説明

歩行時の泥水跳ね上げ汚れ防止器具

【課題】気軽に携帯できて簡単に装着することが出来、加えて跳ね上げ防止具自体に付着した雨水、汚泥などが跳ね上げすることを防止出来る、泥水跳ね上げ防止器具を提供する。
【解決手段】バネ性のある材質を逆U字形に形成したもの、およびバネを活用して作ったはさみ込み式の装着体は、靴などの踵部に上から、はさみ込むように取り付け使用可能とする。装着体の外側に泥水跳ね上げ防止板を設ける。泥水跳ね上げ防止板は、装着体と回転軸で接続し、上下の振幅作動ができる。泥水跳ね上げ防止板は、内側の下部部所に補助板を設ける。靴が地面に着地した時、補助板が地面に着地することによって、泥水跳ね上げ防止板を地面から浮かすもので、泥水跳ね上げ防止板の内側に受け止めた泥水などを地面に落とし、泥水切りが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物、特に靴などの踵部に装着することにより、雨水などで歩行路面がぬれている状況での歩行で、その雨水や泥水が歩行者の靴の踵部より跳ね上がり、衣類や身体など、汚すことを防止するための「泥水跳ね上げ防止装置」に関するものである。
【技術背景】
【0002】
従来、このような濡れた路面の泥や水の跳ね上がりによる、衣類などの汚れを防止するため確実な方法はなく、従来はビニール製のズボン(レインコートの一種)を使う方法くらいであった。しかし、こうしたものは携行する不便さ、スカートをつけた女性にはいかにも不似合いで、美的感覚を伴なわないので、泥水など跳ね防止のために利用されることは少なかった。
【0003】
すでに、このような履物の踵部に取付ける雨水など跳ね上げ防止具は、公知のもとに次のようなものが存するところである。
特開平11−178608
特 開2006−212170
しかし、これら雨水など跳ね上げ防止具はいずれも構造が複雑であり、且つ取付けが容易でなく、雨などに遭遇して急遽取付け使用することは困難であるばかりか、その器具を持ち運ぶこと自体嫌悪感を抱かせかねないものであり、取付けも不安定になる為、本来の目的を達することは難しいと言える。
さらに最も懸念されることは、靴などの踵部に付着の泥水などは一時的には受け止められても、今度は跳ね上げ防止具自体に付着した雨水、汚泥などの汚れが更に跳ね上げられること(二次的要因による泥水跳ね上げ)である。これはすなわち、跳ね上げ防止具が靴の踵と同じ役割、いわゆる踵部の代役になるもので、跳ね上げ防止の役をなさないのである。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、公知の靴の踵部に取付ける雨水、汚泥など跳ね上げ防止具が抱える欠点であるところの、複雑さの問題、考えられるコストの問題、気軽に携帯できて、いつでも簡単に取付けることのできない問題、跳ね上げ防止具自体に付着した雨水、汚泥などの跳ね防止処理の不十分さの問題などの諸問題を解決しようとするものである。
【0005】
本発明は、靴の踵の立ち上がり上部に簡単に差し込んで、装着できるバネ性を利用したはさみ込み式の泥水跳ね上げ防止装置である。
【0006】
本発明は、靴の踵部から跳ね上げられた雨水、汚泥などを受け止める防止板が装着されたものである。この防止板は装着体(靴へのはさみ込み部分)と一体であり、上部がバネ性を持つもの、あるいは回転軸で構成され、防止板は振幅可動する装置である。
【0007】
本発明は、泥水跳ね上げを受け止める防止板が、路面に直接接しないよう、防止板の内側の下部部所に防止板と一体となった補助板(棒)が装置されたものである。
この補助板(棒)の最下部が路面につくことで防止板を路面から浮かせ、受け止めた泥水、汚水などを水切りするものである。
【0008】
本発明は、歩行を重ねることによって補助板(棒)や防止板の下、又は外側に僅かに付着が生じることがある雨水や汚泥など、泥跳ねの二次的要因<靴の踵の代役的役割>に対し、防止板、並びに補助板(棒)を、歩行による回転軸の振幅作動によって、従来の跳ね上げ飛散角度を変えるものである。すなわち、泥跳ね原因の足を上げた時に、補助板(棒)が地面から離れ、防止板が前(下)方向へ移動することによって、従来の靴の踵部の泥水の跳ね上げ角度と異なった方向へ逃がすことができる装置である。
又、防止板が受け止めた跳ね上げた泥水が、水切れしきれずに残っていた場合も同様である。
【0009】
靴などの履物において、その踵部の立ち上がりの部所にバネ性を利用して差し込む装着体と、回転軸で一体に形成した振幅可動の泥水跳ね上げ防止板と、水切り及び、飛散角度を変える補助板(棒)により構成される。
【0010】
前記、雨水、汚泥など跳ね上げ防止板は、歩行することによって靴の踵部が、後上方へ跳ね上げ、飛散する雨水、汚泥などを包み込むように受け止めるように作動する。歩行により地面から靴の踵部が上がると補助板(棒)によって押し上げられていた防止板は、回転軸、バネの働きで下方前方へ振幅移行する。それによって踵部から飛散する泥跳ね上げ水は大きく広がることなく包み込むように受け止められる。
歩行によってその踵部が着地すると、防止板と一体となった防止板内側の補助板(棒)によって、防止板は地面に接地することなく、受け止められた跳ね上げ泥水は、下に落され、いわゆる、水切りされる。
又、地面にわずかな面積であるが接地した補助板(棒)や、防止板に、仮にその部分に雨水などが付いたとしても、前下方へ振幅作動し、戻る(移行する)ことによって、靴の踵部から飛散されていた従来の跳ね上がりとは異なった角度、方向への跳ね方となり、衣服や身体など汚すことに至らせない。あるいは、跳ね飛ぶことを抑える。
歩行者にとって雨天などでも、泥跳ね汚れを気にすることなく、快適歩行を得る事を特徴とする泥水跳ね上げ防止装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、路面が雨水などで濡れている状態の時の歩行などの際に、靴などの踵部から跳ね上げられる雨水、泥水など、いわゆる泥水跳ね上げで衣類や身体などを汚す事を防止する事が出来る。
【0012】
加えて、前述の泥水跳ね上げ防止装置は、靴の踵部が着地する都度、該泥水跳ね上げ防止板が受け止めた雨水、泥水などを、地面に落とし、逃している為、跳ね上げ防止具に受け止められたそれらが更に衣類などへ跳ね上げられる事はない。
【0013】
更に、靴などの踵部からの泥水跳ね上げは、前述のバネ性の回転軸で構成された防止板又、一体となった補助板(棒)が、作動、振幅することによって、防止板や補助板(棒)の外側や先端に、仮にわずかに泥水などが付着し、あるいは水切り残が生じたとしても、従来の靴などの踵部からの跳ね上げ軌道とは異なる方向へ逃がし、衣類、身体などへの跳ね上げを起こさせることはない。泥水跳ね上げで汚れた衣服や身体を気にする苦痛、勿論衣服のクリーニング費用もかかること、それらを気にして必要以上に歩行に時間をかけざるを得ないこと、特に女性のふくらはぎ、腰、背中などの当事者が見えにくい後部への泥水跳ね上げによる汚れは憂鬱である。それらによる気分の不快さなどを防止することが出来、快適な歩行環境を提供することが出来る。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる泥水など跳ね上げ防止装置の構成は、図1、図2に示すとおりであり、又、靴に装着した状態を図3に示す。
【0015】
前記、図1、図2に示す雨水、泥水など跳ね上げ防止装置について説明する。
本発明は、装着体1と、泥水など跳ね上げ防止板2、及び補助板(棒)3とにより構成され、装着体と泥水跳ね上げ防止板は、バネ性などの回転軸によって振幅作動自在とし、泥水など跳ね上げ防止板と補助板(棒)は一体化されている。
【0016】
前述装着体1は弾力性のある材料を、逆U字形に形成し、その弾力性を利用して、靴の踵部の立ち上がり部に上部から差し込み(挟み込み)装着する。
又、バネ性回転軸4を利用することで、上部からはさみ込み締めつけ、より固定して装着できる方法も良い。いずれも公知のものを利用することで良い。
【0017】
該装着体1は、使用者の足に接する部分はやわらかい保護材などでカバーする事により、心地よく安全に利用することが出来る。
【0018】
該装着体1と泥水など跳ね上げ防止板2は、回転軸5で接続し、振幅可動な状態で取付ける。これにより靴の踵から跳ね上げられた泥水などを飛散が拡大する前に受け止め、靴の踵が路面に着地した時には、受け止めた泥水などを落とし逃がすことが出来る。
【0019】
補助板(棒)3は、防止板2と一体になったもので、靴の踵が着地した時、防止板2が直接路面に付かないよう、防止板2を浮かせる役割を果たすことで水切りができる。
踵が着地の時は防止板2の回転軸5を外側に回し、バネを伸ばして防止板2を振幅作動で外側(上方)に広げる。靴の踵が地面を離れると、伸びた回転軸のバネが戻り、防止板2は振幅作動で内側(下方)に移動する。それによって靴の踵から飛散する泥跳ね水は、ハネの飛散が大きく拡散する前に受け止められる。
同時に防止板2の外側や下に、又、補助板(棒)3に仮にわずかに泥水などが付着し、生じる二次的要因<靴の踵の代役的役割>によって泥跳ねが生じる可能性についても、歩行によって靴が路面から離れると、防止板2や、補助板(棒)3が内側(下方)へ振幅作動することで、従来の靴の踵から飛散していた跳ねとは異なる角度での飛散となり、衣服や身体などに付着することはない。 こうした役割を補助板(棒)3は併せて担うものである。
尚、補助板3の巾は、極めて小さいもので良く、又小さな棒状でも良い。泥水跳ね上げの、前述の二次的要因による付着を極力避けるためと、軽量、簡素化の為に、小さくするものである。
【0020】
泥水など跳ね上げ防止装置は、ファッション性も重視する。靴などに取付けることから、装着体自体がプラスチックなどの利用で透明で目立たなくする事や、一方ではユーモアを持たせたマークやカラフルデザインを要したものでも良く、いずれの場合も携帯が簡単で手軽にバックにしのばせる配慮をしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明の前方からの斜視図である。
【図2】 図1の後方からの斜視図である。
【図3】 本発明の装着状態を示す断面図。
【図4】 本発明の各部分の作動状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0022】
1 装着体
2 泥水など跳ね上げ防止板
3 補助板(棒)
4 バネ性回転軸
5 バネ性回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨天時などの歩行で靴などの踵部から跳ね上げられ飛散する泥汚れ、いわゆる「泥水跳ね上げ」を防ぐために、泥水跳ね上げの飛散を受け止めるための防止板を設け、靴などの後部に装着可能とするもので、防止板はバネなどを装着した回転軸などで構成され、振幅作動することを特徴とした泥水跳ね上げ防止器具。
【請求項2】
歩行によって靴などが着地した時、靴などの後部に取り付けた泥水跳ね上げ防止板が、地面より浮き上がるように、泥水跳ね上げ防止板の内側に補助板(棒)を設けることを特徴とした泥跳ね上げ防止器具。
【請求項3】
請求項1、請求項2による防止板、回転軸、補助棒の組合せの働きにより、踵部からの泥水跳ね上げを路面に下ろすことを加速させ、併せて僅かであるが防止板自体や、補助板(棒)に付着してくる、二次的要因による泥水の跳ね上げ(防止板や補助板自体が、<靴の踵の代役的役割>をすることによる泥水跳ね上げ)の飛散角度を変えることで、跳ね上げによる汚れを防ぐことを特徴とした泥水跳ね上げ防止器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27680(P2013−27680A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177768(P2011−177768)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(506061358)マツモト印刷株式会社 (3)
【Fターム(参考)】