説明

樹脂や薬剤の送るための配管構造及び周辺設備

【課題】木材の中に、樹脂又は薬剤を含浸注入する装置の中で、主たる液の配送をストックタンクと作業用タンクとの間で、減圧加圧を行うことにより、液送りポンプを使用しないで樹脂又は薬剤を搬送する装置の構造および加圧時に使用した加圧液送りポンプと周辺配管を洗浄する配管構造とその装置。
【解決手段】主たる液送り配管にバイパス配管を行い、主たる配管の液送りは作業タンクを真空ポンプやコンプレッサ−を用い、スットクタンク1に掛かる大気圧との圧力差を用い、動力無しで移動を行う。作業タンク内を液で満タンにする場合や加圧するときは、バイパス配管に設置した圧力液送りポンプ3により加圧する。洗浄作業は主たる配管のコックB1,B2を閉め、樹脂又は薬剤の流入を止め、洗浄管より洗浄液を注入し、バイパス配管を中心に、圧力液送りポンプ3を稼働させ、洗浄液を回転させることにより、洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化剤を添加された樹脂をストックタンクから、作業用タンクに移動する場合、一般的に液送りのための送りポンプを用いる。液送りポンプ内の送り装置である歯車構造かカム構造で送り、配管内を移動させることにより、樹脂または薬液を移動させていた。
【0002】
この時、液送りポンプの摩擦から生じる熱や、モ−タ−の熱が送りポンプ内に籠もり、配管に熱を伝える。しかし樹脂は硬化剤を添加したり、1液性の物にも熱変化が起き易い樹脂が多い、また薬剤に置いても、加熱することにより、材質の変化が起き易い。また、送り装置である歯車構造やカム構造により、樹脂または薬剤が過剰に攪拌されている状態になり、変質する場合が多い。
【0003】
これを回避するために、作業用タンクに真空ポンプやコンプレッサ−を取り付け、作業タンク内を減圧また空気加圧することにより、ストックタンクとの間に、大気圧の格差を生じさせ、その大気圧の格差を利用して、配管内を通じて樹脂または薬剤を移動される方法を提供する。
【0004】
配管内を移動した樹脂を、作業タンク内で加圧する場合、作業タンクにコンプレッサ−を取り付け、空気加圧する場合と、圧力液送りポンプにて液を送り込み、液圧で加圧する場合がある。またコンプレサ−による空気加圧と、圧力液送りポンプによる液圧とが併用が行われる事もある。
【0005】
通常の配管回路は、液送りポンプが送り側配管に取り付けられているため、液送りポンプを中心に、注入配管と残液をストックタンクに戻す戻し配管との配管が必要で、一方通行になるのが一般的である。また、送りポンプは大量の液送りが必要となり、大型の液送りポンプが必要となる。
【0007】
大型の液送りポンプのため、ポンプの内外に摩擦やモ−タ−の発熱が生じ、移送させる液に、熱の負荷をかけ、硬化剤を含む場合は硬化の開始、熱に弱い薬剤などは変質の起因になっていた。
【0008】
これを回避するために、[図面 1]の如くメイン配管にバイパス配管を行うことにより、ストックタンクと作業タンクの間をメイン配管を通して、作業タンク内にかける、大気圧の圧力差により樹脂または薬剤を大量に、液送りポンプを使用することなく、移動させることが出来る。
【0009】
作業タンク内に、液圧を必要とする場合、従来では大型の液送りポンプの液送り量を増大させるか、耐圧性の高い構造を有した圧力液送りポンプが必要となる。従って、全体の設備費の高騰を招いていた。
【0010】
これを回避するために[図面 1][図面 2]の如く、液送りのためのメイン配管と、加圧するために必要な樹脂又は薬剤を送る、圧力液送りポンプを有したバイパス配管を設置する。このことにより、大量の樹脂や薬液は、大気圧の差によりメイン配管を用いて移動することが出来る。
【0011】
加圧に必要な少量の樹脂や薬液のみが、バイパス内に設置した圧力液送りポンプで作業タンク内に送り込むこととなる。従って[図面 1][図面 2]のバイパス配管は、細くすることが出来、圧力液送りポンプも加圧が必要なときのみに使用されるために、小型の設備で良くなる。またバイパス配管部分は小型であり、メイン配管の随意の場所に取り付けることが出来る。
【0012】
また、[図面 1][図面 2]のコックを取り付けることにより、配管内に洗浄液を注入し易くし、圧力液送りポンプを稼働させることにより、配管内の洗浄、及び圧力液送りポンプ内部の洗浄を同時に行うことが出来る。このことにより、ポンプ内や配管内に残留物が残ることもなく、ポンプ内を常に洗浄された状態を保ち、さらに洗浄液のみを排出することが出来るため、樹脂または薬液に洗浄液が混入することがないのでより適切な洗浄液を選定できる。
【0013】
また、バイパス配管を、作業タンクの下部の排出管に[図面 2]の如く、直結した場合は、作業タンクの内部も容易に洗浄することが出来る。
【背景技術】
【0014】
木材は腐り易く、燃えやすい欠点を有し、木材の防虫防腐や不燃化を要求されている。
【0015】
しかしながら、減圧加圧する圧力タンクや周辺設備は公知の技術であるが、含浸するための樹脂には硬化剤を添加し、液送りポンプが発する熱が掛かることにより硬化が促進され、木材の中に加圧注入している間に、作業タンク内で樹脂が硬化したり、ストックタンク内で貯蔵中に、樹脂が硬化するため、樹脂注入をすることが困難であった。
【0016】
また液送りポンプの送り構造である歯車構造やカム構造により、過剰攪拌され樹脂又は薬剤が変質する。
【0017】
不燃剤等を減圧加圧方式で、木材内部まで含浸注入させ不燃化をする場合、用いられる薬剤は、無機質を使用している場合が多く、液送りポンプ内部の歯車構造や、摺り合によるカム構造の摩擦、摩耗が促進させ、歯車やカムに隙間を生じさせ、その機能を低下させることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上に述べた通り、従来の配管設備および液送りポンプの取り付け場所をメイン配管からバイパス配管に設置することにより、設備費の低コスト化を提供する。
【0019】
また、圧力液送りポンプを小型化することにより、ポンプのメンテナンスを容易にする。
【0020】
配管内および圧力液送りポンプ内及び作業タンクの内部の洗浄作業を容易にし、維持管理が行いやすくする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、従来の技術的欠点を除き、[図面 1][図面 2]の配管構造にすることにより、大気圧による樹脂又は薬剤の移動は、あらかじめ作業タンク内を減圧ポンプなどを用い、大気圧より気圧を低くした後、B1、B2、B3のコックを開き、他のコックを閉じることにより、メイン配管が開放され、樹脂又は薬剤の移動が行われる。
【0022】
[図面 1][図面 2]の配管構造にすることにより、B3,B6,B7のコックを閉じ、他のコックを開放することにより、バイパス配管が機能し、圧力ポンプをを稼働させることにより、作業タンク内に液圧をかけることが出来る。
【0023】
[図面 1][図面 2]の配管構造にすることにより、前[0021]のコック操作を行い、作業タンク内に、コンプレッサ−等で、空気圧力を高めることにより、ストックタンク内に樹脂又は薬液を逆移動させる。
【0024】
[図面 1][図面 2]の配管構造にすることにより、B1、B2,のコックを閉じ、他のコックを開放し、B7のコックより配管内の残留樹脂又は薬液を排出させる。この時、圧力液送りポンプを短時間回転させることにより、流入側配管内の樹脂または薬剤を排出させる。
【0025】
さらに、B7を閉じ、B6を開放しB6より、洗浄液の注入を行い、圧力ポンプを稼働させることにより、コックB1からB2までの配管を洗浄することが出来る。洗浄後はB7を開放し、洗浄液を排出させる。[図面 2]の配管構造に置いては、洗浄液が作業タンク内にも、注入され同時に洗浄することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
この結果、配管内は常に洗浄された状態にあり、圧力液送りポンプ内にも樹脂や薬剤の残留を防止することが出来、維持管理を容易にすることが出来る。
【0027】
バイパス配管を行い、継続的に運転試験を行った結果、5年の間メンテナンスの必要ない状態が継続している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるバイパス配管の構造を示す図
【図2】本発明による作業用タンクの底部分も洗浄できるバイパス配管の構造を示す図
【符号の説明】
【0029】
1.ストックタンク(樹脂又は薬液の保存タンク)
2.作業タンク(木材の出し入れを行い樹脂又は薬剤を含浸注入をすための圧力容器)
3.圧力液送りポンプ
4.洗浄液注入口
5.樹脂または薬剤及び洗浄液排出口
〔図1〕の配管中、コックの位置
B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7、
〔図2〕の配管中、コックの位置
B1,B2,B3,B4,B6,B7,B8、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材中に、減圧加圧法を用いて、樹脂、又は薬剤を含浸注入させるとき、配管の中に樹脂や、薬剤が残留しないように、容易に洗浄できる配管の構造及び設備
【請求項2】
木材中に、減圧加圧法を用いて、樹脂、又は薬剤を含浸注入させるとき、配管の中や作業タンク内に残った残留液を、容易に洗浄し排出する配管の構造及び設備
【請求項3】
ストックタンクから作業用タンクに、樹脂または薬剤を移動させる時に、送りポンプを使用しないで、作業タンク内を真空減圧、空気加圧することにより、樹脂や薬剤を移動させる方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−45914(P2009−45914A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241556(P2007−241556)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(504401743)
【Fターム(参考)】