説明

水受け設備

【課題】振動子を利用した洗面器等水受け具の防汚手段を改良する。
【解決手段】内部に振動子30を一体に組み込んだ水栓器具20を洗面器10上面に設置し、振動子30の振動が洗面器10に直接的に伝達されるよう構成する。振動子30には超磁歪振動子が好適である。水栓器具20が自動水栓の場合、人体検知センサーから出力される人体検知信号に基づき、制御装置が電磁弁を開動作させるのと同時に、振動子30を動作させるように設定する。手動スイッチによる電磁弁の開閉と連動させて、振動子を動作/停止させるように設定してもよい。水栓器具に振動子を組み込むので、水栓器具を設置するだけで振動子の取り付けを同時に行なえるから、作業工数を減らせる。水が吐出されるときは必ず洗面器に防汚振動が与えられるから、汚れの付着防止効果が大きい。水栓器具内に振動子を組み込むので、見栄えが良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台の洗面器、台所用流し台のシンク、浴室の浴槽などにおいて、汚れを付着しにくくさせるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台、台所の流し台、浴室の浴槽設備等の水受け設備における洗面器・シンク・浴槽等の水受け器具は汚れが付着し易い。そこで汚れの付着を防止する一手段として、超音波発生装置を用いることが特許文献1に記載されている。同特許文献1によれば、超音波発生装置を浴槽の外壁面に固定し、この超音波発生装置から発生させる超音波で浴槽に溜めた水を振動させることにより、汚れが浴槽に付着しにくくできるとされている。
【特許文献1】特開平5−236595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の汚れ付着防止装置は、浴槽等に別途取り付ける必要があるため、作業工数が増えるという欠点がある。また、超音波発生装置の設置箇所によっては、見栄えを悪くするおそれがある。超音波発生装置は、振動を与えるときに超音波を発生させるが、これが人体に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに特許文献1は、浴槽以外の水受け器具、例えば洗面器や流しなどにおける防汚手段を開示するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決すべく、水受け設備に改良を加えたものである。本発明の特徴は、洗面器等の水受け器具と、この水受け器具に設置される水栓器具とから成る水受け設備であって、前記水栓器具に、前記水受け具に防汚振動を与える振動子を組み込んだところにある。
【0005】
前記水受け設備とは、化粧室に設置される洗面化粧台や手洗い装置、台所に設置される流し台、浴室に設置される浴槽設備等が挙げられる。また水受け設備に備えられる水受け器具とは、洗面器・手洗器・流し・シンク・浴槽などであり、要するに、水栓器具が設置され、この水栓器具から吐出される水の受け部材となるものを指す。
【0006】
本発明に係る水受け設備において、振動子の動作をスイッチ操作により制御することが考えられるが、前記水栓器具から水が吐出されたときに振動子が振動するよう設定することもできる。
【0007】
さらに、水栓器具については、人体検知センサーで人体を検知すると弁を開いて水を吐出させるようになされた自動水栓とすることが可能である。
【0008】
なお、本発明に用いる振動子には、超磁歪振動子とすることが望ましい。磁性体が外部からの磁界の影響によって弾性変形する現象を磁歪と言うが、この磁歪変形の程度が著しく大きい物質を超磁歪材料と称し、テルビウムTb−ディスプロシウムDy−鉄Fe系の単結晶合金が従来知られている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る水受け設備は、水栓器具に組み込んだ振動子で洗面器等の水受け器具に防汚振動を与えるから、汚れの付着を抑制することができる。水栓器具に振動子を組み込む構成を採用したので、水受け器具に水栓器具を設置することにより、振動子の取り付けが同時に行われる。従って、水受け設備に防汚手段を設けるための作業工数を減らすことができるから、施工性が向上する。また水栓器具に振動子を組み込むので、振動子を露出させることがなく、見栄えが良い。
【0010】
水栓器具から水が吐出されたときに振動子が振動するよう設定した場合は、水が吐出されている時には必ず水受け器具に防汚振動を与えるから、汚れの付着防止が確実になる。
【0011】
水栓器具を自動水栓とした場合、自動水栓は各種電気部品を内蔵するものであり、電気配線が通常なされるものであるから、振動子に電力を供給するための配線の取り回しが容易になる。また、人体検知センサーによる人体検知と振動子とを連動させた場合は、振動子を起動させるためのスイッチを不要にすることができる。
【0012】
振動子を超磁歪振動子とした場合は、振動子を小型化することが可能であり、また超音波を発生しないから、人体に対し悪影響を及ぼす可能性を排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明が適用される水受け設備の一例としての洗面化粧台Sを示すものであって、1はキャビネット、2は鏡体、3は照明器具、10は洗面器、20は水栓器具としての自動水栓である。洗面器10はキャビネット1上部に載設され、洗面器10の上面に水栓器具20が設置されている。この水栓器具20は、吐出部21等に人体検知センサーが配置され、水の吐出を強制的に実行/停止させるための手動スイッチ22が頭部に配置されている。
【0014】
本例では、内部に振動子30を一体に組み込んだ水栓器具20を図2(A)に示す如く洗面器10上面に設置することにより、振動子30を図2(B)に示すように洗面器10に当接させ、振動が直接的に伝達されるよう構成した。振動子30には、小型で出力の大きい超磁歪振動子を用いるのが好適であるが、他の圧電型振動子等を用いることも妨げない。但し超音波式振動子は、人体に対し悪影響を及ぼす可能性が排除されないので、採用を控えるものとする。振動子を動作させることにより、洗面器10を振動させて汚れを付着しにくくし、また付着した汚れを水で洗い落とし易くすることができる。
【0015】
振動子30の動作を制御する方式には次のような態様が考えられる。水栓器具20が自動水栓の場合、図3に示すように、人体検知センサーから出力される人体検知信号に基づき、制御装置が電磁弁を開動作させるのと同時に、振動子を動作させるように設定する。これにより、水が吐出されるときは必ず洗面器に防汚振動が与えられるから、汚れの付着を防止する効果が大きい。なお、人体検知センサーからの人体検知信号がなくなれば、制御装置により、電磁弁の閉止と同時に振動子を停止させるとよい。また、水栓器具(自動水栓)20が、人体検知センサーからの人体検知信号の有無に関わらず、電磁弁の開閉を強制的に行える手動スイッチ22(図1参照)を有している場合には、手動スイッチ22による電磁弁の開閉と連動させて、振動子を動作/停止させるように設定することが考えられる。いずれにしても水栓器具20が水を吐出している間には必ず、振動子が動作するように設定することが望ましい。
【0016】
水栓器具20からの水の吐出と、振動子30の動作とを連動させる手段としては、図4に示すような態様も考えられる。すなわち、水栓器具20に接続される給水管の途中に、水流を検知するフローセンサーを配設し、フローセンサーから出力される水流検知信号に基づいて、制御装置が振動子の動作を制御するものとする。なおフローセンサーだけでなく、水圧センサーなど吐水の有無を検知できる手段であれば採用可能である。
【0017】
本発明を洗面化粧台以外の水受け設備に適用する場合の実施形態について、簡単に述べる。前記実施形態は、水受け設備が洗面化粧台Sであり、水栓器具20が自動水栓であるときについて述べたものであるが、この例では、図5(A)に示すように、電磁弁の開閉を制御する人体検知センサーによって、振動子の動作を制御している。台所用流し台や浴槽など、自動水栓でなくハンドル操作する水栓器具が設置される場合は、図5(B)に示すように、水栓器具のハンドル操作とスイッチ操作とを連動させ、水栓ハンドルが吐水位置に在るときには、振動子が動作するように設定することが考えられる。あるいは水栓本体等に設けた手動スイッチにより振動子の動作を制御してもよい。さらには流し台や浴槽の場合については、フローセンサーや水圧センサー等の吐水検知手段を設け、その検知信号に基づき、振動子の動作を制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が適用される洗面化粧台の一例を示す斜視図である。
【図2】図(A)は、図1に示す洗面化粧台における洗面器の側面断面図、図(B)は図(A)の要部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る振動子の動作制御方式の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る振動子の動作制御方式の異なる例を示す概略構成図である。
【図5】図(A)〜(C)はいずれも、本発明に係る振動子の動作制御方式のさらに異なる例を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0019】
S…洗面化粧台 1…キャビネット 10…洗面器 20…水栓器具(自動水栓) 21…吐水部 22…手動スイッチ 30…振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面器等の水受け器具と、この水受け器具に設置される水栓器具とから成る水受け設備であって、前記水栓器具に、前記水受け具に防汚振動を与える振動子を組み込んだことを特徴とする水受け設備。
【請求項2】
前記振動子は、前記水栓器具から水が吐出されたときに振動するよう設定されている請求項1に記載する水受け設備。
【請求項3】
前記水栓器具は、人体検知センサーで人体を検知すると弁を開いて水を吐出させるようになされた自動水栓である請求項1又は2に記載の水受け設備。
【請求項4】
前記振動子は、超磁歪振動子である請求項1乃至3のいずれかに記載の水受け設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−6627(P2006−6627A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188011(P2004−188011)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】