説明

機械部品の洗浄装置

【目的】 バスケットを水平方向に搬入、搬出できるようにし、併せてバケットが縦方向に短かく成形でき、部品のバスケットに対する搬入、搬出を容易すること。
【構成】 水平なレール5と、レール上を走行する台車9と、台車上に水平方向又は垂直方向に回転自在に配設したバスケット22,25と、バスケットの搬入出用駆動シリンダ19と、台車の枠体10の端部に枢着した駆動アーム20と、駆動アームの先端と駆動シリンダの先端との間に枢着された連結リンク21とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油等で汚れた機械部品を一度に多数洗浄できる機械部品の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の洗浄装置として、例えば、実開平1−69691号公報に開示されたものが開発されている。
【0003】この洗浄装置はバケット内にバスケットが上下移動自在に配設され、バスケットは多数の機械部品を収容しながら水平方向に回転し、バスケットの外部からノズルを介して洗浄液が噴射されるようにしたものである。
【0004】この為、水平回転するバスケット内の機械部品が洗浄液で洗浄される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の機械部品の洗浄装置では、次のような問題点がある。
【0006】即ち、バスケットの搬入、搬出はバケット内で縦方向に行なう為に、操作力が大きくなり、しかもバスケットを収容するバケットが縦方向に長くなり、機械部品のバスケットに対する搬入、搬出作業が困難で面倒である不具合がある。
【0007】そこで、本発明の目的は、バスケットを水平方向に搬入、搬出できるようにし、併せてバケットが縦方向に短かく成形でき、部品のバスケットに対する搬入、搬出を容易にできる機械部品の洗浄装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の構成は水平なレールと、レール上を走行する台車と、台車上に水平方向又は垂直方向に回転自在に配設したバスケットと、バスケットの搬入出用駆動シリンダと、台車の枠体の端部に枢着した駆動アームと、駆動アームの先端と駆動シリンダの先端との間に枢着された連結リンクとからなることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】第1のシャフトの上端に結合手段が設けられているから、この結合手段を介して水平方向に回転するバスケットと、垂直方向に回転するバスケットの駆動機構を選択的に結合できる。
【0010】クラッチ機構を介して第2のシャフトを駆動源に接続すると第2のシャフトとベベルギャを介して第1のシャフトが回転し、第1のシャフトの回転力が結合手段を介して水平方向に回転するバスケット又は垂直方向に回転するバスケットに伝達される。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。
【0012】ポンプとタンク等を収容したハウジング6上に中空なバケット1が配設され、バケット1上にはミスト回収機を収容したハウジング7が配置されている。
【0013】バケット1はバスケット収容部2と、台車収容部3とを有し、バスケット収容部2の側部には開口部を開閉するシャッター4が上下移動自在に配設され、シャッター4を開いた時台車を搬入、搬出できるようになっている。
【0014】バスケット収容部2の底部と、台車収容部3の底部間には二本の水平なレール5,5が敷設され、このレール5,5上に車輪8,8を介して台車9が走行自在に配置されている。
【0015】台車9は板状の枠体10と、枠体10の四ケ所に設けた車輪8,8とからなっている。
【0016】台車の枠体10には縦方向に第1のシャフト11が回転自在に挿入され、当該第1のシャフト11の上端には結合手段たるシャフト12が形成され、下端にはベベルギャ13が設けられている。
【0017】シャフト12には複数の縦溝が形成されて、後述する水平方向のバスケット又はウォームホイールもしくはスパイラルギャにスプライン結合して回転力を伝達すると共に、これらの部材を着脱自在に交換できるようになっている。結合手段は図示のものに限定されるものではない。
【0018】台車の枠体10下部にはブラケット14を介して枠体10に沿う第2のシャフト15が回転自在に設けられ、この第2のシャフト15の先端に設けたベベルギャ16は前記第1のシャフト11側のベベルギャ13に噛み合っている。
【0019】第2のシャフト15の後端にはクラッチ機構17が設けられ、このクラッチ機構17を介して回転駆動源たるチェーンスフムロケット18に着脱自在に結合されるようになっている。
【0020】バケット1内にはチューブとピストンロッドとからなる油圧又は空圧の搬入出用駆動シリンダ19が起立し、台車9の枠体10の後部には駆動アームの下部が枢着され、シリンダ19のピストンロッド上端と駆動アーム20の上端との間には連結リンク21の端部が枢着されている。
【0021】図1、図2はバケット1内に水平方向に回転するバスケット22を回転自在に配置した実施例を示す。
【0022】バスケット22は網目状の容器23と、容器23の下端に設けた板状枠体24とからなり、枠体24には結合手段たる溝が形成され、この溝内に前記のシャフト12が着脱自在に結合されている。
【0023】バスケット22の容器23内には洗浄用の機械部品が収容されている。
【0024】バケット1内にはいろいろな方向から容器23方向に向けて洗浄水を噴射するノズルが設けられている。
【0025】容器23の中央には上方から洗浄水供給用のパイプとノズルを差し込んでもよい。
【0026】次に図1、図2の実施例の作動について述べる。
【0027】図1の状態から、シリンダ19を伸長すると、連結リンク21と駆動アーム20が反時計方向に回動し、台車9を図1において右方向に押し、レール5と車輪8を介して台車9とバスケット22がバケット1の外部に搬出される。
【0028】この状態でバスケット22の容器20内に機械部品を入れ、シリンダ19を圧縮すると、前記逆に連結リング21と駆動アーム20が時計方向に回動し、台車9とバスケット22が再びバケット1内に搬入される。
【0029】台車9が後部まで移動した時、第2のシャフト15はクラッチ機構17を介してチエーンスプロケット18の駆動軸に連結される。
【0030】この為、モータ等でチエーンスプロケット18が回転すると第2のシャフト15が回転し、この第2のシャフト15の回転力はベベルギャ13,16で第1のシャフト11の水平方向の回転に変換され、第1のシャフト11が回転すると結合手段たるシャフト12を介してバスケット22を水平方向に回転する。
【0031】バスケット22が回転中はいろいろな方向からノズルより洗浄水がバスケット22内に噴射され、汚れた内部の機械部品を洗浄する。
【0032】洗浄が終了したとき、再びバスケット22を外部に搬出し、上記の作業をくり返す。
【0033】図3、図4はバスケットを垂直方向に回転するものに交換した実施例を示す。
【0034】台車9と、台車9の駆動機構は図1の実施例と同じものを使用し、結合手段たるシャフト12にウォームホイール又はスパイラルギャを交換して取り付けるものである。
【0035】垂直方向に回転するバスケット25は両側の円盤フレーム26に架設され網目状の円筒又は六角形容器27がらなり、バスケット25はフレーム26,26を介して4つのローラ28で垂直方向に回転自在に支持されている。
【0036】ローラ28は水平フレーム29の前後に四ケ所設けられ、この水平フレーム29にはブラケット30,30を介して左右方向に延びる回転自在なウォーム軸31が回転自在に設けられいてる。
【0037】ウォーム軸31の左端にはウォームホイール32又はスパイラルギャがギャ結合されている。
【0038】ウォームホイール32の中心又はスパイラルギャは台車9側の第1のシャフト11に設けた結合手段たるシャフト12に着脱自在にスパイラル結合され、第1のシャフト11の回転力がシャフト12を介してウォームホイール32又はスパイラルギャに伝達され、更にウォームホイール32又はスパイラルギャの回転力がウォーム軸31の垂直方向の回転力に変換される。
【0039】ウォーム軸31の右端にはチエーンスプロケット33が結合され、このチエーンスプロケット33にはバスケット25の一方のフレーム26外周に設けたチエーン34に噛合している。
【0040】この為、図1の実施例と同じように、台車9を介してバスケット25がバケット1内に搬入され、又はバケット1外に搬出される。
【0041】そして、駆動源で第1のシャフト11と結合手段たるシャフト12が回転するとウォームホイール32又はスパイラルギャが回転し、更にウォーム軸31とチェーンスプロケット33が垂直方向に回転する。
【0042】チエーンスプロケット33の回転力はチエーン34を介してフレーム26と容器27に伝達され、バスケット25はローラ28に支持されながら垂直方向に回転する。
【0043】バケット1内には洗浄水供給用のノズル35がいろいろな方向に設けられ、垂直方向に回転するバスケット27内に放射方向から洗浄水を供給し、バスケット25内の機械部品を洗浄する。
【0044】バスケット25の容器27は垂直方向に回転するから内部の機械部品は複雑に転倒するため、例えば密着しているワッシャのような薄板状の部品を分離するから、全ての部品を全面から洗浄できる。
【0045】又、カップ状の部品であってもこれがいろいろな方向に転倒するから外面と内面を確実に洗浄でき、内部に洗浄水が残っていても洗浄水の供給を停止した後に一定時間バスケット25を引き続き回転することにより、この残留する洗浄水を除去できる。
【0046】この為、カップ状の部品を外部に取り出したとき、洗浄水があふれて洗浄装置や工場内を汚すことが無い。
【0047】図5はバスケット25の内部からも洗浄水を供給できるようにした実施例を示す。
【0048】即ち、フレーム26の中央に孔36を設け、この孔36を介して洗浄液用パイプ37とエアー用パイプ38を水平に挿入させ、各パイプ37,38のノズル39よりそれぞれ洗浄液とエアーを容器27内に噴射して洗浄効率を上げるものである。
【0049】その他の構成、作用は図3の実施例と同じである。
【0050】図6は垂直方向に回転するバスケットの台車に取り付ける取り付け機構の実施例を示す。
【0051】即ち、バスケット25の水平フレーム29aにギャ32aの基端を結合し、このギャ32aの下部中央を結合手段たるシャフト12に対して着脱自在にスプライン結合している。
【0052】水平フレーム29aにはブラケット30を介してギャシャフト31aが水平に設けられ、このギャシャフト31aの一端はベベルギャ31bを介してギャ32aに噛合し、他端にはチエーンスプロケット33が設けられている。
【0053】水平フレーム29aはブラケット29bを介して台車9の枠体10の外部に着脱自在にボルト結合されている。
【0054】この場合もギャ32aに水平方向の回転力が伝達されるとベベルギャ31bを介してギャシャフト31aに垂直方向の回転力が伝達され、更にチエーンスプロケット33とチエーン34を介してバスケット25の容器27を垂直方向に回転する。
【0055】その他の構造、作用は図3の実施例と同じである。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。
【0057】1)台車がレール上を水平に走行するから台車とバスケットとが安定する。
【0058】2)台車が水平方向に走行するから台車の搬入、搬出用の駆動シリンダの操作力が小さくて済む。
【0059】3)バケットが水平方向に搬出、搬入されるから機械部品の出入れが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水平方向に回転するバスケットを取り付けた状態の洗浄装置の縦断側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】垂直方向に回転するバスケットを取り付けた状態の洗浄装置の縦断側面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】バスケットの内部にノズルを設けた例を示すバスケットの斜視図である。
【図6】台車に対する垂直方向に回転するバスケットの取り付け構造の他の実施例を示す一部切欠き正面図である。
【符号の説明】
5 水平なレール
9 台車
10 枠体
19 シリンダ
20 駆動アーム
21 連結リンク
22,25 バスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平なレールと、レール上を走行する台車と、台車上に水平方向又は垂直方向に回転自在に配設したバスケットと、バスケットの搬入出用駆動シリンダと、台車の枠体の端部に枢着した駆動アームと、駆動アームの先端と駆動シリンダの先端との間に枢着された連結リンクとからなる機械部品の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平6−114348
【公開日】平成6年(1994)4月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−286672
【出願日】平成4年(1992)10月1日
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)