説明

残留性有機汚染物質の処理方法

廃農薬などの残留性有機汚染物質を間接加熱処理法で処理する方法において、汚染物質の分解効率を向上して排ガス処理の負担量を大幅に低減することのできる低コストで安全・確実な処理を行う方法を提供する。本発明の一態様は、残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、固体媒体と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法に関する。また、本発明の他の態様は、固体媒体中に含まれる残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、固体媒体中の有機汚染物質と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な残留性有機汚染物質の処理方法に関する。本発明は、農薬の処理、特に残留性の廃農薬の処理に有用であり、有機塩素系又はドリン系の廃農薬の分解処理に好ましく適用することができるが、有機リン系、カーバメート系の農薬の分解処理にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
日本国内で過去に使用が禁止された農薬の中には、容器ごと地下に埋設され、現在でも毒性成分が残留したままのものがあることが知られている。その中には、処理すべき残留性有機汚染物質として国際条約で指定されたBHC、クロルデン、DDTなども含まれている。これらの廃農薬を処理する方法としては、最も簡便な方法として焼却処理が考えられる。しかしながら、焼却処理は大量の燃焼排ガスが発生し、また高濃度の有害副生物が発生するおそれがあるので、周辺環境への影響が懸念されており、現実的には実施することが難しい。また、液状反応による化学処理は、排ガスをほとんど出さず、万一処理が不十分な場合でも再処理を容易に行うことができるという利点を有しているが、専用の処理施設が必要である。
【0003】
これらの処理方法に対して、加熱媒体を用いて処理対象の残留性有機汚染物質をこの加熱媒体と混合して加熱することによって、有機汚染物質を間接加熱で処理する方法が提案されている。この方法は、排ガス量を減らすことができると共に、ロータリーキルン式加熱炉のような既存の加熱施設を転用することが可能であるという利点を有する。しかしながら、この間接加熱処理方法では、加熱炉に加熱媒体と共に投入された有機汚染物質の全てを分解することはできず、一部は未分解のまま排ガスに移行してしまう。このため、排ガスから残留有機汚染物質を除去するためのガス処理を更に行う必要がある。
【0004】
また、有機汚染物質を、アルカリ金属水酸化物とポリグリコールとの反応生成物、及び酸素から構成される試薬と反応させることによって分解処理する方法が提案されている(米国特許第4400552号明細書)。しかしながら、この方法では処理対象物に対して過剰の試薬が必要な上に試薬の反応性が乏しいことが不利である。
【0005】
更に、処理対象物を、アルカリ及び触媒の存在下で加熱することにより、還元的に脱ハロゲン化する方法が提案されている(特許第3025701号明細書)。しかしながら、この方法も試薬の反応性が乏しく、長い処理時間がかかるという問題がある。
【0006】
更に、処理対象物である農薬に、炭化水素、IPA及び金属ナトリウムを加えて脱塩素反応を行うという方法が提案されている(第14回廃棄物学会研究発表会講演論文集、2003年、1295頁〜1297頁)。しかしながら、この方法は、マトリクスから農薬を分離する作業に多大な時間を要するのに加えて、反応生成物としてベンゼンなどの有害物質が生成するという問題がある。
【0007】
また、処理対象物を微細に分散・粉体化することによってその性状を変化させ化学反応性を高めるという方法が提案されている。例えば、有機塩素化合物を処理する場合、DCR処理を行った後に、生成する乾燥粉体にアルカリと触媒を添加・混練して分解させるという方法が提案されている。しかしながら、この方法では、使用する薬品が高価であること、水分を急激に反応・蒸発で除去するための大規模な廃ガス処理設備が必要であるなどの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の各種問題点を解決し、廃農薬などの残留性有機汚染物質を間接加熱処理法で処理する方法において、汚染物質の分解効率を向上して排ガス処理の負担量を大幅に低減することのできる低コストで安全・確実な処理を行う方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明者らは、有機汚染物質と、固体媒体と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合して、混合物を加熱することによって残留性の有機汚染物質を処理する方法を発明し、特許出願した(特願2004−166248)。
【0010】
かかる方法は、処理対象の有機汚染物質に対して、10倍〜1000倍という大過剰量の加熱媒体(例えば砂粒子)を存在させて、アルカリ剤と高沸点極性溶媒とを加えて加熱(間接加熱)することにより、有機汚染物質をアルカリ剤と反応させて分解処理するというものである。
【0011】
本発明者らは、この技術に関連して更に検討を行った結果、特に処理対象の有機汚染物質に対して固体媒体(加熱媒体)の量が5倍量以下程度とした場合には、有機汚染物質とアルカリ剤との反応による反応熱自体によって反応系の温度が高められ、実質的に外部より熱を加えなくても有機汚染物質の分解反応が速やかに進行することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の一態様は、残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、固体媒体と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法に関する。
【0012】
本発明によって処理することのできる有機汚染物質としては、残留性の廃農薬、特に有機塩素系又はドリン系の廃農薬を挙げることができる。本発明によって処理することのできる有機塩素系の農薬としては、BHC、ヘキサクロロベンゼン、DDT、クロルデン、ヘプタクロル、トキサフェンなどを挙げることができ、またドリン系の農薬としては、アルドリン、ディルドリン、エンドリンなどを挙げることができる。更に、本発明方法によって、ピラクロフォス、プロパホスなどの有機リン系の農薬や、カルバリル、アシュラムなどのカーバメート系の農薬などを処理することもできる。更に、本発明によれば、各種殺虫剤、除草剤、防虫剤、殺菌剤、防カビ剤などを処理することもでき、更には、塩素化ダイオキシンやPCBをはじめとする有機ハロゲン化物などの残留性有機汚染物質を本発明によって処理することもできる。また、本発明によれば、処理対象の有機汚染物質として、上記の各種有機化合物によって汚染された汚染土壌、汚染底質、汚泥、堆積物、廃棄物、焼却灰などを浄化処理することもできる。
【0013】
本発明方法においては、処理対象の有機汚染物質を固体媒体に添加混合する。固体媒体は、有機汚染物質を加熱分解する際の加熱媒体として作用する。この目的で用いる固体媒体としては、粉状又は粒状の形態のものが好ましく、また、ある程度の有機汚染物質の保持能力と、加熱処理に耐えられる耐熱性、耐摩耗性、アルカリに対する耐久性、容易に飛散しない程度の比重が必要である。本発明において用いることのできる粒状又は粉状の固体媒体の具体例としては、例えば、砂、砂利、礫等の天然鉱物、セラミクス、ビーズ等の人造鉱物、又は金属質の粉粒体、例えば鉄粉、Mn粉、Zn粉(顆粒)などを用いることができる。粒状又は粉状の固体媒体の大きさは、ダストを抑えるために粒径が0.1mm以上であることが好ましい。
【0014】
本発明では、更に固体媒体に、アルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩又は水酸化物の少なくとも1種又はアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物の少なくとも1種(以下、「アルカリ剤」という)と、高沸点の極性溶媒とを添加混合して、有機汚染物質の処理を行う。用いることのできるアルカリ剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、金属ナトリウム、金属カリウム、;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム;アルカリ金属の炭酸塩若しくは重炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム;アルカリ土類金属の酸化物、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム;などを挙げることができる。これらのアルカリ剤は、固体又は液体(水溶液)として供給することができる。高沸点の極性溶媒とは、沸点が150℃以上、好ましくは190℃以上のものをいい、具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、或いは、エチレングリコール・ジエチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール・モノプロピルエーテルなどのグリコール・アルキルエーテル類などを使用することができる。本発明方法では、アルカリ剤にグリコールなどの高沸点極性溶媒を添加することで、アルカリを効率的に解離させ、室温乃至その近傍の温度での処理対象物との反応性が飛躍的に向上する。
【0015】
本発明方法では、有機汚染物質と、上記に説明した固体媒体、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒とを混合する。有機汚染物質の混合率は、処理対象の汚染物質の分解難易度、処理対象の汚染物質とアルカリ剤との反応によって発生する熱量、処理対象物の熱容量、固体媒体の熱容量などによって変動するが、一般に、固体媒体に対して有機汚染物質を3〜50重量%とすることが好ましく、3〜35重量%以下とすることがより好ましく、3.3〜30重量%とすることが更に好ましい。なお、この値は、有機汚染物質が製剤となっている場合や残留性有機汚染物質によって汚染された汚染媒体を処理する場合などのように処理対象の有機汚染物質が希釈されている状態である場合には、分解対象の処理対象成分(分解される有機化合物)の重量割合を意味する。元々存在する固体媒体の量が十分に多い場合には、新たに固体媒体を加える必要がない場合もある。また、後述するように、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒を添加した固体媒体に対して有機汚染物質を徐々に加えて混合する場合には、上記の固体媒体に対する有機汚染物質の量は、反応系に存在する有機汚染物質の量を意味する。即ち、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒を添加した固体媒体に有機汚染物質を加えて混合すると、有機汚染物質はアルカリ剤との反応によって分解される。そこに更に有機汚染物質を加える場合には、上記量比における有機汚染物質の量は、分解された分を除いた量を意味する。
【0016】
また、アルカリ剤は、有機汚染物質の反応基質を捕捉して新たな有害物質の生成を防止するという機能を有しているので、この目的のためには、アルカリ剤の混合率は、反応基質、例えば処理対象が有機ハロゲン化合物である場合には処理対象物中のハロゲン1モルに対して1モル以上であれば十分であり、1.5〜3.0モルとすることがより好ましい。更に、高沸点極性溶媒は、有機汚染物質とアルカリ剤の溶解による反応の場を提供するという機能を有しているので、この目的のためには、高沸点極性溶媒の混合率は、固体媒体に対して1〜30重量%、さらには1〜20重量%とすることが好ましい。なお、均一な混合物を形成するためには、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒は、水に溶解して添加混合することが好ましい場合がある。また、固体媒体、アルカリ剤、高沸点極性溶媒、有機汚染物質の混合順序は特に制限されない。例えば、まず固体媒体に処理対象の有機汚染物質を添加混合した後に、この混合物に対してアルカリ剤及び高沸点極性溶媒を加えてもよく、或いは、固体媒体にアルカリ剤及び高沸点極性溶媒を添加混合したものを処理薬剤として用い、ここに処理対象の有機汚染物質を添加混合してもよい。なお、各成分を混合する際には、若干量の水を加えて混練することが好ましい場合がある。
【0017】
本発明方法では、固体媒体、アルカリ剤、高沸点極性溶媒及び有機汚染物質を混合することにより、有機汚染物質とアルカリ剤との反応によって発生する反応熱それ自体によって反応系の温度が上昇する。そして温度が上昇することにより、有機汚染物質とアルカリ剤との反応がより促進され、実質的に外部より熱を加えることなしに、有機汚染物質をほぼ100%近く分解処理することが可能である。本発明方法では、また、アルカリ剤にグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類などの高沸点極性溶媒を添加することで、アルカリを効率的に解離させ、室温及至その近傍の温度での処理対象物との反応性が飛躍的に向上する。
【0018】
なお、固体媒体、アルカリ剤、高沸点極性溶媒及び有機汚染物質の混合の順序は特に限定されない。しかしながら、反応熱による発熱量を制御して後述する所定の温度範囲に維持するためには、固体媒体にまず高沸点極性溶媒を均一に分散させ、次にアルカリ剤を加えて均一になるように十分混練して混合媒体を形成する。そして、処理対象の有機汚染物質を、この混合媒体に、温度が上昇しすぎないように少量づつ添加量を制御しながら添加して混練するという方法が最も好ましい。なお、固体媒体、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒の混合順序は上記の方法に限定されず、混合順序を変えることができる。しかしながら、有機汚染物質の添加・混合は最後に行うことが好ましい。その理由としては、有機汚染物質の反応量が温度上昇に直結するので、有機汚染物質が混合されている系にアルカリ剤を最後に添加すると、爆発的に反応が進行して、一時に大量のガスが生成したり、発火等の危険を招くなど、反応を制御することが困難になる場合があることが挙げられる。また、農薬にアルカリ剤とグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類(高沸点極性溶媒)とを直接添加すると、発熱反応によって組成・形状の変化を起こすことが多い。固体媒体にジエチレングリコールを介して有機汚染物、アルカリが付着することがある。特にこのような場合には、混合物の混練を容易に行い、温度上昇を速やかにするためには、混合物に若干量の水を加えて混練することが好ましい。
【0019】
また、処理対象の有機汚染物質を固体媒体中に分散させたものに対して、アルカリ剤とグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類(高沸点極性溶媒)とを加えることもできる。一般に農薬製剤は、原体にベントナイト等を加えて希釈・分散することにより、取り扱いの容易さ、効果の持続性向上を図っている。農薬製剤中の原体濃度が10%以上の場合、反応系の熱容量を大きくするために、製剤に砂などの固体媒体を添加混合して原体濃度が10%未満になるように希釈することにより、アルカリ剤とグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類(高沸点極性溶媒)との添加による温度上昇を抑えることができる。この方式では、有機汚染物質、固体媒体、高沸点極性溶媒及び場合によっては水を混練したものに、温度をモニターしながらアルカリ剤をゆっくりと添加して、反応系の温度が30〜80℃に維持されるようにアルカリ剤の添加量を制御しながら混合を行うことが好ましい。
【0020】
なお、処理対象の有機汚染物質が農薬製剤である場合などでは、農薬成分がベントナイトなどで希釈されていることが多く、この場合、系に添加する固体媒体はごく少量でよいか或いは全く添加する必要がない場合がある。
【0021】
本発明方法では、上記のように、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、高沸点極性溶媒及び有機汚染物質を混合することによって、アルカリ剤と有機汚染物質との反応によって発生する反応熱自体により反応系の温度が上昇する。したがって、これらの成分を常温で混練して、発熱による自然の温度上昇によって、反応を効率的に進行させることができる。しかしながら、反応系の温度が例えば100℃を超えると、水分の蒸発が起こり大量のガスが発生するなどの問題が生じる。したがって、上述したように、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、高沸点極性溶媒を混合した混合媒体に、有機汚染物質を、反応系の温度が上昇しすぎないように添加量を制御しながら少しづつ加えて混練することが好ましい。実施上は、反応系の温度が30〜100℃、好ましくは30℃〜90℃、より好ましくは40℃〜80℃の範囲内に保持されるように、有機汚染物質の混合量を制御することが好ましい。また、反応装置(混合装置)に冷却器を設置して、必要に応じて反応混合物を冷却するようにしてもよい。更には、有機汚染物質とアルカリ剤との反応熱による反応系の温度上昇が少ない場合には、外部からの加温を行って反応系の温度を適切な範囲に保持してもよい。
【0022】
なお、混合物の処理の際には、有害な副生物の発生を防ぐために、窒素を供給するなどの手段によって、不活性雰囲気とすることが好ましい。混合時間は、処理対象の有機汚染物質の性質や量、反応系の温度などによって変動するが、一般に5分〜120分、好ましくは15〜100分、更に好ましくは30〜60分とすることが好ましい。
【0023】
有機汚染物質が分解された後、固体媒体を取り出し、必要に応じて常温に放冷した後、再度有機汚染物質を添加して処理を行うことができる。
【0024】
本発明方法によれば、処理対象の有機汚染物質とアルカリ剤との反応によって発生する反応熱自体で反応系の温度が上昇し、これにより有機汚染物質の分解反応が促進され、実質的に外部より熱を加えることなしに有機汚染物質を97%以上分解処理することができる。しかしながら、例えば、POPs条約で挙げられている物質を分解処理する場合には、環境中の許容濃度が小さく、分解無害化処理を行う場合には6ナイン(99.9999%)以上の分解効率が要求される。このように、有機汚染物質を更に完全に分解処理する必要がある場合には、本発明方法によって処理された反応混合物を加熱リアクターに入れて加熱することによって、有機汚染物質をより完全に分解処理することができる。
【0025】
このような分解処理を行う場合、例えば、本出願人が出願している特願2004−166248で開示されている方法では、例えばBHC1,000重量部に対して、アルカリ剤800重量部、高沸点極性溶媒200部を加え、更に固体媒体(砂)を98,000重量部加えて全体を100,000重量部とした混合物を加熱リアクターで処理する。これに対して、本発明方法では、例えばBHC1,000重量部に対して、アルカリ剤800重量部、高沸点極性溶媒200部を加え、固体媒体(砂)を3,000重量部加えて全体を5,000重量部とした混合物を混練してBHCの分解処理を行った後、これを加熱リアクターに入れて処理することでBHCを完全に分解処理する。したがって、本発明方法によれば、加熱リアクターで分解すべきBHCの量が圧倒的に少ないので加熱リアクターでの負荷が大幅に低減され、全体のコストも低減できる。更に、前者の方法では加熱リアクターの容量が100,000重量部の混合物を処理できるものとなるのに対して、本発明方法では加熱リアクターでは5,000重量部の混合物を処理できるものであれば十分である。したがって、本発明方法によれば加熱リアクターの大きさが20分の1で済むことになり、装置コスト、運転コスト共に大幅に低減することが可能である。
【0026】
また、本発明は、上記に説明した高沸点極性溶媒、アルカリ剤、高沸点極性溶媒を混合した混合媒体に、有機汚染物質を、反応系の温度が上昇しすぎないように添加量を制御しながら少しづつ加えて混練することによって有機汚染物質の分解処理を行うための装置にも関する。即ち、本発明の他の態様は、撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合反応器へ計量供給する定量供給器;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置に関する。また本発明の更に他の態様は、撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤を予め混合する混合器;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合器へ計量供給する定量供給器;混合器で混合された固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤の混合物を混合反応器に供給する手段;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置に関する。
【0027】
かかる装置の概念を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一態様に係る有機汚染物質の処理装置に関する。固体媒体として砂の貯留槽、高沸点極性溶媒としてDEG(ジエチレングリコール)の貯留槽、アルカリ剤の貯留槽が、それぞれ定量供給器を介して混合反応器に接続されており、これら各貯留槽から砂、DEG及びアルカリ剤が混合反応器に供給されて、予め撹拌装置によって混合撹拌されて混合媒体が形成される。ここに、貯留槽内の処理対象物が、同様に定量供給器を介して混合反応器に供給される。この際、反応器内に設置された温度測定器によって混合物の温度が測定され、これが所定の好ましい範囲、例えば80℃を超えないように、制御装置によって処理対象物の供給量が制御される。必要に応じて、混合反応器に冷却器を取り付けることもできる。処理物は、適宜混合反応器から排出することができる。また、各成分の供給を連続的に行い、混合物を混合反応器内に所定時間滞留させた後に排出することによって、処理を連続的に行うこともできる。反応器からは排ガスが排出され、この排ガス中には、少量ではあるが未処理の有機汚染物質が残留する。したがって、この排ガスを、必要によって冷却した後、触媒槽及び活性炭槽(図示さず)に通すことによって、排ガス中の残留性有機汚染物質を更に除去して大気中に排出することができる。本発明によれば、混合反応器において被処理物中の残留性有機汚染物質を効率よく分解除去することができるので、触媒槽及び活性炭槽にかかる負担を低減することができる。このような残留性有機汚染物質処理システムにおいて用いることのできる有機汚染物質分解触媒としては、例えば貴金属系触媒、酸化白金、酸化バナジウムなどを挙げることができる。
【0028】
また、図2に示すように、砂、DEG及びアルカリ剤を、予め混合器で混合撹拌して混合媒体を形成し、これを混合反応器に供給するように装置を構成することもできる。
【0029】
なお、被処理対象物として反応熱が小さな有機汚染物質を本発明によって処理する場合には、固体媒体を添加せずに、原体のまま、アルカリ剤及び高沸点極性溶媒と混合することもできる場合がある。かかる形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0030】
本発明の各種形態は以下の通りである。
【0031】
1.残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【0032】
2.残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、固体媒体と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【0033】
3.固体媒体中に含まれる残留性の有機汚染物を処理する方法であって、固体媒体中の有機汚染物質と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【0034】
4.混合物を不活性雰囲気下で保持する上記第1項〜第3項のいずれかに記載の方法。
【0035】
5.有機汚染物質が固体状又は液体状の農薬である上記第1項〜第4項のいずれかに記載の方法。
【0036】
6.有機汚染物質を、固体媒体に対して、処理対象の汚染物質成分の重量として3〜50重量%以下混合する上記第1項〜第5項のいずれかに記載の方法。
【0037】
7.固体媒体が、天然鉱物、人造鉱物、又は金属質の粉粒体である上記第1項〜第6項のいずれかに記載の方法。
【0038】
8.アルカリ剤が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩若しくは重炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物の少なくとも1種である上記第1項〜第7項のいずれかに記載の方法。
【0039】
9.高沸点の極性溶媒がグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類である上記第1項〜第8項のいずれかに記載の方法。
【0040】
10.高沸点の極性溶媒が、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・ジエチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル又はジプロピレングリコール・モノプロピルエーテルである上記第9項に記載の方法。
【0041】
11.固体媒体中にアルカリ剤と高沸点の極性溶媒とを添加混合して混合媒体を形成し、有機汚染物質を、反応系の温度が所定の値以下に保持されるように添加量を制御しながら混合媒体に添加・混合する上記第2項〜第10項のいずれかに記載の方法。
【0042】
12.反応系の温度を100℃以下に保持する上記第11項に記載の方法。
【0043】
13.撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合反応器へ計量供給する定量供給器;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【0044】
14.撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤を予め混合する混合器;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合器へ計量供給する定量供給器;混合器で混合された固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤の混合物を混合反応器に供給する手段;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【0045】
15撹拌装置を具備する混合反応器;高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;各貯留槽から高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合反応器へ計量供給する定量供給器;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【0046】
16.撹拌装置を具備する混合反応器;高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;高沸点極性溶媒及びアルカリ剤を予め混合する混合器;各貯留槽から、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合器へ計量供給する定量供給器;混合器で混合された高沸点極性溶媒及びアルカリ剤の混合物を混合反応器に供給する手段;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【0047】
17.混合反応器に冷却器が取り付けられている上記第13項〜第16項のいずれかに記載の装置。
【0048】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1
混合機(株式会社マゼラー製、製品名PM-33S)に、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)0.5kg、NaOH1.2kgを入れて混合し、次にDEG(ジエチレングリコール)1kgを少しずつ加えながら、反応熱による混合物の温度を50〜65℃に保持し、2時間ほど十分に混練した。
【0050】
放冷後、混合物と混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のPCNBを分析したところ分解率は、90%であった。
【0051】
実施例2
実施例1と同様の混合器に、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)粉剤1.2kgとNaOH0.3kgを入れて混合し、次にDEG(ジエチレングリコール)0.5kgを添加した。この混合物を十分に混練しながら、有効径0.45mm、均等係数1.3の風乾砂23kgを徐々に加えて混合した。反応熱によって混合物の温度が上昇した。混合物を温度60〜90℃で1時間保持した後、放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のPCNBを分析したところ、不検出(検出限界以下)となった。したがって、PCNBの除去率は99%以上であった。
【0052】
実施例3
実施例1と同様の混合器に、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)粉剤5kgを入れ、次に、十分に混合したKOH2kgとポリエチレングリコール1.2kgとの混合物を添加して混練した。次に、実施例2と同様の砂15kgを徐々に加えて混合した。反応熱によって混合物の温度が上昇した。混合物の温度を75〜95℃で1時間保持した後、放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のPCNBを分析したところ、不検出(検出限界以下)となった。したがって、PCNBの除去率は99%以上であった。
【0053】
実施例4
実施例1と同様の混合機に、BHC(ベンゼンヘキサクロライド)粉剤1.5kg、実施例2と同様の砂24kgを入れ、ポリエチレングリコール1.8kgを添加して十分に混練した。次に、水酸化カリウム1.6kgを徐々に加えた。反応熱によって混合物の温度が上昇した。混合物を温度60〜80℃で2時間保持した後、放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のBHCを分析したところ、BHCの除去率は99.3%であった。
【0054】
実施例5
実施例1と同様の混合機に、実施例2と同様の砂90kgを入れ、ジエチレングリコール4kgを添加し,続いて水酸化ナトリウム8kgを加えて、均一になるように十分に混練した。BHC粉剤10kgを、反応熱によって上昇する混合物の温度が90℃を超えないように、ゆっくりと添加・混合して、混合物の温度を75℃以上に0.5時間保持した。その後、混合物を放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のBHCを分析したところ、BHCの除去率は98.4%であった。
【0055】
実施例6
実施例1と同じ混合器に、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)0.5kg、NaOH1.2kgを入れて混合し、次にジプロピレングリコール・モノプロピルエーテル1kgを少しずつ加えながら、反応熱による混合物の温度を50〜65℃に保持し、2時間ほど十分に混練した。放冷後、混合物と混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のPCNBを分析したところ分解率は、93%であった。
【0056】
実施例7
実施例1と同じ混合器に、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)粉剤1.2kgとNaOH0.3kgを入れて混合し、次にジプロピレングリコール・モノプロピルエーテル0.5kgを添加した。この混合物を十分に混練しながら、有効径0.45mm、均等係数1.3の風乾砂23kgを徐々に加えて混合した。反応熱によって混合物の温度が上昇した。混合物を温度75〜95℃で1時間保持した後、放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のPCNBを分析したところ、不検出(検出限界以下)となった。したがって、PCNBの除去率は99%以上であった。
【0057】
実施例8
実施例1と同様の混合機に、BHC(ベンゼンヘキサクロライド)粉剤1.5kg、実施例2と同様の砂24kgを入れ、エチレングリコール・ジエチルエーテル1.8kgを添加して十分に混練した。次に、水酸化カリウム1.6kgを徐々に加えた。反応熱によって混合物の温度が上昇した。混合物を温度60〜80℃で2時間保持した後、放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のBHCを分析したところ、BHCの除去率は98.3%であった。
【0058】
実施例9
実施例1と同様の混合機に、実施例2と同様の砂90kgを入れ、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル4kgを添加し,続いて水酸化ナトリウム8kgを加えて、均一になるように十分に混練した。BHC粉剤10kgを、反応熱によって上昇する混合物の温度が90℃を超えないように、ゆっくりと添加・混合して、混合物の温度を75℃以上に0.5時間保持した。その後、混合物を放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のBHCを分析したところ、BHCの除去率は99.6%であった。
【0059】
実施例10
実施例1と同様の混合機に、実施例2と同様の砂90kg、水酸化ナトリウム8kgを加えて、均一になるように十分に混練した。次いでテトラエチレングリコール・ジメチルエーテル4kgを添加し,BHC粉剤10kgを、反応熱によって上昇する混合物の温度が90℃を超えないように、ゆっくりと添加・混合して、混合物の温度を75〜85℃に0.5時間保持した。その後、混合物を放冷し、砂及び混合機を溶媒(酢酸エチル)で洗浄し、洗浄液中のBHCを分析したところ、BHCの除去率は99%であった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、廃農薬等の残留性有機汚染物質を、固体媒体中で高分解率で分解処理することができる。また、処理時に発生する排ガス中の残留有機汚染物質の量が大幅に減少するので、排ガス処理を行う場合、排ガス処理の負荷が小さくなる。また、本発明による処理で生成した無害物質を回収して資源として再利用することもできる。本発明方法によれば、外部からの加熱を行わない簡単な混合処理で、大部分の有害物質を無害な物質に分解することができ、必要に応じて更に加熱処理を行うことで微量な有害物質を完全に分解処理するので、確実な処理ができる。また、後段の加熱処理を行う場合においては、通常の間接加熱法と比べて固体媒体の使用量が少ないので、加熱装置を小型化することができ、装置コスト、運転コスト共に低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一態様にかかる有機汚染物質を分解処理する装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一態様にかかる有機汚染物質の分解装置の他の構成例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【請求項2】
残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、有機汚染物質と、固体媒体と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【請求項3】
固体媒体中に含まれる残留性の有機汚染物質を処理する方法であって、固体媒体中の有機汚染物質と、アルカリ剤と、高沸点の極性溶媒とを混合することを特徴とする方法。
【請求項4】
混合物を不活性雰囲気下で保持する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
有機汚染物質が固体状又は液体状の農薬である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
有機汚染物質を、固体媒体に対して、処理対象の汚染物質成分の重量として3〜50重量%以下に混合する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
固体媒体が、天然鉱物、人造鉱物、又は金属質の粉粒体である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ剤が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩若しくは重炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物の少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
高沸点の極性溶媒がグリコール類又はグリコール・アルキルエーテル類である請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
高沸点の極性溶媒が、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・ジエチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル又はジプロピレングリコール・モノプロピルエーテルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
固体媒体中にアルカリ剤と高沸点の極性溶媒とを添加混合して混合媒体を形成し、有機汚染物質を、反応系の温度が所定の値以下に保持されるように添加量を制御しながら混合媒体に添加・混合する請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
反応系の温度を100℃以下に保持する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合反応器へ計量供給する定量供給器;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【請求項14】
撹拌装置を具備する混合反応器;固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤を予め混合する混合器;各貯留槽から、固体媒体、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合器へ計量供給する定量供給器;混合器で混合された固体媒体、高沸点極性溶媒及びアルカリ剤の混合物を混合反応器に供給する手段;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【請求項15】
撹拌装置を具備する混合反応器;高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;各貯留槽から、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合反応器へ計量供給する定量供給器;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【請求項16】
撹拌装置を具備する混合反応器;高沸点極性溶媒、アルカリ剤、及び処理対象の有機汚染物質をそれぞれ貯留する貯留槽;高沸点極性溶媒及びアルカリ剤を予め混合する混合器;各貯留槽から、高沸点極性溶媒、アルカリ剤を混合器へ計量供給する定量供給器;混合器で混合された高沸点極性溶媒及びアルカリ剤の混合物を混合反応器に供給する手段;貯留槽から処理対象の有機汚染物質を混合反応器へ計量供給する定量供給器;混合反応器内の混合物の温度を測定する温度測定器;温度測定器によって測定された温度によって、貯留槽から混合反応器へ有機汚染物質を計量供給する定量供給器の供給量を制御する有機汚染物質供給量制御手段;を具備することを特徴とする、有機汚染物質の処理装置。
【請求項17】
混合反応器に冷却器が取り付けられている請求項13〜16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−501368(P2008−501368A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549730(P2006−549730)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/JP2005/010443
【国際公開番号】WO2005/118074
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】