説明

水性クレンジング化粧料

【課題】メイクなどの油脂汚れに対する除去効果に優れるとともに、べたつき感を抑え、洗い流した後にさっぱりした感触が得られるクレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】(1)グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなるHLBが7以上12以下である非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上からなるHLB12以上である非イオン界面活性剤、(3)多価アルコール、及び(4)水を含有してなり、非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)との質量比が10/90〜60/40であり、水の含有量が65〜96質量%であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性クレンジング化粧料に関し、より詳細には界面活性剤量の配合量を従来よりも減らしても油脂汚れの除去効果が高く、洗い流した後にさっぱりした感触が得られる水性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油剤を用いたクレンジング化粧料は、メイクアップ化粧料などの油脂汚れに対する除去効果に優れるが、その反面、拭き取り後又は洗い流した後でも油剤が残存してべたつき感が生じ易い。この油剤を除去し、さっぱりした使用感を得る為に界面活性剤を多く配合させることになり、そうすると皮膚刺激等の安全性が懸念されるようになる。
【0003】
このような問題を解決するために、油剤を用いずに油脂汚れに対する除去効果を高める試みがなされ、種々の水性クレンジング化粧料が提案されている。例えば、特許文献1では、特定の親水性非イオン界面活性剤と、多価アルコールと水とを含有し、油性物質を含有しない低刺激性クレンジング組成物を提案し、特許文献2では、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルと、多価アルコールと、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩等からなるクレンジング化粧料などが提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案された水性クレンジング化粧料は、べたつき感や刺激性は改善されているものの、クレンジング力が十分ではなく、また可溶化剤として低級アルコールを含有させた場合、皮膚刺激を生じるといった問題も有する。また、特許文献2で提案されたクレンジング化粧料については、これらの問題が一定レベルまでは解消されているが、なお十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−301725号公報
【特許文献2】特開2008−56609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、界面活性剤の含有量を少なくしても、メイクアップ化粧料などの油脂汚れに対する除去効果に優れるとともに、べたつき感を抑え、洗い流した後にさっぱりした感触が得られる水性クレンジング化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のクレンジング化粧料は、上記の課題を解決するために、(1)グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が7以上12以下である非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が12以上である非イオン界面活性剤、(3)多価アルコール、及び(4)水を含有してなり、上記非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)との配合割合が質量比で10/90〜60/40の範囲内であり、上記水の含有量が65〜96質量%であるものとする。
【0008】
本発明のクレンジング化粧料において、上記非イオン界面活性剤(1)の脂肪酸部分の炭素数は6以上12以下であることが好ましい。
【0009】
また、上記非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)の含有量が合計で1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクレンジング化粧料は、メイククアップ化粧料等の油脂汚れに対する除去効果に優れるとともに、べたつき感が抑えられ、洗い流した後にさっぱりした感触が得られるものとなる。
【0011】
また界面活性剤量の含有量を従来の標準より少ない1〜10質量%に減らしても皮膚の汚れやメイクアップ化粧料等の油脂汚れの除去効果が高いため、皮膚刺激が少なく、安全性の高いクレンジング化粧料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で使用する第1の非イオン界面活性剤(1)は、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる化合物であって、HLB値が7〜12のものである。これらの化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。2種以上使用する場合は、混合物のHLB値が7〜12であればよい。またこれらの化合物の脂肪酸部分の炭素数は6〜12が好ましく、8〜10がより好ましい。
【0013】
本発明ではこの非イオン界面活性剤(1)を後述するように所定量用いることで、刺激性が低く、皮膚の汚れやメイクアップ化粧料の除去に高い効果があるクレンジング化粧料が得られる。
【0014】
非イオン界面活性剤(1)の好ましい具体例としては、グリセリン脂肪酸エステルとしてはモノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル等、ジグリセリン脂肪酸エステルとしてはモノカプリル酸ジグリセリル(例えばモノカプリル酸ポリグリセリル−2)、モノカプリン酸ジグリセリル等、ソルビタン脂肪酸エステルとしてはモノカプリル酸ソルビタン、セスキカプリル酸ソルビタン等が挙げられる。
【0015】
次に、本発明で使用する第2の非イオン界面活性剤(2)は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルから選ばれる化合物であって、HLB値が12以上のものである。これらの化合物も、1種を単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。2種以上使用する場合は、混合物のHLB値が12以上であればよい。
【0016】
非イオン界面活性剤(2)の好ましい具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルでは、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルとしては、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(例えばイソステアリン酸PEG−25グリセリル)等が挙げられる。
【0017】
上記第1と第2の非イオン界面活性剤の使用量は、非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)との配合割合を質量比で10/90〜60/40の範囲内とするのが好ましく、20/80〜50/50とするのがより好ましい。両者をこの割合で配合した場合に、皮膚の汚れやメイクアップ化粧料の除去効果が顕著となる。
【0018】
また、第1と第2の非イオン界面活性剤の使用量の合計量はクレンジング組成物中1〜10質量%とするのが好ましく、3〜8質量%とするのがより好ましい。1質量%未満では所望の油脂汚れ除去効果が得られない。10質量%を超えると、皮膚刺激性や使用感等で問題が生じるようになるおそれがある。
【0019】
次に本発明で用いる多価アルコールの例としては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピルグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン等が挙げられる。これら多価アルコールも1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
【0020】
多価アルコールを適量配合することにより、メイク落とし時の抵抗感を軽減することができ、また経時による安定性も向上させることができる。多価アルコールの配合量は通常は3〜25質量%の範囲であり、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。多価アルコールの配合量が3質量%未満では経時安定性が不足する傾向が生じる。
【0021】
上記(1)〜(3)の各成分の残量として65〜96質量%の水を添加して混合することにより、本発明のクレンジング化粧料を得ることができる。得られたクレンジング化粧料としてはHLB値が9〜15の範囲にあるのが好ましい。水の量が65質量%未満であると、塗布時のべたつき感が生じる等、使用感が低下するようになる。
【0022】
なお、本発明のクレンジング化粧料には、本発明の目的に反しない範囲内であれば、同様のクレンジング化粧料に配合されることのある増粘剤、粉体、植物抽出液、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、着色剤、ビタミン類等の添加剤を必要に応じて添加することもできる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0024】
[実施例、比較例]
表1,2に示した割合(質量%)で各成分を混合して、実施例、比較例のクレンジング化粧料を調製した。配合した各成分の詳細を表3に示す。
【0025】
得られたクレンジング化粧料につき評価するため、化粧を施した女性パネル10名により、各クレンジング化粧料を浸み込ませたコットンで、撫でるように顔全体のメイクを拭き取った後、水ですすいだ。その際の、クレンジング化粧料のメイクとの馴染み、塗布時のべたつき感、すすぎ易さ、メイク汚れの除去性、メイク除去後のべたつき感、メイク除去後のさっぱり感を表4に示した基準で評価した。結果を表1及び2に併記する。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
表に示されたように、実施例のクレンジング化粧料は、汚れの除去効果及び使用感の各評価において優れた結果が得られた。これに対し、非イオン界面活性剤(1)又は(2)を使用していないか、これらの配合比率が規定した範囲外である比較例1、3〜5や、多価アルコールを使用していない比較例2は、汚れ除去性が劣るのみならず使用感にも問題があった。また、水の配合量が少なすぎる比較例6は、塗布時のべたつき感が残るという問題があった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のクレンジング化粧料は、メイク落とし、洗顔料の他、ベビーソープ、手洗い洗浄剤等に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が7以上12以下である非イオン界面活性剤、
(2)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が12以上である非イオン界面活性剤、
(3)多価アルコール、及び
(4)水を含有してなり、
前記非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)との配合割合が質量比で10/90〜60/40の範囲内であって、
前記水の含有量が65〜96質量%である
ことを特徴とするクレンジング化粧料。
【請求項2】
前記非イオン界面活性剤(1)の脂肪酸部分の炭素数が6以上12以下であることを特徴とする、請求項1に記載のクレンジング化粧料。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)の含有量が合計で1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。

【公開番号】特開2013−112633(P2013−112633A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259167(P2011−259167)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】