歯ブラシ
【課題】ヘッド部を把持部に容易に着脱することができ、高い信頼性を有する歯ブラシを提供する。
【解決手段】本発明に係る歯ブラシ100は、把持部10と、把持部10に着脱可能であり、ブラシ部60が設けられたヘッド部50と、を含み、ヘッド部50は、把持部10に装着された状態で、把持部10の軸Aを中心として、把持部10に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、ヘッド部50は、第1角度をなして把持部10に装着された第1状態で、軸Aの方向において、把持部10に固定され、第2角度をなして把持部10に装着された第2状態で、把持部10から、軸Aの方向に取り外し可能である。
【解決手段】本発明に係る歯ブラシ100は、把持部10と、把持部10に着脱可能であり、ブラシ部60が設けられたヘッド部50と、を含み、ヘッド部50は、把持部10に装着された状態で、把持部10の軸Aを中心として、把持部10に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、ヘッド部50は、第1角度をなして把持部10に装着された第1状態で、軸Aの方向において、把持部10に固定され、第2角度をなして把持部10に装着された第2状態で、把持部10から、軸Aの方向に取り外し可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯ブラシの把持部に対してヘッド部を着脱可能に構成し、ヘッド部に設けられたブラシが痛んだ際は、ヘッド部を新しいものと交換する、いわゆる分離型の歯ブラシが知られている。特に、歯ブラシの把持部に電池を内蔵し、この把持部を把持する手を介して微弱な電流を歯とブラシとの間に流し、歯垢を有効に除去するイオン歯ブラシでは、把持部に対してヘッド部を着脱可能にすることにより、使用者のランニングコストを低く抑えることができる。
【0003】
分離型の歯ブラシは、通常、把持部の端部に係合部を設け、ヘッド部の端部(ブラシが設けられていない側の端部)に係合部と係合する被係合部を設け、係合部と被係合部との係合および係合解除により、把持部にヘッド部を着脱可能に装着する構造を備えている(特許文献1参照)。このような歯ブラシにおいて、係合解除は、把持部とヘッド部とに、把持部の軸方向に沿って互いに反対向きの力を加えることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−131223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような分離型の歯ブラシでは、把持部からヘッド部を分離する際に、大きな力が必要となり、容易に分離することができない場合があった。
【0006】
また、上記のような分離型の歯ブラシでは、歯磨剤を用いて歯磨きを行った際に、歯磨剤が把持部とヘッド部との間に侵入する場合がある。このような状態で長期間に亘り歯磨きを繰り返すと、把持部およびヘッド部の接合部分が磨耗し、歯磨き中にヘッド部が把持部から分離してしまうことがあった。その結果、歯ブラシの信頼性が低下することがあった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、ヘッド部を把持部に容易に着脱することができ、高い信頼性を有する歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[適用例1]
本発明に係る歯ブラシの一態様は、
把持部と、
前記把持部に着脱可能であり、ブラシ部が設けられたヘッド部と、
を含み、
前記ヘッド部は、前記把持部に装着された状態で、前記把持部の軸を中心として、前記把持部に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、
前記ヘッド部は、
前記第1角度をなして前記把持部に装着された第1状態で、前記軸の方向において、前記把持部に固定され、
前記第2角度をなして前記把持部に装着された第2状態で、前記把持部から、前記軸の方向に取り外し可能である。
【0009】
[適用例2]
適用例1において、
前記把持部は、該把持部の一方の端部に形成された凸部を有し、
前記凸部は、くびれ部を備え、
前記ブラシ部とは反対側の前記ヘッド部の端部は、二股形状を有し、
前記二股形状を構成する足部は、
該足部の先端に、前記第1状態で前記くびれ部と係合する突起部を有していてもよい。
【0010】
[適用例3]
適用例2において、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、長手方向と短手方向とを有する形状であり、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、
対角線上において互いに対向する2つの角部と、
対角線上において互いに対向する2つの面取り部と、を有していてもよい。
【0011】
[適用例4]
適用例2または3において、
前記把持部には、前記凸部の先端から、前記軸の方向に突出延在された導電性の支軸部が形成され、
前記ヘッド部の前記端部には、前記支軸部が挿入される支軸挿入部が形成され、
前記把持部には、電池が収容される電池収容部が形成され、
前記支軸部は、前記電池の一方の電極に接続されていてもよい。
【0012】
[適用例5]
適用例4において、
前記ヘッド部には、液体を媒体として、前記ブラシ部と前記支軸部とを電気的に導通可能とする開口部が形成されていてもよい。
【0013】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか1例において、
前記ヘッド部が前記把持部に対し回転可能な前記範囲は、90度であってもよい。
【0014】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか1例において、
前記把持部は、
前記第1状態で、前記ブラシ部が設けられた前記ヘッド部の面に連続する第1面と、
前記第1面に接続された第2面と、
を有し、
前記第1面は、前記軸の方向と直交する方向の幅が、前記第2面よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る歯ブラシによれば、ヘッド部は、第1角度をなして把持部に装着された第1状態で、把持部の軸の方向において、把持部に固定され、第2角度をなして把持部に装着された第2状態で、把持部から、把持部の軸の方向に取り外し可能である。すなわち、本発明に係る歯ブラシは、使用者が歯磨きを行う使用状態の第1状態から、ヘッド部を把持部に対して回転させて第2状態として、把持部からヘッド部を分離させることができる。そのため、例えば、使用状態のまま把持部の軸方向に力を加えてヘッド部を分離する形態に比べて、簡易にヘッド部を分離することができる。使用者は、例えば一般的に、ヘッド部に対して、把持部の軸方向より軸の回転方向に力を加えやすい。
【0016】
さらに、本発明に係る歯ブラシによれば、ヘッド部を把持部から分離する場合には、使用状態である第1状態から第2状態にする必要があるため、仮に歯磨き剤が把持部およびヘッド部の間に進入して接合部分が磨耗したとしても、使用状態である第1状態において、直接ヘッド部が分離する可能性を小さくすることができる。
【0017】
したがって、本発明に係る歯ブラシは、ヘッド部を把持部に容易に着脱することができ、高い信頼性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図2】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図3】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図4】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図5】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図6】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図7】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図8】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図9】本実施形態に係る歯ブラシを軸A方向から見た図。
【図10】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図11】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図12】本実施形態に係る歯ブラシを、軸A方向から見た図。
【図13】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第1状態を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第1状態を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第2状態を模式的に示す正面図である。図4は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第2状態を模式的に示す側面図である。図5は、本実施形態に係る歯ブラシ100の把持部10から、ヘッド部50を取り外した状態を模式的に示す正面図である。図6は、本実施形態に係る歯ブラシ100の把持部10から、ヘッド部50を取り外した状態を模式的に示す側面図である。
【0021】
歯ブラシ100は、図1〜図6に示すように、使用者が把持する把持部10と、把持部10に着脱可能であり、ブラシ部60が設けられたヘッド部50と、を有する。
【0022】
把持部10の形状は、使用者が把持することができれば特に限定されないが、図示の例では、Y軸方向に延在する形状である。把持部10は、軸Aを備えることができる。軸Aは、把持部10を通る任意の軸であるが、例えば図1に示すように、把持部10の長手方向(Y軸方向)に沿う軸であってもよい。
【0023】
図示の例では、把持部10は、略直方体の形状を有し、第1面12と第2面14とを有している。第1面12の幅(X軸方向の幅)は、例えば、第2面14の幅(Z軸方向の幅)より大きい。第1面12には、例えば、使用者が把持したときに滑り止めとなる突起状の滑り止め部13が形成されている。
【0024】
把持部10およびヘッド部50の材質としては、特に限定されないが、例えば、アクリルロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)が挙げられる。
【0025】
ヘッド部50は、図1〜図4に示すように、把持部10に装着された状態で、軸Aを中心として、把持部10に対し少なくとも第1角度から第2角度の範囲で回転可能である。図1および図2は、ヘッド部50が、把持部10に対して第1角度をなして、把持部10に装着された第1状態を示している。図3および図4は、ヘッド部50が、把持部10に対して第2角度をなして、把持部10に装着された第2状態を示している。
【0026】
第1角度は、特に限定されず任意の角度である。図1および図2に示す例では、第1角度は、ヘッド部50の面52(ブラシ部60が設けられた面)が、把持部10の第1面12と連続するような角度である。
【0027】
第2角度は、第1角度と異なる角度であれば、いかなる角度でもよい。図3および図4に示す例では、第2角度は、ヘッド部50の面52が、把持部10の第1面12と90度をなすような角度である。すなわち、図3および図4に示す第2状態は、図1および図2に示す第1状態に対して、ヘッド部50が90度回転した状態(図1のR方向に90度回転した状態)である。
【0028】
ヘッド部50は、図1および図2に示す第1状態で、軸A方向において、把持部10に固定されている。すなわち、第1状態では、ヘッド部50は、把持部10から分離されない。一方、ヘッド部50は、図3および図4に示す第2状態で、把持部10から、軸A方向に取り外し可能である(図5および図6参照)。
【0029】
使用者は、第1状態(図1および図2参照)で歯磨きを行うことができる。そして、ヘッド部50を分離する場合、使用者は、ヘッド部50を把持部10に対して第2角度となるように回転させて第2状態とし(図3および図4参照)、ヘッド部50を軸A方向に引き抜くことによって、ヘッド部50を把持部10から分離することができる(図5および図6参照)。逆に、ヘッド部50を把持部10に装着する場合、使用者は、支軸部30をヘッド部50の支軸部挿入部80に挿入して第2状態とし、ヘッド部50を把持部10に対して第1角度となるように回転させて第1状態とすることができる。
【0030】
なお、図示の例では、把持部10は、第1面12および第2面14を備えた略直方体の形状を有しているが、例えば、略円柱状の形状を有していてもよい。この場合、第1状態における第1角度は、ヘッド部50が軸A方向において、把持部10に固定されるような角度であれば、いかなる角度でもよい。第2状態における第2角度は、第1角度と異なる角度であって、ヘッド部50が軸A方向に取り外し可能であれば、いかなる角度でもよい。
【0031】
次に、把持部10の端部16(ヘッド部50が装着される側の端部)近傍の構造について、説明する。図7は、図1に示す歯ブラシ100の把持部10の端部16近傍を模式的に示す正面図である。図8は、図2に示す歯ブラシ100の把持部10の端部16近傍を模式的に示す側面図である。図9は、図1に示す歯ブラシ100の把持部10を軸A方向から見た(Y軸の矢印方向とは反対の方向から見た)図である。なお、図7〜図9では、便宜上、ヘッド部50の図示を省略している。
【0032】
把持部10は、図7〜図9に示すように、端部16に形成された凸部20を有することができる。凸部20は、くびれ部22と、くびれ部22よりも凸部20の先端側に位置する幅広部24と、を有することができる。
【0033】
くびれ部22の幅W1(X軸方向の幅)は、図7および図9に示すように、幅広部24の幅W2(X軸方向の幅)に比べて小さい。くびれ部20の幅W3(Z軸方向の幅)は、例えば、図8および図9に示すように、幅広部24の幅W4(Z軸方向の幅)と同じである。くびれ部20は、図1に示すように第1状態において、ヘッド部50の突起部76(第3部分76)に係合されることができる。
【0034】
くびれ部22は、X軸方向に突出した突出部23を有することができる。図7および図9に示すように、突出部23によって、くびれ部16は、X軸方向の幅が幅広部24の幅W2と同じとなる部分を有していてもよい。突出部23は、第1状態において、ヘッド部50の第3部分76に形成された溝部77(図12参照)と係合することができる。
【0035】
幅広部24は、図9に示すようにY軸方向から見て(軸A方向から見て)、例えば、長手方向と短手方向とを有する形状である。図示の例では、長手方向はX軸方向であり、短手方向はZ軸方向である。すなわち、幅広部24は、X軸方向の幅W2が、Z軸方向の幅W4よりも大きい形状を有する。
【0036】
幅広部24は、図9に示すように、対角線上において互いに対向する2つの角部25と、対角線上において互いに対向する2つの面取り部26と、を有することができる。図示の例では、面取り部26は、円弧の形状を有している。これにより、ヘッド部50は、把持部10に対して、一方向に回転しやすく反対方向には回転し難い。すなわち、図1に示すように第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向に90度回転させる場合、ヘッド部50は、面取り部26に沿って滑らかに回転することができる。一方、第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させる場合、ヘッド部50は、角部25によって抵抗を受け、ヘッド部50を、R方向とは反対方向に90度回転させることは困難となる。
【0037】
なお、ヘッド部50に、角部25によって受ける抵抗力よりも大きな力を加えることにより、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させることが可能であってもよい。このような場合、ヘッド部50は、把持部10に対して第1角度から第2角度の範囲を超えて回転可能であってもよい。
【0038】
把持部10には、凸部20の先端から、軸A方向に突出延在された支軸部30が形成されている。支軸部30は、導電性を有する。支軸部30の形状は、特に限定されてないが、図示の例では、円柱状である。支軸部30は、ヘッド部50に設けられたブラシ部60近傍まで延在している。
【0039】
次に、ヘッド部50の端部56(ブラシ部60とは反対側の端部)近傍の構造について、説明する。図10は、図1に示す歯ブラシ100のヘッド部50の端部56近傍を模式的に示す正面図である。図11は、図2に示す歯ブラシ100のヘッド部50の端部56近傍を模式的に示す側面図である。図12は、図1に示す歯ブラシ100のヘッド部50を軸A方向から見た(Y軸の矢印方向から見た)図である。なお、図10〜図12では、便宜上、把持部10および支軸部30の図示を省略している。
【0040】
ヘッド部50の端部56は、図10に示すように、二股形状を有することができる。二股形状は、ヘッド部50の2つの足部70によって構成されている。足部70は、第1部分72、第2部分74、および第3部分76を有することができる。
【0041】
第1部分72は、二股形状を構成する足部70の根元の部分である。2つの第1部分72は、例えば、第1間隔D1を隔てて設けられている。第1部分72によって、足部70は、X軸方向に弾性力を有することができる。これにより、第1状態において、第3部分76は、くびれ部22に係合することができる。第1間隔D1の大きさは、足部70が弾性力を有することができれば、特に限定されない。
【0042】
第2部分74は、第1部分72よりも足部70の先端側に、第1部分72と連続して設けられている。2つの第2部分74は、例えば、第2間隔D2を隔てて設けられている。第2間隔D2は、第1間隔D1よりも大きい。図示の例では、第2間隔D2は、幅広部24の幅W2と同じ大きさである。第2部分74は、幅広部24を相補する形状を有していてもよい。
【0043】
第3部分76は、図10に示すように、第2部分74よりも足部70の先端側に、第2部分74と連続して設けられている。第3部分76は、第2部分74よりもX軸方向に突起した形状である。したがって、第3部分76は、突起部76ということもできる。2つの第3部分76は、例えば、第3間隔D3を隔てて設けられている。第3間隔D3は、第1間隔D1よりも大きく、第2間隔D2よりも小さい。
【0044】
図示の例では、第3間隔D3は、第1状態において、くびれ部22の幅W1と同じであり、幅広部24の幅W2よりも小さい。これにより、第3部分76は、くびれ部22に係合し、軸A方向に固定されることができる。さらに、第3間隔D3は、第2状態において、くびれ部22の幅W3および幅広部24の幅W4と同じである。これにより、ヘッド部50は、軸A方向の力が加えられると、第3部分76が凸部20に接触しながら軸A方向に滑らか移動し、把持部10から容易に分離することができる。
【0045】
第3部分76には、図12に示すように、溝部77が形成されている。溝部77は、くびれ部22の突出部23と相補する形状である。そのため、溝部77は、第1状態において、突出部23に係合されることができる。これにより、使用者が第1状態で歯磨きをしている場合に、ヘッド部50が不必要に回転することを抑制することができる。なお、図12に示すように、2つの溝部77のうちの一方は、円弧状の形状を有していてもよい。これにより、ヘッド部50を把持部10に対して、一方向に回転しやすくすることができる。
【0046】
ヘッド部50には、支軸部30が挿入される支軸挿入部80が形成されている。支軸挿入部80は、図12に示すように、例えば、ヘッド部50の中心部に形成されている。支軸挿入部80の形状は、支軸部30を挿入できれば特に限定されないが、図示の例では、筒状である。支軸挿入部80は、図5および図6に示すように、ブラシ部60近傍まで形成されている。
【0047】
歯ブラシ100が上記のような形状を有することにより、ヘッド部50は、第1状態で、軸A方向において把持部10に固定され、第2状態で、把持部10から軸A方向に取り外し可能となる。
【0048】
次に、歯ブラシ100の、いわゆるイオン歯ブラシとしての機構等について、説明する。図13は、本実施形態に係る歯ブラシ100を模式的に示す図1のXIII−XIII線断面図である。
【0049】
把持部10には、図13に示すように、電池40が収容される電池収容部41が形成されている。電池40は、例えば、円盤状のリチウム電池である。図示の例では、電池収容部41底部には、開口部42が形成されており、開口部42には支軸部30が配置されている。電池40の一方の電極(例えば負極)は、支持部30に接触している。電池40の他方の電極(例えば正極)は、導電性のばね部43に接触しており、ばね部43は、収容部40を覆う導電性の導電板44と接触している。ばね部43によって、支軸部30と電池40とは、密接に接触されることができる。導電板44は、図13に示すように、把持部10を取り囲むように形成されていてもよい。導電板44の材質としては、例えば、チタン、ステンレスが挙げられる。
【0050】
把持部10の電池収容部41の周囲には、溝部45が形成されている。溝部45には、Oリング46が配置されている。これにより、電池40を外部に対して水密にシールすることができる。
【0051】
ヘッド部50には、図1および図6に示すように、支軸挿入部80と連通した開口部82が形成されている。開口部82によって、支軸部30は、露出されている。開口部82は、ヘッド部60に隣接して(またはヘッド部60の近傍に)形成されている。
【0052】
開口部82によって、ブラシ部60と支軸部30とは、電気的に導通可能となることができる。すなわち、使用者が、導電板44に手を触れながら把持部10を把持し、ブラシ部60によって歯をブラッシングすると、ブラシ部60が唾液等の液体によって濡れ、開口部82を含む液体の連なった経路を介して支軸部30が電気的に導通可能な状態となる。これにより、電流は、電池40から使用者の手、体、歯、ブラシ部60、開口部82を含む液路、支軸部30、電池40という経路で流れることができる。そのため、歯ブラシ100は、電位傾斜によってブラッシング時の歯垢除去効果、ブラッシング効果を高めることができる。
【0053】
なお、本実施形態に係る歯ブラシ100は、ヘッド部50を把持部10から分離することができれば、イオン歯ブラシでなくてもよい。例えば、歯ブラシ100をイオン歯ブラシでない分離型の歯ブラシに適用する場合は、支軸部30、電池収容部41、支軸部挿入部80、および開口部82等を形成せずに適用すればよい。
【0054】
本実施形態に係る歯ブラシ100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0055】
歯ブラシ100によれば、ヘッド部50は、第1角度をなして把持部10に装着された第1状態で、軸A方向において、把持部10に固定され、第2角度をなして把持部10に装着された第2状態で、把持部10から、軸A方向に取り外し可能である。すなわち、歯ブラシ100は、使用者が歯磨きを行う使用状態の第1状態から、ヘッド部50を把持部10に対して回転させて第2状態として、把持部10からヘッド部50を分離させることができる。そのため、例えば、使用状態のまま把持部の軸方向に力を加えてヘッド部を分離する形態に比べて、簡易にヘッド部50を分離することができる。使用者は、例えば一般的に、ヘッド部に対して、把持部の軸方向より軸の回転方向に力を加えやすい。
【0056】
さらに、ヘッド部50を把持部10から分離する場合には、使用状態である第1状態から第2状態にする必要があるため、仮に歯磨き剤が把持部10およびヘッド部50の間に進入して把持部10およびヘッド部50の接合部分(凸部20や足部70)が磨耗したとしても、使用状態である第1状態において、直接ヘッド部50が把持部10から分離する可能性を小さくすることができる。
【0057】
したがって、歯ブラシ100は、ヘッド部50を把持部10に容易に着脱することができ、高い信頼性を有することができる。
【0058】
歯ブラシ100によれば、足部70を構成する第3部分76の第3間隔D3は、第1状態において、くびれ部22の幅W1と同じであり、幅広部24の幅W2よりも小さい。これにより、第3部分76は、くびれ部22に係合し、軸A方向に固定されることができる。さらに、第3間隔D3は、第2状態において、くびれ部22の幅W3および幅広部24の幅W4と同じである。これにより、ヘッド部50は、軸A方向の力が加えられると、第3部分76が凸部20に接触しながら滑らかに軸A方向に移動し、把持部10から容易に分離することができる。
【0059】
歯ブラシ100によれば、凸部20は、軸A方向から見て、対角線上において互いに対向する2つの角部25と、対角線上において互いに対向する2つの面取り部26と、を有することができる。これにより、ヘッド部50は、一方向に回転しやすく、反対方向には回転し難い。すなわち、第1状態において、例えば図1に示すように、ヘッド部50をR方向に90度回転させる場合、ヘッド部50は、面取り部26に沿って滑らかに回転することができる。一方、第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させる場合、ヘッド部50は、角部25によって抵抗を受け、ヘッド部50を、R方向とは反対方向に90度回転させることは困難となる。仮にヘッド部が両方向(時計回りおよび反時計回り)に容易に回転可能だとすると、歯磨きを行っている最中に(すなわち第1状態で)、ヘッド部が把持部に対してグラつきやすくなる可能性がある。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、例えば、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0061】
10 把持部、12 第1面、13 滑り止め部、14 第2面、16 端部、
20 凸部、22 くびれ部、23 突出部、24 幅広部、25 角部、
26 面取り部、30 支軸部、40 電池、41 電池収容部、42 開口部、
43 ばね部、44 導電板、45 溝部、46 Oリング、50 把持部、
52 把持部の面、56 端部、60 ブラシ部、70 足部、72 第1部分、
74 第2部分、76 第3部分、80 支軸挿入部、82 開口部、100 歯ブラシ
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯ブラシの把持部に対してヘッド部を着脱可能に構成し、ヘッド部に設けられたブラシが痛んだ際は、ヘッド部を新しいものと交換する、いわゆる分離型の歯ブラシが知られている。特に、歯ブラシの把持部に電池を内蔵し、この把持部を把持する手を介して微弱な電流を歯とブラシとの間に流し、歯垢を有効に除去するイオン歯ブラシでは、把持部に対してヘッド部を着脱可能にすることにより、使用者のランニングコストを低く抑えることができる。
【0003】
分離型の歯ブラシは、通常、把持部の端部に係合部を設け、ヘッド部の端部(ブラシが設けられていない側の端部)に係合部と係合する被係合部を設け、係合部と被係合部との係合および係合解除により、把持部にヘッド部を着脱可能に装着する構造を備えている(特許文献1参照)。このような歯ブラシにおいて、係合解除は、把持部とヘッド部とに、把持部の軸方向に沿って互いに反対向きの力を加えることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−131223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような分離型の歯ブラシでは、把持部からヘッド部を分離する際に、大きな力が必要となり、容易に分離することができない場合があった。
【0006】
また、上記のような分離型の歯ブラシでは、歯磨剤を用いて歯磨きを行った際に、歯磨剤が把持部とヘッド部との間に侵入する場合がある。このような状態で長期間に亘り歯磨きを繰り返すと、把持部およびヘッド部の接合部分が磨耗し、歯磨き中にヘッド部が把持部から分離してしまうことがあった。その結果、歯ブラシの信頼性が低下することがあった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、ヘッド部を把持部に容易に着脱することができ、高い信頼性を有する歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[適用例1]
本発明に係る歯ブラシの一態様は、
把持部と、
前記把持部に着脱可能であり、ブラシ部が設けられたヘッド部と、
を含み、
前記ヘッド部は、前記把持部に装着された状態で、前記把持部の軸を中心として、前記把持部に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、
前記ヘッド部は、
前記第1角度をなして前記把持部に装着された第1状態で、前記軸の方向において、前記把持部に固定され、
前記第2角度をなして前記把持部に装着された第2状態で、前記把持部から、前記軸の方向に取り外し可能である。
【0009】
[適用例2]
適用例1において、
前記把持部は、該把持部の一方の端部に形成された凸部を有し、
前記凸部は、くびれ部を備え、
前記ブラシ部とは反対側の前記ヘッド部の端部は、二股形状を有し、
前記二股形状を構成する足部は、
該足部の先端に、前記第1状態で前記くびれ部と係合する突起部を有していてもよい。
【0010】
[適用例3]
適用例2において、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、長手方向と短手方向とを有する形状であり、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、
対角線上において互いに対向する2つの角部と、
対角線上において互いに対向する2つの面取り部と、を有していてもよい。
【0011】
[適用例4]
適用例2または3において、
前記把持部には、前記凸部の先端から、前記軸の方向に突出延在された導電性の支軸部が形成され、
前記ヘッド部の前記端部には、前記支軸部が挿入される支軸挿入部が形成され、
前記把持部には、電池が収容される電池収容部が形成され、
前記支軸部は、前記電池の一方の電極に接続されていてもよい。
【0012】
[適用例5]
適用例4において、
前記ヘッド部には、液体を媒体として、前記ブラシ部と前記支軸部とを電気的に導通可能とする開口部が形成されていてもよい。
【0013】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか1例において、
前記ヘッド部が前記把持部に対し回転可能な前記範囲は、90度であってもよい。
【0014】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか1例において、
前記把持部は、
前記第1状態で、前記ブラシ部が設けられた前記ヘッド部の面に連続する第1面と、
前記第1面に接続された第2面と、
を有し、
前記第1面は、前記軸の方向と直交する方向の幅が、前記第2面よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る歯ブラシによれば、ヘッド部は、第1角度をなして把持部に装着された第1状態で、把持部の軸の方向において、把持部に固定され、第2角度をなして把持部に装着された第2状態で、把持部から、把持部の軸の方向に取り外し可能である。すなわち、本発明に係る歯ブラシは、使用者が歯磨きを行う使用状態の第1状態から、ヘッド部を把持部に対して回転させて第2状態として、把持部からヘッド部を分離させることができる。そのため、例えば、使用状態のまま把持部の軸方向に力を加えてヘッド部を分離する形態に比べて、簡易にヘッド部を分離することができる。使用者は、例えば一般的に、ヘッド部に対して、把持部の軸方向より軸の回転方向に力を加えやすい。
【0016】
さらに、本発明に係る歯ブラシによれば、ヘッド部を把持部から分離する場合には、使用状態である第1状態から第2状態にする必要があるため、仮に歯磨き剤が把持部およびヘッド部の間に進入して接合部分が磨耗したとしても、使用状態である第1状態において、直接ヘッド部が分離する可能性を小さくすることができる。
【0017】
したがって、本発明に係る歯ブラシは、ヘッド部を把持部に容易に着脱することができ、高い信頼性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図2】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図3】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図4】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図5】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図6】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図7】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図8】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図9】本実施形態に係る歯ブラシを軸A方向から見た図。
【図10】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す正面図。
【図11】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す側面図。
【図12】本実施形態に係る歯ブラシを、軸A方向から見た図。
【図13】本実施形態に係る歯ブラシを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第1状態を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第1状態を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第2状態を模式的に示す正面図である。図4は、本実施形態に係る歯ブラシ100の第2状態を模式的に示す側面図である。図5は、本実施形態に係る歯ブラシ100の把持部10から、ヘッド部50を取り外した状態を模式的に示す正面図である。図6は、本実施形態に係る歯ブラシ100の把持部10から、ヘッド部50を取り外した状態を模式的に示す側面図である。
【0021】
歯ブラシ100は、図1〜図6に示すように、使用者が把持する把持部10と、把持部10に着脱可能であり、ブラシ部60が設けられたヘッド部50と、を有する。
【0022】
把持部10の形状は、使用者が把持することができれば特に限定されないが、図示の例では、Y軸方向に延在する形状である。把持部10は、軸Aを備えることができる。軸Aは、把持部10を通る任意の軸であるが、例えば図1に示すように、把持部10の長手方向(Y軸方向)に沿う軸であってもよい。
【0023】
図示の例では、把持部10は、略直方体の形状を有し、第1面12と第2面14とを有している。第1面12の幅(X軸方向の幅)は、例えば、第2面14の幅(Z軸方向の幅)より大きい。第1面12には、例えば、使用者が把持したときに滑り止めとなる突起状の滑り止め部13が形成されている。
【0024】
把持部10およびヘッド部50の材質としては、特に限定されないが、例えば、アクリルロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)が挙げられる。
【0025】
ヘッド部50は、図1〜図4に示すように、把持部10に装着された状態で、軸Aを中心として、把持部10に対し少なくとも第1角度から第2角度の範囲で回転可能である。図1および図2は、ヘッド部50が、把持部10に対して第1角度をなして、把持部10に装着された第1状態を示している。図3および図4は、ヘッド部50が、把持部10に対して第2角度をなして、把持部10に装着された第2状態を示している。
【0026】
第1角度は、特に限定されず任意の角度である。図1および図2に示す例では、第1角度は、ヘッド部50の面52(ブラシ部60が設けられた面)が、把持部10の第1面12と連続するような角度である。
【0027】
第2角度は、第1角度と異なる角度であれば、いかなる角度でもよい。図3および図4に示す例では、第2角度は、ヘッド部50の面52が、把持部10の第1面12と90度をなすような角度である。すなわち、図3および図4に示す第2状態は、図1および図2に示す第1状態に対して、ヘッド部50が90度回転した状態(図1のR方向に90度回転した状態)である。
【0028】
ヘッド部50は、図1および図2に示す第1状態で、軸A方向において、把持部10に固定されている。すなわち、第1状態では、ヘッド部50は、把持部10から分離されない。一方、ヘッド部50は、図3および図4に示す第2状態で、把持部10から、軸A方向に取り外し可能である(図5および図6参照)。
【0029】
使用者は、第1状態(図1および図2参照)で歯磨きを行うことができる。そして、ヘッド部50を分離する場合、使用者は、ヘッド部50を把持部10に対して第2角度となるように回転させて第2状態とし(図3および図4参照)、ヘッド部50を軸A方向に引き抜くことによって、ヘッド部50を把持部10から分離することができる(図5および図6参照)。逆に、ヘッド部50を把持部10に装着する場合、使用者は、支軸部30をヘッド部50の支軸部挿入部80に挿入して第2状態とし、ヘッド部50を把持部10に対して第1角度となるように回転させて第1状態とすることができる。
【0030】
なお、図示の例では、把持部10は、第1面12および第2面14を備えた略直方体の形状を有しているが、例えば、略円柱状の形状を有していてもよい。この場合、第1状態における第1角度は、ヘッド部50が軸A方向において、把持部10に固定されるような角度であれば、いかなる角度でもよい。第2状態における第2角度は、第1角度と異なる角度であって、ヘッド部50が軸A方向に取り外し可能であれば、いかなる角度でもよい。
【0031】
次に、把持部10の端部16(ヘッド部50が装着される側の端部)近傍の構造について、説明する。図7は、図1に示す歯ブラシ100の把持部10の端部16近傍を模式的に示す正面図である。図8は、図2に示す歯ブラシ100の把持部10の端部16近傍を模式的に示す側面図である。図9は、図1に示す歯ブラシ100の把持部10を軸A方向から見た(Y軸の矢印方向とは反対の方向から見た)図である。なお、図7〜図9では、便宜上、ヘッド部50の図示を省略している。
【0032】
把持部10は、図7〜図9に示すように、端部16に形成された凸部20を有することができる。凸部20は、くびれ部22と、くびれ部22よりも凸部20の先端側に位置する幅広部24と、を有することができる。
【0033】
くびれ部22の幅W1(X軸方向の幅)は、図7および図9に示すように、幅広部24の幅W2(X軸方向の幅)に比べて小さい。くびれ部20の幅W3(Z軸方向の幅)は、例えば、図8および図9に示すように、幅広部24の幅W4(Z軸方向の幅)と同じである。くびれ部20は、図1に示すように第1状態において、ヘッド部50の突起部76(第3部分76)に係合されることができる。
【0034】
くびれ部22は、X軸方向に突出した突出部23を有することができる。図7および図9に示すように、突出部23によって、くびれ部16は、X軸方向の幅が幅広部24の幅W2と同じとなる部分を有していてもよい。突出部23は、第1状態において、ヘッド部50の第3部分76に形成された溝部77(図12参照)と係合することができる。
【0035】
幅広部24は、図9に示すようにY軸方向から見て(軸A方向から見て)、例えば、長手方向と短手方向とを有する形状である。図示の例では、長手方向はX軸方向であり、短手方向はZ軸方向である。すなわち、幅広部24は、X軸方向の幅W2が、Z軸方向の幅W4よりも大きい形状を有する。
【0036】
幅広部24は、図9に示すように、対角線上において互いに対向する2つの角部25と、対角線上において互いに対向する2つの面取り部26と、を有することができる。図示の例では、面取り部26は、円弧の形状を有している。これにより、ヘッド部50は、把持部10に対して、一方向に回転しやすく反対方向には回転し難い。すなわち、図1に示すように第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向に90度回転させる場合、ヘッド部50は、面取り部26に沿って滑らかに回転することができる。一方、第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させる場合、ヘッド部50は、角部25によって抵抗を受け、ヘッド部50を、R方向とは反対方向に90度回転させることは困難となる。
【0037】
なお、ヘッド部50に、角部25によって受ける抵抗力よりも大きな力を加えることにより、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させることが可能であってもよい。このような場合、ヘッド部50は、把持部10に対して第1角度から第2角度の範囲を超えて回転可能であってもよい。
【0038】
把持部10には、凸部20の先端から、軸A方向に突出延在された支軸部30が形成されている。支軸部30は、導電性を有する。支軸部30の形状は、特に限定されてないが、図示の例では、円柱状である。支軸部30は、ヘッド部50に設けられたブラシ部60近傍まで延在している。
【0039】
次に、ヘッド部50の端部56(ブラシ部60とは反対側の端部)近傍の構造について、説明する。図10は、図1に示す歯ブラシ100のヘッド部50の端部56近傍を模式的に示す正面図である。図11は、図2に示す歯ブラシ100のヘッド部50の端部56近傍を模式的に示す側面図である。図12は、図1に示す歯ブラシ100のヘッド部50を軸A方向から見た(Y軸の矢印方向から見た)図である。なお、図10〜図12では、便宜上、把持部10および支軸部30の図示を省略している。
【0040】
ヘッド部50の端部56は、図10に示すように、二股形状を有することができる。二股形状は、ヘッド部50の2つの足部70によって構成されている。足部70は、第1部分72、第2部分74、および第3部分76を有することができる。
【0041】
第1部分72は、二股形状を構成する足部70の根元の部分である。2つの第1部分72は、例えば、第1間隔D1を隔てて設けられている。第1部分72によって、足部70は、X軸方向に弾性力を有することができる。これにより、第1状態において、第3部分76は、くびれ部22に係合することができる。第1間隔D1の大きさは、足部70が弾性力を有することができれば、特に限定されない。
【0042】
第2部分74は、第1部分72よりも足部70の先端側に、第1部分72と連続して設けられている。2つの第2部分74は、例えば、第2間隔D2を隔てて設けられている。第2間隔D2は、第1間隔D1よりも大きい。図示の例では、第2間隔D2は、幅広部24の幅W2と同じ大きさである。第2部分74は、幅広部24を相補する形状を有していてもよい。
【0043】
第3部分76は、図10に示すように、第2部分74よりも足部70の先端側に、第2部分74と連続して設けられている。第3部分76は、第2部分74よりもX軸方向に突起した形状である。したがって、第3部分76は、突起部76ということもできる。2つの第3部分76は、例えば、第3間隔D3を隔てて設けられている。第3間隔D3は、第1間隔D1よりも大きく、第2間隔D2よりも小さい。
【0044】
図示の例では、第3間隔D3は、第1状態において、くびれ部22の幅W1と同じであり、幅広部24の幅W2よりも小さい。これにより、第3部分76は、くびれ部22に係合し、軸A方向に固定されることができる。さらに、第3間隔D3は、第2状態において、くびれ部22の幅W3および幅広部24の幅W4と同じである。これにより、ヘッド部50は、軸A方向の力が加えられると、第3部分76が凸部20に接触しながら軸A方向に滑らか移動し、把持部10から容易に分離することができる。
【0045】
第3部分76には、図12に示すように、溝部77が形成されている。溝部77は、くびれ部22の突出部23と相補する形状である。そのため、溝部77は、第1状態において、突出部23に係合されることができる。これにより、使用者が第1状態で歯磨きをしている場合に、ヘッド部50が不必要に回転することを抑制することができる。なお、図12に示すように、2つの溝部77のうちの一方は、円弧状の形状を有していてもよい。これにより、ヘッド部50を把持部10に対して、一方向に回転しやすくすることができる。
【0046】
ヘッド部50には、支軸部30が挿入される支軸挿入部80が形成されている。支軸挿入部80は、図12に示すように、例えば、ヘッド部50の中心部に形成されている。支軸挿入部80の形状は、支軸部30を挿入できれば特に限定されないが、図示の例では、筒状である。支軸挿入部80は、図5および図6に示すように、ブラシ部60近傍まで形成されている。
【0047】
歯ブラシ100が上記のような形状を有することにより、ヘッド部50は、第1状態で、軸A方向において把持部10に固定され、第2状態で、把持部10から軸A方向に取り外し可能となる。
【0048】
次に、歯ブラシ100の、いわゆるイオン歯ブラシとしての機構等について、説明する。図13は、本実施形態に係る歯ブラシ100を模式的に示す図1のXIII−XIII線断面図である。
【0049】
把持部10には、図13に示すように、電池40が収容される電池収容部41が形成されている。電池40は、例えば、円盤状のリチウム電池である。図示の例では、電池収容部41底部には、開口部42が形成されており、開口部42には支軸部30が配置されている。電池40の一方の電極(例えば負極)は、支持部30に接触している。電池40の他方の電極(例えば正極)は、導電性のばね部43に接触しており、ばね部43は、収容部40を覆う導電性の導電板44と接触している。ばね部43によって、支軸部30と電池40とは、密接に接触されることができる。導電板44は、図13に示すように、把持部10を取り囲むように形成されていてもよい。導電板44の材質としては、例えば、チタン、ステンレスが挙げられる。
【0050】
把持部10の電池収容部41の周囲には、溝部45が形成されている。溝部45には、Oリング46が配置されている。これにより、電池40を外部に対して水密にシールすることができる。
【0051】
ヘッド部50には、図1および図6に示すように、支軸挿入部80と連通した開口部82が形成されている。開口部82によって、支軸部30は、露出されている。開口部82は、ヘッド部60に隣接して(またはヘッド部60の近傍に)形成されている。
【0052】
開口部82によって、ブラシ部60と支軸部30とは、電気的に導通可能となることができる。すなわち、使用者が、導電板44に手を触れながら把持部10を把持し、ブラシ部60によって歯をブラッシングすると、ブラシ部60が唾液等の液体によって濡れ、開口部82を含む液体の連なった経路を介して支軸部30が電気的に導通可能な状態となる。これにより、電流は、電池40から使用者の手、体、歯、ブラシ部60、開口部82を含む液路、支軸部30、電池40という経路で流れることができる。そのため、歯ブラシ100は、電位傾斜によってブラッシング時の歯垢除去効果、ブラッシング効果を高めることができる。
【0053】
なお、本実施形態に係る歯ブラシ100は、ヘッド部50を把持部10から分離することができれば、イオン歯ブラシでなくてもよい。例えば、歯ブラシ100をイオン歯ブラシでない分離型の歯ブラシに適用する場合は、支軸部30、電池収容部41、支軸部挿入部80、および開口部82等を形成せずに適用すればよい。
【0054】
本実施形態に係る歯ブラシ100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0055】
歯ブラシ100によれば、ヘッド部50は、第1角度をなして把持部10に装着された第1状態で、軸A方向において、把持部10に固定され、第2角度をなして把持部10に装着された第2状態で、把持部10から、軸A方向に取り外し可能である。すなわち、歯ブラシ100は、使用者が歯磨きを行う使用状態の第1状態から、ヘッド部50を把持部10に対して回転させて第2状態として、把持部10からヘッド部50を分離させることができる。そのため、例えば、使用状態のまま把持部の軸方向に力を加えてヘッド部を分離する形態に比べて、簡易にヘッド部50を分離することができる。使用者は、例えば一般的に、ヘッド部に対して、把持部の軸方向より軸の回転方向に力を加えやすい。
【0056】
さらに、ヘッド部50を把持部10から分離する場合には、使用状態である第1状態から第2状態にする必要があるため、仮に歯磨き剤が把持部10およびヘッド部50の間に進入して把持部10およびヘッド部50の接合部分(凸部20や足部70)が磨耗したとしても、使用状態である第1状態において、直接ヘッド部50が把持部10から分離する可能性を小さくすることができる。
【0057】
したがって、歯ブラシ100は、ヘッド部50を把持部10に容易に着脱することができ、高い信頼性を有することができる。
【0058】
歯ブラシ100によれば、足部70を構成する第3部分76の第3間隔D3は、第1状態において、くびれ部22の幅W1と同じであり、幅広部24の幅W2よりも小さい。これにより、第3部分76は、くびれ部22に係合し、軸A方向に固定されることができる。さらに、第3間隔D3は、第2状態において、くびれ部22の幅W3および幅広部24の幅W4と同じである。これにより、ヘッド部50は、軸A方向の力が加えられると、第3部分76が凸部20に接触しながら滑らかに軸A方向に移動し、把持部10から容易に分離することができる。
【0059】
歯ブラシ100によれば、凸部20は、軸A方向から見て、対角線上において互いに対向する2つの角部25と、対角線上において互いに対向する2つの面取り部26と、を有することができる。これにより、ヘッド部50は、一方向に回転しやすく、反対方向には回転し難い。すなわち、第1状態において、例えば図1に示すように、ヘッド部50をR方向に90度回転させる場合、ヘッド部50は、面取り部26に沿って滑らかに回転することができる。一方、第1状態において、例えば、ヘッド部50をR方向とは反対方向に回転させる場合、ヘッド部50は、角部25によって抵抗を受け、ヘッド部50を、R方向とは反対方向に90度回転させることは困難となる。仮にヘッド部が両方向(時計回りおよび反時計回り)に容易に回転可能だとすると、歯磨きを行っている最中に(すなわち第1状態で)、ヘッド部が把持部に対してグラつきやすくなる可能性がある。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、例えば、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0061】
10 把持部、12 第1面、13 滑り止め部、14 第2面、16 端部、
20 凸部、22 くびれ部、23 突出部、24 幅広部、25 角部、
26 面取り部、30 支軸部、40 電池、41 電池収容部、42 開口部、
43 ばね部、44 導電板、45 溝部、46 Oリング、50 把持部、
52 把持部の面、56 端部、60 ブラシ部、70 足部、72 第1部分、
74 第2部分、76 第3部分、80 支軸挿入部、82 開口部、100 歯ブラシ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、
前記把持部に着脱可能であり、ブラシ部が設けられたヘッド部と、
を含み、
前記ヘッド部は、前記把持部に装着された状態で、前記把持部の軸を中心として、前記把持部に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、
前記ヘッド部は、
前記第1角度をなして前記把持部に装着された第1状態で、前記軸の方向において、前記把持部に固定され、
前記第2角度をなして前記把持部に装着された第2状態で、前記把持部から、前記軸の方向に取り外し可能である、歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1において、
前記把持部は、該把持部の一方の端部に形成された凸部を有し、
前記凸部は、くびれ部を備え、
前記ブラシ部とは反対側の前記ヘッド部の端部は、二股形状を有し、
前記二股形状を構成する足部は、
該足部の先端に、前記第1状態で前記くびれ部と係合する突起部を有する、歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2において、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、長手方向と短手方向とを有する形状であり、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、
対角線上において互いに対向する2つの角部と、
対角線上において互いに対向する2つの面取り部と、を有する、歯ブラシ。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記把持部には、前記凸部の先端から、前記軸の方向に突出延在された導電性の支軸部が形成され、
前記ヘッド部の前記端部には、前記支軸部が挿入される支軸挿入部が形成され、
前記把持部には、電池が収容される電池収容部が形成され、
前記支軸部は、前記電池の一方の電極に接続される、歯ブラシ。
【請求項5】
請求項4において、
前記ヘッド部には、液体を媒体として、前記ブラシ部と前記支軸部とを電気的に導通可能とする開口部が形成されている、歯ブラシ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記ヘッド部が前記把持部に対し回転可能な前記範囲は、90度である、歯ブラシ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記把持部は、
前記第1状態で、前記ブラシ部が設けられた前記ヘッド部の面に連続する第1面と、
前記第1面に接続された第2面と、
を有し、
前記第1面は、前記軸の方向と直交する方向の幅が、前記第2面よりも大きい、歯ブラシ。
【請求項1】
把持部と、
前記把持部に着脱可能であり、ブラシ部が設けられたヘッド部と、
を含み、
前記ヘッド部は、前記把持部に装着された状態で、前記把持部の軸を中心として、前記把持部に対し第1角度から第2角度の範囲で回転可能であり、
前記ヘッド部は、
前記第1角度をなして前記把持部に装着された第1状態で、前記軸の方向において、前記把持部に固定され、
前記第2角度をなして前記把持部に装着された第2状態で、前記把持部から、前記軸の方向に取り外し可能である、歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1において、
前記把持部は、該把持部の一方の端部に形成された凸部を有し、
前記凸部は、くびれ部を備え、
前記ブラシ部とは反対側の前記ヘッド部の端部は、二股形状を有し、
前記二股形状を構成する足部は、
該足部の先端に、前記第1状態で前記くびれ部と係合する突起部を有する、歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2において、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、長手方向と短手方向とを有する形状であり、
前記凸部は、前記軸の方向から見て、
対角線上において互いに対向する2つの角部と、
対角線上において互いに対向する2つの面取り部と、を有する、歯ブラシ。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記把持部には、前記凸部の先端から、前記軸の方向に突出延在された導電性の支軸部が形成され、
前記ヘッド部の前記端部には、前記支軸部が挿入される支軸挿入部が形成され、
前記把持部には、電池が収容される電池収容部が形成され、
前記支軸部は、前記電池の一方の電極に接続される、歯ブラシ。
【請求項5】
請求項4において、
前記ヘッド部には、液体を媒体として、前記ブラシ部と前記支軸部とを電気的に導通可能とする開口部が形成されている、歯ブラシ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記ヘッド部が前記把持部に対し回転可能な前記範囲は、90度である、歯ブラシ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記把持部は、
前記第1状態で、前記ブラシ部が設けられた前記ヘッド部の面に連続する第1面と、
前記第1面に接続された第2面と、
を有し、
前記第1面は、前記軸の方向と直交する方向の幅が、前記第2面よりも大きい、歯ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−17670(P2013−17670A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153640(P2011−153640)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(592116844)フクバデンタル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(592116844)フクバデンタル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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