説明

気管切開の装置及び方法

気管切開を容易にする装置11を提供する。遠位端が喉頭より下に位置するように患者の気管の中を下って導入される第1ブランチ92、及び、遠位端が気管フィステルのために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置される第2ブランチ114を備えている装置で、その第2ブランチの端が針のための案内手段を備え、第1ブランチの端が保護プレートの形の受容手段を備えている。第1ブランチと第2ブランチは、案内手段が受容手段の方に向けられるように互いに結合する。気管フィステルを作るために針を案内手段に通して皮膚の方に向け、針で皮膚と気管壁を穿通すると、針は気管壁を通過した後に受容手段と噛み合う。このようにして、気管壁の他方の側は受容手段によって保護される。その上、気管フィステルは自動的に最良の位置で位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管切開術の分野、すなわち、喉頭直下の気管に開口部を作る術に関する。
【背景技術】
【0002】
気管切開は、医療介護の中で行われる最も普通の救命手術の一つである。気管切開は、気管の頸部に穴を開けることを伴う。気管開口という用語は、気管切開と互換性のあるものとして用いられることがある。しかしながら、厳密に言えば、気管切開が現実の手術であるのに対し、気管開口は通常、開口部そのものを指す。
【0003】
気管切開の指標となる幾つかの共通の症状は次の通りである。
・呼吸閉塞−上呼吸路の閉塞
・呼吸欠損/呼吸不全
・呼吸麻痺
・停留分泌物の除去
・死腔の減少
【0004】
集中治療室で治療された全患者の約15%が気管切開を必要とする。
【0005】
気管切開はすでに古代に行われていた。無論、昔は施術が高い危険を伴ったので、20世紀初頭まで行われることは稀であった。当時、チェバリヤ・ジャクソン(Chevalier Jackson)は、施術をより安全に、より一般的にすることにつながるきまりきった施術手順について説明した。彼は、何を開放気管切開(open tracheotomy)と呼ぶかについて説明した。
【0006】
開放気管切開は、耳鼻咽喉科の外科医、及び好ましくは外科医助手、ならびに、手術室看護師、麻酔科医、麻酔看護師からなる、看護師助手も含む外科チームにより手術室で行われる外科手術である。無菌シーツ環境が必要である。手術は、挿管された患者の手術部位に補助の局部麻酔をかけると共に麻酔下で行うのが好ましい。急な場面で挿管が困難又は不可能である時は、局部麻酔下で患者覚醒のまま外科手術を行う。胸骨の上方(頸切痕の上方)の皮膚を水平に切開する。次に、広頸筋を通り抜けて鋭く切る。頸部の真直筋を横に引っ張る。但し、できれば甲状腺峡を避けるのが望ましい。しかし、それが通例である場合は、そこを裂き、結縛する。次に、気管を、成人の場合は水平切開で、小児の場合は垂直切開で開く。気管チューブを挿入し、人工呼吸器に接続する。次に、創傷を粗縫合で閉じ、最終的にチューブを縫合と気管バンドで固定する。
【0007】
過去30年の間に、いわゆる経皮気管切開術までも確立されるに至った。この技術は、高頻度の合併症があるにも拘らず、広く普及した。合併症の頻度は、内視鏡誘導法の導入によりかなり減少させることができた。この発達の結果、気管切開の指標は変化し、かつてはもっぱら耳鼻咽喉科の専門医が行っていた気管切開を行う専門医に今や集中治療の医師も含まれるまでになった。
【0008】
その上、経皮気管切開術はすでに60年代に記述があったが、Ciagliaのグループが拡張器を導入した80年代より前は安全な外科手術として受け入れられなかった。この外科手術を行ってよいのは、集中治療室のベッドサイドで麻酔下において二人の訓練を受けた医師によってであり、そのうちの一人が外科手術を実行し、もう一人が気管支鏡を使って気管を内側から視診する。更に麻酔看護師も一人必要である。
【0009】
手術部位に局部麻酔をかけ、皮膚を水平切開する。カフ付きの気管内チューブを声帯に向けて引き上げる。気管壁を気管支鏡で視診しながら、針を気管内チューブの中に通して気管壁を穿刺する。続いて、ガイドワイヤを導入する。次に、そのガイドワイヤの上に、漸大ゲージを有する拡張器を導入する。最後に、拡張器の上を滑らせた気管チューブを、作られた気管フィステルの中に導入する。拡張器を引き抜き、気管チューブを位置決めする。この方法は、縫合しなければならない創傷を一切残さず、気管チューブを開放方式と同じ仕方で固定する。患者頭部は、穿刺が気管の脇で終わらないように中心を保たなければならない。経皮気管切開の位置も、胸骨より2cm上とする。
【0010】
外科手術は、その技術に精通したスタッフを必要とする。これを独立して実行できるようにするためには、その前に経験者の監督下で多数の外科手術をこなす必要がある。合併症の頻度はむしろ高く、なかんずく気胸、気管後壁及び食道の穿孔、ならびに出血を含む。猪首の患者や、甲状腺の肥大した患者であれば、手順は複雑になる。小児には推奨されない。
【0011】
経皮方式は、手術スタッフの集中的努力の必要を伴うことも含めて開放気管切開が持つ欠点、そして、それが感染場所になり得る開放創傷を残すという欠点を無くした。その上、それが外科の技術訓練に求めるところも大きい。更に、開放方式は外科の合併症のリスクも抱えている。
【0012】
それゆえ、改善された気管切開術が必要である。特に、高いフレキシビリティ、コスト効率、ならびに、患者の安全と安楽を見込んだ装置と方法が有利と考えられる。
【発明の開示】
【0013】
よって、本発明の課題は、上で述べた困難な点、又は不利な点、又は他の欠点の1つ以上を単独であれ、何らかの組み合わせであれ、緩和し、解消し、又は無くし、また、例えば上で挙げた問題を、付記の特許請求項に記載の装置及び方法により少なくとも部分的に解決することである。
【0014】
本発明の一形態に従い、請求項1に記載の装置を提供する。気管切開を容易にするこの装置は、遠位端が喉頭より下に位置するように患者の気管の中に導入される第1ブランチ、及び、遠位端が気管フィステルのために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置される第2ブランチを備え、これらブランチのうち一方のブランチの端が鋭利物体のためのガイドを備え、他方のブランチの端が受容手段を備え、第1ブランチと第2ブランチは、ガイドが受容手段の方に向けられるように互いに結合し、これにより、気管切開を行うために鋭利物体が皮膚と気管壁を穿通する時、その鋭利物体は受容手段の方に向けられる。
【0015】
本発明の別の形態に従い、請求項14に記載の方法を提供する。気管切開を行うこの方法は、気管切開を容易にする装置の第1ブランチを患者の気管の中に導入し、その遠位端が喉頭より下に位置するように下ろしていくこと、及び、装置の第2ブランチを、その遠位端が気管フィステルのために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置すること、第1ブランチと第2ブランチのうち一方の遠位端が鋭利物体のためのガイドを備え、他方のブランチの遠位端が受容手段を備え、第1ブランチと第2ブランチを、ガイドが受容手段の方に向けられるように互いに結合させること、ならびに、気管切開を行うため、鋭利物体を前記案内具の中に通して受容手段の方に向けることにより、前記鋭利物体で皮膚と気管壁を穿通することを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の上述の形態及び他の形態、特徴及び利点は、以下の添付図面に則した本発明の実施例の説明から明らかとなる。
【0017】
以下、本発明の実施例を添付図面に則して詳細に説明する。
【0018】
より精確には、経皮気管切開が呈するすべての利点を活用しながら、経皮方式が内包する多くの既知のリスク要因を無くし、技術を劇的に単純化し、標準化する方法と装置が開発された。
【0019】
背景技術の項で述べた従来公知の技術は、上の記述及び文献の中で述べられたことから推論し得る技術より実行が難しい。これは、例えば、自分たちの経皮キットを付録に加えたクック・クリティカル・ケア社(Cook Critical Care Inc.)(インディアナ州ブルーミントン)のユーザーマニュアル及びデモンストレーション用CD−ROMにも当てはまる。
【0020】
経皮気管切開の間に実行される様々な工程は各々、下記の考慮すべき点を含む。
1.何処で気管切開をするのが望ましいか?一般的指示書には、胸骨の上縁より2cm上でするのが望ましいと記されている。猪首や、長時間挿管の後に脹れが出た場合は、そのポイントを見出すのが難しい。クック氏(Cook)の指示書では、気管支鏡を気管内チューブの中に通し、気管支鏡の光源の場所で切開をすることが推奨されている。しかしながら、特に太い首では、皮膚を通して切開をする前に光源を識別することは不可能である。気管支鏡は気管内チューブの内側の部分が長いので、一点に集められた光源を見ることは不可能である。光源を実際に識別のポイントとして使用できるようにするためには、先ず、気管支鏡の先端が気管内チューブの底縁の外側に現われるようにチューブを引き上げなければならない。これは、チューブが患者から外れないようにするためにある程度の注意を要する。
【0021】
本発明の一実施例によれば、使用される1対のプライヤ/鉗子に類似の装置は、気管の中を下って導入されるように設計された第1ブランチと、この第1ブランチと向き合って頸部の外側に配置される第2ブランチとを有する。第1ブランチは保護プレートで終わり、他方のブランチは、針の尖端を付けた栓塞子などの気管穿刺具のための案内チューブを備えている。第1ブランチは、気管内チューブを通して気管の中を下って導入される。
【0022】
以下、気管切開を容易にする装置の実施例を本明細書の中で更に詳細に説明する。
【0023】
上記実施例により可能とされた鉗子技術を使って、装置の内側ブランチを気管内チューブの中に通す。このプロセスの間、外側ブランチの端が内側ブランチの端の位置を指し示す。
【0024】
従来の気管切開術をもってすれば、レベル特定の感度は高くなるが、本発明の一実施例に係る鉗子技術のおかげで、精度はさほど重要でなくなる。なぜなら、下の説明から分かる通り、内側ブランチが気管内側のほぼ中心にあることは常に確実であり、内側ブランチが穿通する間、その保護プレートが目標にされることは常に分かっているからである。
【0025】
結局、気管フィステルを声帯よりどれだけ下に位置決めするかということに関してより高い精度が望まれるならば――現実にはそのことが最も重要な方策であるが、従来の技術はそれを可能にしなかったのであるから、以前は示唆されなかったことである――、本発明の実施例により可能とされた鉗子技術は以下の機会を提供する。
・一実施例によれば、気管切開を容易にする装置の内側ブランチは、気管内チューブ表面に見られるのと同様のスケール、例えばセンチメートルスケールであってよい。内側ブランチ又は受容プレートがそれぞれ気管チューブの端よりどれだけ下まで導入されたかを、このスケールで読み取る。これで、例えば気管切開プロセスを気管支鏡で監視する手間が省かれるので、プロセス全体を容易にする方策が講じられたことになる。
・気管チューブは、カフが声帯の下側に出会うまで、引き上げられる。換言すれば、気管内チューブの下端は気管の中で声帯より十分下にある。
・声帯からの距離は、内側ブランチのスケールにより、また、上で指し示した通り、気管内チューブの長さについての知識から特定できる。
【0026】
2.従来公知の経皮方式が呈する別の難しさは、穿刺を厳密に気管壁の中心線ですることにある。すなわち、首の太い患者では中心線を見つけるのが難しいのである。それでも、中心線が見つけられたならば、穿刺針を厳密に矢状に(横方向と縦方向の両方で)壁の中に通すことが重要である。これがうまくいかなかった場合、針は気管の側方をすべり落ち、脈管、神経を傷つけ、又は肺を穿刺し(気胸発症)、又は食道を傷つけかねない。
【0027】
この問題は、ここで述べた鉗子技術によって取り除かれる。なぜなら、気管切開を容易にする装置の内側ブランチの下部が、それ自体カフにより気管内の中心に配置された気管内チューブの中に配置される結果として常に気管の真ん中に位置することになるからである。チューブの向き、そして、内側ブランチの軸方向の向きは、応急手当てに使用されるフェイスマスクなどを使って決定する。
【0028】
鉗子の設計は、外側ブランチの先端におけるガイドの角度により、穿刺が高さの点で正確になされることを保証する。
【0029】
3.従来公知の経皮方式で作られる穿刺の場合は、針による気管壁の穿通を気管支鏡で監視し続けなければならない。それは、針が前壁を穿通したことを確認し、針が深く入りすぎて後壁を傷つけるのを未然に防ぐためである。要求されるのは、気管内チューブと気管支鏡の両方を穿刺場所より上で引き上げることである。これは、気管支鏡を扱う人間のある程度の経験を要する。
【0030】
本実施例により可能とされた気管切開術のおかげで、そのような監視は不要である。なぜなら、栓塞子又は針のような鋭利物体が、また、任意に拡張器が外側ブランチの先端の中に通され、気管内部の明確な場所、例えば穿通後の内側ブランチの半球形プレートに向き合う場所で必ず内側ブランチの受容具の方に向けられるからである。鋭利物体は、受容具と噛み合ってよく、又は、穿通の終わりに受容具からある一定の距離を置いた位置で停止するように配してもよい。例えば、鋭利物体の先端は、例えば図示されたガイド96のような外側ブランチの案内手段において適当なシートで停止させてよい。気管切開の場合、気管フィステルを作るために気管の外壁を穿通することが重要である。しかしながら、場合によっては、受容具に向けて穿刺具のストロークを制限することが望まれるかもしれない。
【0031】
拡張器が気管壁を穿通し、位置が定まったら、外側ブランチを外してよい。次に、拡張器を使って気管壁を拡張し、合わせて、気管口(trachport)とも呼ばれる気管ポート(tracheal port)の導入を行う。
【0032】
代替の手順は、外側ブランチを患者気管の中を下って気管内チューブの側面に沿っていくように導入することである。この場合、ブランチは、気管内チューブの正面側と向き合って位置し、喉頭がその1つの尖端を前に向けた三角形である事実により、中心に置かれることになる。
【0033】
更なる代替の手順は、針が気管を内側から外向きに穿通するように針を配置することである。
【0034】
では、図示した実施例に立ち返って説明すると、図1に示した気管切開を容易にする装置の一実施例は、気管の中を下って導入されるように設計された第1ブランチ14、及び、この第1ブランチ14と向き合って頸部の外側に配置される第2ブランチ12を有する1対の鉗子1に類似の装置1を備えている。2つのブランチは、共通の軸13を中心としてピボット式に回動する。第1ブランチ14は保護プレート17の遠位側で終わり、他方のブランチは、栓塞子又は針のような気管穿刺具のための案内チューブ16を遠位側に備えている。装置1の使用時、第1ブランチは、気管内チューブを通して気管の中を下って導入される。この処置は、それぞれ鉗子1の近位端にある2つの取っ手18、19を使って容易にできる。
【0035】
装置の更なる実施例を図2に示す。この代替の装置は、互いに関してピボット式に運動できない2つの別個のブランチを備え、この2つのブランチは、その互いに向き合う端が出会うまで、すなわち、2つのブランチが横へ転回できなくなるまで、それぞれ各々の近位端28、29で互いに押し込められる。より精確に言えば、この気管切開を容易にする装置2は、気管の中を下って導入されるように設計された第1ブランチ14、及び、この第1ブランチ24と向き合って頸部の外側に配置される第2ブランチ22を備えている。第1ブランチ24は保護プレート27で終わり、他方のブランチは、栓塞子又は針のような気管穿刺具のための案内チューブ26を備えている。2つのブランチ22、24は、図2に二重矢印で表した通り、端28、29で互いに結合できるようになっている。
【0036】
装置の更に別の実施例を図3に示す。この気管切開を容易にする装置3の実施例は、図1に示した、互いにピボット式に結合した第1ブランチ14と第2ブランチ12を有する実施例に類似する。但し、装置3は更に、患者の頸部外側から気管内側までの距離を特定するために測定具30を備えている。測定具は、図3に示した通り、ブランチ12、14の間に固定されたスケールであってよい。このスケールにより、装置3の遠位端が互いにどれだけ離れているかが読み取られる。代替の測定具の場合は、磁気式の距離指示計、光学式の距離測定具などを備えている。しかも、距離測定は、例えば磁気素子などの検出可能な手段を内側ブランチ14の遠位端に設けることにより、又は、患者の頸部外側から検出できる別のマーカ、例えば磁気検出器(ホールセンサ)、超音波検出器(反射音響波)、光検出器(適当な組織浸透波長の)などにより、装置の先端(図示されていない)において直接実行してよい。
【0037】
図8は、気管切開を容易にする装置の更なる実施例の概観図である。より精確に言えば、図示された装置8は、結合領域81において互いに固定された2つのブランチ82、84を有する。図8に点線で描かれた通り、内側ブランチは、外側ブランチ84の近位端にある開口部に解放自在に挿入できる。従って、ブランチ84は、内側ブランチ82を外側ブランチ84の中に滑り込ませるか、外側ブランチ84を内側ブランチ82の上に滑りかぶせるかどちらかにより、互いに固定してよい。この実施例は、この点に関して図2の実施例に類似する。その上、2つのブランチの意図しない解放又は不整合を避けるため、両ブランチを互いにロックするのに適したロックユニットが設けてあってよい。ブランチ82、84は、装置8の適用を更に容易にする湾曲形の設計であってよい。内側ブランチ82は、例示の気管切開法に則して下で解説する通り、気管チューブ又は気管内チューブの中を下って容易に導入されるように均一の半径を有する。更に、この実施例の内側ブランチ82は円形直径を有する。内側ブランチ82は、ガスを通流できるようにするために中空である。内側ブランチ82の遠位端は、切欠きの形の受容部87と丸形先端80の両方を備えている。先端80は、PTFEのような低摩擦のプラスチック材で作ってあってよい。この先端部域は、図12A及び12Bにより詳細に描かれている。
【0038】
内側ブランチ82の内空部と流体連絡するガスコネクタ83が受容部87に通じている。
【0039】
図9A及び9Bは、気管切開を容易にする装置の更なる実施例の概観図で、ここに2つの状態がそれぞれ描かれている。図9Aは装置9の手術位置を示し、図9Bの方はその導入位置を示す。より精確に言えば、図示された装置9は、ジョイントエレメント93を中心として互いにピボット式に回動できる2つのブランチ92、94を有する。内側ブランチは、図9Aに示した通り、ジョイントエレメント93の一方の近位端にある開口部に挿入される。ブランチ92、94は、装置8と同様に装置9の適用を更に容易にする湾曲形の設計になっている。しかしながら、ブランチ92、94を互いに関してピボット式に回動できるようにした作りのおかげで、装置9は使い易くなっている。内側ブランチ92は、ガスを通流できるようにするために中空である。内側ブランチ92の遠位端は、切欠きの形の受容部97と丸形先端90の両方を備えている。先端90は、PTFEのような低摩擦のプラスチック材で作ってあってよい。この先端部域は、図12A及び12Bにより詳細に描かれている。内側ブランチ92の内空部と流体連絡するガスコネクタ93が受容部97に通じている。人工呼吸器のYピースが、ガスコネクタ93の上に滑りかぶさることによってこれと結合してよい。また、気管内チューブが内側ブランチ92を包囲する時、開口部93から気管内チューブに向かってチャンネル100を経由するガス連絡が作られてよい。
【0040】
図10A及び10Bは、図9A及び9Bに示した装置9のジョイントエレメント93に含まれたロック機構のレリーズの概観図である。ロック機構は、外アーム94を内アーム92に所定位置で解放自在にロックする2つのノッチ98、99をベースにしている。装置9が手術位置及び導入位置にある時、ロック部材95がノッチ98、99の1つとそれぞれ噛み合う。図10Aは、この図の左側に概略的に描かれたユーザーの指でロック部材95を扱うところを示す。指で部材95を押すと、部材は外側ブランチ94に垂直に押し付けられる。押されてロックの外された位置を図10Bに示す。この位置において、2つのアーム92、94は、ロック位置の間で互いに相対的に回動できる。ロック部材95にかかる圧力を解くと、部材は反動で初期位置に戻り、その端がノッチ98、99の1つに食い込み、それで所望のインタロックをもたらす。
【0041】
図11は、図9A及び9Bに示した、それぞれ択一的なロック機構を備えた装置の2つの状態を示す概観図である。実線が装置11の手術位置を示し、点線がその導入位置を示す。より精確に言えば、図示された装置11は、ジョイントエレメント113を中心として互いにピボット式に回動できる2つのブランチ92、114を有する。内側ブランチは、ジョイントエレメント113の一方の近位端にある開口部に挿入される。装置11のジョイントエレメント113に含まれたロック機構が、図11に示した通り、ジョイントエレメント113の周囲に配置された2つのノッチ118、119を備えている。図9A及び9Bの実施例と同様、ロックエレメント117が、装置11の手術位置および導入位置でそれぞれノッチ118、119の1つと噛み合うことにより、外アーム114を内アーム92に所定位置で解放自在にロックする。ロックエレメント117は、ノッチから引き出すことによって解放される。
【0042】
上で図解した鉗子のような、気管切開を容易にする装置は、特に剛性に優れたプラスチック材料から作られた使い捨てタイプであっても、金属製で繰り返し使えるタイプであってもよい。
【0043】
また、針、小刀などの鋭利物体は、ブランチの1つの遠位端部域と一体化してよく、例えば、前記案内手段と一体をなす部分として形成してあってよい。
【0044】
鋭利物体は、受容手段の方に向けられ、ほぼ真直の軌道の上を前記受容手段に向かって走る。
【0045】
上で述べた通り、気管内チューブの中を下って導入される内側ブランチは、通気チャンネルを有してよい。その上、この内側ブランチの遠位端に置かれた受容手段は、必要に応じてブランチの中に一体化させられる半球形の端の形に作ってあってよい。患者の体外にある他方のブランチはその端に、患者頸部に気管切開用の所望の開口部を切開するために皮膚及び気管を穿通するのに適した針、栓塞子又は他の鋭利物体などの穿刺手段を案内するための、例えば中空管状のホルダ又はガイドなどの案内手段を有する。この案内手段と受容手段は、例えば、穿刺手段が案内手段の中を案内される時に受容手段に向けられるように互いの方を向いている。あるいは代わりに、穿刺手段を、例えば案内手段の中に一体化させ、それで、例えば単一平面内でほぼ真直の軌道の上を案内手段と共に受容手段に向けてもよい。これで、穿刺の終わりに穿刺手段は受容手段と向き合うことになる。両ブランチが実際に出会う点又は線が、気管切開のための場所である。
【0046】
気管切開を容易にする装置の一実施例を使用して気管切開により気管開口を創成する例示的手順を図4〜7に則して下で説明する。
【0047】
図4に示した通り、患者40を挿管し、施術中、患者の適切な通気を確保するために例えば人工呼吸器又はハンドベローズを近位端に接続した伝統的な気管内チューブ41を通して通気する。気管内チューブ41は、その遠位端から約1cmの位置にカフ42、すなわち膨張可能なバルーンを有する。カフは気管44の中で声帯43より下に位置決めされる(図4を参照)。カフを膨張させることにより、チューブ41は気管44の中で固定され、漏れなしに方向を定められた呼吸ガスがその中を流れることになる。
【0048】
内側ブランチ14は、このブランチを通して通気ができるように中空であってよい。あるいは代わりに、又は組み合わせにおいて、内側ブランチは、気管内チューブ41の内径より小さい直径、それも、このブランチが気管内チューブに関してどれだけ下に位置するかを測定できるようにするために縦方向の測定ロッド又は測定スケールも持ち得るような直径であってよい。
【0049】
カフ付きの気管内チューブ41を次に、できるだけ、カフが声帯の下縁に当たって落ち着くような位置まで引き出す。
【0050】
次に、装置3の内側ブランチ14を、図5に示した通り、気管内チューブ41の中を下っていくように導入する。
【0051】
内側ブランチ14を通して通気が得られるように人工呼吸器の接続を切替える。
【0052】
外側ブランチ12を移動させる。すなわち、この場合は、軸13を中心として患者40の頸部に向けて回動させる。気管切開にとって所望の位置――胸骨の上縁より2cm上、又は、声帯より所望の分だけ下――は、所望の位置が得られるまで、装置を気管内チューブ41の中で、続いて頸部の外側でそれぞれ相応に移動させることによって調節してよい。
【0053】
外側ブランチ12の先端に設けられたガイド16は、針60など、上で述べた穿刺具を案内する働きをする。針60は、気管を穿刺するためにガイド16を通して受容手段17の方へ移動させられる。内側ブランチのプレートは、気管後壁を傷つけるリスクが生じないように針の先端を受け止めてよい(図6を参照)。あるいは代わりに、穿刺具は、実際に受容具と噛み合う前に、例えば穿刺具表面の適当なスケール又はストッパにより、受容具と向き合って止められる。
【0054】
患者頸部外側から気管内側までの距離を求めるため、図3に示した通り、ブランチの間に測定具を固定してよい。
【0055】
次に、気管口の導入に向けて気管壁を拡張し続けるのを容易にするために外側ブランチ12を外に出す/除去する。気管口は、従来の気管カニューレ70のためのホルダとして働く(図7を参照)。
【0056】
上の記述は、気管切開を容易にするのに適用し得る本発明の実施例に焦点を当てたものである。しかしながら、本発明がこの適用例に限るものでなく、他の多くの用途の適用し得ることは容易に察するであろう。鉗子技術は、例えば以下のケースにも使用してよい。
・喉頭切除された患者のために声帯弁導入を目的として、一次的ならびに二次的両方で気管食道壁を通してフィステル作成を行う
・麻痺した声帯の側方定着(laterofixation)と関連。この場合は、2本の針を通す(1本は声帯の上、1本は声帯の下に)ために鉗子対に二重ガイドを付けることになる。固定縫合糸を針の1本に通してから、他方のブランチの内側に押し進め、他方の針に通す。鉗子対の両方のブランチを除去したら、縫合糸を共に結ぶ。これで、声帯は定着する。
【0057】
以上、本発明を特定の実施例に則して説明したが、ここで述べた特定の形態に制限する意図はない。むしろ、本発明は付記請求項によってしか制限されず、上で述べた以外の実施例、例えば、上で述べたのと異なる形のブランチがその付記請求項の範囲内で等しく可能である。
【0058】
請求項において、用語“備えている”(comprises/comprising)は、他のエレメント又は工程の存在を排除しない。その上、個々別々に挙げたが、複数の手段、エレメント又は方法工程を、例えば単一のユニット又はプロセッサにより実現させてよい。加えて、個々別々の特徴が異なる請求項に含まれるが、これらは、可能であれば有利に組み合わせられてよく、異なる請求項に含まれることは、特徴を組み合わせことが可能でない、及び/又は有利でないという意味ではない。加えて、単数表現は複数を排除しない。用語“1つの”(a、an)、“第1”(first)、“第2”(second)などは、予め複数を排除するものでない。請求項の中の参照符号は、単に対象を明らかにする例として設けられているだけで、いかようにも請求項の範囲を制限するものとして構成されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例に係る、気管開口創成中に使用すべく鉗子の形に作られた装置の概観図である。
【図2】本発明の一実施例に係る、気管切開を容易にする2つの接続可能なブランチの形の装置の概観図である。
【図3】本発明の一実施例に係る、ブランチの間に測定具を固定した図1に類似の装置の概観図である。
【図4】鉗子をベースにした気管切開の概観図である。
【図5】鉗子をベースにした気管切開の概観図である。
【図6】鉗子をベースにした気管切開の概観図である。
【図7】鉗子をベースにした気管切開の概観図である。
【図8】気管切開を容易にする装置の更なる実施例の概観図である。
【図9A】気管切開を容易にする更なる装置の1つの状態における概観図である。
【図9B】気管切開を容易にする更なる装置のもう1つの状態における概観図である。
【図10A】図9Aに示した装置のロック機構のレリーズの概観図である。
【図10B】図9Bに示した装置のロック機構のレリーズの概観図である。
【図11】図9A及び9Bに示した、それぞれ択一的なロック機構を備えた装置の2つの状態を示す概観図である。
【図12A】図10に示した装置の一方のブランチの端部域の詳細図である。
【図12B】図10に示した装置の他方のブランチの端部域の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管切開を容易にするための装置(1、2、3、8、9、11)において、
気管の中に導入された時に遠位端が喉頭より下に位置するように患者(40)の気管(44)の中に導入される、第1ブランチ(14、24、82、92)と、
遠位端が気管切開のために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置される、第2ブランチ(12、22、84、94)とを備え、
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の一方のブランチの端が鋭利物体(60)のための案内手段(16、26、86、96)を備え、
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の他方のブランチの端が受容手段(17、27、87、97)を備え、
前記第1ブランチと前記第2ブランチは、前記案内手段(16、26、86、96)が前記受容手段(17、27、87、97)の方に向けられるように互いに結合しており、
これにより、気管切開を行うために前記鋭利物体(60)が皮膚と気管壁を穿通する時に前記鋭利物体が前記受容手段(17、27、87、97)の方に向けられることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1ブランチ(14、24、82、92)は、前記第1ブランチの遠位端が前記咽頭の直下に位置するように、前記患者(40)の気管(44)の中に導入されるのに適していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2ブランチ(12、22、84、94)は、前記第2ブランチの遠位端が気管切開のために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置されるのに適していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
更に、前記第1ブランチと前記第2ブランチが、1対の鉗子、1対の鋏又は1対のピンセットに類似の装置を形成するようにジョイント(13)により互いに結合していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1ブランチと前記第2ブランチは、前記第1ブランチが気管の中を下って導入されるのを容易にするために互いに相対運動できる一方、前記両ブランチが単一平面内を互いに相対運動できることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1ブランチ(24、82)が気管の中を下って導入された後、前記第2ブランチ(22、84)が前記第1ブランチにしっかりと接続できることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1ブランチがスケールを付けており、前記気管(44)の中に置かれた気管内チューブ(41)を下って導入されるように配置されており、導入された前記第1ブランチが前記気管内チューブ(41)から外へどれだけ延びているかを前記スケールが指し示すようになっていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記気管内チューブと前記第1ブランチがフェイスマスクにより案内されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1ブランチ(14、24、82、92)が、空気などの気体媒質を患者の肺へ、及び/又は肺から通すための貫通開口部を付けていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記鋭利物体(60)が、チューブである前記案内手段を通して導入される針であり、前記受容手段が半球形プレートであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記鋭利物体(60)が前記受容手段(17、27、87、97)と噛み合う前にその遠位端が止まるように前記案内具(16、26、86、96)が前記鋭利物体と協働することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
患者の頸部外側から気管内側までの距離を特定するための測定具を備えていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記測定具が前記第1ブランチと前記第2ブランチ(12、14)の間の距離を指示するスケール(30)であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記案内手段と前記鋭利物体が一体に形成された単一のユニットであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記鋭利物体が前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の一方の前記遠位端の一体化された部分であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記案内手段が前記鋭利物体を自らの内部で移動できるように受容するように作られていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記受容手段が前記第1ブランチの中に一体化させられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記受容手段が切欠きの形で前記第1ブランチの中に一体化させられることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1ブランチが中空管状であり、前記受容手段が前記管状の第1ブランチにおける切欠きの形で前記第1ブランチの中に一体化したターゲットエリアであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記第1ブランチが遠位端として低摩擦の丸形先端を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の少なくとも一方が均一の外側半径を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記第1ブランチと前記第2ブランチが1つの接続手段により解放自在又はロック自在に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記接続手段が前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の少なくとも一方のためのロック手段を備えていることを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ロック手段がジョイントエレメント(93)に含まれていることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ロック手段が、前記第1ブランチ(92)を前記第2ブランチ(94)に所定位置で解放自在にロックする2つのノッチ(98、99)を備えていることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ロック手段(95)が、その時々で前記装置(9)の対応する動作モードにおいて前記ノッチ(98、99)の一方と噛み合うように作られていることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記第1ブランチ(92)の近位端を前記第1ブランチの遠位端にある開口部とつなぐ前記第1ブランチ(92)の内空部と流体連絡するガスコネクタ(93)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記内空部が前記受容手段(97)で終わっていることを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
通気性のYピースが前記ガスコネクタ(93)の上を滑るようにして前記コネクタに結合できることを特徴とする、請求項27又は28に記載の装置。
【請求項30】
気管内チューブが前記第1ブランチを包囲する時に、前記ガスコネクタ(93)から前記気管内チューブの内部に通じる、ガス連絡チャンネル(100)を備え、前記第1ブランチの近位端が前記ガスコネクタから遠隔の前記連絡チャンネルの開口部に相対して位置決めされることを特徴とする、請求項27〜29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記鋭利物体が前記受容手段の方に向けられ、ほぼ真直の軌道の上を前記受容手段に向かって走るように作られていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記装置が単一の使い捨て装置であることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
気管切開を行うための方法において、
気管切開を行う装置の第1ブランチの遠位端が前記咽頭の直下に位置するように、前記第1ブランチを患者の気管を通して下ろす段階と、
前記装置の第2ブランチを、その遠位端がフィステルのために設けられた場所に隣接するように頸部の外側に配置する段階とを備え、
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の一方の遠位端が鋭利物体のための案内手段を備え、他方のブランチの遠位端が受容手段を備え、前記案内手段が前記受容手段の方に向けられるように前記第1ブランチと前記第2ブランチを互いに結合させ、
気管切開を行うため、前記鋭利物体を前記案内手段の中に通して前記受容手段の方に向けることにより、前記鋭利物体で前記皮膚と気管壁を穿通することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記皮膚と気管壁の穿通に先立って前記2つのブランチが単一平面内に位置するように前記第2ブランチを前記第1ブランチと結合させることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも部分的に前記第1ブランチの中空部を通して患者を通気することを特徴とする、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
遠位端に膨張可能なバルーンを有する気管内チューブを通して患者を挿管し、通気する段階と、
前記膨張可能なバルーンを患者の気管の中で声帯より下で位置決めし、前記第1ブランチ導入に先立って前記膨張可能なバルーンを膨張させる段階と、
続いて、前記気管内チューブを通して前記第1ブランチを前記気管の中に導入する段階とを備えていることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第1ブランチの上にある縦方向測定手段を使って前記第1ブランチが前記気管内チューブに関してどれだけ下に位置するかを測定する段階を更に備えていることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記内ブランチを通して通気がなされるように人工呼吸器の接続を切替える段階を更に備えていることを特徴とする、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記外ブランチを患者の頸部、及び、気管切開にとって所望の位置に向けて移動させる段階を更に備えていることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
気管を穿刺するために前記案内手段を使って前記鋭利物体を前記受容手段に向けて移動させる段階を更に備えていることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記受容手段と向き合う前記鋭利物体を、前記鋭利物体が前記受容手段と噛み合う前に止める段階を備えていることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチの中の少なくとも一方に固定された測定具を使って患者の頸部外側から気管内側までの距離を測定する段階を更に備えていることを特徴とする、請求項33又は41に記載の方法。
【請求項43】
拡張を続けるのを容易にするために前記第2ブランチを除去する段階を更に備えていることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
喉頭切除された患者のために一次的ならびに二次的両方で気管食道壁を通してフィステル作成を行う目的の請求項1に記載の装置の使用。
【請求項45】
患者の気管食道壁に作られたフィステルに声帯弁を導入する目的の請求項1に記載の装置の使用。
【請求項46】
患者の声帯を定着させる目的の請求項1に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2009−504236(P2009−504236A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525966(P2008−525966)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050279
【国際公開番号】WO2007/018472
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508288331)サーフェトラシュ アクティエボラーグ (1)
【Fターム(参考)】