水力発電所監視制御装置
【課題】 本発明の実施形態は、精度の高い流下遅れ時間を求めることにより、安定した電力系統の運用を可能とする水力発電所監視制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の実施形態は、水力発電所を構成する上流ダム、発電機、および下流ダムに設置された設備の監視制御を行う水力発電所監視制御装置に関する。
また、前記上流ダムが放流を開始した時刻を示す上流ダム放流開始時刻を算出する上流ダム放流開始時刻保存手段と、前記発電機が発電を開始した時刻を示す発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、前記上流ダム放流開始時刻、前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放流を開始して前記下流ダムに入水を開始する時刻を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、を備える。
【解決手段】 本発明の実施形態は、水力発電所を構成する上流ダム、発電機、および下流ダムに設置された設備の監視制御を行う水力発電所監視制御装置に関する。
また、前記上流ダムが放流を開始した時刻を示す上流ダム放流開始時刻を算出する上流ダム放流開始時刻保存手段と、前記発電機が発電を開始した時刻を示す発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、前記上流ダム放流開始時刻、前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放流を開始して前記下流ダムに入水を開始する時刻を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水力発電所監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統を構成する変電所には、遮断器、断路器、保護装置などの設備が、また、ダムや水力発電所には水位計測、ダムゲート操作、発電機起動停止などのための各種設備が設置されている。水力発電所監視制御装置は、これら様々な設備の状態を常に監視し異常があれば、その状況をアラームとして出力し、所定の手順により開閉器などの遠方制御を行う装置である。
【0003】
この水力発電所監視制御装置は、集中監視制御技術の発達により監視制御を行う範囲が広範囲となり、運転員は、日常、膨大な情報量を扱っている。このような中で電力系統の監視制御を行う場合、水力発電所監視制御装置は運転員の要求に応じて、あるいは自動的に情報を運転員に提供したり、各種設備の制御を行ったりしている。
【0004】
以下、図14を用いて、従来の水力発電所監視制御装置について説明する。図14は、水力発電所の構成を示す図である。水力発電所100は、上流ダム110、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、発電機120、下流ダム130、および下流ダムゲート131を備えている。
【0005】
上流ダム110は、河川の上流から流下する水を貯水する。上流ダムゲート111は、上流ダム110に設置され、当該ゲートを閉じている間は上流ダム110での貯水を継続するが、開くことによって上流ダム110に貯水された水を下流ダム130に放水する。上流ダム発電機ゲート112は、上流ダム110に設置され、当該ゲートを閉じている間は上流ダム110での貯水を継続するが、開くことによって上流ダム110に貯水された水を発電機120に放水する。
【0006】
発電機120には、上流ダム110から放水された水が流入し、流入した水が図示しないタービンを回して発電する。
【0007】
下流ダム130は、上流ダム110および発電機120から流下する水を貯水する。下流ダムゲート131は、下流ダム130に設置され、当該ゲートを閉じている間は下流ダム130での貯水を継続するが、開くことによって下流ダム130に貯水された水を、河川の下流に放水する。
【0008】
ここでは図示しないが、上流ダム110および下流ダム130には、夫々のダムの水位を計測する水位計測設備を備え、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、および下流ダムゲート131は、夫々のゲートを開閉するゲート操作設備および開閉状態を監視する状態監視設備を備え、発電機120には、発電されているか否かを監視する発電監視設備をおよび発電機の動作を制御する発電機制御設備を備える。これらの各設備は、伝送路200を介して、情報を送信すると共に、水力発電所監視制御装置300からの各種指令に応じて動作する。
【0009】
水力発電所監視制御装置300は、上述した各種設備から伝送路200を介して、上流ダム110および下流ダム130の水位、ゲートの開閉状態、および発電機の動作状態等の各種情報を受信する。さらに、この水力発電所監視制御装置300は、受信した各種情報に基づいて、上流ダム110または下流ダム130の水位を予測し、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、および下流ダムゲート131の開閉を操作する計画を立てるための水位シミュレーションを行う。この水位シミュレーションは、日に1回程度行われており、一日の上位ダム110または下流ダム130の水位トレンドを予測する。
【0010】
この水位シミュレーションでは、上流ダム110から水を放水してから下流ダム130に到着するまでの時間を示す、流下遅れ時間を用いている。従来は、この流下遅れ時間を過去の資料を調査したり、実際に作業者がストップウォッチによって求めていたりしていた。一方、この流下遅れ時間は、天候や河川の状態によって変化するため、上述方法では精度の高い流下遅れ時間を求めるとは困難であると共に、作業者の経験に基づいた技術が必要となるため、経験の浅い作業者によっては、正確でない流下遅れ時間を求めることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平08−19194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、精度の高い流下遅れ時間を求めることにより、安定した電力系統の運用を可能とする水力発電所監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、水力発電所を構成する上流ダム、発電機、および下流ダムに設置された設備の監視制御を行う水力発電所監視制御装置に関する。
【0014】
また、前記上流ダムが放水を開始した時刻を示す上流ダム放水開始時刻を算出する上流ダム放水開始時刻保存手段と、前記発電機が開始した時刻を示す発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、前記上流ダム放水開始時刻、前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放水を開始して前記下流ダムに入水を開始する時刻を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における水力発電所100および水力発電所監視制御装置400の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図3】第1の実施形態における(a)上流ダムゲートの開閉状態、(b)発電機運転状態、(c)下流ダム水位の一例を示すグラフ。
【図4】第1の実施形態における流下遅れ時間記憶部408に記憶された流下遅れ時間の一例を示す図。
【図5】第2の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図6】第2の実施形態における下流ダム入水開始時刻記憶部406´に記憶された下流ダム入水開始時刻および水位上昇率の一例を示す図。
【図7】第3の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図8】第3の実施形態における流下遅れ時間・雨量記憶部411に記憶された流下遅れ時間および雨量の一例を示す図。
【図9】第3の実施形態における流下遅れ時間平均記憶部413に記憶された流下遅れ時間平均の一例を示す図。
【図10】第4の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図11】第4の実施形態における流下遅れ時間予測記憶部415に記憶される流下遅れ時間予測の一例を示す図。
【図12】第5の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図13】第5の実施形態における流下遅れ時間・付加情報記憶部417に記憶された流下遅れ時間および付加情報の一例を示す図。
【図14】従来の水力発電所100および水力発電所監視制御装置300の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態における水力発電所監視制御装置について、図面を参照して説明する。なお、図14と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
(構成)
第1の実施形態における水力発電所監視制御装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、水力発電所監視制御装置および水力発電所の構成を示す図であり、従来の構成を示す図14と異なる点は、水力発電所監視制御装置400の内部構成である。
【0018】
次に、水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図2を用いて説明する。図2は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。
【0019】
水力発電所監視制御装置400は、上流ダム放流開始時刻保存部401、発電開始時刻保存部402、下流ダム入水開始時刻保存部403、上流ダム放流開始時刻記憶部404、発電開始時刻記憶部405、下流ダム入水開始時刻記憶部406、流下遅れ時間算出部407、流下遅れ時間記憶部408、および水位シミュレーション部409を備える。
【0020】
上流ダム放流開始時刻保存部401は、上流ダムゲート111の開閉状態を伝送路200を介して取得し、上流ダムゲート111が閉状態から開状態に変化した絶対時刻を、上流ダム放流開始時刻として上流ダム放流開始時刻記憶部404に保存する。この上流ダム放流開始時刻について図3(a)を用いて説明する。図3(a)は、上流ダムゲート111の開閉状態を示す図であり、上流ダムゲート111が閉状態から開状態に変化した時刻が上流ダム放流開始時刻T1である。ここでは、上流ダムゲート111の開閉状態を伝送路200を介して取得し、上流ダム放流開始時刻を算出しているが、実際に上流ダム110から下流ダム130への放流量を計測し、事前に設定された放流量閾値を超えた時間を上流ダム放流開始時刻としても良い。また、その他の方法であっても上流ダム110から下流ダム130へ放流が開始された時間を保存できれば良い。
【0021】
発電開始時刻保存部402は、発電機120の運転状態を伝送路200を介して取得し、発電機が動作を開始した時刻を、発電開始時刻として発電開始時刻記憶部405に保存する。発電開始時刻T2について図3(b)を用いて説明する。図3(b)は、発電機の運転状態を示す図であり、発電機120が停止状態から動作状態に変化した時刻が発電開始時刻である。ここでは、発電機の運転状態を伝送路200を介して取得し、発電開始時刻を算出しているが、発電機に接続する電力系統に変流器等を設置し、事前に設定された電流閾値を超えた時間を発電開始時刻としても良い。また、その他の方法であっても発電機が運転を開始した時間を保存できれば良い。
【0022】
下流ダム入水開始時刻保存部403は、下流ダム130の水位を伝送路200を介して取得し、水位の単位時間当たりの上昇率(以下、水位上昇率と呼ぶ)が増加し始めた絶対時刻を下流ダム入水開始時刻T3,T4として下流ダム入水開始時刻記憶部406に保存する。下流ダム入水開始時刻について図3(c)を用いて説明する。図3(c)は、下流ダム130の水位を示す図であり、下流ダム130における水位上昇率が増加し始めた時刻が下流ダム入水開始時刻である。ここでは、下流ダム130の水位が上昇し始めた時間を取得し、下流ダム入水開始時刻を算出していたが、その他の方法であっても下流ダム130に入水が開始した時間を保存できれば良い。
【0023】
下流ダム130に入水するルートは、上流ダム110から放出された水が直接下流ダム130に入水する第1のルートと、上流ダム110から発電機120を介して下流ダム130に入水する第2のルートがある。図3では、第1のルートにより下流ダム130に入水した下流ダム入水開始時刻をT3とし、第2のルートにより下流ダム130に入水した下流ダム入水開始時刻をT4としている。
【0024】
流下遅れ時間算出部407は、上流ダム放流開始時刻記憶部404に記憶された上流ダム放流開始時刻と、下流ダム入水開始記憶部406に記憶された下流ダム入水開始時刻とに基づいて、ダム流下遅れ時間Tdを算出する。このダム流下遅れ時間とは、上流ダム110から放流された水が発電機120を介さずに、直接下流ダム130に流入するまでの時間を示し、(1)式にて算出される。
【0025】
Td=T3−T1 ・・・(1)式
さらに、この流下遅れ時間算出部407は、発電開始時刻記憶部405に記憶された発電開始時刻と、下流ダム入水開始時刻記憶部406に記憶された下流ダム入水開始時刻とに基づいて、発電機流下遅れ時間Tgを算出する。この発電機流下遅れ時間とは、上流ダム110から放流された水が発電機120を介して、下流ダム130に流入するまでの時間を示し、(2)式にて算出される。
【0026】
Tg=T4−T2 ・・・(2)式
以降、ダム流下遅れ時間と発電機流下遅れ時間とを合わせて流下遅れ時間と呼ぶ。
【0027】
ここで、ダム流下遅れ時間Tdを誤ってT4−T1として算出することを防ぐために、流下遅れ時間算出部407は、T1から一定時間経過後の事前に設定された時間帯の下流ダム入水開始時刻T3を、上流ダムゲート111の開放による下流ダム130の水位が上昇した時刻であると判断し、ダム流下遅れ時間Tdを算出する。
【0028】
つまり、上流ダム放流開始時刻T1をAM0時00分とし、事前に設定された時間帯をT1から50分後〜70分後とした場合、下流ダム入水開始時刻のうち、AM0時50分〜AM1時10分の時間帯の下流ダム入水開始時刻T3を用いてダム流下遅れ時間Tdを算出し、流下遅れ時間記憶部408に保存する。
【0029】
発電機流下遅れ時間Tgも同様に、T2から一定時間経過後の事前に設定された時間帯の下流ダム入水開始時刻T4を、発電機ゲート112の開放による下流ダム130の水位が上昇した時刻であると判断し、発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間記憶部408に記憶する。
【0030】
流下遅れ時間記憶部408は、流下遅れ時間算出部407により算出されたダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを保存する。この流下遅れ時間記憶部408に保存されるダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを図4に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出部407により算出された流下遅れ時間を示している。「流下遅れ時間種類:Td」に対応する「流下遅れ時間[h]:1.1[h]」は、上流ダム110にて放流された水が直接下流ダム130に入水するまでの時間が1.1時間であることを示している。同様に、「流下遅れ時間種類:Tg」に対応する「流下遅れ時間[h]:1.5[h]」は、上流ダム110にて放流された水が発電機を介して下流ダム130に入水するまでの時間が1.5時間であることを示している。
【0031】
水位シミュレーション部409は、操作者からの指令を受けた場合または事前に設定された時間となった場合、流下遅れ時間記憶部408に保存された流下遅れ時間を取得し、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。この水位シミュレーションは従来の方法と同様であるため、詳細な説明は省略するが、上流ダムゲート111、発電機ゲート112、および下流ダムゲート131の開閉状態や、上流ダム110および下流ダム130の水位を用いる。この水位シミュレーションにより、上流ダムゲート111、発電機ゲート112、および下流ダムゲート131を開閉することによる、上流ダム110および下流ダム130における当日24時間の水位トレンドを算出する。
【0032】
なお、本実施形態の水力発電所監視制御装置400の各保存部(上流ダム放流開始時刻保存部401、発電開始時刻保存部402、下流ダム入水開始時刻保存部403)が伝送路200を介して各情報を受信した場合、図示しない内部時計から、受信した絶対時刻を取得し、各記憶部(上流ダム放流開始時刻記憶部404、発電開始時刻記憶部405、下流ダム入水開始時刻記憶部406)に保存する。
【0033】
ここでは、伝送路200を介して各情報を受信した場合に内部時計から絶対時刻を取得していたが、伝送路200から受信する各情報に、夫々の情報が送信された絶対時刻または各設備が動作した絶対時刻を示す情報が付与されていてもよい。
【0034】
(効果)
本実施形態によれば、流下遅れ時間算出部407が、上流ダム放流開始時刻、発電開始時刻、および下流ダム入水開始時刻から流下遅れ時間を算出するため、精度のよい流下遅れ時間を得ることができる。また、精度のよい流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションするため、水位シミュレーションの精度を向上させた水力発電所監視制御装置を提供することが可能である。
【0035】
また、従来のように流下遅れ時間を算出するために、作業者が過去の資料を調査したり、実際にストップウォッチにより求めたりする必要が無いため、作業者が行う作業も容易となる。さらに、従来のように作業者が求めた流下遅れ時間を入力する必要がないため、迅速な水位シミュレーションが可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
(構成)
第2の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図5を用いて説明する。図5は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、下流ダム入水開始時刻記憶部403´、下流ダム入水開始時刻記憶部406´、および流下遅れ時間算出部407´を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0037】
下流ダム入水開始時刻保存部403´は、下流ダム130の水位を伝送路200を介して取得し、水位上昇率が増加し始めた絶対時刻を下流ダム入水開始時刻T3,T4として下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存する。ここで、下流ダム入水開始時刻T3,T4と共に、水位上昇率も併せて保存する。
【0038】
下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存するデータを図6に示す。図6では、データ1として、下流ダム130に入水が開始した時刻「2000/01/01 0:00:00」と、この時の水位上昇率「100[mm/sec]」を保存している。同様にデータ2として、下流ダム130に入水が開始した時刻「2000/01/01 3:00:00」と、この時の水位上昇率「10[mm/sec]」を保存している。
【0039】
一般的な水力発電所100では、上流ダム110から放流される水量は、発電機120から放流される水量に比べて大きく、約10倍程度である。つまり、上流ダム110から下流ダム130へ直接流入する際の下流ダム130の水位上昇率は、発電機120を介して下流ダム130に入水する際の水位上昇率に比べて大きい。
【0040】
流下遅れ時間算出部407´は、下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存されている水位上昇率と事前に設定された閾値とに基づいて、対応する下流ダム入水開始時刻に流入した水は、上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であるか、発電機120を介して下流ダム130に流入した水であるかを判断する。例えば、事前に設定された閾値を30[mm/sec]とすることにより、水位上昇率が10[mm/sec](<30[mm/sec])であれば発電機120を介して下流ダム130に流入したと判断し、水位上昇率が100[mm/sec](>30[mm/sec])であれば上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であると判断する。
【0041】
そして、第1の実施形態と同様に(1)式、(2)式によりダム流下遅れ時間Td、発電機流下遅れ時間Tgを算出する。ここで、T3として上記で水位上昇率が事前に設定された閾値以上であると判断されたデータ1の下流ダム入水開始時刻を用い、T4として水位上昇率が事前に設定された閾値以下であると判断されたデータ2の下流ダム入水開始時刻を用いる。
【0042】
(効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、下流ダム入水開始時刻に流入した水は、上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であるか、発電機120を介して下流ダム130に流入した水であるかを、水位上昇率に基づいて判断することができる。そのため、さらに精度良く水位シミュレーションを行うことが可能である。
【0043】
(第3の実施形態)
(構成)
第3の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図7を用いて説明する。図7は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、流下遅れ時間算出部407および流下遅れ時間記憶部408に代えて、流下遅れ時間算出・雨量保存部410および流下遅れ時間・雨量記憶部411を夫々備え、さらに流下遅れ時間平均算出部412および流下遅れ時間平均記憶部413を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0044】
流下遅れ時間算出・雨量保存部410は、第1の実施形態と同様にダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間・雨量記憶部411に算出した流下遅れ時間を保存する。また、この流下遅れ時間と共に水力発電所100周辺の雨量を併せて保存する。雨量は、操作者により事前に入力された値を用いても良いし、他装置から受信しても良い。
【0045】
流下遅れ時間・雨量記憶部411は、流下遅れ時間算出・雨量保存部410により保存された流下遅れ時間および雨量を記憶する。この流下遅れ時間・雨量記憶部411に保存されるデータを図8に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出・雨量保存部410により算出された流下遅れ時間を示し、「雨量 [mm]」は流下遅れ時間算出・雨量保存部410が流下遅れ時間を算出した際の水力発電所100周辺の雨量を示す。
【0046】
流下遅れ時間平均算出部412は、流下遅れ時間・雨量記憶部411に保存された流下遅れ時間の平均値(以下、流下遅れ時間平均と呼ぶ)を、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出する。雨量別とは、例えば「20mm以下」、「20〜40mm」、「40〜60mm」、「60mm以上」などのパターンに分けて、夫々のパターンに該当するデータの平均値を算出する。そして、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均を流下遅れ時間平均記憶部413に保存する。
【0047】
流下遅れ時間平均記憶部413は、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均を記憶する。この流下遅れ時間平均記憶部413に保存される流下遅れ時間平均を図9に示す。
【0048】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間平均記憶部413に保存された流下遅れ時間平均を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。この時、現在の雨量に対応する流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションを行う。
【0049】
(効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、流下遅れ時間平均算出部412が流下遅れ時間平均を算出し、算出した流下遅れ時間平均を水位シミュレーションに使用するため、台風や工事等の流下遅れ時間の異常値を水位シミュレーションにそのまま用いることが無くなる。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0050】
また、雨量別にパターン分けし、流下遅れ時間平均を算出することにより、現在の雨量に対応した流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0051】
(第4の実施形態)
(構成)
第4の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図10を用いて説明する。図10は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第3の実施形態の図7と異なる点は、流下遅れ時間予測算出部414および流下遅れ時間予測記憶部415を備える点である。以下、第3の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0052】
流下遅れ時間予測算出部414は、流下遅れ時間平均記憶部413に記憶された流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均と、当日の気象予報に基づいて当日の流下遅れ時間を予測し、流下遅れ時間予測として流下遅れ時間予測記憶部415に保存する。ここで、流下遅れ時間予測記憶部415に保存されるデータを図11に示す。
【0053】
上述した気象予報には雨量予測が含まれ、例えば、当日の0時〜6時の時間帯の雨量は0[mm]、6時〜12時の時間帯の雨量は10[mm]、12時〜18時の時間帯の雨量は50[mm]、18時〜24時の時間帯の雨量は30[mm]であると予測されたデータである。そこで、流下遅れ時間予測算出部414は、図11に示すように、流下遅れ時間平均と時間帯別の雨量とから時間帯別の流下遅れ時間を算出する。図11では、一例として、0時〜6時のダム流下遅れ時間Tdは1.0[h]と予測している。
【0054】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間予測記憶部415に保存された流下遅れ時間予測を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。
【0055】
本発明に係る実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加え、当日の流下遅れ時間の変動を予測した流下遅れ時間予測を用いて水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0056】
(第5の実施形態)
(構成)
第5の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図12を用いて説明する。図12は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、流下遅れ時間算出部407、流下遅れ時間記憶部408に代えて、流下遅れ時間算出・付加情報保存部416および流下遅れ時間・付加情報記憶部417を備え、さらに流下遅れ時間優先算出部418および流下遅れ時間優先記憶部419を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0057】
流下遅れ時間算出・付加情報保存部416は、第1の実施形態と同様にダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間・付加情報記憶部417に算出した流下遅れ時間を保存する。また、この流下遅れ時間と共に付加情報を併せて保存する。この付加情報とは、例えば現在の気象条件(天候、気温、雨量、季節等)、年月日、時刻、等である。付加情報は、操作者により事前に入力された値を用いても良いし、他装置から受信しても良い。
【0058】
流下遅れ時間・付加情報記憶部417は、流下遅れ時間算出・付加情報保存部416により保存された流下遅れ時間および付加情報を記憶する。この流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されたデータを図13に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出・付加情報保存部416により算出された流下遅れ時間を示す。また、付加情報としてここでは「雨量 [mm]」、「年月日」、「時間」を保存している。
【0059】
流下遅れ時間優先算出部418は、現在の付加情報(雨量、年月日、時間)と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、現在の付加情報に最も近い付加情報に対応したダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間優先として流下遅れ時間優先記憶部419に保存する。
【0060】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間優先記憶部419に保存された流下遅れ時間優先を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。
【0061】
(効果)
本実施形態によれば、現在の付加情報(雨量、年月日、時間)と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている流下遅れ時間および付加情報とを比較して、流下遅れ時間優先を算出し、水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0062】
なお、ここでは現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も近い付加情報に対応した流下遅れ時間を算出していたが、付加情報に優先順位をつけてもよい。優先順位とは、流下遅れ時間に対する影響の大きさ順に付与され、例えば、雨量、年月日、時間の順に優先順位を付与する。
【0063】
流下遅れ時間優先算出部418では、最初に優先順位の高い雨量について、現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も現在の雨量に近い付加情報に対応した流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として用いる。しかし、最も近い雨量が複数あった場合は、雨量の次に優先順位の高い年月日について、現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も現在の年月日に近い付加情報に対応した流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として用いる。
【0064】
優先順位を付与することによって、流下遅れ時間に対する影響の大きい付加情報に基づいて流下遅れ時間優先を算出し、水位シミュレーションを行うことが可能となる。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0065】
また、ここでの付加情報として、水力発電所100の運用状況を示す発電所運用状況を保存しても良い。発電所運用状況とは、例えば、「正常」、「異常」の2値で表され、「正常」は通常の運転状態であり、「異常」は水力発電所100の何れかが工事中等の通常の運転状態ではないことを示している。
【0066】
流化遅れ時間優先算出部418は、付加情報の発電所運用状況が異常であるデータを削除し、流化遅れ時間優先を算出する。このように、発電所運用状況を用いて流化遅れ時間優先を算出するため、水力発電所100が工事中等の異常値を用いて水位シミュレーションを行うことがない。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0067】
なお、上述した本実施形態において、流下遅れ時間算出手段が算出した流下遅れ時間が事前に設定された閾値の範囲を逸脱した場合は、運用者に警告を出力する警告手段を備えてもよい。具体的には、図示しないモニタ等の表示部に警告を表示したり、図示しないスピーカーから警告音を発したりしても良い。また、水力発電所監視制御装置400に接続する他装置に対して伝送路を介して警報を出力しても良い。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100…水力発電所
110…上流ダム
111…上流ダムゲート
112…上流ダム発電機ゲート
120…発電機
130…下流ダム
131…下流ダムゲート
200…伝送路
300、400…水力発電所監視制御装置
401…上流ダム放流開始時刻保存部
402…発電開始時刻保存部
403、403´…下流ダム入水開始時刻保存部
404…上流ダム放流開始時刻記憶部
405…発電開始時刻記憶部
406、406´…下流ダム入水開始時刻記憶部
407、407´…流下遅れ時間算出部
408…流下遅れ時間記憶部
409…水位シミュレーション部
410…流下遅れ時間算出・雨量保存部
411…流下遅れ時間・雨量記憶部
412…流下遅れ時間平均算出部
413…流下遅れ時間平均記憶部
414…流下遅れ時間予測算出部
415…流下遅れ時間予測記憶部
416…流下遅れ時間算出・付加情報保存部
417…流下遅れ時間・付加情報記憶部
418…流下遅れ時間優先算出部
419…流下遅れ時間優先記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水力発電所監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統を構成する変電所には、遮断器、断路器、保護装置などの設備が、また、ダムや水力発電所には水位計測、ダムゲート操作、発電機起動停止などのための各種設備が設置されている。水力発電所監視制御装置は、これら様々な設備の状態を常に監視し異常があれば、その状況をアラームとして出力し、所定の手順により開閉器などの遠方制御を行う装置である。
【0003】
この水力発電所監視制御装置は、集中監視制御技術の発達により監視制御を行う範囲が広範囲となり、運転員は、日常、膨大な情報量を扱っている。このような中で電力系統の監視制御を行う場合、水力発電所監視制御装置は運転員の要求に応じて、あるいは自動的に情報を運転員に提供したり、各種設備の制御を行ったりしている。
【0004】
以下、図14を用いて、従来の水力発電所監視制御装置について説明する。図14は、水力発電所の構成を示す図である。水力発電所100は、上流ダム110、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、発電機120、下流ダム130、および下流ダムゲート131を備えている。
【0005】
上流ダム110は、河川の上流から流下する水を貯水する。上流ダムゲート111は、上流ダム110に設置され、当該ゲートを閉じている間は上流ダム110での貯水を継続するが、開くことによって上流ダム110に貯水された水を下流ダム130に放水する。上流ダム発電機ゲート112は、上流ダム110に設置され、当該ゲートを閉じている間は上流ダム110での貯水を継続するが、開くことによって上流ダム110に貯水された水を発電機120に放水する。
【0006】
発電機120には、上流ダム110から放水された水が流入し、流入した水が図示しないタービンを回して発電する。
【0007】
下流ダム130は、上流ダム110および発電機120から流下する水を貯水する。下流ダムゲート131は、下流ダム130に設置され、当該ゲートを閉じている間は下流ダム130での貯水を継続するが、開くことによって下流ダム130に貯水された水を、河川の下流に放水する。
【0008】
ここでは図示しないが、上流ダム110および下流ダム130には、夫々のダムの水位を計測する水位計測設備を備え、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、および下流ダムゲート131は、夫々のゲートを開閉するゲート操作設備および開閉状態を監視する状態監視設備を備え、発電機120には、発電されているか否かを監視する発電監視設備をおよび発電機の動作を制御する発電機制御設備を備える。これらの各設備は、伝送路200を介して、情報を送信すると共に、水力発電所監視制御装置300からの各種指令に応じて動作する。
【0009】
水力発電所監視制御装置300は、上述した各種設備から伝送路200を介して、上流ダム110および下流ダム130の水位、ゲートの開閉状態、および発電機の動作状態等の各種情報を受信する。さらに、この水力発電所監視制御装置300は、受信した各種情報に基づいて、上流ダム110または下流ダム130の水位を予測し、上流ダムゲート111、上流ダム発電機ゲート112、および下流ダムゲート131の開閉を操作する計画を立てるための水位シミュレーションを行う。この水位シミュレーションは、日に1回程度行われており、一日の上位ダム110または下流ダム130の水位トレンドを予測する。
【0010】
この水位シミュレーションでは、上流ダム110から水を放水してから下流ダム130に到着するまでの時間を示す、流下遅れ時間を用いている。従来は、この流下遅れ時間を過去の資料を調査したり、実際に作業者がストップウォッチによって求めていたりしていた。一方、この流下遅れ時間は、天候や河川の状態によって変化するため、上述方法では精度の高い流下遅れ時間を求めるとは困難であると共に、作業者の経験に基づいた技術が必要となるため、経験の浅い作業者によっては、正確でない流下遅れ時間を求めることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平08−19194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、精度の高い流下遅れ時間を求めることにより、安定した電力系統の運用を可能とする水力発電所監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、水力発電所を構成する上流ダム、発電機、および下流ダムに設置された設備の監視制御を行う水力発電所監視制御装置に関する。
【0014】
また、前記上流ダムが放水を開始した時刻を示す上流ダム放水開始時刻を算出する上流ダム放水開始時刻保存手段と、前記発電機が開始した時刻を示す発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、前記上流ダム放水開始時刻、前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放水を開始して前記下流ダムに入水を開始する時刻を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における水力発電所100および水力発電所監視制御装置400の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図3】第1の実施形態における(a)上流ダムゲートの開閉状態、(b)発電機運転状態、(c)下流ダム水位の一例を示すグラフ。
【図4】第1の実施形態における流下遅れ時間記憶部408に記憶された流下遅れ時間の一例を示す図。
【図5】第2の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図6】第2の実施形態における下流ダム入水開始時刻記憶部406´に記憶された下流ダム入水開始時刻および水位上昇率の一例を示す図。
【図7】第3の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図8】第3の実施形態における流下遅れ時間・雨量記憶部411に記憶された流下遅れ時間および雨量の一例を示す図。
【図9】第3の実施形態における流下遅れ時間平均記憶部413に記憶された流下遅れ時間平均の一例を示す図。
【図10】第4の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図11】第4の実施形態における流下遅れ時間予測記憶部415に記憶される流下遅れ時間予測の一例を示す図。
【図12】第5の実施形態における水力発電所監視制御装置400の構成を示す機能ブロック図。
【図13】第5の実施形態における流下遅れ時間・付加情報記憶部417に記憶された流下遅れ時間および付加情報の一例を示す図。
【図14】従来の水力発電所100および水力発電所監視制御装置300の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態における水力発電所監視制御装置について、図面を参照して説明する。なお、図14と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
(構成)
第1の実施形態における水力発電所監視制御装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、水力発電所監視制御装置および水力発電所の構成を示す図であり、従来の構成を示す図14と異なる点は、水力発電所監視制御装置400の内部構成である。
【0018】
次に、水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図2を用いて説明する。図2は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。
【0019】
水力発電所監視制御装置400は、上流ダム放流開始時刻保存部401、発電開始時刻保存部402、下流ダム入水開始時刻保存部403、上流ダム放流開始時刻記憶部404、発電開始時刻記憶部405、下流ダム入水開始時刻記憶部406、流下遅れ時間算出部407、流下遅れ時間記憶部408、および水位シミュレーション部409を備える。
【0020】
上流ダム放流開始時刻保存部401は、上流ダムゲート111の開閉状態を伝送路200を介して取得し、上流ダムゲート111が閉状態から開状態に変化した絶対時刻を、上流ダム放流開始時刻として上流ダム放流開始時刻記憶部404に保存する。この上流ダム放流開始時刻について図3(a)を用いて説明する。図3(a)は、上流ダムゲート111の開閉状態を示す図であり、上流ダムゲート111が閉状態から開状態に変化した時刻が上流ダム放流開始時刻T1である。ここでは、上流ダムゲート111の開閉状態を伝送路200を介して取得し、上流ダム放流開始時刻を算出しているが、実際に上流ダム110から下流ダム130への放流量を計測し、事前に設定された放流量閾値を超えた時間を上流ダム放流開始時刻としても良い。また、その他の方法であっても上流ダム110から下流ダム130へ放流が開始された時間を保存できれば良い。
【0021】
発電開始時刻保存部402は、発電機120の運転状態を伝送路200を介して取得し、発電機が動作を開始した時刻を、発電開始時刻として発電開始時刻記憶部405に保存する。発電開始時刻T2について図3(b)を用いて説明する。図3(b)は、発電機の運転状態を示す図であり、発電機120が停止状態から動作状態に変化した時刻が発電開始時刻である。ここでは、発電機の運転状態を伝送路200を介して取得し、発電開始時刻を算出しているが、発電機に接続する電力系統に変流器等を設置し、事前に設定された電流閾値を超えた時間を発電開始時刻としても良い。また、その他の方法であっても発電機が運転を開始した時間を保存できれば良い。
【0022】
下流ダム入水開始時刻保存部403は、下流ダム130の水位を伝送路200を介して取得し、水位の単位時間当たりの上昇率(以下、水位上昇率と呼ぶ)が増加し始めた絶対時刻を下流ダム入水開始時刻T3,T4として下流ダム入水開始時刻記憶部406に保存する。下流ダム入水開始時刻について図3(c)を用いて説明する。図3(c)は、下流ダム130の水位を示す図であり、下流ダム130における水位上昇率が増加し始めた時刻が下流ダム入水開始時刻である。ここでは、下流ダム130の水位が上昇し始めた時間を取得し、下流ダム入水開始時刻を算出していたが、その他の方法であっても下流ダム130に入水が開始した時間を保存できれば良い。
【0023】
下流ダム130に入水するルートは、上流ダム110から放出された水が直接下流ダム130に入水する第1のルートと、上流ダム110から発電機120を介して下流ダム130に入水する第2のルートがある。図3では、第1のルートにより下流ダム130に入水した下流ダム入水開始時刻をT3とし、第2のルートにより下流ダム130に入水した下流ダム入水開始時刻をT4としている。
【0024】
流下遅れ時間算出部407は、上流ダム放流開始時刻記憶部404に記憶された上流ダム放流開始時刻と、下流ダム入水開始記憶部406に記憶された下流ダム入水開始時刻とに基づいて、ダム流下遅れ時間Tdを算出する。このダム流下遅れ時間とは、上流ダム110から放流された水が発電機120を介さずに、直接下流ダム130に流入するまでの時間を示し、(1)式にて算出される。
【0025】
Td=T3−T1 ・・・(1)式
さらに、この流下遅れ時間算出部407は、発電開始時刻記憶部405に記憶された発電開始時刻と、下流ダム入水開始時刻記憶部406に記憶された下流ダム入水開始時刻とに基づいて、発電機流下遅れ時間Tgを算出する。この発電機流下遅れ時間とは、上流ダム110から放流された水が発電機120を介して、下流ダム130に流入するまでの時間を示し、(2)式にて算出される。
【0026】
Tg=T4−T2 ・・・(2)式
以降、ダム流下遅れ時間と発電機流下遅れ時間とを合わせて流下遅れ時間と呼ぶ。
【0027】
ここで、ダム流下遅れ時間Tdを誤ってT4−T1として算出することを防ぐために、流下遅れ時間算出部407は、T1から一定時間経過後の事前に設定された時間帯の下流ダム入水開始時刻T3を、上流ダムゲート111の開放による下流ダム130の水位が上昇した時刻であると判断し、ダム流下遅れ時間Tdを算出する。
【0028】
つまり、上流ダム放流開始時刻T1をAM0時00分とし、事前に設定された時間帯をT1から50分後〜70分後とした場合、下流ダム入水開始時刻のうち、AM0時50分〜AM1時10分の時間帯の下流ダム入水開始時刻T3を用いてダム流下遅れ時間Tdを算出し、流下遅れ時間記憶部408に保存する。
【0029】
発電機流下遅れ時間Tgも同様に、T2から一定時間経過後の事前に設定された時間帯の下流ダム入水開始時刻T4を、発電機ゲート112の開放による下流ダム130の水位が上昇した時刻であると判断し、発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間記憶部408に記憶する。
【0030】
流下遅れ時間記憶部408は、流下遅れ時間算出部407により算出されたダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを保存する。この流下遅れ時間記憶部408に保存されるダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを図4に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出部407により算出された流下遅れ時間を示している。「流下遅れ時間種類:Td」に対応する「流下遅れ時間[h]:1.1[h]」は、上流ダム110にて放流された水が直接下流ダム130に入水するまでの時間が1.1時間であることを示している。同様に、「流下遅れ時間種類:Tg」に対応する「流下遅れ時間[h]:1.5[h]」は、上流ダム110にて放流された水が発電機を介して下流ダム130に入水するまでの時間が1.5時間であることを示している。
【0031】
水位シミュレーション部409は、操作者からの指令を受けた場合または事前に設定された時間となった場合、流下遅れ時間記憶部408に保存された流下遅れ時間を取得し、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。この水位シミュレーションは従来の方法と同様であるため、詳細な説明は省略するが、上流ダムゲート111、発電機ゲート112、および下流ダムゲート131の開閉状態や、上流ダム110および下流ダム130の水位を用いる。この水位シミュレーションにより、上流ダムゲート111、発電機ゲート112、および下流ダムゲート131を開閉することによる、上流ダム110および下流ダム130における当日24時間の水位トレンドを算出する。
【0032】
なお、本実施形態の水力発電所監視制御装置400の各保存部(上流ダム放流開始時刻保存部401、発電開始時刻保存部402、下流ダム入水開始時刻保存部403)が伝送路200を介して各情報を受信した場合、図示しない内部時計から、受信した絶対時刻を取得し、各記憶部(上流ダム放流開始時刻記憶部404、発電開始時刻記憶部405、下流ダム入水開始時刻記憶部406)に保存する。
【0033】
ここでは、伝送路200を介して各情報を受信した場合に内部時計から絶対時刻を取得していたが、伝送路200から受信する各情報に、夫々の情報が送信された絶対時刻または各設備が動作した絶対時刻を示す情報が付与されていてもよい。
【0034】
(効果)
本実施形態によれば、流下遅れ時間算出部407が、上流ダム放流開始時刻、発電開始時刻、および下流ダム入水開始時刻から流下遅れ時間を算出するため、精度のよい流下遅れ時間を得ることができる。また、精度のよい流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションするため、水位シミュレーションの精度を向上させた水力発電所監視制御装置を提供することが可能である。
【0035】
また、従来のように流下遅れ時間を算出するために、作業者が過去の資料を調査したり、実際にストップウォッチにより求めたりする必要が無いため、作業者が行う作業も容易となる。さらに、従来のように作業者が求めた流下遅れ時間を入力する必要がないため、迅速な水位シミュレーションが可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
(構成)
第2の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図5を用いて説明する。図5は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、下流ダム入水開始時刻記憶部403´、下流ダム入水開始時刻記憶部406´、および流下遅れ時間算出部407´を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0037】
下流ダム入水開始時刻保存部403´は、下流ダム130の水位を伝送路200を介して取得し、水位上昇率が増加し始めた絶対時刻を下流ダム入水開始時刻T3,T4として下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存する。ここで、下流ダム入水開始時刻T3,T4と共に、水位上昇率も併せて保存する。
【0038】
下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存するデータを図6に示す。図6では、データ1として、下流ダム130に入水が開始した時刻「2000/01/01 0:00:00」と、この時の水位上昇率「100[mm/sec]」を保存している。同様にデータ2として、下流ダム130に入水が開始した時刻「2000/01/01 3:00:00」と、この時の水位上昇率「10[mm/sec]」を保存している。
【0039】
一般的な水力発電所100では、上流ダム110から放流される水量は、発電機120から放流される水量に比べて大きく、約10倍程度である。つまり、上流ダム110から下流ダム130へ直接流入する際の下流ダム130の水位上昇率は、発電機120を介して下流ダム130に入水する際の水位上昇率に比べて大きい。
【0040】
流下遅れ時間算出部407´は、下流ダム入水開始時刻記憶部406´に保存されている水位上昇率と事前に設定された閾値とに基づいて、対応する下流ダム入水開始時刻に流入した水は、上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であるか、発電機120を介して下流ダム130に流入した水であるかを判断する。例えば、事前に設定された閾値を30[mm/sec]とすることにより、水位上昇率が10[mm/sec](<30[mm/sec])であれば発電機120を介して下流ダム130に流入したと判断し、水位上昇率が100[mm/sec](>30[mm/sec])であれば上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であると判断する。
【0041】
そして、第1の実施形態と同様に(1)式、(2)式によりダム流下遅れ時間Td、発電機流下遅れ時間Tgを算出する。ここで、T3として上記で水位上昇率が事前に設定された閾値以上であると判断されたデータ1の下流ダム入水開始時刻を用い、T4として水位上昇率が事前に設定された閾値以下であると判断されたデータ2の下流ダム入水開始時刻を用いる。
【0042】
(効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、下流ダム入水開始時刻に流入した水は、上流ダム110から直接下流ダム130に流入した水であるか、発電機120を介して下流ダム130に流入した水であるかを、水位上昇率に基づいて判断することができる。そのため、さらに精度良く水位シミュレーションを行うことが可能である。
【0043】
(第3の実施形態)
(構成)
第3の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図7を用いて説明する。図7は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、流下遅れ時間算出部407および流下遅れ時間記憶部408に代えて、流下遅れ時間算出・雨量保存部410および流下遅れ時間・雨量記憶部411を夫々備え、さらに流下遅れ時間平均算出部412および流下遅れ時間平均記憶部413を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0044】
流下遅れ時間算出・雨量保存部410は、第1の実施形態と同様にダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間・雨量記憶部411に算出した流下遅れ時間を保存する。また、この流下遅れ時間と共に水力発電所100周辺の雨量を併せて保存する。雨量は、操作者により事前に入力された値を用いても良いし、他装置から受信しても良い。
【0045】
流下遅れ時間・雨量記憶部411は、流下遅れ時間算出・雨量保存部410により保存された流下遅れ時間および雨量を記憶する。この流下遅れ時間・雨量記憶部411に保存されるデータを図8に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出・雨量保存部410により算出された流下遅れ時間を示し、「雨量 [mm]」は流下遅れ時間算出・雨量保存部410が流下遅れ時間を算出した際の水力発電所100周辺の雨量を示す。
【0046】
流下遅れ時間平均算出部412は、流下遅れ時間・雨量記憶部411に保存された流下遅れ時間の平均値(以下、流下遅れ時間平均と呼ぶ)を、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出する。雨量別とは、例えば「20mm以下」、「20〜40mm」、「40〜60mm」、「60mm以上」などのパターンに分けて、夫々のパターンに該当するデータの平均値を算出する。そして、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均を流下遅れ時間平均記憶部413に保存する。
【0047】
流下遅れ時間平均記憶部413は、流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均を記憶する。この流下遅れ時間平均記憶部413に保存される流下遅れ時間平均を図9に示す。
【0048】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間平均記憶部413に保存された流下遅れ時間平均を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。この時、現在の雨量に対応する流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションを行う。
【0049】
(効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、流下遅れ時間平均算出部412が流下遅れ時間平均を算出し、算出した流下遅れ時間平均を水位シミュレーションに使用するため、台風や工事等の流下遅れ時間の異常値を水位シミュレーションにそのまま用いることが無くなる。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0050】
また、雨量別にパターン分けし、流下遅れ時間平均を算出することにより、現在の雨量に対応した流下遅れ時間を用いて水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0051】
(第4の実施形態)
(構成)
第4の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図10を用いて説明する。図10は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第3の実施形態の図7と異なる点は、流下遅れ時間予測算出部414および流下遅れ時間予測記憶部415を備える点である。以下、第3の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0052】
流下遅れ時間予測算出部414は、流下遅れ時間平均記憶部413に記憶された流下遅れ時間種類別および雨量別に算出した流下遅れ時間平均と、当日の気象予報に基づいて当日の流下遅れ時間を予測し、流下遅れ時間予測として流下遅れ時間予測記憶部415に保存する。ここで、流下遅れ時間予測記憶部415に保存されるデータを図11に示す。
【0053】
上述した気象予報には雨量予測が含まれ、例えば、当日の0時〜6時の時間帯の雨量は0[mm]、6時〜12時の時間帯の雨量は10[mm]、12時〜18時の時間帯の雨量は50[mm]、18時〜24時の時間帯の雨量は30[mm]であると予測されたデータである。そこで、流下遅れ時間予測算出部414は、図11に示すように、流下遅れ時間平均と時間帯別の雨量とから時間帯別の流下遅れ時間を算出する。図11では、一例として、0時〜6時のダム流下遅れ時間Tdは1.0[h]と予測している。
【0054】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間予測記憶部415に保存された流下遅れ時間予測を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。
【0055】
本発明に係る実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加え、当日の流下遅れ時間の変動を予測した流下遅れ時間予測を用いて水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0056】
(第5の実施形態)
(構成)
第5の実施形態の水力発電所監視制御装置400の内部構成および作用について図12を用いて説明する。図12は、水力発電所監視制御装置400の内部構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態の図2と異なる点は、流下遅れ時間算出部407、流下遅れ時間記憶部408に代えて、流下遅れ時間算出・付加情報保存部416および流下遅れ時間・付加情報記憶部417を備え、さらに流下遅れ時間優先算出部418および流下遅れ時間優先記憶部419を備える点である。以下、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0057】
流下遅れ時間算出・付加情報保存部416は、第1の実施形態と同様にダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間・付加情報記憶部417に算出した流下遅れ時間を保存する。また、この流下遅れ時間と共に付加情報を併せて保存する。この付加情報とは、例えば現在の気象条件(天候、気温、雨量、季節等)、年月日、時刻、等である。付加情報は、操作者により事前に入力された値を用いても良いし、他装置から受信しても良い。
【0058】
流下遅れ時間・付加情報記憶部417は、流下遅れ時間算出・付加情報保存部416により保存された流下遅れ時間および付加情報を記憶する。この流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されたデータを図13に示す。ここで、「流下遅れ時間種類」は、ダム流下遅れ時間Tdか発電機流下遅れ時間Tgかを示し、「流下遅れ時間 [h]」は流下遅れ時間算出・付加情報保存部416により算出された流下遅れ時間を示す。また、付加情報としてここでは「雨量 [mm]」、「年月日」、「時間」を保存している。
【0059】
流下遅れ時間優先算出部418は、現在の付加情報(雨量、年月日、時間)と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、現在の付加情報に最も近い付加情報に対応したダム流下遅れ時間Tdおよび発電機流下遅れ時間Tgを算出し、流下遅れ時間優先として流下遅れ時間優先記憶部419に保存する。
【0060】
水位シミュレーション部409は、流下遅れ時間優先記憶部419に保存された流下遅れ時間優先を用いて、当日の上流ダム110および下流ダム130の水位シミュレーションを行う。
【0061】
(効果)
本実施形態によれば、現在の付加情報(雨量、年月日、時間)と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている流下遅れ時間および付加情報とを比較して、流下遅れ時間優先を算出し、水位シミュレーションを行うことが可能である。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0062】
なお、ここでは現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も近い付加情報に対応した流下遅れ時間を算出していたが、付加情報に優先順位をつけてもよい。優先順位とは、流下遅れ時間に対する影響の大きさ順に付与され、例えば、雨量、年月日、時間の順に優先順位を付与する。
【0063】
流下遅れ時間優先算出部418では、最初に優先順位の高い雨量について、現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も現在の雨量に近い付加情報に対応した流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として用いる。しかし、最も近い雨量が複数あった場合は、雨量の次に優先順位の高い年月日について、現在の付加情報と流下遅れ時間・付加情報記憶部417に保存されている付加情報とを比較し、最も現在の年月日に近い付加情報に対応した流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として用いる。
【0064】
優先順位を付与することによって、流下遅れ時間に対する影響の大きい付加情報に基づいて流下遅れ時間優先を算出し、水位シミュレーションを行うことが可能となる。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0065】
また、ここでの付加情報として、水力発電所100の運用状況を示す発電所運用状況を保存しても良い。発電所運用状況とは、例えば、「正常」、「異常」の2値で表され、「正常」は通常の運転状態であり、「異常」は水力発電所100の何れかが工事中等の通常の運転状態ではないことを示している。
【0066】
流化遅れ時間優先算出部418は、付加情報の発電所運用状況が異常であるデータを削除し、流化遅れ時間優先を算出する。このように、発電所運用状況を用いて流化遅れ時間優先を算出するため、水力発電所100が工事中等の異常値を用いて水位シミュレーションを行うことがない。そのため、水位シミュレーションの精度のさらなる向上が可能である。
【0067】
なお、上述した本実施形態において、流下遅れ時間算出手段が算出した流下遅れ時間が事前に設定された閾値の範囲を逸脱した場合は、運用者に警告を出力する警告手段を備えてもよい。具体的には、図示しないモニタ等の表示部に警告を表示したり、図示しないスピーカーから警告音を発したりしても良い。また、水力発電所監視制御装置400に接続する他装置に対して伝送路を介して警報を出力しても良い。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100…水力発電所
110…上流ダム
111…上流ダムゲート
112…上流ダム発電機ゲート
120…発電機
130…下流ダム
131…下流ダムゲート
200…伝送路
300、400…水力発電所監視制御装置
401…上流ダム放流開始時刻保存部
402…発電開始時刻保存部
403、403´…下流ダム入水開始時刻保存部
404…上流ダム放流開始時刻記憶部
405…発電開始時刻記憶部
406、406´…下流ダム入水開始時刻記憶部
407、407´…流下遅れ時間算出部
408…流下遅れ時間記憶部
409…水位シミュレーション部
410…流下遅れ時間算出・雨量保存部
411…流下遅れ時間・雨量記憶部
412…流下遅れ時間平均算出部
413…流下遅れ時間平均記憶部
414…流下遅れ時間予測算出部
415…流下遅れ時間予測記憶部
416…流下遅れ時間算出・付加情報保存部
417…流下遅れ時間・付加情報記憶部
418…流下遅れ時間優先算出部
419…流下遅れ時間優先記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流ダム、発電機、および下流ダムを有する水力発電所の監視制御を行う水力発電所監視制御装置において、
前記上流ダムが放水を開始した上流ダム放流開始時刻を算出する上流ダム放流開始時刻保存手段と、
前記発電機が発電を開始した発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、
前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、
前記上流ダム放流開始時刻保存手段に保存された前記上流ダム放流開始時刻、前記発電開始時刻保存手段に保存された前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻保存手段に保存された前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放流を開始して前記下流ダムに入水を開始する時間を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、
を備える水力発電所監視制御装置。
【請求項2】
前記上流ダム放流開始時刻保存手段は、前記上流ダムが前記下流ダムに放流する際に開くゲートを示す上流ダムゲートの開閉状態、または前記上流ダムの水位を示す上流ダム水位から、前記上流ダム放流開始時刻を算出する
請求項1に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項3】
前記発電開始時刻保存手段は、前記上流ダムに設置され、前記発電機に放流する際に開くゲートを示す上流ダム発電機ゲートの開閉状態、前記発電機の運転状態、または前記発電機が接続する系統の電気量から、前記発電開始時刻を算出する
請求項1または2記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項4】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダムの水位を示す下流ダム水位から前記下流ダム入水開始時刻を算出する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項5】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダムから放流された水が前記上流ダムゲートを介して前記下流ダムに入水するまでの時間を示すダム流下遅れ時間と、前記上流ダムから放流された水が前記上流ダム発電機ゲートおよび前記発電機を介して前記下流ダムに入水するまでの時間を示す発電機流下遅れ時間とを算出する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項6】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダム放流開始時刻と、事前に設定された時間後の事前に設定された時間帯の下流ダム流入開始時刻とに基づいて前記ダム流下遅れ時間を算出する
請求項5に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項7】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記発電開始時刻と、事前に設定された時間後の事前に設定された時間帯の下流ダム流入開始時刻とに基づいて前記発電機流下遅れ時間を算出する
請求項5または6に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項8】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダム入水開始時刻と、前記下流ダムの水位上昇率とを算出し、
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダム放流開始時刻と、前記水位上昇率とから前記ダム流下遅れ時間を算出する
請求項5に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項9】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダム入水開始時刻と、前記下流ダムの水位上昇率とを算出し、
前記流下遅れ時間算出手段は、前記発電開始時刻と、前記水位上昇率とから前記発電機流下遅れ時間を算出する
請求項5または8に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項10】
前記流下遅れ時間の平均を示す流下遅れ時間平均を算出する流下遅れ時間平均算出手段と、
を備える請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項11】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記流下遅れ時間を算出すると共に雨量を取得し、
前記流下遅れ時間および前記雨量を記憶する流下遅れ時間・雨量記憶部と、
前記流下遅れ時間平均算出手段は、前記流下遅れ時間・雨量記憶部に記憶された前記流下遅れ時間および前記雨量に基づいて、雨量別の前記流下遅れ時間平均を算出する
請求項10に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項12】
雨量別の前記流下遅れ時間平均と気象予報とから、時間帯毎に予測された流下遅れ時間を示す流下遅れ時間予測を算出する流下遅れ時間予測算出部と、
を備える請求項11に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項13】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記流下遅れ時間を取得すると共に付加情報を取得し、
前記流下遅れ時間および前記付加情報を記憶する流下遅れ時間・付加情報記憶部と、
前記流下遅れ時間・付加情報記憶部に記憶された前記付加情報と、現在の付加情報を示す現在付加情報とを比較し、前記現在付加情報に近い前記付加情報に対応する前記流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として算出する流下遅れ時間優先算出手段と、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項14】
前記付加情報を構成する各情報は優先順位を備え、
前記流下遅れ時間優先算出手段は、前記優先順位の高い順に、前記付加情報に対応する現在の付加情報を示す現在付加情報とを比較し、前記現在付加情報に近い前記付加情報に対応する前記流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として算出する
請求項13に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項15】
前記付加情報は、前記水力発電所の運用状況が正常時か異常時かを示す発電所運用状況を含み、
前記流下遅れ時間優先算出手段は、前記発電所運用状況が異常である情報に対応する前記流下遅れ時間を排除して前記流下遅れ時間優先を算出する
請求項13または14に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項16】
前記流下遅れ時間算出手段により算出された流下遅れ時間が事前に設定された閾値の範囲を逸脱した場合に、運用者に警告を出力する警告手段と、
を備える請求項1乃至15のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項1】
上流ダム、発電機、および下流ダムを有する水力発電所の監視制御を行う水力発電所監視制御装置において、
前記上流ダムが放水を開始した上流ダム放流開始時刻を算出する上流ダム放流開始時刻保存手段と、
前記発電機が発電を開始した発電開始時刻を算出する発電開始時刻保存手段と、
前記下流ダムに入水が開始した時刻を示す下流ダム入水開始時刻を算出する下流ダム入水開始時刻保存手段と、
前記上流ダム放流開始時刻保存手段に保存された前記上流ダム放流開始時刻、前記発電開始時刻保存手段に保存された前記発電開始時刻、および前記下流ダム入水開始時刻保存手段に保存された前記下流ダム入水開始時刻から、前記上流ダムから放流を開始して前記下流ダムに入水を開始する時間を示す流下遅れ時間を算出する流下遅れ時間算出手段と、
を備える水力発電所監視制御装置。
【請求項2】
前記上流ダム放流開始時刻保存手段は、前記上流ダムが前記下流ダムに放流する際に開くゲートを示す上流ダムゲートの開閉状態、または前記上流ダムの水位を示す上流ダム水位から、前記上流ダム放流開始時刻を算出する
請求項1に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項3】
前記発電開始時刻保存手段は、前記上流ダムに設置され、前記発電機に放流する際に開くゲートを示す上流ダム発電機ゲートの開閉状態、前記発電機の運転状態、または前記発電機が接続する系統の電気量から、前記発電開始時刻を算出する
請求項1または2記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項4】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダムの水位を示す下流ダム水位から前記下流ダム入水開始時刻を算出する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項5】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダムから放流された水が前記上流ダムゲートを介して前記下流ダムに入水するまでの時間を示すダム流下遅れ時間と、前記上流ダムから放流された水が前記上流ダム発電機ゲートおよび前記発電機を介して前記下流ダムに入水するまでの時間を示す発電機流下遅れ時間とを算出する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項6】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダム放流開始時刻と、事前に設定された時間後の事前に設定された時間帯の下流ダム流入開始時刻とに基づいて前記ダム流下遅れ時間を算出する
請求項5に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項7】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記発電開始時刻と、事前に設定された時間後の事前に設定された時間帯の下流ダム流入開始時刻とに基づいて前記発電機流下遅れ時間を算出する
請求項5または6に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項8】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダム入水開始時刻と、前記下流ダムの水位上昇率とを算出し、
前記流下遅れ時間算出手段は、前記上流ダム放流開始時刻と、前記水位上昇率とから前記ダム流下遅れ時間を算出する
請求項5に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項9】
前記下流ダム入水開始時刻保存手段は、前記下流ダム入水開始時刻と、前記下流ダムの水位上昇率とを算出し、
前記流下遅れ時間算出手段は、前記発電開始時刻と、前記水位上昇率とから前記発電機流下遅れ時間を算出する
請求項5または8に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項10】
前記流下遅れ時間の平均を示す流下遅れ時間平均を算出する流下遅れ時間平均算出手段と、
を備える請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項11】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記流下遅れ時間を算出すると共に雨量を取得し、
前記流下遅れ時間および前記雨量を記憶する流下遅れ時間・雨量記憶部と、
前記流下遅れ時間平均算出手段は、前記流下遅れ時間・雨量記憶部に記憶された前記流下遅れ時間および前記雨量に基づいて、雨量別の前記流下遅れ時間平均を算出する
請求項10に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項12】
雨量別の前記流下遅れ時間平均と気象予報とから、時間帯毎に予測された流下遅れ時間を示す流下遅れ時間予測を算出する流下遅れ時間予測算出部と、
を備える請求項11に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項13】
前記流下遅れ時間算出手段は、前記流下遅れ時間を取得すると共に付加情報を取得し、
前記流下遅れ時間および前記付加情報を記憶する流下遅れ時間・付加情報記憶部と、
前記流下遅れ時間・付加情報記憶部に記憶された前記付加情報と、現在の付加情報を示す現在付加情報とを比較し、前記現在付加情報に近い前記付加情報に対応する前記流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として算出する流下遅れ時間優先算出手段と、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項14】
前記付加情報を構成する各情報は優先順位を備え、
前記流下遅れ時間優先算出手段は、前記優先順位の高い順に、前記付加情報に対応する現在の付加情報を示す現在付加情報とを比較し、前記現在付加情報に近い前記付加情報に対応する前記流下遅れ時間を流下遅れ時間優先として算出する
請求項13に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項15】
前記付加情報は、前記水力発電所の運用状況が正常時か異常時かを示す発電所運用状況を含み、
前記流下遅れ時間優先算出手段は、前記発電所運用状況が異常である情報に対応する前記流下遅れ時間を排除して前記流下遅れ時間優先を算出する
請求項13または14に記載の水力発電所監視制御装置。
【請求項16】
前記流下遅れ時間算出手段により算出された流下遅れ時間が事前に設定された閾値の範囲を逸脱した場合に、運用者に警告を出力する警告手段と、
を備える請求項1乃至15のいずれか1項に記載の水力発電所監視制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−78179(P2013−78179A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215713(P2011−215713)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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