説明

機器状態表示装置および機器状態表示方法

【課題】システムから切り離されている間の機器の状態も表示させる。
【解決手段】階層構造で管理される複数の機器のそれぞれに対応する指標をツリー形式で画面上に表示する機器状態表示装置1であって、着脱イベント履歴DB15から、機器を接続したときの時刻であって、基準時刻以前かつ基準時刻に最も近い時刻を対象着時刻として取得する着時刻取得部11と、アラートイベント履歴DB16から、着時刻取得部11により取得された対象着時刻から基準時刻までの間に機器から通知されたアラートイベント情報を取得するアラートイベント取得部12と、アラートイベント取得部12により取得されたアラートイベント情報に基づいて指標の表示形態を決定する表示形態決定部13と、表示形態決定部13により決定された表示形態で指標を画面上に表示する表示部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器状態表示装置および機器状態表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産プロセスを管理する現場では、プラント内に多数の機器(例えばセンサ機器やバルブポジショナ等のデバイス)を配置してプロセスを管理する。プラント内の各機器は、一般に階層構造を成して接続される。したがって、機器を管理するシステムでは、その階層構造に合わせたツリー形式で機器を管理画面上に表示させ、複雑に配置されている多数の機器を把握し易くしている。下記特許文献1には、機器をツリー形式で表示し、各機器で発生したアラートの状態をアイコンで表示する管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−346444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各機器は修理や点検、交換等の際には、システムから一時的に切り離して(非接続にして)作業を行うことになる。したがって、例えば上位階層にある機器を非接続にすると、その機器の下位階層に位置する機器群もシステムから切り離されることになる。ところが、下位階層に位置する機器群は、切り離された後も動作を継続するため、切り離されている間にアラートが発生することもあり得る。上記特許文献1の管理システムは、システムに接続されている各機器の現時点のアラート状態を表示するものであって、各機器がシステムから切り離されることまでは想定していない。したがって、この管理システムでは、上位階層の機器を一旦非接続にし、その後接続した場合には、システムから切り離されている間に下位階層の機器群で発生したアラートの状態を管理画面で確認することはできない。
【0005】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、システムから切り離されている間の機器の状態も表示させることができる機器状態表示装置および機器状態表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る機器状態表示装置は、階層構造で管理される複数の機器のそれぞれに対応する指標をツリー形式で画面上に表示する機器状態表示装置であって、前記機器をシステムに接続または非接続にしたときに発生する着脱イベントに関する着脱イベント情報を蓄積する着脱イベント履歴記憶部から、前記機器を接続したときの時刻であって、所定の基準時刻以前かつ当該基準時刻に最も近い時刻を、対象着時刻として取得する着時刻取得部と、前記機器で発生するアラートイベントに関するアラートイベント情報を蓄積するアラートイベント履歴記憶部から、前記着時刻取得部により取得された前記対象着時刻から前記基準時刻までの間に前記機器から通知された前記アラートイベント情報を取得するアラートイベント取得部と、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報に基づいて、前記指標の表示形態を決定する表示形態決定部と、前記表示形態決定部により決定された前記表示形態で前記指標を前記画面上に表示する表示部と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る機器状態表示方法は、階層構造で管理される複数の機器のそれぞれに対応する指標をツリー形式で画面上に表示する機器状態表示方法であって、前記機器をシステムに接続または非接続にしたときに発生する着脱イベントに関する着脱イベント情報を蓄積する着脱イベント履歴記憶部から、前記機器を接続したときの時刻であって、所定の基準時刻以前かつ当該基準時刻に最も近い時刻を、対象着時刻として取得する着時刻取得ステップと、前記機器で発生するアラートイベントに関するアラートイベント情報を蓄積するアラートイベント履歴記憶部から、前記着時刻取得ステップにおいて取得された前記対象着時刻から前記基準時刻までの間に前記機器から通知された前記アラートイベント情報を取得するアラートイベント取得ステップと、前記アラートイベント取得ステップにおいて取得された前記アラートイベント情報に基づいて、前記指標の表示形態を決定する表示形態決定ステップと、前記表示形態決定ステップにおいて決定された前記表示形態で前記指標を前記画面上に表示する表示ステップと、を含む。
【0008】
かかる構成を採用することで、基準時刻以前に接続された着時刻のうち最新の着時刻を対象着時刻として取得することができ、対象着時刻から基準時刻までの間に通知されたアラート情報を取得することができる。これにより、機器が非接続になっている間に発生したアラート情報を、機器が接続してから通知したアラート情報に含めて取得することが可能となる。また、取得したアラート情報に基づいて機器に対応する指標の表示形態を決定することができ、その決定された指標の表示形態で機器に対応する指標を画面上に表示させることができる。これにより、機器が非接続になっている間に発生したアラートの状態を、画面上に表示された指標の表示形態を確認することで容易に把握することが可能となる。
【0009】
上記着脱イベント情報は、少なくとも、前記機器を一意に特定する機器識別情報、前記機器の接続または非接続のいずれかを示す着脱判別情報、および前記機器を接続または非接続にしたときの着脱発生時刻を含み、前記着時刻取得部は、前記着脱イベント情報のうち、前記着脱判別情報に前記機器の接続を示す情報を格納する前記着脱イベント情報の前記着脱発生時刻を参照し、前記対象着時刻を取得することとしてもよい。
【0010】
上記アラートイベント情報は、少なくとも、前記機器識別情報、前記機器で発生したアラートの種別を示す種別情報、前記機器でアラートが発生したときのアラート発生時刻および前記機器で発生したアラートを通知したときのアラート通知時刻を含み、前記アラートイベント取得部は、前記アラートイベント情報の前記アラート通知時刻を参照し、前記アラート情報を取得することとしてもよい。
【0011】
上記アラートイベント情報は、前記機器で発生したアラートの優先度を示す優先度情報をさらに含み、前記表示形態決定部は、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記優先度情報を参照し、前記優先度情報に格納されている前記優先度のうち、最も高い前記優先度に対応する前記表示形態を採用することとしてもよい。
【0012】
これにより、機器に発生したアラートのうち、優先度が最も高いアラートに対応する指標を機器ごとに表示させることができる。
【0013】
上記表示形態決定部は、表示対象の前記機器が自機器の下位階層に前記機器を有する場合には、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記優先度情報であって、前記表示対象の前記機器および前記下位階層に位置する全ての前記機器に対応する前記優先度情報を参照し、前記優先度情報に格納されている前記優先度のうち、最も高い前記優先度に対応する前記表示形態を採用することとしてもよい。
【0014】
これにより、自機器と下位階層の機器とで発生したアラートのうち、優先度が最も高いアラートに対応する指標を自機器の指標として表示させることができる。
【0015】
上記アラートイベント情報は、前記機器で発生したアラートが確認されたか否かを示す確認/未確認情報をさらに含み、前記表示形態決定部は、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記確認/未確認情報を参照し、いずれか一つにでも未確認を示す情報が格納されているときに、未確認であることを示す前記表示形態を採用することとしてもよい。
【0016】
これにより、機器で発生したアラートのうち、未確認のアラートが一つでも存在する場合には未確認であることを示す表示形態により指標を表示させることができる。
【0017】
上記表示形態決定部は、表示対象の前記機器が自機器の下位階層に前記機器を有する場合には、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記確認/未確認情報であって、前記表示対象の前記機器および前記下位階層に位置する全ての前記機器に対応する前記確認/未確認情報を参照し、いずれか一つにでも未確認を示す情報が格納されているときに、未確認であることを示す前記表示形態を採用することとしてもよい。
【0018】
これにより、自機器と下位階層の機器とで発生したアラートのうち、未確認のアラートが一つでも存在する場合には未確認であることを示す表示形態により自機器の指標を表示させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、システムから切り離されている間の機器の状態も表示させることができる機器状態表示装置および機器状態表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態における機器状態表示装置を含む機器管理システムの構成を例示する図である。
【図2】図1に示す着脱イベント履歴DBのデータ構成を例示する図である。
【図3】図1に示すアラートイベント履歴DBのデータ構成を例示する図である。
【図4】図1に示す機器情報DBのデータ構成を例示する図である。
【図5】(A)は、接続中であることを示すアイコンを例示する図であり、(B)は、未接続であることを示すアイコンを例示する図である。
【図6】優先度に対応付けて登録されるアイコンを例示する図である。
【図7】上位階層に位置する機器の下位階層に3つの機器が位置する状態をツリー形式で表した図である。
【図8】実施形態における機器状態表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施形態における機器状態表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態における機器状態表示装置を含む機器管理システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、機器管理システム100は、機器状態表示装置1と、コントローラ2と、デバイス3と、を備える。コントローラ2およびデバイス3は階層関係にある機器であり、コントローラ2が上位階層に位置し、デバイス3がコントローラ2の下位階層に位置する。
【0023】
デバイス3は、プラント内に配置される機器であり、例えばフィールドバスを介してコントローラ2と双方向に通信する機能を有する。フィールドバスは、デジタル信号で双方向通信可能な通信方式のネットワークであり、その通信仕様は、フィールドバス協会(Fieldbus Foundation(登録商標))によって、ファウンデーションフィールドバス(Foundation Fieldbus)として規格化(標準化)されている。
【0024】
デバイス3としては、例えば、流量や圧力、温度等を検出する各種センサ機器、流量制御弁や圧力制御弁等の各種バルブを制御するバルブポジショナ、ポンプやファン等を動作させる各種アクチュエータ等が該当する。
【0025】
コントローラ2は、下位階層に位置するデバイス3を統括制御する機器である。コントローラ2は、例えば、センサ機器から取得した流量や圧力等の測定値に基づいて、バルブポジショナを制御することで、配管に設けられたバルブの開度等を調節する。
【0026】
機器状態表示装置1は、階層構造で管理されるコントローラ2やデバイス3のそれぞれに対応する指標をツリー形式で管理画面上に表示する装置である。指標は、一つのアイコンまたは複数のアイコン等からなり、機器の状態を表示するマークである。機器状態表示装置1は、物理的には、例えば、CPU(Central Processing Unit、)等の制御装置(不図示)と、メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置(不図示)と、入力装置(不図示)と、表示装置(不図示)とを備える。記憶装置は、着脱イベント履歴DB15とアラートイベント履歴DB16と機器情報DB17とを格納する。
【0027】
着脱イベント履歴DB15は、コントローラ2やデバイス3を接続/非接続にしたときに発生する着脱イベントに関する着脱イベント情報を蓄積する記憶部である。図2を参照して、着脱イベント履歴DB15のデータ構成について説明する。着脱イベント履歴DB15は、データ項目として、例えば、着脱発生時刻項目、着脱フラグ項目および機器識別情報項目を有する。着脱発生時刻項目は、コントローラ2やデバイス3を接続/非接続にしたときの時刻である着脱発生時刻を格納する。着脱フラグ項目は、接続/非接続のいずれかを示すフラグ情報(判別情報)である着脱フラグ情報を格納する。図2では、接続を示すフラグ情報として“着”が格納され、非接続を示すフラグ情報として“脱”が格納されている。機器識別情報項目は、コントローラ2やデバイス3を一意に特定する識別情報である機器識別情報を格納する。
【0028】
機器管理システム100では、上位側の機器が下位側の機器の通信状態情報を収集する。通信状態情報は、データ通信の成否情報を含む機器の通信状態に関する情報である。上位側の機器は、収集した通信状態情報に含まれるデータ通信の成否情報に基づいて、下位側の機器の接続状態を判定し、着脱イベント情報を生成して機器状態表示装置1宛てに送信する。
【0029】
ここで、上位階層の機器が非接続にされた場合には、その機器およびその機器の下位階層に位置する全ての機器に対応する着脱イベント情報として、着脱フラグ項目に“脱”を格納した着脱イベント情報が発行され、着脱イベント履歴DB15に蓄積される。一方、上位階層の機器が接続された場合には、その機器およびその機器の下位階層に位置する全ての機器に対応する着脱イベント情報として、着脱フラグ項目に“着”を格納した着脱イベント情報が発行され、着脱イベント履歴DB15に蓄積される。
【0030】
アラートイベント履歴DB16は、コントローラ2やデバイス3で発生するアラートイベントに関するアラートイベント情報を蓄積する記憶部である。図3を参照して、アラートイベント履歴DB16のデータ構成について説明する。アラートイベント履歴DB16は、データ項目として、例えば、アラート発生時刻項目、アラート通知時刻項目、アラート種別項目、優先度項目、確認フラグ項目および機器識別情報項目を有する。
【0031】
アラート発生時刻項目は、コントローラ2やデバイス3でアラートが発生したときの時刻であるアラート発生時刻を格納する。アラート通知時刻項目は、コントローラ2やデバイス3で発生したアラートを通知したときの時刻であるアラート通知時刻を格納する。アラート発生時刻の他にアラート通知時刻を設けたのは、コントローラ2やデバイス3がシステムから切り離されることを考慮したためである。コントローラ2やデバイス3がシステムから切り離された場合には、アラートが発生してもその旨を通知することができず、システムに再接続してから、切り離されていた間に発生したアラートを通知することになる。そこで、アラート発生時刻の他にアラート通知時刻を設け、切り離されていた間に発生したアラートを管理できるようにしたものである。
【0032】
アラート種別項目は、コントローラ2やデバイス3で発生したアラートの種別を示す情報であるアラート種別情報を格納する。アラート種別情報としては、例えば、“故障”、“調整中”、“動作条件逸脱”、“要保守”、“情報”、“その他のアラート”、“正常”等が該当する。
【0033】
優先度項目は、コントローラ2やデバイス3で発生したアラートの優先度を示す情報である優先度情報を格納する。確認フラグ項目は、コントローラ2やデバイス3で発生したアラートが確認されたか否かを示すフラグ情報である確認フラグ情報を格納する。図3では、未確認であることを示すフラグ情報として“未”が格納され、確認されたことを示すフラグ情報として“済”が格納されている。機器識別情報項目は、コントローラ2やデバイス3を一意に特定する識別情報である機器識別情報を格納する。
【0034】
機器情報DB17は、コントローラ2やデバイス3に関する機器情報を蓄積する記憶部である。図4を参照して、機器情報DB17のデータ構成について説明する。機器情報DB17は、データ項目として、例えば、機器識別情報項目および階層情報項目を有する。機器識別情報項目は、コントローラ2やデバイス3を一意に特定する識別情報である機器識別情報を格納する。
【0035】
階層情報項目は、親識別情報項目と子識別情報項目とをさらに含む。親識別情報項目は、親ノードの機器識別情報を格納し、子識別情報項目は、子ノードの機器識別情報を格納する。階層情報項目を参照することで、親ノードや子ノードの存在を確認できる。
【0036】
図1に示すように、機器状態表示装置1は、機能的には、例えば、着時刻取得部11と、アラートイベント取得部12と、表示形態決定部13と、表示部14とを有する。
【0037】
着時刻取得部11は、コントローラ2やデバイス3がシステムに接続した時刻のうち、所定の基準時刻以前かつこの基準時刻に最も近い時刻を、処理の対象となる対象着時刻として、着脱イベント履歴DB15から取得する。以下に、具体的に説明する。
【0038】
着時刻取得部11は、着脱イベント履歴DB15を参照し、機器識別情報項目に、処理の対象となる機器に対応する機器識別情報を格納し、着脱フラグ項目に、接続を示すフラグ情報を格納し、着脱発生時刻項目に、基準時刻以前かつ基準時刻に最も近い着脱発生時刻を格納する、着脱イベント情報を抽出する。着時刻取得部11は、抽出した着脱イベント情報の着脱発生時刻項目に格納されている着脱発生時刻を、対象着時刻として取得する。
【0039】
上記基準時刻は、任意に設定することができ、現在時刻を設定することもできる。基準時刻に現在時刻を設定した場合には、着脱フラグ項目に接続を示すフラグ情報を格納し、かつ、着脱発生時刻項目に直近の時刻を格納する着脱イベント情報を着脱イベント履歴DB15から抽出すればよい。
【0040】
着時刻取得部11は、対象着時刻を取得する前に、着脱イベント履歴DB15を参照し、基準時刻において処理対象の機器が接続されているか否かを判定し、接続されている場合に、対象着時刻を取得する。具体的に、着時刻取得部11は、処理対象の機器に対応する着脱イベント情報を参照し、基準時刻における着脱フラグ項目に接続を示すフラグ情報が格納されている場合に、対象着時刻を取得する。
【0041】
アラートイベント取得部12は、着時刻取得部11により取得された対象着時刻から基準時刻までの間にコントローラ2やデバイス3から通知されたアラートイベント情報を、アラートイベント履歴DB16から取得する。
【0042】
具体的に、アラートイベント取得部12は、処理対象の機器に対応するアラートイベント情報であって、アラート通知時刻項目に格納されているアラート通知時刻が、対象着時刻から基準時刻までの時刻となるアラートイベント情報を、アラートイベント履歴DB16から抽出する。
【0043】
表示形態決定部13は、処理対象の機器に対応する指標の表示形態を決定する。表示形態決定部13は、例えば、以下の(1)〜(3)で説明する接続の有無、優先度および未確認状態に応じて採用可能なアイコンの表示形態を組み合わせることで、処理対象の機器に対応する指標の表示形態を決定する。
【0044】
(1)接続の有無
表示形態決定部13は、着時刻取得部11により処理対象の機器が接続していると判定された場合に、処理対象の機器が接続中であることを示すアイコンを表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。接続中であることを示すアイコンとしては、例えば、それぞれの機器を模式的に表現したアイコンを用いることができる。図5(A)に、接続中であることを示すアイコンI1、I2を例示する。
【0045】
表示形態決定部13は、着時刻取得部11により処理対象の機器が接続していないと判定された場合に、処理対象の機器が未接続であることを示すアイコンを表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。未接続であることを示すアイコンとしては、例えば、接続できない状態を模式的に表現したアイコンを用いることができ、接続中であることを示すアイコンの上に重ねて表示することができる。図5(B)に、接続中であることを示すアイコンI1、I2の上に重ねて表示した未接続であることを示すアイコンI3を例示する。
【0046】
(2)優先度
表示形態決定部13は、アラートイベント取得部12により取得されたアラートイベント情報の優先度項目に格納されている優先度のうち最も高い優先度に対応するアイコンを表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。これにより、各機器に発生したアラートのうち、優先度が最も高いアラートに対応する指標を機器ごとに表示させることが可能となる。
【0047】
上記優先度は、例えば、“故障”、“調整中”、“動作条件逸脱”、“要保守”、“情報”、“その他のアラート”、“正常”という7つのアラート種別に対応させて、“1”〜“7”の7段階で設定することができる。この場合には、優先度“1”が最も高い優先度となり、優先度“7”が最も低い優先度となる。図6に示すように、優先度“1”〜“7”に対応させて優先度の高低を表現したアイコンを予め記憶装置に登録しておく。
【0048】
表示形態決定部13は、処理対象の機器が下位階層の機器を有する場合に、処理対象の機器のアラートイベント情報に加え、下位階層に位置する機器のアラートイベント情報も参照の対象に含める。表示形態決定部13は、それらのアラートイベント情報から最も高い優先度を特定し、その特定した優先度に対応するアイコンを表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。これにより、自機器と下位階層の機器とで発生したアラートのうち、優先度が最も高いアラートに対応するアイコンを自機器の指標として表示させることが可能となる。
【0049】
処理対象の機器が下位階層の機器を有するか否かは、以下のように判定できる。表示形態決定部13は、機器情報DB17を参照し、処理対象の機器に対応する機器情報の子識別情報項目に機器識別情報が格納されているか否かを判定する。表示形態決定部13は、子識別情報項目に機器識別情報が格納されている場合に、下位階層の機器を有すると判定する。
【0050】
図7を参照して、上位階層の機器の優先度表示が下位階層の機器の優先度表示に置き換えられる場合について説明する。図7は、上位階層に位置する1つの機器の下位階層に3つの機器が位置する状態をツリー形式で表した図である。下位階層に位置する3つの機器の指標表示領域には、それぞれの機器が接続中であることを示すアイコン3B、3C、3Dと、それぞれの機器における最も高い優先度を示すアイコンIB、IC、IDとが表示されている。この場合、3つのアイコンIB、IC、IDのうち優先度が最も高いのは、最高優先度である“1”に対応するアイコンIBとなる(図6参照)。ここで、上位階層に位置する機器における最も高い優先度が“7(正常)”であったとする。この場合、上位階層に位置する機器の指標表示領域には、優先度“7”に対応する正常時のアイコンではなく、最高優先度である“1”に対応するアイコンIBと同一のアイコンIAが表示されることになる。
【0051】
(3)未確認状態
表示形態決定部13は、アラートイベント情報の確認フラグ項目を参照し、いずれか一つにでも未確認であることを示すフラグ情報が格納されているときに、アイコンを点滅表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。これにより、処理対象の機器で発生したアラートのうち、未確認のアラートが一つでも存在する場合には未確認であることを示すアイコンの点滅表示により指標を表示させることが可能となる。
【0052】
表示形態決定部13は、処理対象の機器が下位階層の機器を有する場合には、処理対象の機器のアラートイベント情報に加え、下位階層に位置する機器のアラートイベント情報も参照の対象に含める。表示形態決定部13は、それらのアラートイベント情報の確認フラグ項目のうちいずれか一つにでも未確認であることを示すフラグ情報が格納されているときに、アイコンを点滅表示する形態を、処理対象の機器に対応する指標の表示形態として採用する。これにより、処理対象の機器とその下位階層の機器とで発生したアラートのうち、未確認のアラートが一つでも存在する場合には未確認であることを示すアイコンの点滅表示により処理対象の機器の指標を表示させることが可能となる。
【0053】
なお、未確認状態を表現する指標の表示形態は、アイコンを点滅することには限定されない。例えば、未確認であることを示すアイコンを表示することとしてもよい。
【0054】
図1に示す表示部14は、表示形態決定部13により決定された指標の表示形態を用いて、処理対象の機器に対応する指標を管理画面上に表示する。
【0055】
次に、図8および図9を参照して、実施形態における機器状態表示装置1の動作について説明する。この動作では、ツリー形式で管理画面上に表示するコントローラ2やデバイス3のうち、最上位階層に位置する機器を処理対象機器に選定してから以下の処理を開始する。
【0056】
最初に、着時刻取得部11は、着脱イベント履歴DB15を参照し、処理対象機器が接続しているか否かを判定する(ステップS101)。この判定がNOである場合(ステップS101;NO)に、表示形態決定部13は、未接続を示すアイコンを表示する形態を処理対象機器の指標の表示形態として採用し、表示部14は、未接続を示すアイコンを処理対象機器の指標として画面上に表示する(ステップS102)。そして、本動作を終了する。
【0057】
一方、上記ステップS101の判定で処理対象機器が接続していると判定された場合(ステップS101;YES)に、表示形態決定部13は、接続中を示すアイコンを表示する形態を、処理対象機器の指標の表示形態として採用する(ステップS103)。
【0058】
続いて、着時刻取得部11は、処理対象機器がシステムに接続した時刻であって、基準時刻以前かつ基準時刻に最も近い時刻を、対象着時刻として、着脱イベント履歴DB15から取得する(ステップS104)。
【0059】
続いて、アラートイベント取得部12は、上記ステップS104で取得した対象着時刻から基準時刻までの間に処理対象機器により通知されたアラートイベント情報を、アラートイベント履歴DB16から取得する(ステップS105)。
【0060】
続いて、表示形態決定部13は、上記ステップS105で取得したアラートイベント情報の優先度項目を参照し、各優先度項目に格納されている優先度のうち最も高い優先度を示すアイコンを表示する形態を、処理対象機器の指標の表示形態として採用する(ステップS106)。
【0061】
続いて、表示形態決定部13は、上記ステップS105で取得されたアラートイベント情報の確認フラグ項目を参照し、いずれか一つにでも未確認であることを示すフラグ情報が格納されている場合に、アイコンを点滅表示する形態を、処理対象機器の指標の表示形態として採用する(ステップS107)。
【0062】
続いて、表示形態決定部13は、機器情報DB17を参照し、処理対象機器に子ノードの機器が存在するか否かを判定する(ステップS108)。この判定がNOである場合(ステップS108;NO)に、表示部14は、上記ステップS103、ステップS106およびステップS107で採用されたアイコンの表示形態を組み合わせて、処理対象機器の指標を画面上に表示する(ステップS112)。そして、本動作を終了する。
【0063】
一方、上記ステップS108の判定で処理対象機器に子ノードの機器が存在すると判定された場合(ステップS108;YES)に、機器状態表示装置1は、上記ステップS101からステップS108までの各処理を、子ノードの機器を順次処理対象機器に選定しながら、全ての子ノードの機器に対して実行する(ステップS109)。
【0064】
続いて、表示形態決定部13は、上記ステップS101からステップS108までの各処理で処理対象機器に選定された各機器について、自機器とその下位階層に位置する全ての機器とでそれぞれ採用されたアイコンに対応する優先度を比較し、その中で最も高い優先度を示すアイコンを表示する形態を、自機器の指標の表示形態として採用する(ステップS110)。
【0065】
続いて、表示形態決定部13は、上記ステップS101からステップS108までの各処理で処理対象機器に選定された各機器について、自機器とその下位階層に位置する全ての機器とのいずれか一つにでも未確認を表現するアイコンの点滅表示が採用されている場合には、アイコンを点滅表示する形態を、自機器の指標の表示形態として採用する(ステップS111)。
【0066】
続いて、表示部14は、上記ステップS103、ステップS106、ステップS107、ステップS110およびステップS111で採用されたアイコンの表示形態を組み合わせて、各処理対象機器の指標を画面上に表示する(ステップS112)。そして、本動作を終了する。
【0067】
上述してきたように、実施形態における機器状態表示装置1によれば、着時刻取得部11を有することで、基準時刻以前に接続された着時刻のうち最新の着時刻を対象着時刻として取得することができ、アラートイベント取得部12を有することで、対象着時刻から基準時刻までの間に通知されたアラート情報を取得することができる。これにより、コントローラ2やデバイス3が非接続になっている間に発生したアラート情報を、コントローラ2やデバイス3が接続してから通知したアラート情報に含めて取得することが可能となる。
【0068】
また、実施形態における機器状態表示装置1によれば、表示形態決定部13を有することで、アラートイベント取得部12が取得したアラート情報に基づいてコントローラ2やデバイス3に対応する指標の表示形態を決定することができ、表示部14を有することで、表示形態決定部13が決定した指標の表示形態でコントローラ2やデバイス3に対応する指標を画面上に表示させることができる。これにより、コントローラ2やデバイス3が非接続になっている間に発生したアラートの状態を、画面上に表示された指標の表示形態を確認することで容易に把握することが可能となる。
【0069】
それゆえに、実施形態における機器状態表示装置1によれば、システムに接続されているコントローラ2やデバイス3の状態を表示させることができるとともに、システムから切り離されている間のコントローラ2やデバイス3の状態も表示させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 機器状態表示装置
2 コントローラ
3 デバイス
11 着時刻取得部
12 アラートイベント取得部
13 表示形態決定部
14 表示部
15 着脱イベント履歴DB
16 アラートイベント履歴DB
17 機器情報DB
100 機器管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造で管理される複数の機器のそれぞれに対応する指標をツリー形式で画面上に表示する機器状態表示装置であって、
前記機器をシステムに接続または非接続にしたときに発生する着脱イベントに関する着脱イベント情報を蓄積する着脱イベント履歴記憶部から、前記機器を接続したときの時刻であって、所定の基準時刻以前かつ当該基準時刻に最も近い時刻を、対象着時刻として取得する着時刻取得部と、
前記機器で発生するアラートイベントに関するアラートイベント情報を蓄積するアラートイベント履歴記憶部から、前記着時刻取得部により取得された前記対象着時刻から前記基準時刻までの間に前記機器から通知された前記アラートイベント情報を取得するアラートイベント取得部と、
前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報に基づいて、前記指標の表示形態を決定する表示形態決定部と、
前記表示形態決定部により決定された前記表示形態で前記指標を前記画面上に表示する表示部と、
を備えることを特徴とする機器状態表示装置。
【請求項2】
前記着脱イベント情報は、少なくとも、前記機器を一意に特定する機器識別情報、前記機器の接続または非接続のいずれかを示す着脱判別情報、および前記機器を接続または非接続にしたときの着脱発生時刻を含み、
前記着時刻取得部は、前記着脱イベント情報のうち、前記着脱判別情報に前記機器の接続を示す情報を格納する前記着脱イベント情報の前記着脱発生時刻を参照し、前記対象着時刻を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の機器状態表示装置。
【請求項3】
前記アラートイベント情報は、少なくとも、前記機器識別情報、前記機器で発生したアラートの種別を示す種別情報、前記機器でアラートが発生したときのアラート発生時刻および前記機器で発生したアラートを通知したときのアラート通知時刻を含み、
前記アラートイベント取得部は、前記アラートイベント情報の前記アラート通知時刻を参照し、前記アラート情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の機器状態表示装置。
【請求項4】
前記アラートイベント情報は、前記機器で発生したアラートの優先度を示す優先度情報をさらに含み、
前記表示形態決定部は、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記優先度情報を参照し、前記優先度情報に格納されている前記優先度のうち、最も高い前記優先度に対応する前記表示形態を採用する、
ことを特徴とする請求項3記載の機器状態表示装置。
【請求項5】
前記表示形態決定部は、表示対象の前記機器が自機器の下位階層に前記機器を有する場合には、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記優先度情報であって、前記表示対象の前記機器および前記下位階層に位置する全ての前記機器に対応する前記優先度情報を参照し、前記優先度情報に格納されている前記優先度のうち、最も高い前記優先度に対応する前記表示形態を採用する、ことを特徴とする請求項4記載の機器状態表示装置。
【請求項6】
前記アラートイベント情報は、前記機器で発生したアラートが確認されたか否かを示す確認/未確認情報をさらに含み、
前記表示形態決定部は、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記確認/未確認情報を参照し、いずれか一つにでも未確認を示す情報が格納されているときに、未確認であることを示す前記表示形態を採用する、
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の機器状態表示装置。
【請求項7】
前記表示形態決定部は、表示対象の前記機器が自機器の下位階層に前記機器を有する場合には、前記アラートイベント取得部により取得された前記アラートイベント情報の前記確認/未確認情報であって、前記表示対象の前記機器および前記下位階層に位置する全ての前記機器に対応する前記確認/未確認情報を参照し、いずれか一つにでも未確認を示す情報が格納されているときに、未確認であることを示す前記表示形態を採用することを特徴とする請求項6記載の機器状態表示装置。
【請求項8】
階層構造で管理される複数の機器のそれぞれに対応する指標をツリー形式で画面上に表示する機器状態表示方法であって、
前記機器をシステムに接続または非接続にしたときに発生する着脱イベントに関する着脱イベント情報を蓄積する着脱イベント履歴記憶部から、前記機器を接続したときの時刻であって、所定の基準時刻以前かつ当該基準時刻に最も近い時刻を、対象着時刻として取得する着時刻取得ステップと、
前記機器で発生するアラートイベントに関するアラートイベント情報を蓄積するアラートイベント履歴記憶部から、前記着時刻取得ステップにおいて取得された前記対象着時刻から前記基準時刻までの間に前記機器から通知された前記アラートイベント情報を取得するアラートイベント取得ステップと、
前記アラートイベント取得ステップにおいて取得された前記アラートイベント情報に基づいて、前記指標の表示形態を決定する表示形態決定ステップと、
前記表示形態決定ステップにおいて決定された前記表示形態で前記指標を前記画面上に表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする機器状態表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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