説明

横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカー

【課題】横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーの提供。
【解決手段】編み目押下圧機構1には、積載面を備えるニードルベッド10を設け、積載面の上方には仕切り板3によって間隔をあけて設置された複数個のシンカー7と編針8とを備える。シンカーの上方には、カム20を備えたカム台2を配置し、カムにはシンカーを揺動させるガイドレール21を備える。また、仕切り板下方には支持軸棒4を垂直に貫設する。シンカーには、糸を圧して編み目を作る糸加圧部75と、ガイドレールの働きを受けてそれに従動される揺動ガイド部70と、支持軸棒に軸着し内側に窪んだ軸回転溝73と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横編機の機構及びその部材に関し、特に、横編機に応用し、編糸を下方に圧して編み目をつくる機構とそのシンカー(Sinker)に係る。
【背景技術】
【0002】
従来の横編機は、突出面のある柄布を織る際には、必ずシンカー(Sinker)軸を用いて編糸を下方に圧して編み目を作り、突出面の模様を編む目的を果たしている。
【0003】
公知技術において、特許文献1の台湾実用新案公告第338440号「横編機のシンカー(Sinker)構造」が開示された。この公知技術の各図面からわかるとおり、シンカー部材10は、支持棒部材22によって軸揺動する。想像できるように、横編機の生産、組立時には、シンカー10は、一枚一枚、支持棒22に照準を合わせて挿入することになるが、メンテナンスにおいてシンカー10の内の一枚を交換する必要がある場合、シンカー10を挿入した支持棒22をまず抜き取ってから、不良のシンカー10を探し出して交換し、最後に支持棒22にすべてのシンカー10を挿入しなおさなければならず、非常に困難で時間がかかる。
【0004】
また、他の公知技術において、特許文献2の台湾特許公告第I274796号「編み目の押下圧させる横編機のシンカー」の発明が開示された。この公知技術の図1からわかるとおり、シンカー1には長孔19を備え、該長孔19は、編み目の脱ループ糸45を挿入するためのものである。想像できるように、横編機の使用時、シンカー1は、一枚一枚、編み目の脱ループ糸に照準を合わせて挿入しなければならないとともに、メンテナンスでシンカー1の一枚を交換する必要がある場合、シンカー1に挿入した編み目の脱ループ糸45をすべて、まず抜き取ってから、不良のシンカー1を探し出して交換し、最後に編み目の脱ループ糸45をすべてのシンカー1に挿入しなおさなければならず、これもまた、非常に困難で時間がかかる。
【0005】
上記の二つの公知技術をまとめると、位置制限軸の揺動機能を備えているものの、それらには、実際、次のような欠点がある。
(1)公知技術の横編機の編み目押下圧機構を生産、組立時、シンカーの組立が非常に面倒で時間もかかる。
(2)公知技術の横編機の編み目押下圧機構メンテナンスにおいて、そのシンカーの交換が非常に困難で時間もかかる。
(3)公知技術の横編機の編み目押下圧機構は、シンカーの組み立てが非常に困難で時間もかかるため、人事コストの増加となり、市場価格を向上させている。よって、市場の要求に応えることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾実用新案公告第338440号明細書
【特許文献2】台湾特許公告第I274796号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述の欠点を解決する横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーの提供を主な目的とする。本考案のシンカーは、その構造が精密で簡素、耐用性を備えたもので、生産及び組立、或いはメンテナンス時の簡単にすばやい組立や交換を可能にし、人事及び原料コストを削減する目的を果たすとともに、効果的に市場価格を低下させ、市場の要求に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を実現するために、本発明は、横編機の編み目押下圧機構を提供する。その編み目押下圧機構には、積載面を備えるニードルベッドを設け、該積載面の上方には仕切り板によって間隔をあけて設置された複数個のシンカーと編針とを備える。該シンカーの上方には、カムを備えたカム台を配置し、カムには、シンカーを揺動させるガイドレールを備える。また、仕切り板下方には、支持軸棒を垂直に貫設する。シンカーには、糸を圧して編み目を作る糸加圧部と、ガイドレールの働きを受けてそれに従動される揺動ガイド部と、支持軸棒に軸着し内側に窪んだ軸回転溝と、を含む。
【0009】
本発明の横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーにおける軸回転溝は、支持軸棒に軸着する軸着部と、軸着部の入口箇所に位置し、尚且つ、入口間隔が支持軸棒の直径より若干小さい首部と、を備える。
【0010】
本発明の横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーにおける仕切り板の上方には、位置制限棒を垂直に貫設し、シンカーには、シンカーが軸回転し下方が揺動した時に積載面の制限を受ける第一位置制限部と、シンカーが軸回転し上方が揺動した時に位置制限棒の制限を受ける第二位置制限部と、を備える。
【0011】
本発明の横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーにおける仕切り板上には、さらに、ガイド棒を垂直に貫設し、シンカーには、内側に窪んだ案内溝を形成し、案内溝には、シンカーが軸回転し揺動する位置をガイドし制限する案内面を備える。
【0012】
本発明の横編機の編み目押下圧機構及びそのシンカーにおけるシンカーには、内側に窪み、尚且つ、軸回転溝に近い箇所にある開口部を設け、開口部と軸回転溝間には、弾性を備えた舌部を形成する。
【0013】
上述の目的を果たすために、本発明は、横編機のシンカーを提供する。そのシンカーの底部には内側に窪んだ軸回転溝を形成し、シンカーの上方には、円弧形を備えた揺動ガイド部を延伸突出させ、揺動ガイド部と軸回転溝とによって繋がるラインの一方側には、糸を圧して編み目をつくる糸加圧部を延伸突出させる。
【0014】
さらに、本発明の横編機のシンカーにおける軸回転溝には、軸着部と、軸着部の入口箇所に位置し、尚且つ、その間隔が軸着部の最大間隔より若干小さい首部と、を備える。
【0015】
また、本発明の横編機のシンカーにおける軸回転溝と糸加圧部の間には、第一位置制限部を備える。
【0016】
本発明の横編機のシンカーにおけるシンカーは、揺動ガイド部と軸回転溝によって繋がるラインのもう一方側に、内側に窪む形状の案内溝を形成し、その案内溝の下側には円弧形を備えた案内面を設ける。また、案内溝と揺動ガイド部の間には、第二位置制限部を備える。
【0017】
本発明の横編機のシンカーにおけるシンカーには、内側に窪み、尚且つ、軸回転溝に近い箇所にある開口部をさらに設け、開口部と軸回転溝間には弾性を備えた舌部を形成する。
【発明の効果】
【0018】
上述の技術手段により、本発明は、現有する技術と比較し、次の効果を達成する。
(1)本発明の横編機の編み目押下圧機構を生産及び組立てする際は、シンカーを直接挿入する方式で編み目押下圧機構内に組み込むため、簡単で便利、迅速さを備えたものとなる。
(2)本発明の横編機の編み目押下圧機構のメンテナンスにおいて、編み目押下圧機構内にある古いシンカーを直接抜きとり、新たに交換し、新しいシンカーを挿入することができるため、簡単で便利、迅速さを備えたものとなる。
(3)本発明の横編機の編み目押下圧機構は、シンカーの組立てが簡単、便利、迅速におこなえるため、人事コストを効果的に抑え、市場価格を低下させ、市場の要求に応えることができる。
(4)本発明の横編機のシンカーは一体成形であり、その構造設計は非常に精密で簡単、耐用性を備えたものとなり、効果的に原料コストを抑え、市場価格を下げて市場の要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を組み立てる以前の平面図である。
【図2】本発明の図1の組立中連続動作を示す図である。
【図3】本発明の図2の組立後連続動作を示す図である。
【図4】本発明の実施例におけるシンカーの拡大平面図である。
【図5】本発明の実施例におけるシンカーの動作を示す図である。
【図6】本発明の図5の連続動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の詳細説明及び技術内容に関し、次に、図面を組み合わせた説明をおこなう。
【実施例】
【0021】
まず、図1から図3に示すとおり、本発明の提供する横編機の編み目押下圧機構において、編み目押下圧機構1には、積載面11を備えるニードルベッド10を備え、該積載面11上方には仕切り板3によって間隔をあけて設置された複数個のシンカー7(Sinker)と編針8とを備える。即ち、本技術の熟知者が知るとおり、積載面11上方は、仕切り板3、シンカー7、仕切り板3、編針8の順に連続循環して、水平状態に必要数量を並列させる。編針8は、二つのシンカー7によって隔てられた区間内は動くことができ、尚且つ、シンカー7もまた、二つのシンカー7によって隔てられた区間内を動く。該シンカー7の上方には、カム(Cam)20のカム台2を備え、カム20には、シンカー7を揺動させるガイドレール21を備える。本技術の熟知者なら、ガイドレール21は非直線式のレールであり、織物の要望にしたがって曲度のあるレールに設計してこそ、シンカー7の軸揺動動作を引き起こせることが理解できるであろう。また、仕切り板3下方には支持軸棒4を垂直に貫設する。シンカー7には、糸を圧して編み目を作る糸加圧部75と、ガイドレール21の働きを受けてそれに従動される揺動ガイド部70と、支持軸棒4に軸着する軸回転溝73とを含む。そのうち、揺動ガイド部70の形状は、好ましくは円弧形とし、糸加圧部75は、揺動ガイド部70と軸回転溝73とによって繋がるラインの一方側に延伸突出し、編針8の糸を引き掛ける箇所に向き合い対応し、糸を圧して編み目を作る。軸回転溝73は、支持軸棒4に軸着する軸着部732と、軸着部732入口箇所に位置し、尚且つ入口間隔が支持軸棒4の直径より若干小さい首部731を備える。また、仕切り板3上方には位置制限棒5を垂直に貫設する。シンカー7には、シンカー7が軸回転し下方が揺動した時に積載面11の制限を受ける第一位置制限部71と、シンカー7が軸回転し上方が揺動した時に位置制限棒5の制限を受ける第二位置制限部72とをさらに備える。そのうち、仕切り板3上にはガイド棒6を垂直に貫設する。また、シンカー7には、内側に窪んだ案内溝74を形成し、案内溝74にはシンカー7が軸回転し揺動する位置をガイドし制限する案内面741を備え、案内面741の好ましい実施形態は円弧面とする。さらに、シンカー7には、内側に窪み、尚且つ軸回転溝73に近い箇所にある開口部76を設け、開口部76と軸回転溝73間には弾性を備えた舌部77を形成する。図1から図3の順序に基づいて配置するシンカー7によって、本発明は、生産及び組立、或いはメンテナンス時に簡単に迅速にシンカー7の組み立てや交換がおこなえるため、人事コスト及び原料コストを抑える目的を果たし、効果的に市場価格を下げて市場の要求に応えることができる。
【0022】
図4に示すとおり、本発明の提供する横編機のシンカーにおいて、シンカー7の底部には内側に窪んだ軸回転溝73を形成し、シンカー7上方には、円弧形を備えた揺動ガイド部70を延伸突出させ、揺動ガイド部70と軸回転溝73とによって繋がるラインの一方側には、糸を圧して編み目をつくる糸加圧部75を延伸突出させる。また、軸回転溝73は、軸着部732と、軸着部732入口箇所に位置し、尚且つその間隔が軸着部732の最大間隔より若干小さい首部731とを含み、軸回転溝73と糸加圧部75の間には第一位置制限部71を備える。シンカー7には、揺動ガイド部70と軸回転溝73によって繋がるラインのもう一方側に、内側に窪む形状の案内溝74を形成し、案内溝74の下側には案内面741を備える。また、案内溝74と揺動ガイド部70の間には、第二位置制限部72を備える。シンカー7には、内側に窪み、尚且つ、軸回転溝73に近い箇所にある開口部76をさらに設け、開口部76と軸回転溝73間には弾性を備えた舌部77を形成する。以上のように、本発明の横編機のシンカー7は一体成形とし、その構造設計は精密だが簡単で、耐用性を備えたものとなり、効果的に原料コストを抑え、市場価格を下げて市場の要求に応えることができる。
【0023】
本発明の使用状態における連続動作を理解して戴くために、図5及び図6を同時に参照していただきたい。まず、図5においては編み目押下圧機構1が動作した時、カム台2は、カム20を水平移動する。この時、シンカー7の揺動ガイド部70は、カム20のガイドレール21内に位置する故、シンカー7はガイドレール21内で形成された曲度によって従動される。シンカー7の軸回転溝73が支持軸棒4上に軸着されているため、シンカー7は、支持軸棒4によって図6に示す位置まで揺動する。この時、シンカー7の第二位置制限部72は、位置制限棒5に接触し、シンカー7は揺動を停止する。編み目押下圧機構1が動作を持続させる時、カム台2は従動するカム20を水平移動させ、シンカー7の揺動ガイド部70は、ガイドレール21内に形成された曲度の変化によって、さらに図5になるまで軸回転する。この時、シンカー7の第一位置制限部71は、ニードルベッド10の積載面11に接触し、シンカー7の揺動を停止させる。このようにして、編み目押下圧機構1が動作を繰り返し、カム20は水平移動を続け、ニードルベッド10上にあるシンカー7を軸移動させることにより、下方に圧して編み目をつくる目的を果たす。
【符号の説明】
【0024】
1 編み目押下圧機構
10 ニードルベッド
11 積載面
2 カム台
20 カム
21 ガイドレール
3 仕切り板
4 支持軸棒
5 位置制限棒
6 ガイド棒
7 シンカー
70 揺動ガイド部
71 第一位置制限部
72 第二位置制限部
73 軸回転溝
731首部
732軸着部
74 案内溝
75 糸加圧部
76 開口部
77 舌部
8 編針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横編機の編み目押下圧機構において、
該編み目押下圧機構には、積載面を備えるニードルベッドを設け、該積載面の上方には仕切り板によって間隔をあけて設置された複数個のシンカーと編針とを備え、
前記シンカーの上方には、カムを備えたカム台を配置し、カムには、シンカーを揺動させるガイドレールを備え、
前記仕切り板の下方には、支持軸棒を垂直に貫設し、
前記シンカーには、糸を圧して編み目を作る糸加圧部と、ガイドレールの働きを受けてそれに従動される揺動ガイド部と、支持軸棒に軸着し内側に窪んだ軸回転溝と、を含むことを特徴とする横編機の編み目押下圧機構。
【請求項2】
前記軸回転溝は、支持軸棒に軸着する軸着部と、軸着部の入口箇所に位置し、尚且つ、入口間隔が支持軸棒の直径より若干小さい首部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の横編機の編み目押下圧機構。
【請求項3】
前記仕切り板の上方には、位置制限棒を垂直に貫設し、シンカーには、シンカーが軸回転し下方が揺動した時に積載面の制限を受ける第一位置制限部と、シンカーが軸回転し上方が揺動した時に位置制限棒の制限を受ける第二位置制限部と、を備えることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の横編機の編み目押下圧機構。
【請求項4】
前記仕切り板上には、さらに、ガイド棒を垂直に貫設し、前記シンカーには、内側に窪んだ案内溝をさらに形成し、該案内溝には、シンカーが軸回転し揺動する位置をガイドし制限する案内面を備えることを特徴とする請求項3に記載の横編機の編み目押下圧機構。
【請求項5】
前記シンカーには、内側に窪み、尚且つ、軸回転溝に近い箇所にある開口部をさらに設け、開口部と軸回転溝間には弾性を備えた舌部を形成することを特徴とする請求項4に記載の横編機の編み目押下圧機構。
【請求項6】
シンカーの底部には、内側に窪んだ軸回転溝を形成し、シンカーの上方には、揺動ガイド部を延伸突出させ、揺動ガイド部と軸回転溝とによって繋がるラインの一方側には、糸を圧して編み目をつくる糸加圧部を延伸突出させることを特徴とする横編機のシンカー。
【請求項7】
前記軸回転溝には、軸着部と、軸着部の入口箇所に位置し、尚且つ、その間隔が軸着部の最大間隔より若干小さい首部と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の横編機のシンカー。
【請求項8】
前記軸回転溝と糸加圧部の間には、第一位置制限部を備えることを特徴とする請求項6或いは7に記載の横編機のシンカー。
【請求項9】
前記シンカーは、揺動ガイド部と軸回転溝によって繋がるラインのもう一方側に、内側に窪む形状の案内溝をさらに形成し、該案内溝の下側には、円弧形を備えた案内面を設け、案内溝と揺動ガイド部の間には、第二位置制限部を備えることを特徴とする請求項8に記載の横編機のシンカー。
【請求項10】
前記シンカーは、揺動ガイド部と軸回転溝によって繋がるラインのもう一方側に、内側に窪む形状の案内溝をさらに形成し、該案内溝の下側には、円弧形を備えた案内面を設け、案内溝と揺動ガイド部の間には、第二位置制限部を備えることを特徴とする請求項9に記載の横編機のシンカー。
【請求項11】
前記シンカーには、内側に窪み、尚且つ、軸回転溝に近い箇所にある開口部をさらに設け、開口部と軸回転溝間には弾性を備えた舌部を形成することを特徴とする請求項10に記載の横編機のシンカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67907(P2013−67907A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207108(P2011−207108)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(393010101)佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司 (33)
【Fターム(参考)】