説明

止めピン

【課題】
本発明が解決しようとする課題は、靴、ネクタイ、ベルトやバンド等、主に紐状のものを挟持し固定する場合に、抜けにくい形状の止めピンを提供することを課題とする。
【解決手段】
平板の中央部付近に平行に2本の溝を設けて弓状に形成し、2本の溝で囲まれた中央部を弓状に曲げた本体と反対側に山状になるように押し出し、山状と弓状で形成された穴に、対象物となる紐等を通し、山状に押し出した中央部を押し戻すことで、挟んだ対象物を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に紐状のものを固定するための止めピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紐状のものを固定するには、縛る、接着或いはテープで張り付ける等の方法があったが、いずれも固定状態を維持することに難があった。例えば、靴紐は縛ることが主流であり、ネクタイ又は髪の毛等の固定には、タイピンやピン止め等が利用されているが、固定力が弱く外れ易いという課題がある。
【0003】
例えば、紙等のようにシート状のものを複数枚固定する方法として、様々なクリップが商品化されているが、それらを紐状のものに利用することは困難である。実開昭63−172674号公報には、シート挟持用クリップとして、平板状の基板の3辺に溝を設け、中央部を略球状に形成して、球状部を押し下げ反り返すことで、対象物を挟持する技術が記載されているが、本発明の紐状のものを挟持するものとは、形状、手段及びその効果が相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−172674公報(請求項1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、靴を履くときに靴紐を縛って止めていたが、ほどけてしまった靴紐を踏んで転びそうになった。ほどけないよう止め方を変える。また、ネクタイを縛った時に長さがうまく合わずに裏の紐が長くなってしまうことがある。ベルトやバンドは、穴にピンを入れて止めているが穴の位置がうまく合わないことがあるので止め方を変えて調整できるようにする。シートを縛った紐がほどけたりして取れてしまったり、捲れたりするのを防ぐために止め方を変える。ウィッグは、取り付けるたびに新しいテープや接着剤を使用して頭皮や髪の毛に負担をかけていたので止め方を変えて負担を軽減する等、主に紐状のものを挟持し固定する場合に、抜けにくい形状の止めピンを提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
厚さ1mm程度の長方形状の平板を作製し、その平板に取り付け穴を2箇所設け、平板中央部に2本の溝を入れる。平板を板バネになるよう弓なりに曲げ、その板バネに中央部分をくり抜いた伸縮可能なカバーを取り付ける。2本の溝の中央部は板バネの弓なりと反対に山状になるように曲げることで、山状と弓状で形成された挟み込む物を取り付ける穴が出来る。弓なりの平板全体が2本の溝の中央部と同じ山状になるよう曲げると、穴に通した対象物が挟まれ固定される。中央部にある2本の溝幅は、狭くしたり広くしたりして挟み込む物によって抜けたりしないよう調整する。また、溝の周りに面取りを付け挟み込む物が切れないようにする。板バネの表面と裏面を粗面にする、又は突起を付けて抜け難くする。更に1mm程度の平板の厚みを変えることで挟持力を調整する。また、平板の材質は、鉄、プラスチック、ゴムなど使用用途によって使い分ける。以上の如く構成された止めピンを利用することで上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成により、本発明の止めピンを利用することで、主に紐状の固定対象物を簡易操作で、尚且つ挟持力のある抜け難い固定が可能となる。例えば、本発明の止めピンを靴に取付け、靴紐を止めピンにより挟持すれば靴紐を縛らなくても簡単に固定でき、靴紐の長さも短くすることも可能である。ネクタイの後ろに取り付けておけば、縛ったとき裏の紐の長さが表の長さより長くなっても、はみ出ないよう調整できる。ベルトやバンドに止めピンを使用すれば穴の位置に関係なく、必要な位置で止めることができる。シートに本発明の止めピンを使用すれば、ゆるんでも外れ難いので捲り上がらない。ウィッグに本発明の止めピンを使用すればテープや接着剤を使用せず、頭皮や髪の毛にも負担の少ない装着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の3面図
【図2】紐を挟み込んだ状態の一例の斜視図
【図3】止めピンに板バネを貼り付けた状態の一例の斜視図
【図4】靴紐を止めた状態の一例の斜視図
【図5】ネクタイの後ろに止めピンを取り付けた状態の一例の斜視図
【図6】ベルトやリストバンドを止めピンで止めた一例の斜視図
【図7】シートを止めピンで止めた状態の一例の斜視図
【図8】ウィックを止めピンで止めた一例の斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明の詳細について、図面を引用して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の止めピンの3面図である。長方形状の平板1に2本の溝3を入れる。溝3の位置は、長方形状の平板1の長手方向に対し平行に、長方形状の平板1の長手方向を略3等分するように2本入れる。溝3の長さは、長方形状の平板1の長手方向の長さに対して、5分の3から5分の4程度が望ましく、溝3の巾は1mm程度が望ましい。また、溝の周りは面取りをし、挟持する対象物の破損を緩和する。溝3の長さ及び巾は、これらに限定するものではなく、使用用途に合わせ適宜変更すればよい。
【0011】
溝の入った長方形状の平板1を弓状に曲げ、本発明の原型が完成する。長方形状の平板1の厚みは、1mm程度が望ましいが、挟持する対象物により適宜厚さを変更して、挟持力を調整することが可能である。長方形状の平板1の材質は、鉄等の金属で板バネとなる反発性のあるものが適しているが、プラスチック、ゴムなど使用用途によってさまざま使い分けるが可能である。また、本体形状は長方形状に限らず、楕円状や菱形状等であってもよい。
【0012】
長方形状の平板1の表面であって、溝3の両外側となる中央部付近の領域と、裏面であって溝3に囲まれた中央部の領域に突起5を設け、挟んだ対象物を更に抜けにくくすることが可能である。突起5の変わりに、前記領域を粗面とする、又はゴム等の摩擦力のあるものを貼り付けてもよい。
【0013】
長方形状の平板1の長手方向における端部付近に、取付け穴2を2箇所設けてもよい。この取付け穴は、挟持する対象物である紐等が付属された物品本体に、本発明の止めピンを取り付け固定するためもので、必要に応じ設ければよい。
【0014】
長方形状の平板1と同じ大きさ形状であって、長方形状の平板1の溝3を含む中央部分をくり抜いた形状の、カバー6を取り付けてもよい。
カバー6は、長方形状の平板1の表面を覆うように取り付けるが、端部を折り曲げたような形状に形成して、前記折り曲げられた端部を裏面に引っ掛けるように装着する。材質はゴム又は樹脂等の伸縮性のある材質が望ましい。このカバー6により、使用時において対象物を挟持している間、その対象物を保護することが可能となる。
【0015】
本発明の止めピンの使用方法は、2本の溝で囲まれた中央部を指等で押し、弓状に曲げた本体と反対側に山状になるように押し出し、山状と弓状で形成された穴4に、対象物となる紐等を通し、山状に押し出した中央部を押し戻すことで、挟んだ対象物を挟持する。また、外すときは前述の動作と同様に、2本の溝で囲まれた中央部を指等で押すことで、穴4を形成して、対象物を抜き取る又は緩めることで行う。
図2は本発明の止めピンに、紐を挟み込んだ状態の斜視図である。
【実施例2】
【0016】
溝3を設けない長方形状の平板7を用意し、本体である長方形状の平板1の裏面に貼り付けることで、本体の強度を増すことや、デザイン性を持たせることも可能である。
図3は止めピンに板バネを貼り付けた状態の一例の斜視図である。
【実施例3】
【0017】
本発明の止めピンは、主に紐状のものを挟持するのに適しているが、穴4に通すことができるものであれば利用可能である。従って、挟持する物の大きさや、挟持に必要な強さに応じて、適宜本体の大きさや厚さ、溝の長さや巾等を変えることで、挟んで固定することが必要なものであれば、様々なものを挟持し、固定することが可能である。例えば、靴の靴紐、ネクタイ、ベルト、リストバンド、シート及びウィッグ等がある。
図4は靴紐を止めた状態の一例の斜視図、図5はネクタイの後ろに止めピンを取り付けた状態の一例の斜視図、図6はベルトやリストバンドを止めピンで止めた一例の斜視図、図7はシートを止めピンで止めた状態の一例の斜視図、図8はウィッグを止めピンで止めた一例の斜視図である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の止めピンは、工業生産が可能であり、産業上及び生活上における挟持による固定が必要な場面で利用が可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 長方形状の平板
2 取付け穴
3 溝
4 山状と弓状で形成された穴
5 突起
6 カバー
7 溝のない長方形状の平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板の中央部付近に平行に2本の溝を設け、弓状に形成してなることを特徴とする止めピン。
【請求項2】
平板の表面であって、溝の両外側となる中央部付近の領域と、裏面であって溝に囲まれた中央部付近の領域に突起又は粗面を設けたことを特徴とする請求項1に記載の止めピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−180895(P2012−180895A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44129(P2011−44129)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(595077739)
【Fターム(参考)】