説明

残圧排気弁

【課題】残圧排気弁において、軽量化を図ると共に組付性向上を図る。
【解決手段】残圧排気弁10は、第1及び第2ポート20、22、排気ポート24を有したボディ12と、該ボディ12に連結されるボンネット14と、前記ボンネット14に対して回転自在に設けられるハンドル18とを備え、前記ボンネット14の外周側には、円筒状で、しかも、断面円弧状に2分割可能なカムリング68が設けられる。このカムリング68は、樹脂製材料から形成され、ハンドル18の内部に固定されると共に、弁機構16を構成するバルブ90の連結部102に挿通されたピン92が係合されるカム溝78a、78bを備える。そして、ハンドル18を回転させることでカム溝78a、78bに挿通されたピン92が上下方向に移動し、それに伴って、バルブ90が軸方向に移動して第1及び第2ポート20、22、排気ポート24の連通状態が切り換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力流体供給源と流体圧機器との間に設けられ、該流体圧機器側に残存した圧力を排気することが可能な残圧排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、圧力流体を供給する圧力流体供給源と該圧力流体の供給作用下に駆動する流体圧機器との間に設けられ、前記圧力流体供給源と前記流体圧機器との間に残存した圧力流体を排出するための残圧排気弁を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−145985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、組付性の向上を図ることが可能な残圧排気弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポートと、連通室を介して前記第1及び第2ポートに連通する第3ポートとを有したボディと、前記ボディの内部に設けられ、前記第1〜第3ポート間における前記圧力流体の流通状態を切り換える弁体を有した弁機構と、前記弁機構を駆動させる操作部とを備える残圧排気弁であって、
前記操作部は、前記ボディに対して回転自在に設けられ、前記操作部と前記ボディとの間には、該操作部の回転動作を直線動作へと変換して前記弁体に伝達する変換手段を備え、
前記変換手段は、前記弁体に挿通されたピンと、前記ピンを案内する傾斜溝を有した円筒状のカムリングとからなり、前記カムリングが半径方向に分割自在な2つの分割体から形成されることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、弁機構を駆動させる操作部とボディとの間には、回転自在に設けられた操作部の回転動作を直線動作へと変換して前記弁機構の弁体へと伝達する変換手段が設けられ、前記変換手段は、弁体に挿入されたピンを案内する傾斜溝を有し、2つの分割体からなる円筒状のカムリングを備える。
【0007】
従って、カムリングをボディに対して組み付ける際、2つに分割された分割体を前記ボディの外周側から半径内方向に接近させて組み付けることができるため、前記カムリングを前記ボディに対して簡便且つ確実に組み付けることが可能となり、それに伴って、残圧排気弁の組付性を向上させることができる。
【0008】
さらに、カムリングには、半径方向に傾動自在であり、且つ、操作部の内周面に係合可能なフックを設けるとよい。
【0009】
さらにまた、ボディには、該ボディの軸方向に沿って延在し、前記ピンが挿通されるピン溝を形成するとよい。
【0010】
またさらに、カムリングを、樹脂製材料から形成するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0012】
すなわち、操作部の回転動作を直線動作へと変換して弁機構の弁体へと伝達する変換手段を備え、前記変換手段が、弁体に挿入されたピンを案内する傾斜溝を有し、2つの分割体からなる円筒状のカムリングから構成されることにより、前記カムリングをボディに対して組み付ける際に、2つに分割された分割体を前記ボディの外周側から半径内方向に接近させて組み付けることができる。そのため、カムリングを前記ボディに対して簡便且つ確実に組み付けることが可能となり、それに伴って、残圧排気弁の組付性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る残圧排気弁の外観斜視図である。
【図2】図1に示す残圧排気弁の分解斜視図である。
【図3】図1に示す残圧排気弁の全体断面図である。
【図4】図1に示す残圧排気弁の平面図である。
【図5】図4の残圧排気弁においてハンドルを90°だけ回動させた状態を示す平面図である。
【図6】図5のようにハンドルを回転させ、第2ポートと排気ポートとを連通させた排気状態を示す残圧排気弁の全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る残圧排気弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る残圧排気弁を示す。
【0016】
この残圧排気弁10は、図1〜図3に示されるように、ボディ12と、該ボディ12の上部に連結されるボンネット(ボディ)14と、前記ボディ12及びボンネット14の内部に設けられる弁機構16と、前記ボンネット14の上部に回転自在に設けられるハンドル(操作部)18とを含む。
【0017】
ボディ12には、その一側部に開口して図示しない流体圧機器が接続される第1ポート20と、他側部に開口して図示しない別の流体圧機器が接続される第2ポート22と、前記第1及び第2ポート20、22と直交するように下方(矢印A方向)に向かって開口した排気ポート(第3ポート)24と、前記第1及び第2ポート20、22、排気ポート24にそれぞれ連通した連通室26とを備える。すなわち、この残圧排気弁10は、ボディ12に第1及び第2ポート20、22、排気ポート24を有した3ポート弁である。
【0018】
第1及び第2ポート20、22は、ボディ12の軸線と直交した略水平方向に向かってそれぞれ開口し、該第1及び第2ポート20、22の近傍には、該第1及び第2ポート20、22の開口部32から離間する方向に突出した取付部28a、28b(図1参照)がそれぞれ形成される。この取付部28a、28bは、ボディ12に対して接続金具を介して図示しない流体圧機器を連結される際に用いられる。
【0019】
連通室26は、ボディ12の軸方向(矢印A方向)に沿った下部に排気ポート24が連通し、該連通室26と排気ポート24との間には、弁機構16を構成するバルブ(弁体)90の挿入される収納孔30が形成される。この収納孔30は、略一定径で軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定深さで形成される。
【0020】
一方、ボディ12の上部には、上方に向かって開口した開口部32を有し、該開口部32が連通室26と連通しており、上部からボンネット14の一部が挿入され前記連通室26内に配置される。
【0021】
また、排気ポート24の側部には、該排気ポート24から離間する方向に突出した取付フランジ34が形成される。この取付フランジ34は、排気ポート24の外周面に対して両側に形成されると共に、図示しないボルトの挿通される一対の孔部36が形成される。そして、孔部36に挿通されたボルトが、例えば、壁面や他の部材に螺合されることによりボディ12を介して残圧排気弁10が前記壁面等に固定される。
【0022】
ボンネット14は、プレート状のベース部38と、該ベース部38の下部に形成されボディ12の内部に挿入される挿入部40と、前記ベース部38の上部に形成される円筒部42とを含む。
【0023】
ベース部38は、ボディ12の開口部32を閉塞するように略長方形状に形成され、前記ボディ12の上面に形成されたシール溝にシールリング44が装着された後、前記ベース部38が前記開口部32に装着されることで前記開口部32が閉塞されると共に、シールリング44によってボディ12とボンネット14との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0024】
また、ベース部38には、挿入部40及び円筒部42の外周面に対して半径外方向に離間した位置に4つの挿通孔46が形成され、前記挿通孔46にそれぞれ挿通された締結ボルト48がボディ12の開口部32近傍に設けられた4つのねじ孔50にそれぞれ螺合されることにより、ボンネット14の一部がボディ12の連通室26に挿入され、且つ、ベース部38が開口部32を閉塞した状態でボディ12とボンネット14とが連結される。
【0025】
さらに、ボンネット14には、円筒部42の外周面から半径外方向に突出した一対の第1突片52が形成される。第1突片52は、断面略矩形状に形成され、円筒部42を中心として互いに反対側となる位置に設けられると共に、該第1突片52の厚さ方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した第1ロック孔54がそれぞれ形成される。詳細には、第1突片52は、ボンネット14をボディ12に装着した際に、第1及び第2ポート20、22の軸線を挟んで互いに反対側となり、且つ、円筒部42の軸線を中心として180°離間した位置に設けられる。
【0026】
換言すれば、第1突片52は、ボンネット14を構成するベース部38の長手方向、該長手方向と直交する直交方向に対してそれぞれ所定角度だけ傾斜した位置に設けられる。
【0027】
挿入部40は、円筒状に形成され、ボディ12の開口部32を通じて連通室26内に挿入され、前記連通室26に形成された保持部56に保持される。これにより、ボディ12に対してボンネット14が位置決めされた状態で固定されることとなる。また、挿入部40には、半径方向に貫通した連通孔58が周方向に沿って複数形成され、前記連通孔58を介して第1ポート20と挿入部40の内部とが連通する。すなわち、連通孔58を通じて第1ポート20と連通室26とが連通している。
【0028】
円筒部42は、ベース部38に対して所定高さで上方(矢印B方向)に向かって突出し、該ベース部38の上面に接合された大径部60と、該大径部60の上部に形成され縮径した小径部62とを備え、前記小径部62には軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在する一対のピン溝64が形成される。なお、この円筒部42は挿入部40と同軸上に設けられる。
【0029】
このピン溝64は、小径部62の頂部から大径部60との接合部まで一直線上に延在すると共に前記小径部62の半径方向に貫通している。また、一方のピン溝64と他方のピン溝64とが、円筒部42の軸線を中心として互いに対向する位置に形成される。
【0030】
また、円筒部42の内部には、略一定径で軸方向(矢印A、B方向)に貫通した貫通孔66が形成され、前記貫通孔66は、前記円筒部42、ベース部38及び挿入部40を貫通するように一直線上に形成されると共に、ボディ12における収納孔30の直径と略同一直径で形成される。
【0031】
一方、円筒部42を構成する小径部62の外周側には、円筒状のカムリング68が設けられると共に、前記カムリング68の下端部及び小径部62の一部を覆うようにリング体70が設けられる。
【0032】
カムリング68は、例えば、樹脂製材料で形成され、2分割された断面円弧状の分割体72a、72bからなり、軸方向(矢印A、B方向)に分割された2つの分割体72a、72bを組み合わせることで断面環状の円筒体となる。分割体72a、72bの接合面には、図2に示されるように、一方の接合面に長方形状に開口した凹部74が形成され、他方の接合面に断面長方形状で突出した凸部76が形成される。なお、カムリング68は、樹脂製材料から形成される場合に限定されるものではなく、例えば、金属製材料から形成するようにしてもよい。
【0033】
そして、2つの分割体72a、72bを組み合わせる際、接合面同士を当接させると同時に、一方の分割体72aの凸部76を他方の分割体72bにおける凹部74に挿入し、他方の分割体72bの凸部76を一方の分割体72aにおける凹部74に挿入することで互いに連結させる。
【0034】
分割体72a、72bは、その周面に沿ってカム溝78a、78bが形成され、該カム溝78a、78bは、分割体72a、72bの軸方向(矢印A、B方向)に対して所定角度だけ傾斜して形成される。また、カム溝78a、78bは、例えば、略一定の幅寸法で形成され、その一端部が分割体72a、72bの下部側(矢印A方向)に位置し、他端部が前記一端部に対して上昇した上部側(矢印B方向)に位置するように形成される。
【0035】
また、分割体72a、72bの上部には、半径内方向に傾動可能なフック80a、80bがそれぞれ設けられ、カムリング68の外周側にハンドル18が配置された際、該ハンドル18の内周面に形成された係合部122にフック80a、80bの爪部82が係合される。これにより、カムリング68は、一対のフック80a、80bによってハンドル18に係合され、該ハンドル18と共に一体的に回転することとなる。
【0036】
リング体70は、ボンネット14における大径部60の外周側に配置され、該外周部に形成された溝部84に前記リング体70の内周面に設けられた突起部86が挿入されることで、前記ボンネット14に対するリング体70の回転変位が防止される。このリング体70の外周面には、ハンドル18の回転位置に基づいて残圧排気弁10における圧力流体の流通状態を示すための表示部88が設けられている。
【0037】
弁機構16は、軸方向に沿って長尺なバルブ90と、前記バルブ90の上部に設けられカムリング68に係合されるピン92を保持する連結カバー94とを含む。
【0038】
このバルブ90は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有したシャフト部96と、前記シャフト部96の下端部に設けられボディ12の連通室26に収納される弁部98と、前記弁部98に対して所定間隔離間したガイド部100と、前記ガイド部100に対して所定間隔離間し、前記シャフト部96の上端部に設けられた連結部102とからなる。
【0039】
弁部98は、シャフト部96に対して半径外方向に拡径した有底筒状に形成され、その外周面には軸方向に所定間隔離間して一対の第1Oリング104が設けられると共に、該弁部98の内部には、排気ポート24の内壁面との間にスプリング106が介装される。このスプリング106は、収納孔30の内部に設けられ、その弾発力によって弁部98を介してバルブ90を前記排気ポート24から離間させる方向(矢印B方向)に付勢している。
【0040】
ガイド部100は、シャフト部96に対して半径外方向に拡径して形成され、その外周面がボンネット14の貫通孔66の内周面に摺接し、前記外周面に装着された第2Oリング108が前記内周面に当接することで、前記ガイド部100とボンネット14との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。すなわち、ガイド部100は、ボンネット14の貫通孔66に摺接することでバルブ90を軸方向(矢印A、B方向)に沿って案内するガイド機能を備える。
【0041】
連結部102は、断面略矩形状に形成され、断面U字状に形成された連結カバー94が上方から装着されることで覆われると共に、前記バルブ90の軸線と直交方向に貫通した第1ピン孔110を備える。そして、連結部102に連結カバー94が装着された状態で、該連結カバー94の第2ピン孔112と第1ピン孔110とが同軸上となりそれぞれピン92が挿通されることで、前記連結カバー94が連結部102に対して保持される。このピン92の長さは、その両端部が連結部102の側面に対して突出するように設定される。
【0042】
ピン92は、連結部102及び連結カバー94に挿通された状態で、その両端部がボンネット14のピン溝64にそれぞれ挿通されると共に、該ボンネット14の外周側においてカムリング68のカム溝78a、78bにそれぞれ挿通される。すなわち、バルブ90は、その連結部102に挿通されたピン92がボンネット14のピン溝64に挿通されることで、軸方向(矢印A、B方向)への変位のみが許容され回転変位が規制された状態となる。
【0043】
また、ピン92は、図3に示されるように、バルブ90が下方(矢印A方向)に変位し、弁部98がボディ12の収納孔30に収納された状態でカム溝78a、78bの一端部に位置し、図6に示されるように、前記バルブ90が上方(矢印B方向)に変位し、前記弁部98がボンネット14の貫通孔66に収納された状態でカム溝78a、78bの他端部に位置している。
【0044】
ハンドル18は、有底円筒状に形成された本体部114と、該本体部114の外周面に対して半径外方向に突出した一対の把持部116と、前記本体部114の下端部において半径外方向に突出した一対の第2突片118と、前記第2突片118と交差するように設けられた第3突片120とを備える。なお、把持部116は、本体部114の中心に対して略対称となる位置にそれぞれ設けられ、ハンドル18を回転させる際に作業者(図示せず)が把持するために設けられている。
【0045】
本体部114の内部には、有底状の頂部近傍に半径内方向に突出した一対の係合部122が形成され、カムリング68のフック80a、80bが係合されることでハンドル18に対して前記カムリング68が固定される。
【0046】
また、本体部114の外周壁には、図1及び図2に示されるように、略矩形状に開口して内部まで貫通した窓部124が設けられ、該窓部124を通じて外部からリング体70の表示部88を視認可能である。例えば、この表示部88は、残圧排気弁10による圧力流体の供給状態を示す表示(例えば、給気、排気等)が表記されており、外部から表示部88を確認することで容易且つ確実に前記供給状態を確認することができる。
【0047】
第2突片118は、把持部116に近接して設けられ、断面略矩形状に形成され、本体部114を中心として互いに反対側となる位置に設けられると共に、該第2突片118の厚さ方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した第2ロック孔126がそれぞれ形成される。すなわち、第2突片118は、本体部114の軸線を中心としてそれぞれ180°毎離間した位置に配置される。
【0048】
一方、第3突片120は、断面略矩形状に形成され、本体部114を中心として互いに反対側となる位置、且つ、前記第2突片118に対して約90°離間した位置に設けられる。
【0049】
換言すれば、第3突片120は、本体部114の軸線を中心としてそれぞれ180°毎離間した位置に配置される。
【0050】
そして、ハンドル18は、ボディ12に装着されたボンネット14の円筒部42を覆うように設けられ、該円筒部42の上部が本体部114の頂部に当接することで回転自在に支持される。
【0051】
本発明の実施の形態に係る残圧排気弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、図3に示す第1ポート20と第2ポート22とが連通した給気状態を初期状態として説明する。
【0052】
先ず、上述した給気状態では、図3に示されるように、バルブ90がスプリング106の弾発力に抗してピン92によって押し下げられ、その弁部98が収納孔30内に収納されることで排気ポート24と連通室26との連通を遮断すると同時に、連通室26を介して第1ポート20と第2ポート22とが連通している。また、ハンドル18は、その第3突片120が第1突片52に臨む位置にある(図1参照)。
【0053】
そして、第1ポート20に接続された流体圧機器からボディ12の内部に圧力流体が供給され、前記第1ポート20、連通室26を経て第2ポート22に接続された別の流体圧機器へと前記圧力流体が流通する。なお、この場合、ハンドル18の窓部124には、「給気状態」を示す表示部88が表示されている。
【0054】
また、第1突片52は、ハンドル18の第3突片120によって覆われており、第1ロック孔54が上方から視認できない状態にある。
【0055】
次に、下流側となる第2ポート22側の圧力流体を排気ポート24を通じて排気する場合について説明する。
【0056】
先ず、図示しない作業者がハンドル18を把持し、図5に示されるように、残圧排気弁10を上方から見て反時計回り方向に約90°だけ回転させる。これにより、ハンドル18と共にカムリング68が回転するため、ピン92が前記カムリング68の回転に伴って該カム溝78a、78bの他端部側に向かって徐々に移動する。これにより、図6に示されるように、連結部102にピン92の挿通されたバルブ90が該ピン92の移動作用下に徐々に上昇し、弁部98が収納孔30から離脱して連通室26を経て貫通孔66に挿入される。この際、ピン92は、ボンネット14のピン溝64に挿通されているため、ハンドル18及びカムリング68の回転作用下にバルブ90が回転してしまうことがなく、軸方向(矢印B方向)に沿ってのみ変位する。
【0057】
すなわち、カムリング68及び該カムリング68のカム溝78a、78bに挿通されるピン92は、ハンドル18の回転動作を直線動作へ変換してバルブ90へと伝達する変換手段として機能する。
【0058】
その結果、排気ポート24の遮断状態が解除され、第2ポート22と前記排気ポート24とが連通室26を介して連通すると共に、連通孔58と連通室26との連通が貫通孔66に挿入された弁部98によって遮断される。すなわち、第1ポート20と第2ポート22との連通が遮断され、該第2ポート22と排気ポート24とが連通した状態となる。
【0059】
これにより、第2ポート22側(下流側)に残存している圧力流体が排気ポート24を通じて外部へと排気される排気状態となる。なお、この場合、第1ポート20に供給される圧力流体は継続的に供給されているが、弁部98によって遮断されているため連通室26へと流通することはない。この場合、ハンドル18の窓部124には、「排気状態」を示す表示部88が表示されている。
【0060】
また、上述した給気状態からハンドル18を回転させることで、その第2突片118とボンネット14の第1突片52とが上下方向(矢印A、B方向)に重なり、その第2ロック孔126と第1ロック孔54とが同軸上に配置され貫通した状態となる。そこで、例えば、図示しない南京錠等のロック手段を第1及び第2ロック孔54、126に挿通させた後に施錠することで、前記ハンドル18の回転変位が規制されたロック状態となり、第2ポート22と排気ポート24とが連通した排気状態から誤ってハンドル18が回転されてしまうことが防止され、前記排気状態が確実に維持される。
【0061】
以上のように、本実施の形態では、カム溝78a、78bを有したカムリング68を、軸方向(矢印A、B方向)に沿って2分割した2つの分割体72a、72bから構成し、該分割体72a、72bを組み合わせて構成することで、前記カムリング68をボンネット14の円筒部42に対して組み付ける際、該円筒部42の外周側から半径内方向に接近させて行うことができる。そのため、カムリング68をボンネット14に対して簡便に組み付けることが可能となり、それに伴って、残圧排気弁10の組付性を向上させることができる。
【0062】
また、カムリング68を樹脂製材料から形成しているため、金属製材料から形成した場合と比較して軽量化を図ることができる。
【0063】
さらに、カムリング68の外周壁に一対のフック80a、80bを設けることで、該カムリング68をハンドル18の内部に挿入して突起部86に係合させるという簡単な作業で、前記カムリング68を確実且つ容易に前記ハンドル18へと組み付けることができる。すなわち、残圧排気弁10の組付性を向上させることができる。さらに、例えば、カムリング68をハンドル18に対してボルト等で固定する場合と比較し、その部品点数を削減できると共に、組付作業性の向上を図ることが可能となる。
【0064】
なお、本発明に係る残圧排気弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
10…残圧排気弁 12…ボディ
14…ボンネット 16…弁機構
18…ハンドル 20…第1ポート
22…第2ポート 24…排気ポート
26…連通室 38…ベース部
40…挿入部 42…円筒部
64…ピン溝 66…貫通孔
68…カムリング 70…リング体
72a、72b…分割体 78a、78b…カム溝
80a、80b…フック 90…バルブ
92…ピン 96…シャフト部
98…弁部 100…ガイド部
102…連結部 114…本体部
116…把持部 122…係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポートと、連通室を介して前記第1及び第2ポートに連通する第3ポートとを有したボディと、前記ボディの内部に設けられ、前記第1〜第3ポート間における前記圧力流体の流通状態を切り換える弁体を有した弁機構と、前記弁機構を駆動させる操作部とを備える残圧排気弁であって、
前記操作部は、前記ボディに対して回転自在に設けられ、前記操作部と前記ボディとの間には、該操作部の回転動作を直線動作へと変換して前記弁体に伝達する変換手段を備え、
前記変換手段は、前記弁体に挿通されたピンと、前記ピンを案内する傾斜溝を有した円筒状のカムリングとからなり、前記カムリングが半径方向に分割自在な2つの分割体から形成されることを特徴とする残圧排気弁。
【請求項2】
請求項1記載の残圧排気弁において、
前記カムリングには、半径方向に傾動自在であり、且つ、前記操作部の内周面に係合可能なフックが設けられることを特徴とする残圧排気弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の残圧排気弁において、
前記ボディには、該ボディの軸方向に沿って延在し、前記ピンが挿通されるピン溝が形成されることを特徴とする残圧排気弁。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の残圧排気弁において、
前記カムリングは、樹脂製材料から形成されることを特徴とする残圧排気弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−57349(P2013−57349A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195535(P2011−195535)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】