説明

機械的循環補助システムのための携帯用コントローラ及び電源

機械的循環補助システム用の携帯用外部装置が、第一電源及び第二電源例えばバッテリと、埋込み血液ポンプの冗長的無中断作動のための制御電子部品とを備える。制御・電源モジュールは、患者の利便性及び快適性のための装着できる様々な構成に対応するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的循環補助システムのための一体型電源を持つ携帯用コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
概して、心不全は、多数の人々に影響を及ぼす主要な公共的健康問題である。心臓移植は、これまで心不全を治療するための最も効果的な治療の1つであった。しかし、移植は、長期的免疫抑制治療による合併症、同種移植冠状動脈疾患並びに限られた数のドナー器官によって限定される可能性がある。
機械的循環補助(MCS)システムは、完全人工心臓(TAH)も補助人工心臓(VAD)も、心不全患者のための心臓移植の役割を増大する又はこれに取って代わるために、研究されてきた。VADとしては、左心室補助装置(LVAD)、右心室補助装置(RVAD)又は両室補助装置(bi−VAD)が考えられる。概して、VADは、心不全患者に心臓移植までのつなぎとして又は心臓移植からの回復のため並びに心臓移植の長期的代替治療を含めて治療を与えるために採用される。
【0003】
TAH及びVADは、供給源から血液を受け取って血液を患者体内の1つ又はそれ以上の目的部位へ送り出すために患者に接続された血液ポンプ装置である。例えば、LVADは、患者の心房又は心室から血液を受け取って、血液を大動脈へ送り込む。一方、RVADは、心房又は心室から血液を受け取って、これを肺動脈へ送り込む。概して、MCSは、例えば、1本又はそれ以上の経皮ケーブルによって例えば血液ポンプを含む内部要素に接続された制御電子部品及び電源など外部要素を含む。MCSを受け入れた後に患者が通常の活動を再開する時、患者が装着するMCS装置の設計及び形態は、患者の安全性及び快適さの重要な側面となる。
【発明の概要】
【0004】
概して、本明細書において説明する技法は、第一電源及び第二電源例えばバッテリと、埋込み血液ポンプの冗長的無中断作動のための制御電子部品とを含む、機械的循環補助システムのための携帯用外部装置に関する。
【0005】
1つの実施例において、機械的循環補助システムのための携帯用外部装置は、第一電源と、第二電源と、蝶番式ハウジングと、制御電子部品とを含む。蝶番式ハウジングは、第一電源と第二電源との間に配置され、これらを受け入れるように構成される。制御電子部品は、蝶番式ハウジング内に配置される。
【0006】
別の実施例において、機械的循環補助システムは、埋込みポンプと、携帯用外部装置とを含む。携帯用外部装置は、第一電源と、第二電源と、蝶番式ハウジングと制御電子部品とを含む。蝶番式ハウジングは、第一電源と第二電源との間に配置され、これらを受け入れるように構成される。制御電子部品は蝶番式ハウジング内に配置される。第一電源及び第二電源の少なくとも一方は、埋込みポンプへ電力供給するように構成される。
【0007】
1つ又はそれ以上の実施例の詳細を、添付図面及び下の説明に示す。本開示による実施例のその他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面及び請求項から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】携帯用外部制御・電源モジュールを含む左心室補助装置(LVAD)の実施例を図解する概念図である。
【図2】図1の制御・電源モジュールの実施例を図解する機能ブロック図である。
【図3】図1の制御・電源モジュールの形態例の分解図である。
【図4A】ある位置における制御・電源モジュールの実施例を図解する概念図である。
【図4B】ある位置における制御・電源モジュールの実施例を図解する概念図である。
【図4C】ある位置における制御・電源モジュールの実施例を図解する概念図である。
【図5】制御・電源モジュールの蝶番式ハウジングの実施例の分解図である。
【図6A】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の第一バッテリロックプレートの斜視図である。
【図6B】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の第一バッテリロックプレートの詳細図である。
【図7A】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の第二バッテリロックプレートの斜視図である。
【図7B】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の第二バッテリロックプレートの詳細図である。
【図8A】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の多数の要素の位置を示す立面図である。
【図8B】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の多数の要素の位置を示す断面図である。
【図8C】ロック位置にあるバッテリロック機構の実施例の多数の要素の位置を示す詳細図である。
【図9A】第一バッテリロックプレートの作動を図解する斜視図である。
【図9B】第一バッテリロックプレートの作動を図解する詳細図である。
【図9C】第一バッテリロックプレートの作動を図解する断面図である。
【図10A】第二バッテリロックプレートの作動を図解する斜視図である。
【図10B】第二バッテリロックプレートの作動を図解する詳細図である。
【図10C】第二バッテリロックプレートの作動を図解する断面図である。
【図11】柔軟性ハウジングを含む携帯用外部制御・電源モジュールの実施例を図解する概念図である。
【図12A】着脱式外部バッテリ及び非着脱式内蔵予備バッテリを含む外部制御・電源モジュールの実施例の要素を図解する機能ブロック図である。
【図12B】図12Aの外部制御・電源モジュールに採用できる充電器回路の実施例である。
【図12C】非蝶番式ハウジングを含む図12Aの外部制御・電源モジュールの実施例である。
【図13】経皮エネルギー伝達システム(TETS)として機能する制御・電源モジュールを含む補助人工心臓(VAD)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、切開部16を介してケーブル18によって埋込みポンプ14に経皮的に接続された携帯用制御・電源モジュール12を含む左心室補助装置(LVAD)10の実施例を図解する概念図である。制御・電源モジュール12は、患者20が装着できる様々な形態に対応する可変的な形状因子を持つように構成された携帯用外部装置である。制御・電源モジュール12は、概して、2つのバッテリパック22(図1においては1つのみ図示する)と、蝶番式ハウジング24と、コネクタ26と、状態指示器28とを含む。バッテリパック22は、各々、蝶番式ハウジング24に接続されて二枚貝形組立体を形成するバッテリを含む。二枚貝形組立体は、図1に示すように相互にほぼ平行の積重ね関係になるように2つのバッテリを折り畳み、また、積重ね関係から相互にほぼ同平面の関係(第一及び第二バッテリの各々が蝶番式ハウジングから反対方向へ延びる)になるように2つのバッテリを回転させるように(図3及び4A〜4C)構成される。ケーブル18は、コネクタ26を介して制御・電源モジュール12とインターフェイス接続されて、外部モジュールと埋め込みポンプ14との間の電力及びその他の信号を通信する。図2を参照してさらに詳細に説明するように、制御・電源モジュール12は、ポンプ14、バッテリパック22のバッテリ及び状態指示器28を含めてLVAD10の様々な要素の作動を制御するように構成された制御電子部品(図1には図示せず)も含む。状態指示器28は、概して、例えばバッテリパックの各バッテリに残っている残留充電量を含めた情報を患者20へ提供するために2つのバッテリパック22の各々に組み込まれた視覚的指示器である。
【0010】
LVAD10のポンプ14は、図1の実施例に示すように、患者の腹腔を含めて患者20の体内に外科的に埋め込める。他の例においては、ポンプ14は、患者20体内の他の部位に埋め込める。ポンプ14は、引入れカニューレ(inlet cannula)32及び送出カニューレ(outlet cannula)34によって患者20の心臓30に接続される。図1のLVADの実施例において、引入れカニューレ32は、心臓30の左心室36(LV)からポンプ14へ血液を送る。送出カニューレ34は、ポンプ14から患者20の大動脈38へ血液を送る。ポンプ14は、生体適合性材料から又は生体適合性材料で形成された剛性ハウジング又は体液による腐食及び劣化に耐えるコーティングを含む。適切な生体適合性材料の例は、チタン及び生物学的不活性ポリマーを含む。ポンプ14は、ポンプの中へ血液を引き込みかつポンプから血液を放出できる様々なタイプの容積式機構を含むことができる。例えば、ポンプ14は、遠心インペラ、蠕動ポンプ、電磁気ピストン、軸流タービンポンプ、磁気軸受けロータリーポンプ、空圧排水ポンプ又はRVAD10など埋込み装置に使用するのに適するその他の容積式機構の1つを含むことができる。
【0011】
図1の実施例において、補助人工心臓10は、患者20の心臓30の左心室36(LV)を補助するものとして図示される。しかし、他の例において、開示する技法は、例えば、右心室補助装置(RVAD)において右心室40を補助し、また両室補助装置(BiVAD)において両心室を補助するように構成できる他のタイプの機械的循環補助(MCS)システムに採用できる。従って、概略的に、血液の供給源例えばLVを補助対象心室として説明し、制御・電源モジュールによって送られる与圧血液の目的地点を動脈として指定できる。
【0012】
再び図1を参照すると、引入れカニューレ32及び送出カニューレ34の各々は、それぞれ左心室36及び大動脈38まで延びる可撓性チューブから形成できる。引入れカニューレ32及び送出カニューレ34は、血流を確立し維持するように、例えば縫合によってそれぞれ左心室36及び大動脈38の組織に付着できる。カニューレは、例えば縫合リング42、44を含めてこの付着技法に適する構造体を含むことができる。上記のLVAD、RVAD又はBiVAD形態のいずれにおいても、引入れカニューレ32は、補助対象心室(1つ又は2つ)に吻合されるのに対して、送出カニューレ34は対応する補助対象の動脈に吻合される。補助対象動脈は、左心室補助の場合には典型的には大動脈38であり、右心室補助の場合には、典型的には肺動脈46である。
【0013】
図2は、制御・電源モジュール12の実施例の要素を図解する機能ブロック図であり、制御・電源モジュールは、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bと、コネクタ26と様々な制御電子部品とを含む。制御・電源モジュール12の電子部品は、プロセッサと、メモリ62と、遠隔計測モジュール64と、スイッチ付きマルチプレクサ66と、電力管理モジュール68とを含む。いくつかの実施例において、制御・電源モジュール12は、患者20又は臨床医など介護従事者へ可聴メッセージを発するためにドライバ72によって駆動されるスピーカ70も含む。
【0014】
第一バッテリパック22aは、第一バッテリ74と状態指示器28aとを含む。同様に第二バッテリパック22bは、第二バッテリ76と状態指示器28bとを含む。第一バッテリ74及び第二バッテリ76は、各々、例えば充電式リチウムイオン(Li−ion)、リチウムポリマー(Lipoly)、ニッケル水素(NiMH)又はニッケルカドミウム(NiCd)電池を含むことができる。電力が中断なくポンプへ送られるように、第一バッテリ74及び第二バッテリ76は、概して、ポンプ14の一次電源及び予備電源として機能する。従って、第一バッテリ74及び第二バッテリ76の各々は、制御・電源モジュール12に取外し可能に接続されて、必要に応じて各バッテリを充電できるようにする。ただし、ポンプ14への電力供給の中断から保護するために、制御・電源モジュール12は、第一バッテリ74及び第二バッテリ76が同時に装置から取り外されるのを防止するバッテリロック機構を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、第一バッテリ74及び第二バッテリ76の一方又は両方は、例えば交流(AC)又は直流(DC)電源を含めて外部電源と交換できる。この実施例において、制御・電源モジュール12及び特に第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの一方又は両方は、外部電源を接続できるアダプタを含むことができる。さらに、この制御・電源モジュール12の実施例において、バッテリロック機構は、AC又はDC電源など外部電源を含めて装置の一次電源及び予備電源が同時に取り外されたりプラグが抜かれたりすることがないように構成できる。
【0016】
再び図2を参照すると、それぞれバッテリパック22a、22bの状態指示器28a、28bは、制御・電源モジュール12及びポンプ14の状態及び作動について患者20及びその他の使用者に警告を与えるための多数の視覚的指示器を含むことができる。例えば、図1に示す実施例において、状態指示器28a、28bは、各々正常作動については緑色を示しポンプ14の作動に不調又は異常があれば赤色を示す2つのLEDを含むポンプ状態指示器を含む(図1)。さらに、状態指示器28a、28bは、各々、多数のLEDを含むバッテリ充電形を含み、その点灯は、それぞれ第一バッテリ74及び第二バッテリ76の各々に残留する充電レベルを示す。
【0017】
制御・電源モジュール12及びポンプ14の制御は、概してプロセッサ60によって管理される。プロセッサ60は、メモリ62、遠隔計測モジュール64、電力管理モジュール68、スピーカドライバ72、及び第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bに通信上接続される。プロセッサ60は、ポンプ14並びに例えばスピーカ70の作動に関するデータをメモリ62に記憶し、このデータをメモリ62から検索する。特に、プロセッサ60は、例えば、患者20の心臓30を通過する血液をポンピングするポンプ14を制御するためのパラメータに関してメモリ62に記憶された情報を検索できる。いくつかの例において、ポンプ14は、左心室36から血液を引き出して大動脈38へ血液を送るためにポンプを駆動する電動モーターを含むことができる。例えば、ポンプ14は、メモリ62から検索したモーター速度(RPM)及び出力範囲(ワットで表される公称出力、高出力、最高出力)を含めたパラメータに基づいて、プロセッサ60によって制御される任意の数のタイプの三相直流(DC)又は交流(AC)モーターを含むことができる。
【0018】
また、プロセッサ60は、ポンプ14又は例えば第一バッテリ74及び第二バッテリ76を含めて他の装置からフィードバックを受け取って、装置の作動に関するデータをメモリ62に記憶できる。1つの実施例において、プロセッサ60は、ポンプ14のモーターの位相へ進む電圧レベル及びこの位相において戻る電流を測定する。プロセッサ60は、ポンプ14からのこの電圧及び電流情報並びに巻線抵抗及びインダクタンスなどポンプの特性を用いて、ポンプの速度及びトルクを推定できる。プロセッサ60は、その後、ポンプ14の速度(これはポンプのトルクを設定する)を設定する制御ループを実行できる。トルク設定は、どの程度の電流をプロセッサ60がポンプ14へ送るかを決定する。別の実施例において、プロセッサ60は、第一バッテリ74及び第二バッテリ76の各々の充電レベルを監視し、各バッテリにどの程度の充電が残っているかを患者20へ表示するようにそれぞれ状態指示器28a、28bを制御する。
【0019】
いくつかの実施例において、制御・電源モジュール12は、複数のタイプのモーターを含む複数のタイプのポンプを制御できるジェネリックコントローラとして構成される。概して、VADの埋込みポンプに採用される多くのモーターは、制御・電源モジュール12に組み込まれた三相ブリッジを用いて駆動できる。制御・電源モジュール12の電子部品は、ほぼどのような永久磁石モーターでも駆動して、速度又はトルクのセンサレス制御を与えるように設計できる。制御・電源モジュール12は、ポンプ14のモーターを制御するために多様な制御アルゴリズムを使用できる。しかし、このようなアルゴリズムのためには、極数、コイル抵抗、コイルインダクタンス並びにトルク及び速度定数など、モーターパラメータに関するいくつかの情報が有効でなければならない。VADコントローラは、通常、特定のタイプ又は製造者のモーターに関して作用する1組のモーターパラメータを選択することによって構成される。しかし、本開示において説明する制御・電源モジュール12のいくつかの実施例においては、モジュール特にプロセッサ60は、単一のモーターについてパラメータを最適化するのではなく、モーター全てについて許容できる性能を与える1組のパラメータを選択することによって多様なタイプのモーターを制御するように構成できる。
【0020】
別の実施例において、制御・電源モジュール12のプロセッサ60は、ポンプ14を駆動するモーターの種類を見つけて、プラグアンドプレイ式の(plug-and-play type)インターフェイスを与える。これによって、制御・電源モジュール12は、ポンプ14の制御パラメータを、ポンプを駆動するモーターの特定のタイプに合わせることができる。いくつかの例において、各モータータイプに固有の識別子を割り当てて、プロセッサ60は、この識別子をポンプ14に問合せできる。プロセッサ60は、その後、識別子に関連付けられた1組のモーターパラメータをメモリ62から検索できる。別の実施例において、プロセッサ60は、ケーブル18によって制御・電源モジュール12が特定のモーターに接続されたら、メモリに記憶された適応アルゴリズムを実行できる。適応アルゴリズムは、ポンプ14を駆動するモーターの作動パラメータを測定する。前記の適応アルゴリズムは、モータードライバ及びセンス回路を用いて、直接又は間接的に必要なモーターパラメータを測定できる。
【0021】
制御・電源モジュール12のメモリ62は、コンピュータ読込み可能な記憶媒体であり、これを使用して、患者20の心臓30を補助するポンプ14の作動に関するデータなど(ただし、これに限定されない)プロセッサ60又は別の装置のプロセッサによる実行のための命令を含むデータを記憶できる。いくつかの実施例において、メモリ62は、例えばポンプ14を駆動するためにプロセッサ60によって制御される特定のポンプモーターに固有のポンププログラムを記憶できる。メモリ62は、命令、患者情報、ポンプ又はポンプモーターパラメータ(例えばモーター速度及び出力範囲)、患者及びポンプ作動の履歴、及び別個の物理的メモリモジュールが有利なその他のデータなど他のカテゴリの情報を記憶するために別個のメモリを含むことができる。いくつかの実施例において、メモリ62に記憶されるデータがプロセッサ60によって実行されると、制御・電源モジュール12及びポンプ14は、本開示においてモジュール及びポンプに帰属するとされる機能を果たす。
【0022】
制御・電源モジュール12内のプロセッサとして説明される要素、例えばプロセッサ60又は本開示において説明するその他の装置は、各々、1つ又はそれ以上のマイクロプロセッサなど1つ又はそれ以上のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲート配列(FPGA)、プログラマブル論理回路又はその類似品を、単独で又は任意の適切な組合せで含むことができる。さらに、メモリ62及び本開示において説明するその他のコンピュータ読込み可能記憶媒体は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、読出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、消去プログラム可能ROM(EPROM)、電子的消去プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、磁気媒体、光学媒体又はその他のコンピュータ読込み可能媒体を含めて、様々なタイプの揮発性及び非揮発性メモリを含むことができる。
【0023】
プロセッサ60及びメモリ62に加えて、制御・電源モジュール12は、遠隔計測モジュール64を含む。概して、遠隔計測モジュール64は、制御・電源モジュール12及び患者20又は臨床医など他の使用者にユーザーインターフェイスを提示するための別個のディスプレイ装置を含めて他の装置からの及びこれらの装置への無線通信を容易にする。従って、プロセッサ60は、制御・電源モジュール12と例えば別個のインターフェイス装置を含めて他の装置との間で無線通信するために、遠隔計測モジュール64を制御する。制御・電源モジュール12の遠隔計測モジュール64並びに本開示において説明する他の装置の遠隔計測モジュールは、他の装置へ無線で情報を送り他の装置から無線で情報を受け取るためにRF通信技術を使用するように構成できる。遠隔計測モジュール64は、例えば、802.11、Medical Implant Communication Service(MICS)、Bluetooth又はBluetooth Low Energy規格、IRDA規格による赤外線(IR)通信又はその他の規格又は所有権のある遠隔計測プロトコルの1つによるRF通信を採用できる。遠隔計測モジュール64は、連続的に、周期的に、又はユーザーインターフェイスを介して例えば患者20など使用者からの要請に応じて、制御・電源モジュール12へ情報を送り、制御・電源モジュールから情報を受け取ることができる。1つの実施例において、遠隔計測モジュール64は、制御・電源モジュール12及びポンプ14の作動状態並びに制御・電源モジュールの第一バッテリ74及び第二バッテリ76の明確な状態を患者20又は他の使用者に表示するために、例えば液晶ディスプレイ装置(LCD)などディスプレイを含む別個のユーザーインターフェイス装置と通信する。
【0024】
図2に図解するように、電力は、概して第一バッテリ74又は第二バッテリ76からスイッチ66を介してドライバ72及びスピーカ70へ未調整で送られる。しかし、電力管理モジュール68は、第一バッテリ74又は第二バッテリ76からスイッチ66を介してコネクタ26及びケーブル18を通過してポンプ14へ送られる電力を管理する。電力管理モジュール68は、例えば出力測定、出力調整、ブリッジング(波形形成)、熱的及び電気的過負荷の検出及び保護を含めてポンプ14のモーターを駆動するための電力を適切かつ安全に送るための回路網、及びポンプ14から送り返される信号を受け取りプロセッサ130へこれを送るためのフィードバック回路網を含むことができる。いくつかの実施例において、電力管理モジュール68は、経皮エネルギー伝達システム(TETS)電気誘導リンクを介して通信信号を送りかつこれを受け取るための回路網を含むこともできる。
【0025】
図3は、制御・電源モジュール12の形態例の部分分解図であり、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bと、蝶番式ハウジング24と、第一制御回路基板100及び第二制御回路基板102と、第一バッテリ接続板104及び第二バッテリ接続板106とを含む。蝶番式ハウジング24は、第一半体108及び第二半体110と、蝶番112と、バッテリロック機構113とを含む。蝶番式ハウジング24の第一半体108及び第二半体110は、それぞれ、第一チェンバ108a及び第二チェンバ110aを含む。バッテリロック機構113は、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116を含む。第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bは、それぞれ蝶番式ハウジング24の第一チェンバ108a及び第二チェンバ110aに接続されて、これから突出する。第一制御回路基板100及び第二制御回路基板102は、それぞれ蝶番式ハウジング24の第一チェンバ108a及び第二チェンバ110a内において、それぞれ第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bに隣接して配置される。第一バッテリ接続板104及び第二バッテリ接続板106は、第一バッテリパック22aと第二バッテリパック22bとの間に配置されて、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bをそれぞれ蝶番式ハウジング24の第一チェンバ108a及び第二チェンバ110a及びそれぞれ第一制御回路基板及び第二制御回路基板に接続する。
【0026】
第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bは、各々溝23を含む。溝は、それぞれバッテリロックプレート114、116から突出するポスト114a、116b(図6A、7A及び8Bにも図示)を受け入れるように構成される。ポスト114a、116a及び溝23は、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの各々が、例えば第一バッテリロックプレート114又は第二バッテリロックプレート116を側方へ移動することによってバッテリロック機構113を作動することなく制御・電源モジュール12から取り外されることを防止するように構成される。バッテリロック機構113の作動については、図5〜10を参照して詳細に説明する。
【0027】
図3に図解するように、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bと蝶番式ハウジング24とを含む制御・電源モジュール12の形態は、制御・電源モジュールが、患者20が装着できる様々な形態に対処して多様な形状因子を取れるようにする。特に、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bは、蝶番式ハウジング24に接続されて、二枚貝形組立体を形成する。二枚貝形組立体は、制御・電源モジュール12のそれぞれ概略前面図及び側面図である図4A及び4Bに示すように、第一バッテリパックと第二バッテリパックをほぼ平行の積重ね関係に折り畳むように構成される。図4Cは、第一バッテリパック22aと第二バッテリパック22bが相互にほぼ同平面の関係になり、それぞれ蝶番式ハウジングの第一チェンバ108a及び110aから反対方向へ突出するように、蝶番式ハウジング24を回転軸120の周りで回転させた時の制御・電源モジュール12の概略側面図である。このように、患者は、様々な形態で快適に制御・電源モジュール12を装着できる。例えば、モジュール12は、図4Aのバッテリ積重ね形態かあるいは図4Cのほぼ平行の形態で、患者20の衣類のポケットに入れて装着できる。
【0028】
制御・電源モジュールの全体サイズは、図4A及び4Bに示すように、装置の幅W、長さL及び厚みDによって定義できる(厚みは、第一バッテリパック22aと第二バッテリパック22bが相互にほぼ平行の積み重ね関係に配置された時の装置の厚みに相当する)。1つの実施例において、制御・電源モジュール12は、装置が約50ミリ〜約90ミリメートルの幅W、約80ミリ〜約180ミリメートルの長さ及び約12ミリ〜約25ミリメートルの厚みを持つようにサイズを定めることができる。
【0029】
図4Aにおいて、コネクタから延びるケーブル18と一緒にコネクタ26を示す。コネクタ26は、概して、ケーブルが蝶番式ハウジング24のコネクタから蝶番式ハウジングの回転軸120に対して実質的に直角を成す経路に沿って延びるように細長いケーブル18を受け入れるように構成される。いくつかの例において、コネクタ26は、コネクタが蝶番式ハウジングに対して回転できるように蝶番式ハウジング24に回転式に結合される。別の実施例において、コネクタ26は、コネクタが第一バッテリパック22a又は第二バッテリパック22bの一方と一緒に回転するように蝶番式ハウジング24に結合される。さらに、いくつかの例において、コネクタは、コネクタが、蝶番式ハウジングの回転軸120の周りを二次元的に回転できるように、蝶番式ハウジング24に回転式に結合でき、別の実施例において、コネクタ26は、蝶番式ハウジングに対して三次元的に回転できるように、蝶番式ハウジング24に回転式に結合できる。
【0030】
図5は、第一半体108及び第二半体110と、蝶番112と、バッテリロック機構113とを含む蝶番式ハウジング24の形態例の分解図である。図5の実施例は、第一制御回路基板100及び第二制御回路基板102も含み、それぞれ、蝶番式ハウジング24の第一半体108及び第二半体110の第一チェンバ108a及び第二チェンバ110a内に配置されるように構成される。蝶番112は、蝶番式ハウジング24の第一バレル130及び第二バレル132と、ヒンジピン134と、第一ヒンジシール136と、第二ヒンジシール138と、ワッシャ140と、レセプタクル142とを含む。
【0031】
図5において、第一バレル130及び第二バレル132は、それぞれ蝶番式ハウジング24の第一半体108及び第二半体110に接続される。第一バレル130は、第一部分130aと、ギャップ130cによって第一部分からオフセットされた第二部分130bとを含む。第一部分130aは、概して、ヒンジピン134と協働するように構成できる。第一バレル130の第二部分130bは、下にさらに詳細に説明するように、バッテリロック機構113の要素と協働するように構成できる。第二バレル132は、第一バレル130の第一部分130aと第二部分130bとの間のギャップ130cに受け入れられるように構成される。第一バレル130の第一部分130a及び第二バレル132は、各々、孔130d,132aを含み、2つの孔は、ヒンジピン134を受け入れるサイズに作られる。
【0032】
図5の実施例において、ヒンジピン134は、概して、細長い管状ピンとして形成され、その内部に、装置用の制御電子部品又は制御電子部品及び/又は第一バッテリパック22a及び/又は第二バッテリパック22bに接続される電線管を含めて制御・電源モジュール12の様々な要素を配置できる。しかし、他の実施例において、蝶番式ハウジング24のヒンジピンは、中空の中央部を持たない中実の細長いポストとして形成できる。いくつかの実施例において、ヒンジピン134は、蝶番式ハウジング24の第一半体108又は第二半体110の少なくとも一方に対して回転するように構成できる。また、ヒンジピン134は、開口部134aを含み、この中で、例えばワイヤなど電気コネクタを、蝶番式ハウジング24の第一半体108の第一チェンバ108aから蝶番式ハウジングの第二半体110の第二チェンバ110aへ通過させることができる。
【0033】
また、蝶番112は、第一ヒンジシール136及び第二ヒンジシール138を含む。第一ヒンジシール136は、ヒンジピン、第一バレル130及びレセプタクル142の間の境界面においてヒンジピン130の外面の一部を取り囲みこれをシールするように構成される。第二ヒンジシール136は、第一バレル130と第二バレル132との間の境界面においてヒンジピン130の外面の一部を取り囲みこれをシールするように構成される。図5の実施例において、第一バレル130は、それぞれ第一ヒンジシール136及び第二ヒンジシール138を受け入れるように構成された第一座ぐり(counterbore)144及び第二座ぐり146を含む。
【0034】
概して、第一ヒンジシール136及び第二ヒンジシール138は、蝶番式ハウジングの第一チェンバ108a又は第二チェンバ110aのいずれへの物質の進入を実質的に阻止しながら、蝶番式ハウジング24の第一半体108と第二半体110の相対的回転を可能にするように構成される。1つの実施例において、第一ヒンジシール136及び第二ヒンジシール138の一方又は両方は、ヒンジピン130の外面に巻き付いてこれをシールするように構成されたガータばねシール(garter spring seal)を含む。いくつかの例において、第一ヒンジシール136及び第二ヒンジシール138の一方又は両方は、傾角コイルばね(canted coil spring)を含むガータばねシールを含む。傾角コイルばねは、ばねのある範囲の変位に対して実質的に一定の荷重を与えて、ばね力の変動なしに機械的組立体におけるより大きな寸法変動(dimensional variance)を可能にする。
【0035】
図5の蝶番式ハウジング24の実施例は、バッテリロック機構113も含む。ロック機構は、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116と、フランジ150と、ピン152と、スリーブ154と、ボール156と、第一イジェクトピン158及び第二イジェクトピン160とを含む。フランジ150は、第一バッテリロックプレートの移動例えば概して蝶番式ハウジング24の回転軸120に平行の方向の側方移動が対応するフランジの移動を生じるように、第一バッテリロックプレート114に接続される。同様に、ピン152は、第二バッテリロックプレートの移動例えば概して蝶番式ハウジング24の回転軸120に平行の方向の側方移動が対応するピンの移動を生じるように、第二バッテリロックプレート116に接続される。特に、第二ロックプレート116のフランジ116bは、ピン152のスロット152aの中に受け入れられるように構成される。スロット152aの中でフランジ116bを固定するために、第二のピンが第二バッテリロックプレート116のフランジ116bの貫通孔116bを通過するように、第二のピンをピン152の孔152bの中に受け入れることができる。下にさらに詳細に説明するように、第一イジェクトピン158及び第二イジェクトピン160は、それぞれ第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116と協働して、ロックプレートが作動された時に第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bを射出する。
【0036】
バッテリロック機構113の機能については、図6〜11を参照して詳細に説明する。しかし、概して、ロック機構113は、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bを、別個に、それぞれ蝶番式ハウジング24の第一半体108及び第二半体110にロックするように構成される。LVAD10による患者20の心臓30(図1)の循環補助の中断を防止するために、バッテリロック機構113は、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの両方が同時に蝶番式ハウジング24から切断されるのを防止するように作用する。このようにして、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの第一バッテリ74及び第二バッテリ76(図2)は、中断なくポンプに電力が送られるように、それぞれ、LVAD10のポンプ14(図1)の一次電源及び予備電源として機能する。
【0037】
図6〜10は、制御・電源モジュール12の蝶番式ハウジング24に含まれるバッテリロック機構113の実施例の作動を図解する。図6〜11の図解を単純化するために、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bは蝶番式ハウジング24に接続して示されていない。図6A及び6Bは、ロック位置の時の第一バッテリロックプレート114の斜視図及び詳細図であり、ロックプレートは、バッテリパック22aに接続されるように構成される。ロック位置の時、第一バッテリパックは、蝶番ハウジング24から取り外せない。図7A及び7Bは、ロック位置の時の第二バッテリロックプレート116の斜視図及び詳細図であり、ロックプレートは第二バッテリパック22bに接続されるように構成される。ロック位置の時、第二バッテリパックは蝶番式ハウジング24から取り外せない。図8A〜8Cは、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116の両方がロック位置の時の、フランジ150、ピン152、スリーブ154及びボール156の位置を詳細に示す。図9A〜9Cは、第一バッテリパック22aを解除しかつ第二バッテリパック22bが同時に取り外されるのを防止するために作動に対抗して第二バッテリロックプレート116をロックするための第一バッテリロックプレート114の作動を図解する。図10〜10Cは、第二バッテリパック22bを解除しかつ第一バッテリパック22aが同時に取り外されるのを防止するために作動に対抗して第一バッテリロックプレート114をロックするための第二バッテリロックプレート116の作動を図解する。
【0038】
図6A〜8Cは、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの両方が蝶番式ハウジング24に接続された位置にあるバッテリロック機構113を図解する。このバッテリロック機構113の位置において、第一バッテリパック22aあるいは第二バッテリパック22bは、それぞれ第一バッテリロックプレート114あるいは第二バッテリロックプレート116を作動することによって蝶番式ハウジングから取り外せる。図6A及び6Bは、ロック位置にある第一バッテリロックプレート114を示し、特に、後退状態にある第一イジェクトピン158の詳細を示す。後退状態において、第一バッテリパック22aは、ハウジングから射出されず、第一ロックプレートは、ロックプレートを側方へスライドすることによって作動できる。図6A及び6Bにおいて、第一イジェクトピン158は、第一バッテリロックプレート114のフランジ172のスロット170に係合する。図6A及び6Bの位置において、イジェクトピン158は、第一バッテリロックプレート114を側方へ移動できるようにスロット170に係合する。
【0039】
図7A及び7Bは、ロック位置にある第二バッテリロックプレート116を示し、特に、後退状態にある第二イジェクトピン160の詳細を示す。後退状態において、第二バッテリパック22bは、ハウジング24から射出されず、第二バッテリロックプレート116は、プレートを側方へスライドすることによって作動できる。図7Aに及び7Bにおいて、第二イジェクトピン160は、第二バッテリロックプレート116のフランジ176のスロット174に係合する。図7A及び7Bの位置において、第二イジェクトピン160は、第二バッテリロックプレート116を側方へ移動できるようにスロット174に係合する。
【0040】
いくつかの実施例において、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116の一方又は両方は、図6A〜7Bに示されるロック位置へ付勢される。例えば、プレートを側方へ移動してそれによって第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bを解除するよう作動するためには、プレートをロック位置へ付勢するばねに打ち勝ちこれを圧縮する必要があるように、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116にばね荷重を加えることができる。
【0041】
図8A〜8Cは、図6A〜7Bに示すように第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116の両方がロック位置にある時の、フランジ150、ピン152、スリーブ154及びボール156の位置を示す。図8Aは、蝶番式ハウジング24の側面図である。図8Bは、図8Aの線D−Dに沿って見た蝶番式ハウジング24の断面図である。図8Cは、蝶番式ハウジング24の蝶番112に組み込まれたロック機構113の要素の詳細図である。図8A〜8Cにおいて、バッテリロック機構113は、第一バッテリロックプレート114及び第二バッテリロックプレート116と、フランジ150と、ピン152と、スリーブ154と、ボール156と、第一イジェクトピン158及び第二イジェクトピン160とを含む。フランジ150は、第一バッテリロックプレートの移動例えば概して蝶番式ハウジング24の回転軸120に平行の方向の側方移動が対応するフランジの移動を生じるように、第一バッテリロックプレート114に接続される。同様に、ピン152は、第二バッテリロックプレートの移動例えば概して蝶番式ハウジング24の回転軸120に平行の方向の側方移動が対応するピンの移動を生じるように、第二バッテリロックプレート116に接続される。特に、第二ロックプレート116のフランジ116baは、ピン152のスロット152aの中に受け入れられるように構成される。スロット152aの中でフランジ116baを固定するために、第二バッテリロックプレート116のフランジ116aの貫通孔116bを通過するように、第二のピンをピン152の孔152bの中に受け入れることができる。
【0042】
フランジ150は、溝150aを含む。ピン152は、溝152cを含む。最後に、スリーブ154は、スロット154aを含む。溝150a及び152c及びスリーブ154aは、空洞180を形成し、その内部にボール156が配置される。図6A〜8Cの位置において、溝150a及び152c及びスロット154aによって形成された空洞180は、空洞内でボール156が移動するためにある程度の空隙を持つのに充分な大きさである。
【0043】
図9A〜9Cは、第一バッテリパック22aを解除しかつ第二バッテリパック22bが同時に取り外されるのを防止するために作動に対抗して第二バッテリロックプレート116をロックするための第一バッテリロックプレート114の作動を図解する。図9A及び9Bは、それぞれ、第一バッテリロックプレート114が第一バッテリパック22aを解除するために作動された状態の蝶番式ハウジング24の斜視図及び詳細図である。図9Cは、図8Aの線D−Dに沿って見た部分断面図であり、蝶番式ハウジング24の蝶番112に組み込まれたバッテリロック機構113の要素を示す。図9A〜9Cにおいて、第一バッテリロックプレート114は、ロックプレートを側方に移動することによって作動される。第一イジェクトピン158は、ばね荷重を受けたピンが解除されて第一バッテリパック22aを押圧しかつ第一バッテリロックプレートを作動位置にロックするまで、第一バッテリロックプレート114のフランジ172のスロット170に沿ってスライドする。図9Bに詳細に示す第一イジェクトピン158の解除位置において、第一バッテリロックプレート114は、イジェクトピンが押し下げられてスロット170内部でスライドできるようになるまで、側方に移動できない。
【0044】
第一バッテリロックプレート114を側方に移動すると、フランジ150(第一ロックプレートに接続される)は、図9Cに示すように移動する。フランジ150が移動する時、ボール156はスリーブ154のスロット154a及びピン152の溝152cの中へ押し下げられる。フランジ150及びボール156の移動は、ボール156が内部に配置される空洞180のサイズを効果的に減少して、ボール156はピン152を所定の位置にロックする。ピン152を所定の位置にロックすることによって、第二バッテリロックプレート116(スロット152aにおいてフランジ116bを介してピンに接続される)は所定の位置にロックされる。第二バッテリロックプレート116を所定の位置にロックすることによって、第二バッテリパック22bが第一バッテリパック22aと同時に蝶番式ハウジング24から切断されるのを防止する。
【0045】
図10A〜10Cは、第二バッテリパック22bを解除し、かつ第一バッテリパック22aが同時に取り外されるのを防止するために作動に対抗して第一バッテリロックプレート114をロックするための第二バッテリロックプレート116の作動を図解する。図10Aは及び10Bは、それぞれ、第二バッテリロックプレート116が第二バッテリパック22bを解除するために作動された状態の蝶番式ハウジング24の斜視図及び詳細図である。図10Cは、図8Aの線D−Dに沿って見た部分断面図であり、蝶番式ハウジング24の蝶番112に組み込まれたバッテリロック機構113の要素の詳細を示す。図10A〜10Cにおいて、第二バッテリロックプレート116は、ロックプレートを側方に移動することによって作動される。第二イジェクトピン160は、ばね荷重を受けたピンが解除されて第二バッテリパック22bを押圧しかつ第二バッテリロックプレートを作動位置にロックするまで、第二バッテリロックプレート116のフランジ176のスロット174に沿ってスライドする。図10Bに詳細に示す第二イジェクトピン160の解除位置において、第二バッテリロックプレート116は、イジェクトピンが押し下げられてスロット174内部でスライドできるようになるまで、側方に移動できない。
【0046】
第二バッテリロックプレート116を側方に移動すると、ピン152(第二ロックプレートに接続される)は、図10Cに示すように移動する。ピン152が移動する時、ボール156はスリーブ154のスロット154a及びフランジ150の溝150aの中へ押し上げられる。ピン152及びボール156の移動は、ボール156が内部に配置される空洞180のサイズを効果的に減少して、ボール156はフランジ150を所定の位置にロックする。フランジ150を所定の位置にロックすることによって、第一バッテリロックプレート114(フランジに接続される)は所定の位置にロックされる。第一バッテリロックプレート114を所定の位置にロックすることによって、第一バッテリパック22aがピン152及び第二バッテリパック22bと同時に蝶番式ハウジング24から切断されるのを防止する。
【0047】
図6〜10に図解するロック機構113は、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bをそれぞれ蝶番式ハウジング24の第一半体108及び第二半体110に別個にロックするように構成される。LVAD10による患者10の心臓30(図1)の循環補助の中断を防止するために、バッテリロック機構113は、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの両方が同時に蝶番式ハウジング24から切断されるのを防止するように作用する。このように、第一バッテリパック22a及び第二バッテリパック22bの第一バッテリ74及び第二バッテリ76(図2)は、電力が中断なくポンプに送られるように、概して、それぞれLVAD10のポンプ14(図1)のための一次電源及び予備電源として機能する。さらに、フランジ150とピン152とスリーブ154とボール156とを含むロック機構113のロック形態を蝶番式ハウジング24の蝶番112に組み込むことによって、バッテリロック機構は、蝶番式ハウジングの第一半体108及び第二半体110の回転位置に関係なく機能できる。
【0048】
図11は、患者が例えばベルトとして装着するように構成された携帯用制御・電源モジュール200の概略図である。制御・電源モジュール200は、患者が装着するように構成された柔軟性のハウジングを含む携帯用外部装置である。また、制御・電源モジュール200は、2つのバッテリ204、206と、状態指示器208と、ベルト210を含む。バッテリ204、206は、例えばハウジングに形成されたポケットを介して、柔軟性ハウジング202に接続される。ケーブルは、制御・電源モジュール200とインターフェイス接続して、外部モジュールとVADの埋込みポンプ例えば図1のLVAD10のポンプ14との間で電力信号及びその他の信号を通信できる。また、制御・電源モジュール200は、ポンプ、バッテリ204、206及び状態指示器208を含めてVADの様々な要素の作動を制御するように構成された制御電子部品(図11には図示せず)を含む。状態指示器208は、概して、例えばバッテリ204、206の各々に残る残留充電量を含めた情報を患者に与えるために制御・電源モジュール200に組み込まれた視覚的指示器である。制御・電源モジュール200の柔軟性ハウジング202は、例えば患者の腰にベルト210を巻きつけることによって、患者がモジュールを快適に装着できるようにする。別の実施例において、制御・電源モジュール200は、患者の脚又は腕の一方にベルト210を巻きつけることによって、患者が装着できる。
【0049】
柔軟性ハウジング202は、例えば様々な天然及び合成繊維並びに時にスマートマテリアルと呼ばれる材料を含めて、多数の材料から製作できる。概して、スマートマテリアルは、例えば応力、温度、湿度、pH又は電場又は磁場を含めた外的刺激によって制御できる特性を有する材料である。ハウジングの製作に利用できるスマートマテリアルの例は、ニチノールなど形状記憶合金を含む。ニチノールは、患者が例えば脚又は腕にベルト210を巻くことによって制御・電源モジュール200を装着した後、患者20の体温に反応するように構成できる。
【0050】
図12Aは、外部制御・電源モジュール300の実施例の要素を図解する機能ブロック図である。モジュールは、着脱式外部バッテリ302及び非着脱式内蔵予備バッテリ304を含む。図2の制御・電源モジュール12の実施例と同様、外部バッテリ302は、バッテリパック306に組み込める。バッテリパックは状態指示器308も含む。制御・電源モジュール300は、また、ケーブル312に接続されたコネクタ310を含む。ケーブル312は、図1の実施例のケーブル18と同様にVADの埋込みポンプに経皮的に接続できる。制御・電源モジュール300は、例えばプロセッサ314、メモリ316、遠隔計測モジュール316、スイッチ320付きマルチプレクサ320、電力管理モジュール322及び充電器324など様々な電子部品を含む。いくつかの実施例において、制御・電源モジュール300は、患者又は臨床医など介護従事者へ可聴メッセージを発するためにドライバ326によって駆動されるスピーカ324も含む。制御・電源モジュール300の電子部品は、図2を参照して説明した制御・電源モジュール12の電子部品と同様に機能できる。しかし、制御・電源モジュール300は、機械的に第一及び第二の外部バッテリが同時に取り外されるのを防止するのではなく、1つの着脱式外部バッテリ302を一次電源として採用し、非着脱式内蔵バッテリ304を着脱式バッテリ302の充電時にVAD要素の作動を継続するための予備として採用することによって、VADの要素に中断なく電力を供給する。内蔵バッテリ304は、装置の正常な作動時に使用者が取り外して交換するように構成されないという意味で、非着脱式に制御・電源モジュール300に接続される。当然、バッテリ304は、例えば装置を分解して装置の内部回路網から内蔵バッテリ304を切断することによって、制御・電源モジュール300から取り外せる。
【0051】
概して、制御・電源モジュール300は、冗長的かつ連続的作動のために2つの電源を採用する。一次電源は外部バッテリ302であり、バッテリの再充電のために取り外せる。制御・電源モジュール300は、着脱式一次電源としてバッテリ302を含むものとして説明するが、別の実施例において、モジュールはDC又はAC電源用のアダプタを含むことができる。さらに、いくつかの実施例において、制御・電源モジュール300は、装置の第三電源としてDC又はAC外部電源用のアダプタを含むことができる。いくつかの実施例において、外部バッテリ302及び内蔵バッテリ304の両方に優先して第三電源を使用できる。ただし、図12Aの実施例において、制御・電源モジュール300において採用される予備電源は内蔵バッテリ304である。内蔵バッテリは、モジュールから取り外せない。VADに使用するために採用される場合、電力は、主に外部バッテリ302からVADのポンプへ送られる。バッテリ302が枯渇して、取り外して再充電する必要がある場合又は外部バッテリ302が故障した場合、制御・電源モジュール300のプロセッサ314は、スイッチ320を介して自動的に内蔵バッテリ304へ切り替える。外部バッテリ302が使用されている時、予備内蔵バッテリ304をプロセッサ314によって周期的にテストして、内蔵バッテリに残っている充電レベルを測定できる。内蔵バッテリ304が枯渇した場合、プロセッサ314は、外部バッテリ302(又は接続された外部電源)を制御して、充電器324を用いて内臓バッテリを補給できる。第三外部電源例えばDC又はAC外部電源を含む実施例において、第三電源が制御・電源モジュール300に接続された時に、第三電源を用いて外部バッテリ302を充電できる。電力結合体(power union)における消費電力を最小限に抑えながら、例えば外部バッテリ302及び内蔵バッテリ304と一緒に電源を多重化するために、制御・電源モジュール300において理想ダイオードORを採用できる。
【0052】
いくつかの実施例において、外部バッテリ302及び予備内蔵バッテリ304は、同じ又は異なる使用寿命を持つように構成できる。1つの実施例において、外部バッテリ302は、約4時間〜約8時間の間再充電なしで作動するように構成される。別の実施例において、外部バッテリ302は、約6時間に等しい時間再充電なしで作動するように構成される。1つの実施例において、内蔵バッテリ304は、約30分〜約2時間の間再充電なしで作動するように構成される。1つの実施例において、内蔵バッテリ304は、約1時間に等しい時間再充電なしで作動するように構成される。制御・電源モジュール300においてより小型の非着脱式バッテリ304を採用することは、2つの普通サイズの外部バッテリ及び機械的バッテリロック機構の必要をなくすことによって、装置の複雑性及びコストを減少するよう作用する。
【0053】
上述のように、いくつかの実施例において、制御・電源モジュール300は、装置用の第三の電源として外部電源用のアダプタを含むことができる。第三の電源が制御・電源モジュール300の電力に採用される実施例において、装置は、融通性のあるオンボード式充電技術を採用して、装置に接続されたまま外部バッテリ302及び/又は内蔵バッテリ304を充電する能力を使用者に与えることができる。第三電源は、付加的な外部バッテリあるいは例えばDC又はAC外部電源など別の外部電源である。一連の電界効果トランジスタ(FET)又はその他のスイッチは、例えば制御・電源モジュール300のメモリ316に記憶されプロセッサ314によって実行される1つ又はそれ以上のアルゴリズムが、外部バッテリ302が充電されるか内蔵バッテリ304が充電されるかを制御できるようにし、ハードウェアは、装置の他の電源を充電するために採用するために外部バッテリ302又は好ましくは第三電源を選択できる。さらに、どの電源を充電するかを制御するためにプロセッサ314によって実行される同じ又は異なるアルゴリズムは、外部バッテリ302及び内蔵バッテリ304及び第三電源の状態に基づいてバッテリ充電プロフィルも制御できる。
【0054】
図12Bは、融通性のあるオンボード充電を与えるために制御・電源モジュール300において採用できる回路図の例である。図12Bにおいて、3つの電源、すなわち外部バッテリ302、内蔵バッテリ304及び第三外部AC電源328は、充電器回路に接続される。ダイオードORは、充電器への2つの電力入力V_EBATT及びV_ACにおいて実行される。この2つは、例えば外部バッテリ302及び第三外部AC電源328に該当する。充電器は、充電される制御・電源モジュール300のバッテリへの経路を定めるためにFETへ出力VCHGOUTを送る。FETは、プロセッサ314によって制御できる。
【0055】
図12Cは、非蝶番式ハウジング330における制御・電源モジュール300の実施例である。図12Cにおいて、制御・電源モジュール300の外部バッテリ302及び非着脱式内蔵予備バッテリ304(隠れ線で図示)は非蝶番式ハウジング330内に配置される。しかし、外部バッテリ302は、例えばハウジングの片面のベイ(図示せず)を介して外部バッテリを取り外せるように、制御・電源モジュール300に取外し可能に接続される。使用者は、取外し可能なカバー(図示せず)を介してベイにアクセスできる。図1〜10Cに図解し図1〜10Cの実施例を参照して説明した蝶番式設計と同様、制御・電源モジュール300の蝶番式ハウジング330は、約50ミリ〜約90ミリメートルの幅、約80ミリ〜約180ミリメートルの長さ及び約12ミリ〜約25ミリメートルの厚みを持つようなサイズに作ることができる。
【0056】
いくつかの実施例において、本開示に従った外部制御・電源モジュールは、VADの埋込みポンプに電力供給しこれを制御する代わりに、経皮エネルギー伝達システム(TETS)として採用できる。図13は、TETSとして機能する制御・電源モジュール402を含むVAD400の概略図である。VAD400は、制御・電源モジュール402と、コネクタ404と、TETS一次コイル406を含むTETSケーブル405と、TETS二次コイル408と、ポンプ410とを含む。図13において、TETS一次コイル406を含むTETSケーブル405は、制御・電源モジュールから分離され、コネクタ404を介してモジュールに接続される。しかし、他の実施例において、TETS一次コイル406は、制御・電源モジュール402に組み込める。制御・電源モジュール402は、経皮ケーブル412を介して埋込みポンプ410に接続される。経皮ケーブル412は、患者の身体の切開部を通過できる。また、患者体内にはTETS二次コイル408も埋め込まれる。図13にはポンプとは別個の要素としてTETS二次コイル408を持つVAD400を図解するが、別の実施例においては、TETS二次コイルはポンプ410に組み込める。
【0057】
いくつかの実施例において、制御・電源モジュール402は、埋込みポンプ410を駆動する電動モーターを制御するために3相ブリッジを採用できる。モジュール402に採用されるこれらのハーフブリッジの2つ又は3つは、TETSケーブル405に含まれるTETS一次コイル406へ電力を送ることができる。制御・電源モジュール402のいくつかの例において、3相ブリッジは、ポンプ410のモーターの電流振幅及び位相を感知するように構成できる。TETSケーブル405を従って一次コイル406を患者の皮膚表面に配置することによって、一次コイルを皮膚の下のTETS内部二次コイル408に誘導結合する。一次コイル406から二次コイル408へ伝達された電力は、二次コイル、ポンプ410又はその他の装置に含まれる回路網によって条件付けることができる。TETS一次コイル406と二次コイル408との間でRFリンクあるいは誘導結合を利用する制御フィードバックループを採用して、例えば一次コイルの電流と二次コイルの電圧との間の関係を利用することによって、一次コイルの回路網を調整できる。
【0058】
本開示において説明する実施例によるVADは、上記の特徴の他に、無線エネルギー伝達要素及び技法を採用できる。例えば、充電パッドからバッテリへ、バッテリから外部VADコントローラへ及びバッテリから患者体内に埋め込まれたVADコントローラへのエネルギー伝達を含めて、VADシステムにおける無線エネルギー伝達の形態はいくつもある。しかし、概して、本開示によるVADにおける無線エネルギー伝達は、一次すなわちエネルギーソースにおいてドライバ及び/又はタンク回路を、二次すなわちエネルギーシンクにおいてタンク回路及び整流器を、及び誘導結合あるいはRFリンクを介して二次から一次への制御フィードバック信号を採用することによって得られる。このような無線エネルギー伝達技術は、使用者の便宜の向上、主要な感染源の排除、防水性及び信頼性を含めて利点を与えることができる。
【0059】
上記の実施例は、VADに採用される制御・電源モジュールに関する多数の概念を開示する。開示する実施例は、場合によって制御・電源モジュール又は他のVAD要素の特定の物理的及び/又は論理的実施形態に関して説明されるが、これらの明白に説明されるもの以外の組合せが可能である。例えば、図1〜10Cにおいて図解し図1〜10Cの2つの外部バッテリを持つ制御・電源モジュールに関連して説明する蝶番式ハウジング設計は、図12A及び12Bの実施例のように、1つの外部バッテリ及び1つの内蔵バッテリを持つ制御・電源モジュールにおいて実現できる。同様に、図12Cの非蝶番式ハウジング設計は、図12A及び12Bの外部バッテリ及び内蔵バッテリ設計に関連して説明されるが、図1〜10Cに図解し図1〜10Cの実施例を参照して説明するように、2つの外部バッテリを持つ制御・電源モジュールにおいて実現できる。
【0060】
VADの制御電子部品によって実行される機能に関して本開示において説明する技法は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はその任意の組合せ体において実現できる。例えば、説明される技法の様々な形態は、1つ又はそれ以上のマイクロプロセッサを含めて1つ又はそれ以上のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲート配列(FPGA)又は他の同等の集積又は離散的論理回路並びに前記の要素の任意の組合せ内部で実現できる。「プロセッサ」又は「プロセッサ回路網」と言う用語は、概して、上記の論理回路網のいずれかを、単独で又は他の論理回路網と組み合わせて、又は他の同等の回路網を意味することができる。ハードウェアを備える制御ユニットも、本開示の技法の1つ又はそれ以上を実施できる。
【0061】
前記のハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアは、本開示において説明する様々な作動及び機能を支援するために同一の装置内又は別個の装置内で実現できる。さらに、説明するユニット、モジュール又は要素のいずれも、一緒に、又は離散的であるが相互作動可能な論理デバイスとして別個に、実現できる。異なる機構をモジュール又はユニットとして説明するのは、異なる機能面を強調するためであり、必ずしも前記のモジュール又はユニットを別個のハードウェア又はソフトウェア要素によって実現しなければならないことを意味しない。1つ又はそれ以上のモジュール又はユニットと関連付けられる機能性は、別個のハードウェア又はソフトウェア要素によって実施されるか、又は共通の又は別個のハードウェア又はソフトウェア要素の中に組み込める。
【0062】
本開示において説明するいくつかの技法は、コンピュータ読込み可能な記憶媒体など命令を含むコンピュータ読込み可能な媒体において組み込み又はコード化できる。コンピュータ読込み可能な媒体に組み込まれた又はコード化された命令は、例えば命令が実行される時、プログラマブルプロセッサ又は他のプロセッサに方法を実施させることができる。コンピュータ読込み可能記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、消去プログラム可能ROM(EPROM)、電子的消去プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、磁気媒体、光学媒体又はその他のコンピュータ読込み可能媒体を含むことができる。
【0063】
以上、様々な実施例について説明した。これらの及びその他の実施例は、以下の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電源と、
第二電源と、
前記第一電源と前記第二電源との間に配置されかつ前記第一電源及び前記第二電源を受け入れるように構成された蝶番式ハウジングと、
前記蝶番式ハウジング内に配置された制御電子部品と、を備える、機械的循環補助システムのための携帯用外部装置。
【請求項2】
さらに前記制御電子部品に電気的に接続されかつ前記蝶番式ハウジングに結合されたコネクタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コネクタが少なくとも1本の細長い電気ケーブルを受け入れるように構成されて、前記少なくとも1本の細長い電気ケーブルが前記蝶番式ハウジングにおいて前記コネクタから前記蝶番式ハウジングの回転軸に実質的に直角を成す経路に沿って延びることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コネクタが、前記コネクタが前記蝶番式ハウジングに対して回転できるように、前記蝶番式ハウジングに回転可能に結合されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記コネクタが前記蝶番式ハウジングの回転軸の周りを二次元的に回転できることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コネクタが前記蝶番式ハウジングに対して三次元的に回転できることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記コネクタが、前記コネクタが前記第一電源又は前記第二電源の一方と一緒に回転するように、前記蝶番式ハウジングに結合されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記制御電子部品が、前記第一電源又は前記第二電源の一方に近接して前記蝶番式ハウジング内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御電子部品が、前記第一電源及び前記第二電源からほぼ等距離に前記蝶番式ハウジングの蝶番内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記蝶番式ハウジングが、
前記第一電源又は前記第二電源の一方を受け入れるように構成された第一半体と、
前記第一電源又は前記第二電源の他方を受け入れるように構成された第二半体と、
前記第一半体及び前記第二半体によって受け入れられたヒンジピンと、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ヒンジピンが細長い管状ピンを備え、その内部に、前記制御電子部品の少なくとも一部、又は前記制御電子部品、前記第一電源又は前記第二電源の少なくとも1つに接続された少なくとも1本の電線管、の少なくとも1つが受け入れられることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ヒンジピンが、前記第一半体又は前記第二半体の少なくとも一方に対して回転するように構成されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
さらに、前記携帯用外部装置から遠隔に配置されたディスプレイ装置と無線で通信するように構成された遠隔計測モジュールを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記遠隔計測モジュールが、ディスプレイ装置と無線周波数で通信するように構成されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記遠隔計測モジュールが、802.11、Bluethooth、Bluetooth Low Energy、MICS又はIRDA規格の少なくとも1つによるRFを介してディスプレイ装置と無線で通信するように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記蝶番式ハウジングが、前記第一電源と前記第二電源の相対的回転を許容しかつ前記蝶番式ハウジングへの物質の進入を実質的に阻止するように構成された少なくとも1つのヒンジシールを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ヒンジシールがガータばねシールを備えることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ガータばねシールが傾角コイルばねを備えることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記蝶番式ハウジングが、
前記第一電源又は前記第二電源の一方を受け入れるように構成された第一半体と、
前記第一電源又は前記第二電源の他方を受け入れるように構成された第二半体と、
前記第一半体及び前記第二半体によって受け入れられたヒンジピンと、
を備え、
前記ガータばねシールが前記ヒンジピンと前記第一半体及び第二半体との間の境界面において前記ヒンジピンの外面を取り囲むことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記蝶番式ハウジングが前記第一電源及び前記第二電源の各々を別個に前記蝶番式ハウジングにロックするように構成されたロック機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記ロック機構が、前記第一電源及び前記第二電源の両方が同時に前記蝶番式ハウジングから切断されるのを防止することを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第一電源及び前記第二電源の少なくとも一方がバッテリを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第一電源が第一バッテリを備え、かつ前記第二電源が第二バッテリを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第一バッテリ及び前記第二バッテリが前記蝶番式ハウジングに接続されて、二枚貝形組立体を形成し、前記二枚貝形組立体が、相互にほぼ平行の積重ね関係になるように前記第一バッテリと前記第二バッテリを折り畳み、かつ前記積重ね関係から前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの各々が前記蝶番式ハウジングから反対方向に延びる相互にほぼ同平面の関係になるように前記第一バッテリと前記第二バッテリを回転させるように構成されることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第一バッテリ又は前記第二バッテリの少なくとも一方がリチウムイオン(Li−ion)、リチウムポリマー(Lipoly)、ニッケル水素(NiMH)又はニッケルカドミウム(NiCd)電池を備えることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記携帯用外部装置が、約50ミリ〜約90ミリメートルの幅、約80ミリ〜約180ミリメートルの長さ及び約12ミリ〜約25ミリメートルの厚みを持つように、前記第一バッテリと前記第二バッテリが、前記ほぼ平行の積重ね関係に配置されることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
埋込みポンプと、
携帯用外部装置であって、
第一電源と、
第二電源と、
前記第一電源と前記第二電源との間に配置されかつ前記第一電源及び前記第二電源を受け入れるように構成された蝶番式ハウジングと、
前記蝶番式ハウジング内に配置された制御電子部品と、を備える携帯用外部装置と、を備え、
前記第一電源及び前記第二電源の少なくとも一方が前記埋込みポンプへ電力供給するように構成される、機械的循環補助システム。
【請求項28】
さらに前記制御電子部品に電気的に接続されかつ前記蝶番式ハウジングに結合されたコネクタを備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コネクタが少なくとも1本の細長い電気ケーブルを受け入れるように構成されて、前記少なくとも1本の細長い電気ケーブルが前記蝶番式ハウジングにおいて前記コネクタから前記蝶番式ハウジングの回転軸に実質的に直角を成す経路に沿って延びることを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記コネクタが、前記コネクタが前記蝶番式ハウジングに対して回転できるように、前記蝶番式ハウジングに回転可能に結合されることを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記コネクタが前記蝶番式ハウジングの回転軸の周りを二次元的に回転できることを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記コネクタが前記蝶番式ハウジングに対して三次元的に回転できることを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記コネクタが、前記コネクタが前記第一電源又は前記第二電源の一方と一緒に回転するように、前記蝶番式ハウジングに結合されることを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御電子部品が、前記第一電源又は前記第二電源の一方に近接して前記蝶番式ハウジング内に配置されることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御電子部品が、前記第一電源及び前記第二電源からほぼ等距離に前記蝶番式ハウジングの蝶番内に配置されることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項36】
前記蝶番式ハウジングが、
前記第一電源又は前記第二電源の一方を受け入れるように構成された第一半体と、
前記第一電源又は前記第二電源の他方を受け入れるように構成された第二半体と、
前記第一半体及び前記第二半体によって受け入れられたヒンジピンと、を備えることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項37】
前記ヒンジピンが細長い管状ピンを備え、その内部に、前記制御電子部品の少なくとも一部、又は前記制御電子部品、前記第一電源又は前記第二電源の少なくとも1つに接続された少なくとも1本の電線管、の少なくとも1つが受け入れられることを特徴とする、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記ヒンジピンが、前記第一半体又は前記第二半体の少なくとも一方に対して回転するように構成されることを特徴とする、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
さらに、前記携帯用外部装置から遠隔に配置されたディスプレイ装置と無線で通信するように構成された遠隔計測モジュールを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記遠隔計測モジュールが、ディスプレイ装置と無線周波数で通信するように構成されることを特徴とする、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記遠隔計測モジュールが、802.11、Bluethooth、Bluetooth Low Energy、MICS又はIRDA規格の少なくとも1つによるRFを介してディスプレイ装置と無線で通信するように構成されることを特徴とする、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記蝶番式ハウジングが、前記第一電源と前記第二電源の相対的回転を許容しかつ前記蝶番式ハウジングへの物質の進入を実質的に阻止するように構成された少なくとも1つのヒンジシールを備えることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項43】
前記ヒンジシールがガータばねシールを備えることを特徴とする、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記ガータばねシールが傾角コイルばねを備えることを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記蝶番式ハウジングが、
前記第一電源又は前記第二電源の一方を受け入れるように構成された第一半体と、
前記第一電源又は前記第二電源の他方を受け入れるように構成された第二半体と、
前記第一半体及び前記第二半体によって受け入れられたヒンジピンと、
を備え、
前記ガータばねシールが前記ヒンジピンと前記第一半体及び第二半体との間の境界面において前記ヒンジピンの外面を取り囲むことを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記蝶番式ハウジングが前記第一電源及び前記第二電源の各々を別個に前記蝶番式ハウジングにロックするように構成されたロック機構を備えることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項47】
前記ロック機構が、前記第一電源及び前記第二電源の両方が同時に前記蝶番式ハウジングから切断されるのを防止することを特徴とする、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記第一電源及び前記第二電源の少なくとも一方がバッテリを備えることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項49】
前記第一電源が第一バッテリを備え、かつ前記第二電源が第二バッテリを備えることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項50】
前記第一バッテリ及び前記第二バッテリが前記蝶番式ハウジングに接続されて、二枚貝形組立体を形成し、前記二枚貝形組立体が、相互にほぼ平行の積重ね関係になるように前記第一バッテリと前記第二バッテリを折り畳み、かつ前記積重ね関係から前記第一バッテリ及び前記第二バッテリの各々が前記蝶番式ハウジングから反対方向に延びる相互にほぼ同平面の関係になるように前記第一バッテリと前記第二バッテリを回転させるように構成されることを特徴とする、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記第一バッテリ又は前記第二バッテリの少なくとも一方がリチウムイオン(Li−ion)、リチウムポリマー(Lipoly)、ニッケル水素(NiMH)又はニッケルカドミウム(NiCd)電池を備えることを特徴とする、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記携帯用外部装置が、約50ミリ〜約90ミリメートルの幅、約80ミリ〜約180ミリメートルの長さ及び約12ミリ〜約25ミリメートルの厚みを持つように、前記第一バッテリと前記第二バッテリが、前記ほぼ平行の積重ね関係に配置されることを特徴とする、請求項50に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−521066(P2013−521066A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556268(P2012−556268)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027258
【国際公開番号】WO2011/109747
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(512229894)ミネトロニクス インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】