説明

横引き式スクリーン装置

【課題】スクリーンや框内に張紐を架け廻して成る平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーンを框部材に対し着脱するに当たっての優れた作業性を低コストにて実現することを可能にする。
【解決手段】可動框4の横方向への操作により開閉する折り畳みにより拡縮自在のスクリーン7と、該スクリーンを横方向に多段に貫通する張紐8により構成された平行移動機構とを有するものにおいて、上記スクリーンの一端に取り付けた可動框4に係脱自在な連結部材9を、上記スクリーンが固定されるベース体18と、該ベース体の内面との間に上下方向に延びる中空部20を形成するカバー体19とを、それらの縦縁18a,19aをヒンジ部21で開閉可能に連結して一体に形成し、上記スクリーンを多段に貫通した各張紐8を、上記ベース体を貫通して、上記連結部材の中空部内を通じて上下方向に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコーディオン式に拡縮自在なスクリーンを横引きにより開閉自在とした、防虫、遮光、目隠しあるいは断熱等のためのスクリーン装置に関するもので、さらに詳しくは、張紐による平行移動機構を備えた横引き式スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アコーディオン式に拡縮自在なスクリーンを横引きにより開閉自在としたスクリーン装置において、可動框の姿勢を維持した状態でスムーズかつ安定的な開閉操作を実現すると同時に、風圧等の外力によるスクリーンのたわみを抑制するために、スクリーンや框内等に張紐を架け廻して成る平行移動機構が設けられたものは既に知られている。
ところで、このような張紐による平行移動機構を備えたスクリーン装置においては、スクリーンを多段に貫通させた張紐が框内などで絡みやすく、框内における張り廻しが複雑になりがちで、メンテナンス等によりスクリーンを框から着脱する際に、作業性が必ずしも良好であるとはいえなかった。
【0003】
このような問題点を解決するものとしては、例えば、特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載のスクリーン装置においては、スクリーン3のスクリーン取付枠2への取付部3aに固定部材9が固定されていて、スクリーン3を貫通した複数本のワイヤー等のスクリーン張力部材8が、上記取付部3a及び固定部材9を通じて外側に引き出されている。そして、上記固定部材9における上記スクリーン張力部材8が引き出される箇所には通線部材19がそれぞれ固定されており、引き出されたスクリーン張力部材8が、該通線部材19に貫設された通線孔20を通じて、同じく該通線部材19のガイド部23内の通線空間22に引き込まれると共に、下方向に転向され、隣接する他の通線部材19のガイド部23内の通線空間22へと導かれている。一方、各通線部材19の両側には、長さ方向に延びる係合溝24がそれぞれ形成されていて、長尺のカバー部材27に設けられた一対の係合突起28を上記係合溝24にそれぞれ係合させることによって、上記固定部材19上に延びる各スクリーン張力部材8を該カバー部材27で覆うことが出来るようになっている。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載のスクリーン装置においては、上記固定部材9上に張られたスクリーン張力部材8を覆うためのカバー部材27が、該固定部材9と別体に形成されているため、部品点数が増えしまう。しかも、該固定部材9に沿って張られた複数本のスクリーン張力部材8の全てをスムーズにカバー部材27内に納めることは困難であり、該張力部材8のスクリーン3に対する装着作業が繁雑となり、それを解決するために、通線部材19のような張力部材8を束ねる部材を設けるとなると、更なる部品点数の増大や構造の複雑化を招くため、結果としてコスト高になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−7861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、スクリーンや框内に張紐を架け廻して成る平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーンを框部材に対し着脱するに当たっての優れた作業性を低コストにて実現することを可能にした横引き式スクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る横引き式スクリーン装置は、建物開口部の両側に互いに平行を成して立設され、少なくとも一方の横方向へのスライド操作により相互間隔が変更自在な第1及び第2の框部材と、該第1及び第2の框部材にそれぞれ連結される第1端及び第2端を有し、折り畳みにより横方向に拡縮自在に形成されたスクリーンと、該スクリーンの第1端と第2端との間を多段に横方向に貫通させて張り廻された張紐により構成され、上記第1及び第2の框部材の平行状態を維持するための平行移動機構とを有していて、上記スクリーンの少なくとも第1端には、上記第1の框部材に対し係脱自在な連結部材が取り付けられ、該連結部材は、上記スクリーンの第1端が直接的に固定されたベース体と、凹溝状の内面を有し該ベース体の内面との間に上下方向に延びる中空部を形成するカバー体とを有していて、該カバー体の一方の縦縁を該ベース体の一方の縦縁に対しヒンジ部で開閉可能に連結することにより、一体に形成されており、上記スクリーンを多段に貫通して第1端に導出された各張紐が、上記ベース体を貫通して、全て上記連結部材の中空部内を通じて上下方向に導かれることを特徴としている。
【0008】
上記スクリーン装置において、望ましくは、上記連結部材の長さが、上記スクリーンの縦寸法以下、スクリーンの最上段に張られた張紐と最下段に張られた張紐との距離以上であって、上記ベース体とカバー体とが同じ長さを有するものとして構成される。
そして、より望ましくは、上記スクリーンが、多数の襞を交互に逆方向に折り畳むことにより形成されていて、上記ベース体が、略平板状に形成されており、該スクリーンの第1端の襞が、上記ベース体における上記ヒンジ部とは逆側の縦縁で折り返されて、該ベース体の内面に固定され、上記カバー体に設けられた係合爪が、上記ベース体における上記ヒンジ部とは逆側の縦縁に対し、上記スクリーンを挟んで係合される。
【0009】
また、上記横引き式スクリーン装置において更に望ましくは、上記第1の框部材には第2の框部材側に向けた開口を有するスクリーン取付溝が設けられていて、上記連結部材が該スクリーン取付溝内に係脱自在に収容されており、上記スクリーン取付溝の開口には一対の係合突部が内方向に向けて突設されていて、これら係合突部によりその開口幅が上記連結部材の幅よりも狭められており、上記スクリーンに拡張方向の力が作用した際に、上記連結部材の係合爪側が上記係合突部に当接すると共に、該連結部材のヒンジ部側が上記スクリーン取付溝の内面に当接することにより、該連結部材が該スクリーン取付溝から抜脱するのが阻止されるように構成される。
【0010】
このとき、上記スクリーン取付溝が、その横断面において、スクリーン側に配された幅広の第1溝部と、その第1溝部の溝底に配された幅狭の第2溝部とにより略凸字状に形成され、上記連結部材が、その横断面において、スクリーン側に配された幅広の第1段部と、その第1段部の段上に配された幅狭の第2段部とにより略凸字状に形成されており、上記第1溝部が、上記第1段部よりも幅広に形成され、上記第2溝部が、上記第1段部よりも幅狭かつ上記第2段部よりも幅広に形成されていても良い。
【0011】
また、上記スクリーン取付溝の横断面において、上記第2溝部が上記第1溝部における溝底の中央に形成されており、上記連結部材の横断面において、上記第2段部が上記第1段部の段上における上記ヒンジ部側に偏寄した位置に形成され、上記スクリーン取付溝の第2溝部に連結部材の第2段部が係合した状態では、スクリーン取付溝内において連結部材をヒンジ部側に寄せても、上記連結部材の係合爪側がスクリーン取付溝の開口の係合突部に係合してスクリーン取付溝の開口から脱出せず、逆にスクリーン取付溝内において連結部材を係合爪側に寄せれば、連結部材のヒンジ部側がスクリーン取付溝の開口の係合突部に係合することなくスクリーン取付溝の開口から脱出するような寸法関係に形成されていてもよい。
【0012】
なお、上記横引き式スクリーン装置の一実施形態においては、上記第1の框部材が、上記建物開口部に対し横方向にスライド自在に設けられた可動框で、上記第2の框部材が、上記建物開口部の一方の側枠に固定された固定框であり、上記スクリーンの第1端に取り付けられた連結部材の上下端から導出された張紐が、上記可動框の上下端部において横方向に転向され、該可動框を貫通することなく該可動框の上下端を通って、上記建物開口部の他方の側枠側へと導かれたものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係る横引き式スクリーン装置によれば、スクリーンを多段に貫通してその端に導出された各張紐を、全てベース体とカバー体とをヒンジ部を介して連結して成る連結部材内に纏めることが出来ると同時に、該連結部材によりスクリーン端を框部材に連結させて保持させることが出来るため、框部材に対するスクリーンの着脱作業が極めて容易となる。そのとき、ベース体とカバー体とがヒンジ部を介して一体に形成されており、しかも、複数本の張紐を連結部材内に収容するにあたり、単に複数本の張紐をカバー体を開いた連結部材の開口側から該連結部材のヒンジ部側へと纏めて押し込んだ状態で、該カバー体を閉めれば足りるため、スクリーンに対する張紐の装着作業性に優れると共に、部品点数の増大をも抑制することも可能となり、結果として製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る横引き式スクリーン装置の実施例を、一部を破断して示す正面図である。
【図2】同側断面図である。
【図3】同平断面図である。
【図4】(a)は連結部材の閉鎖状態を示す平断面図、(b)は同開放状態を示す平断面図である。
【図5】(a)は、スクリーン取付溝内において連結部材の幅方向の移動が規制され、連結部材が可動框から取り外し不能にされた態様を説明する部分平断面図、(b)は、可動框から連結部材を取り外す態様を説明する部分平断面図である。
【図6】(a)は連結部材の上下端から導出させた張紐を架け廻らす態様を説明するための概略斜視図、(b)は上記張紐を架け廻らす態様の更なる進行状態で、連結部材の上下端から張紐を導出させた態様を示す概略斜視図である。
【図7】図6の(b)の状態から連結部材を可動框に係合させた態様を示す概略斜視図である。
【図8】張紐による平行移動機構の他の構成態様を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図7は、本発明に係る横引き式スクリーン装置の一実施形態を示している。
本実施形態の横引き式スクリーン装置は、防虫、遮光、目隠しあるいは断熱等のためのスクリーンをアコーディオン式に開閉自在なものとして、建物開口部1において横方向に延びる一対の上下枠1a,1bと縦方向に延びる一対の側枠1c,1dの間に設置するもので、上記上枠1aに固定される上固定枠2と、上記下枠1bに固定される下固定枠3と、上記上固定枠2及び下固定枠3により上下端部をスライド自在に支持された第1の框部材としての可動框4と、上記一対の側枠1c,1dのうち第1の側枠1cに固定された第2の框部材としての固定框5、及び第2の側枠1dに固定された縦固定枠(受枠)6と、縦方向に延びる多数の襞を交互に逆方向に折り畳むことにより横方向に拡縮自在に形成され、左右両端が上記可動框4及び固定框5に連結して保持されたプリーツ状のスクリーン7と、上記スクリーン7の左右両端間を多段に横方向に貫通させて張り廻された張紐8により構成され、上記固定框5に対する可動框4の平行状態を常時維持して可動框4によるスムーズかつ安定した開閉操作を実現すると共に、風圧等の外力によるスクリーンのたわみを抑制するための平行移動機構とを有している。
【0016】
なお、本実施形態においては、上記第1の框部材を可動框4とし第2の框部材を固定框5としているが、必ずしもそれに限られるものではなく、第1の框部材が固定框で第2の框部材が可動框であっても良く、また、第1及び第2の框部材の双方が可動框であっても良い。すなわち、上記第1の框部材及び第2の框部材が、建物開口部1内にいおいて互いに平行を成して垂直に立設され、少なくとも一方の框部材の横方向へのスライドにより相互の間隔が変更自在でありさえすれば良い。
【0017】
本実施形態について更に具体的に説明すると、上記上固定枠2は、図2に示すように、下方に向けて開口する断面略コ字状に形成されていて、その内部には上記可動框4の上端を滑らかに支持するためのガイド面2aを有するガイド部材2bが設けられている。そして、上記下固定枠3は、上方に向けて開口する断面略コ字状に形成されていて、その内部には上記可動框4の下端を滑らかに支持するためのガイド面3aが設けられている。
なお、該可動框4の上下端には転動輪4a,4aがそれぞれ取り付けられていて、該可動框4によるスクリーン装置の開閉操作時に、該転動輪4a,4aが上記上下固定枠2,3のガイド面2a,3aを転動することにより、該可動框4がスムーズにスライドするようになっている。
【0018】
また、上記スクリーン7は、防虫に適したネット、遮光性や断熱性に富んだネットまたはシート、目隠しに適したネットまたはシート等、用途に応じて適宜材料により形成されたもので、図3に示すように、その右端である第1端の襞には、長尺の筒状に形成され、該第1端で上下方向に張られる張紐8を一括して収容するための連結部材9が直接固定されている。一方、そのスクリーン7の左端である第2端の襞には、長尺の略平板状に形成された固定板10が直接固定されている。そして、上記連結部材9が上記可動框4に対し係脱自在に連結されると共に、上記固定板10が上記固定框5に対し係脱自在に連結されている。
【0019】
更に具体的に説明すると、上記可動框4には、図3及び図5からわかるように、折り畳まれたスクリーン7を収容するための凹溝状の第1のスクリーン収容部11が、上記固定框5側に向けて開口させて縦方向に形成されている。すなわち、該スクリーン収容部11は上記スクリーン7の襞の幅よりも大きな溝幅を有している。また、該スクリーン収容部11の底には、同じく固定框5側に向けて開口する第1のスクリーン取付溝12が設けられていて、該スクリーン取付溝12の開口部は、互いに内方向に対向して突設された一対の第1係合突部13,13により開口幅が狭められている。そして、上記連結部材9が、これら一対の係合突部13,13により開口部を絞られたスクリーン取付溝12内に係脱自在に収容され、その結果、上記スクリーン7の第1端が上記可動框4に連結され、保持されている。
【0020】
一方、上記固定框5にも同様に、折り畳まれたスクリーン7を収容するための凹溝状でスクリーン7の襞の幅よりも大きな溝幅を有する第2のスクリーン収容部14が、上記可動框4側に開口させて縦方向に形成されている。また、該スクリーン収容部14の底に、同じく可動框4側に向けて開口する第2のスクリーン取付溝16を持つ溝部材15が保持されていて、該スクリーン取付溝16の開口部も、互いに内方向に対向して突設された一対の第2係合突部17,17により、上記固定板10の幅よりも開口幅が狭められている。そして、上記固定板10が、該一対の係合突部17,17によりスクリーン取付溝16内に係脱自在に収容され、その結果、上記スクリーン7の第2端が上記固定框5に連結され保持されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、スクリーン7の可動框4側の第1端に連結部材9を固定し、固定框5側の第2端に固定板10を固定しているが、必ずしもそれに限られるものではなく、スクリーン7の可動框4側の第1端に固定板を固定して固定框5側の第2端に連結部材を固定しても良いし、スクリーン7の左右両端(第1端及び第2端)に連結部材9をそれぞれ固定しても良い。すなわち、スクリーン7の左右両端のうち少なくとも何れか一方あるいは双方に連結部材9が固定されるが、該連結部材9は、基本的に、スクリーン7に挿通して導出した張紐8を収容して上下方向に導くためのものであり、しかも、張紐8が連結部材9において上下方向に導かれる場合において、該張紐8がそれ自体の長手方向に移動する態様で用いられるときに該連結部材9を用いるのが、該張紐のまとまり及び摺動性、操作性等の観点から望ましく、その張紐8がスクリーン7からの導出位置において長手方向に移動しない状態で用いられる場合には、特に連結部材9を用いる必要はなく、固定板10を用いることができる。
【0022】
ところで、上記連結部材9は、図1、図6及び図7からわかるように、その上端側及び下端側が開放された長尺な筒状体であり、その具体的構成は、図4の(a)及び(b)に明確に示すように、幅方向の両端において長手方向に伸びる第1及び第2の縦縁18a,18bを有する略平板状のベース体18と、凹溝状の内面を有し該ベース体18の内面との間に上下方向に延びる中空部20を形成する上記ベース体18と同じ軸線方向長さのカバー体19とを有し、該カバー体19の一方の縦縁19aを、ベース体18の一方の縦縁18aに対し薄肉化により可撓性を付与したヒンジ部21で開閉可能に連結することにより、合成樹脂で一体に形成されている。上記連結部材9の長さは、図6からわかるように、上記スクリーン7の縦寸法以下で、スクリーン7の最上段に張られた張紐8と最下段に張られた張紐8との間の距離以上に形成されている。
【0023】
上記連結部材9に対する上記スクリーン7の取り付けは、上記ベース体18に上記スクリーン7の第1端が直接的に固定され、具体的には、図5に示すように、略平板状の上記ベース体18に対して、多数の襞を交互に逆方向に折り畳むことにより形成されている上記スクリーン7の第1端の襞7aが、該ベース体18における上記ヒンジ部21とは逆側の縦縁18bで折り返されて、該ベース体18の内面側に両面接着テープあるいは接着剤等で固定され、カバー体19におけるヒンジ部21とは逆側端に設けられた係合爪19dが、上記ベース体18における上記ヒンジ部21とは逆側の縦縁18bに対し、上記スクリーン7を挟んで係合されている。
【0024】
上記ベース体18の張紐8の挿通位置には、図4に示すように、該張紐8を連結部材9の内部に通すための挿通孔22が形成され、スクリーン7を第2端側から多段に貫通して第1端側に導出された各張紐8が、この挿通孔22、及びそれに重ねられたスクリーン7の第1端の襞7aの部分の孔を貫通するように、ベース体18に鳩目状をなすガイド体24が取付られ、上記張紐8はこのガイド体24を通して上記連結部材9の中空部20内に挿通され、該中空部20内を通じて上下方向に導かれる。
一方、上記スクリーン7の左端である第2端の固定板10に対する固定は、張紐8がスクリーン7からの導出位置において長手方向に移動しない状態で用いられているので、張紐8の移動を考慮する必要はなく、固定板10に対してスクリーン7を両面接着テープや接着剤等を用いて適宜固定することができる。
【0025】
上記連結部材9の可動框4に対する係脱自在の連結は、図5を参照して以下に説明するような構成とするのが望まれる。
すなわち、上記連結部材9は、前述したように、可動框4のスクリーン収容部11の内底において、一対の第1係合突部13,13で開口幅を絞られたスクリーン取付溝12内に係脱自在に収容されるが、この収容状態においては、上記スクリーン7に拡張方向の力が作用した際に、上記連結部材9の係合爪19d側が上記係合突部13の一方に当接すると共に、該連結部材9のヒンジ部21側が上記スクリーン取付溝12の内面に当接する方向への移動を拘束されることにより、該連結部材9が該スクリーン取付溝12から抜脱するのを阻止されるように構成される。
【0026】
上述した構成は、更に具体的には、上記スクリーン取付溝12が、その横断面(図5の(b)参照)において、スクリーン7側に配された幅広の第1溝部12aと、その第1溝部12aの溝底に配された幅狭の第2溝部12bとにより略凸字状に形成され、上記連結部材9が、その横断面(図4の(a)及び図5の(b)参照)において、スクリーン7側に配された幅広の第1段部9aと、その第1段部9aの段上に配された幅狭の第2段部9bとにより略凸字状に形成され、そして、上記第1溝部12aを、上記第1段部9aよりも幅広に形成し、上記第2溝部12bを、上記第1段部9aよりも幅狭かつ上記第2段部9bよりも幅広に形成し、各部の寸法関係を適切に設定することにより得られるものである。
【0027】
図5に例示している具体例においては、上記スクリーン取付溝12の横断面において、上記第2溝部12bが上記第1溝部12aにおける溝底の中央に形成され、上記連結部材9の横断面において、上記第2段部9bが上記第1段部9aの段上における上記ヒンジ部21側に偏寄した位置に形成され、上記スクリーン取付溝12の第2溝部12bに連結部材9の第2段部9bが係合した状態では、図5の(a)に示すように、スクリーン取付溝12内において連結部材9をヒンジ部21側に寄せても、上記連結部材9の係合爪19d側がスクリーン取付溝12の開口の係合突部13に係合してスクリーン取付溝12の開口から脱出せず、逆に、図5の(b)に示すようにスクリーン取付溝12内において連結部材9を係合爪19d側に寄せれば、連結部材9のヒンジ部21側がスクリーン取付溝12の開口の係合突部13に係合することなくスクリーン取付溝12の開口から脱出するような寸法関係に形成している。
【0028】
このように構成すると、上記連結部材9が可動框4におけるスクリーン収容部11内のスクリーン取付溝12に係脱自在に収容されている状態において、上記スクリーン7に拡張方向の力が作用した場合に、その力が連結部材9に対してそれをヒンジ部21側に押圧する方向に作用し、そのため、連結部材9の係合爪19d側がスクリーン取付溝12の係合突部13に当接して、該連結部材9が該スクリーン取付溝12から抜脱するのを阻止される。
また、連結部材9をスクリーン取付溝12から取り出す際には、図5の(b)に示すように、連結部材9を係合爪19d側に寄せればよく、それにより、連結部材9のヒンジ部21側がスクリーン取付溝12の係合突部13に係止しなくなるので、連結部材9を傾倒させてそれをスクリーン取付溝12から容易に取り出すことができる。
【0029】
なお、上記固定板10の上記固定框5に対する連結は、張紐8との関係をあまり考慮する必要がないので、上記連結部材9の場合と同様な手段によって係脱自在に連結することもできるが、スクリーン収容部14内の溝部材15における第2のスクリーン取付溝16の口部の一対の第2係合突部17,17の内側に、該溝部材15の長手方向の端部から上記固定板10を挿入することによって行うこともできる。
【0030】
上記実施例においては、上記第1の框部材を可動框4とし、上記第2の框部材を固定框5として、固定框5に対向する縦固定枠6の上下に各一端を固定した張紐8を、可動框4において、スクリーン7の第1端に取り付けられた連結部材9の上下端から、該可動框4自体には貫通させることなく、その連結部材9の中空部20内に挿通して、上下逆方向に導びき、それらの張紐8を、上下逆位置においてガイド体24に形成されている挿通孔22に通して横方向に転向させ、スクリーン7内を通して固定框5側へと導き、そこに固定している。固定框5内に上記両張紐8を連結することなく、両張紐8を1本の張紐として構成していてもよい。
【0031】
このように構成した平行移動機構によれば、可動框4の姿勢を一定に保持させたままで安定的に平行移動させることができ、しかも、張紐8の架け廻しを含む可動框4及び固定框5へのスクリーン7の着脱、延いてはスクリーン装置の分解組立を、張紐の処置を含めて容易に行うこことができる。
特に、上記張紐8を架け廻すに際し、該張紐8を連結部材9の上下端から導出する場合には、図6の(a)に示すように、連結部材9のカバー体19とベース体18とを開放状態とし、この状態で張紐8を連結部材9の上下端に導くように配置した後、同図(b)に示すように、カバー体19の係止爪19dをベース体18に係合して、連結部材9を閉鎖状態にすればよく、これにより張紐8は連結部材9内に纏めて収容される。
また、図6の(b)に示す連結部材9を可動框4に取り付けることにより、図7に示すようにスクリーン組立体を構成することができる。
【0032】
なお、上記実施例では、平行移動機構を構成する張紐8を、スクリーン7に対して上下2段に挿通しているが、図8に示すように、上記張紐8を更に多段に挿通することもできる。この図8の他の構成及び作用は上記図1〜図7の実施例と実質的に変わるところがないので、同一または相当する部分に同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【符号の説明】
【0033】
1 建物開口部
2 上固定枠
3 下固定枠
4 可動框
5 固定框
7 スクリーン
8 張紐
9 連結部材
9a 第1段部
9b 第2段部
12 スクリーン取付溝
12a 第1溝部
12b 第2溝部
13 係合突部
18 ベース体
18a,18b 縦縁
19 カバー体
19a 縦縁
19d 係合爪
20 中空部
21 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の両側に互いに平行を成して立設され、少なくとも一方の横方向へのスライド操作により相互間隔が変更自在な第1及び第2の框部材と、該第1及び第2の框部材にそれぞれ連結される第1端及び第2端を有し、折り畳みにより横方向に拡縮自在に形成されたスクリーンと、該スクリーンの第1端と第2端との間を多段に横方向に貫通させて張り廻された張紐により構成され、上記第1及び第2の框部材の平行状態を維持するための平行移動機構とを有していて、
上記スクリーンの少なくとも第1端には、上記第1の框部材に対し係脱自在な連結部材が取り付けられ、
該連結部材は、上記スクリーンの第1端が直接的に固定されたベース体と、凹溝状の内面を有し該ベース体の内面との間に上下方向に延びる中空部を形成するカバー体とを有していて、該カバー体の一方の縦縁を該ベース体の一方の縦縁に対しヒンジ部で開閉可能に連結することにより、一体に形成されており、
上記スクリーンを多段に貫通して第1端に導出された各張紐が、上記ベース体を貫通して、全て上記連結部材の中空部内を通じて上下方向に導かれる、
ことを特徴とする横引き式スクリーン装置。
【請求項2】
上記連結部材の長さが、上記スクリーンの縦寸法以下、スクリーンの最上段に張られた張紐と最下段に張られた張紐との距離以上であって、上記ベース体とカバー体とが同じ長さを有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の横引き式スクリーン装置。
【請求項3】
上記スクリーンが、多数の襞を交互に逆方向に折り畳むことにより形成されていて、
上記ベース体が、略平板状に形成されており、
該スクリーンの第1端の襞が、上記ベース体における上記ヒンジ部とは逆側の縦縁で折り返されて、該ベース体の内面に固定され、
上記カバー体に設けられた係合爪が、上記ベース体における上記ヒンジ部とは逆側の縦縁に対し、上記スクリーンを挟んで係合されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の横引き式スクリーン装置。
【請求項4】
上記第1の框部材には第2の框部材側に向けた開口を有するスクリーン取付溝が設けられていて、上記連結部材が該スクリーン取付溝内に係脱自在に収容されており、
上記スクリーン取付溝の開口には一対の係合突部が内方向に向けて突設されていて、これら係合突部によりその開口幅が上記連結部材の幅よりも狭められており、
上記スクリーンに拡張方向の力が作用した際に、上記連結部材の係合爪側が上記係合突部に当接すると共に、該連結部材のヒンジ部側が上記スクリーン取付溝の内面に当接することにより、該連結部材が該スクリーン取付溝から抜脱するのが阻止されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の横引き式スクリーン装置。
【請求項5】
上記スクリーン取付溝が、その横断面において、スクリーン側に配された幅広の第1溝部と、その第1溝部の溝底に配された幅狭の第2溝部とにより略凸字状に形成され、
上記連結部材が、その横断面において、スクリーン側に配された幅広の第1段部と、その第1段部の段上に配された幅狭の第2段部とにより略凸字状に形成されており、
上記第1溝部が、上記第1段部よりも幅広に形成され、
上記第2溝部が、上記第1段部よりも幅狭かつ上記第2段部よりも幅広に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の横引き式スクリーン装置。
【請求項6】
上記スクリーン取付溝の横断面において、上記第2溝部が上記第1溝部における溝底の中央に形成されており、
上記連結部材の横断面において、上記第2段部が上記第1段部の段上における上記ヒンジ部側に偏寄した位置に形成され、
上記スクリーン取付溝の第2溝部に連結部材の第2段部が係合した状態では、スクリーン取付溝内において連結部材をヒンジ部側に寄せても、上記連結部材の係合爪側がスクリーン取付溝の開口の係合突部に係合してスクリーン取付溝の開口から脱出せず、逆にスクリーン取付溝内において連結部材を係合爪側に寄せれば、連結部材のヒンジ部側がスクリーン取付溝の開口の係合突部に係合することなくスクリーン取付溝の開口から脱出するような寸法関係に形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の横引き式スクリーン装置。
【請求項7】
上記第1の框部材が、上記建物開口部に対し横方向にスライド自在に設けられた可動框で、上記第2の框部材が、上記建物開口部の一方の側枠に固定された固定框であり、
上記スクリーンの第1端に取り付けられた連結部材の上下端から導出された張紐が、上記可動框の上下端部において横方向に転向され、該可動框を貫通することなく該可動框の上下端を通って、上記建物開口部の他方の側枠側へと導かれている、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の横引き式スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127090(P2012−127090A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278252(P2010−278252)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000107930)セイキ販売株式会社 (57)