説明

機能性食品

【課題】十分な還元力を有し、摂取しやすく、消化器官に優しい機能性食品を提供する。
【解決手段】酸性の抗酸化物質であるアスコルビン酸粉末(「L−アスコルビン酸100M」 BASF社製)89.03重量%、塩基性の抗酸化物質である水素吸蔵サンゴカルシウム粉末(「水素吸蔵サンゴ末」 健康水素協会製)4.69重量%、植物発酵エキス末(機能性食品開発研究所製)2.34重量%、菜種硬化油2.34重量%、ローズヒップ(日本粉末薬品社製)1.18重量%、有機ゲルマニウム(オキシジン社製)0.42重量%を混合することによって機能性食品を製造し、この機能性食品426.8mgを1つのカプセルに充填した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抗酸化作用を備えた機能性食品、特に、還元力が強く、服用しやすい機能性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
高い反応性を有している活性酸素は、細胞内においてミトコンドリアによる酸化的エネルギー代謝や、薬物代謝などに伴って生成されるだけでなく、ストレス、紫外線、喫煙、食品添加物、飲酒、激しい運動等によって体内で生成されるので、活性酸素が体内において過剰生成されると、その強力な酸化力によって体内を酸化し、生活習慣病やがん等の深刻な現代病を引き起こすことが知られている。
【0003】
従って、近年は、健康のために、活性酸素を還元して無害化する、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)や水素吸蔵サンゴカルシウム粉末等の抗酸化物質を含む機能性食品を摂取する人が増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−22356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、アスコルビン酸は、酸化還元電位が+電位で還元力が弱いので、十分な抗酸化力を確保しようとすると多量に摂取しなければならないが、アスコルビン酸の粉末はpHが2〜3程度と強酸性であり、酸っぱすぎて飲みにくいと共に、飲み続けると胃等の消化器官を刺激して荒すので、胃等の消化器官が痛くなったり、吐き気や下痢等の症状がでるおそれがある。
【0006】
一方、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末は、酸化還元電位が−電位で還元力が強いので、多量に摂取する必要はないが、pHが12程度と強塩基性であり、摂取しすぎると、胃が痛くなったり、吐き気や下痢等の症状がでたりするおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、十分な還元力を有し、摂取しやすく、消化器官に優しい機能性食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、抗酸化物質を含有する機能性食品であって、pHが3〜10、標準水素電極を比較電極とした酸化還元電位が−10mV以下に調整されていることを特徴とする機能性食品を提供するものである。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の機能性食品において、酸性の抗酸化物質と塩基性の抗酸化物質とを混合することによって、pH及び酸化還元電位を調整したことを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の機能性食品において、酸性の抗酸化物質として、アスコルビン酸粉末を使用し、塩基性の抗酸化物質として、水素吸蔵カルシウム粉末を使用したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1に係る発明の機能性食品は、標準水素電極を比較電極とした酸化還元電位が−10mV以下に調整されているので、十分な抗酸化力を確保するために多量に摂取する必要がなく、しかも、pHが3〜10に調整されているので、飲みやすく、胃等の消化器官が痛くなったり、吐き気や下痢等の症状がでるおそれもない。
【0012】
特に、請求項2に係る発明の機能性食品は、一般的に還元力が弱い、酸性の抗酸化物質と、一般的に還元力が強い、塩基性の抗酸化物質とを混合することによって、pH及び酸化還元電位を調整したので、抗酸化物質以外の酸性物質と塩基性の抗酸化物質とを混合する場合に比べて、酸化還元電位の低下を抑えつつ、pHの調整を効率よく行うことができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明の機能性食品は、酸性の抗酸化物質として、廉価なアスコルビン酸粉末を使用すると共に、塩基性の抗酸化物質として、還元力の強いものを入手可能な水素吸蔵カルシウム粉末を使用しているので、原料コストを抑えつつ、酸化還元電位及びpHの調整を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の機能性食品について、表1を参照して説明するが、本発明の機能性食品はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0015】
(実施例1)
酸性の抗酸化物質であるアスコルビン酸粉末(「L−アスコルビン酸100M」 BASF社製)91.85重量%、塩基性の抗酸化物質である水素吸蔵サンゴカルシウム粉末(「水素吸蔵サンゴ末」 健康水素協会製)1.87重量%、植物発酵エキス末(機能性食品開発研究所製)2.34重量%、菜種硬化油2.34重量%、ローズヒップ(日本粉末薬品社製)1.18重量%、有機ゲルマニウム(オキシジン社製)0.42重量%を混合することによって機能性食品を製造し、この機能性食品426.8mgを1つのカプセルに充填した。
【0016】
(実施例2)
アスコルビン酸粉末の配合量が89.03重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が4.69重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0017】
(実施例3)
アスコルビン酸粉末の配合量が83.18重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が10.54重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0018】
(実施例4)
アスコルビン酸粉末の配合量が82.01重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が11.71重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0019】
(実施例5)
アスコルビン酸粉末の配合量が80.83重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が12.89重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0020】
(実施例6)
アスコルビン酸粉末の配合量が14.29重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が79.43重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0021】
(実施例7)
アスコルビン酸粉末の配合量が10.54重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が83.18重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0022】
(実施例8)
アスコルビン酸粉末の配合量が8.20重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が85.52重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0023】
(実施例9)
アスコルビン酸粉末の配合量が6.56重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が87.16重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0024】
(比較例1)
酸性の抗酸化物質であるアスコルビン酸粉末(「L−アスコルビン酸100M」 BASF社製)93.72重量%、植物発酵エキス末(機能性食品開発研究所製)2.34重量%、菜種硬化油2.34重量%、ローズヒップ(日本粉末薬品社製)1.18重量%、有機ゲルマニウム(オキシジン社製)0.42重量%を混合することによって製造し、この機能性食品426.8mgを1つのカプセルに充填した。
【0025】
(比較例2)
アスコルビン酸粉末の配合量が4.68重量%、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が89.04重量%である点を除いて、他の混合成分の配合量は実施例1と同一である。
【0026】
(比較例3)
アスコルビン酸粉末に替えて、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末93.72重量%を配合した点を除いて、他の混合成分の配合量は比較例1と同一である。
【0027】
【表1】

【0028】
上述した実施例1〜9及び比較例1〜3で得られたそれぞれの機能性食品について、pH、酸化還元電位を測定し、それぞれの結果を表2に示すと共に、消化器官への影響について、表2に示した。
【0029】
[pH及び酸化還元電位の測定]
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られた1カプセルに充填された機能性食品(426.8mg)を純水(15ml)に溶解させた状態で、pH及び酸化還元電位を測定すると共に、各実施例及び各比較例において、1カプセル(426.8mg)中に配合したアスコルビン酸粉末単体及び水素吸蔵サンゴカルシウム粉末単体の同一量を純水(15ml)にそれぞれ溶解させた状態で、酸化還元電位を測定した。なお、酸化還元電位については、標準水素電極を比較電極として測定した。
【0030】
[消化器官への影響]
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られた機能性食品1カプセル分(426.8mg)を、1日1回、30日間実際に摂取して頂き、胃が痛くなったか否かを聞き取り調査し、表2には、「胃が痛くなった人の人数/機能性食品を摂取頂いた人の総人数」として表示した。
【0031】
【表2】

【0032】
表2から分かるように、pHが2.95〜10.25に調整されている実施例1〜9の機能性食品を摂取した人の中に、胃が痛くなった人はいなかったが、pHが2.35、酸化還元電位が+162mVである比較例1やpHが11.43、酸化還元電位が−401mVである比較例2、pHが12.61、酸化還元電位が−238mVである比較例3の機能性食品を摂取した人の中には、胃が痛くなった人が何人かいた。
【0033】
このように、酸化還元電位は、マイナス値が大きい方が還元力が大きいので、−10mV以下であれば、その絶対値(マイナス値)が大きい方が望ましいが、胃等の消化器官への影響を考慮すると、pH値の範囲を3〜10に設定しておく必要があり、好ましくは、3〜5.5、より好ましくは、3〜4の範囲に調整しておくことが望ましい。
【0034】
また、表2から分かるように、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末にアスコルビン酸粉末を混合した実施例1〜9及び比較例2のうち、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末の配合量が極めて少ない実施例1を除いて、アスコルビン酸粉末の還元電位がプラスであるにもかかわらず、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末にアスコルビン酸粉末を混合すると、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末単体の場合に比べて、還元電位が極端に低下(マイナス値が増大)しており、還元力が大きくなっている。従って、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末単体で摂取するよりも、水素吸蔵サンゴカルシウム粉末にアスコルビン酸粉末を混合した状態で摂取するほうが、還元力の面からも有効である。
【0035】
なお、上述した各実施例では、酸性の抗酸化物質としてアスコルビン酸粉末を、塩基性の抗酸化物質として水素吸蔵サンゴカルシウム粉末を使用したが、必ずしも、抗酸化物質として、酸性及び塩基性の双方を使用する必要はなく、pHが3〜10、標準水素電極を比較電極とした酸化還元電位を−10mV以下に調整することができるのであれば、塩基性の抗酸化物質だけを使用してもよく、酸性の抗酸化物質だけを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、抗酸化作用を備えた機能性食品として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化物質を含有する機能性食品であって、
pHが3〜10、標準水素電極を比較電極とした酸化還元電位が−10mV以下に調整されていることを特徴とする機能性食品。
【請求項2】
酸性の抗酸化物質と塩基性の抗酸化物質とを混合することによって、pH及び酸化還元電位を調整した請求項1に記載の機能性食品。
【請求項3】
酸性の抗酸化物質として、アスコルビン酸粉末を使用し、
塩基性の抗酸化物質として、水素吸蔵カルシウム粉末を使用した請求項2に記載の機能性食品。