説明

歩行型農作業機

【課題】オペレータが前記デッドマンレバーを握ったときの前記操向ハンドルの操作性を維持するものでありながら、オペレータが前記デッドマンレバーを手放したときの操縦の安定性に優れた歩行型農作業機を提供するものである。
【解決手段】
走行部で支持した車体に動力源を搭載し、前記車体にはハンドル基部を介して操向ハンドルの基端側を連結し、オペレータが手で握るためのグリップ部を前記操向ハンドルの先端側に形成し、前記走行部の駆動力を継断操作するためのデッドマンレバーを、前記グリップ部に配置してなる歩行型農作業機において、前記グリップ部は、前記デッドマンレバーをオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップと、前記デッドマンレバーからオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップとから形成され、前記連動操作グリップと前記単独操作グリップとを略一直線に連続して形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータが歩きながら操向操作する管理機、トラクタ、田植機または芝刈り機等のような歩行型農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の歩行型農作業機の1つに、走行車輪で支持された車体にはエンジンが搭載され、前記車体にはハンドル基部を介して操向ハンドルの基端側が連結され、オペレータが手で握るグリップ部が、前記操向ハンドルの先端側に設けられた構造であって、前記エンジンから前記走行車輪に駆動力を伝えるクラッチが備えられ、前記クラッチを継断操作するためのデッドマンレバーが、前記グリップ部に配置されたものがある(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
この場合、オペレータが前記グリップ部を握った手で、前記デッドマンレバーを握ることにより、前記エンジンから前記走行車輪に駆動力を伝えるためのクラッチの継続が維持されるものであり、例えば危険を伴う作業等において、オペレータは、車体の後部に設けた前記操向ハンドルのグリップ部とデッドマンレバーとを握り、車体に追従して歩きながら、車体を操向操作するようになっている。
【特許文献1】特開平8−85360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管理機などの歩行型農作業機においては、前記グリップ部の長さと前記デッドマンレバーの握り部の長さとが略等しく形成され、前記車体の後方に延設した前記グリップ部の先端部(機体の後端側の端部)に前記デッドマンレバーの先端部(遊端部)を略一致させていたから、前記デッドマンレバーから手を離してクラッチを切り作動させて、前記エンジンから走行車輪に伝える強制駆動力を切断する場合、オペレータが前記操向ハンドルから手を離す必要があった。そのため、前記デッドマンレバーから手を離す緊急の操作で前記操向ハンドルも手放すことになり、前記操向ハンドルの操作が不安定になった。例えばオペレータの手から離れた前記操向ハンドルが上下に振れて、前記車体が前方または後方に大きく傾動したり、オペレータの手から離れた前記操向ハンドルが左右に振れて、前記車体の向きが左右に大きく変化するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、以上の問題を全て解消して、オペレータが前記デッドマンレバーを握ったときの前記操向ハンドルの操作性を維持するものでありながら、オペレータが前記デッドマンレバーを手放したときの操縦の安定性に優れた歩行型農作業機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の作業車両の制御装置は、走行部で支持した車体に動力源を搭載し、前記車体にはハンドル基部を介して操向ハンドルの基端側を連結し、オペレータが手で握るためのグリップ部を前記操向ハンドルの先端側に形成し、前記走行部の駆動力を継断操作するためのデッドマンレバーを、前記グリップ部に配置してなる歩行型農作業機において、前記グリップ部は、前記デッドマンレバーをオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップと、前記デッドマンレバーからオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップとから形成され、前記連動操作グリップと前記単独操作グリップとを略一直線に連続して形成したものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した歩行型農作業機において、前記単独操作グリップの軸芯線方向の長さを、オペレータの手の略一握り分の長さに形成したものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載した歩行型農作業機において、前記連動操作グリップの軸芯線の方向に前記単独操作グリップを伸縮可能に構成したものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載した歩行型農作業機において、前記デッドマンレバーを備えない他方のグリップ部は、前記デッドマンレバーを備える一方のグリップ部と実質上同一長さに形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、走行部で支持した車体に動力源を搭載し、前記車体にはハンドル基部を介して操向ハンドルの基端側を連結し、オペレータが手で握るためのグリップ部を前記操向ハンドルの先端側に形成し、前記走行部の駆動力を継断操作するためのデッドマンレバーを、前記グリップ部に配置してなる歩行型農作業機において、前記グリップ部は、前記デッドマンレバーをオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップと、前記デッドマンレバーからオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップとから形成され、前記連動操作グリップと前記単独操作グリップとを略一直線に連続して形成したものであるから、前記連動操作グリップから前記単独操作グリップにオペレータの手を略直線的に移動させるだけで、オペレータが前記デッドマンレバーを握ったクラッチオン状態から、前記デッドマンレバーを開放したクラッチオフ状態に簡単に移行できる。そのため、耕耘等の作業中、オペレータが前記デッドマンレバーを手放しても、オペレータの手が操向ハンドルから離れることがなく、オペレータが前記単独操作グリップを握って、操向ハンドルを安定よく支持できる。また、オペレータが不安定な姿勢になって、前記デッドマンレバーを手放しても、オペレータが前記単独操作グリップを握ることにより、オペレータの体重の一部を操向ハンドルによって支えることができ、オペレータの転倒等も簡単に防止できる。オペレータが前記デッドマンレバーを手放したときの操縦の安定性等を向上できるものである。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記単独操作グリップの軸芯線方向の長さを、オペレータの手の略一握り分の長さに形成したものであるから、オペレータが前記デッドマンレバーを手放しても、オペレータが前記単独操作グリップを握ることにより、オペレータの手が操向ハンドルから離れることがなく、オペレータが前記単独操作グリップを握って、操向ハンドルの横振れ等を簡単に防止できるものである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記連動操作グリップの軸芯線の方向に前記単独操作グリップを伸縮可能に構成したものであるから、前記単独操作グリップを前記連動操作グリップ側にコンパクトに縮少できる。伸長させた前記単独操作グリップがオペレータ等に当たっても、前記単独操作グリップがオペレータ等から離れるように縮少し、オペレータ等が前記単独操作グリップに当たったときの衝撃が緩和される。また、前記単独操作グリップをコンパクトに縮少した状態で、オペレータが前記デッドマンレバーを握り、農作業等を実行できる一方、オペレータが前記デッドマンレバーを手放した手で前記単独操作グリップを伸長させながら握って、操向ハンドルの横振れ等を簡単に防止できるものである。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記デッドマンレバーを備えない他方のグリップ部は、前記デッドマンレバーを備える一方のグリップ部と実質上同一長さに形成されているものであるから、前記車体を方向転換させる場合、方向転換の方向が左右いずれの方向であっても、旋回内側になるグリップ部とオペレータとの間隔が略等しくなり、前記車体またはグリップ部等にオペレータが接近しすぎるのを防止でき、オペレータが楽な作業姿勢で前記車体に追従して歩行しながら、方向転換できる。また、前方の進行方向に向いたオペレータが両手で左右のグリップ部を略均等に握ることができ、例えば硬い土の耕耘作業等においても操向ハンドルの操縦性等を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を具体化した第1〜第3実施形態を、歩行型農作業機としての管理機に適用した場合の図面(図1〜図5)に基づいて説明する。図1は第1実施形態を示す管理機の全体を示す側面図、図2は図1の管理機の操向ハンドルの拡大側面図、図3はオペレータがデッドマンレバーを握った状態を示す拡大側面図、図4は第2実施形態を示す管理機の操向ハンドルの拡大側面図、図5は第3実施形態を示す管理機の操向ハンドルの拡大側面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明を適用した管理機は、車体としてのミッションケース1を備える。ミッションケース1の下部の両側には、車軸2aを介して走行部としての左右1対の走行車輪2を配置する。左右1対の走行車輪2にてミッションケース1(車体)の下部を支持することになる。ミッションケース1の後側には、作業部としてのロータリ式耕耘機構3を装着するとともに、ミッションケース1の上面後部に、進行方向(図1の左方向)の後方に向かって斜め上向きに延びる左右一対の角型操向ハンドル4を設けてなるものである。
【0016】
ミッションケース1の前部には、動力源としてのエンジン5が、前バンパ6aを有するエンジン台6を介して搭載されている。エンジン5からの動力を、駆動プーリ7及び従動プーリ8及び伝動ベルト9等を介して、ミッションケース1に伝えることにより、エンジン5からの動力をミッションケース1の内部の伝動機構(図示せず)によって適宜変速して、走行車輪2に伝達するようになっている。また、エンジン5からの動力をロータリ式耕耘機構3にも伝達するようになっている。なお、動力源としてはエンジン5に限らず、電動モータ等でも差し支えない。
【0017】
ロータリ式耕耘機構3は、前述したミッションケース1から後方に向かって斜め下向きに延びるPTOケース10の下端部に軸支した略水平な耕耘軸11と、これに装着したロータリ爪12とを備えている。PTOケース10には、ミッションケース1に伝わった動力の一部を適宜変速して耕耘軸11に伝達する伝動機構(図示せず)が内蔵されている。この伝動機構を介して耕耘軸11に伝わった動力でロータリ爪12を耕耘軸11周りに回転させることにより、耕耘作業が実行されるようになっている。
【0018】
なお、ロータリ式耕耘機構3の後部にはゲージ輪13が支持高さ調節可能に取付けられている。ゲージ輪13を着地させることにより、このゲージ輪13と走行車輪2とで車体としてのミッションケース1が安定的に支持されることになる。一方、ゲージ輪13の支持高さを調節することにより、ロータリ爪12の耕耘深さが調節されるようになっている。
【0019】
ミッションケース1の上面に支持されたハンドル基部14には、操向ハンドル4の基端側(前端側)が連結されている。操向ハンドル4の先端側(後端側)は、ロータリ式耕耘機構4の上方を介して機体後方に延設されている。操向ハンドル4の先端側(後端側)には、エンジン5の回転数を変更させるアクセルレバー15と、エンジン4からミッションケース1に伝える動力を断続操作するクラッチレバー16と、走行車輪2を制動するブレーキレバー17とが配置されている。
【0020】
操向ハンドル4の鉄製丸パイプ形の先端部(後端部)には、オペレータが手で握るためのグリップ部18が形成されている。エンジン5からの動力によって走行車輪2を駆動して移動する場合、左右の操向ハンドル4の各グリップ部18をオペレータが両手でそれぞれ握り、この操向ハンドル4をオペレータが左右に操作することにより、その操作量に応じて走行車輪2の向き(進行方向)を変更するようになっている。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図3を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図2に示すように、上述したクラッチレバー16と同様に、エンジン4からミッションケース1に伝える動力を断続操作するためのデッドマンレバー19を備える。グリップ部18の前側の操向ハンドル4にはレバー台20が配置され、該レバー台20には、レバー支点軸21を介して、デッドマンレバー19の基端側が回動可能に取付けられている。デッドマンレバー19には、上述した伝動ベルト9を緊張させたり弛緩させるためのプーリ形テンションクラッチ22、及び上述したクラッチレバー16が、ワイヤ23等を介して連結されている。グリップ部18とデッドマンレバー19とをオペレータが片手で握った場合、テンションクラッチ22及びクラッチレバー16が、エンジン5からミッションケース1に伝えるための動力を継続した状態に維持される。一方、オペレータがデッドマンレバー19を手放した場合、テンションクラッチ22及びクラッチレバー16が、図示しないバネ力により、エンジン5からミッションケース1に伝えるための動力を切断した状態に切換わるようになっている。
【0022】
グリップ部18は、デッドマンレバー19をオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップ18aと、デッドマンレバー19からオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップ18bとから形成されている。グリップ部18の後端側(操向ハンドル4の最先端側)に単独操作グリップ18bを配置し、グリップ部18の前端側(操向ハンドル4の基端側寄り)に連動操作グリップ18aを配置させる。即ち、連動操作グリップ18aと単独操作グリップ18bとを略一直線に連続して形成し、グリップ部18を握ったオペレータの手を、グリップ部18を握ったまま、グリップ部18の軸芯線方向(前後方向)に移動させることにより、連動操作グリップ18aまたは単独操作グリップ18bを握って操向ハンドル4を操縦操作可能になっている。
【0023】
連動操作グリップ18aの軸芯線方向の長さLaは、デッドマンレバー19の握り部と略同一の長さLaに形成する。また、単独操作グリップ18bの軸芯線方向の長さLbを、オペレータの手の略一握り分の長さLbに形成する(図3参照)。連動操作グリップ18aと単独操作グリップ18bとの境界位置のグリップ部18の表面には、輪形の突起21が一体的に形成されている。連動操作グリップ18aまたは単独操作グリップ18bを握った手が突起22に接触することにより、連動操作グリップ18aと単独操作グリップ18bとの境界を、オペレータが手の感触で判断することができる。なお、連動操作グリップ18aの軸芯線方向の長さLaよりも、単独操作グリップ18bの軸芯線方向の長さLbを、若干短く形成している。
【0024】
上記のように構成することにより、連動操作グリップ18a及びデッドマンレバー19を握っていたオペレータの手を、単独操作グリップ18bに移動させることにより、オペレータが歩行姿勢を殆ど変えることなく、且つオペレータの手が操向ハンドル4から殆ど離れることなく、オペレータの手で握られていたデッドマンレバー19が手放される。そのため、デッドマンレバー19が開放され、テンションクラッチ22及びクラッチレバー16が、バネ(図示省略)力により、エンジン5からミッションケース1に伝えるための動力を切断した状態に切換えられ、エンジン5によって強制駆動されていた走行車輪2が停止する。
【0025】
したがって、オペレータがデッドマンレバー19を手放しても、オペレータが単独操作グリップ18bを握って、操向ハンドル4を安定よく支持できる。また、オペレータが不安定な姿勢になって、デッドマンレバー19を手放しても、オペレータの体重の一部を操向ハンドル4によって支えることができる。
【0026】
例えば圃場を耕耘作業中、または圃場に出入するために歩み板上を移動中、または農道等の路上を走行中、またはトラックの荷台に積み降ろす運搬作業中、オペレータが足をとられて歩行姿勢が不安定になった場合、オペレータが自分の手をから単独操作グリップ18bに移動させ、連動操作グリップ18aから単独操作グリップ18bに握り替え、デッドマンレバー19を開放して、エンジン5から走行車輪2に伝えていた駆動力を切断し、走行車輪2の強制駆動を中止させる。その場合、操向ハンドル4の押し引き操作によって走行車輪2を転動させ、オペレータまたは機体が転倒するのを回避できる。
【0027】
なお、本実施形態では、操向ハンドル4の先端部(後端部)に合成樹脂製のグリップ部18を被嵌させ、該グリップ部18の前半部と後半部とで、連動操作グリップ18a及び単独操作グリップ18bをそれぞれ形成したが、合成樹脂製のグリップ部18を省き、操向ハンドル4の先端部(後端部)を形成した鉄製丸パイプだけでグリップ部18を形成し、その鉄製丸パイプのグリップ部18の前半部と後半部とで、連動操作グリップ18a及び単独操作グリップ18bをそれぞれ形成してもよい。また、デッドマンレバー19を開放した状態で、テンションクラッチ22を継続させるために、オペレータがクラッチレバー16をクラッチオン操作した場合、オペレータが連動操作グリップ18aまたは単独操作グリップ18bのいずれを握っても、エンジン5からの駆動力によって走行車輪2を駆動できるものである。
【0028】
また、左右の角型の操向ハンドル4の各グリップ部18の軸芯線方向の長さを略等しく形成してもよく、その場合、オペレータが両手で左右のグリップ部18の略対称位置をにぎることができ、操向ハンドル4の操縦操作性を向上できる。一方、デッドマンレバー19を備えた一方のグリップ部18を、デッドマンレバー19を備えていない他方のグリップ部18よりも、単独操作グリップ18bの長さLbだけ長く形成してもよく、その場合、デッドマンレバー19を備えていない他方のグリップ部18が、デッドマンレバー19を備えた一方のグリップ部18よりも、単独操作グリップ18bの長さLbだけ短くなるから、デッドマンレバー19を備えていない他方のグリップ部18が、旋回内側になる方向に、簡単に方向転換できる。
【0029】
上記の記載及び図2、図3から明らかなように、走行部としての走行車輪2で支持した車体としてのミッションケース1に動力源としてのエンジン5を搭載し、前記ミッションケース1にはハンドル基部14を介して操向ハンドル4の基端側を連結し、オペレータが手で握るためのグリップ部18を前記操向ハンドル4の先端側に形成し、前記走行車輪2の駆動力を継断操作するためのデッドマンレバー19を、前記グリップ部18に配置してなる歩行型農作業機において、前記グリップ部18は、前記デッドマンレバー19をオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップ18aと、前記デッドマンレバー19からオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップ18bとから形成され、前記連動操作グリップ18aと前記単独操作グリップ18bとを略一直線に連続して形成したものであるから、前記連動操作グリップ18aから前記単独操作グリップ18bにオペレータの手を略直線的に移動させるだけで、オペレータが前記デッドマンレバー19を握ったクラッチオン状態から、前記デッドマンレバー19を開放したクラッチオフ状態に簡単に移行できる。そのため、耕耘等の作業中、オペレータが前記デッドマンレバー19を手放しても、オペレータの手が操向ハンドル4から離れることがなく、オペレータが前記単独操作グリップ18bを握って、操向ハンドル4を安定よく支持できる。また、オペレータが不安定な姿勢になって、前記デッドマンレバー19を手放しても、オペレータが前記単独操作グリップ18bを握ることにより、オペレータの体重の一部を操向ハンドル4によって支えることができ、オペレータの転倒等も簡単に防止できる。オペレータが前記デッドマンレバー19を手放したときの操縦の安定性等を向上できるものである。
【0030】
上記の記載及び図2、図3から明らかなように、前記単独操作グリップ18bの軸芯線方向の長さを、オペレータの手の略一握り分の長さに形成したものであるから、オペレータが前記デッドマンレバー19を手放しても、オペレータが前記単独操作グリップ18bを握ることにより、オペレータの手が操向ハンドル4から離れることがなく、オペレータが前記単独操作グリップ18bを握って、操向ハンドル4の横振れ等を簡単に防止できるものである。
【実施例2】
【0031】
次に、図4を参照して本発明の第2実施形態を説明する。図4に示すように、連動操作グリップ18aのパイプ内孔に差し込むためのスライド軸体23が、伸縮可能な蛇腹形の単独操作グリップ18bの内部に配置される。スライド軸体23は、連動操作グリップ18aのパイプ内孔にこの後端側の開口からスライド可能に嵌め込まれる。図4のように伸長した単独操作グリップ18bの後端側を、図4の実線矢印方向(操向ハンドル4の基端側方向)に、オペレータの手で押すことにより、連動操作グリップ18aのパイプ内孔の内部にスライド軸体23が入り込み、蛇腹形の単独操作グリップ18bが軸芯線方向に縮少し、単独操作グリップ18bの長さLbが短縮される。一方、長さLbが短縮した単独操作グリップ18bを、オペレータが手で握って後方(図4の実線矢印と反対の方向)に引っ張ることにより、連動操作グリップ18aのパイプ内孔の内部からスライド軸体23が抜け出て、蛇腹形の単独操作グリップ18bが軸芯線方向に伸長し、単独操作グリップ18bの長さLbが最大長さ(オペレータの略一握り分の長さ)に戻るというものである。
【0032】
したがって、単独操作グリップ18bの長さLbを縮少した場合、単独操作グリップ18bがオペレータに接触するのを防止できることになる。なお、最大に伸長させた単独操作グリップ18bの長さLbを、オペレータの略一握り分の長さLbよりも長く(例えば2倍の長さ=Lb×2)形成し、単独操作グリップ18bの長さLbを任意の長さに縮少させてオペレータが握ることもできる。
【0033】
上記の記載及び図4から明らかなように、前記連動操作グリップ18aの軸芯線の方向に前記単独操作グリップ18bを伸縮可能に構成したものであるから、前記単独操作グリップ18bを前記連動操作グリップ18a側にコンパクトに縮少できる。伸長させた前記単独操作グリップ18bがオペレータ等に当たっても、前記単独操作グリップ18bがオペレータ等から離れるように縮少し、オペレータ等が前記単独操作グリップ18bに当たったときの衝撃が緩和される。また、前記単独操作グリップ18bをコンパクトに縮少した状態で、オペレータが前記デッドマンレバー19を握り、農作業等を実行できる一方、オペレータが前記デッドマンレバー19を手放した手で前記単独操作グリップ18bを伸長させながら握って、操向ハンドル4の横振れ等を簡単に防止できるものである。
【実施例3】
【0034】
次に、図5を参照して本発明の第3実施形態を説明する。図5に示すように、操向ハンドル4を、上述した左右1対の角型の構造に代えて、1本のパイプを平面視Uの字形に折り曲げて形成したループ型の構造に構成したものであり、図示を省略したが、図1の第1実施形態と同様に、操向ハンドル4の平面視Uの字形両端部4aの前端側がハンドル基部14を介してミッションケース1に連結される。また、図1の第1実施形態と同様の連動操作グリップ18aが、操向ハンドル4の平面視Uの字形中間部4bに近い平面視Uの字形両端部4aの後端側に形成される。図1の実施形態と同様の単独操作グリップ18bが、平面視Uの字形両端部4aで連動操作グリップ18aよりもさらに後端側に形成される。このように、ループ型の構造の操向ハンドル4においても、図1の第1実施形態と同様に、連動操作グリップ18a及び単独操作グリップ18bが形成され、図1の第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0035】
図5に示すように、操向ハンドル4の鉄製丸パイプ形のグリップ部18に、連動操作グリップ18a及び単独操作グリップ18bが形成されている。連動操作グリップ18aの軸芯線方向の長さLaよりも、単独操作グリップ18bの軸芯線方向の長さLbを、若干短く形成している。また、操向ハンドル4の平面視Uの字形中間部4bは、当該操向ハンドル4の平面視Uの字形両端部4aの後端よりも車体の前方側(エンジン5を配置した側)に折り曲げられている。左右の連動操作グリップ18aの後端部の間に平面視Uの字形中間部4bを配置させ、オペレータの前側に対向する操向ハンドル4の平面視Uの字形中間部4bを機体前方に窪ませて形成する。その平面視Uの字形中間部4bの機体前方への窪み量Lcが、単独操作グリップ18bの軸芯線方向の長さLbと略等しくなるように、操向ハンドル4が形成されている。平面視Uの字形中間部4bを機体前方に窪ませたから、オペレータの腹部と操向ハンドル4との接触を低減できる。
【0036】
上記の記載及び図5から明らかなように、前記デッドマンレバー19を備えない他方のグリップ部18は、前記デッドマンレバー19を備える一方のグリップ部18と実質上同一長さに形成されているものであるから、前記車体(ミッションケース1等)を方向転換させる場合、方向転換の方向が左右いずれの方向であっても、旋回内側になるグリップ部18とオペレータとの間隔が略等しくなり、前記車体またはグリップ部18等にオペレータが接近しすぎるのを防止でき、オペレータが楽な作業姿勢で前記車体に追従して歩行しながら、方向転換できる。また、前方の進行方向に向いたオペレータが両手で左右のグリップ部18を略均等に握ることができ、例えば硬い土の耕耘作業等においても操向ハンドル4の操縦性等を向上できるものである。
【0037】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、本発明に係る歩行型農作業機は、管理機に限らず、トラクタや田植機等のように、オペレータが歩きながら操向操作するタイプの農作業機に広く適用できることはいうまでもない。また、作業部はロータリ式耕耘機構3に限らず、スクレーパやレーキ、苗植付け機構、芝刈り機構等を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態を示す管理機の全体を示す側面図ある。
【図2】図1の管理機の操向ハンドルの拡大側面図である。
【図3】オペレータがデッドマンレバーを握った状態を示す拡大側面である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す管理機の操向ハンドルの拡大側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す管理機の操向ハンドルの拡大側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ミッションケース(車体)
2 走行車輪(走行部)
4 操向ハンドル
5 エンジン(動力源)
14 ハンドル基部
18 グリップ部
18a 連動操作グリップ
18b 単独操作グリップ
19 デッドマンレバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部で支持した車体に動力源を搭載し、前記車体にはハンドル基部を介して操向ハンドルの基端側を連結し、オペレータが手で握るためのグリップ部を前記操向ハンドルの先端側に形成し、前記走行部の駆動力を継断操作するためのデッドマンレバーを、前記グリップ部に配置してなる歩行型農作業機において、
前記グリップ部は、前記デッドマンレバーをオペレータの手で略同時に握ることが可能な連動操作グリップと、前記デッドマンレバーからオペレータの手を離して握ることが可能な単独操作グリップとから形成され、
前記連動操作グリップと前記単独操作グリップとを略一直線に連続して形成したことを特徴とする歩行型農作業機。
【請求項2】
前記単独操作グリップの軸芯線方向の長さを、オペレータの手の略一握り分の長さに形成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型農作業機。
【請求項3】
前記連動操作グリップの軸芯線の方向に前記単独操作グリップを伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型農作業機。
【請求項4】
前記デッドマンレバーを備えない他方のグリップ部は、前記デッドマンレバーを備える一方のグリップ部と実質上同一長さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行型農作業機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−69659(P2007−69659A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256435(P2005−256435)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)