説明

横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構

【課題】横引き式スクリーン装置の固定框の取付機構として、建物開口部に設置する際のその取付機構の設置が容易で、固定框の建物開口部への取り付け及び取り外しをする際の操作性をも向上させた取付機構を提供する。
【解決手段】建物開口部100の縦枠に沿って固定するアタッチメント枠60を、底壁61と一対の側壁62,63とを有する断面コ字状とし、上記底壁に固定框20を取り付けるラッチ部材80を回転可能に軸支させる。該ラッチ部材80は、固定框に対向状態に突設した係止壁21に係合するラッチ板部82と回転体83とを有し、アタッチメント枠の側壁の外側のスライド部材70の位置を操作部71で上下に移動させることによりラッチ板部を回転させ、スライド部材70が第1の位置にあるとき、ラッチ板部を係止壁21に係止させ、第2の位置にあるとき、係止壁との係止を解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸等の横引き式のスクリーン装置を建物開口部に着脱自在に取り付けるようにした横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定框にスクリーンをアコーディオン式に折り畳み可能にし、或いは、巻き取り方向にバネ付勢された巻取り軸にスクリーンを巻き取るようにした横引き式のスクリーン装置を、修理や各種メンテナンスのために建物開口部枠に対して着脱可能に取り付けるようにしたものは、特に例示するまでもなく極めて一般的に知られている。
しかしながら、それらのスクリーン装置の建物開口部枠への着脱自在な取付機構の設置や、それらの取付機構による建物開口部枠へのスクリーン装置の装着は、必ずしも簡単且つ容易ではなく、ユーザーが簡易に実施できるものではない。
【0003】
横引き式スクリーン装置のスクリーンを収納する固定框を建物開口部枠に着脱自在に取り付ける該固定框の取付機構として、例えば、特許文献1に開示されているように、建物開口部の縦枠側に第1係止部材を取り付け、固定框側に該第1係止部材と係脱可能な第2係止部材を設け、該第2係止部材が固定框に対して上下にスライド可能な可動部材に設けられていて、該可動部材を、固定框の第2係止部材が建物開口部枠の第1係止部材に係止する第1位置と、該係止を解除する第2位置とに切り換え可能にしたものが既に知られている。
【0004】
しかし、この固定框の取付機構においても、第1係止部材と第2係止部材との係脱を可能にして固定框を建物開口部枠の所要位置に正確に取り付け可能にするためには、複数の第1係止部材の建物開口部枠上への取付位置と、固定框上における複数の第2係止部材の取付位置とを、相互に正確に相対応させる必要があり、さもないと、建物開口部枠に対する固定框の取り付けが傾いたり、がたつきがあったりして、安定的に所要位置に固定できなくなる。このような複数の第1係止部材及び複数の第2係止部材を、それぞれ建物開口部枠と固定框の対応位置に正確に取り付けるためには、それなりの熟練を必要とし、或いは何らかの補助的道具を用いる必要があり、必ずしも容易ではない。
【0005】
また、上記特許文献1の取付機構のように、建物開口部の縦枠に複数の第1係止部材を取り付けておき、それに固定する固定框に複数の第2係止部材を取り付けておくと、建物開口部の縦枠へのスクリーン装置の装着に際し、建物開口部枠の複数の第1係止部材に対して固定框における複数の第2係止部材を同時に、しかも、正確に位置決めしたうえで可動部材を操作して取り付ける必要があり、この作業も必ずしも簡単且つ容易であるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−9674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、建物開口部枠に横引き式スクリーン装置の固定框の取付機構を設置するのが容易であり、しかも、該取付機構により建物開口部枠への固定框の取り付け及び取り外しをする際の操作性をも向上させた横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、横引き式のスクリーン装置におけるスクリーンの一端を保持する固定框を、建物開口部の縦枠に対して着脱自在に取付けるための取付機構であって、前記建物開口部の縦枠に沿って固定される底壁とその両側の側壁とにより断面コ字状に形成されたところの、上記固定框を嵌入するための長尺のアタッチメント枠を備え、上記アタッチメント枠の底壁に、上記固定框を取り付けるためのラッチ部材が回転可能に軸支され、該ラッチ部材は、上記固定框におけるアタッチメント枠側に対向状態に突設した係止壁に係合するラッチ板部と、該ラッチ板部と一体化されて上記アタッチメント枠の底壁に軸支された回転体とを有し、上記ラッチ部材を動作させるためのスライド部材が、上記アタッチメント枠の側壁の外側において該側壁の長手方向に移動操作可能にした操作部と、該操作部に上記側壁の摺動孔を通して結合され、上記ラッチ部材の回転体に係合して該回転体を回転駆動する伝動部材を備えた内側取付部片とにより構成され、上記スライド部材が、上記ラッチ板部を固定框の係止壁に係止しない第1の位置と、該ラッチ板部が固定框の係止壁に係止する第2の位置とに移動可能であることを特徴とする横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構が提供される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、前記ラッチ部材におけるラッチ板部が、長径部とそれに直交する短径部とを有し、上記長径部が、上記固定框に対向状態に突設した係止壁間においてそれらの係止壁に係合する長さを有し、上記短径部が、上記固定框の係止壁間に嵌入する長さを有しているものとして構成される。
【0010】
本発明の他の好ましい実施形態においては、前記ラッチ部材における回転体が円柱状をなし、その表面に、前記スライド部材に設けた棒状の伝動部材と係合する凹部を有しているものとして構成され、或いは、前記ラッチ部材における回転体がピニオン状をなし、前記スライド部材における伝動部材が該ピニオン状の回転体と噛合するラック状に形成されているものとすることができる。
【0011】
更に、本発明の他の好ましい実施形態においては、前記スライド部材が、それ自体を上記アタッチメント枠の側壁に対して、上記ラッチ板部を固定框の係止壁に係止しない第1の位置と、該ラッチ板部が固定框の係止壁に係止する第2の位置とに弾性的に保持する保持手段を備えているものとし、更に具体的には、上記保持手段が、上記アタッチメント枠の側壁の外側にある操作部に対して該側壁の摺動孔を通して結合される内側取付部片に、第1及び第2の板ばね部を備え、それらの板ばね部のぞれぞれにおける上記側壁との対面部分に小突子を設け、上記アタッチメント枠の側壁に、上記第1の位置と第2の位置とにおいて該小突子が弾性的に嵌入する小穴を設けているものとすることができる。
【0012】
上記構成を有する固定框の取付機構を建物開口部に設置するに際しては、まず、上記固定框を着脱自在に取り付けるための断面コ字状のアタッチメント枠を建物開口部の縦枠に固定設置することになるが、このアタッチメント枠の設置は、それが建物開口部に取り付ける固定框とほぼ同長であることから、アタッチメント枠が鉛直状態に配置されていることを確認して固定すればよく、例えば、建物開口部の縦枠の上下端に固定框の取付用金具等を個別的に設置する場合に比して、所望の位置に極めて正確に設置することができる。
【0013】
また、上記建物開口部に取り付けられている上記アタッチメント枠に対して固定框を着脱するに際しては、予めスライド部材の操作部を第1の位置に保持させたうえで、該アタッチメント枠の一対の側壁間に固定框を嵌入するが、この場合には、単に固定框をアタッチメント枠内に嵌め合わせればよく、アタッチメント枠に一対の側壁が存在することからその嵌め合わせも極めて容易に行うことができる。更に、上記固定框の固定は、上記の状態でスライド部材を操作し、該スライド部材を第2の位置まで移動させればよく、それに伴って、ラッチ板部の長径部の両端が固定框の一対の係止壁をアタッチメント枠側に押圧するので、固定框がアタッチメント枠に強固に固定される。
【0014】
横引き式スクリーン装置における固定框は、通常、その内部にアコーディオン式に折り畳み可能にしたスクリーンを収納し、或いは、巻き取り方向にバネ付勢されたスクリーンを巻き取るための巻取り軸が収容されるため、建物開口部の縦枠に容易に着脱可能に取り付けるのが困難であるが、上述した手段による固定框の取り付けを行えば、修理や各種メンテナンスのための着脱を容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明によれば、建物開口部の縦枠に長尺のアタッチメント枠を固定するようにしているので、該建物開口部に横引き式スクリーン装置の固定框の取付機構を設置するのが容易であり、しかも、該取付機構により建物開口部枠への固定框の取り付け及び取り外しをする際の操作性をも向上させることができる。そのため、スクリーン装置の本体ユニットを建物開口部から取り外して、スクリーン装置を修理する際や、各種メンテナンスをする際に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る取付機構を備えた横引き式スクリーン装置全体の正面図である。
【図2】本発明に係る横引き式スクリーン装置の本体ユニットとアタッチメント枠とを示す分解斜視図である。
【図3】上記本体ユニットをアタッチメント枠に取り付けた状態を示す要部破断斜視図である。
【図4】上記アタッチメント枠に取り付けられるスライド部材とラッチ部材の分解斜視図である。
【図5】アタッチメント枠に対して固定框が未固定で、スライド部材が第1の位置にある状態を示し、(a)はアタッチメント枠及び本体ユニットの横断面図、(b)はラッチ部材を固定框の内側から見た要部縦断面図である。
【図6】アタッチメント枠に対して固定框が取り付けられ、スライド部材が第2の位置にあって、ラッチ部材が上記固定框の係止壁と係合した状態を示し、(a)はアタッチメント枠及び本体ユニットの横断面図、(b)はラッチ部材を固定框の内側から見た要部縦断面図である。
【図7】スライド部材とラッチ部材の変形例において、アタッチメント枠に対して固定框が未固定で、スライド部材が第1の位置にある状態を示し、(a)はアタッチメント枠及び本体ユニットの横断面図、(b)はラッチ部材を固定框の内側から見た要部縦断面図である。
【図8】図7の変形例において、アタッチメント枠に対して固定框が取り付けられ、スライド部材が第2の位置にあって、ラッチ部材が上記固定框の係止壁と係合した状態を示し、(a)はアタッチメント枠及び本体ユニットの横断面図、(b)はラッチ部材を固定框の内側から見た要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図3に示すように、本発明にかかる横引き式スクリーン装置の本体ユニット10は、防虫網等から成るアコーディオン式に折り畳み可能なスクリーン30を有し、該スクリーン30の一端は固定框20のスクリーン収納部24(図6の(a)参照)内に保持させると共に、スクリーン収納部24に折り畳み収納可能に形成している。また、該スクリーン30の他端は、可動框50によって保持させ、該可動框50は建物開口部100の上部ガイド枠90によって上端をガイドさせ、該可動框50の下端は、建物開口部100の下辺に設けたガイド部材91bによるガイドで横方向に移動可能に形成している。
【0018】
なお、上記可動框50の上下端には、スクリーン30の上側及び下側をガイドする屈曲可能なガイド部材40a,40bを取り付け、該ガイド部材40a,40bの先端は、それぞれ固定框20の上下端から、該固定框20内にその長手方向に沿って設けられているガイド部材収納部22に出入り可能にし、可動框50によるスクリーン30の開閉に応じて該ガイド部材収納部22に出没するように構成している。これらのガイド部材40a,40bは、その移動を上部ガイド枠90及び建物開口部100の下辺に設けたガイド部材91a,91bによりガイドされるものである。
【0019】
建物開口部100の一方の縦枠には、図1に示すように、上記固定框20を着脱自在に取り付けるための該固定框20とほぼ同長のアタッチメント枠60が、ねじ等で固定される。該アタッチメント枠60は、図2、図4及び図5に示すように、建物開口部の縦枠に固定される底壁61とその両側の一対の側壁62,63とにより断面コ字状に形成した長尺材からなり、コ字状をなす該アタッチメント枠60の口部内側に上記固定框20の一部が嵌入するように形成されている。そして、該アタッチメント枠60の底壁61の少なくとも上下2個所に、後述するラッチ部材80が回転可能に支持されている。
【0020】
上記コ字状をなすアタッチメント枠60は、図4〜図6に明瞭に示すように、一対の側壁62,63により形成される口部の内側の対向位置に、該側壁62,63から内側に突出するリブ64を備え、一方、上記側壁62,63により形成される口部に嵌入させて固定する固定框20には、その全長にわたり、上記アタッチメント枠60のリブ64上に位置するように形成した一対の係止壁21が対向状態に突設されている。上記一対の係止壁21は、後述するラッチ部材80のラッチ板部82を係止させ、それによって固定框20をアタッチメント枠60に固定するためのものである。なお、上記固定框20には、スクリーン30の端部に設けた係止部材30aを係止させて該スクリーン30の一端を保持する保持溝23と、折り畳んだスクリーンを収納する収納部24とを備えている。
【0021】
上記ラッチ部材80は、図4〜図6に明瞭に示すように、長径部とそれに直交する短径部とを有していて、該長径部の背面中央側を膨出させた板状のラッチ板部82と、前記アタッチメント枠60の底壁61に回転可能に支持させる円柱状の回転体83とを有している。上記ラッチ板部82の長径部は、前記固定框20における一対の係止壁21間の間隔よりも長く、一方、それと直交する短径部の幅は、一対の係止壁21間の間隔よりも短く形成されている。上記回転体83は、前記アタッチメント枠60の一方の側壁62に沿ってその長手方向に摺動自在に保持させたスライド部材70により回動せしめられるものである。また、上記アタッチメント枠60の底壁61に対するラッチ部材80の回転自在の保持は、該底壁61に設けた穴61aに、該底壁61の外側の溝61bに鍔状部85bを係止させたナット部材85の螺挿部85aを通し、該螺挿部85aに対して、ラッチ部材80の中心穴84を通してねじ86を螺合させることにより行っている。
【0022】
上記アタッチメント枠60におけるラッチ部材80に近接する位置において、その側壁62に長手方向に沿って移動可能に保持させるスライド部材70は、該スライド部材70の位置を外部から操作するための操作部71と、アタッチメント枠60の側壁62の内側に設けられ、上記操作部71と共に移動して回転自在なラッチ部材80を駆動する内側取付部片72とによって構成している。該スライド部材70は、図4に示すように、その操作部71に穿設された穴71aに対し、アタッチメント枠60の側壁62の内側から、該側壁62に穿設した摺動孔62aを通して内側取付部片72の接合部73を嵌め合わせて固定することにより、上記側壁62の摺動孔62aに保持させている。
【0023】
そして、上記操作部71と一体になって駆動される該内側取付部片72には、回転自在なラッチ部材80の前記回転体83に設けた凹部83aに向けて突出する棒状の伝動部材76aを設け、上記スライド部材70の摺動孔62aに沿う摺動によって、上記伝動部材76aを介して回転体83を回転させるように構成している。更に、上記内側取付部片72には、それが上記アタッチメント枠60の摺動孔62aから外部に脱出するのを抑止する抜け止め凸部77を設けている。
【0024】
また、上記スライド部材70の内側取付部片72には、その接合部73の両側に第1及び第2の板ばね部74a,74bを突出させ、それらの板ばね部74a,74b上にそれぞれ小突子75a,75bを設けている。そして、前記アタッチメント枠60の側壁62には、前記摺動孔62aの上下に上記小突子75a,75bが弾性的に嵌入する小穴65a,65bを穿設している。上記小突子75a,75bと、それらが弾性的に嵌入するアタッチメント枠60の小穴65a,65bは、後述するように、上記スライド部材70を第1及び第2の位置において弾性的に保持して停止させるのに有効に機能する保持手段を形成するものである。
【0025】
図4〜図6を参照して、上記ラッチ部材80における板状のラッチ板部82の動作を、上記小突子75a,75b及び小穴65a,65bの機能との関連において具体的に説明すると、アタッチメント枠60に対して固定框20を取り付けていない状態では、当該固定框20の取り付けに際し、まず、図5の(a)及び(b)に示すように、スライド部材70の操作部71が上動した第1の位置にあることを確認し、その位置にないときには同第1の位置に移動させておく必要がある。
【0026】
スライド部材70がこの第1の位置にある状態においては、内側取付部片72に設けた棒状の伝動部材76aが、前記ラッチ部材80の回転体83における凹部83aを押し上げて、該ラッチ部材80のラッチ板部82の長径部が、図5の(b)に示すように固定框20の長手方向を向くように回転させているので、一対の係止壁21間の間隙よりも小幅に形成されている短径部は、固定框20の一対の係止壁21間の幅内に収まり、そのためスライド部材70がこの第1の位置にある状態では、固定框20をアタッチメント枠60に対して取り付けるに当たり、上記ラッチ板部82を一対の係止壁21間に通すことができる。そして、スライド部材70の操作部71を、図5の(b)に示す第1の位置に移動させたときには、前記板ばね部74a上の小突子75aがアタッチメント枠60の側壁62の小穴65aに嵌入するので、スライド部材70はその第1の位置に安定的に保持される。なお、図5の(b)では、上記スライド部材70がその第1の位置にあるときに、第2の板ばね部74b上の小突子75bがアタッチメント枠60の摺動孔62aに嵌入するようにした構成を示しているが、必ずしもその必要はない。
【0027】
図5の(b)に示すように、スライド部材70が第1の位置に保持された状態で、同図(a)に示すようにアタッチメント枠60の側壁62,63間に固定框20を嵌入し、図6の(a)に示すように、一対の係止壁21をアタッチメント枠60の側壁62,63から内側に突出させたリブ64上に位置させて、上記スライド部材70の操作部71を図6の(b)に示す第2の位置まで移動させると、スライド部材70の内側取付部片72から前記ラッチ部材80における回転体83の凹部83aに向けて突出する棒状の伝動部材76aが、該ラッチ部材80の回転体83の凹部83aに嵌挿された状態で図5の(b)の位置から図6の(b)に示す第2の位置まで下動し、それに伴って、ラッチ板部82は長径部が横向きになり、該長径部の両端が一対の係止壁21をアタッチメント枠60のリブ64側に押圧することになるので、固定框20がアタッチメント枠60に強固に固定される。
【0028】
また、上記スライド部材70の移動により、それまで、図5の(b)に示すように、アタッチメント枠60の側壁62の小穴65aに嵌入していた第1の板ばね部74a上の小突子75aが該小穴65aから離脱し、それに代わって、図6の(b)に示すように、前記内側取付部片72の第2の板ばね部74b上に設けている小突子75bが、アタッチメント枠60の側壁62の小穴65bに嵌入するので、それらの係止により前記スライド部材70は第2の位置に安定的に保持される。
【0029】
上記構成を有する固定框20の取付機構を建物開口部100に設置するに際しては、基本的には、上記固定框20を着脱自在に取り付けるための断面コ字状のアタッチメント枠60を建物開口部100の一方の縦枠にねじ等で固定設置すればよく、このアタッチメント枠60の設置は、それが建物開口部100に取り付ける固定框20とほぼ同長であることから、アタッチメント枠60が鉛直状態に配置されていることを確認して固定すればよく、例えば、建物開口部の縦枠の上下端に固定框20の取付用金具等を個別的に設置する場合に比して、所望の位置に極めて正確に設置することができる。
【0030】
また、上記建物開口部100に取り付けられている断面コ字状のアタッチメント枠60に対して固定框20を着脱するに際しては、前述したように、予めスライド部材70の操作部71を第1の位置(図5参照)に保持させたうえで、該アタッチメント枠60の一対の側壁62,63間に固定框20を嵌入するが、この場合に、前記固定框20に設けた一対の係止壁21を、アタッチメント枠60内の一対の側壁62,63の内側に設けたリブ64に重ねるようにして、該固定框20をアタッチメント枠60内に嵌め合わせればよく、アタッチメント枠60に一対の側壁62,63が存在することからその嵌め合わせも極めて容易に行うことができる。
【0031】
上記固定框20の固定は、上記の状態で前記スライド部材70を操作し、該スライド部材70を図6の(b)に示す第2の位置まで移動させればよく、それに伴って、ラッチ板部82の長径部が横向きになり、該長径部の両端が固定框20の一対の係止壁21をアタッチメント枠60のリブ64側に押圧するので、固定框20がアタッチメント枠60に強固に固定される。
上記固定框20をアタッチメント枠60から取り外す際には、前記スライド部材70を第2の位置(図6の(b)参照)から第1の位置(図5の(b)参照)に移動させればよく、それにより前記ラッチ板部82が前記固定框20の係止壁21に係止した状態から解除されるため、この状態で固定框20をアタッチメント枠60から取り外せばよい。
【0032】
横引き式スクリーン装置の本体ユニット10における固定框20は、通常、その内部にアコーディオン式に折り畳み可能にしたスクリーンを収納し、或いは、巻き取り方向にバネ付勢されたスクリーンを巻き取るための巻取り軸が収容されるため、建物開口部100の縦枠に容易に着脱可能に取り付けるのが困難であるが、上述した手段による固定框20の取り付けを行えば、修理や各種メンテナンスのための着脱を容易に行うことが可能になる。更に、アタッチメント枠の縦方向の長さを固定框の縦方向の長さと略同じにしてあるので、横引き式スクリーン装置の固定框をアタッチメント枠60に取り付けた際に隙間を無くすことができる。
【0033】
なお、本体ユニット10その他の部分や上部ガイド枠90、或いは可動框50に対抗する受け枠92等については、その着脱自在な取り付けに格別の問題がないので、既存の技術によりそれらの取り付けを行えばよく、そのため、ここではそれらの取り付けについての説明は省略する。
【0034】
図7及び図8は、スライド部材70とラッチ部材80とにおいて、上記実施例の場合とは異なる変形例を採用した場合を例示するもので、この変形例では、前記実施例におけるスライド部材70の内側取付部片72に設けた棒状の伝動部材76aに代えて、ラック状の伝動部材76bを用い、また、前記実施例におけるラッチ部材80の円柱状をした回転体83が、上記棒状の伝動部材76aが嵌挿される凹部83aを備えているのに対し、この変形例では該凹部83aに代えて上記円柱状の回転体83の周囲に上記ラック状の伝動部材76bと噛合するピニオン83bとして構成している。
【0035】
これによって、上記スライド部材70の上下移動に伴い、ラック状の伝動部材76bと回転体83におけるピニオン83bとの噛合により、前記実施例の場合と同様にラッチ板部82が回転することになる。
なお、図7は図5に対応し、前記スライド部材70が第1の位置にあるときの前記スライド部材70と前記ラッチ部材80の係合状態を示し、図8は図6に対応し、前記スライド部材70が第2の位置にあるときの前記スライド部材70と前記ラッチ部材80の係合状態を示している。
【0036】
図7及び図8に示す変形例のその他の構成及び作用は、図1〜図6を参照して説明した実施例のそれらと実質的に変わるところがないので、図7及び図8における同一または相当部分に同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0037】
以上においては、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で任意に設計変更することが可能であり、例えば、図示の実施例では固定框にスクリーンをアコーディオン式に折り畳み可能にしたものを示しているが、巻き取り方向にバネ付勢された巻取り軸にスクリーンを巻き取るようにしたロールスクリーンにも適用することができる。
更に、上記アタッチメント枠の長さを、建物開口部の縦枠、或いは固定框の縦方向の長さと略同じにすることから、横引き式スクリーン装置の固定框をアタッチメント枠に取り付けた際に生じやすい建物開口部の縦枠との間の隙間を無くすことができる。
【符号の説明】
【0038】
20 固定框
21 係止壁
30 スクリーン
50 可動框
60 アタッチメント枠
61 底壁
62,63 側壁
62a 摺動孔
70 スライド部材
71 操作部
72 内側取付部片
80 ラッチ部材
82 ラッチ板部
83 回転体
100 建物開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横引き式のスクリーン装置におけるスクリーンの一端を保持する固定框を、建物開口部の縦枠に対して着脱自在に取付けるための取付機構であって、
前記建物開口部の縦枠に沿って固定される底壁とその両側の側壁とにより断面コ字状に形成されたところの、上記固定框を嵌入するための長尺のアタッチメント枠を備え、
上記アタッチメント枠の底壁に、上記固定框を取り付けるためのラッチ部材が回転可能に軸支され、
該ラッチ部材は、上記固定框におけるアタッチメント枠側に対向状態に突設した係止壁に係合するラッチ板部と、該ラッチ板部と一体化されて上記アタッチメント枠の底壁に軸支された回転体とを有し、
上記ラッチ部材を動作させるためのスライド部材が、上記アタッチメント枠の側壁の外側において該側壁の長手方向に移動操作可能にした操作部と、該操作部に上記側壁の摺動孔を通して結合され、上記ラッチ部材の回転体に係合して該回転体を回転駆動する伝動部材を備えた内側取付部片とにより構成され、
上記スライド部材が、上記ラッチ板部を固定框の係止壁に係止しない第1の位置と、該ラッチ板部が固定框の係止壁に係止する第2の位置とに移動可能である、
ことを特徴とする横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。
【請求項2】
前記ラッチ部材におけるラッチ板部が、長径部とそれに直交する短径部とを有し、
上記長径部が、上記固定框に対向状態に突設した係止壁間においてそれらの係止壁に係合する長さを有し、上記短径部が、上記固定框の係止壁間に嵌入する長さを有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。
【請求項3】
前記ラッチ部材における回転体が円柱状をなし、その表面に、前記スライド部材に設けた棒状の伝動部材と係合する凹部を有している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。
【請求項4】
前記ラッチ部材における回転体がピニオン状をなし、前記スライド部材における伝動部材が該ピニオン状の回転体と噛合するラック状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。
【請求項5】
前記スライド部材が、それ自体を上記アタッチメント枠の側壁に対して、上記ラッチ板部を固定框の係止壁に係止しない第1の位置と、該ラッチ板部が固定框の係止壁に係止する第2の位置とに弾性的に保持する保持手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。
【請求項6】
上記保持手段が、上記アタッチメント枠の側壁の外側にある操作部に対して該側壁の摺動孔を通して結合される内側取付部片に、第1及び第2の板ばね部を備え、それらの板ばね部のぞれぞれにおける上記側壁との対面部分に小突子を設け、上記アタッチメント枠の側壁に、上記第1の位置と第2の位置とにおいて該小突子が弾性的に嵌入する小穴を設けている、
ことを特徴とする請求項5に記載の横引き式スクリーン装置における固定框の取付機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246616(P2012−246616A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116859(P2011−116859)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000107930)セイキ販売株式会社 (57)