより、冷却、加温エネルギーは、50%から60%分が減少することが判明した。また、土壌などの植物栽培媒体に通気することによって、栽培媒体を直接冷却する方法によって、さらに、冷却エネルギーは減少し、従来のハウスによる温度管理の方法に比較して、70%から90%が減少することが判明した。本発明によって、断熱囲いの上面あるいは側面を開閉可能な構造にすることによって、日常行なう植物の手入れに支障することなく、また、断熱囲いの中の湿度の管理を可能にすることによって、植物の成長を阻害する問題も解決した。本発明によって、低エネルギーで、植物を健全に成長させることが可能となり、農業に貢献するところは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】局部断熱囲いの構造図の鳥瞰図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、作業台1の上の栽培で、作業台に支柱2を組み立てて、その全体を覆うように、プラスチックフィルム3で囲い断熱囲いとする。作業台の下部も覆うことができる。断熱囲いは、栽培床面積と、植物の種類によって高さを決める。作業台の上で栽培するシクラメン、シンピジュームや胡蝶蘭や観葉植物などの花卉の場合、該植物の成長した高さや手入れ作業に必要な高さを確保するのがよい。例えば、シクラメンの場合は、50cmの高さがあれば十分であり、シンピジュームや胡蝶蘭の場合は、100cmの高さが適切である。野菜の苗栽培には、20cmくらいの高さで十分であるが、他の植物との互換性から50cmとした。地耕栽培の野菜例えばトマトやキュウリの場合には、150cm程度の高さが適切であり、イチゴやほうれん草やキャベツの場合には50cm程度が適切である。ハウスの中にあるので、風や雨の影響を受けることがなく、軽量で、安価な支柱に、40〜75ミクロン程度の厚さのポリエチレンなどのフィルムを使用した。ポリエチレンフィルムは、作業のための取扱いがし易いように、側面および上面のフィルムを開閉が可能であるようにした。動力を使用した自動開閉にすることも可能であるが、手動の開閉で行なうことも可能である。
【0010】
作業台で植物を栽培する場合、冷却装置と加温装置は、断熱囲いの中に設置することにより、直接植物に温度を適切に。低エネルギーで調節することが可能となる。冷却装置および加温装置は、断熱囲い上部内面にダクトを通して行なうことができるが、作業台の下部にダクトを設置することができる。温気は上面へ、冷気は下部へ移動するが、囲いの内部は容積が小さく、作業台の下部に設置することで熱効率的には大差はなく、むしろ、冷気、温気が植物に直接当たらないので好ましい。地耕栽培の場合には、地面の上の植物の茎から離れた部分に設置することが好ましい。
【0011】
鉢で花卉を栽培する場合、複数個の鉢を作業台の上で栽培することがある。鉢を、気密を保って挿入できる容器に挿入し、該容器の底部に通気のためのホースを挿入する。エアポンプまたはハウスに備え付けの温風発生器で加熱しないで送風し、鉢に通気することが可能である。通気のための容器は、複数個の鉢を収納できるように、プラスチックで一体成形をしたものを使用することができる。植物に適切な温度範囲になるように、鉢に通気することによって冷却することができる。例えば、シクラメンの栽培の場合には、ハウス内の温度が45℃の場合に、通気量を3リットル/分とすることによって、23℃に冷却できる。シクラメンは、25℃以上で、冬眠状態になり、成長は停止するが、23℃以下になると、夏季にも成長を続け、従来の方法に比較して成長はよく、短期間で品質の優れたシクラメンを栽培することができる。胡蝶蘭の栽培の場合には、断熱囲いの中の温度を30℃にすると、鉢に通気することによって鉢の温度を18℃以下に冷却することが可能である。胡蝶蘭の花芽分化温度は12℃〜18℃であり、従来はハウス全体をこの温度に管理していたが、狭い断熱囲いの中を30℃に調整することによって、電力の少ない通気によってこの温度に冷却できる。ハウス全体を直接冷却するのに比較して、空調費用は80%程度低減することが可能である。地耕栽培の場合、土壌中の深さ10〜30cmの位置に、例えば直径5cm、長さ20cmの多孔質セラミックパイプを埋設し、温風発生器で加温しない空気を5リットル/分の量を送風することによって、地表1cmから5cmの部分で、周囲温度に対して5℃の冷却効果が得られた。
【0012】
断熱囲いの中の加温は、温風発生機、空調機による温風をダクトで循環する方法、ヒートポンプ、地熱利用による加温、鉢や土壌中に温風を循環して加温する方法などがあるが、既にハウスに取り付けられている温風発生機を囲われた作業台の下あるいは囲う中央上部に設置することが簡単で、効率的である。地耕栽培の場合も、地上に設置したダクトにより温風を送風したり、水分が過分にならない程度に加温した湯を多孔質セラミックパイプの中に循環することによって土壌を直接的に加温することができる。ハウス全体を加温するのに比較して、熱エネルギーは40%から70%の減少効果が確認できた。
【0013】
このように、植物の周囲の狭い空間を囲うと、囲いの中の空気が過湿状態になり、植物によっては、成長に悪い影響を与えることがある。そのために、囲いの上面あるいは側面を開閉可能とし、湿度のコントロールをすることが好ましい。温度センサーとともに、湿度センサーを設置し、所定の湿度範囲を越えた場合に、自動的にプラスチックフィルムが開く、あるいは、警報機で知らせる機能を設けることが有益である。
【実施例1】
【0014】
C鋼を配置した作業台で、幅180cm、長さ20メートル、高さ70cmで、C鋼(給水樋)が8本並べられた作業台において、外側のC鋼の外側に幅3cm、厚さ2mm、長さ20メートルの鋼板を設置し、両面の該鋼板に高さ50cmにR20cmに曲げた幅4cm、厚さ2mmの平板を1メートル間隔にネジ留めし、該鋼板の中央の下部に同じ形状の鋼板をネジ留めして支柱とした。20メートルの鋼板は、3.6メートルのものを幅4cm、厚さ2mm、長さ20cm補助鋼板をネジで、つなぎ合わせて20メートルとした。該支柱に、幅140cm長さ22メートル、厚さ75ミクロンのポリエチレンフィルムを支柱に、半分ずつ重なるように配置し、上面、側面および、両方の端部を、フィルムを折り曲げて閉じた。フィルムの支柱への固定は、プラスチッククリップで行なった。作業台の下は、開閉の必要がないため、2重構造からなる気泡を含むポリエチレンフォームを設置した。
【0015】
C鋼は、鉢栽培の底面給水に使用される。C鋼には水を入れて給水するために、両端は水が漏れないように閉じてある。通常の栽培では、プラスチック製4号鉢あるいは5号鉢を固定し、鉢の底面に取り付けた吸水紐を、水を通したC鋼内に垂らし、底面給水を行なう。C鋼全体を覆う片面20cmの厚さ50ミクロンのポリエチレンチューブに、15cm間隔に、22cmの開口部を設けた。開口部にプラスチック製5号鉢(通気容器)を挿入し、端部を輪ゴムで固定した。該鉢は、栽培用の鉢の吸水紐はC鋼の水の部分に通しやすいように穴を開けた。該通気容器をC鋼に固定した。プラスチック製5号鉢出荷用鉢を気密に保持し、該通気容器に挿入した。20メートルのC鋼に、15cm間隔に60個の通気容器を取り付け、各々の通気容器に出荷用5号鉢を挿入した。ポリエチレンチューブの一端は閉じ、他端に、通気用ホースと給水用ホースを取り付けた。
【0016】
11月に播種し、発芽したシクラメンを3月に、プラスチック3号に鉢上げし、6月に5号鉢に鉢替えを行なった。播種は播種用トレーに、1セルに1個の種を播き、C鋼を配置した作業台の上に、金網を敷き、その上に、不織布を敷き、C鋼から吸水ができるように、吸水紐を設置して、トレーあるいはプラスチック鉢に給水ができるようにした。発芽直後の苗が小さい時期には、上面潅水を行なうことがある。11月から2月にかけて、ハウス内温度は、暖房をしないと10℃以下で0℃近くになることがある。そのために、温風発生器で暖房をして、鉢の土温が15℃以上になるように管理を行なう。作業台の上部および下部をポリエチレンフィルム断熱囲いで覆って栽培して、断熱囲いの内部のみを加温したものを本発明の試験体1とした。本発明の試験体は、6月に5号鉢に鉢替えした後は、ポリエチレンフルムを開き、前記の通気容器に設置した。昼間25℃を越える期間は、先述のポリエチレンチューブに温風発生器によって通気した。通気圧力を20mmHOとなるように調整することによって、20℃以下に冷却することが可能であった。給水、施肥をしながら、11月まで加温、冷却を繰り返しながら10℃から20℃特に開花時期には15℃から18℃に温度管理をしながら栽培を行なった。同様に、1月に播種し、同じように栽培したものを試験体2とした。一方、断熱囲いを設けないで、ハウス全体を加温し、夏季は、冷房をしないで、外気の取り入れのみで栽培したものを比較試験体とした。
【0017】
試験体1及び2は、栽培の全期間を通して適切な温度管理がされているので、適切な給水管理、採光管理、施肥管理を行なうことによって、シクラメンは健全に成長した。10月時点で試験体1は、葉数34枚、花数28個であった。本発明の試験体2は葉数28枚で、花数23個であった。比較試験体は、葉数22枚で、蕾が出始めたところであった。比較試験体は、11月に葉数は21枚で、花数は18個になった。このように、温度管理を適切に行なった本発明の試験体は、比較試験体に比較して明らかな成長の差異が認められた。また、1月に播種したものも、11月時点では、比較試験体に劣らない成長の結果であり、栽培の期間短縮の効果が認められる。また、本発明の試験体は、天候に関係なく温度調整が可能であるので、計画栽培が可能である。それに対して、比較試験体は、例えば夏季の休眠状態(23℃以上)が長引く年度においては、年末までの出荷が危ぶまれることもある。断熱囲いを設けた場合の冬季、春季、秋季の暖房費の節減は約50%に至った。夏季の通気による冷却費は、送風だけであるので、大きな費用にはならずに、全体を合わせても40%以上の冷暖房経費節減となった。
【実施例2】
【0018】
幅180cm、長さ5メートル、高さ70cmの金網を配置した作業台で、作業台の外側に、幅、厚さ30cm、長さ5メートル角鋼材に1メートル間隔に、内径10mmの穴を開け、高さ1メートルで、R20cmに曲げた直径10mmの、肉厚2mmのアルミニュームパイプを挿入し、該アルミニュームパイプの中央下部分に、同じ直径10mmのアルミニュームパイプを直角に配置して補強し、支柱とした。幅4メートル、長さ7メートル、厚さ70ミクロンのポリエチレンフィルムをこの支柱に張り、アルミニュームパイプにプラスチッククリップで固定した。作業台の下部は、実施冷1と同じに、2重構造からなる気泡を含むポリエチレンフォームを設置して、断熱囲いとした。
【0019】
直径10cmのプラスチック鉢に水苔を栽培媒体として、葉が6枚までに成長した胡蝶蘭を試験体とした。本発明の試験体は、鉢を気密に挿入できる容器の底部に直径1cmのゴムホースを挿入し、鉢の底部の穴から通気できる構成として、断熱囲いの中で栽培した。一方比較の試験体1は、同じ容器に挿入したものの通気は行なわないで、同じ断熱囲いの中で栽培した。比較試験体2は、比較試験1と同じ構成で、部屋の温度を空調により18℃以下に調整できる部屋に設置した。4月に試験を開始し、外気温は、20℃越すことがあり、6月以降には30℃以上になることもたびたびあり、冷房をしないハウス温度は40度を越えることもあった。本発明の試験体は、ハウス内の冷却は行なわないで、断熱囲いの中の温度を既設の空調機で、ダクトで冷風を通して30℃になるように設定した。さらに、鉢に通気圧20mmHOで通気した。鉢内温度は18℃以下に冷却することが可能であることを確認した。通気圧力を調整することによって、鉢内温度を調整したが、断熱囲いの温度を調整したり、通気時間を調整することによってポット内温度を調整することができる。比較試験体1は、断熱囲いの中で栽培しているので、鉢内温度は、25℃以上(水苔に水分を含むので、周囲温度より、水苔温度は低下する)にしかできなかった。試験体2は、ハウス全体を空調機で、18℃以下に管理した。
【0020】
その結果、本発明の試験体と比較試験体2は、7月に芽茎が成長し始め、8月に蕾および花を付けた。これに対して、比較の試験体1は9月になっても、芽茎は発生しなかった。本発明の試験体は、断熱囲いの容積が、ハウス全体の20%に相当し、その部分を30℃に温度設定して電力使用量少ない通気のみで冷却することができ、ハウス全体を18℃以下に調整した比較試験体2の電力使用量に比較して10%程度の電力で、温度調節が可能となり、生産費削減に大きな貢献を可能とした。
【符号の説明】
【0021】
1 作業台
2 支柱
3 プラスチックフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するハウス施設栽培装置において、作業台あるいは地床の上部を植物の栽培作業に必要な高さにプラスチックフィルムで囲い、囲いの上面および側面の両方または一方を開閉が可能とし、囲いの中に、冷却装置と加温装置の両方または片方を設置したことを特徴とする断熱用フィルム囲い。
【請求項2】
鉢を通気によって冷却する局部冷却装置と鉢の周りを加温する局部加温装置の両方または片方を設置した請求項1の断熱用フィルム囲い。
【請求項3】
囲いに中に、湿度センサーを設置し、該センサーの値が所定の設定値を外れた場合に、囲いが自動的に開放するか、警報を発する装置を組み合わせた請求項1の断熱用フィルム囲い。

【図1】
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【公開番号】特開2010−220486(P2010−220486A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68250(P2009−68250)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(307019192)有限会社パールハート (5)
【Fターム(参考)】