説明

水和性顆粒剤よりなる農園芸用粒状組成物

配合された農薬活性成分の種類と性状に影響を受けることなく、水和性顆粒剤、すなわち顆粒状水和剤の水中崩壊性、水中分散性、水中懸垂性が向上されてあり且つ低起泡性である新規な水和性顆粒剤よりなる農園芸用組成物として、少くとも1種の農薬活性成分(a)、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤およびリン酸エステル塩型の界面活性剤から選ばれるゆくとも1種の界面活性剤(b)および炭素数6から28の脂肪酸の金属塩(c)の少くとも1種とを必須成分として含有してなる水和性顆粒剤よりなる粒状組成物が開発された。本組成物を水で希釈することにより得た水性分散液は低起泡性であり、しかも本組成物を水と混合した時に、本組成物の顆粒は速やかに水中で崩壊し且つ水中で微細な分散粒子に分かれて良く分散することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、優れた水中崩壊性と優れた水中分散性と優れた水中懸垂性とを有するが低起泡性である水和性顆粒剤から成る新規な農園芸用の粒状組成物(granular composition)に関するものである。水和性顆粒剤(water−dispersible granules;WDGと略記される)は、顆粒状水和剤(granular wettable powder)とも言われる。
【背景技術】
農薬化合物(agrochemical compound)は、多くの場合、粉剤(dust)、粒剤(granules)、水和剤(wattable powder)、乳剤(emulsfiable concentrate)、SC剤(suspension concentrate)、EW剤(emulsion,oil in water)などの種々な剤型に製剤されて施用されている。これらの製剤のうち、粉剤と粒剤はその製剤をそのままに施用するか、あるいは散布機械を用いて施用する。乳剤、水和剤、SC剤またはEW剤は、これを水などにより希釈して所定濃度の有効成分を含む液剤を作り、その後に、その液剤を散布するようにして多くの場合、施用される。
乳剤は、そのほとんどが農薬活性成分を有機溶剤に溶解し、得られた溶液に乳化剤などを加えて製造される。したがって、農薬活性成分が有機溶剤に可溶である場合に限り、乳剤の製造が可能である。乳剤では、使用される有機溶剤は可燃性であることが多く、火災等の危険性を伴い、取扱い、輸送、貯蔵にも十分な配慮が必要とされている。また、乳剤は、有機溶剤の使用に伴う毒性や薬害の問題も有している。
一方、水和剤(wettable powder)は、固体状の農薬活性成分を微粒子に粉砕し、あるいは液体状の農薬活性成分を高吸油性の微粉末に吸着せしめてから微粉末状に粉砕し、それら微粉末に対して分散性、湿展性を有する界面活性剤を配合することにより製造されるものである。したがって、水和剤は、有機溶剤に可溶性でない農薬活性成分を用いても製造できるばかりでなく、有機溶剤を使用しないために、水和剤の取扱い、輸送、貯蔵においても火災等の危険性がない。また、水和剤は有機溶剤の使用に起因する毒性や薬害の問題も無い。
しかし、従来の一般的な水和剤には、次のような欠点があることが良く知られる。すなわち、水和剤はそれに含まれる農薬活性成分それ自体が微粒子であり、また水和剤全体が微粒子からなっている。そのため、水和剤の見掛け比重が小さくて、かさばること、また水和剤を水で希釈して散布液を作る際に微粉が舞い上がる粉立ち(dusting)を起す欠点があるため、作業者の健康上好ましくない問題点がある。さらに、ある容積の水和剤を小分けに分割する作業と、小分けにされた水和剤の各部の容量計量の作業がやり難いなどの問題点がある。
SC剤、EW剤などのフロアブル剤(FL)は、懸濁液または乳濁液状の液剤として製造されてあり、このことにより、水和剤の難しい計量性と粉立ちとの欠点を解消した製剤である。しかし、これらフロアブル剤は、比較的高粘度の液状製剤であり、そのため、フロアブル剤を、それを入れた容器から排出して取出すのが難しく、また容器内壁への製剤の付着を避けられない。このことから、フロアブル剤を取出した後の使用済み容器を廃棄するのに問題点を有している。
そこで、近年、水和剤を顆粒状化することにより、水和性顆粒剤を製造する試みがなされている。
水和性顆粒剤、すなわち顆粒状水和剤は、農薬活性成分、界面活性剤、及び結合剤、さらに必要に応じてその他の補助剤を微粉末の形で混合し、その微粉状混合物を顆粒状に造粒することにより製造したものである。造粒法としては、押出造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法などが用いられる。水和性顆粒剤では、顆粒状化されてあり、このことにより、従来の水和剤の嵩高さ、粉立ち、容量の計量性の難しい欠点がない上に、フロアブル剤の粘度に起因する前記の問題点を解消されている。
水和性顆粒剤は、通常、数10倍〜数1000倍の容量の水で希釈して、微粒子の水性分散液を作り、この水性分散液を圃場に散布するようにして施用する。前記の水性分散液を作るに当って、水和性顆粒剤を水中に投入した後は、各々の顆粒が速やかに水中で崩壊し、水中で農薬活性成分及び補助成分が均一に分散して水中で安定した懸濁状態を維持することが必要である。しかし、例えば従来の通常の水和剤よりなる組成物を単に顆粒状化した場合には、得られた各々の顆粒は水中崩壊性と水中分散性が悪く、そのため均一で安定な水性分散液が得られないのが普通である。また、ここで得られた水性分散液が安定な懸濁状態を長時間維持できないなどの問題点があった。
これらの問題点を解決する手段として、水和性顆粒剤の製造に当って、特定の界面活性剤あるいは複数の界面活性剤を組合せて顆粒に配合することが提案された(特開昭59−193803号公報、特開昭62−36302号公報、特開平5−43402号公報、特開平7−126106号公報および特開平8−34702号公報参照)。また、顆粒にでん粉と水溶性無機塩を配合すること(特開昭51−1649号公報参照)、顆粒に糖類、ナフタレンスルホン酸系界面活性剤、リン酸アルカリ金属塩を配合すること(特開昭57−163303号公報参照)、顆粒に、不飽和カルボン酸の重合体、スチレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物塩及びリン酸アルカリ金属塩の1種又は2種以上を配合すること(特開昭61−236701号公報参照)、顆粒にアニオン型界面活性剤及びベントナイトを配合すること(特開昭62−263101号公報)、および顆粒に、界面活性剤と2〜10μmの粒径のカオリン系クレー微粒を配合すること(特開平3−264502号公報またはこれの対応の米国特許5,180,240号明細書参照)が提案されている。しかし、このような従来の水和性顆粒剤または顆粒状水和剤は、それの水中崩壊性と分散性が特に農薬活性成分の種類、性状に大きな影響を受けて変動するので、必ずしも十分な水中崩壊性と十分な水中分散性を示さないという欠点を示すものであった。
水和性顆粒剤に配合される農薬活性成分の種類によっては、特に水中崩壊性や水中分散性を改善するために、湿展効果の強い界面活性剤を配合することがあるが、この場合、水和性顆粒剤を水と混合して水性の希釈された分散液を調製する際や、散布する際の水性希釈分散液を攪拌するときに、その水性希釈分散液は起泡性(foamability)が大きいので泡立ちし、そのためにその水性希釈分散液の取扱が難しい問題がある。
また、水和剤から水性希釈分散液の調製時の泡立ちを軽減するために、一般にシリコーンオイルやシリコーンエマルションなどのシリコーン系消泡剤を配合することが提案された。しかし、水和性顆粒剤の場合には、シリコーン系消泡剤を加えると水中崩壊性や水中分散性が悪くなるので、シリコーン系消泡剤の配合は実用されていない。従って、水和性顆粒剤に対して、低い起泡性とすぐれた水中崩壊性とすぐれた水中分散性とを兼備させることが従来望まれていた。
本発明の目的は、農薬活性成分の種類、性状に影響を受けることなく、水和性顆粒剤の水中崩壊性、水中分散性、水中懸垂性(懸濁安定性)を向上させてあり且つ該顆粒剤を水に混合して得られる水性分散液の起泡性を低く抑えることのできる水和性顆粒剤よりなる新しい粒状組成物(granular composition)を提供することにある。
【発明の開示】
本発明者らは、上述したような目的で、従来の水和性顆粒剤の欠点を解消するために種々検討を行った。その結果、1種またはそれ以上の農薬活性成分(a)と、スルホン酸塩型の界面活性剤、硫酸エステル塩型の界面活性剤およびリン酸エステル塩型の界面活性剤から選ばれる1種またはそれ以上の界面活性剤(b)を混合し且つ消泡剤として炭素数が6から28である脂肪酸の金属塩(c)の少くとも1種を必須の補助成分として混合し且つ得られた混合物を顆粒に造粒すると、得られた水和性顆粒剤は、配合された脂肪酸金属塩(c)の作用に由り、農薬活性成分の種類、性状に影響を受けることなく、その水和性顆粒剤を水で希釈する際に得られた水性分散液が低起泡性を示し、かつそのような水和性顆粒剤の水中崩壊性と水中分散性が良好であること、またそのような水和性顆粒剤から得た水性分散液は、これを強く攪拌しても低起泡性であることを見出した。これらの知見に基づいて本発明を完成した。
従って、本発明においては、少くとも1種の固体または液状の農薬活性成分(a)を有効成分として含有し、さらにスルホン酸塩型の界面活性剤、硫酸エステル塩型の界面活性剤およびリン酸エステル塩型の界面活性剤から選ばれる少くとも1種の界面活性剤(b)と、消泡剤として炭素数が6から28の脂肪酸の少くとも1種の金属塩(c)とを配合して含有する水和性顆粒から成ることを特徴とする、低気泡性を有する水和性顆粒剤よりなる粒状組成物が提供される。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の顆粒剤組成物に用いられる農薬活性成分(pesticidally active ingredient)は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤又は植物成長調整剤を含めて、一般に農薬として有用な化合物、すなわち農薬化合物のいずれのものも包含する。しかし、特に固体の農薬活性成分が好適である。液体状の農薬活性成分は、吸油性を有する固体担体、例えば多孔質のケイソウ土または非多孔質の非晶シリカに含浸された形で使用できる。
農薬活性成分として使用できる化合物は、単独でまたは2種以上の混合物として顆粒に配合することができる。具体的に例示するならば、下記に列記した農薬化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、それらの農薬化合物の幾何異性体、光学異性体も含まれるものである。農薬活性成分すなわち農薬化合物の名としては、農薬要覧2001年版 社団法人日本植物防疫協会編集発行に記載された一般名、あるいはISO(国際標準化機構International Standard Organizationの略号)で承認されたISO名を一般名として用いた。一般名、ISO名のないものは、化学名をあげた。
(A)殺菌剤の例としては、EDDP、IBP、TPN、アシベンゾラルSメチル、アゾキシストロビン、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、オキサザキシル、オキシテトラサイクリン、オキソリニック酸、カスガマイシン、カルプロパミド、カルベンダゾール、キノメチオナート、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シアゾファミド、ジエトフェンカルブ、ジクロメジン、ジチアノン、ジネブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジプロコナゾール、シプロジニル、シメコナゾール、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジラム、ストレプトマイシン硫酸塩、ジクロフルアニド、ダゾメット、チアジアジン、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テトラコナゾール、テブコナゾール、テレフタル酸銅、トリアジメホン、トリアジン、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリホリン、トルクロホスメチル、トリフロキシストロビン、ノニルフェノールスルホン酸銅、バリダマイシンA、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピロキロン、ピラクロストロビン、ビンクロゾリン、フェナミドン、フェナリモル、フェンヘキサミド、フォルペット、フサライド、ブラストサイジンS、フラメトピル、フルアジナム、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ペフラゾエート、ペンシクロン、ベンチアゾール、ベンチアバリカルブイソプロピル、ホセチル、ポリオキシン複合体、、ポリカーバメート、ホルムアルデヒド、マンゼブ、マンネブ、ミクロブタニル、メタスルホカルブ、メタラキシル、メタンアルソン酸鉄、メタンアルソン酸鉄アンモニウム、メトミノストロビン、メパニピリム、メプロニル、トリコデルマ菌の生胞子、銅(塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、水酸化第二銅、無水硫酸銅)、8−ヒドロキシキノリン銅剤、硫黄、硫酸亜鉛などがあげられる。
(B)殺虫剤の例としては、BPMC、BPPS、BRP、細菌バチルス・リューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)産出の結晶毒素、バチルス・リューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)生芽胞の産出結晶毒素、CVMP、CVP、CYAP、DDVP、DEP、DMTP、ECP、EPN、ESP、MEP、MIPC、MPP、MTMC、NAC、PAP、PHC、PMP、XMC、アクリナトリン、アセキノシル、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アレスリン、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、エチオフェンカルブ、エチオン、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エトプロホス、エマメクチン安息香酸塩、オキサミル、オキメラノルア、カーバム、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、キノメチオナート、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロルピクリン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、ケルセン、シクロプロトリン、ジノテフラン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、ジメチルビンホス、ジメトエート、ジアフェンチウロン、シラフルオフェン、スピノサド、スピロディクロフェン、スルプロホス、ダイアジノン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラム、チオメトン、テトラジホン、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、デリス、トラロメトリン、ニテンピラム、バミドチオン、ハルフェンプロックス、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリミカーブ、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、フィプロニル、フェニソブロモレート、フェノキシカルブ、フェノチオカルブ、フェンバレレート、フェンピロキシメート、ピレトリン、フェンプロパトリン、ブプロフェジン、フラチオカルブ、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、フルリムフェン、プロクロラズ、プロチオホス、プロパホス、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンゾメート、ベンフラカルブ、ホサロン、ホスチアゼート、ポリナクチン複合体、マラソン、ミルベメクチン、メソミル、メトキシフェノジド、モノクロトホス、ルフェヌロン、レスメトリン、塩酸レバミゾール、酸化フェンブタスズ、酒石酸モランテル、臭化メチル、硫酸ニコチンなどがあげられる。
(C)除草剤の例としては、2,4−PA、ACN、CAT、CNP、DCNU、DCPA、DPA、MBPMC、MCC、MCP、MCPB、MCPP、MDBA、PAC、SAP、TCTP、アイオキシニル、アシュラム、アトラジン、アミプロホスメチル、アメトリン、アラクロール、アロキシジム、イソウロン、イソキサベン、イマザキンアンモニウム塩、イマザピル、イマゾスルフロン、イマザモックスアンモニウム塩、インダノファン、エスプロカルブ、エチジムロン、エトキシスルフロン、エトベンザニド、エンドタール二ナトリウム塩、オキサジアゾン、オルソベンカルブ、カルブチレート、キザロホップエチル、キンクロラック、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートトリメシウム塩、クレトジム、グルホシネート、クロメトキシニル、クロルフタリム、シアナジン、ジクワット、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シハロホップブチル、ジフェナミド、ジメタメトリン、シメトリン、ジメピペレート、シンメチリン、セトキシジム、ターバシル、ダイムロン、ダゾメット、チアザフルロン、デスメディファム、テトラピオン、テニルクロール、テブチウロン、トリクロピル、トリフルラリン、ナプロアニリド、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ピクロラム、ビフェノックス、ピペロホス、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロンエチル、ピラゾレート、ピリデート、ピリブチカルブ、フェノキサプロップエチル、フェノチオール、フェンメディファム、ピラフルフェンエチル、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップ、プレチラクロール、プロジアミン、プロピザミド、ブロマシル、プロメトリン、ブロモブチド、ヘキサジノン、ベスロジン、ベンスルフロンメチル、ベンソフェナップ、ベンタゾン、ベンダゾンナトリウム塩、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ベンフレセート、メチルダイムロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、メフェナセット、モリネート、リニュロン、リニュロン、レナシル、塩素酸ナトリウム、カフェンストロール、ピリミノバックメチル、アジムスルフロン、ジフルフェニカン、ビスピリバックナトリウム塩、シクロスルファムロン、トリアジフラム、ペントキサゾンなどがあげられる。
(D)植物成長調整剤の例としては、1−ナフチルアセトアミド、4−CPA、MCPB、アンシミドール、イナベンフィド、インドール酪酸、ウニコナゾールP、エチクロゼート、エテホン、オキシエチレンドコサノール、オキシン硫酸塩、クロキシホナック、クロルメコート、クロレラ抽出物、塩化コリン、ジクロルプロップ、ジケグラック、ジベレリン、デシルアルコール、パクロブトラゾール、ピペロニルブトキシド、フルルプリミドール、プロヘキサジオンカルシウム塩、ベンジルアミノプリン、ペンディメタリン、ホルクロルフェニュロン、マレイン酸ヒドラジコリン、マレイン酸ヒドラジド、メピコートクロリド、メフルイジド、過酸化カルシウムがあげられる。
本発明の顆粒剤組成物中の農薬活性成分の割合または含量は、特に限定されるものではないが、造粒性や生物活性の点から、通常は組成物をなす顆粒の重量に基づいて0.1〜85%、特に0.1〜75%、更には1〜50%の範囲であるのが好ましい。
本発明の粒状組成物において用いられる界面活性剤としては、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤およびリン酸エステル塩型界面活性剤から選ばれる1種またはそれ以上の界面活性剤が使用される。特にスルホン酸塩型界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は一種のみの単独で、または二種またはそれ以上の混合物として用いることができ、本発明の組成物をなす顆粒中に通常は0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲の割合で含有される。
(i)本発明組成物において用いられるスルホン酸塩型界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸塩(例えばパラフィンスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、ジアルキルスルホコハク酸塩(例えばジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(例えばナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ブチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、そのアルカリ金属塩、ナルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)、リグニンスルホン酸塩(例えばリグニンスルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、高純度部分脱スルホンリグニン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルスルホン酸のアルカリ金属塩)などがあげられる。
(ii)本発明組成物において用いられる硫酸エステル塩型界面活性剤の例としては、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、オレイル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)などがあげられる。
(iii)本発明組成物において用いられるリン酸エステル塩型界面活性剤の例としては、アルキルリン酸エステル塩(例えばラウリルリン酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル塩(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルリン酸エステルのナトリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)などがあげられる。
(iv)なお、本発明組成物中には、さらに上述した以外のその他の界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンひまし油、アセチレングリコール等の非イオン界面活性剤、ポリカルボン酸塩、樹脂酸塩等の陰イオン界面活性剤などを追加的に配合することもできる。
本発明の組成物において消泡剤として用いられる炭素数が6から28の脂肪酸の金属塩は、水に可溶の混合した(C〜C28)脂肪酸のアルカリ金属塩、いわゆるセッケンであることができ、あるいは、20℃における水に対する溶解度が100ppmまたはそれ以下である混合した(C〜C28)脂肪酸の金属塩、いわゆる金属セッケンであることができる。
詳しくは、炭素数が6から28である水に可溶の脂肪酸アルカリ金属塩の例としては、混合された(C〜C28)脂肪酸のナトリウム塩、または混合された(C〜C28)脂肪酸のカリウム塩、あるいはラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、エライジン酸ナトリウム、ブラシン酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウムまたはオレイン酸カリウムがあげられる。
詳しくは、炭素数6から28を有して且つ水に対する溶解度が100ppm以下の脂肪酸金属塩の例としては、混合された(C〜C28)の脂肪酸のカルシウム塩またはマグネシウム塩、あるいはミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸バリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、セバシン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、セバシン酸カルシウムなどがあげられる。
これらの炭素数が6から28である脂肪酸の金属塩(消泡剤)は、本発明組成物をなす顆粒中に通常は0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の範囲の割合で含有される。
本発明の組成物には、顆粒形成のために必要である場合に、固体状担体、特にケイソウ土または非晶シリカをさらに配合することができ、また好ましい。本発明で固体状担体として用いられるケイソウ土とは、淡水、海水の両水界に繁殖する藻の一種で、酸化ケイ素を主成分とする単細胞の植物化石をいう。ケイソウ土の表面には幾何学的な模様の細胞の内部と外部を通ずる細かな孔があり且つ大きさは約0.1〜1μmの極めて多孔質なケイソウ土を用いるが好ましい。本発明においては、この珪藻土をそのまま担体として用いることができる。
また農薬の製剤分野において一般に行なわれる方法でケイソウ土を処理した後のケイソウ土加工品を固体状担体として用いることができる。たとえば、原料のケイソウ土を粉砕し、乾燥した後、繰り返し分級を行って不純物を除き粒度を揃えて得られた乾燥ケイソウ土製品、または約800〜1300℃の範囲でケイソウ土を焼成した焼成加工品、あるいは焼成の際にケイソウ土に炭酸ナトリウムなどの融剤を加えた融剤焼成した加工品などの約1ないし40m/g程度の比表面積をもつケイソウ土加工品が用い得る(粉体物性図説、日本粉体工業技術協会参照)。具体的に例示するならば、乾燥ケイソウ土の市販品としてはラヂオライトSPF(商品名、昭和化学工業製)などが用いられ、あるいは焼成ケイソウ土加工品としてはラヂオライト#100、ラヂオライト#200、ラヂオライト#500、ラヂオライト#800、ラヂオライトファインフローB(商品名、昭和化学工業製)などが用いられ、あるいは融剤焼成したケイソウ土加工品としてはラヂオライトマイクロファイン、ラヂオライトF、ラヂオライトクリアフロー、ラヂオライト#2000(商品名、昭和化学工業製)などが用いられる。なかでも、約1ないし10m/gの比表面積をもつケイソウ土加工品(たとえば、上記の焼成品、融剤焼成品など)などが好ましい。しかし、本発明組成物に用いられる珪藻土は、これらに限定されるものではない。
本発明組成物における担体としてケイソウ土が配合される場合ケイソウ土の顆粒剤中での含有量は、通常、重量基準で約10〜90重量%である。顆粒中の有効成分、界面活性剤の濃度に応じて、固体状担体の割合を変化させることが可能である。造粒性と水中崩壊性の向上などの点から、好ましくは約50〜90重量%の割合のケイソウ土を顆粒に配合できる。配合されたケイソウ土またはケイソウ土加工品は造粒時に賦形剤として作用する。
本発明組成物中には、ケイソウ土以外の鉱物質担体、水溶性固体担体、植物質担体等である製剤用の担体を配合してもよい。鉱物質担体の例としては、例えば石英シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、セリサイト、セピオライト、ケイ酸カルシウム等があげられ、水溶性固体担体の例としては、例えば硫安、尿素、デキストリン、乳糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖、食塩、ボウ硝、炭酸ナトリウム、塩化カリウム、重曹、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール等があげられる。植物質担体の例としては、例えば小麦粉、木粉、デンプン、ぬか、大豆粉、繊維作物粉砕物等があげられる。その他の固体担体の例として、例えば非晶シリカが挙げられる。ケイソウ土以外の固体担体は、本発明組成物中に、一般に重量基準で5〜95%、好ましくは、5〜75%の含有量で配合できる。
本発明組成物中に、所望に応じて配合できる結合剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン類等の結合剤であることができる。またトリポリリン酸ソーダ、アルギン酸塩、ポリアクリル酸塩等の物理性向上剤、さらに必要に応じてその他の補助剤である、水溶性高分子、溶剤、吸収性微粉末、結合剤、粉砕助剤、分解防止剤、着色剤、効力増強剤、香料、ビルダーなどを本発明組成物に配合してもよい。
本発明組成物は、例えば以下に説明する製剤化方法で製造できるが、特にこれらのみに限定されるものではない。すなわち、農薬活性成分に界面活性剤、消泡剤を混合し、さらに所望ならば固体状担体、結合剤を添加し、また所望ならば物理性向上剤、成分安定剤等を添加して更に混合し、その混合物を必要に応じて衝撃式粉砕機等で粉砕し、また所望ならばその他の造粒用担体を追加して混合し、加水して全体の混合物を混練する。その後、その混練物を、通常粒径0.1〜5mm、好ましくは、0.2〜2mmの孔をもつダイスを設けた押出し式造粒機で円柱状細粒に造粒し、得られた造粒物を乾燥し、設定した粒径に応じた適当なふるいで分級し、所望の粒度を有する顆粒を収得することから成る製剤化方法により、所望の顆粒剤よりなる本発明の粒状組成物が得られる。
また、別法として、適量の水に農薬活性成分、界面活性剤、消泡剤を加え、また必要に応じて担体を必要量で加え、さらに所望とされるその他の成分を必要量で加え、得られた混合物をボールミル、ダイノミル、サンドグラインダーなどの湿式粉砕機にかけ、得られた水性懸濁液に、更に必要に応じて界面活性剤、担体等のその他の成分を適量で加えて混合し、こうして得た混合物を押出し式造粒機に入れて造粒可能な混練物を形成し、この混合物を所望な顆粒に粒状化することから成る方法によっても本発明の粒状組成物を得ることもできる。
このようにして得られた本発明の粒状組成物をなす水和性顆粒剤は、(1)農薬活性成分の種類と性状にかかわらず優れた水中崩壊性と優れた水中分散性を有する;(2)農薬活性成分の種類と性状にかかわらず水で希釈時に低い起泡性を示し且つ得られた水性分散液は優れた懸垂性すなわち優れた懸濁安定性を有する;(3)保存中の固化が防止される;(4)水で希釈して得た水性分散液も、これを攪拌時に起泡し難いなどの利点を有する。また、本発明は農薬、例えば殺菌剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調整剤を有効成分とする農園芸用の顆粒剤に、広く応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
次に本発明を実施例、比較例および試験例をあげて更に具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお以下の例において、部とあるのは、すべて重量部を示す。
【実施例1】
メパニピリム(殺菌剤)50部、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物8部、消泡剤としての混合された脂肪酸のナトリウム塩(第一工業製薬株式会社製のゲンブ フレークSの名の石けんであり、炭素数6〜28の混合された脂肪酸のナトリウム塩から成る)1部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名の非晶シリカ)5部、クレー24部を均一に混合した。その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.6mmのスクリーンダイスを装着した押出し造粒機を用いて円柱状細粒に造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を16メッシュふるいとその下に重ねた48メッシュふるいとの一組のふるいで振動しながら篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度を有する顆粒を、本発明の水和性顆粒剤よりなる粒状組成物として得た。
【実施例2】
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)15部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム7部、ジアルキルスルホサクシネート塩1部、消泡剤としての混合された脂肪酸のナトリウム塩(第一工業製薬株式会社製のアンホールMT−Aの名の石けんであり、炭素数6〜28の混合した脂肪酸のナトリウム塩から成る)1部、ケイソウ土30部、クレー44部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度を有する顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例3】
ピリミノバックメチル(除草剤)10部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物7部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5部、消泡剤としてステアリン酸ナトリウム1部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名の非晶シリカ)5部、クレー59部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を、孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例4】
メパニピリム(殺菌剤)30部、アルキルベンゼンスルホン酸塩2部、リグニンスルホン酸のカルシウム塩5部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、消泡剤として混合された脂肪酸ナトリウム塩(第一工業製薬株式会社製のアンホールMT−Aの名の石けん)1部、ケイソウ土20部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名の非晶シリカ)2部、クレー38部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を孔径0.7mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例5】
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)15部、アルキルベンゼンスルホン酸塩2部、リグニンスルホン酸ナトリウム5部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、消泡剤としてステアリン酸カリウム2部、ケイソウ土20部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名の非晶シリカ)2部、クレー52部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.7mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例6】
メパニピリム(殺菌剤)30部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物8部、消泡剤としてステアリン酸マグネシウム1部、ケイソウ土30部、クレー29部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例7】
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)15部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム7部、ジアルキルスルホサクシネート塩1部、消泡剤としてステアリン酸カルシウム1部、ケイソウ土30部、クレー44部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例8】
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)5部、TPN50部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸カルシウム8部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、消泡剤としてステアリン酸マグネシウム1部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、クレー17部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.7mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例9】
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)2部、フォルペット50部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム2部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物6部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、消泡剤としてステアリン酸カルシウム1部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)1部、クレー26部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。その混練物を孔径0.7mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例10】
ピリミノバックメチル(除草剤)10部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物7部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5部、消泡剤としてパルミチン酸カルシウム2部、ケイソウ土20部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、硫安20部、クレー28部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.8mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
【実施例11】
ビスピリバックナトリウム(除草剤)10部、リグニンスルホン酸ナトリウム8部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、消泡剤としてラウリン酸カルシウム2部、ケイソウ土20部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、クレー53部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、本発明の水和性顆粒剤の粒状組成物として得た。
後記の比較例は、本発明で消泡剤として用いる脂肪酸金属塩を省略するか、またはシリコーン系消泡剤と取代えた以外は本発明と同様に作られた比較のための水和性顆粒剤の調製例を示す。
比較例1
メパニピリム(殺菌剤)50部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物8部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、クレー25部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて円柱状細粒に造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、比較の水和性顆粒剤として得た。この比較のための顆粒剤は、混合された脂肪酸のナトリウム(消泡剤)が省略され且つクレーム含量が増えたこと以外は実施例1の顆粒剤と同じ粒度と同じ組成を有する。
比較例2
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)15部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム7部、ジアルキルスルホサクシネート塩1部、ケイソウ土30部、クレー45部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの所望の粒度をもつ顆粒を、比較の水和性顆粒剤として得た。この比較のための顆粒剤は、混成脂肪酸のナトリウム塩(消泡剤)が省略され且つクレー含量が増えたこと以外は実施例2の顆粒剤と同じ粒度と同じ組成を有する。
比較例3
ピリミノバックメチル(除草剤)10部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物7部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5部、ケイソウ土10部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、クレー60部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。
その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.6mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの水和性顆粒剤を得た。この比較のための顆粒剤は、実施例3の顆粒剤との比較の試料である。
比較例4
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)5部、TPN50部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム8部、ジアルキルスルホサクシネート塩2部、ケイソウ土10部、クレー23部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.7mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの水和性顆粒剤を得た。
比較例5
ベンチアバリカルブイソプロピル(殺菌剤)15部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム7部、ジアルキルスルホサクシネート塩1部、シリコーンエマルション(消泡剤)1部、ケイソウ土30部、クレー44部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。その微粉末に水約10部を加え、混練した。混練物を孔径0.6mmのスクリーン型を装着した押出し造粒機を用いて造粒した。60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの水和性顆粒剤を得た。この顆粒剤は、実施例7の顆粒剤との比較の試料である。
比較例6
ピリミノバックメチル(除草剤)10部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物7部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル5部、シリコーンエマルション(消泡剤)1部、ケイソウ土20部、ホワイトカーボン(塩野義製薬株式会社製のカープレックス#1120の名のシリカ)5部、硫安20部、クレー29部を均一に混合し、その混合物をジェットオーマイザーを用いて微粉砕した。その微粉末に水約10部を加え、混練し、その混練物を孔径0.8mmのスクリーン型ダイスを装着した押出し造粒機を用いて造粒した。造粒物を60℃で乾燥後、その乾燥した造粒物を実施例1と同様に16メッシュふるいと48メッシュふるいで篩別した。48メッシュふるい上に残る細粒を収獲した。これにより、粒径0.3〜1.0mmの水和性顆粒剤を得た。この顆粒剤は、実施例10の顆粒剤との比較の試料である。
試験例1
本例は前記の実験で得られた各種の顆粒剤の水中崩壊性、水中分散性および水中懸垂性の試験を示す。
上記の実施例及び比較例により得られた顆粒剤を用いて、以下に示す方法で顆粒剤の水中崩壊性、水中分散性および水中懸垂率を測定した。
すなわち、25℃の恒温水槽中に3度硬水250mLの入った250ml容の有栓シリンダーを設置した。供試の各々の顆粒剤250mgを該シリンダー内に入れた。次に、2秒に1回の割合でシリンダーの倒立を繰り返し、水中で供試の顆粒剤が完全に崩壊、分散するまでのシリンダーの倒立回数を、水中崩壊性と水中分散性の尺度として表した。
次いでこのシリンダーを25℃の恒温水槽中に静置し、静置の最初の時から15分後にシリンダー中央部の水性分散液から各々25mLの試料をサンプリングして、さらに高速液体クロマトグラフィーにて試料中の農薬活性成分を分析および定量し、懸垂率(%)を求めた。なお、懸垂率(%)は下記の式より求める。
懸垂率(%)=[(B×10)/A]×100
但し、AとBは次の意味を有する。
A:最初にシリンダーに入れた供試の顆粒剤250mg中の有効成分の含量を示す。
B:サンプリング採取した試料(25mL)中の有効成分の含量を示す。
得られた試験結果は次の表1に要約して示す。

試験例2
本例は前記の実験で得られた各種の顆粒剤の起泡性の試験を示す。
実施例及び比較例により得られた顆粒剤を用いて、以下に示す方法で顆粒剤の起泡性を測定した。すなわち、供試の各々の顆粒剤0.5gを、20℃の3度硬水250mLを入れた250mL容有栓シリンダーに入れた。次いで、30秒間に15回の速さでシリンダーを倒立させ、これによって内部の水性分散液を攪拌し、その後に静置した。静置した最初の時から1分後に、シリンダー内の泡の高さ(mm)を測定して、その高さを起泡性の尺度とした。
得られた試験結果は次の表2に要約して示す。

本発明の水和性顆粒剤よりなる粒状組成物は、従来のものに比べ、農薬活性成分の種類、性状に影響を受けることなく、配合された脂肪酸塩(消泡剤)の作用に由って低起泡性を示すものであり、しかも優れた水中崩壊性、水中分散性、水中懸垂性を示すことができる利点を有する。
【産業上の利用可能性】
前記に説明したとおり、本発明においては、農薬を活性成分として含む水和性顆粒剤よりなる新しい粒状組成物が提供され、この組成物は農業分野に有用であり、利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少くとも1種の固体または液状の農薬活性成分(a)を有効成分として含有し、さらに、スルホン酸塩型の界面活性剤、硫酸エステル塩型の界面活性剤およびリン酸エステル塩型の界面活性剤から選ばれる少くとも1種の界面活性剤(b)と、消泡剤として炭素数が6から28の脂肪酸の少くとも1種の金属塩(c)とを配合して含有する水和性顆粒から成ることを特徴とする、低起泡性を有する水和性顆粒剤よりなる農園芸用の粒状組成物。
【請求項2】
消泡剤としての炭素数が6から28の脂肪酸の金属塩(c)は、水に可溶である脂肪酸アルカリ金属塩の1種、または少くとも2種の混合物であるか、あるいは20℃における水に対する溶解度が100ppmまたはそれ以下である脂肪酸金属塩(アルカリ金属塩以外の)の1種、または少くとも2種の混合物である、請求の範囲1に記載の組成物。
【請求項3】
水に可溶の脂肪酸アルカリ金属塩は、炭素数6〜28の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の1種またはその少くとも2種の混合物である請求の範囲1または2に記載の組成物。
【請求項4】
消泡剤としての炭素数が6〜28の脂肪酸の金属塩(c)は、炭素数6〜炭素数28の各々の脂肪酸からなる混合した脂肪酸のナトリウム塩、すなわち石けんである、請求の範囲1または2に記載の組成物。
【請求項5】
20℃における水に対する溶解度が100ppmまたはそれ以下である脂肪酸金属塩は、脂肪酸リチウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩またはアルミニウム塩から選ばれる少くとも1種またはその少くとも2種の混合物である、請求の範囲2に記載の組成物。
【請求項6】
界面活性剤(b)の少くとも1種またはその少くとも2種の混合物がスルホン酸塩型の界面活性剤である、請求の範囲1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
顆粒は任意の成分として固体状担体を追加して含有してなる、請求の範囲1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
農薬活性成分(a)は、組成物の顆粒の重量に基づいて0.1〜85%の割合で含有される、請求の範囲1〜7に記載の組成物。
【請求項9】
界面活性剤(b)は、組成物の顆粒の重量に基づいて合計、0.5〜30%の割合で含有される、請求の範囲1〜8に記載の組成物。
【請求項10】
消泡剤としての脂肪酸の金属塩(c)は、組成物の顆粒の重量に基づいて合計、0.05〜10%の割合で含有される、請求の範囲1〜9に記載の組成物。
【請求項11】
固体状担体を組成物の顆粒の重量に基づいて5〜95%の割合で含有する、請求の範囲1〜10に記載の組成物。

【国際公開番号】WO2004/036994
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546431(P2004−546431)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013427
【国際出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】