説明

植物生育施設用自動散水システム

【課題】日射量や降雨などの気象条件を考慮した植物生育施設用の自動散水システムを提供する。
【解決手段】この出願の発明は、以上の課題に対応してなされたもので、日射センサ、降雨センサ等を用いて、日々の気象条件(日射量、降雨など)を適切に管理することにより、効率的かつ無駄のない自動的な散水を行い、植物の生育を適切に維持・管理できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、気象条件を考慮して散水制御を行う植物生育施設用の自動散水システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物を生育させるためには水分が不可欠であるが、例えば多量の植物を生育させる屋上緑化施設等における日々の散水には時間的な制約と多大な労力を要する問題がある。
【0003】
このため、従来から、例えば屋上緑化施設等では、一般にタイマー式の自動散水装置が用いられており、例えば図3の(c)に示すように、1日の内の予じめ設定された所定の設定時刻(この図3(c)の例では、午前6:00と午後の18:00)になると、散水用電磁弁を開いて自動的に散水する散水システムが採用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−102295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなタイマー式の散水装置では、上述のように、予じめユーザーが設定した設定時刻に固定的に散水を行うことから、散水の必要のない降雨時にも散水を行う等、日々の気象条件には全く対応することができていない。そのため、不必要な水の使用につながり、水源の乏しい地域では公共秩序に反する行為ともなっている。
【0006】
また、本来、散水対象の植物の種類や土質に応じて、散水頻度や1回あたりの散水量を変化させることが望ましいが、従来の散水システムでは、そのような設定操作が複雑であり、高価なシステムになる
また、このような日々変化する気象条件に対応しない一律の散水は、植物の生育にとって必ずしも有効な散水とは言えない。
【0007】
この出願の発明は、以上のような事情に基いてなされたもので、日々の気象条件(照度、降雨など)を適切に管理することにより、効率的に自動的な散水を行い、無駄な水の使用を回避するとともに、植物の生育の適切な維持管理を低コストに実現できるようにした自動散水システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0009】
(1) 請求項1の発明
この発明は、日射量を検出する日射センサと、降雨状態を検出する降雨センサと、水源からの水を植物に散水する散水手段と、水源から散水手段への水の供給状態を制御する散水用電磁弁と、上記日射センサにより検出された日射量と上記降雨センサにより検出された降雨状態とに基いて、上記散水用電磁弁を開閉制御する散水制御ユニットとを備えてなることを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、屋上緑化施設その他の各種植物生育施設に対して日々の気象条件に対応した適切な散水制御を行うことができるようになることから、日射量に応じた最適な給水管理が可能となり、さらに、すでに述べた従来のタイマー式の散水システムのように、降雨時に不要な散水を行うようなことがなくなり、無駄な水の使用をも回避することができる。したがって、水源の乏しい地域にとって好都合となる。
【0011】
また、本来、散水対象の植物の種類や土質などに応じて、散水頻度や1回あたりの散水量を変化させることが好ましいが、そのような対応も容易となる。
【0012】
それらの結果、植物の生育性も向上する。
【0013】
(2) 請求項2の発明
この発明は、上記請求項1の発明の構成において、日射強度が弱く、予じめ設定された所定時間内に所定の基準日射量に達しない場合には、予じめ設定された所定の時間間隔で定期散水を行うようになっていることを特徴としている。
【0014】
このように日射強度が弱く、予じめ設定された所定時間内に所定の基準日射量に達しない場合には、予じめ設定された所定の時間間隔での定期的な散水を行うようにすると、例えば夏の曇天日などで、日射量そのものは少ないが、気温が高く、水分が蒸発しやすい日の定期的な散水機能が確保される。
【0015】
その結果、日射センサと降雨センサのみに基いて散水制御を行うようにした場合の植物に対するダメージが回避される。
【0016】
(3) 請求項3の発明
この発明は、上記請求項1又は2の発明の構成において、基準となる日射量は、植物の種類に応じて任意に設定可能となっていることを特徴としている。。
【0017】
このような構成によると、水分の要求度合が異なる植物の種類に応じて、適切なタイミングでの水の補給が可能となり、植物の良好な生育管理が可能となる。
【0018】
(4) 請求項4の発明
この発明は、上記請求項1,2又は3の発明の構成において、散水制御ユニットが、コンピュータおよびインターネット回線を介して所定のデータセンターと接続され、散水制御ユニットを有する複数の植物生育施設が共通に管理されるようになっていることを特徴としている。
【0019】
このように、コンピュータおよびインターネット回線を使用して複数の植物生育施設を共通に管理するようにした場合、上述した日射センサや降雨センサの検出データを共有させることができ、システムの管理効率が向上するとともに、システム全体を低コストに実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上の結果、本願発明によれば、屋上緑化施設等各種植物生育施設の気象条件に応じた適切な散水管理が可能となり、水を無駄にすることなく、より高効率かつ良好な植物の生育管理が可能となる。
【0021】
また、インターネット回線を使用して複数の植物生育施設を共通に管理するようにした場合、上述した日射センサや降雨センサの検出データを共有させることができ、より高効率な施設運営が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る植物生育施設用自動散水システムの装置部分の構成を示す図である。
【図2】同自動散水システムの散水制御内容を示すフローチャートである。
【図3】同自動散水システムの散水制御内容(a),(b)を従来のタイマー式の散水制御システムの散水制御内容(c)と比較して示すタイムチャートである。
【図4】本願発明の実施の形態2に係る植物生育施設用自動散水システムの装置部分の構成を示す図である。
【図5】本願発明の実施の形態3に係る植物生育施設用自動散水システムの装置部分の構成を示す図である。
【図6】本願発明の実施の形態4に係る植物生育施設用自動散水システムの散水制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施の形態1>
図1〜図3は、本願発明の実施の形態1に係る植物生育施設用自動散水システムの構成および作用を示している。
【0024】
(基本となる散水装置部分の構成)
先ず図1は、上記自動散水システムの基本となる自動散水装置部分の具体的な構成を示している。
【0025】
図中、符号1は、例えば植物生育施設の一例としての屋上緑化施設の土壌部分を構成する屋上緑化基盤であり、この屋上緑化基盤1,1・・・上には、所定の植物2,2・・・が多数本植栽されている。
【0026】
この屋上緑化用基盤1,1・・・には、一例として、粒状のクリンカアッシュを骨材とし、水とセメントとを混合して、その内部に空隙率10%〜30%の空隙を形成したブロック構造体が採用されている。
【0027】
クリンカアッシュとは、石炭火力発電所のボイラー内で、燃焼によって生じた石炭灰の粒子同士が相互に凝結し、多孔質の塊となった廃棄物である。
【0028】
本実施例では、このクリンカアッシュを、破砕し、例えば粒径3mm〜20mmに粒度調整した粒状のクリンカアッシュを用いている。
【0029】
また、水と、セメントと、骨材とされる粒状のクリンカアッシュとの単位体積当りの重量比(配合比)は、およそ1:(2.5〜3.5):(10〜12)として、これらを混合している。
【0030】
そして、この混合物を、小型コンクリート平板即脱成型機により、直方体のブロック状に形成し、養生させて、屋上緑化用基盤として形成している。
【0031】
なお、この屋上緑化用基盤1の内部の空隙は、植栽する植物2,2・・・の根が根付くうえで、根腐れしない程度の排水性を持たせるように連通させている。
【0032】
一方、この屋上緑化基盤1,1・・・の上方には、上記植栽された植物2,2・・・の上方から水を散水するための散水ホース3が設置されており、該散水ホース3の基端3a側は散水用電磁弁4、水供給管5を介して水道水の供給源に接続されている。
【0033】
散水用電磁弁4は、散水制御ユニット7によって、電気的に開閉制御され、開状態において、上記水供給管5を介して供給される水道水供給源からの水道水を散水ホース3に供給し、その散水口3b,3b・・・から植物2,2・・・に向けて散水する。
【0034】
散水制御ユニット7は、所定容量のマイクロコンピュータを備えて構成されており、その入力回路には、日射強度から所定時間内の日射量を検出する日射センサ8、降雨状態を検出する降雨センサ9からの各検出データが入力されるようになっている。
【0035】
なお、上記散水ホース3は、それが複数本並設されているような場合には、上記散水ポンプ6に対して、個別に散水用電磁弁4,4・・・を設置し、それら各々の散水用電磁弁4,4・・・が順番に(1本毎に)開放されて行くように構成される。このようにすると、同時に複数の散水用電磁弁4,4・・・が開かれる場合に比較して、各列毎に一定の安定した水圧、水量が確保される。
【0036】
また、上記散水制御ユニット7には、上記植栽されている植物2,2・・・の種類や上記屋上緑化基盤1,1・・・の保水性に応じて、上記所定時間内に検出すべき日射量のレベルを所望に可変設定する日射量設定ダイヤル7b、散水用電磁弁4を開いて散水する時間を所望に可変設定する散水設定ダイヤル7c、設定時刻如何にかかわらず、所定の時間間隔で定期的に散水を行わせるための所定の時間間隔(スパン)を設定する定期散水時間設定ダイヤル7dが設けられており、これらの各設定中および設定後の数値や時間は、各ダイヤル7b〜7d上方側の液晶表示パネル7a部分にデジタル表示されるようになっている。
【0037】
なお、上記散水制御ユニット7および散水用電磁弁4、各センサ8,9の動作電源としては、一般的には図示のようにAC電源が用いられるが、これらは必要に応じて太陽電池を採用することも可能である。
【0038】
(自動散水装置の制御動作)
次に、上記散水制御ユニット7による散水制御動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
先ず、上記散水制御ユニット7の電源スイッチが入ると、当該散水制御ユニット7はもちろん、上記散水用電磁弁4、日射センサ8、降雨センサ9などにも電源が供給され、装置全体の動作が可能となる。
【0040】
そして、それにより制御動作を開始して、先ずステップS1で、上記日射センサ8の検出データを入力し、続くステップS2で検出された日射量の積算(累積)を開始する。また、次にステップS3で、上記降雨センサ9の検出データ(雨滴検知データ)を入力し、続くステップS4で降雨状態の検知(雨滴付着の有無)を開始する。
【0041】
そして、その後、さらにステップS5に進み、それまでに累積された上記日射量A(単位面積当りの照度=W(ワット)/m2)が所定の基準量(100W/m2)以上であるか(A≧100W/m2)、またはそれよりも少ないか(A<100W/m2)を判定する。
【0042】
その結果、ステップS4で雨滴の付着が検出された状態において、上記日射量が上記基準量(100W/m2)よりも少ない時は、降雨状態であると判定して、続くステップS6で上述した日射量の累積動作を停止するとともに、降雨状態の感知時間をカウントし、降雨時間を計測する(降雨状態の検知による散水禁止制御)。
【0043】
そして、そのようにして降雨感知が終了したら、次にステップS7で同感知終了後所定時間、例えば5分経過後から再び上記ステップS2の日射量の積算(累積)を継続する。要するに、降雨センサ9による降雨状態の検知中はもちろんのことであるが、降雨状態の検知が解除されても、その後5分間は散水を行わないようにしている。
【0044】
これにより、一時的に雨が止んでも再び降り出す場合もあり、そのような降雨時の無駄な散水制御をも回避するようにしている。
【0045】
他方、日射量Aが上記基準量以上に多い時(A≧100W/m2)は、仮に降雨センサ9が降雨検知(雨滴付着を検知)したとしても、実質的には降雨状態ではないと判定して、上記ステップS2の動作に戻り、日射量の積算(累積)を継続する。要するに、降雨センサ9は降雨の有無(雨滴の付着)しか検知できないことから、汚れ等による誤検知の可能性もあるため、仮に降雨センサ9が雨滴を検知したとして所定の信号を出力したとしても、少なくとも日射強度が100W/m2以上ある場合には、そのような降雨検知を無視するようにしている。
【0046】
以上のようにして、降雨状態の検知状態が解除されると(5分経過/ステップS7でYES)、次にステップS8に進んで、日射量の累積を再開し、続くステップS9で、上記累積された日射量が具体的に散水が必要であるか否かの判定を行うための判定基準となる日射量の累積設定値(散水基準日射量)に達したか否かを判定する。
【0047】
その結果、YESの時は、ステップS11に進んで、上述の散水用電磁弁4を開き、予じめ設定された散水時間内散水をする。
【0048】
この結果、日射強度が、所定時間内に所定量以上の日射量がある晴れの日などには、設定時間での強制散水とは別に、その時の日射量に応じた短時間間隔での散水が可能となり、より適切な水の補給が行われる(図3の(a),(b)を参照)。
【0049】
そして、同予じめ設定された散水時間が経過すると、ステップS12で当該散水用電磁弁4を閉じ、ステップS13で上記それまでに累積している日射量の累積値をリセットした上で、再び前述のステップS1,S2の日射量検出、累積動作、ステップS3〜S7の降雨判定動作にリターンし、改めて上述の日射量累積、降雨判定動作を実行する。
【0050】
一方、上記ステップS9の日射量累積値判定動作でNOと判定された累積日射量が散水を行うための判定基準量(設定値)に達していない場合であっても、上記定期散水時間設定ダイヤル7dにより予じめ定められた強制散水設定時間に達している時(ステップS10でYESの時)は、上記ステップS9でYESの時と同様にステップS11に進んで散水を行う。
【0051】
このように、例えば日射強度が弱く、予じめ設定された所定時間内に所定の基準日射量に達しない場合には、予じめ設定された所定の時間でのタイマー方式による強制的な散水を行うようにすると、例えば夏の曇天日などで、日射量そのものは少ないが、気温が高く、水分が蒸発しやすい日などの定期的な散水機能が確保される。
【0052】
その結果、日射センサと降雨センサのみに基いて散水制御を行うようにした場合の植物に対するダメージが回避される。
【0053】
以上のような構成によると、屋上緑化施設等植物生育施設の各植物に対して、日々の気象条件に対応した適切な散水制御を行うことができるようになり、例えば図3の(a)と(b)に示すように、日射量が多い晴れの日には、日射量が少ない曇の日に比べて、短かいタイミングで効果的に散水することができるようになるとともに、図3の(c)に示す従来のタイマー式の散水システムのように、晴れの日にも日射量を考慮しない所定時刻毎の固定的な散水で水分不足を生じたり、さらには降雨時に不要な散水を行うようなことがなくなり、屋上緑化基盤1,1・・・中の実際の保水レベルに応じた適切な散水機能を実現できるとともに、無駄な水の使用を回避することができる。したがって、水源の乏しい地域にとっても好都合となる。
【0054】
また、本来、散水対象の植物の種類や土質などに応じて、散水頻度や1回あたりの散水量を変化させることも可能となる。
【0055】
それらの結果、植物の生育性も向上する。
【0056】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1の構成における屋上緑化基盤1,1・・・からの水分の蒸発量は、上述した日射量だけでなく、当該屋上緑化基盤1,1・・・の温度やその時の外気温によるところも大きい。
【0057】
そこで、この実施の形態では、例えば図4に示すように、上述の実施の形態1の構成において、さらに上記屋上緑化基盤1,1・・・内に所定の間隔を保って、複数の温度センサ(例えばサーミスタ)10,10・・・を設置し、日中の所定の設定時刻毎の屋上緑化基盤1,1・・・の温度を検出し、同検出値をも上記散水制御ユニット7内に取り込み、屋上緑化基盤1の温度が高いほど、例えば1回当りの散水量を多くする、散水間隔を短かくする、などの散水制御を行わせるようにしている。
【0058】
このような構成にすると、より植物2,2・・・側の水分要求度合に応じた一層適切な散水制御が可能となる。
【0059】
(実施の形態3)
さらに、この実施の形態では、上述の実施の形態1(または実施の形態2)の構成における散水制御ユニット7を、例えば図5に示すように、無線ラン機能を内蔵したパーソナルコンピュータ11とワイヤレス接続するとともに、無線ランルータ12を介して外部インターネット回線13と接続する。そして、さらに同インターネット回線13を介して、所定のデータセンター14や携帯電話15と接続する。
【0060】
このような構成によると、必要に応じて、上述した散水タイミングや散水時間、屋上緑化基盤1,1・・・の温度などを自動的に収集し、年間(または季節)を通したデータとして蓄積し、当該緑化施設特有のデータベースを作成することもできるようになる。
【0061】
また、その場合、上記データセンター14は、同様にして構成した複数の緑化施設の管理を行うことが可能となり、上述した日射センサ8や降雨センサ9、温度センサ10などの検出情報は、各施設の散水制御ユニット7,7・・・間で共有することができる。
【0062】
もちろん、そのように各センサ8,9,10の検出情報を共有化させた場合にも、それに対応して実行される散水タイミングや散水量は、当該施設に植えられた植物2,2・・・の種類や緑化基盤1,1・・・の種類に応じて個々の散水制御ユニット7,7・・・毎に任意に独立して設定することが可能である。
【0063】
また上記携帯電話15は、例えば上記緑化施設のオーナーおよびデータセンター14の運営会社と契約した専門の緑化施設管理者などが上記データセンター14にデータベースとして蓄積された最新のデータを参照して、異常、故障等の情報を受信し、メンテナンスその他の必要な対応を取るのに利用される。
【0064】
(実施の形態4)
さらに、図6のフローチャートは、上述の実施の形態1の図2のフローチャートに示す散水制御システムについて、上述の強制散水制御(ステップS10)に加えて、さらに上述した定期散水時間設定ダイヤル7dによる定期的な散水時間の設定による定期散水制御(ステップS11)を可能としたことを特徴とするものであり、その他の構成および作用は、上述の実施の形態1の図2のフローチャートに示すものと全く同様である。
【0065】
<その他の実施の形態>
以上の各実施の形態において、さらに次のような変形又は改良が可能である。
【0066】
(1) 屋上緑化施設などでは、人々が入場し、観賞できるようになっているケースも多い。
【0067】
そのような場合、日射量の検出によって、いきなり散水されると、人々が水を被る可能性もある。
【0068】
そこで、上記散水開始に先立って予じめ散水する旨の報知を行ない、その後所定時間を置いて散水を始めるようにする。
【0069】
(2) 散水の場合だけでなく、液肥等の肥料を施す場合にも、上述した気象条件を考慮して肥料を与えるようにする。
(3) 降雨センサ9に加えて、例えばマス式雨量計を付加し、具体的な雨量をも計測して、より適切な散水制御を行う。
【0070】
(4) 定期散水時間設定ダイヤル7dに加えて、所定の設定時刻(例えばAM11:00、PM3:00、PM6:00など)になると、日射量センサ8によって検出される日射量如何にかかわらず、散水用電磁弁4を開いて散水する強制散水時刻設定タイマーにより、より確実に散水制御を行う。
【0071】
(5) 水源を上述した水道水の供給源に変えて、雨水貯留タンクや地下水(井戸水)にする。
【符号の説明】
【0072】
1は屋上緑化基盤、2は植物、3は散水ホース、4は散水用電磁弁、5は水供給管、7は散水制御ユニット、8は日射センサ、9は降雨センサ、10は温度センサ、11はパーソナルコンピュータ、12は無線ランルーター、13はインターネット回線、14はデータセンター、15は携帯電話である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射量を検出する日射センサと、降雨状態を検出する降雨センサと、水源からの水を植物に散水する散水手段と、水源から散水手段への水の供給状態を制御する散水用電磁弁と、上記日射センサにより検出された日射量と上記降雨センサにより検出された降雨状態とに基いて、上記散水用電磁弁を開閉制御する散水制御ユニットとを備えてなることを特徴とする植物生育施設用自動散水システム。
【請求項2】
日射強度が弱く、予じめ設定された所定時間内に所定の基準日射量に達しない場合には、予じめ設定された所定の時間間隔で定期散水を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の植物生育施設用自動散水システム。
【請求項3】
基準となる日射量は、植物の種類に応じて任意に設定可能となっていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物生育施設用自動散水システム。
【請求項4】
散水制御ユニットが、コンピュータおよびインターネット回線を介して所定のデータセンターと接続され、散水制御ユニットを有する複数の植物生育施設が共通に管理されるようになっていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の植物生育施設用自動散水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147753(P2012−147753A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10663(P2011−10663)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(592250698)株式会社四電技術コンサルタント (15)